特許第6495385号(P6495385)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6495385アルコールのアルコキシカルボニル化方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6495385
(24)【登録日】2019年3月15日
(45)【発行日】2019年4月3日
(54)【発明の名称】アルコールのアルコキシカルボニル化方法
(51)【国際特許分類】
   C07C 67/36 20060101AFI20190325BHJP
   C07C 69/24 20060101ALI20190325BHJP
   C07C 69/612 20060101ALI20190325BHJP
   C07F 9/58 20060101ALI20190325BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20190325BHJP
【FI】
   C07C67/36
   C07C69/24
   C07C69/612
   C07F9/58 A
   !C07B61/00 300
【請求項の数】15
【外国語出願】
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2017-137956(P2017-137956)
(22)【出願日】2017年7月14日
(65)【公開番号】特開2018-58817(P2018-58817A)
(43)【公開日】2018年4月12日
【審査請求日】2017年11月28日
(31)【優先権主張番号】16180052.9
(32)【優先日】2016年7月19日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】501073862
【氏名又は名称】エボニック デグサ ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】Evonik Degussa GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】110002538
【氏名又は名称】特許業務法人あしたば国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】カイウ ドング
(72)【発明者】
【氏名】ラルフ ジャックステル
(72)【発明者】
【氏名】ヘルフリート ノイマン
(72)【発明者】
【氏名】マティアス ベレー
(72)【発明者】
【氏名】ディルク フリダッグ
(72)【発明者】
【氏名】ディーター ヘス
(72)【発明者】
【氏名】カトリン マリエ ディバラ
(72)【発明者】
【氏名】フランク ゲイレン
(72)【発明者】
【氏名】ロバート フランク
【審査官】 高橋 直子
(56)【参考文献】
【文献】 特表2013−516449(JP,A)
【文献】 Catalytic carbonylation of α-(6-methoxyl-2-naphthyl)ethanol to methyl esters of naproxen using PdCl2-CuCl2-PPh3-acid catalyst system,Journal of Organometallic Chemistry,1998年,Vol. 556 P239-242
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C 67/36
C07C 69/24
C07C 69/612
C07F 9/58
C07B 61/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の工程段階:
a) 炭素原子数2〜30の第1のアルコールを導入する工程
b) ホスフィンリガンドおよびPdを含有する化合物を添加するか、またはPdおよびホスフィンリガンドを含有する錯体を添加する工程
c) 第2のアルコールを添加する工程
c’) 酸を添加する工程
d) COを供給する工程
e) 応混合物を熱し、該第1のアルコールがCOおよび該第2のアルコールと反応してエステルを形成する工程
を含み、
前記ホスフィンリガンドが式(I):
【化1】
(式中、mおよびnは、それぞれ独立して0または1であり、
、R、R、Rは、それぞれ独立して−(C−C12)−アルキル、−(C−C12)−シクロアルキル、−(C−C12)−ヘテロシクロアルキル、−(C−C20)−アリール、および(C−C20)−ヘテロアリールから選択され、
