【実施例】
【0022】
以下、図面を用いて実施例により本発明を具体的に説明する。
【0023】
(1)車両用サンバイザの構成
本実施例に係る車両用サンバイザ1は、
図1及び
図2に示すように、平面略矩形状のサンバイザ本体3と、サンバイザ本体3に取り付けられる平面略矩形状のミラー5と、を備えている。このサンバイザ本体3の一方の上角部には、略L字状の支持アーム7の一端側を回動自在に支持する軸受部8が取り付けられている。この支持アーム7の他端側は、ブラケット9を介して車室天井部2に取り付けられている。また、サンバイザ本体3の他方の上角部には、車両天井部2に設けられたフック(図示省略)に回動可能に掛け止めされるホルダ10が設けられている。そして、サンバイザ本体3は、車両天井部2の表面に沿って格納される格納位置Aと、ウィンドウ11に沿って日光等を遮る使用位置Bと、の間で回動自在に支持されている。
【0024】
上記サンバイザ本体3は、
図3及び
図4に示すように、シェル状で樹脂製の表側半割体3aと裏側半割体3bとを表裏方向に接合してなされている。この表側半割体3a(以下、「サンバイザ本体3」とも称する。)の長軸方向Pの中央部より若干右側(又は左側)寄りの部分には、ミラー5を取り付けるための凹状の取付部13が設けられている。この取付部13には、ミラーを取り付けるための係止孔15が形成されている。なお、上記表側半割体3aは、サンバイザ本体3の使用位置Bで車室内側を向く半割体であり、裏側半割体3bは、サンバイザ本体3の使用位置Bで車室外側を向く半割体である。
【0025】
上記ミラー5は、樹脂製の支持枠17と、支持枠17に支持され且つ鏡面を有するミラー本体18と、を備えている。この支持枠17には、取付部13の係止孔15に挿通可能な係止部19が設けられている。そして、係止孔15に係止部19を挿通して係止することで、取付部13にミラー5が取り付けられる。なお、上記ミラー5は、ミラー本体18の鏡面を覆うスライド蓋やカバー等を備えていてもよい。
【0026】
ここで、
図5(a)に示すように、使用位置Bに位置するサンバイザ本体3の表面(すなわち、表側分割体3aの裏面)のうちの取付部13の下部となる領域を下部表面領域21とする。この下部表面領域21は、取付部13の長軸方向Pの間隔と略同じ長軸間隔W1を有している。また、下部表面領域21は、取付部13の下端縁とサンバイザ本体3の下端縁との間隔と略同じ短軸間隔Lを有している。
【0027】
上記下部表面領域21には、
図4に示すように、サンバイザ本体3の短軸方向Qに延びる補強リブ23(縦リブ)がサンバイザ本体3の長軸方向Pに所定間隔p(不等ピッチ間隔p)で複数並設されている。この所定間隔pは、下部表面領域21の短軸方向の間隔Lより小さな値とされている。なお、サンバイザ本体3の下部表面領域21以外の表面にも、サンバイザ本体3の短軸方向Qに延びるリブ24が複数並設されている。
【0028】
また、上記下部表面領域21には、一対の分割体3a、3bを接合するための突起状の補強ボス26が複数立設されている。この補強ボス26が裏側分割体3bに立設されたボス27と嵌合することで各分割体3a、3bが接合される(
図3参照)。また、補強ボス26は、取付部13の長軸方向の中央側の下部に配される中央側補強ボス26aと、取付部13の長軸方向の両端側の下部に配される端側補強ボス26b、26cと、を備えている。これら各補強ボス26a〜26cは、補強リブ23と交差するように配されている。なお、サンバイザ本体3の下部表面領域21以外の表面にも、一対の分割体3a、3bを接合するためのボス28が立設されている。
【0029】
さらに、上記下部表面領域21には、サンバイザ本体3の長軸方向Pに延びる補強リブ31(横リブ)が複数の補強リブ23と交差するように設けられている。この補強リブ31は、各補強ボス26a〜26cと交差するように配されている。なお、サンバイザ本体3の下部表面領域21以外の表面にも、サンバイザ本体3の長軸方向Pに延びるリブ32が設けられている。
【0030】
ここで、
図5(b)に示すように、下部表面領域21の一部を含み且つサンバイザ本体3の長軸方向Pの中央部となる部分を中央補強部34とする。この中央補強部34は、下部表面領域21をサンバイザ本体3の長軸方向Pにわたって延長した部分においてサンバイザ本体3の長軸方向Pの中央部となる部分である。この中央補強部34は、取付部13の長軸方向Pの間隔と略同じ長軸間隔W2を有している。また、中央補強部34は、取付部13の下端縁とサンバイザ本体3の下端縁との間隔と略同じ短軸間隔Lを有している。そして、中央補強部34の板厚t1(例えば、約2.0mm)は、サンバイザ本体3の中央補強部34以外の部分の板厚t2(例えば、約1.5mm)より大きな値とされている(
図3参照)。
【0031】
(2)車両用サンバイザの衝撃吸収試験
次に、上記構成の車両用サンバイザ1の衝撃吸収試験(「水平打ち試験」とも称される。)について説明する。本衝撃吸収試験では、
