(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
<第1実施形態>
本発明の第1実施形態によるエレベータの据付調整データ管理システム1Aの構成について、
図1を参照して説明する。
【0010】
第1実施形態のエレベータの据付調整データ管理システム1Aは、管理対象となるエレベータの設置個所とは離れた遠隔地の管理センター等に設置された据付調整データ管理装置10Aと、エレベータ側に設けられたエレベータ制御装置30Aとを備え、据付調整データ管理装置10Aとエレベータ制御装置30Aとは通信回線40を介して接続されている。
【0011】
本実施形態の据付調整データ管理システム1Aは、エレベータ内に設置されているドアの開閉制御を行うドアコントロールユニット50Aの据付調整を自動にて行うものとする。なお、据付調整データ管理システム1Aが据付調整対象とするエレベータ機器(以下、「据付調整機器」とも称する)はドアコントロールユニット50Aに限られず、エレベータかごが所定の階床位置に停止したことを検出する着検板の据付調整等にも適用可能である。
【0012】
据付調整データ管理装置10Aは、機器情報設定部11と、機器変更認識部12と、据付調整データ変換部13と、管理側据付調整データ記憶部14と、管理側据付調整データ受信部15と、管理側据付調整データ送信部16と、管理側通信部17とを備えている。
【0013】
機器情報設定部11は、入力部111と、機器情報保存部112とから構成されている。入力部111は、据付調整機器に関する機器情報を管理対象となるエレベータの号機毎に設定する。例えば、据付調整機器としてのドアコントロールユニット50Aの型式がDU010であれば、型式や製造番号、型式DU010を構成するモータやセンサ等の性能や特性等、種々の機器情報を入力する。機器情報保存部112は、入力部111から設定入力された号機毎の機器情報を保存する。
【0014】
機器変更認識部12は、管理側据付調整データ記憶部14に記憶されている据付調整データと紐付けられた機器情報とは異なる機器情報が機器情報設定部11によって設定入力された場合には、これを認識する。
【0015】
据付調整データ変換部13は、機器変更認識部12によって、異なる機器情報が設定入力されたことが認識された場合には、管理側据付調整データ記憶部14に記憶されている据付調整データを新たな据付調整機器で使用可能な据付調整データに変換する。
【0016】
管理側据付調整データ記憶部14は、エレベータの号機毎に現場で据付調整した際の据付調整データと、機器情報設定部11の機器情報保存部112に保存された据付調整機器に関する機器情報とを紐付けて記憶する。
【0017】
管理側据付調整データ受信部15は、エレベータ制御装置30A側から送信された新たな据付調整データを受信して、管理側据付調整データ記憶部14に記憶させる。
【0018】
管理側据付調整データ送信部16は、エレベータ制御装置30Aに対して据付調整データを送信する。
【0019】
管理側通信部17は、エレベータ制御装置30Aとの間で据付調整データや機器情報等、種々のデータの通信制御を行う。
【0020】
エレベータ制御装置30Aは、エレベータの号機毎に設けられ、エレベータ側(以下、EL側と略す)通信部31と、EL側据付調整データ受信部32と、EL側据付調整データ記憶部33と、据付調整制御部34と、EL側据付調整データ送信部35とを備えている。
【0021】
EL側通信部31は、据付調整データ管理装置10Aとの間で、機器情報や据付調整データ等、種々のデータの通信制御を行う。
【0022】
EL側据付調整データ受信部32は、据付調整データ管理装置10Aから送信された新たな据付調整データを受信して、EL側据付調整データ記憶部33に記憶させる。
【0023】
EL側据付調整データ記憶部33は、据付調整機器に関する機器情報と据付調整データとを紐付けて記憶する。
【0024】
据付調整制御部34は、据付管理対象となるドアコントロールユニット(以下、「DU」とも称する)50Aの据付調整を実施する。
【0025】
EL側据付調整データ送信部35は、据付調整データ管理装置10Aからの送信要求に応じてEL側据付調整データ記憶部33に記憶されている据付調整データをEL側通信部31及び通信回線40を介して据付調整データ管理装置10A送信する。
【0026】
次に、第1実施形態の作用を
図2、
図3のフローチャートを参照して説明する。
【0027】
初めに、据付調整データの記憶処理について説明する。エレベータを構成する各機器が現場に据え付けられた場合、単に、据え付けただけでは、快適なエレベータの運用はできない。機器毎の特徴、各号機が設置されている場所や建屋の特徴(風が強い場所、寒冷地の建屋)等に基づいて据付調整を行う必要がある。実施形態における据付調整データ管理装置10Aでは、エレベータを構成する各機器に関する情報(機器情報)と据付調整データとを紐付けて事前に記憶させている。
