(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6495085
(24)【登録日】2019年3月15日
(45)【発行日】2019年4月3日
(54)【発明の名称】ベルトモール
(51)【国際特許分類】
B60J 10/75 20160101AFI20190325BHJP
B60R 13/04 20060101ALI20190325BHJP
【FI】
B60J10/75
B60R13/04 B
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-88223(P2015-88223)
(22)【出願日】2015年4月23日
(65)【公開番号】特開2016-203807(P2016-203807A)
(43)【公開日】2016年12月8日
【審査請求日】2018年2月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】590001164
【氏名又は名称】シロキ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085187
【弁理士】
【氏名又は名称】井島 藤治
(72)【発明者】
【氏名】原田 卓
(72)【発明者】
【氏名】福井 勝久
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 靖久
【審査官】
高島 壮基
(56)【参考文献】
【文献】
特開2010−285130(JP,A)
【文献】
特開2013−082408(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60J 10/00−10/90
B60R 13/04
13/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車内側壁,車外側壁,前記車内側壁の上端部、前記車外側壁の上端部を繋ぐ接続壁,を有し、樹脂でなるモール本体と、
該モール本体の前記車内側壁の車内側の面の上端部に設けられ、前記モール本体と異なる材質の樹脂でなる意匠リップと、
前記モール本体の車外側の面の少なくとも一部と,前記意匠リップの車外側の面の少なくとも一部とを跨ぐように覆い、前記モール本体と異なる材質の樹脂でなる層状の意匠部と、
を有するベルトモールにおいて、
前記モール本体と対向する前記意匠部の車外側の面と、前記意匠リップと対向する前記意匠部の車外側の面とは、段になっていることを特徴とするベルトモール。
【請求項2】
前記段の境目は、前記モール本体と前記意匠リップとの境目であることを特徴とする請求項1記載のベルトモール。
【請求項3】
前記モール本体と前記意匠リップとの境目を跨ぐように形成された凹部を有し、
前記段の境目は、前記凹部内であることを特徴とする請求項1記載のベルトモール。
【請求項4】
前記意匠リップと対向する前記意匠部の車外側の面の方が、前記モール本体と対向する前記意匠部の車外側の面より高いことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか記載のベルトモール。
【請求項5】
前記意匠部は、前記意匠リップと異なる材質であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか記載のベルトモール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用ドアに対して昇降するスライドガラスの表面に摺接することにより、スライドガラス表面の汚れや水分を除去するベルトモールに関する。
【背景技術】
【0002】
図5は従来のベルトモールの断面図である。図において、ベルトモール1は、車両用ドアのアウタパネル3の上縁部3aに設けられる。
ベルトモール1は、車外側壁5a,車内側壁5b,車外側壁5aの上端部、車内側壁5bの上端部を繋ぐ接続壁5cを有し、樹脂(例えば、PP(ポリプロピレン)等の軟質樹脂)でなり、アウタパネル3の上縁部3aを挟むモール本体5を有している。
【0003】
モール本体5の車内側壁5bの車内側の面の上端部には、モール本体5と異なる材質の樹脂(モール本体5より軟質の樹脂、例えばTPO(ポリオレフィン系軟質樹脂))でなる意匠リップ7が形成されている。この意匠リップ7は、モール本体5とスライドガラス9とのの隙間をある程度覆い、意匠性を向上させるために形成されたものである。
【0004】
