【文献】
Omer, K. M. et al.,J. AM. CHEM. SOC.,2010年,vol.132,p.10944-10952
【文献】
Ye, H. et al.,Polymer,2012年11月27日,vol.54,p.162-173
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項1〜5何れか1項記載の少なくとも一つの化合物または少なくとも一つの請求項6記載のオリゴマー、ポリマーまたはデンドリマーおよび少なくとも一つの溶媒とを含む、調合物。
有機集積回路(O-IC)、有機電界効果トランジスタ(O-FET)、有機薄膜トランジスタ(O-TFT)、有機発光トランジスタ(O-LET)、有機太陽電池(O-SC)、有機光学検査器、有機光受容器、有機電場消光素子(O-FQD)、発光電子化学電池(LEC)、有機レーザーダイオード(O-laser)および有機エレクトロルミネッセンス素子(OLED)より成る群から選ばれる請求項9記載の電子素子。
請求項1〜5何れか1項記載の化合物が、一以上のエミッター化合物と組み合わせてマトリックス材料として発光層で用いられる請求項10記載の有機エレクトロルミネッセンス素子(OLED)。
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子不足基とアリールアミノ基が、中間基を介して互いに結合する式(I)の化合物に関する。式(I)の化合物は、電子素子での機能性材料として適している。
【0002】
本出願の意味での電子素子は、特に、機能性材料として有機半導体材料を含むいわゆる有機電子素子の意味で使用される。さらに、特には、有機エレクトロルミネッセンス素子(OLED)と以下に本発明の詳細な説明中で示される他の電子素子の意味で使用される。
【0003】
一般的に、用語OLEDは、少なくとも一つの有機材料を含み、電圧の印加により発光する電子素子の意味で使用される。OLEDの正確な構造は、とりわけ、US 4539507、US 5151629、EP0676461およびWO98/27136に記載されている。
【0004】
電子素子、特に、OLEDの場合には、特性データ、特に、寿命、効率と駆動電圧を改善することに多大な関心がある。重要な役割は、有機エミッター層、特に、そこに存在するマトリックス材料と電子輸送機能を有する有機層により果たされる。
【0005】
この技術的課題を達成するために、発光層、特に、燐光発光層でのマトリックス材料としての使用に適する新規な材料が、引き続き探索されている。
【0006】
本出願の意味での燐光発光層は、少なくとも一つの燐光エミッター化合物を含む有機層である。
【0007】
本出願にしたがう用語燐光エミッターは、スピン禁制遷移、たとえば、励起三重項状態または五重項状態等の比較的高いスピン量子数を有する状態からのスピン禁制遷移を通じて発光が生じる化合物を包含する。
【0008】
発光層の場合のためのマトリックス材料は、エミッター化合物ではない材料の意味で使用される。
発光層のエミッター化合物は、素子の駆動時に発光する化合物である。
【0009】
一般的に、特に、発光層以外の機能層の場合に、2種の材料を含む系中のマトリックス材料は、混合物中でその割合がより多い材料の意味で使用される。対応して、2種の材料を含む系中のドーパントは、混合物中でその割合がより少ない材料の意味で使用される。
【0010】
先行技術は、OLEDにおいてトリアジン基とアリールアミノ基を含み、ある種の連結基、たとえば、ビフェニレン基が、2種の基の間に存在する化合物の使用を開示している(たとえば、JP 2002-193952, JP2010-134121およびQ. Wang et al., J. Mat. Chem. C, 2013, 1, 2224-2232)。その化合物は、たとえば、フェニル等の小さな芳香族環構造のみが、窒素原子に結合することを特徴としている。
【0011】
これらの発明にもかかわらず、電子素子での機能性材料として適する代替化合物に対するニーズが引き続き存在する。特に、燐光発光層でのマトリックス材料としての使用に関して、電子素子での機能性材料として、素子の長い寿命と高い効率とを発揮する化合物に対するニーズが存在する。さらに、電子素子での使用時に、低い駆動電圧を発揮する材料に対するニーズが存在する。なお、さらに、低ロールオフ性、すなわち、高輝度密度での素子のパワー効率の小さな低下を発揮する材料に対するニーズが存在する。
【0012】
予期せざることに、トリアジン基とアリールアミノ基とこれらの基を連結する基を含み、アミノ基が、少なくとも一つの大芳香族もしくは複素環式芳香族環構造により置換された化合物が、一以上の上記技術的目的、好ましくは、全ての上記技術的目的を実現することが、今回、見出された。
【0013】
したがって、本発明は、式(I)の化合物に関し、
【0014】
【化1】
【0015】
ここで、
Ar
1は、出現毎に同一であるか異なり、1以上の基R
2により置換されてよい5〜24個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造であり;
Ar
2は、出現毎に同一であるか異なり、1以上の基R
2により置換されてよい5〜24個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造であり、ここで、式(I)の化合物において、少なくとも一つのAr
2は、基Ar
2*であり;
Ar
2*は、出現毎に同一であるか異なり、1以上の基R
2により置換されてよい12〜24個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造であり、ここで、芳香族環構造は、10個を超える芳香族環原子を有する縮合アリールもしくはヘテロアリール基を含まず;
R
1、R
2は、出現毎に同一であるか異なり、H、D、F、Cl、Br、I、C(=O)R
3、CN、Si(R
3)
3、N(R
3)
2、P(=O)(R
3)
2、OR
3、S(=O)R
3、S(=O)
2R
3、1〜20個のC原子を有する直鎖アルキルもしくはアルコキシ基、3〜20個のC原子を有する分岐あるいは環状アルキルもしくはアルコキシ基、2〜20個のC原子を有するアルケニルもしくはアルキニル基(上記言及した基は、夫々1以上の基R
3により置換されてよく、上記言及した基中の1以上のCH
2基は、-R
3C=CR
3-、-C≡C-、Si(R
3)
2、C=O、C=NR
3、-C(=O)O-、-C(=O)NR
3-、NR
3、P(=O)(R
3)、-O-、-S-、SOもしくはSO
2で置き代えられてよい。)または、各場合に1以上の基R
3により置換されてよい5〜30個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造であり;ここで、2個以上の基R
2は、たがいに結合してよく、および環を形成してよく;
R
3は、出現毎に同一であるか異なり、H、D、F、Cl、Br、I、C(=O)R
4、CN、Si(R
4)
3、N(R
4)
2、P(=O)(R
4)
2、OR
4、S(=O)R
4、S(=O)
2R
4、1〜20個のC原子を有する直鎖アルキルもしくはアルコキシ基、3〜20個のC原子を有する分岐あるいは環状アルキルもしくはアルコキシ基、2〜20個のC原子を有するアルケニルもしくはアルキニル基(上記言及した基は、夫々1以上の基R
4により置換されてよく、上記言及した基中の1以上のCH
2基は、-R
4C=CR
4-、-C≡C-、Si(R
4)
2、C=O、C=NR
4、-C(=O)O-、-C(=O)NR
4-、NR
4、P(=O)(R
4)、-O-、-S-、SOもしくはSO
2で置き代えられてよい。)または、各場合に1以上の基R
4により置換されてよい5〜30個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造であり;ここで、2個以上の基R
3は、たがいに結合してよく、および環を形成してよく;
R
4は、出現毎に同一であるか異なり、H、D、F、1〜20個のC原子を有する脂肪族、複素環式脂肪族、芳香族もしくは複素環式芳香族有機基であって、さらに、1以上のH原子は、DもしくはFで置き代えられてよく;ここでに、2個以上の置換基R
4は、たがいに結合してよく、および環を形成してよく;
nは、1、2、3または4であり;
ここで、n=1に対しては、Ar
1は、随意にR
2置換されたフェニレン基でも随意にR
2置換されたカルバゾールでもなく、かつ、ここで、Ar
1は、9および9'位を介して随意にR
2置換されたフルオレンでない。
【0016】
フルオレンの9および9'位は、以下に印された結合位置の意味で使用される。
【0017】
【化2】
【0018】
