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特許6494976成分放出装置およびアミューズメント機器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6494976
(24)【登録日】2019年3月15日
(45)【発行日】2019年4月3日
(54)【発明の名称】成分放出装置およびアミューズメント機器
(51)【国際特許分類】
   A61L 9/12 20060101AFI20190325BHJP
   A63F 7/02 20060101ALI20190325BHJP
【FI】
   A61L9/12
   A63F7/02 304D
【請求項の数】17
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2014-222939(P2014-222939)
(22)【出願日】2014年10月31日
(65)【公開番号】特開2016-86988(P2016-86988A)
(43)【公開日】2016年5月23日
【審査請求日】2017年9月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】日本電産サンキョー株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】591044614
【氏名又は名称】株式会社足立ライト工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100142619
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100125690
【弁理士】
【氏名又は名称】小平 晋
(74)【代理人】
【識別番号】100153316
【弁理士】
【氏名又は名称】河口 伸子
(74)【代理人】
【識別番号】100090170
【弁理士】
【氏名又は名称】横沢 志郎
(72)【発明者】
【氏名】村松 健次
(72)【発明者】
【氏名】白上 亮治
(72)【発明者】
【氏名】飯塚 茂幸
(72)【発明者】
【氏名】中村 明博
(72)【発明者】
【氏名】張 翔
(72)【発明者】
【氏名】豊永 和博
(72)【発明者】
【氏名】清水 英明
【審査官】 小河 俊弥
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2008/072744(WO,A1)
【文献】 特開2008−254699(JP,A)
【文献】 特開2000−189506(JP,A)
【文献】 実開昭53−141245(JP,U)
【文献】 特表2002−537961(JP,A)
【文献】 特開2016−077399(JP,A)
【文献】 特開2007−261320(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
A61L 9/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
単一の放出口に連通する空気室と、
前記空気室に成分供給口を介して連通し、放出成分を発生させる成分発生源が収容された発生源収容室と、
前記空気室の前記放出口から離間する壁面を構成する可動部材と、
該可動部材を前記空気室の内容積が膨張する方向および収縮する方向に駆動して前記放出口から空気を放出させるリニアアクチュエータと、
前記空気室内で前記成分供給口を開閉するためのシャッター部材と、
前記シャッター部材を駆動して前記成分供給口を開閉するシャッター部材駆動装置と、
を有し、
前記発生源収容室が複数設けられていると共に、
前記成分供給口は、前記複数の発生源収容室の各々が前記空気室と個別に連通可能に複数設けられ、
前記複数の発生源収容室には、少なくとも、前記成分発生源として、第1成分発生源が収容された発生源収容室と、前記第1成分発生源とは異なる第2成分発生源が収容された発生源収容室とが含まれていることを特徴とする成分放出装置。
【請求項2】
前記放出口と前記可動部材とは、前記空気室を介して対向し、
前記リニアアクチュエータは、前記可動部材を前記放出口から離間する方向および前記放出口に接近する方向に駆動して前記空気室の内容積の膨張および収縮を行うことを特徴とする請求項1に記載の成分放出装置。
【請求項3】
前記空気は、前記放出口から環状の渦輪として放出されることを特徴とする請求項1または2に記載の成分放出装置。
【請求項4】
前記成分発生源は、固形状であることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の成分放出装置。
【請求項5】
前記発生源収容室と前記空気室を区画する隔壁を備えたハウジング部材を有し、
前記隔壁は、前記放出口と前記可動部材とを対向させる穴が形成された筒状隔壁部と、該筒状隔壁部から径方向外側に延在する板状隔壁部と、を備え、
前記筒状隔壁部の径方向外側において前記板状隔壁部に対して前記放出口が位置する側に前記発生源収容室が設けられているとともに、前記筒状隔壁部に前記成分供給口が形成されており、
前記シャッター部材は、前記シャッター部材駆動装置によって駆動されて前記筒状隔壁部の内周面に摺動しながら周方向に回転することにより、前記成分供給口を開閉することを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の成分放出装置。
【請求項6】
前記シャッター部材駆動装置は、前記板状隔壁部に支持されていることを特徴とする請求項5に記載の成分放出装置。
【請求項7】
前記シャッター部材駆動装置は、前記空気室に配置されていることを特徴とする請求項6に記載の成分放出装置。
【請求項8】
前記隔壁は、前記筒状隔壁部の径方向外側において前記筒状隔壁部の周りに前記発生源収容室を複数区画する仕切り用隔壁部を有するとともに、
前記複数の発生源収容室の各々は、前記筒状隔壁部に形成された複数の前記成分供給口によって前記空気室に連通しており、
前記シャッター部材は、前記シャッター部材駆動装置によって駆動されて前記複数の成分供給口を選択的に開閉することを特徴とする請求項5乃至7の何れか一項に記載の成分放出装置。
【請求項9】
前記放出口の内周面には、周方向に延在する周溝が形成されており、
前記シャッター部材は、前記筒状隔壁部の内周面に沿って周方向に延在する筒部と、該筒部から前記放出口の内側まで突出して先端が前記周溝内に向けて突出した係合爪と、を
有していることを特徴とする請求項8に記載の成分放出装置。
【請求項10】
前記シャッター部材と前記筒状隔壁部との間にはグリスまたはオイルからなる封止材が塗布されていることを特徴とする請求項5乃至9の何れか一項に記載の成分放出装置。
