【実施例1】
【0030】
図1〜
図5において、実施例1の配線ボックスB
1 は、1つの配線器具を取付けるための「1個用」であって、合成樹脂の射出成形により形成され、縦長の長方形状の底壁1の周縁に、左右一対の縦側壁2と上下一対の横側壁3とが一体に形成されて、前面にボックス開口4を有する有底四角箱状のボックス本体10を備えている。ボックス本体10の各縦側壁2のボックス開口4(
図6参照)の側の端部には、壁厚T
1 (=12.5mm)を有する汎用の壁材W
1 に形成された方形状の壁穴H(
図1参照)の壁表面の縦方向の周縁部に壁表側から掛けられる左右一対の挟持鍔部5が外方に突出して形成されている。上下一対の横側壁3の横方向の中央部であって、しかも前端部には、ボックス本体10に収容される配線器具(図示せず)をビス固定するための上下一対のボス部6が設けられている。また、ボックス本体10に収容される配線器具との関係で、底壁1と各縦側壁2との接続部には、それぞれ上下方向に沿って2個の電線引込み開口7aが両壁1,2に跨がって、計4個形成されていると共に、底壁1の上下端部には、それぞれ別の開口7bが形成されている。底壁1の中央部には、必要に応じて円形開口を形成するための上下一対のノックアウト開口部8が設けられている。
【0031】
壁材としては、断熱性及び遮音性の双方に優れる石膏ボードが多用され、石膏ボード製の壁材は、壁厚が、9.5mm、12.5mm、15mmの各壁材は、汎用性の高い壁材として多用されている。上記した壁厚T
1 (=12.5mm)の壁材W
1 は、汎用性が最も高い。
【0032】
ボックス本体10の各角部は、収納される配線器具の形状との関係において、ボックス開口4の位置よりも底壁1の側に下がって形成されている。ボックス本体10の計4個の各角部(コーナー部)の内側には、わん曲L字形の横断面形状のわん曲内壁部11が、縦横の各側壁2,3を接続するようにして、ボックス本体10の奥行方向の全長に亘って形成され、計4個のわん曲内壁部11のうち一方の対角線方向に沿って対向する部分は、縦側壁2の側に開口した縦側壁開口12が形成されていると共に、計4個のわん曲内壁部11のうち他方の対角線方向に沿った対向する部分は、横側壁3の側に開口した横側壁開口13が形成されている。縦側壁及び横側壁の各開口12,13は、わん曲内壁部11に対応して、ボックス本体10の奥行方向の全長に亘って形成されている。
【0033】
ビスD
1 を収容するためのビス収容空間15(
図5及び
図6参照)は、ボックス本体10の各角部に設けられたわん曲内壁部11、縦側壁2、横側壁3、底壁1及びボックス開口4の側の厚板状のビス頭部配置板部14とで形成されて、側方又は上方(又は下方)のみに開口されている。ビスD
1 は、
図5に示されるように、その頭部D
1aがビス頭部配置板部14に埋設状態で配置されると共に、その先端部が底壁1に回転可能に支持されることで、ボックス本体10の計4個の各角部のビス収容空間15には、ビスD
1 が収容配置されて、当該ビスD
1 は、ボックス本体10に回転しても進退しない状態で両端支持されている。
【0034】
ボックス本体10のボックス開口4の側に形成された左右一対の前記挟持鍔部5と協働して、壁材W
1 における壁穴Hの周縁部を表裏両面から挟持して、当該ボックス本体10を壁材W
1 に取付ける(固定する)ための挟持片A
1 は、
図2、
図4及び
図5に示されるように、壁厚の大きな金属板を折り曲げることで、前記ビスD
1 に螺合される基端側の基端支持板部16と、壁材W
1 の裏面に当接して前記一対の挟持鍔部5とで壁材W
1 を挟持する先端側の挟持板部17とが一体となった構成である。挟持板部17は、壁材W
1 の裏面を挟持し易いように、基端支持板部16に対して壁材W
1 の側に当該壁材W
1 に対して僅かに傾斜した状態で折り曲げられていると共に、挟持片A
1 の回動方向に沿って長さは、壁材W
1 の裏面に対する大きな挟持面積、或いは長い挟持長を確保すべく、前記基端支持板部16よりも遥かに長くなっている。
【0035】
ビスD
1 に螺合される挟持片A
1 は、壁材W