本発明の意味での、アリール基は、6〜60個の芳香族環原子を含み;本発明の意味でのヘテロアリール基は、5〜60個の芳香族環原子を含み、そのうちの少なくとも1つは、ヘテロ原子である。ヘテロ原子は、好ましくは、N、OおよびSから選ばれる。これが、基本的な定義である。他の選好が、たとえば、存在する芳香族環原子もしくはヘテロ原子の数に関して本発明の説明において示されるならば、これらが適用される。
【0019】
ここで、アリール基もしくはヘテロアリール基は、簡単な芳香族環すなわちベンゼン、または、簡単な複素環式芳香族環、たとえば、ピリジン、ピリミジンもしくはチオフェン等、または、縮合(縮合環化)芳香族もしくは複素環式芳香族ポリ環状基、たとえば、ナフタレン、フェナントレン、キノリンもしくはカルバゾールの何れかの意味で使用される。本出願の意味での縮合(縮合環化)芳香族もしくは複素環式芳香族ポリ環状基は、互いに縮合した二以上の単純芳香族もしくは複素環式芳香族環から成り、いわゆる縮合アリールもしくは縮合ヘテロアリール基にも対応する。
【0020】
アリールもしくはヘテロアリール基は、各場合に、上記言及した基により置換されていてもよく、任意の所望の位置を介して、芳香族または複素環式芳香族系に連結していてもよいが、特に、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、ピレン、ジヒドロピレン、クリセン、ペリレン、トリフェニレン、フルオランテン、ベンズアントラセン、ベンズフェナントレン、テトラセン、ペンタセン、ベンゾピレン、フラン、ベンゾフラン、イソベンゾフラン、ジベンゾフラン、チオフェン、ベンゾチオフェン、イソベンゾチオフェン、ジベンゾチオフェン、ピロール、インドール、イソインドール、カルバゾール、ピリジン、キノリン、イソキノリン、アクリジン、フェナントリジン、ベンゾ-5,6-キノリン、ベンゾ-6,7-キノリン、ベンゾ-7,8-キノリン、フェノチアジン、フェノキサジン、ピラゾール、インダゾール、イミダゾール、ベンズイミダゾール、ナフトイミダゾール、フェナンスロイミダゾール、ピリドイミダゾール、ピラジンイミダゾール、キノキサリンイミダゾール、オキサゾール、ベンズオキサゾール、ナフトオキサゾール、アントロオキサゾール、フェナンストロオキサゾール、イソオキサゾール、1,2-チアゾール、1,3-チアゾール、ベンゾチアゾール、ピリダジン、ベンゾピリダジン、ピリミジン、ベンゾピリミジン、キノキサリン、ピラジン、フェナジン、ナフチリジン、アザカルバゾール、ベンゾカルボリン、フェナントロリン、1,2,3-トリアゾール、1,2,4-トリアゾール、ベンゾトリアゾール、1,2,3-オキサジアゾール、1,2,4-オキサジアゾール、1,2,5-オキサジアゾール、1,3,4-オキサジアゾール、1,2,3-チアジアゾール、1,2,4-チアジアゾール、1,2,5-チアジアゾール、1,3,4-チアジアゾール、1,3,5-トリアジン、1,2,4-トリアジン、1,2,3-トリアジン、テトラゾール、1,2,4,5-テトラジン、1,2,3,4-テトラジン、1,2,3,5-テトラジン、プリン、プテリジン、インドリジンおよびベンゾチアジアゾールから誘導される基の意味で使用される。
【0021】
本発明の意味での芳香族環構造は、環構造中に6〜60個のC原子を含む。本発明の意味での複素環式芳香族環構造は、5〜60個の芳香族環原子を含み、そのうちの少なくとも1個はヘテロ原子である。ヘテロ原子は、好ましくは、N、Oおよび/またはSから選ばれる。本発明の意味での芳香族もしくは複素環式芳香族環構造は、必ずしもアリールもしくはヘテロアリール基のみを含む構造ではなく、加えて、二個以上のアリールもしくはヘテロアリール基は、単結合により、または、たとえば、一以上の随意に置換されたC、Si、N、OもしくはSのような非芳香族単位により連結されていてもよい構造の意味で使用される。ここで、非芳香族単位は、構造中のH以外の全原子数を基礎として、好ましくは、H以外の原子は、10%未満を含む。このように、たとえば9,9’-スピロビフルオレン、9,9-ジアリールフルオレン、トリアリールアミン、ジアリールエーテル、スチルベン等のような構造も、二個以上のアリール基が、たとえば、直鎖あるいは環状アルキル、アルケニルもしくはアルキニル基により、もしくはシリル基により連結される構造であるから、本発明の意味での芳香族環構造の意味で使用されることが意図されている。さらに、たとえば、ビフェニル、テルフェニルもしくはジフェニルトリアジン等の二個以上のアリールもしくはヘテロアリール基が、単結合を介して互いに結合する構造も、本発明の意味での芳香族もしくは複素環式芳香族環構造意味で使用されることが意図されてもいる。
【0022】
5〜60個の芳香族環原子を有する芳香族または複素環式芳香族環構造は、各場合に、上記した基により置換されていてもよく、任意の所望の位置で、芳香族または複素環式芳香族構造に連結していてもよいが、特に、アリールもしくはヘテロアリールの元で上記言及した基から、また、ビフェニル、テルフェニル、クアテルフェニル、フルオレン、スピロビフルオレン、ジヒドロフェナントレン、ジヒドロピレン、テトラヒドロピレン、インデノフルオレン、トルキセン、イソトルキセン、スピロトルキセン、スピロイソトルキセン、インデノカルバゾールまたはこれらの基の組み合わせから誘導される基の意味で使用される。
【0023】
本発明の目的のために、1〜40個のC原子を有する直鎖アルキル基または3〜40個のC原子を有する分岐あるいは環状アルキル基または2〜40個のC原子を有するアルケニルもしくはアルキニル基は、ここで、加えて、個々のH原子もしくはCH
2基は、基の定義の元で上記言及した基により置換されていてよく、好ましくは、基メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、i-ブチル、s-ブチル、t-ブチル、2-メチルブチル、n-ペンチル、s-ペンチル、シクロペンチル、ネオペンチル、n-ヘキシル、シクロヘキシル、ネオヘキシル、n-ヘプチル、シクロヘプチル、n-オクチル、シクロオクチル、2-エチルヘキシル、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、2,2,2-トリフルオロエチル、エテニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、シクロペンテニル、ヘキセニル、シクロヘキセニル、ヘプテニル、シクロヘプテニル、オクテニル、シクロオクテニル、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニルまたはオクチニルの意味で使用される。1〜40個のC原子を有するアルコキシもしくはチオアルキル基は、好ましくは、メトキシ、トリフルオロメトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、i-プロポキシ、n-ブトキシ、i-ブトキシ、s-ブトキシ、t-ブトキシ、n-ペントキシ、s-ペントキシ、2-メチルブトキシ、n-ヘキソキシ、シクロヘキシルオキシ、n-ヘプトキシ、シクロヘプチルオキシ、n-オクチルオキシ、シクロオクチルオキシ、2-エチルヘキシルオキシ、ペンタフルオロエトキシ、2,2,2-トリフルオロエトキシ、メチルチオ、エチルチオ、n-プロピルチオ、i-プロピルチオ、n-ブチルチオ、i-ブチルチオ、s-ブチルチオ、t-ブチルチオ、n-ペンチルチオ、s-ペンチルチオ、n-ヘキシルチオ、シクロヘキシルチオ、n-ヘプチチオル、シクロヘプチルチオ、n-オクチルチオ、シクロオクチルチオ、2-エチルヘキシルチオ、トリフルオロメチルチオ、ペンタフルオロエチルチオ、2,2,2-トリフルオロエチルチオ、エテニルチオ、プロペニルチオ、ブテニルチオル、ペンテニルチオ、シクロペンテニルチオ、ヘキセニルチオ、シクロヘキセニルチオ、ヘプテニルチオ、シクロヘプテニルチオ、オクテニルチオ、シクロオクテニルチオ、エチニルチオ、プロピニルチオ、ブチニルチオ、ペンチニルチオ、ヘキシニルチオ、ヘプチニルチオまたはオクチニルチオの意味で使用される。
【0024】
二個以上の基が、互いに環を形成してもよいという表現は、本出願の目的のために、特に、二個の基が化学結合により互いに結合する意味で使用される。しかしながら、さらに、上記言及した表現は、二個の基の一つが水素である場合には、第二の基は、水素原子が結合した位置で結合して環を形成する意味で使用される。
【0025】
式(I)の化合物は、好ましくは、丁度1個のアミノ基を含む。
【0026】
式(I)の化合物は、好ましくは、丁度1個のトリアジン基を含む。
【0027】
式(I)の化合物は、好ましくは、14個を超える芳香族環原子を有する縮合アリール基を、特に、好ましくは、10個を超える芳香族環原子を有する縮合アリール基を含まない。
