(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の外観検査装置において、金属部品のより広い面を検査するためには、金属部品を撮影するカメラの数を増やすことが考えられる。例えば、複数のカメラを、金属部品を取り囲むように、半球状に配置することが考えられる。また、外観検査の精度を高めるためには、光照射部の数を増やして、照射可能な照明パターンの数を増加させることが考えられる。
【0006】
しかしながら、多数のカメラおよび多数の光照射部を、金属部品を取り囲むように配置すると、金属部品を搬入および搬出することが困難となる。一部のカメラまたは光照射部を搬入出時に移動させるようにすれば、金属部品の搬入出の経路を確保することができるが、その場合には、移動させるカメラまたは光照射部に、位置ずれが生じやすくなる。カメラまたは光照射部に位置ずれが生じると、検査の精度が低下する虞がある。
【0007】
また、外観検査装置の処理効率を高めるためには、複数の金属部品の搬送間隔を短くする必要がある。搬入出のたびにカメラまたは光照射部を移動させる方法では、カメラまたは光照射部の移動に時間がかかる。また、金属部品を搬入時と同じ経路で搬出すると、検査後の金属部品の搬出と、後続の金属部品の搬入とを、同時に行うことができない。このため、金属部品の搬送間隔を短くすることが難しい。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みなされたものであり、外観検査装置において、光照射部およびカメラの位置を変化させることなく対象物を搬入および搬出でき、かつ、複数の対象物を短い時間間隔で搬送できる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本願の第1発明は、対象物の外観を検査する外観検査装置であって、検査位置を含む水平面よりも上側の空間において、対象物を取り囲む複数の光照射部および複数のカメラと、前記検査位置へ対象物を搬入する搬入機構と、前記搬入機構とは異なる経路で、前記検査位置から対象物を搬出する搬出機構と、を有し、前記搬入機構および前記搬出機構は、いずれも、前記検査位置よりも低い位置と前記検査位置との間で、対象物を搬送し、前記搬入機構および前記搬出機構の少なくとも一方は、対象物を、鉛直方向に対して斜めに搬送
し、前記搬入機構および前記搬出機構とは別に、前記検査装置において、検査中の対象物を保持する保持機構をさらに有する。
【0010】
本願の第2発明は、第1発明の外観検査装置であって、前記搬入機構は、前記検査位置よりも低い位置から前記検査位置へ、対象物を斜め上向きに搬送する。
【0011】
本願の第3発明は、第2発明の外観検査装置であって、前記搬出機構は、前記検査位置から前記検査位置よりも低い位置へ、対象物を鉛直下向きに搬送する。
【0012】
本願の第4発明は、第1発明から第3発明までのいずれか1発明の外観検査装置であって、前記搬入機構と前記搬出機構とは、個別に制御可能な別機構である。
【0013】
本願の第5発明は、第1発明から第4発明までのいずれか1発明の外観検査装置であって、前記搬入機構および前記搬出機構の動作を制御する制御部をさらに有し、前記制御部は、少なくとも一部の時間において、前記搬入機構と前記搬出機構とを同時に動作させる。
【0014】
本願の第6発明は、第1発明から第5発明までのいずれか1発明の外観検査装置であって、前記搬入機構は、対象物を載置する搬入台と、前記搬入台を搬入経路に沿って移動させる搬入台移動機構と、を有し、前記搬出機構は、対象物を載置する搬出台と、前記搬出台を搬出経路に沿って移動させる搬出台移動機構と、を有する。
【0015】
本願の第7発明は、第6発明の外観検査装置であって、前記搬入台移動機構は、前記搬入台を、直線状に移動させ、前記搬出台移動機構は、前記搬出台を、直線状に移動させる。
【0016】
本願の第8発明は、第6発明または第7発明の外観検査装置であって、前記搬入台移動機構は、前記搬入台を、前記搬入経路に沿って往復移動させ、前記搬出台移動機構は、前記搬出台を、前記搬出経路に沿って往復移動させる。
【0017】
本願の第9発明は、第6発明から第8発明までのいずれか1発明の外観検査装置であって、前記搬入機構は、前記搬入台の高さを変更する昇降機構をさらに有し、前記搬入台移動機構は、前記搬入台および前記昇降機構を、一体として移動させる。
【0018】
本願の第10発明は、第6発明から第9発明までのいずれか1発明の外観検査装置であって、
前記保持機構は、前記搬入台および前記搬出台とは別に、前記検査位置において、検査中の対象物を保持す
る。
【0019】
本願の第11発明は、第1発明から第10発明までのいずれか1発明の外観検査装置であって、前記搬入機構および前記搬出機構の前記一方は、対象物を、水平面に対して15°以上かつ45°以下の角度で搬送する。
【0020】
本願の第12発明は、第1発明から第11発明までのいずれか1発明の外観検査装置であって、対象物の第1面を検査する第1検査ユニットと、対象物の第2面を検査する第2検査ユニットと、前記第1検査ユニットと前記第2検査ユニットとの間において、対象物の姿勢を変更する姿勢変更機構と、を備え、前記第1検査ユニットおよび前記第2検査ユニットが、それぞれ、前記複数の光照射部、前記複数のカメラ、前記搬入機構、および前記搬出機構を有する。
