【実施例1】
【0029】
本発明の具体的な実施例1について
図1〜7に基づいて説明する。
【0030】
本実施例は、第一部材1と第二部材2とを備えると共にこれらの少なくとも一方を移動自在に設け、操作部3の操作により前記第一部材1又は前記第二部材2が移動することで作動し被測定物を挟み込むように当接する測定部4を備えた寸法測定装置において、前記第一部材1と前記第二部材2の一方に可動因部5とこの可動因部5の変形により可動する可動部6を設け、他方に前記可動部6が当接する受部7を設け、前記可動部6は、前記受部7に当接する当接部8を有すると共に、被測定物の寸法測定時に前記操作部3を操作し前記測定部4を作動させ前記被測定物を挟み込む際、前記測定部4に作動抵抗が生じるまでは前記受部7に接近することなく前記受部7に対して沿設状態に相対移動し、前記操作部3に加える力により、前記測定部4が前記被測定物に当接し前記測定部4に作動抵抗が生じると、前記可動因部5が変形し前記受部7に接近し、前記作動抵抗が所定値に達すると前記当接部8が前記受部7に当接する構成とし、この当接部8が前記受部7に当接した際の前記測定部4に設けた第一測定子9Aと第二測定子9Bとの離間距離を表示する寸法表示部10を備える構成としたものである。
【0031】
また、本実施例は、
図1に示すような、片手で持って把持操作若しくは指先摘み操作により測定する鋏型の鉗子タイプに構成した場合であり、具体的には、第一操作部3Aと第二操作部3Bとから成る前記操作部3を基端部側に設け、第一測定部4Aと第二測定部4Bとから成る前記測定部4を先端部側に設け、前記操作部3を把持操作若しくは指先摘み操作して前記第一操作部3Aと前記第二操作部3Bとが相対接離移動する開閉操作を行うことで、前記第一測定部4Aと前記第二測定部4Bとが開閉動作して、前記第一測定子9Aと前記第二測定子9Bとが相対接離移動するように構成したものである。
【0032】
以下、本実施例に係る構成各部について詳細に説明する。
【0033】
本実施例の第一部材1は、基端部側に可動因部5とこの可動因部5の変形により可動する可動部6を介して第一操作部3Aを設け、先端部側に枢着部を設け、この枢着部の先端部側に第一測定部4Aを連設した構成としている。
【0034】
具体的には、可動因部5は、弾性変形自在な適宜な部材(例えば金属部材や合成樹脂部材)を、C状(湾曲形状若しくは円弧状でも良い)に形成した構成とすると共に、測定対象の被測定物を変形させる力よりも小さい力で弾性変形するように構成、言い換えると、前記被測定物の耐変形強度よりも小さい耐変形強度となるように、部材、厚み、形状を適宜設定した構成とし、開口部(C状の離間部)が内方に位置するように配して、即ち、外方に向かって凸となるように配して、一端を第一部材1と連設し、他端を可動部6と連設した構成としている。
【0035】
また、この可動因部5と連設する可動部6は、第一部材1と対向する第二部材2側に向かって突設し、先端部に受部7と当接係合する当接部8と寸法表示部10を構成する指針部11とを設けた構成としている。
【0036】
この可動部6に設けた当接部8は、後述する受部7の形状に係合する先細り形状に形成し、可動部6の先端部に下方に向かって突設した構成としている。
【0037】
また、指針部11は、測定部4が閉じ状態、即ち、第一測定子9Aと第二測定子9Bとが接している状態で、受部7に設けた目盛部12の目盛0を指す位置に設け、可動部6と共に受部7(目盛部12)に沿って移動する構成としている。
【0038】
また、第一操作部3Aは、この可動部6の基端部(可動因部5と連設する側)に連設した構成とし、本実施例では、この第一操作部3Aを、操作部3を指先摘み操作し得るように指先が挿入可能な環状に形成した構成としている。
【0039】
また、先端部側に設けた第一測定部4Aは、先端部に被測定物に当接する第一測定子9Aを内方に向けて突設すると共に、第二測定部4Bとの対向面を切欠した形状に形成した構成としている。
【0040】
即ち、本実施例では、測定部4で被測定物を挟み込んだ際に、被測定物に当接する第一測定子9Aと第二測定子9B以外の部分が被測定物に当接しないように、この切欠部が逃げ部となって、第一測定子9A(第二測定子9B)が優先的に被測定物に当接する形状に形成した構成としている。
【0041】
また、本実施例の第二部材2は、基端部側に受部7を介して第二操作部3Bを設け、先端部に枢着部を設け、この枢着部に第二測定部4Bを連設した構成としている。
【0042】