【0028】
式(I)の化合物は、好ましくは、14個を超える芳香族環原子を有する縮合ヘテロアリール基を、特に、好ましくは、10個を超える芳香族環原子を有する縮合ヘテロアリール基を含まない。
【0029】
添え字nは、1、2または3であり、特に、好ましくは、1または2であり、非常に、特に、好ましくは、1であることが好ましい。
【0030】
Ar
1は、出現毎に同一であるか異なり、1以上の基R
2により置換されてよい5〜20個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造であることが、さらに、好ましい。Ar
1は、特に、好ましくは、それぞれ随意に1以上の基R
2により置換されてよいフェニル、ビフェニル、テルフェニル、フルオレニル、スピロビフルオレニル、インデノフルオレニル、ナフチル、アントラセニル、フェナントレニル、クリセニル、ベンズアントラセニル、ピレニル、フルオランセニル、トリフェニレニル、フラニル、ベンゾフラニル、ジベンゾフラニル、チオフェニル、ベンゾチオフェニル、ジベンゾチオフェニル、インドリル、カルバゾリル、インドロカルバゾリル、インデノカルバゾリル、ピリジル、キノリニル、アクリジル、ジヒドロアクリジル、ピラゾリル、イミダゾリル、ベンズイミダゾリル、ピリダジル、ピリミジル、ピラジニル、フェナントロニル、ジフェニルエーテル、ジフェニルチオエーテル、ジフェニルシリレンおよびジフェニルメチレンから選ばれる。
【0031】
単位-(Ar
1)
n-は、非常に、特に、好ましくは、それぞれ随意に1以上の基R
2により置換されてよいフルオレニル、スピロビフルオレニル、インデノフルオレニル、ナフチル、アントラセニル、フェナントレニル、クリセニル、ベンズアントラセニル、ピレニル、フルオランセニル、フラニル、ベンゾフラニル、ジベンゾフラニル、チオフェニル、ベンゾチオフェニル、ジベンゾチオフェニル、インドリル、インドロカルバゾリル、インデノカルバゾリル、ピリジル、キノリニル、アクリジル、ジヒドロアクリジル、ピラゾリル、イミダゾリル、ベンズイミダゾリル、ピリダジル、ピリミジル、ピラジニルおよびフェナントロニル、ジフェニルエーテル、ジフェニルチオエーテル、ジフェニルシリレンおよびジフェニルメチレンから、並びに一以上の上記言及した基を含む組み合わせから、並びにそれぞれ随意に1以上の基R
2により置換されてよいフェニルおよびカルバゾリルから選ばれる一以上のさらなる基から選ばれる。
【0032】
単位-(Ar
1)
n-は、好ましくは、完全に共役した不飽和二価基である。これは、二価単位-(Ar
1)
n-の一方側から他方側へ伸びる共約系を中断する、たとえば、アルキレン基等の共役中断基を、好ましくは、含まないことを意味する。単位-(Ar
1)
n-は、好ましくは、単位の一方側から他方側への連続的共役パイ電子系を含み、その結果、トリアジン基とアミノ基は、共役的に互いに連結する。
【0033】
特に、好ましい単位-(Ar
1)
n-は、以下の式(L−1)〜(L−368)であり、ここで、基Ar
1は、互いに背後で対応して結合し、以下に示された(Ar
1−1)〜(Ar
1−17)に一致する。
【0034】
【化3-1】
【0035】
【化3-2】
【0036】
【化3-3】
【0037】
【化3-4】
【0038】
【化3-5】
【0039】
【化3-6】
【0040】
【化3-7】
【0041】
【化3-8】
【0042】
【化3-9】
【0043】
【化3-10】
【0044】
【化3-11】
【0045】
【化3-12】
【0046】
【化4】
【0047】
式中、式(Ar
1−1)〜(Ar
1−14)の基は、随意に一以上の基R
2により置換されてよい。
【0048】
好ましくは、両方の基Ar
2は、同一か異なる基Ar
2*から選ばれる。
【0049】
Ar
2は、好ましくは、出現毎に同一であるか異なり、1以上の基R
2により置換されてよい5〜20個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造から選ばれる。Ar
2は、特に、好ましくは、出現毎に同一であるか異なり、それぞれ随意に1以上の基R
2により置換されてよいフェニル、ビフェニル、テルフェニル、クアテルフェニル、フルオレニル、スピロビフルオレニル、インデノフルオレニル、ナフチル、アントラセニル、フェナントレニル、クリセニル、ベンズアントラセニル、ピレニル、トリフェニレニル、フルオランセニル、フラニル、ベンゾフラニル、ジベンゾフラニル、チオフェニル、ベンゾチオフェニル、ジベンゾチオフェニル、インドリル、カルバゾリル、インドロカルバゾリル、インデノカルバゾリル、ピリジル、キノリニル、アクリジル、ジヒドロアクリジル、ピラゾリル、イミダゾリル、ベンズイミダゾリル、ピリダジル、ピリミジル、ピラジニルおよびフェナントロニルから選ばれる。
【0050】
Ar
2は、好ましくは、出現毎に同一であるか異なり、以下の式(Ar
2−1)〜(Ar
2−42)の基から選ばれ、
【0051】
【化5-1】
【0052】
【化5-2】
【0053】
【化5-3】
【0054】
ここで、1以上の基R
2により置換されてよく、芳香族環中の1以上のC原子は、Nにより置き代えられてよい。好ましくは、前記言及した基の芳香族環中のC原子は、Nにより置き代えられない。
【0055】
Ar
2*は、好ましくは、式(Ar
2−1)〜(Ar
2−9)、(Ar
2−11)〜(Ar
2−18)および(Ar
2−31)〜(Ar
2−42)の基から選ばれる。
【0056】
R
1は、好ましくは、出現毎に同一であるか異なり、CN、1〜20個のC原子を有するアルキル基、2〜10個のC原子を有するアルケニル基(上記言及した基は、1以上の基R
3により置換されてよい。)または、1以上の基R
3により置換されてよい5〜30個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造から選ばれる。
【0057】
R
2は、好ましくは、出現毎に同一であるか異なり、H、D、F、CN、Si(R
3)
3、1〜10個のC原子を有する直鎖アルキルもしくはアルコキシ基、3〜10個のC原子を有する分岐あるいは環状アルキルもしくはアルコキシ基(上記言及した基は、夫々1以上の基R
3により置換されてよく、上記言及した基中の1以上のCH
2基は、-C≡C-、-R
3C=CR
3-、Si(R
3)
2、C=O、C=NR
3、-NR
3-、-O-、-S-、-C(=O)O-もしくは-C(=O)NR
3-で置き代えられてよい。)または、各場合に1以上の基R
3により置換されてよい5〜20個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造から選ばれ;ここで、2個以上の基R
2は、たがいに結合してよく、および環を形成してよい。
【0058】
R
2は、特に、好ましくは、出現毎に同一であるか異なり、H、D、F、CN、Si(R
3)
3、1〜10個のC原子を有する直鎖アルキル基、3〜10個のC原子を有する分岐あるいは環状アルキル基(上記言及した基は、夫々1以上の基R
3により置換されてよい。)または、各場合に1以上の基R
3により置換されてよい5〜20個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造から選ばれる。
【0059】
R
3は、好ましくは、出現毎に同一であるか異なり、H、D、F、CN、Si(R
4)
3、1〜10個のC原子を有する直鎖アルキルもしくはアルコキシ基、3〜10個のC原子を有する分岐あるいは環状アルキルもしくはアルコキシ基(上記言及した基は、夫々1以上の基R
4により置換されてよく、上記言及した基中の1以上のCH
2基は、-C≡C-、-R
4C=CR
4-、Si(R
4)
2、C=O、C=NR
4、-NR
4-、-O-、-S-、-C(=O)O-,しくは-C(=O)NR
4-で置き代えられてよい。)または、各場合に1以上の基R
4により置換されてよい5〜20個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造から選ばれ;ここで、2個以上の基R
3は、たがいに結合してよく、および環を形成してよい。
【0060】
R
3は、特に、好ましくは、出現毎に同一であるか異なり、H、D、F、CN、Si(R
4)
3、1〜10個のC原子を有する直鎖アルキル基、3〜10個のC原子を有する分岐あるいは環状アルキル基(上記言及した基は、夫々1以上の基R
4により置換されてよい。)または、各場合に1以上の基R
4により置換されてよい5〜20個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造から選ばれる。
【0061】