【請求項11】
前記放出口は、前記ハウジング部材の前面で開口する穴からなり、
前記放出口の外側の縁は、前記前面から突出していないことを特徴とする請求項5乃至10の何れか一項に記載の成分放出装置。
【請求項12】
前記ハウジング部材は、前記放出口が設けられた前板部を備えたケース部材と、前記隔壁の少なくとも前記板状隔壁部を構成する隔壁部材と、を有していることを特徴とする請求項5乃至11の何れか一項に記載の成分放出装置。
【請求項13】
前記ケース部材と前記隔壁部材とが重なった封止部分の少なくとも一部では、前記ケース部材および前記隔壁部材の一方から突出した板状の凸部が、他方に形成された溝内に嵌っており、
前記溝内にはグリスまたはオイルからなる封止材が塗布されていることを特徴とする請求項12に記載の成分放出装置。
【請求項14】
前記可動部材は、外周端部が固定された振動板であって、
前記リニアアクチュエータは、前記振動板の中央を前記放出口に接近する方向および前記放出口から離間する方向に駆動することを特徴とする請求項1乃至13の何れか一項に記載の成分放出装置。
【請求項15】
前記可動部材および前記リニアアクチュエータは、スピーカーとして構成されていることを特徴とする請求項14に記載の成分放出装置。
【請求項16】
前記放出成分は、香り成分であることを特徴とする請求項1乃至15の何れか一項に記載の成分放出装置。
【請求項17】
請求項1乃至16の何れか一項に記載の成分放出装置を有することを特徴とするアミューズメント機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、香り成分等の成分を空気とともに放出する成分放出装置およびアミューズメント機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
香り成分等の成分を空気とともに放出する成分放出装置としては、空気を通過させる網状線材または多孔質素材からなる香料吸蔵板と、複数の空気穴を有するカバー板とを設けた香り発生器に気流を瞬間的に当てることにより、気化した香料を放出する構成が提案されている(特許文献1参照)。また、空気室を収縮させて筒状の放出口から空気を放出するとともに、ヘッド内の液状の香り成分をチューブを介して筒状の放出管に供給する技術が提案されている(特許文献2参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−651号広報
【特許文献2】特開2004−81851号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の構成では、香り発生器から香り成分が常時、発生しているため、放出した空気に含まれる香り成分量の制御が難しいという問題点がある。また、特許文献2に記載の構成では、ヘッド内の液状の香り成分をチューブを介して筒状の放出管に供給するため、放出した空気において、気体として含まれる香り成分量の制御が難しいという問題点がある。
【0005】
以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、気体状の放出成分を適正に含んだ空気を放出することのできる成分放出装置およびアミューズメント機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明に係る成分放出装置は、単一の放出口に連通する空気室と、前記空気室に成分供給口を介して連通し、放出成分を発生させる成分発生源が収容された発生源収容室と、前記空気室において前記放出口から離間する壁面を構成する可動部材と、該可動部材を前記空気室の内容積が膨張する方向および収縮する方向に駆動して前記放出口から空気を放出させるリニアアクチュエータと、前記空気室内で前記成分供給口を開閉するためのシャッター部材と、前記シャッター部材を駆動して前記成分供給口を開閉するシャッター部材駆動装置と、を有し、前記発生源収容室が複数設けられていると共に、前記成分供給口は、前記複数の発生源収容室の各々が前記空気室と個別に連通可能に複数設けられ、前記複数の発生源収容室には、少なくとも、前記成分発生源として、第1成分発生源が収容された発生源収容室と、前記第1成分発生源とは異なる第2成分発生源が収容された発生源収容室とが含まれていることを特徴とする。
【0007】
本発明では、シャッター部材が成分供給口を開状態としたときに、リニアアクチュエータが可動部材を駆動して空気室の内容積を膨張後、収縮させると、発生源収容室で成分発生源から発生した気体状の放出成分が空気室に引き込まれる結果、放出成分が空気とともに放出口から放出される。このため、空気通路に液状の香り成分を供給する場合と比較して、放出した空気に含まれる気体状の放出成分の量を制御することができるので、気体状の放出成分を適正に含んだ空気を放出することができる。また、シャッター部材は、空気室内で成分供給口を開閉するため、放出成分の余分な放散や異種放出成分の混合を防ぐことができるとともに、成分放出装置の小型化を図ることができる。
【0008】
本発明において、前記放出口と前記可動部材とは、前記空気室を介して対向し、前記リ
ニアアクチュエータは、前記可動部材を前記放出口から離間する方向および前記放出口に接近する方向に駆動して前記空気室の内容積の膨張および収縮を行うことが好ましい。かかる構成によれば、可動部材が放出口に接近する方向に移動して空気室の内容積を収縮させるので、放出口から空気を勢いよく遠くまで放出することができる。
【0009】
本発明において、前記空気は、前記放出口から環状の渦輪として放出されることが好ましい。かかる構成によれば、狙った方向に空気を遠くまで放出することができる。
【0010】
本発明において、前記成分発生源は、固形状であることが好ましい。かかる構成によれば、成分発生源の取り扱いが容易である。
【0011】
本発明において、前記発生源収容室と前記空気室を区画する隔壁を備えたハウジング部材を有し、前記隔壁は、前記放出口と前記可動部材とを対向させる穴が形成された筒状隔壁部と、該筒状隔壁部から径方向外側に延在する板状隔壁部と、を備え、前記筒状隔壁部の径方向外側において前記板状隔壁部に対して前記放出口が位置する側に前記発生源収容室が設けられているとともに、前記筒状隔壁部に前記成分供給口が形成されており、前記シャッター部材は、前記シャッター部材駆動装置によって駆動されて前記筒状隔壁部の内周面に摺動しながら周方向に回転することにより、前記成分供給口を開閉することが好ましい。かかる構成によれば、ハウジング部材の内部に空気室、発生源収容室、およびシャッター部材を設けることができるので、放出成分の放散や異種放出成分の混合を防ぐことができるとともに、成分放出装置の小型化を図ることができる。
