(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6495035
(24)【登録日】2019年3月15日
(45)【発行日】2019年4月3日
(54)【発明の名称】酸素センサ制御装置及び方法
(51)【国際特許分類】
F02D 45/00 20060101AFI20190325BHJP
【FI】
F02D45/00 368H
【請求項の数】14
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-23355(P2015-23355)
(22)【出願日】2015年2月9日
(65)【公開番号】特開2016-89819(P2016-89819A)
(43)【公開日】2016年5月23日
【審査請求日】2018年1月26日
(31)【優先権主張番号】10-2014-0148131
(32)【優先日】2014年10月29日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】591251636
【氏名又は名称】現代自動車株式会社
【氏名又は名称原語表記】HYUNDAI MOTOR COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】特許業務法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】兪 在 雄
【審査官】
佐々木 淳
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−231720(JP,A)
【文献】
特開2004−069457(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2010/0242569(US,A1)
【文献】
特開2003−329633(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02D 45/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンと、
前記エンジンの燃焼により生成される排気ガスを測定して酸素信号を生成する酸素センサと、
前記酸素信号を用いて、前記排気ガスの酸素量による応答性が遅くなるという酸素信号劣化を感知し、前記酸素信号劣化の発生要因の情報を格納し、前記発生要因に対する当該特定領域の現在ヒーティング量を増加させて前記酸素信号劣化が発生するか否かを再度確認して、前記酸素センサを故障と判断するか、又は前記酸素センサに対する故障感知を解除する制御機と、を備え、
前記制御機は、前記現在ヒーティング量の増加が最大であれば、前記酸素センサを故障と判断し、前記現在ヒーティング量の増加が最大でなければ、前記酸素センサに対する故障感知を解除することを特徴とする酸素センサ制御装置。
【請求項2】
前記酸素センサは、
前記制御機の制御に応じて前記現在ヒーティング量を生成するヒータと、
前記排気ガスを測定して前記酸素信号を生成する素子と、を備えることを特徴とする請求項1に記載の酸素センサ制御装置。
【請求項3】
前記制御機は、前記現在ヒーティング量の増加が最大でなければ、次期特定領域進入の際、再度前記酸素センサの酸素信号を測定し、測定された酸素信号の応答性が復元されていれば前記酸素センサの故障感知を解除することを特徴とする請求項1に記載の酸素センサ制御装置。
【請求項4】
前記発生要因の情報は、冷却水温、RPM(Revolution Per Minute)、吸気温、負荷、車速、及び始動後の時間のうち、少なくともいずれか1つであることを特徴とする請求項1に記載の酸素センサ制御装置。
【請求項5】
前記酸素センサは、ZrO2酸素センサであることを特徴とする請求項1に記載の酸素センサ制御装置。
【請求項6】
前記素子は、内部抵抗及び酸素信号であるラムダ電圧を前記制御機に共に伝送することを特徴とする請求項2に記載の酸素センサ制御装置。
【請求項7】
前記発生要因の情報は、ヒーティングが予め設定される基準値以下を有する特定運転条件領域を確認するために、ヒーティング量とマッピングされることを特徴とする請求項1に記載の酸素センサ制御装置。
【請求項8】
エンジンの燃焼により排気ガスが生成される排気ガス生成ステップと、
酸素センサが前記排気ガスを測定して酸素信号を生成する酸素信号生成ステップと、
制御機が、前記酸素信号を用いて前記排気ガスの酸素量による応答性が遅くなる酸素信号劣化を感知する酸素信号劣化感知ステップと、
前記制御機が、前記酸素信号劣化の発生要因の情報を格納する格納ステップと、
前記制御機が、前記発生要因に対する当該特定領域の現在ヒーティング量を増加させて前記酸素信号劣化が発生するかを再度確認する再確認ステップと、
再度の確認結果に応じて、前記制御機が前記酸素センサを故障と判断するか、前記酸素センサに対する故障感知解除する故障及び故障感知解除判断ステップと、を含み、
前記再確認ステップは、
