(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6494985
(24)【登録日】2019年3月15日
(45)【発行日】2019年4月3日
(54)【発明の名称】バイオプラスチックの製造方法及びバイオプラスチック成形体
(51)【国際特許分類】
C08H 1/06 20060101AFI20190325BHJP
B29C 43/00 20060101ALI20190325BHJP
C08J 5/00 20060101ALI20190325BHJP
C08L 101/16 20060101ALN20190325BHJP
【FI】
C08H1/06
B29C43/00
C08J5/00
!C08L101/16ZBP
【請求項の数】5
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-242910(P2014-242910)
(22)【出願日】2014年12月1日
(65)【公開番号】特開2016-104827(P2016-104827A)
(43)【公開日】2016年6月9日
【審査請求日】2017年11月30日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 (発行日) 平成26年6月5日 (刊行物) 機能材料,2014年6月号,Vol.34,No.6,第40〜48ページ,シーエムシー出版 (発行日) 平成26年10月10日 (刊行物) プラスチックス,2014年10月号,第1〜11ページ,日本工業出版 (開催日) 平成26年9月15日〜平成26年9月19日 (集会名、開催場所) 平成26年度資源・素材関係学協会合同秋季大会 資源・素材2014(熊本),国立大学法人熊本大学工学部2号館,及び工学部百周年記念館(熊本県熊本市中央区黒髪2丁目39番1号) (発行日) 平成26年9月15日 (刊行物) 平成26年度資源・素材関係学協会合同秋季大会 資源・素材2014(熊本)大会プログラム・要旨集,第97ページ,資源・素材2014(熊本)実行委員会 (ウエブサイトの掲載日) 平成26年9月15日 (ウエブサイトのアドレス) https://confit.atlas.jp/guide/event/mmij2014b/top (展示日) 平成26年9月11日〜平成26年9月12日 (展示会名、開催場所) イノベーション・ジャパン2014,東京ビッグサイト(東京国際展示場)(東京都江東区有明3−11−1) (展示日) 平成26年11月6日〜平成26年11月7日 (展示会名、開催場所) 第28回ビジネスEXPO2014,アクセスサッポロ(北海道札幌市白石区流通センター4−3−55)
(73)【特許権者】
【識別番号】504193837
【氏名又は名称】国立大学法人室蘭工業大学
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】特許業務法人梶・須原特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】平井 伸治
(72)【発明者】
【氏名】田川 純一
(72)【発明者】
【氏名】秋岡 翔太
(72)【発明者】
【氏名】横山 裕一
【審査官】
内田 靖恵
(56)【参考文献】
【文献】
特開平08−245807(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08H 1/06
C08L 101/16
C08J 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケラチンを主成分とする羊毛をその繊維長が繊維径相当の53μmになるまで粉砕して粉末にする粒度調整工程と、
繊維長が繊維径相当のものを含む前記粉末に水を添加して混合する混合工程と、
前記粉末と水の混合物に熱圧成形を施す成形工程とを備えているバイオプラスチックの製造方法。
【請求項2】