式(I)の化合物に対して、基の好ましい態様が、互いに組み合わせて生じることが好ましい。式(I)において基Ar
1とAr
2の好ましい態様が、互いに組み合わせて生じることが、特に、好ましい。
【0062】
以下の化合物が、式(I)の化合物の例である。
【0063】
【化6-1】
【0064】
【化6-2】
【0065】
【化6-3】
【0066】
【化6-4】
【0067】
【化6-5】
【0068】
【化6-6】
【0069】
【化6-7】
【0070】
【化6-8】
【0071】
【化6-9】
【0072】
【化6-10】
【0073】
【化6-11】
【0074】
【化6-12】
【0075】
【化6-13】
【0076】
【化6-14】
【0077】
【化6-15】
【0078】
【化6-16】
【0079】
【化6-17】
【0080】
【化6-18】
【0081】
【化6-19】
【0082】
式(I)の化合物を、既知の有機化学反応、たとえば、スズキカップリング、ブッフバルトカップリング、ウルマンカップリン、臭素化、ホウ素化により得ることができる。
【0083】
式(I)の化合物の調製のための好ましいプロセスは、以下に示される(スキーム1)。それは、広範な用語で概説されるだけである。このプロセスに基づく式(I)の化合物の調製のための詳細な合成手順が、実施例で示される。
【0084】
【化7】
【0085】
このために、ジアリールアミノ誘導体が、まず、アリール-ハロゲン誘導体と、有機金属カップリング反応、たとえば、ブッフバルトカップリングまたはウルマンカップリングで反応される。臭素化反応が、引き続き実行される。得られたホウ酸誘導体は、次いで、有機金属カップリング反応、好ましくは、スズキカップリングで、トリアジン誘導体と反応する。ここで、得られた化合物中は、随意に、たとえば、官能化反応でさらに反応することができる。
【0086】
代替プロセス(スキーム2)によれば、トリアジン-アリーレン誘導体が、縮合反応またはハロゲン置換トリアジンとアリールボロン酸から出発するスズキカップリングの何れかにより調製される。さらなる工程で、アリールアミノ基は、次いで、ブッフバルトカップリングにより導入される。
【0087】
【化8】
【0088】
示されたプロセスは、多くの場合に、式(I)の化合物の調製のために特に適する例示プロセスである。特定の場合の事情が必要とされるならば、当業者は、それを変更しない形態で使用することができるか、その一般的専門知識の範囲内でそれらを採用することができるか、より適切なプロセスによりそれらを置き代えることができるであろう。
【0089】
したがって、本発明は、少なくとも一つの有機金属カップリング反応、たとえば、少なくとも一つのブッフバルトカップリング反応が使用されることを特徴とする式(I)の化合物の製造方法に関する。
【0090】
上記記載された本発明の化合物、特に、臭素、沃素、塩素、ボロン酸もしくはボロン酸エステル等の反応性脱離基により置換された化合物は、対応するオリゴマー、デンドリマーまたはポリマーの調製のためのモノマーとして使用することができる。適切な反応性脱離基は、たとえば、臭素、沃素、塩素、ボロン酸、ボロン酸エステル、アミン、末端C-C二重結合もしくはC-C三重結合を有するアルケニルまたはアルキニル基、オキシラン、オキセタン、環化、たとえば、1,3-双極子環付加を受ける基、たとえば、ジエンもしくはアジド等、カルボン酸誘導体、アルコールおよびシランである。
【0091】
したがって、本発明は、さらに、一以上の式(I)の化合物を含むオリゴマー、ポリマーまたはデンドリマーに関し、ポリマー、オリゴマーまたはデンドリマーへの結合は、R
1またはR
2により置換される式(I)中で任意の所望の位置に存在してよい。式(I)の化合物の結合に応じて、化合物は、オリゴマーもしくはポリマーの側鎖の構成成分であるか、または主鎖中の構成成分である。本発明の意味でオリゴマーは、少なくとも3個のモノマー単位から構築される化合物の意味で使用される。本発明の意味でポリマーは、少なくとも10個のモノマー単位から構築される化合物の意味で使用される。本発明のポリマー、オリゴマーまたはデンドリマーは、共役、部分共役もしくは非共役であってよい。本発明のオリゴマーまたはポリマーは、直鎖、分岐鎖もしくは樹状であってよい。ポリマーまたはオリゴマーは直鎖、分岐鎖あるいは樹状であってよい。直鎖で結合する構造において、式(I)の単位は、互いに直接結合してもよいか、二価基を介して、たとえば、置換あるいは非置換アルキレン基を介して、ヘテロ原子を介して、または二価の芳香族もしくは複素環式芳香族基を介して、互いに結合することができる。分岐および樹状構造においては、たとえば、3個以上の式(I)の単位は、三価基を介して、あるいは多価基を介して、たとえば、三価あるいは多価の芳香族もしくは複素環式芳香族基を介して、結合してよく、分岐ポリマーまたはオリゴマーを形成する。
【0092】
上記記載したとおりの式(I)の化合物に対する同じ選好が、オリゴマー、デンドリマーおよびポリマー中の式(I)の繰り返し単位にあてはまる。
【0093】
オリゴマーまたはポリマーの調製のために、本発明によるモノマーは、さらなるモノマーとホモ重合するか共重合する。適切で好ましいコモノマーは、フルオレン(たとえば、EP842208もしくはWO00/22026にしたがう)、スピロビフルオレン(たとえば、EP707020、EP894107もしくはWO06/061181にしたがう)、パラ-フェニレン(たとえば、WO1992/18552にしたがう)、カルバゾール(たとえば、WO04/070772もしくはWO2004/113468にしたがう)、チオフェン(たとえば、EP1028136にしたがう)、ジヒドロフェナントレン(たとえば、WO 2005/014689もしくはWO2007/006383にしたがう)、cis-およびtrans-インデノフルオレン(たとえば、WO2004/041901もしくはWO2004/113412にしたがう)、ケトン(たとえば、WO2005/040302にしたがう)、フェナントレン(たとえば、WO2005/104264もしくはWO0207/017066にしたがう)または複数のこれらの単位から選ばれる。ポリマー、オリゴマーおよびデンドリマーは、さらなる単位、たとえば、発光(蛍光もしくは燐光)単位、たとえば、ビニルトリアリールアミン(たとえば、WO2007/068325にしたがう)または燐光金属錯体(たとえば、WO2006/003000にしたがう)等および/または電荷輸送単位、特に、トリアリールアミン系のものをも含んでもよい。
【0094】
本発明のポリマー、オリゴマーおよびデンドリマーは、有利な特性、特に、長い寿命、高い効率と良好な色座標を有する。
【0095】
液相からの、たとえば、スピンコーティングによるまたは印刷プロセスからの本発明の化合物の加工のためには、本発明の化合物の調合物が必要である。これらの調合物は、たとえば、溶液、分散液もしくはエマルジョンであり得る。二以上の溶媒の混合物を使用することが、この目的のために好ましい可能性がある。適切で好ましい溶媒は、たとえば、トルエン、アニソール、o-、m-もしくはp-キシレン、メチルベンゾエート、メシチレン、テトラリン、ベラトール、THF、メチル-THF、THP、クロロベンゼン、ジオキサン、フェノキシトルエン、特に、3-フェノキシトルエン、(-)-フェンコンヌ、1,2,3,5-テトラメチルベンゼン、1,2,4,5-テトラメチルベンゼン、1-メチルナフタレン、2-メチルベンゾチアゾール、2-フェノキシエタノール、2-ピロリジノン、3-メチルアニソール、4-メチルアニソール、3,4-ジメチルアニソール、3,5-ジメチルアニソール、アセトフェノン、α-テルピネオール、ベンゾチアゾール、ブチルベンゾエート、クメン、シクロヘキサノール、シクロヘキサノン、シクロヘキシルベンゼン、デカリン、ドデシルベンゼン、エチルベンゾエート、インダン、メチルベンゾエート、NMP、p-シメン、フェネトール、1,4-ジイソプロピルベンゼン、ジベンジルエーテル、ジエチレングリコールブチルメチルエーテル、トリエチレングリコールブチルメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエ−テル、トリプロピレングリコールジメチルエ−テル、テトラエチレングリコールジメチルエ−テル、2-イソプロピルナフタレン、ペンチルベンゼン、ヘキシルベンゼン、ヘプチルベンゼン、オクチルベンゼン、1,1-ビス(3,4-ジメチルフェニル)エタンもしくはこれら溶媒の混合物である。
【0096】
したがって、本発明は、さらに、少なくとも一つの式(I)の化合物または少なくとも一つの式(I)の単位を含む少なくとも一つのポリマー、オリゴマーもしくはデンドリマーと少なくとも一つの溶媒、好ましくは、有機溶媒を含む調合物、特に、溶液、分散液もしくはエマルジョンに関する。この型の溶液を調製することができる方法は、当業者に知られており、たとえば、出願WO 2002/072714、WO 2003/019694とそこに引用された文献に記載されている。
