特許第6494994号(P6494994)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6494994
(24)【登録日】2019年3月15日
(45)【発行日】2019年4月3日
(54)【発明の名称】寸法測定装置
(51)【国際特許分類】
   G01B 5/02 20060101AFI20190325BHJP
   G01B 3/16 20060101ALI20190325BHJP
【FI】
   G01B5/02
   G01B3/16
【請求項の数】3
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-254698(P2014-254698)
(22)【出願日】2014年12月17日
(65)【公開番号】特開2016-114535(P2016-114535A)
(43)【公開日】2016年6月23日
【審査請求日】2017年11月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】593077250
【氏名又は名称】ナシモト工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091373
【弁理士】
【氏名又は名称】吉井 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100097065
【弁理士】
【氏名又は名称】吉井 雅栄
(72)【発明者】
【氏名】梨本 俊晴
【審査官】 國田 正久
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−117780(JP,A)
【文献】 特開2013−193160(JP,A)
【文献】 特開2013−079842(JP,A)
【文献】 実公昭26−004259(JP,Y1)
【文献】 実開昭50−043766(JP,U)
【文献】 実開昭60−146805(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 5/00 − 5/30
G01B 3/00 − 3/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端部側に被測定物に当接させる第一測定子を有する第一測定部が設けられ基端部側に第一操作部が設けられた第一部材と、先端部側に被測定物に当接させる第二測定子を有する第二測定部が設けられ基端部側に第二操作部が設けられた第二部材とを備え、この第一部材と第二部材とは交差枢着されていて、夫々の基端部側に設けられた前記第一操作部と前記第二操作部とからなる操作部の操作により夫々の先端部側に設けられた前記第一測定部と前記第二測定部とからなる測定部を開閉動作させ、前記第一測定子と前記第二測定子とで被測定物を挟み込んでこの被測定物の寸法を測定する寸法測定装置において、前記第一部材と前記第二部材の一方に前記被測定物に比して外部応力に対する耐変形強度が小さい可動因部とこの可動因部の変形により可動する可動部設けられ、他方に前記可動部が当接する受部設けられ、前記可動部は、前記受部に当接する当接部を有すると共に、前記被測定物の寸法測定時に前記操作部を操作し前記測定部を作動させ前記被測定物を挟み込む際、前記測定部に作動抵抗が生じるまでは前記受部に接近することなく前記受部に対して沿設状態に相対移動し、前記操作部に加える力により、前記測定部が前記被測定物に当接し前記測定部に作動抵抗が生じると前記可動因部が変形し前記受部に接近し、前記作動抵抗が所定値に達すると前記被測定物を変形させることなく前記当接部が前記受部に当接するように構成され、この可動部に設けられた前記当接部が前記受部に当接した際の前記第一測定子と前記第二測定子との離間距離を表示する寸法表示部を備え、前記寸法表示部は、指針部と目盛部とから成り、前記目盛部は、前記受部に設けられると共にこの受部に対向した状態で移動する前記可動部の移動方向に沿って設けられ、前記指針部は、前記可動部に設けられると共に前記可動因部の変形により前記可動部が前記受部に接近移動し前記被測定物を変形させることなく前記当接部が前記当接部に当接した際に前記第一測定子と前記第二測定子との離間距離を示す前記目盛部の目盛を指し示すように構成されていることを特徴とする寸法測定装置。