前記混合工程において、前記熱圧成形の事前処理として、前記混合物を密閉した容器に収容すると共に加熱することで、前記密閉した容器内で水を蒸発させて前記粉末に混合させることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記粒度調整工程において、前記羊毛をさらに粉砕して繊維長が32μm以下のものとすることを特徴とする請求項1又は2に記載の製造方法。
【請求項4】
32〜53μmの繊維長を有する羊毛粉末の熱圧成形体であって、熱膨張率が29×10-6/K以下であることを特徴とするバイオプラスチック成形体。
【請求項5】
32μm以下の繊維長を有する羊毛粉末の熱圧成形体であって、熱膨張率が17×10-6/K以下であることを特徴とするバイオプラスチック成形体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バイオプラスチックを製造する方法及び当該方法によって製造されたバイオプラスチック成形体に関する。
【背景技術】
【0002】
高分子樹脂材料は、加工が容易である等の利点から、多くの製品に用いられている材料である。近年では、環境保護の観点から、いわゆるバイオプラスチックに代表されるような、有機物を原料とした再生可能な、又は生分解性を持つ高分子樹脂材料が注目されている。
【0003】
特許文献1及び2は、フィブロインのような絹タンパク質を熱圧成形した熱伝導体及び誘導体を製造する方法に関する。絹タンパク質を熱圧成形することで、生分解性を持つ高分子樹脂材料が作製可能となる。特許文献1は、その中でも熱伝導性に優れたものを製造することを目的とし、特許文献2は、その中でも誘電特性に優れたものを製造することを目的としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4783956号
【特許文献2】特許第5084027号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
高分子樹脂材料は、通常、熱膨張率が金属等と比べて大きい。半導体デバイスや精密機器の分野では、材料の熱膨張が製造品質や機器の機能に大きく影響を与えることがある。このため、例えば加工機器、半導体製造装置、光学機器、計測機器、電子デバイス等、多くの産業分野において、熱膨張率の低い樹脂材料が要請されている。他方で、環境適応性の向上のため、これらの機器にバイオプラスチックを用いる要望も強い。
【0006】
そこで、本発明の目的は、熱膨張率が比較的小さいバイオプラスチックの製造方法及び当該方法によって製造されたバイオプラスチック成形体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る製造方法は、バイオプラスチックの製造方法であって、ケラチンを主成分とする
羊毛をその繊維長が繊維径相当
の53μmになるまで粉砕して粉末にする粒度調整工程と、繊維長が繊維径相当のものを含む前記粉末に水を添加して混合する混合工程と、前記粉末と水の混合物に熱圧成形を施す成形工程とを備えている。また、本発明に係るバイオプラスチック成形体は、本発明の製造方法に基づいて成形されている。
【0008】
本発明に係るバイオプラスチックの製造方法は、ケラチンを主成分とする毛を繊維長が繊維径相当になるまで粉砕した粉末を用い、水を混合して熱圧成形することでバイオプラスチックを得るものとした。
【0009】
繊維長が比較的大きいと、粉末を構成する構成物が繊維状を呈する。このような場合、バイオプラスチック成形体内の微視的構造においても繊維状の構成物が残るため、構成物の集合体に方向性が生じたり、構成物同士の間に空隙が生じたりすることで、成形体が均質にならないおそれがある。
【0010】
これに対し、本発明では、ケラチンを主成分とする毛を繊維長が繊維径相当になるまで粉砕することで、粉末の構成物が粒子状となる。このため、バイオプラスチック成形体が均質になりやすい。これによって、バイオプラスチック成形体の物理的特性が向上し、熱膨張率が小さくなる。
【0011】
また、本発明においては、前記混合工程において、
前記熱圧成形の事前処理として、前記混合物を
密閉した容器に収容すると共に加熱することで、前記
密閉した容器内で水を蒸発させて前記粉末に混合させてもよい。これによると、蒸発した水が粉末と均一になじみやすくなる。よって、水が粉末中に偏在してしまうことでバイオプラスチック成形体が不均質になるのを抑制することができる。