前記制御機が、前記現在ヒーティング量の増加が最大であるか否かを判断する最大判断ステップと、
判断の結果、前記現在ヒーティング量の増加が最大であれば、前記酸素センサを故障と判断する酸素センサ故障判断ステップと、
判断の結果、前記現在ヒーティング量の増加が最大でなければ、前記酸素センサに対する故障感知解除をする故障感知解除ステップと、を含むことを特徴とする酸素センサ制御方法。
【請求項9】
前記酸素センサは、
前記制御機の制御に応じて前記現在ヒーティング量を生成するヒータと、
前記排気ガスを測定して酸素信号を生成する素子と、を備えることを特徴とする請求項8に記載の酸素センサ制御方法。
【請求項10】
前記故障感知解除ステップは、
前記制御機が、前記現在ヒーティング量の増加が最大でなければ、次期特定領域進入の際、再度前記酸素センサの酸素信号を測定するステップと、
測定された酸素信号の応答性が復元されていれば、前記酸素センサの故障感知を解除するステップと、を含むことを特徴とする請求項8に記載の酸素センサ制御方法。
【請求項11】
前記発生要因の情報は、冷却水温、RPM、吸気温、負荷、車速、及び始動後の時間のうち、少なくともいずれか1つであることを特徴とする請求項8に記載の酸素センサ制御方法。
【請求項12】
前記酸素センサは、ZrO2酸素センサであることを特徴とする請求項8に記載の酸素センサ制御方法。
【請求項13】
前記素子は、内部抵抗及び酸素信号であるラムダ電圧を前記制御機に共に伝送することを特徴とする請求項9に記載の酸素センサ制御方法。
【請求項14】
ヒーティングが予め設定される基準値以下を有する特定運転条件領域を確認するために、前記発生要因の情報とヒーティング量とをマッピングするステップを更に含むことを特徴とする請求項8に記載の酸素センサ制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酸素センサ制御装置及び方法に係り、より詳しくは、酸素信号劣化を感知し、前記酸素センサを故障と判断するか、又は前記酸素センサに対する故障感知を解除するための診断を実行する酸素センサ制御装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的なエンジン駆動装置は、エンジンをかけると、燃料ポンプがタンク内の燃料を、燃料ホースを介してインジェクタまで送り、エンジン制御装置がこのインジェクタを制御してエンジンに燃料を噴射させる。噴射された燃料は、燃焼された後、排気ガスとして排出される。
【0003】
排気ガス中の酸素濃度を測定する装置としては、酸素センサ(図示せず)を挙げることができる。酸素センサは、排気マニホールド(図示せず)の所定位置に設けられ、排気ガス中の酸素比を測定し、測定された酸素比を電子制御モジュール(ECM)に報告する。電子制御モジュールは、前記酸素比によりインジェクタ(図示せず)を制御して、エンジンに入る混合気の空燃比を調節する。
【0004】
また、排気ガス内の酸素量に反応する酸素センサは、センサ温度に応じてセンサ内部の抵抗値が変化する。ところが、温度が低いほど抵抗値が増加するため、酸素センサの出力電圧の大きさが減るようになる。出力電圧の大きさが減るようになると、電子制御モジュールECMが排気ガス中の酸素量の変化を正しく判別することができない。
【0005】
従って、排気ガス温度が低い領域でも一定の酸素センサの温度を維持させるために、酸素センサの内部にヒータを設け、排気ガスの温度に応じてヒータを制御することにより、センサ温度を一定に維持することがおこなわれる。
しかし、ヒータの性能が低下して酸素センサを一定の温度に維持することができない場合には、電子制御モジュール(ECM)は、酸素センサの内部抵抗の大きさの変化にのみに基づいて酸素センサの故障診断を実行する。
【0006】
この場合、故障診断のためには、排気ガスモデリングを用いて酸素センサの故障可否を検出する。このような方式によれば、故障可否を判断するのに多くの時間及び/又は費用を要する作業が求められる。
また、酸素センサが故障と判定されれば、酸素センサを新品に交替することになるので、実際の酸素センサの性能が改善され得る余地がない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−103121号公報.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたものであって、排気ガスモデリングという時間及び/又は労力を要する作業を回避し、酸素センサを故障と判断するか、又は前記酸素センサの性能を改善する酸素センサ制御装置及び方法を提供することにその目的がある。
【0009】
また、本発明は、ヒーティングがよくない特定運転条件領域を確認する酸素センサ制御装置及び方法を提供することに他の目的がある。