図6に示すように、サンバイザ本体3を格納位置Aと使用位置Bとの中間に位置させて半開き状態とし、サンバイザ本体3の下端側に対して直径165mmの鉄球36をサンバイザ本体3の短軸方向Qに衝突させた。その結果、サンバイザ本体3に割れや変形等が発生する前に車両天井部2に対するサンバイザ本体3の支持部(すなわち、支持アーム7やホルダ10)が破損等して、取付部13からミラー5が外れることなくサンバイザ本体3自体が車両天井部2から外れた。
【0032】
(3)実施例の効果
本実施例の車両用サンバイザ1によると、使用位置Bに位置するサンバイザ本体3の表面のうちの取付部13の下部となる領域を下部表面領域21としたときに、下部表面領域21には、サンバイザ本体3の短軸方向Qに延びる補強リブ23がサンバイザ本体3の長軸方向Pに所定間隔pで複数並設されており、所定間隔pは、下部表面領域21の短軸方向の間隔Lより小さい。これにより、サンバイザ本体3の下部表面領域21の平面方向の剛性が高められる。そのため、サンバイザ本体3の下端縁から平面方向に荷重や衝撃等が作用しても、ミラー角部での応力集中が低減されるとともに、サンバイザ本体3に割れや変形等が発生する前に車両天井部2に対するサンバイザ本体3の支持部が破損等することで、サンバイザ本体3自体が車両天井部から外れる。その結果、サンバイザ本体3からミラー5が外れて飛散してしまうことが防止される。さらに、サンバイザ本体の全体のうちの所定の下部表面領域21のみを高剛性化しているので、材料使用量を抑えることができる。
【0033】
また、本実施例では、下部表面領域21には、サンバイザ本体3を構成する一対の半割体3a、3bを接合するための突起状の補強ボス26が立設されている。これにより、サンバイザ本体3の下部表面領域21の平面方向の剛性が更に高められる。
【0034】
また、本実施例では、下部表面領域21の少なくとも一部を含み且つサンバイザ本体3の長軸方向Pの中央部となる中央補強部34の板厚t1は、サンバイザ本体3の中央補強部34以外の部分の板厚t2より大きい。これにより、サンバイザ本体3の下部表面領域21の平面方向の剛性が更に高められる。
【0035】
また、本実施例では、補強ボス26は、取付部13の長軸方向Pの中央側の下部に配される中央側補強ボス26aと、取付部13の長軸方向Pの端側の下部に配される端側補強ボス26b、26cと、を備える。これにより、サンバイザ本体3の下部表面領域21の平面方向の剛性が更に高められる。
【0036】
また、本実施例では、下部表面領域21には、サンバイザ本体3の長軸方向Pに延びる補強リブ31が複数の補強リブ23と交差するように設けられている。これにより、サンバイザ本体3の下部表面領域21の平面方向の剛性が更に高められる。
【0037】
さらに、本実施例では、補強ボス26は、補強リブ23及び補強リブ31と交差するように配されている。これにより、サンバイザ本体の下部表面領域の平面方向の剛性が更に高められる。
【0038】
尚、本発明においては、上記実施例に限られず、目的、用途に応じて本発明の範囲内で種々変更した実施例とすることができる。すなわち、上記実施例では、取付部13の長軸方向Pの間隔と略同じ長軸間隔W1を有する下部表面領域21を例示したが、これに限定されず、例えば、取付部13の長軸方向Pの間隔より大きな又は小さな長軸間隔を有する下部表面領域としてもよい。さらに、上記実施例では、取付部13の下端縁とサンバイザ本体3の下端縁との間隔と略同じ短軸間隔Lを有する下部表面領域21を例示したが、これに限定されず、例えば、取付部13の下端縁とサンバイザ本体3の下端縁との間隔より小さな短軸間隔を有する下部表面領域としてもよい。
【0039】
また、上記実施例では、複数の補強リブ23が不等ピッチ間隔で並設される形態を例示したが、これに限定されず、例えば、複数の補強リブ23が等ピッチ間隔で並設されるようにしてもよい。
【0040】
また、上記実施例では、下部表面領域21の一部を含む中央補強部34を例示したが、これに限定されず、例えば、下部表面領域21の全部を含む又は下部表面領域21と一致する中央補強部としてもよい。
【0041】
さらに、上記実施例では、補強リブ23、補強ボス26及び中央補強部34の3つの補強手段を備えるサンバイザ本体3を例示したが、これに限定されず、例えば、補強リブ、補強ボス及び中央補強部のうちの少なくとも1つの補強手段を備えるサンバイザ本体としてもよい。
【0042】
前述の例は単に説明を目的とするものでしかなく、本発明を限定するものと解釈されるものではない。本発明を典型的な実施形態の例を挙げて説明したが、本発明の記述および図示において使用された文言は、限定的な文言ではなく説明的および例示的なものであると理解される。ここで詳述したように、その形態において本発明の範囲または精神から逸脱することなく、添付の特許請求の範囲内で変更が可能である。ここでは、本発明の詳述に特定の構造、材料および実施例を参照したが、本発明をここにおける開示事項に限定することを意図するものではなく、むしろ、本発明は添付の特許請求の範囲内における、機能的に同等の構造、方法、使用の全てに及ぶものとする。
【0043】
本発明は上記で詳述した実施形態に限定されず、本発明の請求項に示した範囲で様々な変形または変更が可能である。