【0012】
なお、本発明において「繊維長がXμm以下のもの」とは、例えば篩を用いた場合に、目開きがXμmの篩を用いて篩い、篩下として回収したものに対応する。同様に、本発明において「繊維長がXμm以上のもの」とは、例えば篩を用いた場合に、目開きがXμmの篩を用いて篩い、篩上として回収したものに対応する。
【0013】
また、本発明においては、
前記粒度調整工程において、前記
羊毛を
さらに粉砕して繊維長が32μm以下のものとしてもよい。また、繊維長32μm以下のものを分別してもよい。これによると、繊維長が繊維径相当である羊毛粉末を原料とすることで、均質なバイオプラスチック成形体を得られた。バイオプラスチック成形体が均質になることによって、熱膨張率が小さくなり、曲げ強度も大きくなった。
また、本発明の別の観点に係るバイオプラスチック成形体は、32〜53μmの繊維長を有する羊毛粉末の熱圧成形体であって、熱膨張率が29×10-6/K以下である。また、本発明のさらに別の観点に係るバイオプラスチック成形体は、32μm以下の繊維長を有する羊毛粉末の熱圧成形体であって、熱膨張率が17×10-6/K以下である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、バイオプラスチック成形体の製造方法に関するフロー図である。
【
図2】
図2(a)は粉砕前の羊毛のSEM写真であり、
図2(b)は粉砕後の羊毛粉末のSEM写真である。
【
図3】
図3は、熱圧成形を施す成形工程で使用するパルス通電焼結装置の図である。
【
図4】
図4は、バイオプラスチック成形体のSEM写真である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明の一実施形態に係るバイオプラスチックの製造方法について
図1を参照しつつ説明する。
【0016】
まず、粒度調整工程S1において以下のように原材料となる毛を粉砕する。本実施形態においては、ケラチンを主成分とする毛を用いる。ケラチンを主成分とする毛としては、羊毛、羽毛、毛髪等が対象となる。羊毛等の原毛を洗濯後、乾燥させて裁断する。その後、裁断した毛をボールミル、ジェットミル等の粉砕方法で、繊維長が繊維径相当の粉末が生じるまで粉砕する。毛を粉砕する際、凍結粉砕を用いてもよい。また、蒸煮後の毛を粉砕してもよい。凍結や蒸煮は、毛をもろくして粉砕しやすくするために行う。繊維径相当とは、繊維径から繊維径の1.5倍程度までの大きさを含む。例えば、毛が羊毛である場合には、繊維長が53μm以下の粉末が生じるまで毛を粉砕する。好ましくは、繊維長が32μm以下の粉末が生じるまで毛を粉砕する。例えば、ボールミルで粉砕する場合には、粉砕対象等により、ボールのサイズ、ボールの素材、粉砕時間、回転数、放置時間(粉砕を一時止めて冷やす時間)等は、適宜調整されることが望ましい。粉砕は複数回に分けて行われてもよい。例えば、粉砕後、篩上に残った粉末を再度粉砕してもよい。
図2(a)は粉砕前の羊毛のSEM(Scanning Electron Microscope、走査型電子顕微鏡)写真であり、
図2(b)は粉砕後の羊毛粉末のSEM写真である。
【0017】
粉砕後、毛の粉末を篩にかける。篩は、目開きが53μmのものと目開きが32μmのもののいずれかを用いる。これにより、繊維長が53μm以下の粉末、又は繊維長が32μm以下の粉末を得ることができる。また、上記の篩を組み合わせて用いてもよい。例えば、53μmの篩を用いた後、篩を通った粉末にさらに32μmの篩を用いると、繊維長が32〜53μmの粉末を得ることができる。粉砕条件の最適化を勘案することが重要であり、例えば、過粉砕とならないよう適宜篩にかけ、篩上のみさらに粉砕する。これによりコストが過剰になるのを抑制することができる。なお、目開きの大きさが32μm未満の篩を用いてもよい。この場合、繊維長の上限や下限が32μm未満に調整された粉末を得ることができる。以上のように、篩によって粒度を調整してもよいし、篩を用いずに粒度を調整してもよい。例えば、目的の粒度になるまで毛を粉砕し、粉砕後の毛を篩にかけず、そのまま次の工程で用いてもよい。
