特許第6495105号(P6495105)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ トヨタ紡織株式会社の特許一覧 ▶ 共和産業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6495105-車両用サンバイザ 図000002
  • 特許6495105-車両用サンバイザ 図000003
  • 特許6495105-車両用サンバイザ 図000004
  • 特許6495105-車両用サンバイザ 図000005
  • 特許6495105-車両用サンバイザ 図000006
  • 特許6495105-車両用サンバイザ 図000007
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6495105
(24)【登録日】2019年3月15日
(45)【発行日】2019年4月3日
(54)【発明の名称】車両用サンバイザ
(51)【国際特許分類】
   B60J 3/02 20060101AFI20190325BHJP
【FI】
   B60J3/02 F
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-113452(P2015-113452)
(22)【出願日】2015年6月3日
(65)【公開番号】特開2016-222212(P2016-222212A)
(43)【公開日】2016年12月28日
【審査請求日】2018年2月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000241500
【氏名又は名称】トヨタ紡織株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】599041329
【氏名又は名称】共和産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094190
【弁理士】
【氏名又は名称】小島 清路
(74)【代理人】
【識別番号】100151644
【弁理士】
【氏名又は名称】平岩 康幸
(72)【発明者】
【氏名】滑川 宏樹
(72)【発明者】
【氏名】木下 雄太
(72)【発明者】
【氏名】戎岡 典雄
【審査官】 小河 了一
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2014/0354005(US,A1)
【文献】 特開2009−107395(JP,A)
【文献】 特開2006−130967(JP,A)
【文献】 特開平08−002250(JP,A)
【文献】 独国特許発明第03441177(DE,C2)
【文献】 特開平08−058369(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60J 3/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両天井部に対して格納位置と使用位置との間で回動自在に支持されるサンバイザ本体と、前記サンバイザ本体に設けられた取付部に取り付けられるミラーと、を備える車両用サンバイザであって、
前記使用位置に位置する前記サンバイザ本体の表面のうちの前記取付部の下部となる領域を下部表面領域としたときに、前記下部表面領域には、前記サンバイザ本体の短軸方向(Q)に延びる補強リブが前記サンバイザ本体の長軸方向(P)に所定間隔で複数並設されており、
前記所定間隔は、前記下部表面領域の前記短軸方向(Q)の間隔(L)より小さく、
前記下部表面領域は、前記取付部の前記長軸方向(P)の間隔と略同じ又は前記取付部の前記長軸方向(P)の間隔よりも大きな前記長軸方向(P)の間隔を有していることを特徴とする車両用サンバイザ。
【請求項2】
前記下部表面領域には、前記長軸方向(P)に延びる横リブが複数の前記補強リブと交差するように設けられており、
前記下部表面領域には、前記サンバイザ本体を構成する一対の半割体を接合するための突起状の補強ボスが立設されており、
前記補強ボスは、前記取付部の前記長軸方向(P)の中央側の下部に配される中央側補強ボスと、前記取付部の前記長軸方向(P)の端側の下部に配される端側補強ボスと、を備え、
前記中央側補強ボス及び前記端側補強ボスのそれぞれは、前記横リブと前記補強リブとの交差部に配置されている請求項1記載の車両用サンバイザ。
【請求項3】
前記下部表面領域の少なくとも一部を含み且つ前記サンバイザ本体の前記長軸方向(P)の中央部を含む中央補強部の板厚は、前記サンバイザ本体の前記中央補強部以外の部分の板厚より大きく、
