(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
UTPケーブルの各電線に接続されるUTP接続端子、及び前記UTP接続端子が収容される一対の収容部を有するUTP誘電体を備えたUTPコネクタと、STPケーブルの各電線に接続されるSTP接続端子、及び前記STP接続端子が収容される一対の収容部を有するSTP誘電体を備えたSTPコネクタの、いずれかを選択使用するコネクタ構造であって、
前記UTP誘電体は、少なくとも前記一対の収容部を仕切る隔壁が相対的に誘電率の高い材料で構成され、
前記STP誘電体は、少なくとも前記隔壁が相対的に誘電率の低い材料で構成され、
前記隔壁が、前記UTP誘電体及び前記STP誘電体のそれぞれの本体部の嵌合溝に差し込まれることにより、前記隔壁の両側に前記収容部が形成され、
前記UTP誘電体及び前記STP誘電体のそれぞれの前記収容部に、前記UTP接続端子及び前記STP接続端子がそれぞれ収容されることを特徴とするコネクタ構造。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施例1のUTPコネクタの分解斜視図である。
【
図2】UTPコネクタにおいて、隔壁と上側誘電体とを示す分解斜視図である。
【
図4】UTPケーブルの各電線に接続されたUTP接続端子と上側誘電体とを示す分解斜視図である。
【
図5】UTPケーブルの各電線に接続されたUTP接続端子が上側誘電体の収容部に収容された状態を示す斜視図である。
【
図6】UTP接続端子が収容された上側誘電体と下側誘電体とを示す分解斜視図である。
【
図7】下側誘電体と上側誘電体とが合体状態に保持されたUTP誘電体の斜視図である。
【
図8】UTP誘電体とUTPハウジングとを示す分解斜視図である。
【
図10】UTPコネクタの側面視方向の断面図である。
【
図11】UTPコネクタの平面視方向の断面図である。
【
図12】UTPコネクタにおける上側誘電体の本体部の底面図である。
【
図14】STPコネクタにおいて、隔壁と上側誘電体とを示す分解斜視図である。
【
図15】STPケーブルの各電線に接続されたSTP接続端子と上側誘電体とを示す分解斜視図である。
【
図16】STPケーブルの各電線に接続されたSTP接続端子が上側誘電体の収容部に収容された状態を示す斜視図である。
【
図17】STP接続端子が収容された上側誘電体と下側誘電体とを示す分解斜視図である。
【
図18】下側誘電体と上側誘電体とが合体状態に保持されたSTP誘電体の斜視図である。
【
図19】STP誘電体と上側外導体とを示す分解斜視図である。
【
図20】STP誘電体が上側外導体に支持された状態を示す斜視図である。
【
図21】STP誘電体が支持された上側外導体と下側外導体とを示す分解斜視図である。
【
図22】上側外導体と下側外導体とが合体状態に保持され、且つ、STPケーブルのシールド導体に接続された外導体の斜視図である。
【
図23】STP誘電体が内包された外導体とSTPハウジングとを示す分解斜視図である。
【
図24】STPコネクタの側面視方向の断面図である。
【
図25】STPコネクタにおける上側誘電体の本体部の底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<実施例1>
本発明の実施例1を図面に基づいて説明する。本実施例1のコネクタ構造は、車載通信ネットワークシステムに用いられるものであって、UTPケーブル10Aの端部に設けられるUTPコネクタ20Aと、STPケーブル10Bの端部に設けられるSTPコネクタ20Bのいずれかを選択使用可能とされている。UTPコネクタ20AとSTPコネクタ20Bとは互いに共通もしくは近似する構造部分を有しており、インピーダンスを調整しつつUTPケーブル10AとSTPケーブル10Bとの間の置き換えが可能となっている。
【0013】
図1に示すように、UTPコネクタ20Aは、図示しない相手側UTPコネクタに嵌合され、UTP接続端子21A、UTP誘電体22A及びUTPハウジング23Aを備える。