【0028】
すなわち、機器情報設定部11の入力部111から機器情報が入力されると、一旦、機器情報保存部112に保存される(ステップST1)。次いで、エレベータ制御装置30Aに対して、機器情報に対応する据付調整データの送信を要求する(ステップST2)。エレベータ制御装置30Aは、機器情報に対応する据付調整データの送信要求があると(ステップST4YES)、EL側据付調整データ記憶部33に記憶されている据付調整データを据付調整データ送信部35、EL側通信部31、通信回線40を介して据付調整データ管理装置10Aに送信する(ステップST6)。据付調整データ管理装置10Aは、据付調整データが受信されると(ステップST3YES)、機器情報と受信した据付調整データとを紐付けて管理側据付調整データ記憶部14に記憶させる(ステップST4)。ステップST1〜ST6の処理を繰り返して、機器情報と最新の据付調整データとを紐付けて記憶する。
【0029】
上述した機器情報と対応する据付調整データとが紐付けられて記憶された状態で、機器情報に変更があったと想定する。例えば、リニューアル工事において、ドアコントロールユニット50Aの構成が型式DU010からDU020に変更になった場合を想定する。型式DU010の据付調整データは既に管理側据付調整データ記憶部14及びEL側据付調整データ記憶部33に記憶されている。しかし、DU010の据付調整データは、そのままではDU020の据付調整データとして使用することはできない。例えば、型式DU010とDU020とでは、ドア速度パターンが異なっていたり、モータ電流が異なっていたり、センサの感度が異なっていたりする。
【0030】
図3に示すように、据付調整データと紐付けられた旧機器情報とは異なる新たな機器情報が機器情報設定部11によって設定入力されたことが認識されると(ステップST11YES)、据付調整データ変換部13は、旧機器情報であるDU010の据付調整データを新たな機器情報であるDU020で使用可能な据付調整データに変換する(ステップST12)。新たな据付調整データは、新たな機器情報(DU020)と紐付けられて管理側据付調整データ記憶部14に記憶される(ステップST13)。記憶された据付調整データに対して、エレベータ制御装置30Aから送信要求があると、新たな据付調整データをエレベータ制御装置30Aに送信する(ステップST14)。エレベータ制御装置30Aは、新たな据付調整データを受信すると(ステップST15)、受信した新たな据付調整データをEL側据付調整データ記憶部33に記憶させて(ステップST16)、管理側据付調整データ記憶部14の据付調整データとの整合性を確保する。
【0031】
このように第1実施形態によれば、据付調整機器を新しい機器に交換したときには、交換前の旧据付調整機器の据付調整データを使用することができ、作業員による据付再調整が不要となる。
【0032】
<第2実施形態>
図4は、第2実施形態によるエレベータの据付調整データ管理システム1Bの構成を示している。なお、
図1に示した第1実施形態と同一構成部分には同一符号を付して説明を省略する。
【0033】
第1実施形態では、据付調整機器であるドアコントロールユニット50Aの据付調整は、エレベータ制御装置30A内にEL側据付調整データ記憶部33と、据付調整制御部34とを設け、据付調整機器であるドアコントロールユニット50Aの据付調整はエレベータ制御装置30A側で行うようにした。
【0034】
第2実施形態のエレベータの据付調整データ管理システム1Bでは、ドアコントロールユニット50B内にDU側据付調整データ記憶部51と、DU側据付調整制御部52とを設け、自機器内で据付調整を実行することを特徴としている。
【0035】
DU側据付調整データ記憶部51は、自機の据付調整に関する据付調整データを記憶する。
【0036】
DU側据付調整制御部52は、DU側据付調整データ記憶部51に記憶されている据付調整データに基づいて自機の据付調整制御を実行する。
【0037】
第2実施形態では、DU側据付調整制御部52がDU側据付調整データ記憶部51の据付調整データに基づいてドアコントロールユニット50Bの据付調整制御を実行する。また、DU側据付調整データ記憶部51内の据付調整データは、必要に応じて、エレベータ制御装置30B内のEL側据付調整データ送信部35から据付調整データ管理装置10Aに送信される。なお、それ以外の基本的な処理は、第1実施形態と同様、エレベータ制御装置30Bが実行するため、詳細な説明は省略する。
【0038】
このように、第2実施形態によれば、自機器内で据付調整が実行できるので、ドアコントロールユニット50B単位での微調整が可能となる。
【0039】
<第3実施形態>
図5は、第3実施形態によるエレベータの据付調整データ管理システム1Cの構成を示している。なお、