,R、R、R基の少なくとも1種は、−(C−C20)−ヘテロアリール基であり、
かつ
、R、R、Rが、−(C−C12)−アルキル、−(C−C12)−シクロアルキル、−(C−C12)−ヘテロシクロアルキル、−(C−C20)−アリール、または(C−C20)−ヘテロアリールである場合、それらは、−(C−C12)−アルキル、−(C−C12)−シクロアルキル、−(C−C12)−ヘテロシクロアルキル、−O−(C−C12)−アルキル、−O−(C−C12)−アルキル−(C−C20)−アリール、−O−(C−C12)−シクロアルキル、−S−(C−C12)−アルキル、−S−(C−C12)−シクロアルキル、−COO−(C−C12)−アルキル、−COO−(C−C12)−シクロアルキル、−CONH−(C−C12)−アルキル、−CONH−(C−C12)−シクロアルキル、−CO−(C−C12)−アルキル、−CO−(C−C12)−シクロアルキル、−N−[(C−C12)−アルキル]、−(C−C20)−アリール、−(C−C20)−アリール−(C−C12)−アルキル、−(C−C20)−アリール−O−(C−C12)−アルキル、−(C−C20)−ヘテロアリール、−(C−C20)−ヘテロアリール−(C−C12)−アルキル、−(C−C20)−ヘテロアリール−O−(C−C12)−アルキル、−COOH、−OH、−SOH、−NHおよびハロゲンから選択される1以上の置換基によってそれぞれ独立して置換されていてもよい。)で表される化合物であることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記ホスフィンリガンドが式(II)または(III):
【化2】
で表されるいずれかの化合物である請求項1に記載の方法。
【請求項3】
、R、R、R基の少なくとも2種が、−(C−C20)−ヘテロアリール基である請求項1および請求項2のいずれかに記載の方法。
【請求項4】
およびR基が、それぞれ−(C−C20)−ヘテロアリール基である請求項1〜請求項3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
およびR基は、それぞれ(C−C20)−ヘテロアリール基であり、RおよびRは、それぞれ独立して−(C−C12)−アルキル、−(C−C12)−シクロアルキル、−(C−C12)−ヘテロシクロアルキル、−(C−C20)−アリールから選択される請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
およびR基は、それぞれ(C−C20)−ヘテロアリール基であり、RおよびRは、それぞれ独立して−(C−C12)−アルキルから選択される請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
、R、R、Rがヘテロアリール基である場合、それらはそれぞれ独立して、フリル、チエニル、ピロリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、フラザニル、テトラゾリル、ピリジル、ピリダジニル、ピリミジル、ピラジニル、ベンゾフラニル、インドリル、イソインドリル、ベンゾイミダゾリル、キノリルおよびイソキノリルから選択される請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記ホスフィンリガンドが、式(1):
【化3】
で表される化合物である請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
工程a)における該第1のアルコールが、式(IV):
【化4】
(式中、Rは、−(C−C12)−アルキル、−(C−C12)−シクロアルキル、−(C−C20)−アリールから選択され、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、−(C−C12)−アルキル、−(C−C12)−シクロアルキル、−(C−C20)−アリールから選択される。)
で表される化合物である請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
が−(C−C12)−アルキルである請求項9に記載の方法。
【請求項11】
およびRが、それぞれ独立して、水素原子、−(C−C12)−アルキル、−(C−C20)−アリールから選択される、請求項9または請求項10に記載の方法。
【請求項12】
およびR基から選ばれる1以下の基が水素原子である請求項9〜請求項11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