前記中央補強部は、前記取付部を含む前記サンバイザ本体の前記短軸方向(Q)に沿う断面において、前記取付部の下端部から前記サンバイザ本体の下端縁に向かって延びている請求項1又は2に記載の車両用サンバイザ。
【請求項4】
前記下部表面領域は、前記取付部の下端縁と前記サンバイザ本体の下端縁との間隔と略同じ前記短軸方向(Q)の間隔(L)を有している請求項1乃至3のいずれか一項に記載の車両用サンバイザ。
【請求項5】
前記サンバイザ本体の前記下部表面領域以外の部分には、前記短軸方向(Q)に延びる縦リブが前記長軸方向(P)に前記所定間隔より大きな間隔で複数並設されている請求項1乃至4のいずれか一項に記載の車両用サンバイザ。
【請求項6】
車両天井部に対して格納位置と使用位置との間で回動自在に支持されるサンバイザ本体と、前記サンバイザ本体に設けられた取付部に取り付けられるミラーと、を備える車両用サンバイザであって、
前記使用位置に位置する前記サンバイザ本体の表面のうちの前記取付部の下部となる領域を下部表面領域としたときに、前記下部表面領域の少なくとも一部を含み且つ前記サンバイザ本体の長軸方向(P)の中央部を含む中央補強部の板厚は、前記サンバイザ本体の前記中央補強部以外の部分の板厚より大きく、
前記中央補強部は、前記取付部を含む前記サンバイザ本体の短軸方向(Q)に沿う断面において、前記取付部の下端部から前記サンバイザ本体の下端縁に向かって延びていることを特徴とする車両用サンバイザ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用サンバイザに関し、さらに詳しくは、サンバイザ本体の表面側にミラーを備えてなる車両用サンバイザに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の車両用サンバイザとして、車両天井部に対して格納位置と使用位置との間で回動自在に支持されるサンバイザ本体と、サンバイザ本体に設けられた取付部に取り付けられるミラーと、を備えるものが一般に知られている(例えば、特許文献1等参照)。この特許文献1には、事故時等において、使用位置に位置するサンバイザ本体のミラーの鏡面に対して乗員の頭部が垂直方向から衝突した場合に、ミラーが凹状の取付部に落ち込むことで、サンバイザ本体から外れることを防止する技術が開示されている。
【0003】
【特許文献1】特開2004−58890号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記特許文献1の車両用サンバイザでは、サンバイザ本体の平面方向の剛性について何ら考慮されていない。よって、事故時等において、格納位置と使用位置との中間の半開き状態であるサンバイザ本体の下端縁に対して乗員の頭部がサンバイザ本体の平面方向から衝突する場合、即ちサンバイザ本体の下端縁から平面方向に荷重や衝撃等が作用する場合には、ミラー角部での応力集中が増大するとともに、サンバイザ本体に割れや変形等が発生して、サンバイザ本体からミラーが外れて飛散してしまう恐れがある。
【0005】
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、サンバイザ本体の下端縁から平面方向に荷重や衝撃等が作用しても、サンバイザ本体からミラーが外れて飛散してしまうことを防止できる車両用サンバイザを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記問題を解決するために、請求項1に記載の発明は、車両天井部に対して格納位置と使用位置との間で回動自在に支持されるサンバイザ本体と、前記サンバイザ本体に設けられた取付部に取り付けられるミラーと、を備える車両用サンバイザであって、前記使用位置に位置する前記サンバイザ本体の表面のうちの前記取付部の下部となる領域を下部表面領域としたときに、前記下部表面領域には、前記サンバイザ本体の短軸方向(Q)に延びる補強リブが前記サンバイザ本体の長軸方向(P)に所定間隔で複数並設されており、前記所定間隔は、前記下部表面領域の前記短軸方向(Q)の間隔(L)より小さく、前記下部表面領域は、前記取付部の前記長軸方向(P)の間隔と略同じ又は前記取付部の前記長軸方向(P)の間隔よりも大きな前記長軸方向(P)の間隔を有していることを要旨とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記下部表面領域には、前記長軸方向(P)に延びる横リブが複数の前記補強リブと交差するように設けられており、前記下部表