また、本発明は、酸素センサ信号の劣化が発生した場合、センサ信号を回復させるヒーティング学習を可能にする酸素センサ制御装置及び方法を提供することに更に他の目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一側面は、排気ガスモデリングという時間及び/又は努力を要する作業を回避し、酸素センサの性能を改善する酸素センサ制御装置及び方法を提供することにその目的がある。
【0011】
前記酸素センサ制御装置は、エンジンと、エンジンの燃焼により生成される排気ガスを測定して酸素信号を生成する酸素センサと、酸素信号を用いて排気ガスの酸素量による応答性が遅くなるという酸素信号劣化を感知し、酸素信号劣化の発生要因の情報を格納し、発生要因に対する当該特定領域の現在ヒーティング量を増加させて酸素信号劣化が発生するか否かを再度確認した後、酸素センサを故障と判断する。
【0012】
このとき、酸素センサは、制御機の制御に応じて現在ヒーティング量を生成するヒータと、排気ガスを測定して酸素信号を生成する素子と、を備えることを特徴とする。
【0013】
また、前記制御機は、現在ヒーティング量の増加が最大であれば、酸素センサを故障と判断し、現在ヒーティング量の増加が最大でなければ、酸素センサに対する故障感知を解除することを特徴とすることができる。
【0014】
また、前記制御機は、現在ヒーティング量の増加が最大でなければ、次期特定領域進入の際、再度酸素センサの酸素信号を測定し、測定された酸素信号の応答性が復元されていれれば、酸素センサの故障感知を解除することを特徴とすることができる。
【0015】
また、前記発生要因の情報は、冷却水温、RPM(Revolution Per Minute)、吸気温、負荷、車速、及び始動後の時間のうち、少なくともいずれか1つであることを特徴とすることができる。
【0016】
また、前記酸素センサは、ZrO
2酸素センサであることを特徴とすることができる。
また、前記素子は、内部抵抗及び酸素信号であるラムダ電圧を前記制御機に共に伝送することを特徴とすることができる。
また、前記発生要因の情報は、ヒーティングが予め設定される基準値以下を有する特定運転条件領域を確認するために、ヒーティング量とマッピングされることを特徴とすることができる。
【0017】
一方、本発明の他の一側面は、エンジンの燃焼により排気ガスが生成される排気ガス生成ステップと、酸素センサが排気ガスを測定して酸素信号を生成する酸素信号生成ステップと、制御機が、酸素信号を用いて排気ガスの酸素量による応答性が遅くなるという酸素信号劣化を感知する酸素信号劣化感知ステップと、制御機が、酸素信号劣化の発生要因の情報を格納する格納ステップと、制御機が、発生要因に対する当該特定領域の現在ヒーティング量を増加させて、酸素信号劣化が発生するか否かを再度確認する再確認ステップと、再度の確認結果に応じて、制御機が酸素センサを故障と判断するか、酸素センサに対する故障感知解除する故障及び故障感知解除判断ステップと、を含むことを特徴とする酸素センサ制御方法を提供する。
【0018】
このとき、再確認ステップは、制御機が、現在ヒーティング量の増加が最大であるかを判断する最大判断ステップと、判断の結果、現在ヒーティング量の増加が最大であれば、酸素センサを故障と判断する酸素センサ故障判断ステップと、判断の結果、現在ヒーティング量の増加が最大でなければ、酸素センサに対する故障感知解除をする故障感知解除ステップと、を含むことを特徴とすることができる。
【0019】
また、故障感知解除ステップは、制御機が、現在ヒーティング量の増加が最大でなければ、次期特定領域進入の際、再度酸素センサの酸素信号を測定するステップと、測定された酸素信号の応答性が復元されれば、酸素センサの故障感知を解除するステップと、を含むことを特徴とすることができる。
【0020】
また、前記酸素センサ制御方法は、ヒーティングが予め設定される基準値以下を有する特定運転条件領域を確認するために、発生要因の情報とヒーティング量とをマッピングするステップを更に含むことを特徴とすることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、排気ガスモデリングという時間と努力を要する作業を回避しつつ、酸素センサが故障したか否かを判断することが可能である。
また、本発明の他の効果として、冷却水温、RPM(Revolution Per Minute)、吸気温、負荷、車速、始動後の時間などの、制御機が測定可能な信号を用いてマッピングのためのレポートをするので、特定運転条件領域を確認することが可能であるという点を挙げることができる。
【0022】
また、本発明の更に他の効果としては、酸素センサの生産、散布に対するヒータ性能低下品のヒーティング学習方法を含む、酸素センサ信号の劣化が発生する場合のセンサ信号を回復させるためのヒーティング学習が可能であるという点を挙げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の一実施形態に係る酸素センサ制御装置の構成ブロック図である。
【
図2】