【0021】
本願の第13発明は、対象物の外観を検査する外観検査方法であって、a)検査位置へ対象物を搬入する工程と、b)検査位置に配置された対象物を、前記検査位置を含む水平面よりも上側の空間に対象物を取り囲むように配置された複数の光照射部および複数のカメラを用いて検査する工程と、c)前記工程a)とは異なる経路で、前記検査位置から対象物を搬出する工程と、を有し、前記工程a)および前記工程c)では、いずれも、前記検査位置よりも低い位置と前記検査位置との間で、対象物を搬送し、前記工程a)および前記工程c)の少なくとも一方では、対象物を、鉛直方向に対して斜めに搬送
し、前記工程b)では、前記工程a)および前記工程c)に用いられる機構とは別に設けられた機構により、検査中の対象物を保持する。
本願の第14発明は、対象物の外観を検査する外観検査装置であって、検査位置を含む水平面よりも上側の空間において、対象物を取り囲む複数の光照射部および複数のカメラと、前記検査位置へ対象物を搬入する搬入機構と、前記搬入機構とは異なる経路で、前記検査位置から対象物を搬出する搬出機構と、を有し、前記搬入機構および前記搬出機構は、いずれも、前記検査位置よりも低い位置と前記検査位置との間で、対象物を搬送し、前記搬入機構および前記搬出機構の少なくとも一方は、対象物を、鉛直方向に対して斜めに搬送し、前記搬入機構と前記搬出機構とは、個別に制御可能な別機構である。
本願の第15発明は、対象物の外観を検査する外観検査装置であって、検査位置を含む水平面よりも上側の空間において、対象物を取り囲む複数の光照射部および複数のカメラと、前記検査位置へ対象物を搬入する搬入機構と、前記搬入機構とは異なる経路で、前記検査位置から対象物を搬出する搬出機構と、を有し、前記搬入機構は、対象物を載置する搬入台と、前記搬入台を搬入経路に沿って移動させる搬入台移動機構と、を有し、前記搬出機構は、対象物を載置する搬出台と、前記搬出台を搬出経路に沿って移動させる搬出台移動機構と、を有し、前記搬入機構および前記搬出機構は、いずれも、前記検査位置よりも低い位置と前記検査位置との間で、対象物を搬送し、前記搬入機構および前記搬出機構の少なくとも一方は、対象物を、鉛直方向に対して斜めに搬送する。
本願の第16発明は、対象物の外観を検査する外観検査方法であって、a)検査位置へ対象物を搬入する工程と、b)検査位置に配置された対象物を、前記検査位置を含む水平面よりも上側の空間に対象物を取り囲むように配置された複数の光照射部および複数のカメラを用いて検査する工程と、c)前記工程a)とは異なる経路で、前記検査位置から対象物を搬出する工程と、を有し、前記工程a)および前記工程c)では、前記対象物の搬入および搬出を個別に制御可能し、前記工程a)および前記工程c)では、いずれも、前記検査位置よりも低い位置と前記検査位置との間で、対象物を搬送し、前記工程a)および前記工程c)の少なくとも一方では、対象物を、鉛直方向に対して斜めに搬送する。
本願の第17発明は、対象物の外観を検査する外観検査方法であって、a)検査位置へ対象物を搬入する工程と、b)検査位置に配置された対象物を、前記検査位置を含む水平面よりも上側の空間に対象物を取り囲むように配置された複数の光照射部および複数のカメラを用いて検査する工程と、c)前記工程a)とは異なる経路で、前記検査位置から対象物を搬出する工程と、を有し、前記工程a)および前記工程c)では、いずれも、前記検査位置よりも低い位置と前記検査位置との間で、対象物を搬送し、前記工程a)および前記工程c)の少なくとも一方では、対象物を、鉛直方向に対して斜めに搬送し、前記工程a)では、対象物を載置した搬入台を搬入経路に沿って移動させ、前記工程c)では、対象物を載置した搬出台を搬出経路に沿って移動させる。
【発明の効果】
【0022】
本願の第1発明〜第
17発明によれば、光照射部およびカメラの位置を変化させることなく、対象物を搬入および搬出できる。また、対象物の搬入と搬出とを、異なる経路で行うため、複数の対象物を、短い時間間隔で搬送できる。
【0023】
特に、本願の第2発明によれば、搬入開始位置が、検査位置の真下でないため、対象物を装置にセットしやすい。
【0024】
特に、本願の第3発明によれば、斜めに搬出する場合よりも、装置のフットプリントを低減できる。
【0025】
特に、本願の第4発明によれば、搬入機構および搬出機構の各々の動きを最適化して、対象物の搬送間隔をより短くすることができる。
【0026】
特に、本願の第5発明によれば、搬入機構と搬出機構とを同時に動作させることによって、複数の対象物を、より短い時間間隔で搬送できる。
【0027】
特に、本願の第7発明によれば、対象物を最短距離で搬送できる。これにより、対象物をより迅速に搬送できる。
【0028】
特に、本願の第8発明によれば、搬入機構および搬出機構の占有床面積を低減できる。
【0029】
特に、本願の第9発明によれば、搬送前の位置と搬送後の位置との双方に、個別に昇降機構を配置する必要がない。