【0097】
本発明の化合物は、電子素子、特に、有機エレクトロルミネッセンス素子(OLED)での使用のために適している。化合物は、置換に応じて、種々の機能と種々の層に使用される。化合物は、好ましくは、マトリックス材料として、好ましくは、燐光エミッターのためのマトリックス材料として用いられる。
【0098】
したがって、本発明は、さらに、式(I)の化合物の電子素子での使用に関する。ここで、電子素子は、好ましくは、有機集積回路(OIC)、有機電界効果トランジスタ(OFET)、有機薄膜トランジスタ(OTFT)、有機発光トランジスタ(OLET)、有機太陽電池(OSC)、有機光学検査器、有機光受容器、有機電場消光素子(OFQD)、発光電子化学電池(LEC)、有機レーザーダイオード(O-laser)から選ばれ、特に、好ましくは、有機エレクトロルミネッセンス素子(OLED)から選ばれる。
【0099】
本発明は、さらに、アノード、カソードと少なくとも一つの有機層を含む有機エレクトロルミッセンス素子に関し、有機層は、少なくとも一つの式(I)の化合物を含む。ここで、電子素子は、好ましくは、上記言及した素子から選ばれ、特に、好ましくは、有機エレクトロルミッセンス素子(OLED)である。
【0100】
カソード、アノードおよび発光層とは別に、有機エレクトロルミッセンス素子は、さらなる層を含んでよい。これらは、たとえば、各場合に、1以上の正孔注入層、正孔輸送層、正孔ブロック層、電子輸送層、電子注入層、電子ブロック層、励起子ブロック層、電荷生成層(IDMC 2003, Taiwan; Session 21 OLED (5), T. Matsumoto, T. Nakada, J.Endo, K. Mori, N. Kawamura, A. Yokoi, J.Kido, Multiphoton Organic EL Device Having Charge Generation Layer)、カップリング-アウト層および/または有機あるいは無機p/n接合から選ばれる。各層と機能に好ましくは用いられる化合物は、後に部分明確に開示される。
【0101】
本発明の有機エレクトロルミネセンス素子は、複数の発光層を含んでもよい。この場合にこれらの発光層は、特に、好ましくは、380nm〜750nm間に全体で複数の最大発光波長を有し、全体として、白色発光が生じるものであり、換言すれば、蛍光もしくは燐光を発することができる種々の発光化合物が、発光層で使用される。特に、好ましいものは、3個の発光層を有する構造であり、その3層の少なくとも一つは、少なくとも一つは式(1)の化合物を含み、3層は、青色、緑色およびオレンジ色もしくは赤色発光を呈する(基本構造については、たとえば、WO 2005/011013参照。)。代替として、および/または追加的に、本発明の化合物は、別の層に存在してもよい。白色光の生成のためには、広い波長帯域で発光する個々に使用されるエミッター化合物が、色発光する複数のエミッター化合物に代えて適している可能性もあることに留意する必要がある。
【0102】
本発明の好ましい1態様では、式(1)の化合物は、一以上のエミッター化合物、好ましくは、燐光エミッター化合物と組み合わせて発光層においてマトリックス材料として用いられる。
【0103】
用語燐光エミッターは、本発明にしたがって、その発光が、スピン禁制遷移、たとえば、励起三重項状態または比較的高いスピン量子数を有する状態、たとえば、五重項状態からの遷移により生じる化合物を包含する。
【0104】
適切な燐光エミッターは、特に、可視域で、適切な励起により発光する化合物は、加えて、20より大きい原子番号、好ましくは、38〜84の原子番号、特に、好ましくは、56〜80の原子番号を有する少なくとも一つの原子を含む。使用される燐光発光エミッターは、好ましくは、銅、モリブデン、タングステン、レニウム、ルテニウム、オスミウム、ロジウム、イリジウム、パラジウム、白金、銀、金またはユウロピウムを含む化合物、特に、イリジウム、白金または銅を含む化合物である。
【0105】
本発明の目的のために、特に、すべてのルミネッセントイリジウム、白金または銅錯体が、燐光化合物とみなされるべきである。
【0106】
燐光エミッター化合物の例は、出願WO 2000/70655、WO 2001/41512、WO 2002/02714、WO 2002/15645、EP 1191613、EP 1191612、EP 1191614、WO 2005/033244、WO 2005/019373およびUS2005/0258742により明らかにされている。一般的には、燐光発光OLEDのために先行技術にしたがって使用され、有機エレクトロルミネッセンス素子分野の当業者に知られるようなすべての燐光発光錯体が適切である。当業者は発明性を必要とすることなく、OLEDにおいて本発明の化合物と組み合わせて、更なる燐光発光化合物を用いることができよう。適切な燐光エミッターのさらなる例は、後の部分での表で明らかにされる。
【0107】
本発明の素子において発光層中のマトリックス材料の割合は、蛍光発光層に対して、好ましくは、50〜99.9%、特に、好ましくは、80.0〜99.5%、非常に、特に、好ましくは、92.0〜99.5%であり、燐光発光層に対しては、85.0〜97.0%である。対応して、発光化合物の割合は、蛍光発光層に対して、好ましくは、0.1〜50.0%、特に、好ましくは、0.5〜20.0%、非常に、特に、好ましくは、0.5〜8.0%であり、燐光発光層に対しては、3.0〜15.0%である。
【0108】
本出願において、層中の種々の化合物の%相対割合の仕様は、溶液からの素子の製造の場合には重量%の意味で使用され、気相プロセスによる製造の場合には体積%の意味で使用される。
【0109】
有機エレクトロルミネッセンス素子の発光層は、また、複数のマトリックス材料(混合マトリックス系)および/または複数のエミッター化合物を含んでもよい。
【0110】
本発明のさらに好ましい態様では、式(I)の化合物は、混合マトリックス系の成分として使用される。混合マトリックス系は、好ましくは、二または三種の異なるマトリックス材料、特に、好ましくは、二種の異なるマトリックス材料を含む。ここで、二種の材料の一つは、好ましくは、正孔輸送特性を有する材料であり他方は、特に、電子輸送特性を有する材料である。ここで、式(I)の化合物は、電子輸送特性と正孔輸送特性を有する材料である。二種の異なるマトリックス材料は、1:50〜1:1、好ましくは、1:20〜1:1、特に、好ましくは、1:10〜1:1、非常に、特に、好ましくは、1:4〜1:1の比で存在してよい。混合マトリックス系は、好ましくは、燐光有機エレクトロルミッセンス素子中で使用される。混合マトリックス系に関するより正確な情報は、特に、出願WO 2010/108579で得られる。
【0111】
混合マトリックス系は、一以上の発光化合物を含んでよい。一以上の発光化合物は、一緒に、本発明にしたがって、全体としての混合物中で0.1〜50.0%の割合、好ましくは、全体としての混合物中で0.5〜20.0%の割合を有する。対応して、マトリックス成分は一緒に、全体としての混合物中で50.0〜99.9%の割合、好ましくは、全体としての混合物中で80.0〜99.5%の割合を有する。
【0112】
本発明の化合物と組み合わせて混合マトリックス系のマトリックス成分として使用することができる特に適するマトリックス材料は、どの型のエミッターが混合マトリックス系に用いられるかに応じて、燐光エミッターのために示された好ましいマトリックス材料または蛍光エミッターのために示され好ましいマトリックス材料から選ばれる。
【0113】
本発明の電子素子で好ましくは用いられるさらなる機能性材料は、以下に示される。
【0114】
以下の表で示される化合物は、特に、適切な燐光エミッターである。
【0115】
【化9-1】
【0116】
【化9-2】
【0117】
【化9-3】
【0118】
【化9-4】
【0119】
【化9-5】
【0120】
【化9-6】
【0121】
【化9-7】
【0122】
【化9-8】
【0123】
【化9-9】
【0124】
【化9-10】
【0125】