図13に示すように、STPコネクタ20Bは、図示しない相手側STPコネクタに嵌合され、STP接続端子21B、STP誘電体22B、外導体24B及びSTPハウジング23Bを備える。
【0014】
[UTPケーブル]
図4に示すように、UTPケーブル10Aは、撚られた一対の電線11と、各電線11を包囲するシース12とからなる。電線11は、導体部分と導体部分を包囲する被覆部分とで構成されている。各電線11の端部はシース12から露出し、それぞれUTP接続端子21Aに接続される。
【0015】
[UTP接続端子]
UTPケーブル10Aの各電線11に接続されるUTP接続端子21Aは、互いに同一の形状で構成されている。このUTP接続端子21Aは、UTPコネクタ20Aと相手側UTPコネクタとの嵌合時に、相手側UTPコネクタに設けられた図示しない雄タブに電気的に接続される。UTP接続端子21Aは、導電性の金属板材を曲げ加工等して一体に形成され、全体として前後方向(
図11の左右方向)に細長い形状になっている。
【0016】
UTP接続端子21Aは、前端部に略角筒状の箱部27を有し、後端部にオープンバレル状のバレル部28を有している。箱部27内には雄タブが挿入されて電気的に接続される。バレル部28は、電線11の導体部分及び被覆部分にそれぞれ電気的及び機械的に接続される。また、UTP接続端子21Aは、箱部27の一側から上方へ突出する図示しない突部を有している。なお、UTPケーブル10Aのシース12の端部には、UTP接続端子21Aとは別体の加締めリング29が圧着して接続されている。
【0017】
[UTP誘電体]
UTP誘電体22Aは合成樹脂製であって、後述する隔壁43A、43Bを除いてSTP誘電体22Bと同一の材料で構成され、上下に分割可能な上側誘電体35と下側誘電体36とからなる。なお、以下の説明において、
図2〜
図8は、組み付け手順を説明するものであって、上下方向の基準が
図1とは逆になっている。
【0018】
図2に示すように、上側誘電体35は、本体部53と、本体部53に対して着脱可能な隔壁43Aとを有している。
隔壁43Aは、STP誘電体22Bの後述する隔壁43Bと比べて誘電率(比誘電率)の高い材料、例えば、液晶ポリマー(LCP)によって構成されている。隔壁43Aは、前後方向に長い板状をなし、前後方向中央部に段差74を有し、段差74を介した略前半部が略後半部に対して若干厚肉に形成されている。隔壁43Aの前後両端部には、細片状のほぞ部72が前後両方向に突出して設けられている。
【0019】
本体部53は、上端に位置する上壁33と、左右両端に位置する左右一対の側壁45と、前端に位置する前壁32とからなる。
図10に示すように、上壁33の外面(上面)には、UTPハウジング23Aに係止可能なロック突起37が設けられている。上壁33の後端部には、加締めリング29の上端部を逃がす上端逃がし孔55が開口して設けられている。
【0020】
図12に示すように、上壁33の内面(下面)には、隔壁43Aを位置決め状態で保持することが可能な左右一対の保持部46が設けられている。各保持部46は、上壁33の内面前端部において前後方向に沿ったリブ状の形態とされ、嵌合溝38を挟んで互いに平行に配置されている。各保持部46の下面には、UTP接続端子21Aの箱部27に当接して箱部27の前後位置を決める浅い凹み76が設けられ、その凹み76の後端部に、突部が挿入される凹部44が開口して設けられている。
【0021】
また、上壁33の内面における嵌合溝38の後方には、隔壁43Aの後端位置を規定するピン状の位置決め突起52が設けられている。位置決め突起52の前端には、断面略U字状のほぞ溝73が上下方向(突出方向)の全高にわたって延出して設けられている。このほぞ溝73は、前壁32の後面において上下方向に延出するリブ状部分にも設けられている。嵌合溝38は、両ほぞ溝73によって前後位置が規定される。
【0022】
隔壁43Aは、略前半部が嵌合溝38に嵌合して両保持部46間に挟持されるとともに、前後のほぞ部72が対応するほぞ溝73に嵌合して保持されることにより、本体部53に取り付けられる。