【請求項2】
前記当接部の前記受部への当接状態を保持するロック機構を備え、このロック機構により、前記当接部が前記受部に当接した以降、前記操作部に力を加え続けなくても前記当接部の前記受部への当接状態を保持するように構成されていることを特徴とする請求項1記載の寸法測定装置。
【請求項3】
前記可動因部の変形を阻止する可動因部変形阻止機構を備え、この可動因部変形阻止機構を作動させた場合は、前記測定部に作動抵抗が生じても前記可動因部が変形しない構成とされていることを特徴とする請求項1,2のいずれか1項に記載の寸法測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被測定物の所望の寸法(厚さや径等)を測定する寸法測定装置であり、特に軟らかく変形し易い被測定物を測定するのに適した寸法測定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、被測定物の厚みや直径等を測定する寸法測定装置としては、例えばノギスのような測定子で被測定物を挟み込むようにして測定するタイプのものがある。
【0003】
このノギスタイプの寸法測定装置は、具体的には、一対の測定子(固定測定子と移動測定子)と、寸法表示部(目盛部やデジタル表示部)とから成り、離間状態の固定測定子と移動測定子との間に被測定物を配設し、操作部を操作して移動測定子を被測定物に押し付けて被測定物を固定測定子と移動測定子とで挟み込み、この被測定物を挟み込み状態にした際の測定子間距離を目盛部や表示部に測定結果として示すように構成されている。
【0004】
このノギスタイプの寸法測定装置は、操作が簡便で持ち運びも容易で、固定状態の被測定物でも容易に寸法を測定できる点で優れている。
【0005】
しかしながら、このノギスタイプの寸法測定装置は、上述したように、測定時に測定子を被測定物に押し付けて測定するため、被測定物が軟らかく変形し易いものである場合、この測定子の押し付けにより被測定物が変形して正確な寸法を測定できない。
【0006】
また、この押し付け度合いによって(即ち、作業者の操作時の力の入れ加減によって)変形度合いが変化し、これにより測定値も変化するので、測定の再現性も低く、測定結果は信頼度の低いものとなる。
【0007】
そのため、軟らかく変形し易い被測定物を測定する場合は、被測定物を変形させないように操作部に加える力を微調整して測定子を慎重に移動させて測定子を被測定物に丁度当接させる操作が必要であり、このような操作は非常に厄介で測定に時間が掛かり作業性低下の要因となっていた。
【0008】
また、上記ノギスタイプの寸法測定装置における上述の問題点を解決し、軟らかく変形し易い被測定物の寸法を正確に測定することができる寸法測定装置も、従来提案されており、その一例を特許文献1に示す。
【0009】
この特許文献1に示した寸法測定装置は、微小荷重を検知する荷重計測手段と、前記荷重計測機器上に配設され、被測定物がその上に載置される下部ベースと、前記下部ベースの上方に昇降可能に配設された上部ベースと、前記上部ベースを昇降させる上部ベース昇降手段とを具備してなり、前記下部ベース上に被測定物を載置した状態で前記上部ベースを下降させ、前記上部ベースが被測定物に当接し、前記荷重計測手段が被測定物に変形を生じさせることのない所定の荷重値を検出した時点における、前記上部ベースと前記下部ベースとの間隔を検出して被測定物の寸法を求めるように構成したものである。
【0010】