更に、モール本体5の車内側壁5bの車内側の面には、昇降するスライドガラス9に摺接可能な上シールリップ11と下シールリップ13とが形成されている。上シールリップ11、下シールリップ13は、モール本体5より軟質の樹脂(例えばTPO(ポリオレフィン系軟質樹脂))でなっている。上シールリップ11、下シールリップ13の車内側の側面には、スライドガラス9の表面に付着したごみ(汚れ)や水分を除去する植毛部11a、植毛部13aが形成されている。
【0005】
また、モール本体5の車内側壁5bの車内側の面で、上シールリップ11と下シールリップ13との間には、モール本体5と同じ材質でなり、下シールリップ13が当接可能で、下シールリップ13の過度な曲げを禁止する突条15が形成されている。
モール本体5の車外側壁5aの車内側の面には、アウタパネル3に当接可能な内リップ17が形成されている。更に、モール本体5の車外側壁5aの下端には、アウタパネル3に当接可能なボデータッチリップ19が形成されている。内リップ17、ボデータッチリップ19は、モール本体5より軟質の樹脂(例えばTPO(ポリオレフィン系軟質樹脂))でなっている。
【0006】
モール本体5の車外側壁5a、接続壁5cの車外側の面と、意匠リップ7の車外側の面とを跨ぐように覆う意匠部21が設けられている。この意匠部21は、モール本体5より成形収縮率が高い樹脂(例えば、高結晶ポリプロピレン)でなっている。
そして、モール本体5、意匠リップ7、上シールリップ11、下シールリップ13、内リップ17、ボデータッチリップ19は、押し出し成形により一体的に形成される(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特願2010-285130号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
溶融した樹脂は、冷えることにより収縮する。押し出し成形や射出成形で成形された樹脂成形品は、溶融した樹脂が収縮することにより、表面に「ヒケ」と呼ばれる凹部が発生する。特に、成形品が収縮率が異なる複数の樹脂で構成される場合、異なる材料の境目でヒケが発生する。
【0009】
図5に示すような構成では、
図5のモール本体5と意匠リップ7との境目の拡大図である
図6に示すように、モール本体5の車内側壁5bと意匠リップ7との境目で、ヒケHが発生する。
特に、モール本体5の車内側壁5bと意匠リップ7との境目Sを跨ぐように発生するヒケHにより、意匠部21の外部に露出する意匠面21aには凹部21bが形成され、見映えが悪いという問題点がある。
【0010】
ヒケHを無くすために、「ヒケ」による変形量を見込んだ金型形状にする方法があるが、ヒケHをぼかすことはできても、完全に消すことは困難であり、意匠面21aには凹部21bが形成され、やはり見映えが悪いという問題点がある。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、その課題は、見映えがよいベルトモールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した課題のうち少なくとも一つを実現するために、本発明の一側面を反映したベルトモールは、車内側壁,車外側壁,前記車内側壁の上端部、前記車外側壁の上端部を繋ぐ接続壁,を有し、樹脂でなるモール本体と、該モール本体の前記車内側壁の車内側の面の上端部に設けられ、前記モール本体と異なる材質の樹脂でなる意匠リップと、前記モール本体の車外側の面の少なくとも一部と,前記意匠リップの車外側の面の少なくとも一部とを跨ぐように覆い、前記モール本体と異なる材質の樹脂でなる層状の意匠部と、を有するベルトモールにおいて、前記モール本体と対向する前記意匠部の車外側の面と、前記意匠リップと対向する前記意匠部の車外側の面とは、段になっていることを特徴とする。
【0012】
本発明の他の特徴は、以下に述べる発明を実施するための形態並びに添付の図面から一層明らかになるであろう。
【発明の効果】
【0013】
本発明のベルトモールによれば、前記モール本体と対向する前記意匠部の車外側の面と、前記意匠リップと対向する前記意匠部の車外側の面とは、段になっている。
よって、モール本体と意匠リップとの材質の違いにより、前記モール本体と対向する前記意匠部の車外側の面と、前記意匠リップと対向する前記意匠部の車外側の面との間にヒケによる凹部が発生しても、凹部内に段の境目があるように段を形成すれば、凹部が目立ちにくくなり、見映えがよい。
【0014】
本発明の他の効果は、以下に述べる発明を実施するための形態並びに添付の図面から一層明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】第1実施形態のベルトモールの断面を説明する図で、