面領域には、前記サンバイザ本体を構成する一対の半割体を接合するための突起状の補強ボスが立設されており、前記補強ボスは、前記取付部の前記長軸方向(P)の中央側の下部に配される中央側補強ボスと、前記取付部の前記長軸方向(P)の端側の下部に配される端側補強ボスと、を備え、前記中央側補強ボス及び前記端側補強ボスのそれぞれは、前記横リブと前記補強リブとの交差部に配置されていることを要旨とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の発明において、前記下部表面領域の少なくとも一部を含み且つ前記サンバイザ本体の前記長軸方向(P)の中央部を含む中央補強部の板厚は、前記サンバイザ本体の前記中央補強部以外の部分の板厚より大きく、前記中央補強部は、前記取付部を含む前記サンバイザ本体の前記短軸方向(Q)に沿う断面において、前記取付部の下端部から前記サンバイザ本体の下端縁に向かって延びていることを要旨とする。
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の発明において、前記下部表面領域は、前記取付部の下端縁と前記サンバイザ本体の下端縁との間隔と略同じ前記短軸方向(Q)の間隔(L)を有していることを要旨とする。
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の発明において、前記サンバイザ本体の前記下部表面領域以外の部分には、前記短軸方向(Q)に延びる縦リブが前記長軸方向(P)に前記所定間隔より大きな間隔で複数並設されていることを要旨とする。
上記問題を解決するために、請求項6に記載の発明は、車両天井部に対して格納位置と使用位置との間で回動自在に支持されるサンバイザ本体と、前記サンバイザ本体に設けられた取付部に取り付けられるミラーと、を備える車両用サンバイザであって、前記使用位置に位置する前記サンバイザ本体の表面のうちの前記取付部の下部となる領域を下部表面領域としたときに、前記下部表面領域の少なくとも一部を含み且つ前記サンバイザ本体の長軸方向(P)の中央部を含む中央補強部の板厚は、前記サンバイザ本体の前記中央補強部以外の部分の板厚より大きく、前記中央補強部は、前記取付部を含む前記サンバイザ本体の短軸方向(Q)に沿う断面において、前記取付部の下端部から前記サンバイザ本体の下端縁に向かって延びていることを要旨とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の車両用サンバイザによると、使用位置に位置するサンバイザ本体の表面のうちの取付部の下部となる領域を下部表面領域としたときに、下部表面領域には、サンバイザ本体の短軸方向に延びる補強リブがサンバイザ本体の長軸方向に所定間隔で複数並設されており、所定間隔は、下部表面領域の短軸方向の間隔より小さい。これにより、サンバイザ本体の下部表面領域の平面方向の剛性が高められる。そのため、サンバイザ本体の下端縁から平面方向に荷重や衝撃等が作用しても、ミラー角部での応力集中が低減されるとともに、サンバイザ本体に割れや変形等が発生する前に車両天井部に対するサンバイザ本体の支持部が破損等することで、サンバイザ本体自体が車両天井部から外れる。その結果、サンバイザ本体からミラーが外れて飛散してしまうことが防止される。
また、前記下部表面領域に、サンバイザ本体を構成する一対の半割体を接合するための突起状の補強ボスが立設されている場合は、サンバイザ本体の下部表面領域の平面方向の剛性が更に高められる。
また、前記下部表面領域の少なくとも一部を含み且つ前記サンバイザ本体の長軸方向の中央部となる中央補強部の板厚が、前記サンバイザ本体の前記中央補強部以外の部分の板厚より大きい場合は、サンバイザ本体の下部表面領域の平面方向の剛性が更に高められる。
さらに、前記補強ボスが、前記取付部の長軸方向の中央側の下部に配される中央側補強ボスと、前記取付部の長軸方向の端側の下部に配される端側補強ボスと、を備える場合は、サンバイザ本体の下部表面領域の平面方向の剛性が更に高められる。
【0008】
なお、参考例に係る車両用サンバイザによると、使用位置に位置するサンバイザ本体の表面のうちの取付部の下部となる領域を下部表面領域としたときに、下部表面領域には、サンバイザ本体を構成する一対の半割体を接合するための突起状の補強ボスが立設されており、補強ボスは、取付部の長軸方向の中央側の下部に配される中央側補強ボスと、取付部の長軸方向の端側の下部に配される端側補強ボスと、を備える。これにより、サンバイザ本体の下部表面領域の平面方向の剛性が高められる。そのため、サンバイザ本体の下端縁から平面方向に荷重や衝撃等が作用しても、ミラー角部での応力集中が低減されるとともに、サンバイザ本体に割れや変形等が発生する前に車両天井部に対するサンバイザ本体の支持部が破損等することで、サンバイザ本体自体が車両天井部から外れる。その結果、サンバイザ本体からミラーが外れて飛散してしまうことが防止される。