工程b)におけるPdを有する該化合物が、パラジウムジクロライド、パラジウム(II)アセチルアセトネート、パラジウム(II)アセテート、ジクロロ(1,5−シクロオクタジエン)パラジウム(II)、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム、ビス(アセトニトリル)ジクロロパラジウム(II)およびパラジウム(シンナミル)ジクロライドから選択される請求項1〜請求項12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
工程c)における前記第2のアルコールが、メタノール、エタノール、1−プロパノール、1−ブタノール、1−ペンタノール、1−ヘキサノール、2−プロパノール、tert−ブタノール、3−ペンタノール、シクロヘキサノールおよびそれらの混合物から選択される請求項1〜請求項13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
工程a)における前記第1のアルコールが、2級アルコールまたは3級アルコールであり、工程c)における前記第2のアルコールが1級アルコールである請求項1〜請求項14のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルコールをアルコキシカルボニル化する新規な方法に関する。
【背景技術】
【0002】
エチレン性不飽和化合物のアルコキシカルボニル化は、エステルを製造する方法として知られている。この方法は、金属リガンド錯体(complex)の存在下で、エチレン性不飽和混合物(オレフィン)と、一酸化炭素およびアルコールとを反応させ、相当するエステルを得るために使用される。一般的に、使用される金属はパラジウムである。以下のスキームは、アルコキシカルボニル化の一般反応式を示す。
【0003】
【化1】
【0004】
この反応に非常に良好な触媒システムは、Lucite社(現三菱レーヨン社)によって開発され、1,2−ビス(ジ−tert−ブチルホスフィノメチル)ベンゼン(DTBPMB)に基づくリガンドを使用する(W. Clegg, G. R. Eastham, M. R. J. Elsegood, R. P. Tooze, X. L. Wang, K. Whiston, Chem. Commun. 1999, 1877−1878)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
エチレン性不飽和化合物以外の化合物を用いて、アルコキシカルボニル化反応として、アルコールおよび一酸化炭素を反応させ相当するエステルを得る可能性は、これまで知られていない。
【0006】
このような背景に対して、本発明が対処しようとする課題は、エステルを製造するためのアルコキシカルボニル化方法を提供するものであり、この方法は、エチレン性不飽和化合物以外の原料化合物を出発物質として用いる。ここで特に関心があるのは、アルコシキカルボニル化の出発物質としてアルコールの使用である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
驚くべきことに、本発明の課題は、少なくとも1つのホスフィン基がヘテロアリール基によって置換された特別なベンゼン系ジホスフィンリガンドを用いたアルコシキカルボニル化方法により解決されることが明らかとなった。本発明の方法は、反応体として用いられるアルコールに基づく高い収率性の点で優れている。
【0008】
従って本発明は、以下の工程段階:
a) 炭素原子数2〜30の第1のアルコールを導入する工程
b) ホスフィンリガンドおよびPd を含有する化合物を添加するか、またはPdおよびホスフィンリガンドを含有する錯体を添加する工程
c) 第2のアルコールを添加する工程
d) COを供給する工程 e) 該反応混合物を熱し、該第1のアルコールがCOおよび該第2のアルコールと反応してエステルを形成する工程
を含み、上記ホスフィンリガンドが式(I)
【0009】
【化2】
【0010】
(式中、mおよびnは、それぞれ独立して0または1であり、R、R、R、Rは、それぞれ独立して、−(C−C12)−アルキル、−(C−C12)−シクロアルキル、−(C−C12)−ヘテロシクロアルキル、−(C−C20)−アリール、および(C−C20)−ヘテロアリールから選択され、
,R、R、R基の少なくとも1種は、−(C−C20)−ヘテロアリール基であり、
かつ