図4に示すように、上側誘電体35には、隔壁43Aが本体部53に取り付けられた状態で、隔壁43Aの左右両側に一対の収容部26が形成される。各収容部26には、
図5に示すように、UTP接続端子21Aが嵌合状態で収容され、収容されたUTP接続端子21Aは、隔壁43Aを挟んで互いに平行に配置される。
【0023】
両側壁45の外面には、前後一対ずつの角凹状の取付受部41が設けられ、取付受部41の奥面に、取付突起42が設けられている。また、両側壁45の外面には、前後の取付受部41間に、位置決め凹所25が下方に開口して設けられている。前壁32には、左右一対のタブ挿入孔69が開口して設けられ、タブ挿入孔69には、雄タブが前方から位置決め状態で挿入される。
【0024】
図6に示すように、下側誘電体36は、前後方向に長い平板状の支持壁67を有している。支持壁67の左右両端には、前後一対ずつの門型枠状の取付片39が上方に突出して設けられ、前後の取付片39間に、板片状の位置決め突片31が上方に突出して設けられている。
図7に示すように、位置決め突片31が位置決め凹所25に嵌合して位置決めされるとともに、各取付片39が取付受部41に嵌合して取付突起42に弾性的に係止されることにより、上側誘電体35と下側誘電体36とが合体状態に保持される。また、上側誘電体35と下側誘電体36とが合体状態になることで、隔壁43A及びUTP接続端子21Aの上方への抜け出しが規制され、隔壁43A及びUTP接続端子21AがUTP誘電体22A内に保持される。
【0025】
図1に示すように、支持壁67の上面には、合体状態において各保持部46と対向する位置に、左右一対の支持リブ71が設けられ、両支持リブ71間に、隔壁43Aの下端部が嵌合状態で挿入される。支持壁67の後端部には、加締めリング29の下端部を逃がす下端逃がし孔77が開口して設けられている。
【0026】
[UTPハウジング]
UTPハウジング23Aは合成樹脂製であって、
図9に示すように、略角筒状のハウジング本体47を有している。ハウジング本体47の上面の幅方向中央部には、ロックアーム48が突出して設けられている。ロックアーム48は、ハウジング本体47の上面前端部から後方へ片持ち状に延出する形態とされ、相手側UTPコネクタを弾性的に係止して、UTPコネクタ20Aと相手側UTPコネクタとを嵌合状態に保持する。ハウジング本体47の内部には、挿入部49が前後方向に貫通して設けられている。
図10に示すように、挿入部49の内部には、UTP誘電体22Aが嵌合可能とされている。挿入部49の内壁の上面には、前方へ片持ち状に突出するランス51が設けられている。UTP誘電体22Aは、挿入部49に後方から挿入され、ロック突起37がランス51を撓み変形させた後、ランス51が復帰してロック突起37を弾性的に係止することにより、UTPハウジング23Aに保持される。
【0027】
[相手側UTPコネクタ]
相手側UTPコネクタは、詳述しないが、UTPハウジング23Aを内嵌可能な合成樹脂製のフード部を有し、フード部の内部に、左右一対の雄タブが突出して配置されている。また、相手側UTPコネクタは、図示しない回路基板に支持され、各雄タブは回路基板の導電部に電気的に接続される。
【0028】
[STPケーブル]
図15に示すように、STPケーブル10Bは、撚られた一対の電線11と、各電線11を包囲してシールドする編組線等のシールド導体13と、シールド導体13を包囲するシース12とからなる。各電線11の端部及びシールド導体13の端部は、シース12から露出しており、このうち、シールド導体13の端部は、折り返されてシース12の外周側に被着される。そして、各電線11の端部は、それぞれSTP接続端子21Bに接続されるようになっている。
【0029】
[STP接続端子]
STPケーブル10Bの各電線11に接続されるSTP接続端子21Bは、互いに同一の形状で構成される。このSTP接続端子21Bは、STPコネクタ20Bと相手側STPコネクタとの嵌合時に、相手側STPコネクタに設けられた図示しない雄タブに接続される。また、STP接続端子21Bは、UTP接続端子21Aと同一に形状であって、UTP接続端子21Aと同じ配置で、箱部27、バレル部28及び図示しない突部を有している。