【0009】
本発明の更に他の車両用サンバイザによると、使用位置に位置するサンバイザ本体の表面のうちの取付部の下部となる領域を下部表面領域としたときに、下部表面領域の少なくとも一部を含み且つサンバイザ本体の長軸方向の中央部となる中央補強部の板厚は、サンバイザ本体の中央補強部以外の部分の板厚より大きい。これにより、サンバイザ本体の下部表面領域の平面方向の剛性が高められる。そのため、サンバイザ本体の下端縁から平面方向に荷重や衝撃等が作用しても、ミラー角部での応力集中が低減されるとともに、サンバイザ本体に割れや変形等が発生する前に車両天井部に対するサンバイザ本体の支持部が破損等することで、サンバイザ本体自体が車両天井部から外れる。その結果、サンバイザ本体からミラーが外れて飛散してしまうことが防止される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本発明について、本発明による典型的な実施形態の非限定的な例を挙げ、言及された複数の図面を参照しつつ以下の詳細な記述にて更に説明するが、同様の参照符号は図面のいくつかの図を通して同様の部品を示す。
図1】実施例に係る車両用サンバイザを備える車両天井部を車室内から見上げた状態を示す斜視図である。
図2】上記車両用サンバイザの斜視図である。
図3図2のIII−III線断面図である。
図4】実施例に係るサンバイザ本体(表側半割体)の裏面図である。
図5】上記サンバイザ本体を説明するための説明図であり、(a)は下部表面領域の説明図を示し、(b)は中央補強部の説明図を示す。
図6】上記車両用サンバイザの衝撃吸収試験を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
ここで示される事項は例示的なものおよび本発明の実施形態を例示的に説明するためのものであり、本発明の原理と概念的な特徴とを最も有効に且つ難なく理解できる説明であると思われるものを提供する目的で述べたものである。この点で、本発明の根本的な理解のために必要である程度以上に本発明の構造的な詳細を示すことを意図してはおらず、図面と合わせた説明によって本発明の幾つかの形態が実際にどのように具現化されるかを当業者に明らかにするものである。
【0012】
<車両用サンバイザ>
本実施形態に係る車両用サンバイザは、車両天井部(2)に対して格納位置(A)と使用位置(B)との間で回動自在に支持されるサンバイザ本体(3)と、サンバイザ本体に設けられた取付部(13)に取り付けられるミラー(5)と、を備える車両用サンバイザ(1)である(例えば、図1等参照)。そして、使用位置(B)に位置するサンバイザ本体(3)の表面のうちの取付部(13)の下部となる領域を下部表面領域(21)としたときに、下部表面領域(21)には、サンバイザ本体の短軸方向(Q)に延びる補強リブ(23)がサンバイザ本体の長軸方向(P)に所定間隔(p)で複数並設されており、所定間隔(p)は、下部表面領域(21)の短軸方向の間隔(L)より小さい(例えば、図4及び図5(a)等参照)。
【0013】
なお、上記所定間隔(p)としては、例えば、5〜15mm(好ましくは7〜10mm)を挙げることができる。また、上記下部表面領域(21)の短軸間隔(L)としては、例えば、15〜30mm(好ましくは20〜25mm)を挙げることができる。
【0014】
本実施形態に係る車両用サンバイザとしては、例えば、上記下部表面領域(21)には、サンバイザ本体(3)を構成する一対の半割体(3a、3b)を接合するための突起状の補強ボス(26)が立設されている形態(例えば、図3及び図4等参照)を挙げることができる。
【0015】
上述の形態の場合、例えば、上記補強ボス(26)は、取付部(13)の長軸方向の中央側の下部に配される中央側補強ボス(26a)と、取付部(13)の長軸方向の端側の下部に配される端側補強ボス(26b、26c)と、を備えることができる(例えば、図4等参照)。
【0016】
本実施形態に係る車両用サンバイザとしては、例えば、上記下部表面領域(21)の少なくとも一部を含み且つサンバイザ本体(3)の長軸方向の中央部となる中央補強部(34)の板厚(t1)は、サンバイザ本体(3)の中央補強部(34)以外の部分の板厚(t2)より大きい形態(例えば、図3及び図5(b)等参照)を挙げることができる。