、R、R、Rが、−(C−C12)−アルキル、−(C−C12)−シクロアルキル、−(C−C12)−ヘテロシクロアルキル、−(C−C20)−アリール、または(C−C20)−ヘテロアリールである場合、それらは、−(C−C12)−アルキル、−(C−C12)−シクロアルキル、−(C−C12)−ヘテロシクロアルキル、−O−(C−C12)−アルキル、−O−(C−C12)−アルキル−(C−C20)−アリール、−O−(C−C12)−シクロアルキル、−S−(C−C12)−アルキル、−S−(C−C12)−シクロアルキル、−COO−(C−C12)−アルキル、−COO−(C−C12)−シクロアルキル、−CONH−(C−C12)−アルキル、−CONH−(C−C12)−シクロアルキル、−CO−(C−C12)−アルキル、−CO−(C−C12)−シクロアルキル、−N−[(C−C12)−アルキル]、−(C−C20)−アリール、−(C−C20)−アリール−(C−C12)−アルキル、−(C−C20)−アリール−O−(C−C12)−アルキル、−(C−C20)−ヘテロアリール、−(C−C20)−ヘテロアリール−(C−C12)−アルキル、−(C−C20)−ヘテロアリール−O−(C−C12)−アルキル、−COOH、−OH、−SOH、−NH、ハロゲンから選択される1以上の置換基によってそれぞれ独立して置換されていてもよい。)
で示される化合物であることを特徴とする方法である。
【0011】
上記第1のアルコールおよび第2のアルコールは同一であってもよいし異なっていてもよいが、上記第1のアルコールおよび第2のアルコールは異なるものであることが好ましい。ある実施形態においては、上記第1のアルコールは2級または3級アルコールであり、上記第2のアルコールは1級アルコールである。
【0012】
本発明の方法において、工程a)、b)、c)、およびd)を所望の順番で行うことができる。しかし、一般的にCOの添加は、まず共反応体を工程a)〜c)に導入した後に行われる。工程d)およびe)は、同時にまたは連続的に行うことができる。更に、例えばCOの一部を最初に導入し、該混合物を加熱し、その後COの残りの部分を導入するというように、COを2工程または3工程以上の工程に分けて導入することも可能である。
【0013】
ある実施形態において、本発明で使用される上記ホスフィンリガンドは、下記式(II)または(III)
【0014】
【化3】
【0015】
(これらの式において、R、R、R、R基はそれぞれ上記定義と同じである)
のいずれかの化合物であることが好ましい。
【0016】
特に好ましい実施形態において、本発明におけるホスフィンリガンドは、R、R、R、R基がそれぞれ上記式(II)で表される化合物である。
【0017】
(C−C12)−アルキルという表現には、1〜12個の炭素原子を有する直鎖状および分岐鎖状のアルキル基が含まれる。これらは、好適には(C−C)アルキル基、より好適には(C−C)アルキル、最も好適には(C−C)アルキル基である。
【0018】
好適な(C−C12)−アルキル基としては、特に、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、iso−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、2−ペンチル、2−メチルブチル、3−メチルブチル、1,2−ジメチルプロピル、1,1−ジメチルプロピル、2,2−ジメチルプロピル、1−エチルプロピル、n−ヘキシル、2−ヘキシル、2−メチルペンチル、3−メチルペンチル、4−メチルペンチル、1,1−ジメチルブチル、1,2−ジメチルブチル、2,2−ジメチルブチル、1,3−ジメチルブチル、2,3−ジメチルブチル、3,3−ジメチルブチル、1,1,2−トリメチルプロピル、1,2,2−トリメチルプロピル、1−エチルブチル、1−エチル−2−メチルプロピル、n−ヘプチル、2−ヘプチル、3−ヘプチル、2−エチルペンチル、1−プロピルブチル、n−オクチル、2−エチルヘキシル、2−プロピルヘプチル、ノニルまたはデシルである。
【0019】
上記(C−C12)−アルキルという表現に関する説明は、特に−O−(C−C12)−アルキル、−S−(C−C12)−アルキル、−COO−(C−C12)−アルキル、−CONH−(C−C12)−アルキル、−CO−(C−C12)−アルキル、およびN−[(C−C12)−アルキル]におけるアルキル基にも適用される。
【0020】
(C−C12)−シクロアルキルという表現には、3〜12個の炭素原子を有する1環、2環、または3環ヒドロカルビル基が含まれる。これらの基は、好適には(C−C12)−シクロアルキルである。
上記(C−C12)−シクロアルキル基は、好適には3〜8員環原子、より好適には5または6員環原子を有する。
【0021】