【0030】
[STP誘電体]
STP誘電体22Bは合成樹脂製であって、上下に分割可能な上側誘電体35と下側誘電体36とからなる。STPコネクタ20Bには加締めリング29が設けられず、STP誘電体22Bは加締めリング29を受ける構造を必要としないことから、UTP誘電体22Aよりも前後寸法が短くなっている。なお、以下の説明において、
図14〜
図21は、組み付け手順を説明するものであって、上下方向の基準が
図13とは逆になっている。
【0031】
図14に示すように、上側誘電体35は、本体部53と、本体部53に対して着脱可能な隔壁43Bとを有している。
隔壁43Bは、UTP誘電体22Aの隔壁43Aと比べて誘電率(比誘電率)の低い材料、例えば、ポリプロピレン(PP)によって構成されている。この隔壁43Bは、UTP誘電体22Aの隔壁43Aと同一の形状であって、前後方向中央部に段差74を有し、前後両方向に突出するほぞ部72を有している。
【0032】
本体部53は、上端に位置する上壁33と、左右両端に位置する左右一対の側壁45と、前端に位置する前壁32とからなる。
図24に示すように、上壁33の上面前端部には、外導体24Bに対する上側位置決め突部54が設けられている。
図25に示すように、上壁33の内面(下面)は、UTP誘電体22Aと実質的に同一の構造であって、嵌合溝33の左右両側に保持部46を有し、各保持部46の下面には凹み76が設けられ、凹み76の後端部に凹部44が開口して設けられている。また、嵌合溝38の後方には位置決め突起52が設けられ、位置決め突起52の前面及び前壁32の後面におけるリブ状部分には、ほぞ溝73が対向して設けられている。STP誘電体22Bの場合、位置決め突起52は、上壁33の内面後端部に設置されている。
隔壁43Bは、略前半部が嵌合溝38に嵌合して両保持部46間に挟持されるとともに、前後のほぞ部72が対応するほぞ溝73に嵌合して保持される。
図15に示すように、上側誘電体35には、隔壁43Bの左右両側に一対の収容部26が形成され、各収容部26には、
図16に示すように、STP接続端子21Bが嵌合状態で収容され、収容されたSTP接続端子21Bは、隔壁43Bを挟んで互いに平行に配置される。
両側壁45は、前後両端部を残して切欠部78として開放され、切欠部78の前後方向中央部に、爪状の取付突起42が突出して設けられている。切欠部78は、上壁33の左右両端にも開放されている。両側壁45の前後両端部の外面には、外導体24Bに対する係止突起79が設けられている。前壁32には、左右一対のタブ挿入孔69が開口して設けられ、タブ挿入孔69には、雄タブが前方から位置決め状態で挿入される。
【0033】
図17に示すように、下側誘電体36は、平板状の支持壁67と、支持壁67の左右両端の前後方向中央部から起立する一対の取付片39とからなる。取付片39の内面には凹み部分が設けられている。
図18に示すように、取付片39が切欠部78に嵌合し、取付突起42が取付片39の凹み部分に弾性的に係止されることにより、上側誘電体35と下側誘電体36とが合体状態に保持される。上側誘電体35と下側誘電体36とが合体状態になることで、隔壁43B及びSTP接続端子21Bの上方への抜け出しが規制され、隔壁43B及びSTP接続端子21BがSTP誘電体22B内に保持される。
【0034】
図13に示すように、支持壁67の上面には、合体状態において各保持部46と対向する位置に、左右一対の支持リブ71が設けられ、両支持リブ71間に、隔壁43Bの下端部が嵌合状態で挿入される。
図24に示すように、支持壁67の下面前端部には、外導体24Bに対する下側位置決め突部81が設けられている。
【0035】
[外導体]
外導体24Bは、導電金属製であって、上下に分割可能な上側外導体56と下側外導体57とからなる。