【0030】
特に、本願の第10発明によれば、対象物の検査中に、搬入台および搬出台を移動させることができる。これにより、複数の対象物を、より短い時間間隔で搬送できる。
【0031】
特に、本願の第12発明によれば、第1検査ユニットで対象物の第1面を検査した後、第1検査ユニットから搬出された対象物の姿勢を変更し、その後、第2検査ユニットに対象物を搬入して、対象物の第2面を検査する。これにより、対象物のより広い面を検査できる。また、第1面の検査、第2面の検査、および姿勢の変更を、それぞれ別の位置で並行に行うことができる。これにより、複数の対象物の搬送間隔を、より短くすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0034】
<1.外観検査装置の構成>
図1は、本発明の一実施形態に係る外観検査装置1の全体を示した図である。この外観検査装置1は、立体的な形状を有する検査対象物9を多方向から撮影し、得られた多数の画像に基づいて、検査対象物の外観を検査する装置である。外観検査装置1は、例えば、鍛造や鋳造により形成される金属部品を、検査対象物9として検査する。また、この外観検査装置1では、複数の検査対象物9を、順次に搬送しつつ検査する。したがって、稼働中の外観検査装置1内には、複数の検査対象物9が同時に存在し、各検査対象物9に対して、搬送や検査が並行して行われる。
【0035】
図1に示すように、本実施形態の外観検査装置1は、第1検査ユニット10、姿勢変更機構20、第2検査ユニット30、分別排出機構40、および制御部50を備えている。
【0036】
<1−1.第1検査ユニットについて>
第1検査ユニット10は、検査対象物9の第1面(例えば表面)を検査するための処理ユニットである。
図1に示すように、第1検査ユニット10は、第1搬入機構11、第1保持機構12、第1検査部13、および第1搬出機構14を有する。
【0037】
第1搬入機構11は、検査対象物9を第1検査位置P2へ搬入する機構である。外観検査装置1の前面には、開閉可能な投入口60が設けられている。外観検査装置1のユーザは、投入口60を開放して、検査対象物9を、投入口60の下方に位置する搬入開始位置P1へセットすることができる。第1搬入機構11は、搬入開始位置P1から、第1検査部13により検査される第1検査位置P2まで、検査対象物9を搬送する。搬入開始位置P1は、第1検査位置P2よりも外観検査装置1の前面側、かつ、第1検査位置P2よりも低い位置に配置される。
【0038】
図2は、第1搬入機構11の拡大図である。
図2に示すように、本実施形態の第1搬入機構11は、搬入台61と、搬入台昇降機構62と、搬入台移動機構63と、を有する。搬入台61は、検査対象物9を載置する水平な載置面611を有する。投入口60から投入された検査対象物9は、その両端部(
図2における手前側と奥側の端部)が、載置面611からはみ出した状態で、載置面611上に載置される。搬入台昇降機構62は、エアシリンダ620により搬入台61の高さを変更する機構である。搬入台昇降機構62は、エアシリンダ620のピストンロッド621を上昇させた上昇状態と、エアシリンダ620のピストンロッド621を下降させた下降状態との間で、
図2中の矢印A1のように、シリンダケース622に対する搬入台61の相対的な高さ位置を切り替える。なお、搬入台昇降機構62に、エアシリンダ620以外の動力源(例えば、ステッピングモータなど)を用いてもよい。
【0039】
搬入台移動機構63は、搬入台61および搬入台昇降機構62を、一体として移動させる機構である。
図2に示すように、本実施形態の搬入台移動機構63は、モータ631、ボールねじ632、およびガイド軸633を有する。ボールねじ632およびガイド軸633は、検査対象物9の搬入経路と平行に延びている。エアシリンダ620のシリンダケース622には、ボールねじ632のナットが固定されている。また、シリンダケース622は、ガイド軸633に対して、スライド移動可能に連結されている。
【0040】
モータ631を駆動させると、ボールねじ632がその軸芯を中心として回転する。そうすると、
図2中の矢印A2のように、エアシリンダ620およびエアシリンダ620に支持された搬入台61が、鉛直方向に対して斜めに延びる搬入経路に沿って、直線状に移動する。これにより、搬入台61に載置された検査対象物9を、搬入開始位置P1から第1検査位置P2まで、斜め上向きに移動させることができる。なお、搬入台61の載置面611は、移動中においても水平姿勢に維持される。
【0041】
第1保持機構12は、第1検査部13による検査中に、検査対象物9を第1検査位置P2に保持する機構である。
図3は、第1保持機構12の上面図である。
図4は、第1保持機構12の前面図(
図1中の白抜き矢印の向きに見た図)である。
図3および
図4に示すように、本実施形態の第1保持機構12は、一対の保持部材71と、一対の保持部材71を互いに接近および離間させる接離機構72と、を有する。接離機構72は、例えば、ステッピングモータ等の動力源と、動力源から得られる動力を保持部材71へ伝達する動力伝達機構とにより、実現される。
【0042】