【0017】
本実施形態に係る車両用サンバイザとしては、例えば、上記下部表面領域(21)には、サンバイザ本体の長軸方向(P)に延びる補強リブ(31)が複数の補強リブ(23)と交差するように設けられている形態(例えば、図4等参照)を挙げることができる。これにより、サンバイザ本体の下部表面領域の平面方向の剛性が更に高められる。
【0018】
上述の形態の場合、例えば、上記補強ボス(26)は、補強リブ(23)及び補強リブ(31)と交差するように配されていることができる(例えば、図4等参照)。これにより、サンバイザ本体の下部表面領域の平面方向の剛性が更に高められる。
【0019】
<他の車両用サンバイザ>
本実施形態に係る他の車両用サンバイザは、車両天井部(2)に対して格納位置(A)と使用位置(B)との間で回動自在に支持されるサンバイザ本体(3)と、サンバイザ本体に設けられた取付部(13)に取り付けられるミラー(5)と、を備える車両用サンバイザ(1)である(例えば、図1等参照)。そして、使用位置(B)に位置するサンバイザ本体(3)の表面のうちの取付部(13)の下部となる領域を下部表面領域(21)としたときに、下部表面領域(21)には、サンバイザ本体(3)を構成する一対の半割体(3a、3b)を接合するための突起状の補強ボス(26)が立設されており、補強ボス(26)は、取付部(13)の長軸方向の中央側の下部に配される中央側補強ボス(26a)と、取付部(13)の長軸方向の端側の下部に配される端側補強ボス(26b、26c)と、を備える(例えば、図4及び図5(a)等参照)。なお、本実施形態に係る他の車両用サンバイザは、例えば、上記実施形態に係る車両用サンバイザで説明した構成を適用することができる。
【0020】
<更に他の車両用サンバイザ>
本実施形態に係る更に他の車両用サンバイザは、車両天井部(2)に対して格納位置(A)と使用位置(B)との間で回動自在に支持されるサンバイザ本体(3)と、サンバイザ本体に設けられた取付部(13)に取り付けられるミラー(5)と、を備える車両用サンバイザ(1)である(例えば、図1等参照)。そして、使用位置(B)に位置するサンバイザ本体(3)の表面のうちの取付部(13)の下部となる領域を下部表面領域(21)としたときに、下部表面領域(21)の少なくとも一部を含み且つサンバイザ本体の長軸方向(P)の中央部となる中央補強部(34)の板厚(t1)は、サンバイザ本体(3)の中央補強部(34)以外の部分の板厚(t2)より大きい(例えば、図3及び図5等参照)。なお、本実施形態に係る他の車両用サンバイザは、例えば、上記実施形態に係る車両用サンバイザで説明した構成を適用することができる。
【0021】
なお、上記実施形態で記載した各構成の括弧内の符号は、後述する実施例に記載の具体的構成との対応関係を示すものである。
【実施例】
【0022】
以下、図面を用いて実施例により本発明を具体的に説明する。
【0023】
(1)車両用サンバイザの構成
本実施例に係る車両用サンバイザ1は、図1及び図2に示すように、平面略矩形状のサンバイザ本体3と、サンバイザ本体3に取り付けられる平面略矩形状のミラー5と、を備えている。このサンバイザ本体3の一方の上角部には、略L字状の支持アーム7の一端側を回動自在に支持する軸受部8が取り付けられている。この支持アーム7の他端側は、ブラケット9を介して車室天井部2に取り付けられている。また、サンバイザ本体3の他方の上角部には、車両天井部2に設けられたフック(図示省略)に回動可能に掛け止めされるホルダ10が設けられている。そして、サンバイザ本体3は、車両天井部2の表面に沿って格納される格納位置Aと、ウィンドウ11に沿って日光等を遮る使用位置Bと、の間で回動自在に支持されている。
【0024】
上記サンバイザ本体3は、図3及び図4に示すように、シェル状で樹脂製の表側半割体3aと裏側半割体3bとを表裏方向に接合してなされている。この表側半割体3a(以下、「サンバイザ本体3」とも称する。)の長軸方向Pの中央部より若干右側(又は左側)寄りの部分には、ミラー5を取り付けるための凹状の取付部13が設けられている。この取付部13には、ミラーを取り付けるための係止孔15が形成されている。なお、上記表側半割体3aは、サンバイザ本体3の使用位置Bで車室内側を向く半割体であり、裏側半割体3bは、サンバイザ本体3の使用位置Bで車室外側を向く半割体である。
【0025】