好適な(C−C12)−シクロアルキル基は、特に、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロドデシル、シクロペンタデシル、ノルボルニルまたはアダマンチルである。
【0022】
上記(C−C12)−シクロアルキルという表現に関する説明は、特に−O−(C−C12)−シクロアルキル、−S−(C−C12)−シクロアルキル、−COO−(C−C12)−シクロアルキル、−CONH−(C−C12)−シクロアルキル、およびCO−(C−C12)−シクロアルキルにおけるシクロアルキル基にも適用される。
【0023】
(C−C12)−ヘテロシクロアルキルという表現には、環を構成する炭素原子の1以上がヘテロ原子により置換された、3〜12個の炭素原子を有する非芳香族の飽和または部分的に不飽和のシクロ脂肪族基が含まれる。上記(C−C12)−ヘテロシクロアルキル基は、好適には3〜8、より好適には5または6員環原子を有し、脂肪族側鎖によって置換されていてもよい。該ヘテロシクロアルキル基では、シクロアルキル基とは対照的に、環を構成する炭素原子の1以上がヘテロ原子またはヘテロ原子含有基により置換されている。上記ヘテロ原子またはヘテロ原子含有基は、好適にはO、S、N、N(=O)、C(=O)、S(=O)から選択される。従って、本発明における(C−C12)−ヘテロシクロアルキル基にはエチレンオキサイドも含まれる。
【0024】
好適な(C−C12)−ヘテロシクロアルキル基は、特にテトラヒドロチオフェニル、テトラヒドロフリル、テトラヒドロピラニルまたはジオキサニルである。
【0025】
(C−C20)−アリールという表現には、6〜20個の炭素原子を有する、単一または多環芳香族ヒドロカルビル基が含まれる。これらは、好適には(C−C14)−アリール、より好適には(C−C10)−アリールである。
【0026】
好適な(C−C20)−アリール基は、特に、フェニル、ナフチル、インデニル、フルオレニル、アントラセニル、フェナントレニル、ナフタセニル、クリセニル、ピレニルまたはコロネニルである。より好適な(C−C20)−アリール基は、フェニル、ナフチルまたはアントラセニルである。
【0027】
(C−C20)−ヘテロアリールという表現には、炭素原子の1以上がヘテロ原子により置換された、3〜20個の炭素原子を有する単環または多環の芳香族ヒドロカルビル基が含まれる。好適なヘテロ原子は、N、O、およびSである。上記(C−C20)−ヘテロアリール基は3〜20、好適には6〜14、より好適には6〜10個の環原子を有する。
【0028】
好適な(C−C20)−ヘテロアリール基は、特にフリル、チエニル、ピロリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、フラザニル、テトラゾリル、ピリジル、ピリダジニル、ピリミジル、ピラジニル、ベンゾフラニル、インドリル、イソインドリル、ベンゾイミダゾリル、キノリルまたはイソキノリルである。
【0029】
ハロゲンという表現には、特にフッ素、塩素、臭素、またはヨウ素が含まれる。特に好適には、フッ素または塩素である。
【0030】
ある実施形態において、R、R、R、R基が−(C−C12)−アルキル、−(C−C12)−シクロアルキル、−(C−C12)−ヘテロシクロアルキル、−(C−C20)−アリール、または(C−C20)−ヘテロアリールである場合、それらは、−(C−C12)−アルキル、−(C−C12)−シクロアルキル、−(C−C12)−ヘテロシクロアルキル、−O−(C−C12)−アルキル、−O−(C−C12)−アルキル−(C−C20)−アリール、−O−(C−C12)−シクロアルキル、−S−(C−C12)−アルキル、−S−(C−C12)−シクロアルキル、−(C−C20)−アリール、−(C−C20)−アリール−(C−C12)−アルキル、−(C−C20)−アリール−O−(C−C12)−アルキル、−(C−C20)−ヘテロアリール、−(C−C20)−ヘテロアリール−(C−C12)−アルキル、−(C−C20)−ヘテロアリール−O−(C−C12)−アルキル、−COOH、−OH、−SOH、−NH、ハロゲンから選択される1以上の置換基によって、それぞれ独立に置換されていてもよい。
【0031】