【0012】
本発明において、前記シャッター部材駆動装置は、前記板状隔壁部に支持されていることが好ましい。かかる構成によれば、シャッター部材駆動装置をハウジングの内部に設けることができるので、成分放出装置の小型化を図ることができる。
【0013】
本発明において、前記シャッター部材駆動装置は、前記空気室に配置されていることが好ましい。かかる構成によれば、シャッター部材駆動装置を設ける場所を別途設ける必要がないので、成分放出装置の小型化を図ることができる。
【0014】
本発明において、前記隔壁は、前記筒状隔壁部の径方向外側において前記筒状隔壁部の周りに前記発生源収容室を複数区画する仕切り用隔壁部を有するとともに、前記複数の発生源収容室の各々は、前記筒状隔壁部に形成された複数の前記成分供給口によって前記空気室に連通しており、前記シャッター部材は、前記シャッター部材駆動装置によって駆動されて前記複数の成分供給口を選択的に開閉することが好ましい。かかる構成によれば、複数種類の成分発生源を設けることができる。
【0015】
本発明において、前記放出口の内周面には、周方向に延在する周溝が形成されており、前記シャッター部材は、前記筒状隔壁部の内周面に沿って周方向に延在する筒部と、該筒部から前記放出口の内側まで突出して先端が前記周溝内に向けて突出した係合爪と、を有していることが好ましい。かかる構成によれば、簡素な構成でシャッター部材の軸線方向の位置を規定することができる。
【0016】
本発明において、前記シャッター部材と前記筒状隔壁部との間にはグリスまたはオイルからなる封止材が塗布されていることが好ましい。かかる構成によれば、放出成分の漏れを抑制することができる。
【0017】
本発明において、前記放出口は、前記ハウジング部材の前面で開口する穴からなり、前記放出口の外側の縁は、前記前面から突出していないことが好ましい。かかる構成によれば、穴の内周面の寸法が短いので、内周面での空気抵抗を低減することができる。
【0018】
本発明において、前記ハウジング部材は、前記放出口が設けられた前板部を備えたケース部材と、前記隔壁の少なくとも前記板状隔壁部を構成する隔壁部材と、を有していることが好ましい。
【0019】
本発明において、前記ケース部材と前記隔壁部材とが重なった封止部分の少なくとも一部では、前記ケース部材および前記隔壁部材の一方から突出した板状の凸部が、他方に形成された溝内に嵌っており、前記溝内にはグリスまたはオイルからなる封止材が塗布されていることが好ましい。かかる構成によれば、放出成分の漏れを抑制することができる。
【0020】
本発明において、前記可動部材は、外周端部が固定された振動板であって、前記リニアアクチュエータは、前記振動板の中央を前記放出口に接近する方向および前記放出口から離間する方向に駆動する構成を採用することができる。
【0021】
本発明において、前記可動部材および前記リニアアクチュエータは、スピーカーとして構成されていることが好ましい。かかる構成によれば、1台で音声の再生と成分の放出とを行うことができる。
【0022】
本発明において、前記放出成分は、例えば、香り成分である。また、前記放出成分は、消臭成分、水蒸気、眠気防止用の臭い成分、殺虫剤成分、動物の撃退成分等であってもよい。
【発明の効果】
【0023】
本発明では、シャッター部材が成分供給口を開状態としたときに、リニアアクチュエータが可動部材を駆動して空気室の内容積を膨張、収縮させると、発生源収容室で成分発生源から発生した気体状の放出成分が空気室に引き込まれる結果、放出成分が空気とともに放出口から放出される。このため、空気通路に液状の香り成分を供給する場合と比較して、放出した空気に含まれる気体状の放出成分の量を制御することができる。また、シャッター部材は、空気室内で成分供給口を開閉するため、放出成分の放散や異種放出成分の混合を防ぐことができるとともに、成分放出装置の小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の実施の形態1に係る成分放出装置を放出口の側からみた説明図である。
図2】本発明の実施の形態1に係る成分放出装置を放出口とは反対側からみた説明図である。
図3】本発明の実施の形態1に係る成分放出装置の断面構成を示す説明図である。
図4】本発明の実施の形態1に係る成分放出装置のハウジング部材等を放出口の側からみた説明図である。
図5】本発明の実施の形態1に係る成分放出装置のハウジング部材等を放出口とは反対側からみた説明図である。
図6】本発明の実施の形態2に係る成分放出装置を放出口の側からみた説明図である。
図7】本発明の実施の形態2に係る成分放出装置を放出口とは反対側からみた説明図である。
図8】本発明の実施の形態2に係る成分放出装置の隔壁部材等を放出口の側からみた説明図である。
図9】本発明の実施の形態2に係る成分放出装置の隔壁部材等を放出口とは反対側からみた説明図である。
図10】本発明を適用した成分放出装置に使用可能な成分発生源の説明図である。
図11】本発明を適用した成分放出装置1を搭載したアミューズメント機器の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照して、本発明の成分放出装置および成分放出方法を説明する。なお、以下の説明では、成分放出装置および成分放出方法として、香り成分を放出成分として放出する場合を中心に説明する。また、以下に説明する成分放出装置を配置する際、その向きが限定されているものではないが、以下の説明では、便宜上、放出口が向いている側(空気および香り成分が放出される側)を「前側」とし、放出口が向いている側とは反対側を「後側」として説明する。
【0026】
[実施の形態1]
(全体構成)
図1は、本発明の実施の形態1に係る成分放出装置を放出口の側からみた説明図であり、図1(a)、(b)、(c)は、成分放出装置の斜視図、ケース部材を取り外した状態の分解斜視図、およびさらにリニアアクチュエータ等を取り外した状態の分解斜視図である。図2は、本発明の実施の形態1に係る成分放出装置を放出口とは反対側からみた説明図であり、図2(a)、(b)、(c)は、成分放出装置の斜視図、リニアアクチュエータ等を取り外した状態の分解斜視図、およびさらにケース部材等を取り外した状態の分解斜視図である。図3は、本発明の実施の形態1に係る成分放出装置の断面構成を示す説明図であり、図3(a)、(b)、(c)は、成分放出装置の断面図、ケース部材を取り外した状態の断面図、および放出口を拡大して示す断面図である。
【0027】