図1に示された酸素センサの動作を示す概念図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る酸素センサの性能を改善する過程を示すフローチャートである。
【
図4】一般的な酸素センサの温度に応じる出力特性であって、空気過剰率と平衡酸素分圧との間の関係を示すグラフである。
【
図5】一般的な酸素センサの温度に応じる出力特性であって、空気過剰率と起電力との間の関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明は、様々な変更を加えることができ、種々の実施形態を有することができるところ、特定実施形態を図面に例示し、具体的に説明しようとする。しかし、これは本発明を特定の実施形態に対して限定しようとするものではなく、本発明の思想及び技術範囲に含まれるあらゆる変更、均等物ないし代替物を含むものと理解されなければならない。
【0025】
各図面を説明しつつ、類似した参照符号を類似した構成要素に対して使用する。
第1、第2等の用語は、様々な構成要素を説明ために使用されるが、前記構成要素等は、前記用語等により限定されてはならない。前記用語等は、1つの構成要素を他の構成要素から区別する目的のみに使用される。
【0026】
例えば、本発明の権利範囲を外れないながら、第1の構成要素は第2の構成要素と命名されることができ、同様に、第2の構成要素も第1の構成要素と命名されることができる。「及び/又は」という用語は、関連して記載された複数の項目等の組み合わせ又は関連して記載された複数の項目等のうち、いずれかの項目を含む。
【0027】
異なるように定義されていない限り、技術的であるか、科学的な用語であるかを問わず、ここで使用される全ての用語は、本発明の属する技術分野における通常の知識を有した者によって一般的に理解されることと同じ意味である。
【0028】
一般的に使用される辞書に定義されているような用語等は、関連技術の文脈上で有する意味と一致する意味を有するものと解析されなければならず、本出願において明白に定義しない限り、理想的であるか、過度に形式的な意味として解析されてはならない。
以下、添付された図面を参照して、本発明の一実施形態に係る酸素センサ制御装置及び方法を詳細に説明する。
【0029】
図1は、本発明の一実施形態に係る酸素センサ制御装置の構成ブロック図である。
図1に示すように、酸素センサ制御装置は、エンジン150、エンジン150の燃焼により生成される排気ガスを測定して酸素信号を生成する酸素センサ160、酸素センサ160から酸素信号を受信して、酸素センサの故障可否を決定する制御機110、制御機110の制御によって空気量を制御するETC(Electric Throttle Control)120、制御機110の制御によって燃料の噴射量を調節するインジェクタ130、及びインジェクタ130に燃料を調節して供給する燃料ポンプレギュレータ140を備えて構成される。
【0030】
制御機110は、酸素信号を用いて、排気ガスの酸素量による応答性が遅くなるという酸素信号劣化を感知し、酸素信号劣化の発生要因の情報を格納する。また、制御機110は、発生要因に対する当該特定領域の現在ヒーティング量を増加させて、酸素信号劣化が発生するか否かを再確認し、酸素センサを故障と判断するか、又は酸素センサに対する酸素信号劣化の感知を解除する。
【0031】
ETC(Electric Throttle Control)120は、スロットルバルブ(図示せず)の開度角度を調整してエンジン150に流入する空気量を調節する。
インジェクタ130は、エンジン150に噴射される燃料量を制御する。もちろん、インジェクタ130には、燃料ポンプレギュレータ140が接続されている。燃料ポンプレギュレータ140は、燃料タンク(図示せず)及び燃料ポンプ(図示せず)などと接続される。
【0032】
エンジン150は、ガソリンエンジンが使用され得るが、これに限定されるものではなく、一部の変形を行ってディーゼルエンジンに交換することができる。
酸素センサ160は、エンジン150の燃焼により発生する排気ガスから酸素量を測定して酸素信号を生成する。酸素センサ160はラムダセンサともいうが、ラムダ(λ)は、燃焼理論に使用される場合、空気過剰率(燃料を完全燃焼させるのに必要な空気量と実際供給される空気量との比率)を示す。理論上、燃料が完全燃焼する理論的空燃比においては、ラムダ(λ)値が1になる。
【0033】
本発明の一実施形態では、酸素センサ160は、ZrO
2酸素センサが使用される例を示すが、本発明これに限定されるものではない。
従って、制御機110は、酸素センサ160により生成される酸素信号を用いて酸素センサ160の応答性を確認することができる。より詳しくは、排気ガスの酸素量雰囲気が反転されるが、酸素センサ160がこれに反応できなければ応答性が劣化する酸素信号劣化が発生したと判断する。このような応答性を用いて酸素センサ160の故障又は正常を確認することができる。
【0034】