1 の壁穴Hに壁表から挿入する際には、当該壁穴Hの周縁部との干渉を回避して挿入可能とする必要があるために、ボックス本体10の内部に収納して、内部に退避させる必要があり、ボックス本体10の縦横の各側壁2,3には、挟持片A
1 の最小の引寄せ距離でもって、壁厚T
1 〜T
3 の異なる3種類の汎用の壁材W
1 〜W
3 の全てを挟持可能とすべく、縦横の各側壁2,3の高さ(ボックス本体10の深さ)の中間よりもボックス開口4の側に寄った位置に、前記挟持片A
1 をボックス本体10内に退避させるための挟持片退避開口21が形成されている。即ち、挟持片退避開口21は、ボックス本体10の縦横の各側壁2,3には、底壁1からは大きく離間した位置に設けられている。挟持片退避開口21に配置される挟持片A
1 は、
図4に示されるように、壁表側からのビスD
1 の回動により、当該ビスD
1 に連れ回りされることで、実施例1ではほぼ90°回動されて、ボックス本体10の外部において壁材W
1 を挟持可能な挟持可能位置まで突出される。このように、挟持片退避開口21を通して挟持片A
1 をボックス本体10内に収納可能にするために、ボックス本体10の各角部の内部に形成されたわん曲内壁部11における挟持片退避開口21の位置に対応する部分は、切欠き11aが形成されている。ここで、
図4の右下及び右上の各角度において挟持片A
1 が2点鎖線で示されるように、ビスD
1 と挟持片A
1 との連れ回り力の不足により、ボックス本体10内において、挟持片A
1 がビスD
1 の軸方向に移動される不具合を防止するために、挟持片A
1 の退避端位置において、ボックス本体10の正面視において、当該挟持片A
1 とボックス本体10の縦横の各側壁2,3とが僅かに重複(
図4において、重複幅がKで示されている)することで、上記不具合を防止する構造になっている。
【0036】
挟持片退避開口21を通って、ボックス本体10内に挟持片A
1 が退避している状態において、ビスD
1 を所定方向(ビスD
1 が右ねじの場合には、右方向)に回動させると、挟持片A
1 は、ビスD
1 の回動により連れ回されて、ボックス本体10の外部に突出して、前記ビス収容空間15を構成する縦又は横の側壁2,3に当接して、更なる連れ回りが防止されることで、以後は、ビスD
1 の回転により、挟持片A
1 は、ボックス開口4の側(ボックス本体10が壁裏に配置された状態では、壁材W
1 の裏面の側)に引き寄せられて移動される。このため、前記ビス収容空間15を構成する縦又は横の側壁2,3の部分は、ビスD
1 の所定角度の回動により、ボックス本体10内に退避している挟持片A
1 を連れ回して、ボックス本体10の外部の壁材W
1 を挟持可能な位置まで突出させることで、更なる同方向への連れ回りを防止する機能を果すと共に、挟持可能な位置まで突出された挟持片A
1 を壁材W
1 の側に引き寄せる際の案内を行う挟持片当接案内部2a,3a(
図4参照)として作用する。ここで、ビスD
1 における挟持片退避開口21の位置に対応する部分のねじ山は、僅かに潰されていることで、ビスD
1 の回転に対して挟持片A
1 が連れ回りされ易くなって、ボックス本体10の内部に退避している挟持片A
1 を確実に当該ボックス本体10の外部の挟持可能位置に突出させることができ、壁材W
1 に対するボックス本体10の取付け作業を迅速に行える。
図7において、31は、ビスD
1 のねじ山の潰し部を示す。また、
図2及び
図3において、32は、ボックス本体10の上下方向に沿った対向する各ボス部6にナット(図示せず)を圧入するためのナット圧入穴を示す。
【0037】
そして、壁厚T
1 (=12.5mm)の汎用の壁材W
1 の壁表側から、当該壁材W
1 に形成されたボックス本体10の正面形状に対応する方形状の壁穴Hに当該ボックス本体10を挿入して、当該ボックス本体10を壁材W
1 に取付ける(固定する)には、以下のようにして行う。ここで、挟持片A
1 は、挟持片退避開口21を通して、ボックス本体10の内部に収納させて、退避させておく。
【0038】
汎用材の壁材W
1 に対してボックス本体10を取付けるには、
図1の二点鎖線表示及び
図7に示されるように、壁材W