図1図2および図3に示す成分放出装置1は、香り成分(放出成分)を含む空気を環状の渦輪Aとして放出する空気砲である。成分放出装置1は、ケース部材3および隔壁部材4からなるハウジング部材10を有しており、ケース部材3と隔壁部材4との間には、香り成分(放出成分)を発生させる成分発生源17が収容されている。本形態において、成分発生源17は、複数配置されており、かかる複数の成分発生源17は、後述する複数の発生源収容室19の各々に配置されている。
【0028】
成分発生源17は、香り成分を樹脂等と一緒に成形した固形状であり、発生源収容室19の内部で気体状の香り成分を発生させる。本形態において、成分発生源17は、複数配置されており、複数の成分発生源17は、形状やサイズが同一の板状である。なお、固形状の成分発生源17としては、多孔性部材に香り成分を充填したものを用いてもよいし、香り成分を有するセルロースであってもよい。
【0029】
成分放出装置1は、ハウジング部材10の後側に、環状のスペーサ12と、スペーサ12を介してハウジング部材10に外周部分がボルト14によって固定された可動部材5と、可動部材5の中央部分を前後方向に駆動するリニアアクチュエータ6とを順に有している。以下、可動部材5の中央部分を通って前後方向に延在する線を軸線Lとして説明する。なお、軸線L方向の前側にはL1を付し、軸線L方向の後側にはL2を付してある。
【0030】
ハウジング部材10において、ケース部材3は、中央に円形の放出口30が形成された前板部31と、前板部31の外縁から後側L2に突出した胴部32とを有している。本形態において、放出口30は、軸線L上で前板部31に形成された穴からなり、放出口30の前縁は、ハウジング部材10の前面(前板部31の前面)から前側L1に突出していない。なお、放出口30の内周面には、周方向に延在する周溝33(図3(c)参照)が全周にわたって形成されている。
【0031】
このように構成したケース部材3において、胴部32にスペーサ12を介して可動部材
5を固定すると、ケース部材3と可動部材5との間には、放出口30に連通する空気室15が構成され、可動部材5は、放出口30から離間する位置で空気室15の後側L2の壁面を構成する。従って、放出口30と可動部材5とは、空気室15を介して前後方向(リニアアクチュエータ6による駆動方向)で対向する。
【0032】
図3に示すように、可動部材5およびリニアアクチュエータ6はスピーカー50として構成されている。すなわち、可動部材5は、円錐面を有しており、円錐面は、スピーカー50のコーン51からなる。コーン51の後側にはダンパー56が構成されている。また、可動部材5の後端部には、リニアアクチュエータ6のボイスコイル61が設けられており、ボイスコイル61の周りにはリニアアクチュエータ6の磁石62が設けられている。つまり、リニアアクチュエータ6は、電磁式のリニアアクチュエータ6である。このため、ボイスコイル61に駆動電流を供給すると、可動部材5の中央部分は、前側L1および後側L2に駆動される。従って、可動部材5は、リニアアクチュエータ6によって前側L1(放出口30に接近する方向)に駆動されると、空気室15を収縮させ、後側L2(放出口30から離間する方向)に駆動されると、空気室15を膨張させる。なお、リニアアクチュエータ6は、ピエゾ素子からなるリニアアクチュエータであってもよい。
【0033】
(発生源収容室19等の構成)
図4は、本発明の実施の形態1に係る成分放出装置1のハウジング部材10等を放出口の側からみた説明図であり、図4(a)、(b)は、ケース部材3と隔壁部材4とを分離させた状態の分解斜視図、およびさらにシャッター部材等を分離させた状態の分解斜視図である。図5は、本発明の実施の形態1に係る成分放出装置1のハウジング部材10等を放出口とは反対側からみた説明図であり、図5(a)、(b)は、ケース部材3と隔壁部材4とを分離させた状態の分解斜視図、およびさらにシャッター部材等を分離させた状態の分解斜視図である。
【0034】
図4および図5において、ハウジング部材10は、隔壁11を有しており、かかる隔壁11によって、ハウジング部材10の内側には、空気室15と仕切られた発生源収容室19が区画されている。隔壁11は、放出口30と可動部材5とを対向させる穴110が形成された筒状隔壁部111と、筒状隔壁部111から径方向外側に延在する板状隔壁部112とを備えており、筒状隔壁部111の径方向外側において板状隔壁部112に対して放出口30が位置する前側L1に発生源収容室19が設けられている。
【0035】
筒状隔壁部111には、発生源収容室19と空気室15とを連通させる成分供給口118が形成されている。本形態において、筒状隔壁部111の径方向外側には周方向に複数の発生源収容室19が区画されている。このため、隔壁11は、周方向で隣り合う発生源収容室19同士を仕切る仕切り壁113を有しており、筒状隔壁部111には、周方向で離間する複数個所に、複数の発生源収容室19を各々、空気室15と連通させる複数の成分供給口118が形成されている。本形態において、筒状隔壁部111の径方向外側には周方向に4つの発生源収容室19が区画されているため、筒状隔壁部111には周方向の4個所に成分供給口118が形成されている。
【0036】
ここで、4つの発生源収容室19は、周方向で等角度間隔に形成されており、4つの発生源収容室19には、1つおきに、同一種類の香り成分を発生させる成分発生源17(図1参照)が配置されている。すなわち、4つの成分発生源17は、周方向において、第1香りを発生させる第1成分発生源17a、第1香りと異なる第2香りを発生させる第2成分発生源17b、第1香りを発生させる第1成分発生源17a、および第2香りを発生させる第2成分発生源17bが順に配置されている。
【0037】
本形態において、隔壁11は、ハウジング部材10を構成するケース部材3と隔壁部材
4とによって構成されている。より具体的には、図4に示すように、隔壁部材4は、中央に穴110が形成された板状隔壁部112を構成する底板部41と、底板部41の内縁から前側L1に突出して筒状隔壁部111の一部を構成する円環状凸部42と、底板部41の外縁から前側L1に突出した側板部43とを有しており、円環状凸部42の内側は、空気室15の一部を構成している。
【0038】
底板部41の前側L1の面には、円環状凸部42の周方向の4箇所から径方向外側に向けて突出した凸部44が形成されており、かかる凸部44には、成分供給口118の一部を構成する溝45が形成されている。また、底板部41の前側L1の面には、凸部44に対して周方向でずれた4箇所で円環状凸部42と側板部43とを直線的に繋いで仕切り壁113の一部を構成する板状の凸部46が形成されている。
【0039】