図2の切断線I−Iでの断面図である。
【
図2】
図1のモール本体と意匠リップとの境目の拡大図である。
【
図3】第1実施形態のベルトモールが設けられる車両を側面から見た図である。
【
図6】
図5のモール本体と意匠リップとの境目の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
<第1実施形態>
図3は、第1実施形態のベルトモールが設けられる車両を側面から見た図である。フロントドア51のアウタパネル53とドアサッシュ55とは金属製であり、アウタパネル53とドアサッシュ55との間には、窓孔57が形成されている。窓孔57内には、アウタパネル53とインナパネル(図示せず)との間に位置するスライドガラス59が昇降自在に設けられている。
【0017】
同様に、リアドア61のアウタパネル63とドアサッシュ65とは金属製であり、アウタパネル63とドアサッシュ65との間には、窓孔67が形成されている。窓孔67内には、アウタパネル63とインナパネル(図示せず)との間に位置するスライドガラス69が昇降自在に設けられている。
【0018】
フロントドア51のアウタパネル53の上縁にはベルトモール71が取り付けられている。リアドア61のアウタパネル63の上縁にもベルトモール73が取り付けられている。
ベルトモール71、ベルトモール73はフロントドア51、リアドア61の前後方向のみ延出する細長形状であり、断面形状は略同一である。
【0019】
よって、以下、フロントドア51に取り付けられたベルトモール71を説明し、リアドア61に取り付けられたベルトモール73の説明は省略する。
図1は実施形態のベルトモール71の断面を説明する図で、
図3の切断線I−Iでの断面図、
図2は
図1のモール本体と意匠リップとの境目の拡大図である。
【0020】
ベルトモール71は、車外側壁75a,車内側壁75b,車外側壁75aの上端部、車内側壁75bの上端部を繋ぐ接続壁75cを有し、樹脂(例えば、PP(ポリプロピレン)等の軟質樹脂)でなり、アウタパネル53の上縁部53aを挟むモール本体75を有している。
【0021】
モール本体75の車内側壁75bの車内側の面の上端部には、モール本体75と異なる材質の樹脂(モール本体75より軟質の樹脂、例えばTPO(ポリオレフィン系軟質樹脂))でなる意匠リップ77が形成されている。この意匠リップ77は、モール本体75とスライドガラス59との隙間をある程度覆い、意匠性を向上させるために形成されたものである。
【0022】
更に、モール本体75の車内側壁75bの車内側の面には、昇降するスライドガラス59に摺接可能な上シールリップ81と下シールリップ83とが形成されている。上リップ81、下シールリップ83は、モール本体75より軟質の樹脂(例えばTPO(ポリオレフィン系軟質樹脂))でなっている。上シールリップ81、下シールリップ83の車内側の側面には、スライドガラス59の表面に付着したごみ(汚れ)や水分を除去する植毛部81a、植毛部83aが形成されている。
【0023】
また、モール本体75の車内側壁75bの車内側の面で、上シールリップ81と下シールリップ83との間には、モール本体75と同じ材質でなり、下シールリップ83が当接可能で、下シールリップ83の過度な曲げを禁止する突条85が形成されている。
モール本体75の車外側壁75aの車内側の面には、アウタパネル53に当接可能な内リップ87が形成されている。更に、モール本体75の車外側壁75aの下端には、アウタパネル53に当接可能なボデータッチリップ89が形成されている。内リップ87、ボデータッチリップ89は、モール本体5より軟質の樹脂(例えばTPO(ポリオレフィン系軟質樹脂))でなっている。
【0024】
モール本体75の車外側壁75a、接続壁75cの車外側の面と、意匠リップ77の車外側の面とを跨ぐように覆う意匠部91が設けられている。この意匠部91は、モール本体75より成形収縮率が高い樹脂(例えば、高結晶ポリプロピレン)でなっている。
モール本体75、意匠リップ77、上シールリップ81、下シールリップ83、内リップ87、ボデータッチリップ89は、押し出し成形により一体的に形成される。
【0025】
そして、本実施形態では、
図2に示すように、意匠部91の外部に露出する意匠面のうちのモール本体75と対向する意匠部91の車外側の面91aと、意匠リップ77と対向する意匠部91の車外側の面91bとは、段になっている。