1 の壁穴Hに挿入する前においては、ボックス本体10の各角部に設けられた全ての挟持片A
1 は、挟持片退避開口21を通してボックス本体10の内部に収納して、ボックス本体10の外面に対して退避させておく。これにより、ボックス本体10の外面からの突出物がなくなって、当該ボックス本体10は、ボックス本体10のボックス開口4の側の左右一対の挟持鍔部5が、壁穴Hの周縁部に掛けられるまで、壁材W
1 の壁穴Hに挿入されることで、ボックス本体10は、左右一対の挟持鍔部5を介して壁材W
1 の壁穴Hの周縁部に仮固定される。
【0039】
その後に、壁表側において、電動又は手動のドライバー51により各ビスD
1 を回転させると、ビスD
1 の最初の(1/4)回転時において、挟持片退避開口21を通してボックス本体10内に退避している挟持片A
1 は、ビスD
1 と一体となって、挟持片当接案内部2a(3a)に当接するまで連れ回り回動されて、
図2に示されるように、ボックス本体10の外部の挟持可能位置まで突出し、当接後においては、前記挟持片当接案内部2a(3a)により更なる連れ回りが防止されるために、ボックス本体10に対して進退不能に支持されたビスD
1 の回転により、前記挟持片A
1 は、挟持片当接案内部2a(3a)に案内されて壁材W
1 の裏面に当接するまで、壁材W
1 の側に引き寄せられる。計4本のビスD
1 を全て壁材W
1 の裏面まで引き寄せて強く押圧させると、壁表側のボックス本体10の左右一対の挟持鍔部5と、壁裏側の計4個の挟持片A
1 により壁材W
1 が挟持されることで、ボックス本体10は、当該壁材W
1 に取付けられる(
図1の実線表示及び
図7参照)。なお、
図1において、33は、壁裏において、電線引込み開口7aを通してボックス本体10内に引き込まれた電線を示す。
【0040】
ここで、
図7に示されるように、挟持片A
1 を退避可能とするための挟持片退避開口21は、ボックス本体10の縦横の各側壁2,3の高さ方向の中間部よりもボックス開口4の側に寄って設けられているため、挟持片A
1 がビスD
1 の回転によりボックス本体10の外部に突出された挟持可能位置から、壁材W
1 の裏面に当接するまでの挟持片A
1 の引寄せ距離(移動距離)L
1'は、挟持片A
1 の初期位置がボックス本体10の底壁1に近接している場合に比較して、著しく短くなる。その結果、1個の挟持片A
1 を壁材W
1 の側に引き寄せるのに要する時間が短くなって、1つの配線作業現場において、多数個の挟持片A
1 の引き寄せに要する総時間が短くなって、配線作業の能率が高められる。
【0041】
多用される汎用の壁材W
1 の壁厚は、12.5mmのものが多いが、上記した挟持片A
1 の「退避位置P
3 」においては、
図8(a),(b)に示されるように、壁厚T
2 ,T
3 がそれぞれ9.5mm,15mmの壁材W
2 ,W
3 の挟持が可能となり、挟持片A
1 は、それぞれ「退避位置P
3 」から距離L
2',L
3 (L
2'>L
1'>L
3 )だけ壁材W
2 ,W
3 の側に引き込んで移動させる必要がある。
【0042】
(
参考例1)
実施例1の配線ボックスB
1 の縦横の各側壁2,3に設けられた挟持片退避開口21は、複数種類の汎用の壁材W
1 〜W
3 のうち、壁厚T
3 の最も大きな壁材W
3 を、最小の引寄せ距離L
3 で挟持が可能な「退避位置P
3 」に挟持片A
1 を配置可能に設計してある。これに対して、
図9(a)に示される配線ボックスB
2 は、壁厚T
1 (=12.5mm)の最も汎用性の高い壁材W
1 を、最小の引寄せ距離L
1 で挟持が可能な「退避位置P
1 」に挟持片A
1 を配置可能なように、ボックス本体10の縦横の各側壁2,3に挟持片退避開口22が形成されている。よって、壁厚T
1 の最も汎用性の高い壁材W
1 に対応させて、最小の引寄せ距離L
1 で挟持が可能な専用の配線ボックスB
2 を製作する実用的利点は大きい。
【実施例3】
【0044】
図10に示される配線ボックスB
4 は、上記した壁厚T
1 〜T
3 の計3種類の汎用の壁材W
1 〜W
3 に対応させて、いずれの壁材W
1 〜W
3 においても、挟持片A