また、図5に示すように、ケース部材3の前板部31の後側L2の面には、隔壁部材4の側板部43に径方向内側で重なる側板部313が形成されており、側板部313に対して隔壁部材4がネジ(図示せず)によって固定されている。また、ケース部材3の前板部31の後側L2の面には、放出口30の内縁から後側L2に突出した内側円環状凸部312が形成されており、かかる内側円環状凸部312は、隔壁部材4の円環状凸部42と重なって円環状凸部42とともに筒状隔壁部111を構成している。ここで、ケース部材3の前板部31の後側L2の面には、内側円環状凸部312の周方向の4箇所から径方向外側に向けて突出した凸部314が形成されており、かかる凸部314には溝315が形成されている。かかる凸部314は、ケース部材3の前板部31の後側L2の面に隔壁部材4を固定した際、隔壁部材4の凸部44と重なる。その結果、溝315と凸部44の溝45とが重なって成分供給口118が構成される。
【0040】
また、ケース部材3の前板部31の後側L2の面には、凸部314に対して周方向でずれた4箇所で内側円環状凸部312と側板部313とを直線的に繋ぐ板状の凸部316が形成されており、かかる凸部316は、ケース部材3の前板部31の後側L2の面に隔壁部材4を固定した際、隔壁部材4の凸部46と重なって仕切り壁113を構成している。ここで、凸部316の後側L2の面には溝319が形成されており、隔壁部材4の板状の凸部46が嵌っている。このため、仕切り壁113(封止部分)では封止性能が高い。また、溝319の内部にはグリスまたはオイルからなる封止材G(図5(b)参照)が塗布されている。このため、仕切り壁113(封止部分)を介して、香り成分が漏れることを防止することができるので、異なる香り成分が混ざることを防止することができる。
【0041】
なお、ケース部材3の前板部31の後側L2の面には、周方向で隣り合う凸部316の間には、図1等に示す成分発生源17を支持する凸部317が2つずつ形成されている。
【0042】
(シャッター部材8およびシャッター部材駆動装置9の構成)
本形態の成分放出装置1では、成分供給口118を開閉するためのシャッター部材8と、シャッター部材8を駆動して成分供給口118を開閉するシャッター部材駆動装置9とが設けられている。本形態において、シャッター部材8は、筒状隔壁部111の内側で周方向に延在する円筒状の筒部81と、筒部81の後側L2の端部で拡径する略円形のフランジ部82とを有しており、フランジ部82は、隔壁部材4の底板部41の後側L2の面に重なっている。このため、シャッター部材8は、前側L1の移動が阻止されている。また、筒部81の外径は、筒状隔壁部111の内径と略等しく、シャッター部材8は、筒部81が筒状隔壁部111の内面に摺動することによって軸線L周りに回転可能である。かかるシャッター部材8では、筒部81の内側は、空気室15の一部になっており、空気室15において放出口30から空気が放出される際の空気通路となる。
【0043】
シャッター部材8の筒部81には、成分供給口118を開状態とする切り欠き83が形
成されている。ここで、成分供給口118は、周方向の4箇所に形成されており、シャッター部材8は、4つの成分供給口118を選択的に開閉する。但し、4つの発生源収容室19には、周方向において、第1成分発生源17a、第2成分発生源17b、第1成分発生源17a、および第2成分発生源17bが順に配置されていることから、シャッター部材8は、同一の成分発生源に対応する2つの成分供給口118を同時に開閉する。このため、シャッター部材8において、切り欠き83は、周方向において等角度間隔の2個所に形成されている。ここで、切り欠き83の周方向の中央部分には、フランジ部82から放出口30の内側まで突出して先端が周溝33内に向けて突出した係合爪84が形成されている。このため、シャッター部材8は、簡素な構成で後側L2の移動が阻止されている。また、筒部81には、2つのスリットによって挟まれた個所にも、フランジ部82から放出口30の内側まで突出して先端が周溝33内に向けて突出した係合爪84が形成されている。
【0044】
なお、フランジ部82には、周方向に延在する切り欠き825が約90°の角度範囲にわたって形成され、かかる切り欠き825の内側には、隔壁部材4の底板部41から後側L2に突出したストッパ用凸部415が嵌っている。このため、シャッター部材8が回転可能な角度範囲は約90°である。
【0045】
このように構成したシャッター部材8に対しては、必要に応じて、筒状隔壁部111との間にグリスまたはオイルからなる封止材(図示せず)を塗布し、香り成分の漏れを抑制する。
【0046】
シャッター部材駆動装置9は、隔壁部材4の底板部41(板状隔壁部112)の後側L2に設けられている。本形態において、シャッター部材駆動装置9は、隔壁部材4の凸部411に固定されたモータ91と、モータピニオン911に噛合する大径歯車921を備えた減速歯車92とを有しており、減速歯車92の小径歯車922は、シャッター部材8のフランジ部82の外周面に形成された歯車820と噛合している。減速歯車92は、隔壁部材4の底板部41の後側L2の面に形成された支軸412に回転可能に支持されている。本形態において、モータ91は、ステッピングモータからなる。
【0047】
(動作)
このように構成した成分放出装置1において、まず、待機状態では、4つの成分供給口118はいずれもシャッター部材8によって閉状態にある。また、4つの発生源収容室19の内部では、成分発生源17を収容しても隙間が空いているので、発生源収容室19の内部では、成分発生源17から香り成分が発生している。
【0048】
次に、第1香り成分を放出する際には、シャッター部材8を駆動して、第1成分発生源17aが収容されている発生源収容室19と空気室15とを連通させる成分供給口118を開状態とする。この状態で、第2成分発生源17bが収容されている発生源収容室19と空気室15とを連通させる成分供給口118は閉状態にある。
【0049】
次に、リニアアクチュエータ6は、可動部材5の中央部分を後側L2に駆動する。その結果、空気室15の内容積が膨張するので、第1成分発生源17aが収容されている発生源収容室19から第1香り成分が空気室15に引き込まれる。
【0050】
次に、リニアアクチュエータ6は、可動部材5の中央部分を前側L1に駆動する。その結果、空気室15の内容積が収縮するので、空気室15の空気は、第1香り成分とともに、筒状隔壁部111の内側(シャッター部材8の筒部81の内側)を通って放出口30から放出される。また、成分供給口118の内側を通過する気流によって、第1成分発生源17aが収容されている発生源収容室19から第1香り成分が引き込まれ、空気とともに
放出口30から放出される。
【0051】