図19に示すように、上側外導体56は、平面視略矩形の上側シェル部58と、上側シェル部58の後方に連なるオープンバレル状の上側バレル部59とを有している。上側シェル部58は、上側誘電体35を上方から被覆するように配置される。
図22に示すように、上側シェル部58の平板部分は、上面の幅方向中央部にロック突起37を有し、ロック突起37の前方に上側位置決め孔61が開口して設けられている。また、
図19に示すように、上側シェル部58は、平板部分の幅方向両端から垂下する前後一対ずつの係止片62を有している。上側バレル部59は、左右両側から前後方向に位置ずれして下方に突出する突片部分を有している。
【0036】
図21に示すように、下側外導体57は、平面視略矩形の下側シェル部63と、下側シェル部63の後方に連なるオープンバレル状の下側バレル部64とを有している。下側シェル部63は、下側誘電体36を下方から被覆するように配置される。そして、下側シェル部63は、平板部分の左右両端から起立する側板部分を有し、側板部分の内面に、前後一対ずつの保持突起65を有している。下側シェル部63の平板部分の前端側には、下側位置決め孔66が開口して設けられている。下側バレル部64は、左右両側から前後方向に位置ずれして上方に突出する突片部分を有している。
【0037】
[STPハウジング]
STPハウジング23Bは合成樹脂製であって、
図23に示すように、略角筒状のハウジング本体47を有している。STPハウジング23Bは、UTPハウジング23Aと同一の形状とされ、UTPハウジング23Aと同じ配置で、ロックアーム48、挿入部49及びランス51を有している。
図24に示すように、ランス51の係止相手は、上側外導体56のロック突起37である。
【0038】
[相手側STPコネクタ]
相手側STPコネクタは、相手側UTPコネクタとほぼ同一の形状とされ、一対の雄端子を有している。各雄端子のピッチ幅は、相手側UTPコネクタの各雄端子のピッチ幅と同一に揃えられている。
【0039】
[UTPコネクタの組み立て]
UTPコネクタ20Aの組み立てに際し、まずUTP接続端子21Aのバレル部28がUTPケーブル10Aの各電線11の端部に圧着により接続される。
【0040】
また、隔壁43Aが上側誘電体35の嵌合溝38に差し込まれ、前壁32と位置決め突起52との間に位置決め保持される(
図2〜
図4を参照)。
続いて、各UTP接続端子21Aが隔壁43Aの両側に形成された収容部26に収容される(
図5を参照)。このとき、UTP接続端子21Aは、突部を下向きにして収容部26に収容され、突部は、凹部44に挿入される。次いで、下側誘電体36が上側誘電体35に被せられ、取付片39が取付突起42に弾性的に係止されることにより、上側誘電体35と下側誘電体36とが合体状態に保持される(
図6及び
図7を参照)。
【0041】
続いて、UTP誘電体22AがUTPハウジング23Aの挿入部49に後方から挿入される(
図8及び
図9を参照)。UTP誘電体22Aが挿入部49に正規挿入されると、ランス51がUTP誘電体22Aのロック突起37を弾性的に係止し、UTP誘電体22AがUTPハウジング23Aに抜け止め状態に保持される(
図10を参照)。
【0042】
[STPコネクタの組み立て]
STPコネクタ20Bを組み立てる場合も、まずSTP接続端子21Bのバレル部28がSTPケーブル10Bの各電線11の端部に圧着により接続される。また、隔壁43Bが上側誘電体35の嵌合溝38に差し込まれ、前壁32と位置決め突起52との間に位置決め保持される(
図14及び
図15を参照)。
続いて、各STP接続端子21Bが隔壁43Bの両側に形成された収容部26に収容される(
図16を参照)。このとき、STP接続端子21Bは、突部を下向きにして収容部26に収容され、突部は、凹部44に挿入される。次いで、下側誘電体36が上側誘電体35に被せられ、取付片39が取付突起42に弾性的に係止されることにより、上側誘電体35と下側誘電体36とが合体状態に保持される(
図17及び
図18を参照)。
【0043】
続いて、STP誘電体22Bが上側外導体56の上側シェル部58に支持される(