ある実施形態において、R、R、R、R基が−(C−C12)−アルキル、−(C−C12)−シクロアルキル、−(C−C12)−ヘテロシクロアルキル、−(C−C20)−アリール、または(C−C20)−ヘテロアリールである場合、それらは、−(C−C12)−アルキル、−(C−C12)−シクロアルキル、−O−(C−C12)−アルキル、−O−(C−C12)−アルキル−(C−C20)−アリール、−O−(C−C12)−シクロアルキル、−(C−C20)−アリール、−(C−C20)−アリール−(C−C12)−アルキル、−(C−C20)−アリール−O−(C−C12)−アルキル、−(C−C20)−ヘテロアリール、−(C−C20)−ヘテロアリール−(C−C12)−アルキル、−(C−C20)−ヘテロアリール−O−(C−C12)−アルキルから選択される1以上の置換基によって、それぞれ独立して置換されていてもよい。
【0032】
ある実施形態において、R、R、R、R基が−(C−C12)−アルキル、−(C−C12)−シクロアルキル、−(C−C12)−ヘテロシクロアルキル、−(C−C20)−アリール、または(C−C20)−ヘテロアリールである場合、それらは、−(C−C12)−アルキル、−O−(C−C12)−アルキル−(C−C20)−アリール、−(C−C20)−ヘテロアリール、−(C−C20)−ヘテロアリール−(C−C12)−アルキル、−(C−C20)−ヘテロアリール−O−(C−C12)−アルキルから選択される1以上の置換基によって、それぞれ独立して置換されていてもよい。
【0033】
ある実施形態において、R、R、R、R基が−(C−C12)−アルキル、−(C−C12)−シクロアルキル、−(C−C12)−ヘテロシクロアルキル、−(C−C20)−アリール、または(C−C20)−ヘテロアリールである場合、それらは、−(C−C12)−アルキルおよび(C−C20)−ヘテロアリールから選択される1以上の置換基によって、それぞれ独立して置換されていてもよい。
【0034】
ある実施形態において、R、R、R、R基が−(C−C12)−アルキル、−(C−C12)−シクロアルキル、または(C−C12)−ヘテロシクロアルキルである場合は非置換であり、−(C−C20)−アリール、または(C−C20)−ヘテロアリールである場合は記載の通り置換されていてもよい。
【0035】
ある実施形態において、R、R、R、R基が−(C−C12)−アルキル、−(C−C12)−シクロアルキル、−(C−C12)−ヘテロシクロアルキル、−(C−C20)−アリール、または(C−C20)−ヘテロアリールである場合は、非置換である。
【0036】
ある実施形態において、R、R、R、Rは、−(C−C12)−アルキル、−(C−C20)−アリール、−(C−C20)−ヘテロアリールからそれぞれ独立に選択され、その際、R、R、R、R基の少なくとも1種は−(C−C20)−ヘテロアリール基であり、かつR、R、R、Rが−(C−C12)−アルキル、−(C−C20)−アリール、または(C−C20)−ヘテロアリールである場合、1以上の上記置換基によって独立に置換されていてもよい。
【0037】
ある実施形態において、R、R、R、R基の少なくとも2種は、−(C−C20)−ヘテロアリール基である。
【0038】
ある実施形態において、RおよびR基はそれぞれ、−(C−C20)−ヘテロアリール基であり、かつ1以上の上記置換基によってそれぞれ独立に置換されていてもよい。好適には、RおよびRは、−(C−C12)−アルキル、−(C−C12)−シクロアルキル、−(C−C12)−ヘテロシクロアルキル、−(C−C20)−アリールから、より好適には(C−C12)−アルキル、−(C−C12)−シクロアルキル、−(C−C20)−アリールから、最も好適には(C−C12)−アルキルからそれぞれ独立に選択される。RおよびRは、1以上の上記置換基によって独立に置換されていてもよい。
【0039】
ある実施形態においてR、R、RおよびR基は−(C−C20)−ヘテロアリール基であり、かつ1以上の前記置換基によってそれぞれ独立に置換されていてもよい。
【0040】
ある実施形態において、R、R、RおよびR基がヘテロアリール基である場合、それらは、5〜10個の環原子、好適には5または6個の環原子を有するヘテロアリール基からそれぞれ独立に選択される。
【0041】
ある実施形態において、R、R、RおよびR基がヘテロアリール基である場合、それらは、5個の環原子を有するヘテロアリール基である。
【0042】
ある実施形態において、R、R、RおよびR基がヘテロアリール基である場合、それらは、6〜10個の環原子を有するヘテロアリール基からそれぞれ独立に選択される。
【0043】
ある実施形態において、R、R、RおよびR基がヘテロアリール基である場合、それらは、6個の環原子を有するヘテロアリール基である。
【0044】