1 の最小の引寄せ距離L
1 〜L
3 でもって、各壁材W
1 〜W
3 を挟持可能なように、単一の挟持片退避開口24によって、各壁材W
1 〜W
3 に対応する計3個の挟持片A
1 の「退避位置P
1 〜P
3 」が形成できるように設計されている。
【0045】
即ち、挟持片退避開口24は、その奥端位置(ボックス本体10の底壁1の側の位置)をそのままにして、前端位置(ボックス開口4の側の位置)をボックス開口4の側に近付けることで、前記挟持片退避開口21に対して縦横の各側壁2,3の高さ方向に沿った幅を広くした構成である。これにより、1つの挟持片退避開口24に、壁厚T
1 〜T
3 の異なる計3種類の壁材W
1 〜W
3 に対応した異なる3種類の初期位置となる「退避位置P
1 〜P
3 」に挟持片A
1 を配置可能にしたものである。
図10には、挟持片退避開口24を通して配線ボックスB
4 のボックス本体10内に収容されることで、壁厚T
1 〜T
3 の異なる計3種類の壁材W
1 〜W
3 に対応して、挟持片A
1 がビスD
2 の軸方向に沿って異なる「退避位置P
1 〜P
3 」に配置された状態が図示されている。一点鎖線、二点鎖線及び三点鎖線は、それぞれ壁材W
1 、同W
2 及び同W
3 に対応した挟持片A
1 の退避位置を示している。また、ビスD
2 は、前記ビスD
1 よりも短くて、その先端部は、ボックス本体10の縦横の各側壁2,3の高さ方向の中間部に設けられたビス支持部41に支持されている。なお、
図10において、15’は、ボックス開口4から縦横の各側壁2,3の高さ方向の中間部までの間に設けられたビス収容空間を示す。
【0046】
従って、
図10に示される実施例
3は、1つの挟持片退避開口24に、壁厚T
1 〜T
3 の異なる計3種類の壁材W
1 〜W
3 に対応して、挟持片A
1 の計3つの各退避位置P
1 〜P
3 がビスD
2 の軸方向に沿って所定間隔をおいて設けられている例である。このため、
図10に示される挟持片退避開口24のボックス本体10の高さ方向に沿った寸法である幅E
1 は、挟持片A
1 の異な各退避位置P
1 〜P
3 における合成全体幅E
2 よりも広く形成されている。
【0047】
また、壁厚T
1 〜T
3 の異なる計3種類の壁材(W
1,W
2,W
3)を壁裏から挟持するための挟持片A
1 の引寄せ距離は、それぞれ (L
1,L
2,L
3)であって、最小となるように定められている。いずれも、ボックス本体10の底壁1に近い部分に設けられた挟持片退避開口に挟持片A
1 を退避させておく従来構造に比較して、挟持片A
1 の各引寄せ距離(L
1,L
2,L
3 )は、相当に短くなって、壁厚T
1 〜T
3 の異なる複数の壁材W
1 〜W
3 に対してボックス本体10を迅速に取付けられる。なお、挟持片A
1 の各引寄せ距離(L
1,L
2,L
3 )は、等しい(L
1 =L
2 =L
3)。
【0048】
また、実施例
3の配線ボックスB
4 では、多用されている壁厚の異なる石膏ボードから成る計3種類の壁材W
1 〜W
3 に対応させて、単に1つの挟持片退避開口24により、ビスD
2 の長手方向に沿って異なる位置に、計3個の挟持片A
1 の退避位置P
1 〜P
3 を設けることが可能であり、縦横の各側壁2,3における各壁材W
1 〜W
3 の壁厚T
1 〜T
3 に対応する位置に、壁厚の数値、壁厚に対応させた線分、矢印等の諸表示を施しておくと、3種類の異なる壁材W
1 〜W
3 に対するボックス本体10の取付け作業が容易となる。
【実施例4】
【0049】
図11に示される実施例
4は、本発明を、耐火用の金属製の配線ボックスB
5 に対しても実施したものである。配線ボックスB
5 のボックス本体61の一対の縦側壁62のボックス開口63の部分は、外側に折り曲げられて挟持鍔部64が形成され、上下一対の横側壁65の部分は、上方及び下方に折り曲げられることで、前側ビス支持板部66が形成されて、当該前側ビス支持板部66の部分は、前記ボックス開口63よりも底壁67の側に下がって形成されている。上下の各横側壁65の部分には、上面又は下面が開口するようにして、挟持片当接案内板部68,69が溶接より一体に取付けられ、各挟持片当接案内板部68,69で形成された空間部にビスD