しかしながら、上記のような寸法測定装置は、装置構成が複雑で装置自体が大型化し、前述したノギスタイプのように容易に持ち運ぶことはできず、測定可能な被測定物が下部ベース上に載置できる移動可能なものに限られてしまう問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開平10−318703号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、上述したような現状に鑑みなされたもので、軟らかく変形し易い被測定物の厚みや径等を正確に測定することができ、且つ携帯性に優れ、移動が困難な被測定物に対しても柔軟に姿勢を変えて、容易に被測定物の所望の寸法を測定することができる実用性に優れた画期的な寸法測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
【0014】
先端部側に被測定物に当接させる第一測定子9Aを有する第一測定部4Aが設けられ基端部側に第一操作部3Aが設けられた第一部材1と、先端部側に被測定物に当接させる第二測定子9Bを有する第二測定部4Bが設けられ基端部側に第二操作部3Bが設けられた第二部材2とを備え、この第一部材1と第二部材2とは交差枢着されていて、夫々の基端部側に設けられた前記第一操作部3Aと前記第二操作部3Bとからなる操作部3の操作により夫々の先端部側に設けられた前記第一測定部4Aと前記第二測定部4Bとからなる測定部4を開閉動作させ、前記第一測定子9Aと前記第二測定子9Bとで被測定物を挟み込んでこの被測定物の寸法を測定する寸法測定装置において、前記第一部材1と前記第二部材2の一方に前記被測定物に比して外部応力に対する耐変形強度が小さい可動因部5とこの可動因部5の変形により可動する可動部6設けられ、他方に前記可動部6が当接する受部7設けられ、前記可動部6は、前記受部7に当接する当接部8を有すると共に、前記被測定物の寸法測定時に前記操作部3を操作し前記測定部4を作動させ前記被測定物を挟み込む際、前記測定部4に作動抵抗が生じるまでは前記受部7に接近することなく前記受部7に対して沿設状態に相対移動し、前記操作部3に加える力により、前記測定部4が前記被測定物に当接し前記測定部4に作動抵抗が生じると前記可動因部5が変形し前記受部7に接近し、前記作動抵抗が所定値に達すると前記被測定物を変形させることなく前記当接部8が前記受部7に当接するように構成され、この可動部6に設けられた前記当接部8が前記受部7に当接した際の前記第一測定子9Aと前記第二測定子9Bとの離間距離を表示する寸法表示部10を備え、前記寸法表示部10は、指針部11と目盛部12とから成り、前記目盛部12は、前記受部7に設けられると共にこの受部7に対向した状態で移動する前記可動部6の移動方向に沿って設けられ、前記指針部11は、前記可動部6に設けられると共に前記可動因部5の変形により前記可動部6が前記受部7に接近移動し前記被測定物を変形させることなく前記当接部8が前記当接部に当接した際に前記第一測定子9Aと前記第二測定子9Bとの離間距離を示す前記目盛部12の目盛を指し示すように構成されていることを特徴とする寸法測定装置に係るものである。
【0015】
また、前記当接部8の前記受部7への当接状態を保持するロック機構を備え、このロック機構により、前記当接部8が前記受部7に当接した以降、前記操作部3に力を加え続けなくても前記当接部8の前記受部7への当接状態を保持するように構成されていることを特徴とする請求項1記載の寸法測定装置に係るものである。
【0016】
また、前記可動因部5の変形を阻止する可動因部変形阻止機構を備え、この可動因部変形阻止機構を作動させた場合は、前記測定部4に作動抵抗が生じても前記可動因部5が変形しない構成とされていることを特徴とする請求項1,2のいずれか1項に記載の寸法測定装置に係るものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明は上述のように構成したから、軟らかく変形し易い被測定物の厚みや径等の寸法を正確に測定することができる実用性に優れた画期的な寸法測定装置となる。
【0018】
即ち、本発明は、どんなに操作部に力を加えても測定部が被測定物を押圧する方向に移動せず、被測定物を変形させることがないので、操作部に加える力加減を気にすることなく無造作に把持するだけの簡易な操作で容易に被測定物を変形させることなく正確に厚みや径等の寸法を測定することができる極めて実用性に優れた画期的な寸法測定装置となる。