ある実施形態において、R、R、RおよびR基がヘテロアリール基である場合、それらは、フリル、チエニル、ピロリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、フラザニル、テトラゾリル、ピリジル、ピリダジニル、ピリミジル、ピラジニル、ベンゾフラニル、インドリル、イソインドリル、ベンゾイミダゾリル、キノリル、イソキノリルから選択され、その際、言及された該ヘテロアリール基は前記の通り置換されていてもよい。
【0045】
ある実施形態において、R、R、RおよびR基がヘテロアリール基である場合、それらは、フリル、チエニル、ピロリル、イミダゾリル、ピリジル、ピリミジル、インドリルから選択され、その際、言及された該ヘテロアリール基は前記の通り置換されていてもよい。
【0046】
ある実施形態において、R、R、RおよびR基がヘテロアリール基である場合、それらは、2−フリル、2−チエニル、2−ピロリル、2−イミダゾリル、2−ピリジル、2−ピリミジル、2−インドリルから選択され、その際、上記ヘテロアリール基は上記の通り置換されていてもよい。
【0047】
ある実施形態において、R、R、RおよびR基がヘテロアリール基である場合、それらは、2−フリル、2−チエニル、N−メチル−2−ピロリル、N−フェニル−2−ピロリル、N−(2−メトキシフェニル)−2−ピロリル、2−ピロリル、N−メチル−2−イミダゾリル、2−イミダゾリル、2−ピリジル、2−ピリミジル、N−フェニル−2−インドリル、2−インドリルから選択され、その際、上記ヘテロアリール基は置換されていない。
【0048】
より好適には、R、R、RおよびR基がヘテロアリール基である場合、それらはピリジル、特に2−ピリジルである。
【0049】
ある実施形態において、RおよびRはピリジル基、好適には2−ピリジルであり、かつRおよびRは−(C−C12)−アルキルであり、その際R、R、RおよびRはそれぞれ、前記の通り置換されていてもよい。
【0050】
ある実施形態において、上記ホスフィンリガンドは式(1):
【0051】
【化4】
【0052】
で表される化合物である。
【0053】
本発明の方法において工程a)で出発物質として用いられる上記第1のアルコールは、2〜30個の炭素原子、好適には3〜22個の炭素原子、より好適には4〜12個の炭素原子を有する。それらは、1級、2級または3級アルコールである。また、上記第1のアルコールは芳香族基を有していてもよい。
工程a)で用いられる上記第1のアルコールは、好適には2級または3級アルコールである。
【0054】
ある実施形態において、工程a)において用いられる上記第1のアルコールは、式(IV):
【0055】
【化5】
【0056】
(式中、 Rは、−(C−C12)−アルキル、−(C−C12)−シクロアルキル、−(C−C20)−アリールから選択され、かつRおよびRは、それぞれ独立に水素原子、−(C−C12)−アルキル、−(C−C12)−シクロアルキル、−(C−C20)−アリールから選択される。)
で表される化合物である。
【0057】
ある好適な実施形態において、Rは−(C−C12)−アルキルである。好適には、Rは、メチル、エチル、n−プロピル、2−プロピル、n−ブチル、2−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、2−ペンチル、3−ペンチル、2−メチルブチル、3−メチルブチル、3−メチル−2−ブテニル(3−methylbut−2−yl)、2−メチル−2−ブテニル(2−methylbut−2−yl)、2,2−ジメチルプロピルから選択される。より好適には、Rはメチルおよびエチルから選択される。最も好適にはRはメチルである。
【0058】
ある好適な実施形態において、RおよびRは、それぞれ独立に水素原子、−(C−C12)−アルキルおよび−(C−C20)−アリールから選択される。好適には、RおよびRは、それぞれ独立に水素原子、メチル、エチル、n−プロピル、2−プロピル、n−ブチル、2−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、2−ペンチル、3−ペンチル、2−メチルブチル、3−メチルブチル、3−メチルブチル、3−メチル−2−ブテニル(3−methylbut−2−yl)、2−メチル−2−ブテニル(2−methylbut−2−yl)、2,2−ジメチルプロピルおよびフェニルから選択される。
【0059】
より好適には、RおよびRは、それぞれ独立に水素原子、メチル、エチル、n−プロピル、2−プロピル、n−ブチル、2−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチルおよびフェニルから選択される。
【0060】
好適には、RおよびR基の1以内の基が水素原子である。