一対の保持部材71は、検査前および検査後には、検査中よりも互いに離れた状態で待機する。第1搬入機構11による搬入時には、上昇状態の搬入台61に載置された検査対象物9が、一対の保持部材71の間を通って、一対の保持部材71の上方の位置まで搬送される。その後、搬入台昇降機構62により搬入台61を下降させつつ、
図4中の矢印A3のように、接離機構72により一対の保持部材71を互いに接近させる。これにより、搬入台61からはみ出している検査対象物9の両端部が、一対の保持部材71の上面に載置される。その結果、搬入台61から一対の保持部材71へ、検査対象物9が受け渡される。その後、接離機構72は、一対の保持部材71を、矢印A3のように、さらに接近させる。これにより、一対の保持部材71の間に、検査対象物9が挟持される。その結果、検査対象物9が、第1検査位置P2に位置決めされつつ保持される。
【0043】
なお、搬入台61から第1保持機構12へ検査対象物9が受け渡された後、搬入台移動機構63は、搬入台61を、再び搬入経路に沿って搬入開始位置P1へ移動させる。そして、搬入台61は、搬入開始位置P1において、次の検査対象物9が投入されるのを待つ。このように、搬入台移動機構63は、検査対象物9の搬送サイクルと同じ周期で、搬入台61を、搬入経路に沿って往復移動させる。
【0044】
上述の通り、本実施形態では、第1搬入機構11に搬入台昇降機構62を設けている。このため、第1搬入機構11から第1保持機構12への検査対象物9の受け渡し時に、検査対象物9の昇降動作を、第1搬入機構11側の搬入台昇降機構62により実現できる。このようにすれば、第1保持機構12側に昇降機構を設ける必要がない。すなわち、一対の保持部材71の高さ位置を、一定の高さ位置に固定することができる。したがって、第1検査位置P2に保持された検査対象物9の高さ位置に、誤差が生じにくい。
【0045】
また、本実施形態では、第1搬入機構11の搬入台61および後述する第1搬出機構14の搬出台81とは別に、検査中の検査対象物9を保持する第1保持機構12が設けられる。このため、第1検査部13における検査対象物9の検査中にも、搬入台61および搬出台81を、移動させることができる。したがって、検査対象物9を第1搬出機構14により搬出している最中に、後続の検査対象物9の検査を開始したり、第1検査部13により検査対象物9を検査している最中に、後続の検査対象物9を第1保持機構12の直前まで搬送したりすることができる。これにより、複数の検査対象物9を、短い時間間隔で搬送できる。
【0046】
また、第1搬入機構11および第1搬出機構14とは別に、第1保持機構12が設けられているため、第1搬入機構11および第1搬出機構14の振動が、第1保持機構12に影響しにくい。このため、第1検査部13による検査対象物9の検査中に、第1保持機構12に保持された検査対象物9の位置がずれることを抑制できる。
【0047】
第1検査部13は、第1検査位置P2に配置された検査対象物9の第1面を検査する機構である。
図1に示すように、第1検査部13は、複数の光照射部131と、複数のカメラ132とを有する。複数の光照射部131および複数のカメラ132は、第1検査位置P2を含む水平面よりも上側の空間において、検査対象物9を半球状(ドーム状)に取り囲んでいる。ただし、第1検査位置P2から各光照射部131までの距離と、第1検査位置P2から各カメラ132までの距離とは、必ずしも同一でなくてもよい。
【0048】
複数の光照射部131は、例えば、第1検査位置P2の鉛直上方に配置された1つの上方光照射部131aと、第1検査位置P2の斜め上方に等角度間隔で配置された8つの斜方光照射部131bと、第1検査位置P2の略水平方向の外側に等角度間隔で配置された8つの側方光照射部131cと、を含む。各光照射部131には、例えば、点灯と消灯とを短時間に切り替えることができるLED(発光ダイオード)が用いられる。
【0049】
複数のカメラ132は、例えば、第1検査位置P2の鉛直上方に配置された1つの上方カメラ132aと、第1検査位置P2の斜め上方に等角度間隔で配置された4つの斜方カメラ132bと、第1検査位置P2の略水平方向の外側に等角度間隔で配置された4つの側方カメラ132cと、を含む。各カメラ132には、例えば、CCDやCMOS等の受光素子を有し、多階調のデジタル画像を取得可能なカメラが用いられる。
【0050】
第1検査部13は、複数の光照射部131のうち、発光させる光照射部131の組み合わせを変更することにより、検査対象物9に対する照明パターンを変更しながら、複数のカメラ132による撮影を行う。これにより、1つの検査対象物9に対して、照明/アングルの異なる多数の撮影画像群を取得する。取得された撮影画像群は、後述する制御部50へ入力される。制御部50は、複数の検査対象物9の撮影画像群を比較することにより、各検査対象物9の第1面に、傷等の欠陥が無いかどうかを検査する。
【0051】
なお、光照射部131およびカメラ132の数や位置は、必ずしも上記の通りでなくてもよい。
【0052】