【0019】
また、請求項記載の発明においては、操作部に力を加え続けなくても、第一測定子と第二測定子とが被測定物に当接した状態を保持でき、容易に長時間、測定値を表示させておくことができる等、より使い勝手の良い実用性に優れた寸法測定装置となる。
【0020】
また、請求項記載の発明においては、当接部を受部に当接させず、所定値以上の強い力を被測定物に加えることができ、挟持具や押圧具等、寸法測定以外の作業具としても使用することもできる実用性に優れた画期的な寸法測定装置となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】実施例1を示す正面図である。
図2】実施例1の使用状態を示す正面図である。
図3】実施例1の使用状態(作動抵抗が生じる前の状態)における寸法表示部を示す説明図である。
図4】実施例1の使用状態(当接部が受部に当接した状態)における寸法表示部を示す説明図である。
図5図3の説明断面図である。
図6図4の説明断面図である。
図7】実施例1における目盛部の別例を示す説明図である。
図8】実施例2の要部を示す説明正面図である。
図9】実施例3を示す説明正面図である。
図10】実施例3の使用状態(作動抵抗が生じる前の状態)における要部を示す説明図である。
図11】実施例3の使用状態(当接部が受部に当接した状態)における要部を示す説明図である。
図12図10における寸法表示部を示す説明図である。
図13図11における寸法表示部を示す説明図である。
図14】実施例3の使用状態における測定部を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
好適と考える本発明の実施形態を、図面に基づいて本発明の作用を示して簡単に説明する。
【0023】
操作部3を操作し、第一部材1と第二部材2との少なくとも一方を移動させ、測定部4を開き動作させ、この開き状態となった測定部4に被測定物を配設し、操作部3を操作して、第一部材1と第二部材2との少なくとも一方を移動させ、測定部4を閉じ動作させて、この測定部4を被測定物に当接させる。
【0024】
この測定部4が被測定物に当接した状態で、更に操作部3の操作を続けると(力を加え続けると)、測定部4に作動抵抗が生じ、この作動抵抗が生じたことにより可動因部5が変形し、測定部4が被測定物に当接するまでは受部7に接近することなくこの受部7に沿うように移動していた可動部6が、前記変形により受部7に接近する方向に向かって可動し、前記作動抵抗が所定値に達すると、この可動部6に設けた当接部8が受部7に当接する。
【0025】
この当接部8が受部7に当接すると、寸法表示部10がこの当接部8が受部7に当接した時点における測定部4の開き具合、具体的には、測定部4に設けた第一測定子9Aと第二測定子9Bとの離間距離を示し、この離間距離を読み取ることで被測定物の所望の寸法(厚みや径等)を確知することができる。
【0026】
即ち、本発明は、被測定物を測定部4で(例えば第一測定子9Aと第二測定子9Bとで)挟み込んだ後も、操作部3の操作をし続け(操作部3に力を加え続け)、被測定物を挟み込んだ測定部4に生じる作動抵抗(測定部4が被測定物を押圧する押圧力の反力)が所定値になった際の第一測定子9Aと第二測定子9Bとの離間距離を被測定物の所望の寸法として表示するから、使用者は単に被測定物を挟み込む測定部4に所定値以上の作動抵抗が生じる力を加えて操作部3を操作するだけの極めて簡易な操作で、被測定物に対する測定条件をばらつかせることなく、常に同じ条件(同じ挟み込み状態)で被測定物の寸法を測定することができることとなる。
【0027】
従って、従来のノギスタイプのように、被測定物を変形させないように操作部3に加える力を微調整して測定部4を慎重に動作させてこの測定部4(例えば第一測定子9Aと第二測定子9B)を被測定物に丁度当接させるような厄介な操作をする必要が無く、無造作に操作部3を操作しても、被測定物の所望の寸法(厚みや径等)を正確に測定することができる実用性に優れた画期的な寸法測定装置となる。
【0028】