好ましい蛍光エミッターは、アリールアミンのクラスから選ばれる。本発明の意味でのアリールアミンもしくは芳香族アミンは、窒素に直接結合した3個の置換あるいは非置換芳香族もしくは複素環式芳香族環構造を含む化合物の意味で使用される。これら芳香族もしくは複素環式芳香族環構造の少なくとも1個は、好ましくは、縮合環構造であり、特に、好ましくは、少なくとも14個の芳香族環原子を有する。それらの好ましい例は、芳香族アントラセンアミン、芳香族アントラセンジアミン、芳香族ピレンアミン、芳香族ピレンジアミン、芳香族クリセンアミンもしくは芳香族クリセンジアミンである。芳香族アントラセンアミンは、一個のジアリールアミノ基が、アントラセン基に直接、好ましくは、9-位で結合する化合物の意味で使用される。芳香族アントラセンジアミンは、二個のジアリールアミノ基が、アントラセン基に直接、好ましくは、9.10-位で結合する化合物の意味で使用される。芳香族ピレンアミン、ピレンジアミン、クリセンアミンおよびクリセンジアミンは、同様に定義され、ここで、ジアリールアミノ基は、好ましくは、ピレンに、1-位もしくは1.6-位で結合する。さらに好ましいエミッターは、たとえば、WO 2006/10849もしくはWO 2006/122630にしたがうインデノフルオレンアミンあるいはインデノフルオレンジアミン、たとえば、WO 2008/006449にしたがうベンゾインデノフルオレンアミンあるいはベンゾインデノフルオレンジアミン、および、たとえば、WO 2007/140847にしたがうジベンゾインデノフルオレンアミンあるいはジベンゾインデノフルオレンジアミンおよび、WO 2010/ 012328に開示された縮合アリール基を含むインデノフルオレン誘導体である。好ましいのは、同様に、WO2012/048780と未公開EP12004426.8に開示されたピレンアリールアミンである。好ましいのは、同様に、未公開EP12006239.3に開示されたベンゾインデノフルオレンアミンと未公開EP130000012.8に開示されたベンゾフルオレンアミンである。
【0126】
好ましくは、蛍光エミッターのための適切なマトリックス材料は、種々のクラスの物質からである。好ましいマトリックス材料は、オリゴアリーレン(たとえば、EP 676461にしたがう2,2’,7,7’-テトラフェニルスピロビフルオレンもしくはジナフチルアントラセン)、特に、縮合芳香族基を含むオリゴアリーレン、オリゴアリーレンビニレン(たとえば、DPVBiもしくはEP 676461にしたがうスピロ-DPVBi)、ポリポダル金属錯体(たとえば、WO 2004/081017にしたがう)、正孔伝導化合物(たとえば、WO 2004/058911にしたがう)、電子伝導化合物、特に、ケトン、ホスフィンオキシド、スルホキシド等(たとえば、WO 2005/084081およびWO 2005/084082にしたがう)、アトロプ異性体(たとえば、WO 2006/048268にしたがう)、ボロン酸誘導体(たとえば、WO 2006/177052にしたがう)またはベンズアントラセン(たとえば、WO2008/145239)のクラスから選択される。特に、好ましいマトリックス材料は、ナフタレン、アントラセン、ベンゾアントラセンおよび/またはピレンを含むオリゴアリーレンもしくはこれら化合物のアトロプ異性体、オリゴアリーレンビニレン、ケトン、ホスフィンオキシドおよびスルホキシドのクラスから選択される。非常に、特に、好ましいマトリックス材料は、アントラセン、ベンゾアントラセン、ベンゾフェナントレンおよび/またはピレンを含むオリゴアリーレンもしくはこれら化合物のアトロプ異性体のクラスから選択される。本発明の意味でのオリゴアリーレンは、少なくとも三個のアリールもしくはアリーレン基が互いに結合した化合物の意味で使用される。さらに好ましいのは、WO2006/097208、WO2006/131192、WO2007/065550、WO2007/110129、WO2007/065678、WO2008/145239、WO2009/100925、WO2011/054442およびEP 1553154に開示されたアントラセン誘導体とEP1749809、EP1905754およびUS2012/0187826に開示されたピレン化合物である。
【0127】
燐光エミッターのための好ましいマトリックス材料は、本発明の化合物に加えて、たとえば、WO2004/013080、WO2004/093207、WO2006/005627もしくはWO2010/006680にしたがう芳香族ケトン、芳香族ホスフィンオキシドまたは芳香族スルホキシドもしくはスルホン、トリアリールアミン、カルバゾール誘導体、たとえば、CBP(N,N-ビスカルバゾリルビフェニル)または、WO 2005/039246、US 2005/0069729、JP 2004/288381、EP1205527もしくはWO2008/086851に記載されたカルバゾール誘導体、たとえば、WO 2007/063754もしくはWO 2008/056746にしたがうインドロカルバゾール誘導体、WO2010/136109、WO2011/000455もしくはWO2013/041176にしたがうインデノカルバゾール誘導体、たとえば、EP 1617710、EP 1617711、EP 1731584、JP 2005/347160にしたがうアザカルバゾール誘導体、たとえば、WO 2007/137725にしたがうバイポーラーマトリックス材料、たとえば、WO 2005/111172にしたがうシラン、たとえば、WO2006/117052にしたがうアザボロールもしくはボロン酸エステル、たとえば、WO2010/15306、WO2007/063754もしくはWO2008/056746にしたがうトリアジン誘導体、たとえば、EP652273もしくはWO2009/062578にしたがう亜鉛錯体、たとえば、WO2010/054729にしたがうジアザシロールもしくはテトラアザシロール誘導体、たとえば、WO2010/054730にしたがうジアザホスホール誘導体、たとえば、US2009/0136779、WO2010/050778、WO2011/042107、WO2011/088877もしくはWO2012/143080にしたがう架橋カルバゾール誘導体、たとえば、WO2012/048781にしたがうトリフェニレン誘導体、たとえば、WO2011/116865もしくはWO2011/137951にしたがうラクタムである。
【0128】
本発明の有機エレクトロルミネセンス素子の正孔注入、正孔輸送層もしくは電子輸送層中で使用することができる適切な電荷輸送材料は、たとえば、Y. Shirota et al., Chem. Rev. 2007, 107(4), 953-1010に開示された化合物または先行技術にしたがってこれらの層に用いられる他の材料である。
【0129】
一以上の正孔輸送層がp-ドープされおよび/または一以上の電子輸送層がn-ドープされることが一般的に好ましい。この目的のために適するp-ドーパントとn-ドーパントは、たとえば、Chem. Rev. 2007, 107, 1233-1271に記載されている。
【0130】
電子輸送層のために使用することのできる材料は、電子輸送層中で電子輸送材料として先行技術にしたがって使用されるとおりのすべての材料である。特に適切なものは、アルミニウム錯体、たとえば、Alq
3、ジルコニウム錯体、たとえば、Zrq
4、ベンズイミダゾール誘導体、トリアジン誘導体、ピリミジン誘導体、ピリジン誘導体、ピラジン誘導体、キノキサリン誘導体、キノリン誘導体、オキサジアゾール誘導体、芳香族ケトン、ラクタム、ボラーン、ジアザホスホール誘導体およびホスフィンオキシド誘導体である。さらに、適切である材料は、JP2000/053957、WO2003/060956、WO 2004/028217、WO 2004/080975およびWO 2010/072300に開示されたとおりの上記言及した化合物の誘導体である。
【0131】
本発明のエレクトロルミッセンス素子において正孔輸送、正孔注入もしくは電子ブロック層中で使用することができる好ましい正孔輸送材料は、インデノフルオレンアミン誘導体(たとえば、WO 06/122630もしくはWO06/100896)にしたがう)、EP1661888に開示されたアミン誘導体、ヘキサアザトリフェニレン誘導体(たとえば、WO 01/049806にしたがう)、縮合芳香族環を含むアミン誘導体(たとえば、US5,061,569にしたがう)、WO95/09147に開示されたアミン誘導体、モノベンゾインデノフルオレンアミン(たとえば、WO08/006449にしたがう)、ジベンゾインデノフルオレンアミン(たとえば、WO 07/140847)にしたがう)、スピロビフルオレンアミン(たとえば、WO2012/034627もしくは未公開EP12000929.5にしたがう)、フルオレンアミン(たとえば、未公開EP12005369.9、EP12005370.7およびEP12005371.5にしたがう)、スピロジベンゾピランアミン(たとえば、WO2013/083216にしたがう)およびジヒドロアクリジン誘導体(たとえば、WO 2012/150001にしたがう)である。
【0132】