図1に示した第1実施形態と同一構成部分には同一符号を付して説明を省略する。
【0040】
第3実施形態によるエレベータの据付調整データ管理システム1Cは、現場側で機器変更があった場合、変更された据付機器(ドアコントロールユニット50A)に関する機器情報をエレベータ制御装置30C側から据付調整データ管理装置10B側に送信することを特徴としている。
【0041】
第3実施形態の据付調整データ管理装置10Bは、機器情報設定部11と、機器変更認識部12と、据付調整データ変換部13と、管理側据付調整データ記憶部14と、管理側据付調整データ受信部15と、管理側据付調整データ送信部16と、管理側通信部17とを備えることに加え、機器情報認識部18を備えることを特徴としている。
【0042】
機器情報認識部18は、エレベータ制御装置30Cから新たな機器情報が送信された場合には、この機器情報が新たな機器情報か否かを判定し、新たな機器情報と認識した場合には、据付調整データ変換部13に新たな機器情報を出力する。
【0043】
据付調整データ変換部13は、機器情報認識部18によって、新たな機器情報が送信されたことが認識された場合には、管理側据付調整データ記憶部14に記憶されている据付調整データを新たな機器情報に対応可能となるように変換する。
【0044】
また、第3実施形態のエレベータ制御装置30Cは、EL側通信部31と、EL側据付調整データ受信部32と、EL側据付調整データ記憶部33と、据付調整制御部34と、EL側据付調整データ送信部35とを備えることに加え、更に、EL側機器情報認識部36と、EL側機器情報送信部37とを備えることを特徴としている。
【0045】
EL側機器情報認識部36は、据付機器であるドアコントロールユニット50Aの機器情報を認識する。
【0046】
EL側機器情報送信部37は、EL側機器情報認識部36で認識されたドアコントロールユニット50Aの機器情報をEL側通信部31及び通信回線40を介して据付調整データ管理装置10Bへ送信する。
【0047】
次に、第3実施形態の処理手順を
図6のフローチャートを参照して説明する。
【0048】
図6のフローチャートに示すように、機器情報認識部18は、エレベータ制御装置30Cからの機器情報の受信を監視している(ステップST21)。エレベータ制御装置30Cからの機器情報が受信されると、機器情報を認識し(ステップST22)、認識した機器情報が新たな機器情報であれば(ステップST23YES)、据付調整データ変換部13に対してデータの変換指令を出力する。据付調整データ変換部13は、管理側据付調整データ記憶部14に記憶されている据付調整データを新たな危機情報で使用可能な据付調整データに変換する(ステップST24)。認識した機器情報が新たな機器情報でなければ(ステップST23NO)、据付調整データ変換部13に対してデータの変換指令を出力することなく処理は終了する。
【0049】
このように、第3実施形態によれば、機器が変更になった場合、エレベータ制御装置30Cから据付調整データ管理装置10Bに対して、どのような種類で型式は何かといった新たな機器情報を通知するようにした。このため、機器変更に対応して据付調整データを自動変更でき、作業員が手作業で機器変更に対応することが無いので、据付調整処理を効率的に行うことができる。
【0050】
<第4実施形態>
図7は、第4実施形態によるエレベータの据付調整データ管理システム1Dの構成を示している。なお、
図1に示した第1実施形態と同一構成部分には同一符号を付して説明を省略する。
【0051】
第4実施形態によるエレベータの据付調整データ管理システム1Dは、第3実施形態のように、据付機器(ドアコントロールユニット50A)に関する機器情報をエレベータ制御装置30C側から据付調整データ管理装置10C側に送信した際、据付調整データ管理装置10C側に記憶されている機器情報と一致しない場合に、その旨を作業員端末60に通知することを特徴としている。
【0052】
第4実施形態の据付調整データ管理装置10Cは、機器情報設定部11と、機器変更認識部12と、据付調整データ変換部13と、管理側据付調整データ記憶部14と、管理側据付調整データ受信部15と、管理側据付調整データ送信部16と、管理側通信部17とを備えることに加え、機器情報受信部19と、機器情報照合部20と、報知部21とを備えることを特徴としている。
【0053】
また、通信回線40には、据付調整を行う作業員が所持する作業員端末60が接続されており、据付調整データ管理装置10C及びエレベータ制御装置30Cとの間での相互のデータの授受に使用される。
【0054】
機器情報受信部19は、エレベータ制御装置30Cから送信される機器情報を受信する。
【0055】
機器情報照合部20は、機器情報受信部19で受信された機器情報と機器情報保存部112に保存されている機器情報とを照合して、一致しない場合には、作業員端末60にその旨を通知するように報知部21に指示する。