【0018】
次に、混合工程S2において、水とS1の工程で取得した毛の粉末を混合させる。まず、毛の粉末と、混合物100質量%に対し10〜40質量%の水を乳鉢等に入れて混合させる。その後、水と毛の粉末の混合物を容器に入れて加熱し、常温より高い温度で一定時間保温する。これにより、容器内で水を蒸発させ、毛の粉末に水をなじませる。水の添加量、温度、時間は適宜調整されることが望ましい。また、容器は密閉できるものを用いると共に、水と粉末を入れた後、容器を密閉した状態で加熱することが好ましい。以上のように水と毛の粉末をなじませると、毛の粉末中に水が均一にいきわたる。毛の粉末中の水に偏りがあると最終的に取得したバイオプラスチック成形体が均質にならないおそれがある。これに対し、上記のとおり、密閉容器内で水を蒸発させ、粉末になじませることで、最終的に得たバイオプラスチック成形体が均質になりやすい。
【0019】
次に、成形工程S3において、S2の工程で取得した混合物からバイオプラスチック成形体を作製する。例えば、
図3に示すような、パルス通電焼結装置1を用いる。パルス通電焼結装置1は、電極10及び20、電源30、真空チャンバー40及び円筒状のダイ50を備えている。電極10の下端には、真空チャンバー40内で下方へと突出する黒鉛性のパンチ12が固定されている。パンチ12は上方からダイ50に挿入されている。電極20の上端には、真空チャンバー40内で上方へと突出する黒鉛性のパンチ22が固定されている。パンチ22は下方からダイ50に挿入されている。ダイ50内において、パンチ12及び22に挟まれた空間には、S2の工程で取得した混合物が配置される。電極10及び20は、電源30に接続されている。
【0020】
以上の構成を有するパルス通電焼結装置1を以下のように使用し、混合物に熱圧成形を施す。真空チャンバー40内は6.0Pa以下に減圧する。電極10に上方から荷重することにより、20〜40MPaの圧力で混合物を加圧する。そして、混合物を加圧しながら電源30を作動させることで、電極10及び20並びにパンチ12及び22を介して混合物にパルス状の大電流を流し、ジュール熱による発熱を混合物に生じさせる。これによって混合物を5〜50℃/分の速度で昇温させ、75〜150℃まで加熱させた後、自然冷却させてバイオプラスチック成形体を得る。なお、パルス通電焼結装置1の代わりにホットプレスや加熱延伸機等で熱圧成形を行ってもよい。
【0021】
次に、乾燥工程S4にて、S3工程で取得したバイオプラスチック成形体を、乾燥する。例えば100℃程度に保温しつつ21日間以上乾燥することが好ましい。乾燥温度、乾燥時間は乾燥状態に応じて適宜調整されることが望ましい。
【0022】
以上説明した本実施形態のバイオプラスチックの製造方法によると、繊維長が繊維径相当である、ケラチンを主成分とする毛の粉末からバイオプラスチック成形体が成形される。粉末を構成する構成物の繊維長が比較的大きいと、バイオプラスチック成形体内の微視的構造において繊維状の構成物が残る。このため、構成物の集合体に方向性が生じたり、構成物同士の間に空隙が生じたりすることで、成形体が均質にならないおそれがある。これに対し、本実施形態では、繊維長が繊維径相当である粉末からバイオプラスチックを成形するため、成形体が均質になりやすい。これによって、熱膨張率が小さくなる、又は曲げ強度が大きくなる等、物理的特性が向上する。
【0023】
[実施例1]
以下に本発明に係る実施例を比較例とともに詳しく説明する。洗濯、乾燥後、汚れを取り除いた羊毛の原毛を約10mmの長さに裁断する。裁断した羊毛を遊星ボールミル装置(FRITSCH社製、P-6)にて、15mm及び20mmのアルミナ製のボールを用いて、300rpmの回転数で1分間の粉砕を行い、その後、5分間放置する操作を繰り返した(S1)。粉砕された羊毛粉末を、32μm、53μm、74μm、105μm及び250μmの目開きの各篩にかけ、繊維長が105〜250μmのもの、74〜105μmのもの、53〜74μmのもの、32〜53μmのもの、及び32μm以下のものに分別した(S1)。
【0024】