上記ミラー5は、樹脂製の支持枠17と、支持枠17に支持され且つ鏡面を有するミラー本体18と、を備えている。この支持枠17には、取付部13の係止孔15に挿通可能な係止部19が設けられている。そして、係止孔15に係止部19を挿通して係止することで、取付部13にミラー5が取り付けられる。なお、上記ミラー5は、ミラー本体18の鏡面を覆うスライド蓋やカバー等を備えていてもよい。
【0026】
ここで、図5(a)に示すように、使用位置Bに位置するサンバイザ本体3の表面(すなわち、表側分割体3aの裏面)のうちの取付部13の下部となる領域を下部表面領域21とする。この下部表面領域21は、取付部13の長軸方向Pの間隔と略同じ長軸間隔W1を有している。また、下部表面領域21は、取付部13の下端縁とサンバイザ本体3の下端縁との間隔と略同じ短軸間隔Lを有している。
【0027】
上記下部表面領域21には、図4に示すように、サンバイザ本体3の短軸方向Qに延びる補強リブ23(縦リブ)がサンバイザ本体3の長軸方向Pに所定間隔p(不等ピッチ間隔p)で複数並設されている。この所定間隔pは、下部表面領域21の短軸方向の間隔Lより小さな値とされている。なお、サンバイザ本体3の下部表面領域21以外の表面にも、サンバイザ本体3の短軸方向Qに延びるリブ24が複数並設されている。
【0028】
また、上記下部表面領域21には、一対の分割体3a、3bを接合するための突起状の補強ボス26が複数立設されている。この補強ボス26が裏側分割体3bに立設されたボス27と嵌合することで各分割体3a、3bが接合される(図3参照)。また、補強ボス26は、取付部13の長軸方向の中央側の下部に配される中央側補強ボス26aと、取付部13の長軸方向の両端側の下部に配される端側補強ボス26b、26cと、を備えている。これら各補強ボス26a〜26cは、補強リブ23と交差するように配されている。なお、サンバイザ本体3の下部表面領域21以外の表面にも、一対の分割体3a、3bを接合するためのボス28が立設されている。
【0029】
さらに、上記下部表面領域21には、サンバイザ本体3の長軸方向Pに延びる補強リブ31(横リブ)が複数の補強リブ23と交差するように設けられている。この補強リブ31は、各補強ボス26a〜26cと交差するように配されている。なお、サンバイザ本体3の下部表面領域21以外の表面にも、サンバイザ本体3の長軸方向Pに延びるリブ32が設けられている。
【0030】
ここで、図5(b)に示すように、下部表面領域21の一部を含み且つサンバイザ本体3の長軸方向Pの中央部となる部分を中央補強部34とする。この中央補強部34は、下部表面領域21をサンバイザ本体3の長軸方向Pにわたって延長した部分においてサンバイザ本体3の長軸方向Pの中央部となる部分である。この中央補強部34は、取付部13の長軸方向Pの間隔と略同じ長軸間隔W2を有している。また、中央補強部34は、取付部13の下端縁とサンバイザ本体3の下端縁との間隔と略同じ短軸間隔Lを有している。そして、中央補強部34の板厚t1(例えば、約2.0mm)は、サンバイザ本体3の中央補強部34以外の部分の板厚t2(例えば、約1.5mm)より大きな値とされている(図3参照)。
【0031】
(2)車両用サンバイザの衝撃吸収試験
次に、上記構成の車両用サンバイザ1の衝撃吸収試験(「水平打ち試験」とも称される。)について説明する。本衝撃吸収試験では、図6に示すように、サンバイザ本体3を格納位置Aと使用位置Bとの中間に位置させて半開き状態とし、サンバイザ本体3の下端側に対して直径165mmの鉄球36をサンバイザ本体3の短軸方向Qに衝突させた。その結果、サンバイザ本体3に割れや変形等が発生する前に車両天井部2に対するサンバイザ本体3の支持部(すなわち、支持アーム7やホルダ10)が破損等して、取付部13からミラー5が外れることなくサンバイザ本体3自体が車両天井部2から外れた。
【0032】
(3)実施例の効果
本実施例の車両用サンバイザ1によると、使用位置Bに位置するサンバイザ本体3の表面のうちの取付部13の下部となる領域を下部表面領域21としたときに、下部表面領域21には、サンバイザ本体3の短軸方向Qに延びる補強リブ23がサンバイザ本体3の長軸方向Pに所定間隔pで複数並設されており、所定間隔pは、下部表面領域21の短軸方向の間隔Lより小さい。これにより、サンバイザ本体3の下部表面領域21の平面方向の剛性が高められる。そのため、サンバイザ本体3の下端縁から平面方向に荷重や衝撃等が作用しても、ミラー角部での応力集中が低減されるとともに、サンバイザ本体3に割れや変形等が発生する前に車両天井部2に対するサンバイザ本体3の支持部が破損等することで、サンバイザ本体3自体が車両天井部から外れる。その結果、サンバイザ本体3からミラー5が外れて飛散してしまうことが防止される。さらに、サンバイザ本体の全体のうちの所定の下部表面領域21のみを高剛性化しているので、材料使用量を抑えることができる。