第1搬出機構14は、第1検査位置P2から検査対象物9を搬出する機構である。第1検査位置P2の鉛直下方には、後述する姿勢変更機構20との間で検査対象物9を受け渡す第1受け渡し位置P3が配置されている。第1搬出機構14は、第1検査位置P2から、第1検査位置P2よりも低い第1受け渡し位置P3まで、検査対象物9を鉛直下向きに搬送する。
【0053】
図5は、第1搬出機構14の
拡大図である。
図5に示すように、本実施形態の第1搬出機構14は、搬出台81と、搬出台移動機構82とを有する。搬出台81は、検査対象物9を把持する一対の把持部材811と、把持部材811を互いに接近および離間させる接離機構812とを有する。第1保持機構12の一対の保持部材71の接離方向と、搬出台81の一対の把持部材811の接離方向とは、上面視において互いに90°異なる。なお、搬出台81は、水平な載置面上に検査対象物9を載置するものであってもよい。搬出台移動機構82は、鉛直方向に延びる搬出経路に沿って、搬出台81を移動させる機構である。
図4に示すように、搬出台移動機構82は、モータ821、ボールねじ822、およびガイド軸823を有する。ボールねじ822およびガイド軸823は、検査対象物9の搬出経路と平行に延びている。また、搬出台81には、ボールねじ822のナットが固定されている。また、搬出台81は、ガイド軸823に対して、スライド移動可能に連結されている。
【0054】
モータ821を駆動させると、ボールねじ822がその軸芯を中心として回転する。そうすると、
図5中の矢印A4のように、搬出台81が、鉛直方向に延びる搬出経路に沿って、直線状に移動する。なお、搬出台81の一対の把持部材811は、移動中においても互いに水平な姿勢に維持される。
【0055】
第1検査部13における検査対象物9の検査中に、搬出台81は、一対の保持部材71の下面に接近して待機する。そして、検査が完了すると、搬出台移動機構82が搬出台81を上昇させるとともに、接離機構812が一対の把持部材811を互いに接近させる。そして、第1保持機構12の接離機構72が、一対の保持部材71を互いに離間させる。これにより、一対の保持部材71から搬出台81へ、検査対象物9が受け渡される。検査対象物9は、一対の把持部材811に挟持された状態で、搬出台81に保持される。その後、搬出台移動機構82は、搬出台81を鉛直下向きに下降させる。これにより、検査対象物9が第1受け渡し位置P3まで搬送される。
【0056】
このように、搬出台移動機構82は、検査対象物9の搬送サイクルと同じ周期で、搬出台81を、搬出経路に沿って上下に往復移動させる。
【0057】
<1−2.姿勢変更機構について>
姿勢変更機構20は、第1検査ユニット10と第2検査ユニット30との間において、検査対象物9の姿勢を変更する機構である。
図1に示すように、姿勢変更機構20は、検査対象物9を把持する反転アーム21と、反転アーム21を動作させるアーム駆動機構22とを有する。検査対象物9が第1受け渡し位置P3まで下降すると、反転アーム21は、搬出台81から検査対象物9を受け取る。そして、アーム駆動機構22が、反転アーム21を、水平面内で180°回転させるとともに、反転アーム21の軸芯を中心として検査対象物9の姿勢を180°を反転させる。これにより、検査対象物9が、その第2面(例えば裏面)を上方へ向けた状態で、第2受け渡し位置P4に配置される。このとき、第2受け渡し位置P4には、第2搬入機構31の搬入台が待機している。反転アーム21は、第2搬入機構31の当該搬入台上に、検査対象物9を載置する。
【0058】
<1−3.第2検査ユニットについて>
第2検査ユニット30は、検査対象物9の第2面を検査するための処理ユニットである。
図1に示すように、第2検査ユニット30は、第2搬入機構31、第2保持機構32、第2検査部33、および第2搬出機構34を有する。
【0059】
第2搬入機構31は、第2受け渡し位置P4から、第2検査部33により検査される第2検査位置P5まで、検査対象物9を、斜め上向きに搬送する機構である。第2検査位置P5は、第1検査位置P2よりも外観検査装置1の背面側に配置される。第2受け渡し位置P4は、第2検査位置P5よりも外観検査装置1の前面側、かつ、第2検査位置P5よりも低い位置に配置される。
【0060】
第2搬入機構31の構造は、
図2に示す第1搬入機構11の構造と、ほぼ同一である。すなわち、第2搬入機構31は、搬入台、搬入台昇降機構、および搬入台移動機構を有する。搬入台、搬入台昇降機構、および搬入台移動機構の各々の詳細については、第1搬入機構11の搬入台61、搬入台昇降機構62、および搬入台移動機構63と同等であるため、重複説明を省略する。
【0061】
第2保持機構32は、第2検査部33による検査中に、検査対象物9を第2検査位置P5に保持する機構である。第2搬入機構31により斜め上向きに搬送された検査対象物9は、第2保持機構32へ受け渡される。第2保持機構32の構造は、
図3および
図4に示す第1保持機構12の構造と、ほぼ同一である。すなわち、第2保持機構32は、一対の保持部材と、一対の保持部材を互いに接近および離間させる接離機構と、を有する。一対の保持部材および接離機構の詳細については、第1保持機構12の一対の保持部材71および接離機構72と同等であるため、重複説明を省略する。
【0062】