また、例えば前記所定値を被測定物が測定部4の挟み込みによってできるだけ変形しないような小さな値に設定すれば、即ち、可動因部5を、被測定物を変形させる力よりも小さい力で変形するように構成すれば、言い換えると、可動因部5の耐変形強度を、被測定物の外部応力に対する耐変形強度よりも小さく設定した構成とすれば、被測定物がたとえ軟らかく変形し易いものでも、この被測定物を変形させることなく(僅かな変形に留めた状態で)正確に被測定物の所望の寸法を測定することができるので、より一層実用性に優れた画期的な寸法測定装置を簡易に設計実現可能とすることができる。尚、本発明においては、測定に影響しない微小な変形は、変形しない状態に含むものとする。
【実施例1】
【0029】
本発明の具体的な実施例1について図1〜7に基づいて説明する。
【0030】
本実施例は、第一部材1と第二部材2とを備えると共にこれらの少なくとも一方を移動自在に設け、操作部3の操作により前記第一部材1又は前記第二部材2が移動することで作動し被測定物を挟み込むように当接する測定部4を備えた寸法測定装置において、前記第一部材1と前記第二部材2の一方に可動因部5とこの可動因部5の変形により可動する可動部6を設け、他方に前記可動部6が当接する受部7を設け、前記可動部6は、前記受部7に当接する当接部8を有すると共に、被測定物の寸法測定時に前記操作部3を操作し前記測定部4を作動させ前記被測定物を挟み込む際、前記測定部4に作動抵抗が生じるまでは前記受部7に接近することなく前記受部7に対して沿設状態に相対移動し、前記操作部3に加える力により、前記測定部4が前記被測定物に当接し前記測定部4に作動抵抗が生じると、前記可動因部5が変形し前記受部7に接近し、前記作動抵抗が所定値に達すると前記当接部8が前記受部7に当接する構成とし、この当接部8が前記受部7に当接した際の前記測定部4に設けた第一測定子9Aと第二測定子9Bとの離間距離を表示する寸法表示部10を備える構成としたものである。
【0031】
また、本実施例は、図1に示すような、片手で持って把持操作若しくは指先摘み操作により測定する鋏型の鉗子タイプに構成した場合であり、具体的には、第一操作部3Aと第二操作部3Bとから成る前記操作部3を基端部側に設け、第一測定部4Aと第二測定部4Bとから成る前記測定部4を先端部側に設け、前記操作部3を把持操作若しくは指先摘み操作して前記第一操作部3Aと前記第二操作部3Bとが相対接離移動する開閉操作を行うことで、前記第一測定部4Aと前記第二測定部4Bとが開閉動作して、前記第一測定子9Aと前記第二測定子9Bとが相対接離移動するように構成したものである。
【0032】
以下、本実施例に係る構成各部について詳細に説明する。
【0033】
本実施例の第一部材1は、基端部側に可動因部5とこの可動因部5の変形により可動する可動部6を介して第一操作部3Aを設け、先端部側に枢着部を設け、この枢着部の先端部側に第一測定部4Aを連設した構成としている。
【0034】
具体的には、可動因部5は、弾性変形自在な適宜な部材(例えば金属部材や合成樹脂部材)を、C状(湾曲形状若しくは円弧状でも良い)に形成した構成とすると共に、測定対象の被測定物を変形させる力よりも小さい力で弾性変形するように構成、言い換えると、前記被測定物の耐変形強度よりも小さい耐変形強度となるように、部材、厚み、形状を適宜設定した構成とし、開口部(C状の離間部)が内方に位置するように配して、即ち、外方に向かって凸となるように配して、一端を第一部材1と連設し、他端を可動部6と連設した構成としている。
【0035】
また、この可動因部5と連設する可動部6は、第一部材1と対向する第二部材2側に向かって突設し、先端部に受部7と当接係合する当接部8と寸法表示部10を構成する指針部11とを設けた構成としている。
【0036】
この可動部6に設けた当接部8は、後述する受部7の形状に係合する先細り形状に形成し、可動部6の先端部に下方に向かって突設した構成としている。
【0037】
また、指針部11は、測定部4が閉じ状態、即ち、第一測定子9Aと第二測定子9Bとが接している状態で、受部7に設けた目盛部12の目盛0を指す位置に設け、可動部6と共に受部7(目盛部12)に沿って移動する構成としている。