【0033】
また、本実施例では、下部表面領域21には、サンバイザ本体3を構成する一対の半割体3a、3bを接合するための突起状の補強ボス26が立設されている。これにより、サンバイザ本体3の下部表面領域21の平面方向の剛性が更に高められる。
【0034】
また、本実施例では、下部表面領域21の少なくとも一部を含み且つサンバイザ本体3の長軸方向Pの中央部となる中央補強部34の板厚t1は、サンバイザ本体3の中央補強部34以外の部分の板厚t2より大きい。これにより、サンバイザ本体3の下部表面領域21の平面方向の剛性が更に高められる。
【0035】
また、本実施例では、補強ボス26は、取付部13の長軸方向Pの中央側の下部に配される中央側補強ボス26aと、取付部13の長軸方向Pの端側の下部に配される端側補強ボス26b、26cと、を備える。これにより、サンバイザ本体3の下部表面領域21の平面方向の剛性が更に高められる。
【0036】
また、本実施例では、下部表面領域21には、サンバイザ本体3の長軸方向Pに延びる補強リブ31が複数の補強リブ23と交差するように設けられている。これにより、サンバイザ本体3の下部表面領域21の平面方向の剛性が更に高められる。
【0037】
さらに、本実施例では、補強ボス26は、補強リブ23及び補強リブ31と交差するように配されている。これにより、サンバイザ本体の下部表面領域の平面方向の剛性が更に高められる。
【0038】
尚、本発明においては、上記実施例に限られず、目的、用途に応じて本発明の範囲内で種々変更した実施例とすることができる。すなわち、上記実施例では、取付部13の長軸方向Pの間隔と略同じ長軸間隔W1を有する下部表面領域21を例示したが、これに限定されず、例えば、取付部13の長軸方向Pの間隔より大きな又は小さな長軸間隔を有する下部表面領域としてもよい。さらに、上記実施例では、取付部13の下端縁とサンバイザ本体3の下端縁との間隔と略同じ短軸間隔Lを有する下部表面領域21を例示したが、これに限定されず、例えば、取付部13の下端縁とサンバイザ本体3の下端縁との間隔より小さな短軸間隔を有する下部表面領域としてもよい。
【0039】
また、上記実施例では、複数の補強リブ23が不等ピッチ間隔で並設される形態を例示したが、これに限定されず、例えば、複数の補強リブ23が等ピッチ間隔で並設されるようにしてもよい。
【0040】
また、上記実施例では、下部表面領域21の一部を含む中央補強部34を例示したが、これに限定されず、例えば、下部表面領域21の全部を含む又は下部表面領域21と一致する中央補強部としてもよい。
【0041】
さらに、上記実施例では、補強リブ23、補強ボス26及び中央補強部34の3つの補強手段を備えるサンバイザ本体3を例示したが、これに限定されず、例えば、補強リブ、補強ボス及び中央補強部のうちの少なくとも1つの補強手段を備えるサンバイザ本体としてもよい。
【0042】
前述の例は単に説明を目的とするものでしかなく、本発明を限定するものと解釈されるものではない。本発明を典型的な実施形態の例を挙げて説明したが、本発明の記述および図示において使用された文言は、限定的な文言ではなく説明的および例示的なものであると理解される。ここで詳述したように、その形態において本発明の範囲または精神から逸脱することなく、添付の特許請求の範囲内で変更が可能である。ここでは、本発明の詳述に特定の構造、材料および実施例を参照したが、本発明をここにおける開示事項に限定することを意図するものではなく、むしろ、本発明は添付の特許請求の範囲内における、機能的に同等の構造、方法、使用の全てに及ぶものとする。
【0043】
本発明は上記で詳述した実施形態に限定されず、本発明の請求項に示した範囲で様々な変形または変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明は、乗用車、バス、トラック等の他、汽車、電車等の鉄道車両、建設車両、農業車両、産業車両等の車両用サンバイザに関する技術として広く利用される。
【符号の説明】
【0045】
1;車両用サンバイザ、2;車両天井部、3;サンバイザ本体、5;ミラー、13;取付部、21;下部表面領域、23;補強リブ、26;補強ボス、26a;中央側補強ボス、26b,26c;端側補強ボス、34;中央補強部、A;格納位置、B;使用位置、P;サンバイザ本体の長軸方向、Q;サンバイザ本体の短軸方向、L;下部表面領域の短軸方向の間隔、p;所定間隔、t1;中央補強部の板厚、t2;中央補強部以外の板厚。
図1
図2
図3
図4
図5
図6