有機エレクトロルミッセンス素子のカソードは、好ましくは、低い仕事関数を有する金属、種々の金属を含む金属合金もしくは多層構造、たとえば、アルカリ土類金属、アルカリ金属、主族金属あるいはランタノイド金属(たとえば、Ca、Ba、Mg、Al、In、Mg、Yb、Sm等)を含む。また、適切なのは、アルカリ金属あるいはアルカリ土類金属と銀を含む合金、たとえば、マグネシウムと銀とを含む合金である。多層構造の場合、たとえば、AgあるいはAlのような比較的高い仕事関数を有するさらなる金属を前記金属に加えて使用することもでき、その場合、たとえば、Ca/Ag、Mg/AgもしくはAg/Agのような金属の組み合わせが一般的に使用される。高い誘電定数を有する材料の薄い中間層を金属カソードと有機半導体との間に挿入することも好ましい可能性がある。この目的のために適切なものは、たとえば、アルカリ金属フッ化物もしくはアルカリ土類金属フッ化物だけでなく対応する酸化物もしくは炭酸塩である(たとえば、LiF、Li
2O、BaF
2、MgO、NaF、CsF、Cs
2CO
3等)。さらに、リチウムキノリナート(LiQ)をこの目的のために使用することができる。この層の層厚は、好ましくは、0.5〜5nmである。
【0133】
アノードは、好ましくは、高い仕事関数を有する材料を含む。アノードは、好ましくは、真空に対して4.5eVより高い仕事関数を有する。この目的に適切なものは、一方で、たとえば、Ag、PtもしくはAuのような高い還元電位を有する金属である。他方で、金属/金属酸化物電極(たとえば、Al/Ni/NiO
x、Al/PtO
x)も好ましい可能性がある。いくつかの用途のためには、少なくとも一つの電極は、有機材料の照射(有機太陽電池)もしくは光のアウトカップリング(OLED、O−laser)の何れかを可能とするために、透明または部分的に透明でなければならない。ここで、好ましいアノード材料は、伝導性混合金属酸化物である。特に、好ましいものは、インジウム錫酸化物(ITO)もしくはインジウム亜鉛酸化物(IZO)である。さらに好ましいものは、伝導性のドープされた有機材料、特に、伝導性のドープされたポリマーである。さらに、アノードは、複数の層、たとえば、ITOの内部層と金属酸化物、好ましくは、タングステン酸化物、モリブデン酸化物またはバナジウム酸化物の外部層から成ってもよい。
【0134】
素子は(用途に応じて)適切に構造化され、接点を供され、本発明による素子の寿命が水および/または空気の存在で短くなることから、最後に封止される。
【0135】
好ましい1態様では、本発明の有機エレクトロルミッセンス素子は、1以上の層が、昇華プロセスにより適用され、材料は、10
−5mbar未満、好ましくは、10
−6mbar未満の初期圧力で、真空昇華ユニット中で真空気相堆積されることを特徴とする。しかしながら、初期圧力は、さらにより低くても、たとえば、10
−7mbar未満でも可能である。
【0136】
同様に好ましい有機エレクトロルミネッセンス素子は、1以上の層が、OVPD(有機気相堆積)プロセスもしくはキャリアガス昇華により適用され、材料は、10
−5mbar〜1barの圧力で適用される。このプロセスの特別な場合は、OVJP(有機気相ジェット印刷)プロセスであり、材料はノズルにより直接適用され、そしてそれにより構造化される(たとえば、M. S. Arnold et al., Appl. Phys. Lett. 2008, 92, 053301)。
【0137】
更に、好ましい有機エレクトロルミネッセンス素子は、1以上の層が、溶液から、たとえば、スピンコーティングにより、もしくは、たとえばスクリーン印刷、フレキソ印刷、ノズル印刷あるいはオフセット印刷、特に、好ましくは、LITI(光誘起熱画像化、熱転写印刷)あるいはインクジェット印刷のような任意の所望の印刷プロセスにより製造されることを特徴とする。可溶性の式(I)の化合物が、この目的のために必要である。高い溶解性は、化合物の適切な置換により成し遂げることができる。
【0138】
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造のために、一以上の層を溶液からまた一以上の層を昇華プロセスにより適用することが、さらに、好ましい。
【0139】
本発明にしたがって、一以上の式(I)の化合物を含む電子素子は、照明用途の光源として、医療および/または美容用途(たとえば、光治療)の光源として、表示装置において使用することができる。
【0140】
例
A)合成例
工程1:アミン構築ブロックの合成:
【0141】
【化10】
【0142】
24.0g(142ミリモル、1.2当量)の4-アミノビフェニル1a(CAS 92-67-1)を最初に、950mlのトルエン中へ、32.0g(117ミリモル、1.0当量)の2-ブロモ-9,9’-ジメチルフルオレン2a(CAS 28320-31-2)と共に導入し、アルゴンで30分間、飽和させる。1.0g(1.8ミリモル、0.02当量)の1.1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン(CAS 12150-46-8)と、350mg(1.6ミリモル、0.01当量)の酢酸パラジウム(II)(CAS 3375-31-3)と、29g(300ミリモル、2.6当量)のナトリウムtert-ブトキシド(CAS 865-48-5)とをその後、添加し、その混合物を還流下で、終夜加熱する。反応が終わったとき、バッチを300mlのトルエンで希釈し、水で抽出する。有機相を、硫酸ナトリウムで脱水し、溶媒をロータリーエバポレーター中で除去する。50mlの酢酸エチルを茶色のオイルへ添加し、その混合物をヘプタン/酢酸エチル(20:1)の混合物へ添加する。形成された固形物を吸引濾過し、ヘプタンで洗浄する。乾燥により、99.1%のHPLC純度を有する29g(80ミリモル、69%)の所望の生成物3aが得られる。
【0143】
以下の化合物が同じように得られる:
【0144】
【化11-1】
【0145】
【化11-2】
【0146】
【化11-3】
【0147】
【化11-4】
【0148】
工程2:ブリッジの導入
【0149】
【化12】
【0150】
29g(80ミリモル、1.0当量)の中間体3aを、25g(80ミリモル、1.0当量)の3,3’-ジブロモ-1,1’-ビフェニル4a(CAS 16400-51-4)と共に、600mlのトルエン中に溶解させ、30分間脱気する。45g(240ミリモル、3.0当量)のナトリウムtert-ブトキシドと、890mg(0.40ミリモル、0.050当量)の酢酸パラジウム(II)と、8ml(8.0ミリモル、0.10当量)の1Mトリ-tert-ブチルホスフィン溶液とをその後、添加する。バッチを還流下で終夜、加熱し、反応が終わると、酸化アルミニウムを通して、トルエンにより二度濾過する。ロータリーエバポレーター中で溶媒を除去した後、オイルを少量のTHF中で溶解させ、ヘプタンへ導入する。形成された固形物を吸引濾過し、ヘプタン/トルエン(1:1)での熱抽出により精製すると、16.6g(28ミリモル、35%)の所望の生成物5aが得られる。
【0151】
以下の化合物が同じように得られる:
【0152】
【化13-1】
【0153】
【化13-2】
【0154】
【化13-3】
【0155】
【化13-4】
【0156】
【化13-5】
【0157】
【化13-6】
【0158】
例5vに関して:
【0159】
【化14】
【0160】
50.0g(125ミリモル、1.0当量)の3,6-ジブロモ-9-フェニルカルバゾール(CAS 57103-20-5)を最初に、400mlの水と、400mlのジオキサンと、400mlのトルエンの混合物中に、19.5g(125ミリモル、1.0当量)の3-クロロベンゼンボロン酸(CAS 6350-60-6)と共に導入し、30分間脱気する。280mg(1.25ミリモル、1モル-%)の酢酸パラジウム(II)と、1.14g(3.75ミリモル、3モル-%)のトリ-o-トリルホスフィンの添加後、バッチを還流下で終夜、加熱し、反応が終わると、少量の水を添加する。有機相を分離させ、水で二度抽出する。有機相を硫酸ナトリウムで脱水後、残留物をトルエン/ヘプタンから再結晶化させると、44.8g(103ミリモル、83%)のベージュ色の固形物が得られる。
【0161】
工程3:ホウ素化
【0162】
【化15】
【0163】
16.6g(28ミリモル、35%)の臭素5aを、120mlの無水DMF中に、8.5g(34ミリモル、1.2当量)のビス(ピナコラト)ジボラン(CAS 73183-34-3)と共に、500mlのフラスコ中で保護ガス下で溶解させ、30分間脱気する。8.2g(84ミリモル、3.0当量)の酢酸カリウムと、690mg(0.84ミリモル、3モル-%)の[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロリド錯体とをジクロロメタン(CAS 95464-05-4)と共に、その後添加し、バッチを90℃で終夜、加熱する。反応が終わると、混合物を300mlのトルエンで希釈し、水で抽出する。溶媒をロータリーエバポレーター中で除去し、得られた固形物14.7g(23ミリモル、82%)を乾燥させる。ボロン酸エステル6aを、さらに精製せずに、反応させる。