3 が収容されて、当該ビスD
3 は、前側ビス支持板部66及び一方の挟持片当接案内板部68の後端の折曲げ部68aとの間で回転可能に支持されることで、上下の各横側壁65よりも上方又は下方に配置されている構成が、前記実施例1〜
3及び参考例1の配線ボックスと異なる。他方の挟持片当接案内板部69の長手方向の中間部(ボックス本体61の高さ方向の中間部)には、前記ビスD
3 に螺合された挟持片A
2 が、ボックス本体61の外形に対して内側に退避させるための単一の挟持片退避溝71が形成されている。
【0050】
このため、ボックス本体を壁材の壁穴に挿入する前に、ボックス本体61の各横側壁65の外側に設けられた単一の挟持片退避溝71に挟持片A
2 を嵌め込んで「退避位置(P
4 )」に退避させておく。実施例
4の配線ボックスB
5 の場合には、挟持片A
2 の退避位置P
4 は、単に一つであって、ボックス本体61は、挟持片A
2 の最小の引寄せ距離により、壁材に取付けられる。
【0051】
なお、実施例
4では、挟持片当接案内板部69の長手方向の中間部に設けられる挟持片退避溝71をビスD
3 の軸方向に沿って一定の長さを有するような広い幅の溝状に形成することも可能であり、更に、ビスD
3 の軸長に関しては、ビスD
3 の先端部(ボックス本体61の底壁67の側の端部)の位置は、ボックス本体61の底壁67に達する長さは必要なく、実施例
3の配線ボックスB
4 のビスD
2 のように、前記挟持片退避溝71の配置位置に対してボックス本体61の底壁67の側に向けて僅かに超える位置において支持することで、短くできる。
【0052】
なお、実施例1〜
4の各配線ボックスB
1 ,B3 〜B5 及び参考例1の配線ボックスB2 は、ボックス本体10(61)のボックス開口4(63)と対向する部分に底壁1(67)が設けられた構造であるが、本発明は、縦横の各側壁2,3からなる周壁のみで構成されて、底壁を有しない配線ボックスに対しても実施可能である。
【0053】
また、上記した実施例1〜
3の配線ボックスB
1 ,B3 ,B4 及び参考例1の配線ボックスB2 では、ボックス本体10の全ての角部に、挟持片A
1 の連れ回しと引き込みとを行うビスD
1 ,D
2 が配置された例であるが、ボックス本体の角部(コーナー部)ではなくて、上下の各横壁部の中央部に上下に対向して一対又は複数対のビスが配置された配線ボックス、更には、2個、或いはそれ以上の配線器具が取付け可能な「複数個用」の配線ボックスもあり、これらの配線ボックスに対しても、本発明は、当然に実施可能である。また、実施例1〜
3の配線ボックスB
1 ,B3 ,B4 及び参考例1の配線ボックスB2 は、ボックス本体10内に収容される配線器具の形状との関係において、各角部は、ボックス開口よりも底壁の側に下がって形成されているが、通常の配線ボックスにおいては、ボックス本体の各角部は、ボックス開口と同一面に配置されており、この通常の配線ボックスに対しても、本発明は、当然に実施可能である。
【0054】
また、本発明では、ボックス本体10の底壁1から離れた位置に、挟持片A
1 の退避位置、及びビスD
1 の連れ回り回転により、当該退避位置からボックス本体10の外部の挟持片A
1 の挟持可能位置を確保できれば十分であって、単一の挟持片退避開口21〜24のボックス本10の底壁1の側の端縁位置は、挟持片A
1 の単一の退避位置、或いは挟持片A
1 が複数の退避位置を有する場合において、ボックス本体10の底壁1に最も近い挟持片A
1 の退避位置よりも前記底壁1の側に、前記退避位置及び挟持可能位置に配置するために、当該挟持片A
1 の回動に寄与しない(余分な)空間部が存在している構成も、本発明の技術的範囲に含まれる。なお、ボックス本体10の糧横の各側壁2,3の強度(剛性)確保の面から、上記した実施例1〜
3及び参考例1のように、挟持片退避開口21〜24のボックス本体10の各側壁2,3の高さ方向に沿った開口長は、挟持片の退避位置からビスの回転により挟持可能位置まで連れ回り可能な最小寸法にすることが望ましい。