その際、空気流は軸線Lに沿って流れる。その際、空気流は、径方向外側では筒状隔壁部111の内側(シャッター部材8の筒部81の内側)や放出口30との間の抵抗を受けて流速が低いのに対して、径方向内側では流速が高い。しかも、放出口30の前縁は、ハウジング部材10の前面(前板部31の前面)から前側L1に突出しておらず、放出口30の内周面は、軸線L方向の寸法が短いため、空気流と放出口30との間の抵抗が小さい。このため、放出された空気は、図1に矢印A1で示す渦を形成しながら放出される結果、空気は、環状の渦輪Aとして放出される。このため、指向性をもって遠くまで到達する。
【0052】
次に、第2香り成分を放出するには、シャッター部材8を駆動して、第2成分発生源17bが収容されている発生源収容室19と空気室15とを連通させる成分供給口118を開状態とする。この状態で、第1成分発生源17aが収容されている発生源収容室19と空気室15とを連通させる成分供給口118を閉状態とする。
【0053】
次に、リニアアクチュエータ6は、可動部材5の中央部分を後側L2に駆動した後、可動部材5の中央部分を前側L1に駆動する。その結果、空気室15の内容積が膨張した後に収縮するので、空気室15の空気は、第2香り成分とともに、筒状隔壁部111の内側(シャッター部材8の筒部81の内側)を通って放出口30から放出される。また、成分供給口118の内側を通過する気流によって、第2成分発生源17bが収容されている発生源収容室19から第2香り成分が引き込まれ、空気とともに放出口30から放出される。かかる成分供給口118の開閉を行うにあたって、本形態では、モータ91としてステッピングモータが用いられている。このため、切り欠き825の端部がストッパ用凸部415に当接した状態を原点位置とし、モータ91に対する駆動パルスのステップ数によってシャッター部材8の駆動を制御することができる。従って、センサ等を用いなくても、成分供給口118の開閉を正確に行うことができるので、成分放出装置1のコストを低く抑えることができる。
【0054】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態の成分放出装置1では、シャッター部材8が成分供給口118を開状態としたときに、リニアアクチュエータ6が可動部材5を駆動して空気室15の内容積を膨張させた後に収縮させると、発生源収容室19で成分発生源17から発生した気体状の香り成分(放出成分)が空気とともに放出口30から放出される。このため、空気通路に液状の香り成分を供給する場合と比較して、放出した空気に含まれる気体状の香り成分の量を制御することができる。また、シャッター部材8は、空気室15内で成分供給口118を開閉するため、放出成分の放散や異種放出成分の混合を防ぐことができるとともに、成分放出装置1の小型化を図ることができる。
【0055】
また、放出口30と可動部材5とは、空気室15を介して対向し、リニアアクチュエータ6は、可動部材5を放出口30から離間する方向および放出口30に接近する方向に駆動して空気室15の内容積の膨張および収縮を行う。このため、放出口30から空気を勢いよく放出することができる。また、空気は、放出口30から環状の渦輪Aとして放出される。このため、狙った方向に空気を遠くまで放出することができる。
【0056】
また、ハウジング部材10の隔壁11によって発生源収容室19と空気室15を区画している。また、隔壁11は、放出口30と可動部材5とを対向させる穴110が形成された筒状隔壁部111と、筒状隔壁部111から径方向外側に延在する板状隔壁部112とを備え、筒状隔壁部111の径方向外側において板状隔壁部112に対して放出口30が位置する側に発生源収容室19が設けられている。このため、ハウジング部材10の内部
に空気室15、発生源収容室19、およびシャッター部材8を設けることができるので、成分放出装置1の放出成分の放散や異種放出成分の混合を防ぐことができるとともに、小型化を図ることができる。また、隔壁11は複数の発生源収容室19を形成しているため、複数種類の成分発生源17を設けることができる。
【0057】
また、シャッター部材駆動装置9は、板状隔壁部112(隔壁部材4)に支持されているため、シャッター部材駆動装置9をハウジング部材10の内部に設けることができる。従って、成分放出装置1の小型化を図ることいるができる。また、シャッター部材駆動装置9は、空気室15に配置されているため、シャッター部材駆動装置9を設ける場所を別途設ける必要がないので、成分放出装置1の小型化を図ることができる。
【0058】
また、成分発生源17は、固形状であるため、成分発生源17の取り扱いが容易である。また、一般的に固形状の成分発生源17は、液体状の成分発生源と比較して、香りの持続時間が長いため、成分発生源17の交換の手間を抑えられるとともに、コストも低く抑えることができる。また、ケース部材3と隔壁部材4とが重なった封止部分のうち、仕切り壁113を構成する部分では、隔壁部材4から突出した凸部46が、ケース部材3の凸部316に形成された溝319に嵌っている。また、溝319内にはグリスまたはオイルからなる封止材Gが塗布されている。従って、香り成分(放出成分)の漏れや、異なる種類の香り成分同士が混ざることを抑制することができる。
【0059】
また、可動部材5は、外周端部が固定された振動板であって、リニアアクチュエータ6は、可動部材5(振動板)の中央を放出口30に接近する方向および放出口30から離間する方向に駆動する。このため、可動部材5およびリニアアクチュエータ6によってスピーカーを構成することができる。従って、1台の成分放出装置1によって音声の再生と成分の放出とを行うことができる。
【0060】
[実施の形態2]
図6は、本発明の実施の形態2に係る成分放出装置1を放出口30の側からみた説明図であり、図6(a)、(b)は、成分放出装置1の斜視図および分解斜視図である。図7は、本発明の実施の形態2に係る成分放出装置を放出口とは反対側からみた説明図であり、図7(a)、(b)は、成分放出装置1の斜視図および分解斜視図である。図8は、本発明の実施の形態2に係る成分放出装置1の隔壁部材4等を放出口30の側からみた説明図であり、図8(a)、(b)は、隔壁部材4等の斜視図および分解斜視図である。図9は、本発明の実施の形態2に係る成分放出装置1の隔壁部材4等を放出口30とは反対側からみた説明図であり、図9(a)、(b)は、隔壁部材4等の斜視図および分解斜視図である。
【0061】
なお、本形態の成分放出装置1の基本的な構成は、実施の形態1と同様であるため、共通する部分には同一の符号を付してそれらの詳細な説明を省略する。
【0062】