【0038】
また、第一操作部3Aは、この可動部6の基端部(可動因部5と連設する側)に連設した構成とし、本実施例では、この第一操作部3Aを、操作部3を指先摘み操作し得るように指先が挿入可能な環状に形成した構成としている。
【0039】
また、先端部側に設けた第一測定部4Aは、先端部に被測定物に当接する第一測定子9Aを内方に向けて突設すると共に、第二測定部4Bとの対向面を切欠した形状に形成した構成としている。
【0040】
即ち、本実施例では、測定部4で被測定物を挟み込んだ際に、被測定物に当接する第一測定子9Aと第二測定子9B以外の部分が被測定物に当接しないように、この切欠部が逃げ部となって、第一測定子9A(第二測定子9B)が優先的に被測定物に当接する形状に形成した構成としている。
【0041】
また、本実施例の第二部材2は、基端部側に受部7を介して第二操作部3Bを設け、先端部に枢着部を設け、この枢着部に第二測定部4Bを連設した構成としている。
【0042】
具体的には、受部7は、第二部材2の長さ方向と略直交する方向、言い換えると、この受部7と前述した可動部6とが相対移動する相対移動方向)を長さ方向とする横長形状に形成し、上面を当接部8が当接係合し得る鋸刃状に形成した構成としている。
【0043】
また、正面には寸法表示部10を構成する目盛部12を設けた構成とし、目盛部12は、測定部4の第一測定子9Aと第二測定子9Bとの離間距離を示す目盛が表示した構成としている。
【0044】
また、第二操作部3B及び先端部側に設けた第二測定部4Bは、前述した第一部材1の第一操作部3A、第一測定部4Aと同様の構成としている。
【0045】
本実施例は、上述のように構成した第一部材1と第二部材2とを、夫々の枢着部同士が重合するようにして交差状態に配し、各枢着部に形成した軸挿通孔に軸を挿通して枢着し、第一操作部3Aと第二操作部3Bとが相対接離移動するように操作部3を指先摘み操作(若しくは把持操作)により開閉操作すると、測定部4が開閉動作して、この測定部4を構成する第一部材1に設けた第一測定子9Aと第二部材2に設けた第二測定子9Bとが相対接離移動する構成としている。
【0046】
また、本実施例では、当接部8の受部7への当接状態を保持するロック機構を備えた構成としている。
【0047】
本実施例のロック機構は、第一部材1側の指針部11に設けた係止爪部13と、第二部材2側の受部7(若しくは目盛部12)に設けた凹条溝部14とから成る構成とし、当接部8が受部7に当接した際に、段差部15を乗り越えて係止爪部13が凹条溝部14に落ち込み、操作部3の操作を止めると、即ち、操作部3に力を加えることを止めると、弾性変形している可動因部5の戻り作用により可動部6(当接部8)が受部7から離脱しようとする作用が生じ、この離脱作用によって係止爪部13が凹条溝部14の側面部に係止し、離脱作用を阻止して当接状態を保持する構成としている。
【0048】
尚、本実施例では、第一部材1、可動因部5、可動部6、第一操作部3Aと一体成型した構成としたが、例えば、可動因部5を交換自在な構成にして、被測定物の耐変形強度に対応させて、適宜な可動因部5を装着し得る構成としても良い。
【0049】
上述のように構成した本実施例の作用・効果について以下に説明する。
【0050】
操作部3を開き操作し、第一測定子9Aと第二測定子9Bとの離間間隔を広げ、この第一測定子9Aと第二測定子9Bとの間に被測定物を配設し、この状態で操作部3を閉じ操作して、第一測定子9Aに対して第二測定子9B(若しくは第二測定子9Bに対して第一測定子9A)を相対接近移動させて、この第一測定子9Aと第二測定子9Bとの両方を被測定物の測定部位に当接させる。
【0051】
この第一測定子9Aと第二測定子9Bとの両方が被測定物に当接するまでの操作部3の閉じ操作では、可動部6(当接部8)は、受部7に接近することなく受部7の上面部に対して僅かな間隔(ほぼ一定間隔)をおいて、この受部7の上面部に沿うように移動する。
【0052】