【0164】
以下の化合物が同じように得られる:
【0165】
【化16-1】
【0166】
【化16-2】
【0167】
【化16-3】
【0168】
【化16-4】
【0169】
【化16-5】
【0170】
【化16-6】
【0171】
工程4:
トリアジン構築ブロックの合成 工程1
【0172】
【化17】
【0173】
7.9g(330ミリモル、1.2当量)の削り屑状マグネシウムを最初に、1lの四つ口フラスコに導入し、63g(270ミリモル、1.0当量)の3-ブロモビフェニル8a(CAS 2113-57-7)のTHF溶液を、反応混合物の還流を維持できるような十分にゆっくりとした速度で添加する。添加が終わると、バッチを還流下でさらに2時間加熱する。2lの四つ口フラスコ中、500mlのTHF中の50g(270ミリモル、1当量)の2,4,6-トリクロロ-1,3,5-トリアジン7a(CAS 108-77-0)を−10℃に冷却する。グリニャール溶液を、温度が0℃を超えないような十分にゆっくりとした温度で滴下し、最後に、バッチを室温で終夜、撹拌する。処理のために、270mlの1N塩酸を滴下し、その混合物を1時間撹拌する。水相をその後、分離させ、ジエチルエーテルで抽出する。結合した有機相を硫酸で脱水させ、溶媒をロータリーエバポレーター中で除去すると、56g(69%)の無色のオイル9aが得られる。
【0174】
以下の化合物が同じように得られる:
【0175】
【化18】
【0176】
トリアジン構築ブロックの合成 工程2
【0177】
【化19】
【0178】
変形例A:
18g(50ミリモル、1当量)の9,9-スピロビフルオレン-2-イルボロン酸10a(CAS 1207595-22-9)を、200mlのジオキサンと、200mlのトルエンと、70mlの水との混合物中に、15g(50ミリモル、1当量)の2-ビフェニル-3-イル-4,6-ジクロロ-1,3,5-トリアジン9aおよび、5.8g(55ミリモル、1.1当量)の炭酸ナトリウムと共に溶解させ、30分間脱気する。580mg(0.50ミリモル、1モル-%)のテトラキス(トリ-フェニルホスフィン)(CAS 14221-01-3)をその後、添加し、バッチを還流下で、終夜加熱する。反応混合物を冷却し、300mlの水を添加する。水相を酢酸エチルで三度、抽出し、有機相を結合させ、溶媒をロータリーエバポレーター中で除去する。ヘプタン/トルエン(4:1)での熱抽出で、15g(26ミリモル、51%)の無色の固形物が得られる。
【0179】
変形例B:工程1に類似する
以下の化合物が同じように調製されることができる:
【0180】
【化20-1】
【0181】
【化20-2】
【0182】
工程5:スズキカップリングによる最終生成物の調製
【0183】
【化21】
【0184】
14.7g(23ミリモル、1.0当量)のボロン酸エステル6aと、14.7g(25ミリモル、1.1当量)のトリアジン構築ブロック11aとを、190mlのトルエンと190mlの水に懸濁させ、30分間脱気する。7.0g(51ミリモル、2.2当量)の炭酸カリウムと、150mg(6.9ミリモル、3モル-%)の酢酸パラジウム(II)と、300mg(1.2ミリモル、5モル-%)のトリフェニルホスフィンとをその後、添加し、その混合物を還流下で終夜、加熱する。沈殿した固形物を吸引濾過し、ヘプタン/トルエン1:1による熱抽出により精製し、ヘプタン/トルエン混合物から三度、再結晶化させる。昇華により、>99.9%のHPLC純度を有する11.2g(11ミリモル、46%)の所望の生成物12aが得られる。
【0185】
以下の化合物が同じように得られる:
【0186】
【化22-1】
【0187】
【化22-2】
【0188】
【化22-3】
【0189】
【化22-4】
【0190】
【化22-5】
【0191】
【化22-6】
【0192】
【化22-7】
【0193】
B)素子例
B−1)OLEDの製造
厚さ50nmの構造化されたITO(インジウム錫酸化物)で被覆された、清浄にした(研究室の食器洗浄機、Merck Extran洗浄剤で洗浄した)ガラス板が、改善された加工のために、20nmのPEDOT:PSS(ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)ポリ(スチレンスホネート)で水性溶液からのスピンコートにより適用、Heraeus Precious Metals GmbH 独からCLEVIOS(登録商標) P VP AI 4083として購入)で被覆される。これらの被覆されたガラス板は、OLEDが適用される基板を形成する。
【0194】
OLEDは、基本的に、次の層構造を有する:基板/正孔輸送層(HTL)/中間層(IL)/電子ブロック層(EBL)/発光層(EML)/正孔ブロック層(HBL)/電子輸送層(ETL)/および最後にカソード。カソードは、100nm厚のアルミニウム層により形成される。OLEDの正確な構造は、表1に示されている。OLEDの製造のために必要とされる材料は、表3に示されている。
【0195】
すべての材料は、真空室において、熱気相堆積により適用される。ここで、発光層は、常に、少なくとも一種のマトリックス材料(ホスト材料)と、共蒸発により一定の体積割合で一種のまたは複数のマトリックス材料と予備混合される発光ドーパント(エミッター)とから成る。ここで、12r:IC1:TEG1(60%:30%:10%)等の表現は、材料12rが60体積%の割合で層中に存在し、IC1が30体積%の割合で層中に存在し、TEG1が10体積%の割合で層中に在在することを意味する。同じように、電子輸送層も、二種の材料の混合物からなる。
【0196】
OLEDは、標準方法により特性決定される。この目的のために、エレクトロルミネセンススペクトル、電流効率(cd/Aで測定)、パワー効率(Im/Wで測定)および電流/電圧/輝度特性線(IUL特性線)から計算した、輝度の関数としての外部量子効率(EQE、パーセントで測定)、および寿命が測定される。エレクトロルミネセンススペクトルは、1000cd/m
2での輝度で測定され、CIE1931xおよびy色座標は、そこから計算される。表2での言い回し「U1000」は、輝度1000cd/m
2に対して必要とされる電圧を示す。CE1000とPE1000は、1000cd/m
2で達成される電流とパワー効率を夫々示す。最後に、EQE1000は、駆動輝度1000cd/m
2での外部量子効率を示す。
【0197】
寿命LTは、一定電流での駆動で、輝度が、初期輝度から一定の割合L1に低下した後の時間として定義される。表2における表現「L0:j0=4000cd/m
2およびL1=80%」は、列LTに示される寿命が、初期輝度が4000cd/m
2から3200cd/m
2に低下した後の時間に対応することを意味する。同じように、「L0:j0=20mA/cm
2およびL1=80%」は、初期輝度が20mA/cm
2での駆動で、時間LT後にその初期輝度の80%に低下することを意味する。
【0198】
種々のOLEDについてのデータを、表2に要約する。例V1−V3は先行技術による比較例であり、例E1−E8は本発明による材料を有するOLEDのデータを示している。
【0199】
例のいくつかを、本発明による化合物の優位性を証明するために、以下、より詳細に説明する。
【0200】
しかしながら、これは、表2に示されるデータの選択を表すだけであることを指摘しておかねばならない。
【0201】
通常、OLEDの非常に良好な性能データ、特に非常に良好な寿命、パワー効率、駆動電圧が、本発明による化合物で達成される(例E1〜E8を参照)。
【0202】
化合物C1と比較して、アミノ基において比較的大きい芳香族系により置換される化合物12rと12iは、マトリックス材料として使用するとき、効率および電圧に関して、特に寿命に関しては改善を示す(例V1、E1およびE6を参照)。
【0203】
同じように、アミノ基において小さい芳香族系のみを含む化合物C2と比較しても、改善が得られる(例V2、E1およびE6を参照)。
【0204】
アミンとトリアジンとがフェニル基を介して連結される化合物C3と比較して、著しくより良好な効率と同等な寿命が、たとえば本発明による類似の化合物12tで達成される(例V3、E2)。
【0205】
【表1】
【0206】
【表2】
【0207】
【表3-1】
【0208】
【表3-2】
【0209】
【表3-3】
【0210】
【表3-4】