【0056】
報知部21は、機器情報が一致しない場合に作業員端末60に一致しない旨を通知する。
【0057】
次に、第4実施形態の処理手順を
図8のフローチャートを参照して説明する。
【0058】
図8のフローチャートに示すように、機器情報受信部19は、エレベータ制御装置30Cからの機器情報の受信を監視している(ステップST31)。エレベータ制御装置30Cからの機器情報が受信されると、機器情報照合部20は、受信した機器情報と機器情報保存部112に保存されている機器情報とを照合する(ステップST32)。
【0059】
照合の結果、受信した機器情報と保存されている機器情報とが不一致の場合(ステップST33YES)には、報知部21は、作業員端末60に対して、「送信された機器情報は管理されている機器情報と一致しない」旨のメッセージを通知する(ステップST34)。一致する場合(ステップST33YES)には、第3実施形態と同様、受信した機器情報に基づき、管理側据付調整データ記憶部14に記憶されている据付調整データを抽出してエレベータ制御装置30Cに送信する。
【0060】
このように、第4実施形態によれば、エレベータ制御装置30Cから送信された機器情報が機器情報保存部112に保存されている機器情報と一致しない場合には、作業員端末60に通知することができるので、機器情報に対応する据付調整データの整合性を保持することができ、確実な据付調整作業を実行できる。
【0061】
<第5実施形態>
図9は、第5実施形態によるエレベータの据付調整データ管理システム1Eの構成を示している。なお、
図1に示した第1実施形態と同一構成部分には同一符号を付して説明を省略する。
【0062】
第5実施形態によるエレベータの据付調整データ管理システム1Eは、据付調整データ管理装置10Dが複数のエレベータ制御装置を管理している場合、各エレベータ制御装置が管轄する据付調整機器で共通する据付調整データが有る場合には、その据付調整データを援用するようにしている。
【0063】
第5実施形態では、通信回線40には、1号機用のエレベータ制御装置30Cと2号機用のエレベータ制御装置70とが接続されている。2号機用のエレベータ制御装置70はドアコントロールユニット80を制御している。
【0064】
第5実施形態の据付調整データ管理装置10Dは、機器情報設定部11と、機器変更認識部12と、据付調整データ変換部13と、管理側据付調整データ記憶部14と、管理側据付調整データ受信部15と、管理側据付調整データ送信部16と、管理側通信部17とを備えることに加え、機器情報認識部18と、適用機器照合部22とを備えることを特徴としている。
【0065】
機器情報認識部18は、エレベータ制御装置30c,70から送信された機器情報を認識する。
【0066】
適用機器照合部22は、機器情報認識部18で認識された機器情報と機器情報保存部112に保存されている機器情報とが一致する、すなわち、該当する機器が存在するか否かを判定する機能を有する。
【0067】
次に、第5実施形態の処理手順を
図10のフローチャートを参照して説明する。
【0068】
図10のフローチャートに示すように、機器情報認識部18は、2号機用のエレベータ制御装置70からの機器情報を受信する(ステップST41)と、適用機器照合部22は、受信した機器情報と機器情報保存部112に保存されている機器情報とを照合する(ステップST42)。
【0069】
照合の結果、受信した機器情報と保存されている機器情報とが一致する場合(ステップST43YES)には、据付調整データ記憶部14に記憶されている据付調整データを2号機でも共通して利用できるものとして扱うため、送信されてきた機器情報と据付調整データとを紐付けて記憶する(ステップST44)。2号機の機器情報が新しい機器情報であれば、対応する新たな据付調整データと紐付けて記憶する(ステップST45)。
【0070】
そして、管理装置側据付調整データ記憶部14に記憶された、2号機用のエレベータ制御装置70の機器情報に対応する据付調整データを2号機のエレベータ制御装置70に送信する(ステップST46)。2号機のエレベータ制御装置70は、送信された据付調整データによって、管轄のドアコントロールユニット80の据付調整を実行する。
【0071】
このように、第5実施形態によれば、エレベータ制御装置が管轄する複数の据付調整機器間に共通するものがあれば、相互に援用することができるので、無駄な据付調整データの保存を省くことができ、また、効率的な運用が可能となる。
【0072】
<第6実施形態>
図11は、第6実施形態によるエレベータの据付調整データ管理システム1Fの構成を示している。なお、
図1に示した第1実施形態と同一構成部分には同一符号を付して説明を省略する。
【0073】
第6実施形態によるエレベータの据付調整データ管理システム1Fでは、据付機器を構成する部品それぞれの特性に応じて異なる特性を持つ場合、その特性値を認識して機器調整データを変換するようにしている。