そして、この第一測定子9Aと第二測定子9Bとの両方が被測定物に当接した後も、更に操作部3の操作を続けると(力を加え続けると)、第一測定子9Aと第二測定子9Bとの両方が被測定物に当接したことにより測定部4に作動抵抗が生じ、この作動抵抗が生じたことにより可動因部5が変形し始め、この可動因部5の変形が始まると、可動部6は、受部7に沿う移動方向とは異なる方向、具体的には、前記移動方向と略直交する下方側に向かって可動し受部7に接近してゆく。
【0053】
この可動因部5の変形(弾性変形)により可動部6が可動し受部7に接近してゆく際、可動因部5にこの可動因部5を変形させる力が作用すると共に、被測定物にも測定部4が挟み込むことによって生じる押圧力が作用するが、本実施例の可動因部5は、被測定物の耐変形強度よりも小さい耐変形強度のものを採用しているので、可動因部5は変形するが、被測定物は測定部4による押圧作用(第一測定子9Aと第二測定子9Bとによる押圧作用)を受けても変形しない。
【0054】
そして、測定部4に生じる作動抵抗が所定値に達すると、可動部6に設けた当接部8が受部7に当接するので、この当接部8が受部7に当接した状態の寸法表示部10の指針部11が支持する目盛部12の値を読み取ることで、第一測定子9Aと第二測定子9Bとの離間距離、即ち被測定物の所望の寸法を測定(確知)することができる。
【0055】
尚、本実施例は、この当接部8が受部7に当接した状態では、当接部8が受部7に係合係止し、可動部6の当接部8が受部7に当接する前の移動方向への移動が阻止されるので、操作部3に力を加えて更に閉じ操作しようとしても、可動部6が移動しないことで、操作部3の閉じ操作も不能となり、よって、この操作部3に加えた力が測定部4に伝達されず、測定部4は閉じ動作せず、第一測定子9Aと第二測定子9Bとの離間状態が保持される。
【0056】
このように、被測定物は、従来のノギスタイプのように、被測定物を変形させないように操作部に加える力を微調整して測定子を慎重に移動させて測定子を被測定物に丁度当接させるような厄介な操作をする必要が無く、無造作に操作部3を操作しても、即ち、例えば被測定物を変形させてしまうような強い力で操作部3を強く握っても、被測定物が変形してしまう前に可動因部5の変形により当接部8が受部7に当接して、これ以降にかかる力を測定部4に伝えないので、よって、このような被測定物を変形させてしまうような強い力は測定部4には伝わらず、被測定物を変形させることなく、この被測定物の所望の寸法(厚みや径等)を正確に且つ再現性良く測定することができる。
【0057】
尚、本実施例では、寸法表示部10は、指針部11と目盛部12とからなるアナログ式に表示する構成としたが、寸法表示部10をデジタル表示とした構成にしても良く、その場合は、例えば、受部7にセンサーを設け、当接部8の当接位置をセンシングして、その位置を表示するように構成すれば良い。
【0058】
また、目盛部12においては、およその寸法を確知できれば良い場合などは、例えば図7に示すような、所定の範囲を持った目盛(例えば所定範囲を色分け等により区分した表示)にして見易くした構成としても良い。
【0059】
また更に、目盛部12は、目盛以外を表示する構成としても良い。具体的には、例えば、本実施例を、臓器を吻合する際のステイプラーの高さを選択する際の臓器厚み測定用に構成した場合、目盛部12に臓器の厚みを表示する目盛の代わりに、測定部4で測定した臓器の厚みに適したステイプラーの高さを表示する構成とし、使用者は、指針部11が指した所定の高さのステイプラーを選択するだけで、容易に測定した臓器の吻合に用いるための最適なステイプラーを選択することができるようにしても良い。これにより、誤って高さの合わないステイプラーを選択したことによる吻合不良等の発生を可及的に低減することができることとなる。
【実施例2】
【0060】
本発明の具体的な実施例2について図8に基づいて説明する。
【0061】
本実施例は、実施例1において、図8に示すような可動因部5に可動因部変形阻止機構を設けた場合である。
【0062】