図19及び
図20を参照)。位置決め突部54が上側位置決め孔61に嵌合することで、STP誘電体22Bが上側外導体56に位置決めされ、係止突起79が係止片62に係止されることによって、STP誘電体22Bが上側外導体56に保持される。次いで、上側バレル部59がSTPケーブル10Bの外周側に露出するシールド導体13に圧着により接続される。
【0044】
その後、下側外導体57がSTP誘電体22Bを覆うようにして上側外導体56に被せられる(
図21及び
図22を参照)。下側外導体57の側板部分が係止片62を外側から覆い、下側位置決め突部81が下側位置決め孔66に嵌合することで、STP誘電体22Bが下側外導体57に位置決めされ、保持突起65が係止片62の凹み部分に挿入係止されることにより、上側外導体56及び下側外導体57が合体状態に保持される。そして、下側バレル部64がSTPケーブル10Bの外周側に露出するシールド導体13に圧着により接続される。これにより、シールド導体13が外導体24Bに接続されるとともに、STP接続端子21Bの周囲がSTP誘電体22Bを介して外導体24Bに包囲される。
【0045】
続いて、STP誘電体22Bを内包した外導体24BがSTPハウジング23Bの挿入部49に後方から挿入される(
図23及び
図24を参照)。外導体24Bが挿入部49に正規挿入されると、ランス51が外導体24Bのロック突起37を弾性的に係止し、外導体24BがSTPハウジング23Bに抜け止め状態に保持される。
【0046】
[コネクタ嵌合]
UTPコネクタ20Aが相手側UTPコネクタに正規嵌合されると、各雄タブがタブ挿入孔69を通して各UTP接続端子21Aの箱部27に挿入接続される。同様に、STPコネクタ20Bが相手側STPコネクタに正規嵌合されると、各雄タブがタブ挿入孔69を通して各STP接続端子21Bの箱部27に挿入接続される。STPコネクタ20Bの場合、外導体24Bが相手側STPコネクタに設けられた図示しないアース部に接続される。
【0047】
[作用効果]
UTP誘電体22A及びSTP誘電体22Bが隔壁43A、43Bを除いて同一の材料によって構成され、UTP誘電体22Aの隔壁43Aが相対的に誘電率の高い材料で構成され、STP誘電体22Bの隔壁43Bが相対的に誘電率の低い材料で構成されるため、UTP誘電体22A、STP誘電体22B、UTPハウジング23A、STPハウジング23B、相手側UTPコネクタ及び相手側STPコネクタの端子間ピッチを変更しなくても、インピーダンスを適切に調整することができ、UTPコネクタ20AとSTPコネクタ20Bとの間の仕様変更を容易に行うことができる。
【0048】
特に、UTP接続端子21AとSTP接続端子21Bとが実質的に同一の形状とされるとともに、UTPハウジング23AとSTPハウジング23Bとが実質的に同一の形状とされるため、これらを製造するに際し、複数種の金型を用意する必要がなく、コストを大幅に低減することができる。
【0049】
<他の実施例>
他の実施例を簡単に説明する。
(1)実施例1では、隔壁のみが異なる材料で構成されていたが、本発明の場合、UTP誘電体の全体が相対的に誘電率の高い材料で構成され、STP誘電体の全体が相対的に誘電率の低い材料で構成されるものであってもよい。また、UTP誘電体の上側誘電体(隔壁を有する誘電体)が相対的に誘電率の高い材料で構成され、STP誘電体の上側誘電体(隔壁を有する誘電体)が相対的に誘電率の低い材料で構成されるものであってもよい。
(2)実施例1では、隔壁が本体部に着脱可能に設けられていたが、本発明の場合、隔壁が本体部に一体に設けられていてもよい。
(3)実施例1では、UTP誘電体及びSTP誘電体がいずれも上下に分割可能とされていたが、本発明の場合、UTP誘電体及びSTP誘電体の少なくとも一方が分割不能に一体に設けられていてもよい。なお、隔壁は、一体化された誘電体に後方からスライドして装着されるとよい。
(4)実施例1では、STPコネクタの外導体が上下に分割可能とされていたが、本発明の場合、外導体が分割不能に一体に設けられていてもよい。