図1は、本発明の理解のために簡略に示されているが、図示された構成要素の他にも、冷却器、負荷(例えば、ライトなどを挙げることができる)等を含んで構成されることができる。
【0035】
図2は、
図1に示された酸素センサの動作を示す概念図である。
図2に示すように、酸素センサ160は、ヒータ210及び素子220を含んで構成される。
酸素センサ160は、排気ガス内の酸素量に反応し、センサ温度に応じて素子220の内部抵抗値が変化する。より詳しくは、センサ温度が低いほど抵抗値が増加するため、センサのラムダ電圧(出力電圧)の大きさが減少する。ラムダ電圧の大きさが減少すると排気ガス中の酸素量の変化を正しく判別することができない。
【0036】
従って、排気ガス温度が低い領域でも、一定の酸素センサ160の温度を維持するために、酸素センサの内部にヒータ210が設けられる。これにより、排気ガス温度に応じてヒータ210を制御することにより、センサ温度を一定に維持することができる。もちろん、排気ガスの温度の他にも、冷却水温、RPM、吸気温、負荷、車速、及び始動後の時間などのような発生要因情報に応じてヒータ210を制御しヒーティング量を調節する。すなわち、制御機110は、デューティ(Duty)電圧制御を行い、ヒータ210で発生する発熱量を調節する。
素子220は、素子の内部抵抗(温度)及び/又はラムダ電圧を制御機110に伝送する。
【0037】
図3は、本発明の一実施形態に係る酸素センサの性能を改善する過程を示すフローチャートである。
図3に示すように、酸素センサ(
図1の160)は、エンジン(
図1の150)の燃焼により排気ガスが生成した場合に、排気ガス中の酸素量測定して酸素信号を生成する。
【0038】
制御機(
図1の110)は、このような酸素信号を酸素センサ160から受信して、排気ガスの酸素量による応答性が遅くなるという酸素信号の劣化を感知する(ステップS310)。詳しくは、排気ガス中の酸素量雰囲気が反転される場合があるが、酸素センサ160がこれに対する反応性が劣って応答性が低くなることがある。このような応答性が低くなる現象の発生要因は種々のものがありうる。すなわち、冷却水温、RPM、負荷、車速、始動後の時間などのような発生要因の情報である。
【0039】
制御機110は、酸素信号劣化の発生要因の情報を格納する(ステップS320)。より詳しくは、冷却水温の範囲、RPMの範囲などであることができる。また、このとき、特定運転条件領域を確認するために、発生要因情報とヒーティング量とをマッピングできるように、これらの発生要因情報を外部にレポートする。このようなレポートは、有線又は無線通信によって行うことができる。
【0040】
その後、制御機110は、発生要因に対する当該特定領域の現在ヒーティング量を増加させて、X%の分だけ増加させる(ステップS330)。すなわち、酸素センサ160のヒータ(
図2の210)を制御して、ヒータ(
図2の210)が生成するヒーティング量を増加させる。
【0041】
これにより、ヒータ210の増加量が最大になるか否かを確認する(ステップS340)。すなわち、酸素センサ210の応答性の回復を確認することによって、ヒータ210の増加量が最大にならない場合は、ヒータ210応答性が回復したものであり、次期同一領域進入の際、酸素センサ160の応答性を再度測定し、正常な応答性を示すか否かを確認する(ステップS350、S360)。
【0042】
確認の結果、ステップS360において酸素センサ160が正常な応答性を示した場合は、酸素センサ160に対する故障感知を解除する(ステップS370)。
これとは異なり、ステップS360において酸素センサ160が正常な応答性を示さなければ、ステップS330ないしステップS360を繰り返し実行する。
一方、ステップS340においてヒータ210の増加量が最大になった場合は、これは酸素センサ160の信号が正確でないので、これを故障と判断する(ステップS341)。
【0043】
図4は、一般的な酸素センサの温度に応じる出力特性であって、空気過剰率と平衡酸素分圧との間の関係を示すグラフである。
図4に示すように、酸素センサの性能は、排気ガス流量(拡散)、外側電極の触媒作用、白金電極の気孔率、Overcoat種類などの特性によって決定される。従って、
図4に示すように、空気過剰率の理論上、混合比が豊富な方は左側であり、混合比が不足した方が右側である。従って、混合比が豊富で、温度が低いほど、平衡酸素分圧が低い。
【0044】
図5は、一般的に酸素センサの温度に応じる出力特性であって、空気過剰率と起電力との間の関係を示すグラフである。
図5に示すように、空気過剰率の理論上、混合比が豊富な方は左側であり、混合比が不足した方が右側である。従って、混合比が豊富で、温度が低いほど起電力が高い。
【0045】
起電力は、次の式のように表すことができる。
【数1】
【符号の説明】
【0046】
110 制御機
120 ETC(Electric Throttle Control)
130 インジェクタ
140 燃料ポンプレギュレータ
150 エンジン
160 酸素センサ
210 ヒータ
220 素子