第2検査部33は、第2検査位置P5に配置された検査対象物9の第2面を検査する機構である。
図1に示すように、第2検査部33は、複数の光照射部331と、複数のカメラ332とを有する。複数の光照射部331および複数のカメラ332は、第2検査位置P5を含む水平面よりも上側の空間において、検査対象物9を半球状(ドーム状)に取り囲んでいる。
【0063】
第2検査部33は、複数の光照射部331のうち、発光させる光照射部331の組み合わせを変更することにより、検査対象物9に対する照明パターンを変更しながら、複数のカメラ332による撮影を行う。これにより、1つの検査対象物9に対して、照明/アングルの異なる多数の撮影画像群を取得する。取得された撮影画像群は、後述する制御部50へ入力される。制御部50は、複数の検査対象物9の撮影画像群を比較することにより、各検査対象物9の第2面に、傷等の欠陥が無いかどうかを検査する。
【0064】
なお、光照射部331およびカメラ332の数および位置は、第1検査部13における光照射部131およびカメラ132の数および位置と、同等であってもよく、異なっていてもよい。
【0065】
第2搬出機構34は、第2検査位置P5から検査対象物9を搬出する機構である。第2検査位置P5の鉛直下方には、後述する分別排出機構40との間で検査対象物9を受け渡す第3受け渡し位置P6が配置されている。第2搬出機構34は、第2検査位置P5から、第2検査位置P5よりも低い第3受け渡し位置P6まで、検査対象物9を鉛直下向きに搬送する。
【0066】
第2搬出機構34の構造は、
図5に示す第1搬出機構14の構造と、ほぼ同一である。すなわち、第2搬出機構34は、搬出台と、搬出台移動機構とを有する。搬出台および搬出台移動機構の各々の詳細については、第1搬出機構14の搬出台81および搬出台移動機構82と同等であるため、重複説明を省略する。
【0067】
<1−4.分別排出機構について>
分別排出機構40は、検査後の検査対象物9を、良品と不良品とに分別しながら排出する機構である。
図1に示すように、分別排出機構40は、排出アーム41、排出アーム41を動作させるアーム駆動機構42、および排出コンベア43を有する。検査対象物9が第3受け渡し位置P6まで下降すると、排出アーム41は、第2搬出機構34の搬出台から検査対象物9を受け取る。続いて、アーム駆動機構42が、排出アーム41を、排出コンベア43の上方まで移動させる。そして、排出アーム41による検査対象物9の把持を解除する。これにより、排出アーム41から排出コンベア43に、検査対象物9が受け渡される。
【0068】
排出コンベア43は、検査対象物9を載置して搬送する環状の搬送ベルト431を有する。排出コンベア43は、制御部50からの指示に応じて、搬送ベルト431の回転方向を切り替えることができる。第1検査ユニット10および第2検査ユニット30において、欠陥が検出されなかった検査対象物9が、搬送ベルト431上に載置されると、制御部50は、搬送ベルト431を一方向に回転させる。これにより、当該検査対象物9は、外観検査装置1の左右の一方(例えば、
図1の奥側)に、良品として排出される。一方、第1検査ユニット10または第2検査ユニット30において、欠陥が検出された検査対象物9が、搬送ベルト431上に載置されると、制御部50は、搬送ベルト431を他方向に回転させる。これにより、当該検査対象物9は、外観検査装置1の左右の他方(例えば、
図1の手前側)に、不良品として排出される。
【0069】
<1−5.制御部について>
制御部50は、外観検査装置1の各部を動作制御するための手段である。
図1中に概念的に示したように、制御部50は、CPU等の演算処理部51、RAM等のメモリ52、およびハードディスクドライブ等の記憶部53を有するコンピュータにより構成される。記憶部53内には、検査対象物9の搬送および検査を実行するためのコンピュータプログラムPが、インストールされている。
【0070】
図6は、制御部50と、外観検査装置1内の各部との接続構成を示したブロック図である。
図6に示すように、制御部50は、上述した第1搬入機構11、第1保持機構12、第1検査部13、第1搬出機構14、姿勢変更機構20、第2搬入機構31、第2保持機構32、第2検査部33、第2搬出機構34、および分別排出機構40と、それぞれ電気的に接続されている。制御部50は、記憶部53に記憶されたコンピュータプログラムPをメモリ52に一時的に読み出し、当該コンピュータプログラムPに基づいて、演算処理部51が演算処理を行うことにより、上記の各部を動作制御する。これにより、複数の検査対象物9の搬送および検査が、順次に進行する。
【0071】
<2.外観検査装置の搬送上の特徴について>
上記の通り、この外観検査装置1では、第1検査ユニット10で検査対象物9の第1面(例えば表面)を検査した後、第1検査ユニット10から搬出された検査対象物9の姿勢を反転させ、その後、第2検査ユニット30で検査対象物9の第2面(例えば裏面)を検査する。これにより、検査対象物9の広い面(例えば、表面および裏面の全体)を検査できる。また、この外観検査装置1では、第1面の検査、姿勢の変更、および第2面の検査を、それぞれ別の位置で並行に行うことができる。これにより、複数の検査対象物9の搬送間隔を、短くすることができる。