具体的には、意匠部91の車外側の面91aに対向するモール本体75の面75dと、意匠部91の車外側の面91bに対向する意匠リップ77の面77aとが段になるように、モール本体75と意匠リップ77を形成した。更に、面77aの方が面75dより高くなるように形成した。段の境目は、モール本体75と意匠リップ77との境目Sとした。更に、意匠部91の厚さは、一定とした。
【0026】
よって、意匠リップ77と対向する意匠部91の車外側の面91bの方が、モール本体75と対向する意匠部91の車外側の面91aより高い段となっている。
尚、モール本体75の車内側壁75bと意匠リップ77との境目Sには、ヒケHが発生している。
【0027】
上記構成によれば、以下の効果が得られる。
(1) モール本体75と意匠リップ77との境目Sを、意匠部91の車外側の面91aと、意匠部91の車外側の面91bとの段の境目とした。
よって、モール本体75の車内側壁75bと意匠リップ77との境目SにヒケHが発生し、このヒケHにより意匠部91に凹部91cが形成されても、意匠部91の車外側の面91aと、意匠部91の車外側の面91bとは段になっていることにより、凹部91cが目立ちにくくなり、見映えが良い。
【0028】
(2) 意匠リップ77と対向する意匠部91の車外側の面91bの方が、モール本体75と対向する意匠部91の車外側の面91aより高い段となっている。
よって、意匠リップ77側に付着した水がモール本体75側へ流れ、フロントドア51のアウタパネル53と図示しないインナパネルとの間から水がフロントドア51内へ浸入するのを防止できる。
【0029】
尚、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
上記実施形態では、段の境目は、モール本体75と意匠リップ77との境目Sとしたが、それに限定するものではなく、ヒケHが形成される範囲(ヒケHによって形成される凹部91cが形成される範囲)内に、段の境目があれば、凹部91cが目立ちにくくなり、見映えが良い。尚、一般に、ヒケHによって形成される凹部91cは、モール本体75の車内側壁75bと意匠リップ77との境目Sを中心に、モール本体75側に2mm程度、意匠リップ77側に2mm程度である。
【0030】
また、段を形成する構造として、意匠部91の厚さを変えることで、モール本体75と対向する意匠部91の車外側の面91aと、意匠リップ77と対向する意匠部91の車外側の面91bとを段とすることも可能である。
更に、本実施形態の意匠部91は、モール本体75の車外側壁75aの面の全域、接続壁75cの車外側の面の全域と、意匠リップ77の車外側の面とを跨ぐように覆っているが、モール本体75の車外側の面の少なくとも一部と、意匠リップ77の車外側の面の少なくとも一部とを跨ぐように覆けば、本発明の段は形成することができる。
【0031】
更に、上記実施形態では、フロントドア51のベルトモール71で説明を行ったが、リアドア61のベルトモール73にも適用できることは言うまでもない。
<第2実施形態>
第2実施形態のベルトモールの断面図である
図4を用いて説明する。第2実施形態と第1実施形態との相違点は、意匠部と意匠リップの材質であり、他の部分は同一である。よって、第1実施形態と同じ部分は同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0032】
第1実施形態では、意匠リップ77と、意匠部91とは異なる材材質であったが、本実施形態では、
図4に示すように、意匠リップ191dと、意匠部191cとを同一材料としている。
意匠リップ191dと意匠部191cの材質は、モール本体75と異なる材質の樹脂(モール本体75より軟質の樹脂、例えばTPO(ポリオレフィン系軟質樹脂))でなっている。
【0033】
そして、モール本体75と対向する意匠部191cの車外側の面191aと、意匠リップ191dと対向する意匠部191cの車外側の面191bとは、段になっている。
具体的には、意匠部191cの厚さを変えることで、モール本体75と対向する意匠部191cの車外側の面191aと、意匠リップ191dと対向する意匠部191の車外側の面191bとが段となるようにした。段の境目は、モール本体75と意匠リップ191dとの境目Sとした。更に、面191bの方が面191aより高い段となっている。
【0034】
このような構成でも、第1実施形態と同じ効果が得られる。
【符号の説明】
【0035】
75 モール本体
75b 車内側壁
77 意匠リップ
91 意匠部
91a モール本体と対向する意匠部の車外側の面
91b 意匠リップと対向する意匠部の車外側の面