【0074】
第6実施形態のエレベータ据付調整データ管理装置10Eは、機器情報設定部11と、機器変更認識部12と、据付調整データ変換部13と、管理側据付調整データ記憶部14と、管理側据付調整データ受信部15と、管理側据付調整データ送信部16と、管理側通信部17とを備えることに加え、機器特性値認識部23と、機器調整データ変換部24とを備えることを特徴としている。
【0075】
機器特性値認識部23は、エレベータ制御装置30Cから送信された機器情報を受信して、機器情報に基づき、据付機器を構成する構成機器の特性値を認識する。
【0076】
機器調整データ変換部24は、機器特性値認識部23が認識した構成機器の特性値に基づき、機器の据付調整データを変換し、その変換後の据付調整データを管理側据付調整データ記憶部14に記憶させる。
【0077】
次に、第6実施形態の処理手順を
図12に示すフローチャートを参照して説明する。
【0078】
据付調整データ管理装置10Eの管理側通信部17は、エレベータ制御装置30Cから機器情報の送信を監視している(ステップST51)。エレベータ制御装置30Cは、EL側機器情報送信部37、EL側通信部31を介してドアコントロールユニット50Aの末付機器に関する機器情報を据付調整データ管理装置10Eに送信する。機器情報が管理側通信部17を介して受信される(ステップST51YES)と、機器特性値認識部23は、エレベータ制御装置30Cから送信された機器情報に基づき、ドアコントロールユニット50Aを構成する各構成機器の特性値を認識する(ステップST52)。例えば、型式DU010の構成機器である電流センサの特性が全て同一とは限らない。機器が本来持つ固有値のバラツキのみならず、据付場所によっても特性が変化する場合がある。したがって、機器ごとの特性値を考慮して据付調整データも微調整を加味した値に変換する必要がある。
機器調整データ変換部24は、据付調整データを特性値を加味したものに変換して、管理側据付調整データ記憶部14に記憶させる(ステップST53)。
【0079】
このように、第6実施形態によれば、据付調整データを据付調整機器が持つ特性を考慮して微調整することができるので、きめ細かい据付調整が可能となる。
【0080】
<第7実施形態>
図13は、第7実施形態によるエレベータの据付調整データ管理システム1Gの構成を示している。なお、
図1に示した第1実施形態と同一構成部分には同一符号を付して説明を省略する。
【0081】
第7実施形態によるエレベータの据付調整データ管理システム1Gは、エレベータ制御装置側から送信されてきた据付調整データが妥当なものであるか否かを検証して妥当性を欠く場合には警告を発するように構成している。
【0082】
第7実施形態のエレベータ据付調整データ管理装置10Fは、機器情報設定部11と、機器変更認識部12と、据付調整データ変換部13と、管理側据付調整データ記憶部14と、管理側据付調整データ受信部15と、管理側据付調整データ送信部16と、管理側通信部17とを備えることに加え、据付調整データ検証部25と、報知部26とを備えることを特徴としている。なお、エレベータ制御装置30Aは、第1実施形態と同一構成である。
【0083】
据付調整データ検証部25は、初期設定時等において、エレベータ制御装置側から送信されてきた据付調整データが妥当なものであるか否かを検証する。
【0084】
報知部26は、妥当性が無い旨のアラームを据付調整データ管理装置内に出力するとともに、通信回線40を介し作業員端末60に対して警報を通知する。
【0085】
次に、第7実施形態の処理手順を
図14に示すフローチャートを参照して説明する。
【0086】
据付調整データ検証部25は、初期設定時等において、管理側据付調整データ記憶部14に据付調整データを記憶する前に、エレベータ制御装置側から送信されてきた据付調整データの妥当性を検証する(ステップST61)。例えば、現場側で作業員が据付調整したドア速度パターンが標準パターン内にあるか否かを検証する。検証の結果、妥当性がない場合(ステップST62NO)には、報知部26は、表示や音声にてアラームを出力するとともに、その旨を通信回線40を介して作業員端末60に通知する(ステップST63)。妥当性がある場合(ステップST62YES)には、送信されてきた据付調整データを機器情報と紐付けて管理側据付調整データ記憶部14に記憶して処理は終了する。
【0087】
第7実施形態によれば、初期調整時等において、作業員が調整した据付調整データに妥当性が無い場合には、作業員端末60へ警報を通知するようにしているので、据付調整データとして異常なデータや不適合なデータが蓄積されていくのを未然に防止することができる。
【0088】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。