図6および図7に示す成分放出装置1も、実施の形態1と同様、香り成分を含む空気を環状の渦輪として放出する装置(空気砲)である。成分放出装置1は、ケース部材3および隔壁部材4からなるハウジング部材10を有しており、ケース部材3と隔壁部材4との間には、香り成分(放出成分)を発生させる成分発生源17が収容されている。本形態において、成分発生源17は、複数配置されており、かかる複数の成分発生源17は、複数の発生源収容室19の各々に配置されている。本形態でも、実施の形態1と同様、成分発生源17は、香り成分を樹脂等と一緒に成形した固形状であり、発生源収容室19の内部で気体状の香り成分を発生させる。本形態において、成分発生源17は、3つ配置されており、3つの成分発生源17は、形状やサイズが同一の矩形の板状である。なお、固形状の成分発生源17としては、多孔性部材に香り成分を充填したものを用いてもよい。
【0063】
成分放出装置1は、ハウジング部材10の後側に、ハウジング部材10に外周部分がボルト14によって固定された可動部材5と、可動部材5の中央部分を前後側向に駆動するリニアアクチュエータ6とを順に有している。可動部材5およびリニアアクチュエータ6はスピーカー50として構成されている。
【0064】
ハウジング部材10において、ケース部材3は、中央に円形の放出口30が形成された前板部31と、前板部31の外縁から後側L2に突出した胴部32とを有している。本形態において、放出口30は、前板部31に形成された穴からなり、放出口30の前縁は、ハウジング部材10の前面(前板部31の前面)から前側L1に突出していない。
【0065】
このように構成したケース部材3に対して、隔壁部材4および可動部材5を固定すると、ケース部材3と可動部材5との間には、放出口30に連通する空気室15が構成され、可動部材5は、放出口30から離間する位置で空気室15の後側L2の壁面を構成する。本形態において、放出口30と可動部材5とは空気室15を介して前後方向(リニアアクチュエータ6による駆動方向)で対向している。
【0066】
ハウジング部材10は、隔壁11を有しており、かかる隔壁11によって、ハウジング部材10の内側には、空気室15と仕切られた3つの発生源収容室19が区画されている。ここで、隔壁11は、放出口30と可動部材5とを対向させる穴110が形成された筒状隔壁部111と、筒状隔壁部111から径方向外側に延在する板状隔壁部112とを備えており、筒状隔壁部111の径方向外側において板状隔壁部112に対して放出口30が位置する前側L1に発生源収容室19が設けられている。
【0067】
また、筒状隔壁部111には、発生源収容室19と空気室15とを連通させる成分供給口118が形成されている。本形態において、筒状隔壁部111の径方向外側には周方向に複数の発生源収容室19が区画されている。このため、隔壁11は、周方向で隣り合う発生源収容室19同士を仕切る仕切り壁113を有している。また、筒状隔壁部111には周方向で離間する複数個所に、複数の発生源収容室19を各々、空気室15と連通させる複数の成分供給口118が形成されている。本形態において、筒状隔壁部111の径方向外側には周方向に3つの発生源収容室19が区画されているため、筒状隔壁部111には周方向の3個所に成分供給口118が形成されている。
【0068】
ここで、ハウジング部材10では、周方向において等角度間隔に4つの区間に仕切られており、かかる4つの区間のうち、3つの空間が発生源収容室19として用いられている。また、残り1つの空間には、後述するシャッター部材駆動装置9が配置されている。3つの発生源収容室19には、互いに異なる種類の香り成分を発生させる成分発生源17(図7参照)が配置されている。
【0069】
本形態において、隔壁11は、ハウジング部材10を構成するケース部材3と、ケース部材3にネジ(図示せず)によって固定された隔壁部材4とによって構成されている。より具体的には、図8に示すように、隔壁部材4は、中央に穴110が形成された板状隔壁部112を構成する底板部41と、底板部41の内縁から前側L1に突出して筒状隔壁部111の一部を構成する円環状凸部42と、底板部41の外縁から前側L1に突出した側板部43とを有している。また、円環状凸部42の前側L1の端部には、切り欠き状の成分供給口118が3個所に形成されている。また、底板部41の前側L1の面には、円環状凸部42と側板部43とを直線的に繋いで仕切り壁113の一部を構成するリブ状の凸部46が4箇所に形成されている。かかる凸部46の前側L1の面には溝468が形成されている。
【0070】
また、図7に示すように、ケース部材3の前板部31の後側L2の面には、放出口30の内縁から後側L2に突出した内側円環状凸部312が形成されており、かかる内側円環状凸部312は、隔壁部材4の円環状凸部42と重なって円環状凸部42とともに筒状隔壁部111を構成している。また、ケース部材3の前板部31の後側L2の面には、4箇所で内側円環状凸部312と胴部32とを直線的に繋ぐリブ状の凸部316が形成されており、かかる凸部316は、ケース部材3の前板部31の後側L2の面に隔壁部材4を固定した際、隔壁部材4の凸部46と重なって仕切り壁113を構成している。ここで、凸部316には、後側L2に向けて突出した板状の凸部318が形成されており、隔壁部材4の凸部46の溝468に嵌っている。このため、仕切り壁113(封止部分)では封止性能が高い。また、溝468の内部にはグリスまたはオイルからなる封止材G(図8(b)参照)が塗布されている。このため、仕切り壁113(封止部分)を介して、香り成分が漏れることを防止することができるので、異なる香り成分が混ざることを防止することができる。
【0071】
図8および図9に示すように、本形態の成分放出装置1では、成分供給口118を開閉するためのシャッター部材8と、シャッター部材8を駆動して成分供給口118を開閉するシャッター部材駆動装置9とが設けられている。本形態において、シャッター部材8は、筒状隔壁部111の内側に位置する円筒状の筒部81と、筒部81の前側L1の端部で拡径する略円形のフランジ部86とを有しており、筒部81の前側L1の端部は、放出口30の内側に位置する。従って、シャッター部材8において、筒部81の内側は、空気室15の一部になっており、空気室15において放出口30から空気が放出される際の空気通路となる。また、筒部81の前側L1の開口80は、空気が放出される実質的な放出口となる。
【0072】
ここで、フランジ部86は、ケース部材3の放出口30に形成された環状の段部38の前側L1の面に重なっている。このため、シャッター部材8は、後側L2の移動が阻止されている。また、筒部81の外径は、筒状隔壁部111の内径と略等しく、シャッター部材8は、筒部81が筒状隔壁部111の内面に摺動することによって軸線L周りに回転可能である。
【0073】