具体的には、本実施例の可動因部変形阻止機構は、C状に形成した可動因部5の開口部(離間部)に架設状態に配設した変形阻止部材19(本実施例では金属製の棒状部材を採用)が突っ張り棒の如く作用し、可動因部5の弾性変形を阻止するよう構成としている。
【0063】
より具体的には、変形阻止部材19は、図8に示すように、一側端部を可動因部5の一側端部に設けた軸着部20に軸着し、他側端部を可動因部5の他側端部に設けた係止部21に係脱自在に係止する構成とし、この変形阻止部材19を係止部21に係止し可動因部5の開口部の両端部間に架設状態にすることで可動因部5が弾性変形しない(できない)状態になり、また、一端を係止部21から離脱させ係止部21の前記架設状態を解除することで可動因部5が弾性変形可能な状態となるように構成している。
【0064】
即ち、可動因部5が変形しないことで当接部8が受部7に当接しなくなり、操作部3から測定部4への力の伝達が途中で途絶えることが無くなるので、測定部4が所定値以上の強い挟持力や押圧力を発揮することができ、よって、被測定物の寸法を測定するだけでなく、被測定物を挟持したり押圧したりすることができる挟持具や押圧具等としても使用することができるようになり、より一層実用性に優れた画期的な寸法測定装置となる。
【0065】
その余の構成は実施例1と同様である。
【実施例3】
【0066】
本発明の具体的な実施例3について図9〜14に基づいて説明する。
【0067】
本実施例は、実施例1の寸法測定装置を、図9に示すような内視鏡用の鉗子タイプに構成した場合である。
【0068】
具体的には、第一部材1は、へ字状に形成し、基端部側となる長手部の先端部側(全体の基端部側)に可動因部5とこの可動因部5の変形により可動する可動部6を介して第一操作部3Aを設け、先端部側となる短手部の先端部(全体の先端部)に枢着部を設け、この枢着部の先端側に測定部4の開閉動作を操作するためのロッド16を連結するためのロッド連結部17を設けた構成としている。
【0069】
尚、本実施例では、可動因部5を交換自在に構成し、被測定物の耐変形強度に対応させて、適宜な可動因部5を装着し得る構成としている。
【0070】
また、第二部材2は、L字状に形成し、基端部側となる長辺部の先端部側(全体の基端部側)に受部7を介して第二操作部3Bを設け、先端部側となる短辺部の先端部側(全体の先端部側)に枢着部を設け、この枢着部の先端部側に、前述したロッド16を挿通し得る細長形状の管状部材18を設けた構成としている。
【0071】
本実施例は、この第二部材2に設けた管状部材18の先端部に測定部4を設け、この測定部4は、操作部3の把持操作若しくは指先摘み操作による開閉操作により、第一部材1に連結したロッド16が進退移動し、このロッド16の進退移動により開閉動作する構成としている。
【0072】
その余の構成は実施例1と同様である。尚、本実施例では、ロック機構は図示していない。
【0073】
本実施例のように、本発明の寸法測定装置を内視鏡用の鉗子タイプに構成することにより、例えば、従来は、手術の際のステイプラーを用いた吻合処理を行う際に、吻合する体腔内の臓器の厚さは医師が触手等により感覚的に測定しており、その厚さを正確に測定できないことから、吻合に最適な高さのステイプラーが選択されず、吻合部の組織の挫滅や吻合不良等が起こる可能性があったが、本実施例を用いることで、臓器を変形させたりキズ付けたりすることなく正確に且つ容易に臓器の厚みを測定することができるので、最適なステイプラーを選択でき、前述のような不具合が生じる可能性を可及的に低減することができる。
【0074】
尚、本発明は、実施例1〜3に限られるものではなく、各構成要件の具体的構成は適宜設計し得るものである。
【符号の説明】
【0075】
1 第一部材
2 第二部材
3 操作部
3A 第一操作部
3B 第二操作部
4 測定部
4A 第一測定子
4B 第二測定子
5 可動因部
6 可動部
7 受部
8 当接部
9A 第一測定子
9B 第二測定子
10 寸法表示部
11 指針部
12 目盛部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14