【0072】
図7は、第1検査ユニット10における検査対象物9の搬入出の経路を、概念的に示した図である。
図7に示すように、本実施形態の第1検査ユニット10では、搬入開始位置P1から第1検査位置P2までの搬入経路91では、検査対象物9を斜め上向きに搬送し、第1検査位置P2から第1受け渡し位置P3までの搬出経路92では、検査対象物9を鉛直下向きに搬送する。このため、複数の光照射部131および複数のカメラ132と干渉することなく、第1検査位置P2に対して、検査対象物9を搬入および搬出できる。
【0073】
また、第1搬入機構11による検査対象物9の搬入経路91と、第1搬出機構14による検査対象物9の搬出経路92とが、互いに異なる経路であるため、第1搬入機構11と第1搬出機構14とを、同時に動作させることができる。このため、複数の検査対象物9を、第1検査位置P2に対して、短い時間間隔で搬入および搬出できる。
【0074】
同様に、第2検査ユニット30においても、第2受け渡し位置P4から第2検査位置P5までの搬入経路では、検査対象物9を斜め上向きに搬送し、第2検査位置P5から第3受け渡し位置P6までの搬出経路では、検査対象物9を斜め下向きに搬送する。このため、第2検査ユニット30においても、複数の光照射部331および複数のカメラ332と干渉することなく、第2検査位置P5に対して、検査対象物9を搬入および搬出できる。また、第2搬入機構31と第2搬出機構34とを、同時に動作させることができる。このため、複数の検査対象物9を、第2検査位置P5に対して、短い時間間隔で搬入および搬出できる。
【0075】
なお、第1搬入機構11における検査対象物9の搬送角度(
図7中の角度θ1)が0°に近くなると、搬送中の検査対象物9が光照射部131およびカメラ132と干渉しやすくなる。一方、当該搬送角度が90°に近くなると、第1搬入機構11と第1搬出機構14とが、互いに干渉しやすくなる。第1検査部13および第1搬出機構14の双方との接触を避けるために、第1搬入機構11における検査対象物9の搬送角度は、例えば、水平面に対して15°以上かつ45°以下とすることが好ましい。より好ましくは、当該搬送角度を約20°にするとよい。
【0076】
また、同様の理由により、第2搬入機構31における検査対象物9の搬送角度は、例えば、水平面に対して15°以上かつ45°以下とすることが好ましい。より好ましくは、当該搬送角度を約20°にするとよい。
【0077】
また、本実施形態の構造を採れば、第1検査位置P2に対して検査対象物9を搬入または搬出するために、光照射部131やカメラ132の位置を変化させる必要はない。同様に、第2検査位置P5に対して検査対象物9を搬入または搬出するために、光照射部331やカメラ332の位置を変化させる必要はない。第1検査部13の複数の光照射部131、第1検査部13の複数のカメラ132、第2検査部33の複数の光照射部331、および第2検査部33の複数のカメラ332は、いずれも、一定の位置に固定配置することができる。このようにすれば、各光照射部131,331または各カメラ132,332の位置ずれを抑制できる。その結果、検査対象物9をより正確に撮影でき、外観検査の精度を向上させることができる。
【0078】
また、本実施形態では、搬入開始位置P1が、第1検査位置P2の斜め下方に配置されている。このため、検査対象物9を投入する投入口60を、第1検査位置P2の鉛直下方の位置から外れた位置に配置できる。したがって、外観検査装置1のユーザは、第1保持機構12や第1検査部13を避ける必要なく、検査対象物9を投入口60から搬入開始位置P1へ、容易にセットすることができる。
【0079】
また、本実施形態では、第1受け渡し位置P3が、第1検査位置P2の鉛直下方に配置されている。このため、第1搬出機構14は、検査対象物9を鉛直下向きに搬送する。このようにすれば、検査対象物9を斜め下向きに搬出する場合よりも、第1搬出機構14の占有床面積を低減できる。同様に、本実施形態では、第3受け渡し位置P6が、第2検査位置P5の鉛直下方に配置されている。このため、第2搬出機構34は、検査対象物9を鉛直下向きに搬送する。このようにすれば、検査対象物9を斜め下向きに搬出する場合よりも、第2搬出機構34の占有床面積を低減できる。これらの結果、外観検査装置1のフットプリントを、低減できる。
【0080】
また、本実施形態では、第1検査ユニット10において、第1搬入機構11と第1搬出機構14とが、個別に制御可能な別機構となっている。このため、第1搬入機構11および第1搬出機構14の各々の動きを最適化して、検査対象物9の搬送間隔を、より短くすることができる。同様に、第2検査ユニット30においても、第2搬入機構31と第2搬出機構34とが、個別に制御可能な別機構となっている。このため、第2搬入機構31および第2搬出機構34の各々の動きを最適化して、検査対象物9の搬送間隔を、より短くすることができる。
【0081】