次に、各繊維長の羊毛粉末と、混合物100質量%に対し20質量%の水を乳鉢に入れて、混合させた。その後、水と各繊維長の羊毛粉末の混合物を密閉可能なプラスチック袋に入れて密閉し、電気炉(ASONE社製、VACUUM OVEN AVO−250N)で60℃に24時間保持した(S2)。
【0025】
次に、水と羊毛粉末の混合物を、パルス通電焼結装置1を用いて焼結させた(S3)後、乾燥させてバイオプラスチック成形体を得た(S4)。真空チャンバー40の真空度は6.0MPa、加圧圧力は20MPa、昇温速度は20℃/分、焼結温度は150℃であった。乾燥は、電気炉(ASONE製、VACUUM OVEN AVO−250N)内で21日間、100℃程度に保温することで行った。これにより厚さ4mm、直径15mmの円盤状のバイオプラスチック成形体を得た。
【0026】
図4に、各繊維長に調整された羊毛粉末から作製したバイオプラスチック成形体の「断面」と「垂直面」のSEM写真を示す。「垂直面」写真は、「断面」写真の断面方向に対して直交する方向に沿った面の写真を示す。繊維長が105〜250μm、74〜105μm、53〜74μmのバイオプラスチック成形体の300倍と1000倍の断面写真を見ると、繊維の断面が現れていた。同様に、繊維長が105〜250μm、74〜105μm、53〜74μmのバイオプラスチック成形体の300倍と1000倍の垂直面写真を見ると、長い繊維の形状が現れていた。つまり、繊維長が105〜250μm、74〜105μm、53〜74μmの羊毛粉末から作製したバイオプラスチック成形体には、完全に溶融しなかった繊維が存在していた。このことで、完全に溶融しなかった繊維によって成形体内に方向性が生じたり、完全に溶融しなかった繊維の領域と溶融した領域との間に空隙が生じたりして、不均質なバイオプラスチック成形体となっていた。
【0027】
一方で、繊維長が32〜53μm、32μm以下のSEM写真には、繊維の断面や長い繊維の形状が現れておらず、均質なバイオプラスチック成形体が得られていた。
図2の羊毛繊維のSEM写真で分かるように、羊毛繊維の径は約30μmである。つまり、繊維長が繊維径相当(繊維径から繊維径の1.5倍程度までの大きさを含む)の羊毛粉末で、均質なバイオプラスチック成形体が得られた。
【0028】
[実施例2]
実施例1と同様の方法で、105〜250μm、74〜105μm、53〜74μm、32〜53μm、32μm以下の繊維長の羊毛から厚さ4mm、直径15mmの円盤状のバイオプラスチック成形体を作製した。各繊維長のバイオプラスチック成形体の熱膨張率を、熱膨張測定装置(SII社製、TMA/SS6300)を用いて測定した。
【0029】
繊維長が74μm以上の範囲では、熱膨張率が約40×10
-6/Kと大きい。一方、53〜74μmにおいては34×10
-6/K、32〜53μmにおいては29×10
-6/K、32μm以下においては17×10
-6/Kと、繊維長が53μmとなる前後から、繊維長が短くなるにつれて、バイオプラスチック成形体の熱膨張率の値が小さくなっている。つまり、繊維長が繊維径相当となるあたりから熱膨張率が小さくなっている。したがって、バイオプラスチックが均質になることによって物理的特性が向上していることが分かった。
【0031】
[実施例3]
実施例1と同様の方法で、74〜105μm、32μm以下の繊維長の羊毛粉末から厚さ4mm、直径15mmの円盤状のバイオプラスチック成形体を作製した。各繊維長のバイオプラスチック成形体の最大曲げ応力を曲げ試験機(島津製作所社製、AGS−X 10N−10kN)を用いた3点曲げ強度試験によって測定した。
【0033】
32μm以下の繊維長の羊毛から作製したバイオプラスチック成形体の最大曲げ応力が、103MPaであった。これに対し、74〜105μmの繊維長のバイオプラスチック成形体の曲げ応力が、74MPaであった。この実験結果からも、均質なバイオプラスチック成形体となる繊維長の羊毛粉末からは、最大曲げ応力の様な物理的特性に優れた素材が得られることが分かった。
【符号の説明】
【0034】
1 パルス通電焼結装置
10、20 電極
12、22 パンチ
30 電源
40 真空チャンバー
50 ダイ