シャッター部材8の筒部81には、成分供給口118を開状態とする切り欠き83が1個所に形成されている。また、筒部81の後側L2の端部には径方向外側に突出した凸部815が周方向の2個所に形成されており、かかる凸部815は、隔壁部材4の穴110に形成された環状の段部49に後側L2から係合している。このため、シャッター部材8は、簡素な構成で前側L1の移動が阻止されている。
【0074】
なお、フランジ部86には、径方向外側に突出したストッパ用凸部865が形成されている一方、放出口30の段部38の周方向外側には、ストッパ用凸部865が位置する切り欠き385が形成されている。但し、切り欠き385は、約170°の角度範囲に形成されている。このため、シャッター部材8が回転可能な角度範囲は約170°である。
【0075】
このように構成したシャッター部材8に対しては、必要に応じて、筒状隔壁部111との間にグリスまたはオイルからなる封止材(図示せず)が塗布される。このため、香り成分の漏れを抑制することができる。
【0076】
シャッター部材駆動装置9は、隔壁部材4の底板部41の前側L2に設けられている。本形態において、シャッター部材駆動装置9は、隔壁部材4の角に固定されたモータ91と、モータピニオン911に噛合する大径歯車961を備えた減速歯車96と、減速歯車96の小径歯車962に噛合する歯車97と、歯車97に噛合する歯車98とを有しており、歯車98は、シャッター部材8のフランジ部86の外周面に形成された歯車860と
噛合している。減速歯車96、歯車97および歯車98は各々、隔壁部材4の底板部41の前側L1の面に形成された支軸416、417、418に回転可能に支持されている。
【0077】
このように構成した成分放出装置1でも、実施の形態1と同様、シャッター部材8が成分供給口118を開状態としたときに、リニアアクチュエータ6が可動部材5を駆動して空気室15の内容積を膨張させた後に収縮させると、発生源収容室19で成分発生源17から発生した気体状の香り成分(放出成分)が空気とともに放出口30から放出される。このため、空気通路に液状の香り成分を供給する場合と比較して、放出した空気に含まれる気体状の香り成分の量を制御することができる。また、シャッター部材8は、空気室15内で成分供給口118を開閉するため、成分放出装置1の小型化を図ることができる。その際、空気は、放出口30から環状の渦輪として放出される。このため、狙った方向に空気を遠くまで放出することができる等、実施の形態1と同様な効果を奏する。
【0078】
[成分発生源17の構成例]
図10は、本発明を適用した成分放出装置1に使用可能な成分発生源17の説明図である。本発明を適用した成分放出装置1に用いる成分発生源17については、成分発生源17を直接、発生源収容室19に配置してもよいが、図10に示すように、アルミニウム等からなる受皿170に成分発生源17を収容した状態で発生源収容室19に配置してもよい。例えば、香り成分と樹脂との混合物を加熱して流動物とした後、流動物を受皿170に流し込んで冷却して成分発生源17を製造する場合、成分発生源17を受皿170から外さずに、受皿170に成分発生源17を収容した状態のまま発生源収容室19に配置してもよい。かかる構成によれば、手に香りが付きにくい等、成分発生源17の取り扱いが容易である。
【0079】
[アミューズメント機器]
図11は、本発明を適用した成分放出装置1を搭載したアミューズメント機器の説明図である。本発明を適用した成分放出装置1は、例えば、図11に示すパチンコ遊技機等のアミューズメント機器100に1台あるいは複数台を搭載することができる。本発明におけるアミューズメント機器とは、パチンコ遊技機、アレンジボール遊技機、雀球遊技機、回胴式遊技機等の遊技場に設置される遊技機の他、アーケードゲームと呼ばれるゲームセンターや遊園地などのアミューズメントスポットに設置される業務用の遊技機を含む意味である。かかる構成によれば、遊技中に発生したイベントの内容や遊技者の指示によって、香りを遊技者に向けて放出することができる。このことによって、遊技者には、視覚や聴覚だけでなく、香りによる嗅覚や、渦輪による風圧による多彩な感覚を与えることができる。よって、遊技者は、さらに特別感や幸福感、驚きを得ながら遊技を楽しむことができる。その場合でも、成分放出装置1から出射される空気は指向性を有するため、隣の遊技者に空気が吹き付けられることを防止することができる。その際、渦輪を単発で発生させることもできるとともに、連発で発生させることもできる。さらに、渦輪の量を制御することで香りの量も制御できる。
【0080】
また、本形態では、成分放出装置1に用いた可動部材5およびリニアアクチュエータ6はスピーカーとして構成されているため、アミューズメント機器100において、成分放出装置1から音声および空気を放出することができる。その際、成分放出装置1から音声の放出を休止するタイミングで空気を放出してもよいし、成分放出装置1から音声と空気を同時に放出してもよい。
【0081】
[放出成分の他の構成例]
上記実施の形態では、放出成分が香り成分であったが、消臭成分、水蒸気、眠気防止用の臭い成分、殺虫剤成分、動物の撃退成分等を放出成分として用いてもよい。
【0082】
上記実施の形態では、成分発生源17が固形状であったが、液状であってもよい。また、成分発生源17が液状である場合、放出成分をパック詰めやボトル詰めにして、発生源収容室19に収容してもよい。
【0083】
上記実施の形態では、発生源収容室19がハウジング部材10の内側に設けられていたが、発生源収容室19がハウジング部材10の外側に設けられていてもよい。
【0084】
また、成分放出装置1に揺動装置を設け、成分放出装置1を揺動させて成分放出装置1の向きを変えることにより、成分放出装置1からの空気の放出方向を切り換えてもよい。
【符号の説明】
【0085】
1・・成分放出装置、3・・ケース部材、4・・隔壁部材、5・・可動部材、6・・リニアアクチュエータ、8・・シャッター部材、9・・シャッター部材駆動装置、10・・ハウジング部材、11・・隔壁、15・・空気室、17・・成分発生源、17a・・第1成分発生源、17b・・第2成分発生源、19・・発生源収容室、30・・放出口、31・・前板部、33・・周溝、41・・底板部、50・・スピーカー、61・・ボイスコイル、62・・磁石、81・・筒部、82、86・・フランジ部、84・・係合爪、91・・モータ、92、96・・減速歯車、100・・アミューズメント機器、110・・穴、111・・筒状隔壁部、112・・板状隔壁部、113・・仕切り壁、118・・成分供給口
図1
図2
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図4
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図6
図7
図8
図9
図10
図11