具体的には、受部7は、第二部材2の長さ方向と略直交する方向、言い換えると、この受部7と前述した可動部6とが相対移動する相対移動方向)を長さ方向とする横長形状に形成し、上面を当接部8が当接係合し得る鋸刃状に形成した構成としている。
【0043】
また、正面には寸法表示部10を構成する目盛部12を設けた構成とし、目盛部12は、測定部4の第一測定子9Aと第二測定子9Bとの離間距離を示す目盛が表示した構成としている。
【0044】
また、第二操作部3B及び先端部側に設けた第二測定部4Bは、前述した第一部材1の第一操作部3A、第一測定部4Aと同様の構成としている。
【0045】
本実施例は、上述のように構成した第一部材1と第二部材2とを、夫々の枢着部同士が重合するようにして交差状態に配し、各枢着部に形成した軸挿通孔に軸を挿通して枢着し、第一操作部3Aと第二操作部3Bとが相対接離移動するように操作部3を指先摘み操作(若しくは把持操作)により開閉操作すると、測定部4が開閉動作して、この測定部4を構成する第一部材1に設けた第一測定子9Aと第二部材2に設けた第二測定子9Bとが相対接離移動する構成としている。
【0046】
また、本実施例では、当接部8の受部7への当接状態を保持するロック機構を備えた構成としている。
【0047】
本実施例のロック機構は、第一部材1側の指針部11に設けた係止爪部13と、第二部材2側の受部7(若しくは目盛部12)に設けた凹条溝部14とから成る構成とし、当接部8が受部7に当接した際に、段差部15を乗り越えて係止爪部13が凹条溝部14に落ち込み、操作部3の操作を止めると、即ち、操作部3に力を加えることを止めると、弾性変形している可動因部5の戻り作用により可動部6(当接部8)が受部7から離脱しようとする作用が生じ、この離脱作用によって係止爪部13が凹条溝部14の側面部に係止し、離脱作用を阻止して当接状態を保持する構成としている。
【0048】
尚、本実施例では、第一部材1、可動因部5、可動部6、第一操作部3Aと一体成型した構成としたが、例えば、可動因部5を交換自在な構成にして、被測定物の耐変形強度に対応させて、適宜な可動因部5を装着し得る構成としても良い。
【0049】
上述のように構成した本実施例の作用・効果について以下に説明する。
【0050】
操作部3を開き操作し、第一測定子9Aと第二測定子9Bとの離間間隔を広げ、この第一測定子9Aと第二測定子9Bとの間に被測定物を配設し、この状態で操作部3を閉じ操作して、第一測定子9Aに対して第二測定子9B(若しくは第二測定子9Bに対して第一測定子9A)を相対接近移動させて、この第一測定子9Aと第二測定子9Bとの両方を被測定物の測定部位に当接させる。
【0051】
この第一測定子9Aと第二測定子9Bとの両方が被測定物に当接するまでの操作部3の閉じ操作では、可動部6(当接部8)は、受部7に接近することなく受部7の上面部に対して僅かな間隔(ほぼ一定間隔)をおいて、この受部7の上面部に沿うように移動する。
【0052】
そして、この第一測定子9Aと第二測定子9Bとの両方が被測定物に当接した後も、更に操作部3の操作を続けると(力を加え続けると)、第一測定子9Aと第二測定子9Bとの両方が被測定物に当接したことにより測定部4に作動抵抗が生じ、この作動抵抗が生じたことにより可動因部5が変形し始め、この可動因部5の変形が始まると、可動部6は、受部7に沿う移動方向とは異なる方向、具体的には、前記移動方向と略直交する下方側に向かって可動し受部7に接近してゆく。
【0053】
この可動因部5の変形(弾性変形)により可動部6が可動し受部7に接近してゆく際、可動因部5にこの可動因部5を変形させる力が作用すると共に、被測定物にも測定部4が挟み込むことによって生じる押圧力が作用するが、本実施例の可動因部5は、被測定物の耐変形強度よりも小さい耐変形強度のものを採用しているので、可動因部5は変形するが、被測定物は測定部4による押圧作用(第一測定子9Aと第二測定子9Bとによる押圧作用)を受けても変形しない。
【0054】
そして、測定部4に生じる作動抵抗が所定値に達すると、可動部6に設けた当接部8が受部7に当接するので、この当接部8が受部7に当接した状態の寸法表示部10の指針部11が支持する目盛部12の値を読み取ることで、第一測定子9Aと第二測定子9Bとの離間距離、即ち被測定物の所望の寸法を測定(確知)することができる。
【0055】
尚、本実施例は、この当接部8が受部7に当接した状態では、当接部8が受部7に係合係止し、可動部6の当接部8が受部7に当接する前の移動方向への移動が阻止されるので、操作部3に力を加えて更に閉じ操作しようとしても、可動部6が移動しないことで、操作部3の閉じ操作も不能となり、よって、この操作部3に加えた力が測定部4に伝達されず、測定部4は閉じ動作せず、第一測定子9Aと第二測定子9Bとの離間状態が保持される。