制御部50は、少なくとも一部の時間において、第1搬入機構11と第1搬出機構14とを、同時に動作させることが好ましい。例えば、第1搬出機構14が第1検査位置P2から第1受け渡し位置P3へ検査対象物9を搬送している最中に、第1搬入機構11が搬入開始位置P1から第1検査位置P2へ後続の検査対象物9を搬送するようにするとよい。このように、第1搬入機構11と第1搬出機構14とを同時に動作させれば、第1検査ユニット10において、複数の検査対象物9を、より短い時間間隔で搬送できる。
【0082】
同様に、制御部50は、少なくとも一部の時間において、第2搬入機構31と第2搬出機構34とを、同時に動作させることが好ましい。例えば、第2搬出機構34が第2検査位置P5から第3受け渡し位置P6へ検査対象物9を搬送している最中に、第2搬入機構31が第2受け渡し位置P4から第2検査位置P5へ後続の検査対象物9を搬送するようにするとよい。このように、第2搬入機構31と第2搬出機構34とを同時に動作させれば、第2検査ユニット30において、複数の検査対象物9を、より短い時間間隔で搬送できる。
【0083】
また、本実施形態では、第1搬入機構11において、搬入台移動機構63が、搬入台61を直線状に移動させる。また、第1搬出機構14において、搬出台移動機構82が、搬出台81を直線状に移動させる。また、第2搬入機構31においても、搬入台移動機構が搬入台を直線状に移動させる。また、第2搬出機構34においても、搬出台移動機構が搬出台を直線状に移動させる。このようにすれば、各搬入機構および各搬出機構において、検査対象物9をほぼ最短距離で搬送できる。したがって、検査対象物9をより迅速に搬送できる。
【0084】
また、本実施形態では、第1搬入機構11において、搬入台移動機構63が、搬入台61を、搬入経路91に沿って往復移動させる。また、第2搬入機構31においても、搬入台移動機構が、搬入台を、搬入経路に沿って往復移動させる。このようにすれば、各搬入機構において、搬入台の往路と復路を別々の経路とする場合よりも、搬入台の移動範囲を狭めることができる。したがって、各搬入機構の占有床面積を低減できる。
【0085】
また、本実施形態では、第1搬出機構14において、搬出台移動機構82が、搬出台81を、搬出経路92に沿って往復移動させる。また、第2搬出機構34においても、搬出台移動機構が、搬出台を、搬出経路に沿って往復移動させる。このようにすれば、各搬出機構において、搬出台の往路と復路を別々の経路とする場合よりも、搬出台の移動範囲を狭めることができる。したがって、各搬出機構の占有床面積を低減できる。
【0086】
<3.変形例>
以上、本発明の主たる実施形態について説明したが、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではない。
【0087】
図8は、第1検査位置P2に対する搬入出の経路の変形例を示した図である。
図8の例では、第1検査位置P2の鉛直下方に、搬入開始位置P1が配置されている。したがって、第1搬入機構11は、搬入開始位置P1から第1検査位置P2までの搬入経路91において、検査対象物9を鉛直上向きに搬送する。また、
図8の例では、第1検査位置P2よりも外観検査装置1の奥側かつ低い位置に、第1受け渡し位置P3が配置されている。したがって、第1搬出機構14は、第1検査位置P2から第1受け渡し位置P3までの搬出経路92において、検査対象物9を斜め下向きに搬送する。
【0088】
図9は、第1検査位置P2に対する搬入出の経路の他の変形例を示した図である。
図9の例では、第1検査位置P2よりも外観検査装置1の手前側かつ低い位置に、搬入開始位置P1が配置されている。したがって、第1搬入機構11は、搬入開始位置P1から第1検査位置P2までの搬入経路91において、検査対象物9を斜め上向きに搬送する。また、
図9の例では、第1検査位置P2よりも外観検査装置1の奥側かつ低い位置に、第1受け渡し位置P3が配置されている。したがって、第1搬出機構14は、第1検査位置P2から第1受け渡し位置P3までの搬出経路92において、検査対象物9を斜め下向きに搬送する。
【0089】
図8および
図9の搬送形態でも、光照射部131およびカメラ132の位置を変化させることなく、第1検査位置P2に対して、検査対象物9を搬入および搬出できる。また、検査対象物9の搬入と搬出とを、異なる経路で行うため、複数の検査対象物9を、短い時間間隔で搬送できる。
【0090】
なお、
図9の例では、搬入経路91と搬出経路92とが、上面視において一直線に並んでいる。しかしながら、搬入経路91および搬出経路92の双方を斜めに搬送する場合、搬入経路91と搬出経路92とは、必ずしも上面視において一直線に並んでいなくてもよい。また、水平面に対する搬入経路91の傾斜角度と、水平面に対する搬出経路92の傾斜角度とは、互いに異なる角度であってもよい。
【0091】
また、上記の実施形態では、検査対象物9の例として、鍛造や鋳造により形成される金属部品を挙げたが、本発明の検査対象物は、金属以外の材料(例えば樹脂)からなるものであってもよい。
【0092】
また、検査対象物の形状や、外観検査装置の細部の形状については、本願の各図と相違していてもよい。また、上記の実施形態や変形例に登場した各要素を、矛盾が生じない範囲で、適宜に組み合わせてもよい。