【0056】
このように、被測定物は、従来のノギスタイプのように、被測定物を変形させないように操作部に加える力を微調整して測定子を慎重に移動させて測定子を被測定物に丁度当接させるような厄介な操作をする必要が無く、無造作に操作部3を操作しても、即ち、例えば被測定物を変形させてしまうような強い力で操作部3を強く握っても、被測定物が変形してしまう前に可動因部5の変形により当接部8が受部7に当接して、これ以降にかかる力を測定部4に伝えないので、よって、このような被測定物を変形させてしまうような強い力は測定部4には伝わらず、被測定物を変形させることなく、この被測定物の所望の寸法(厚みや径等)を正確に且つ再現性良く測定することができる。
【0057】
尚、本実施例では、寸法表示部10は、指針部11と目盛部12とからなるアナログ式に表示する構成としたが、寸法表示部10をデジタル表示とした構成にしても良く、その場合は、例えば、受部7にセンサーを設け、当接部8の当接位置をセンシングして、その位置を表示するように構成すれば良い。
【0058】
また、目盛部12においては、およその寸法を確知できれば良い場合などは、例えば
図7に示すような、所定の範囲を持った目盛(例えば所定範囲を色分け等により区分した表示)にして見易くした構成としても良い。
【0059】
また更に、目盛部12は、目盛以外を表示する構成としても良い。具体的には、例えば、本実施例を、臓器を吻合する際のステイプラーの高さを選択する際の臓器厚み測定用に構成した場合、目盛部12に臓器の厚みを表示する目盛の代わりに、測定部4で測定した臓器の厚みに適したステイプラーの高さを表示する構成とし、使用者は、指針部11が指した所定の高さのステイプラーを選択するだけで、容易に測定した臓器の吻合に用いるための最適なステイプラーを選択することができるようにしても良い。これにより、誤って高さの合わないステイプラーを選択したことによる吻合不良等の発生を可及的に低減することができることとなる。
【実施例3】
【0066】
本発明の具体的な実施例3について
図9〜14に基づいて説明する。
【0067】
本実施例は、実施例1の寸法測定装置を、
図9に示すような内視鏡用の鉗子タイプに構成した場合である。
【0068】
具体的には、第一部材1は、へ字状に形成し、基端部側となる長手部の先端部側(全体の基端部側)に可動因部5とこの可動因部5の変形により可動する可動部6を介して第一操作部3Aを設け、先端部側となる短手部の先端部(全体の先端部)に枢着部を設け、この枢着部の先端側に測定部4の開閉動作を操作するためのロッド16を連結するためのロッド連結部17を設けた構成としている。
【0069】
尚、本実施例では、可動因部5を交換自在に構成し、被測定物の耐変形強度に対応させて、適宜な可動因部5を装着し得る構成としている。
【0070】
また、第二部材2は、L字状に形成し、基端部側となる長辺部の先端部側(全体の基端部側)に受部7を介して第二操作部3Bを設け、先端部側となる短辺部の先端部側(全体の先端部側)に枢着部を設け、この枢着部の先端部側に、前述したロッド16を挿通し得る細長形状の管状部材18を設けた構成としている。
【0071】
本実施例は、この第二部材2に設けた管状部材18の先端部に測定部4を設け、この測定部4は、操作部3の把持操作若しくは指先摘み操作による開閉操作により、第一部材1に連結したロッド16が進退移動し、このロッド16の進退移動により開閉動作する構成としている。
【0072】
その余の構成は実施例1と同様である。尚、本実施例では、ロック機構は図示していない。
【0073】
本実施例のように、本発明の寸法測定装置を内視鏡用の鉗子タイプに構成することにより、例えば、従来は、手術の際のステイプラーを用いた吻合処理を行う際に、吻合する体腔内の臓器の厚さは医師が触手等により感覚的に測定しており、その厚さを正確に測定できないことから、吻合に最適な高さのステイプラーが選択されず、吻合部の組織の挫滅や吻合不良等が起こる可能性があったが、本実施例を用いることで、臓器を変形させたりキズ付けたりすることなく正確に且つ容易に臓器の厚みを測定することができるので、最適なステイプラーを選択でき、前述のような不具合が生じる可能性を可及的に低減することができる。
【0074】
尚、本発明は、実施例1〜3に限られるものではなく、各構成要件の具体的構成は適宜設計し得るものである。