【0061】
ある実施形態において、Rはメチルであり、そしてRおよびRは独立に、水素原子、メチル、tert−ブチルおよびフェニルから選択され、但しRおよびR基の1以内の基が水素原子である。
【0062】
他の実施形態として、Rおよびは、それぞれ独立に、−(C−C12)−アルキルおよび−(C−C20)−アリールから選択される。この場合、好適にはRおよびRは、それぞれ独立に、メチル、エチル、n−プロピル、2−プロピル、n−ブチル、2−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、2−ペンチル、3−ペンチル、2−メチルブチル、3−メチルブチル、3−メチルブチル、3−メチル−2−ブテニル、2−メチル−2−ブテニル、2,2−ジメチルプロピルおよびフェニルから選択される。
【0063】
より好適には、この場合、RおよびRは、それぞれ独立に、メチル、エチル、n−プロピル、2−プロピル、n−ブチル、2−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、およびフェニルから選択される。この実施形態において、特にRはメチルであり、そして、RおよびRはそれぞれ独立に、メチル、tert−ブチル、およびフェニルから選択される。
【0064】
ある好適な実施形態において、該第1のアルコールは、tert−ブタノール、3,3−ジメチルブタン−2−オールおよび1−フェニルエタノールから選択される。
【0065】
本発明に係るアルコキシカルボニル化は、Pd錯体により触媒される。Pd錯体は、Pdおよび上記ホスフィンリガンドを含む予め形成された錯体として工程b)に導入するか、またはPdおよび遊離ホスフィンリガンドを含む化合物からin−situで形成させるかいずれかであってよい。ここで、Pdを含む化合物は触媒前駆体としても表される。
【0066】
上記予め形成された錯体は、金属原子に配位する他のリガンドも含む。例えば、エチレン性不飽和化合物またはアニオンである。好適な追加リガンドは、例えばスチレン、アセテートアニオン、マレイミド(例:N−メチルマレイミド)、1,4−ナフトキノン、トリフルオロアセテートアニオンまたはクロライドアニオンである。
【0067】
上記触媒がin−situで形成される場合、非結合リガンドも反応混合物中に存在するように、当該リガンドが過度に添加され得る。
【0068】
同様に最初に添加される錯体の場合、非結合リガンドも反応混合物中に存在するように、更なるリガンドを添加することも可能である。
【0069】
別の実施形態において、Pdを含有する化合物は、パラジウムクロライド(PdCl)、パラジウム(II)アセチルアセトネート[Pd(acac)]、パラジウム(II)アセテート[Pd(OAc)]、ジクロロ(1,5−シクロオクタジエン)パラジウム(II)[Pd(cod)Cl]、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム[Pd(dba)]、ビス(アセトニトリル)ジクロロパラジウム(II)[Pd(CHCN)Cl]、パラジウム(シンナミル)ジクロライド[Pd(シンナミル)Cl]から選択される。
【0070】
好適には、Pdを含有する該化合物は、PdCl、Pd(acac)またはPd(OAc)である。Pd(acac)が特に好適である。
【0071】
工程c)で使用される第2のアルコールは、分岐鎖状または直鎖状で、環式、脂環式、または一部環式のアルコールであり、特にC−からC30−アルカノールである。モノアルコールまたはポリアルコールを用いることが可能である。
【0072】
好適には、工程c)で使用される第2のアルコールは、好適には1級アルコールである。
【0073】
上記第2のアルコールは、脂肪族アルコールが好適に用いられる。本発明において脂肪族アルコールは、芳香族基を含有しないアルコールを意味し、例えば、アルカノール、アルケノールまたはアルキノールをいう。従って、不飽和非芳香族アルコールも含まれる。
【0074】
工程c)で使用される第2の該アルコールは、好適には1〜30個の炭素原子、より好適には1〜22個の炭素原子、特に好適には1〜12個の炭素原子を有し、モノアルコールまたはポリアルコールでもよい。
【0075】
上記第2のアルコールは、1以上の水酸基に加えて、更なる官能基を含有してよい。好適には、該アルコールは、カルボキシル、チオカルボキシル、スルホ、スルフィニル、カルボン酸無水物、イミド、カルボン酸エステル、スルホン酸エステル、カルバモイル、スルファモイル、シアノ、カルボニル、カルボノチオイル、スルフヒドリル、アミノ、エーテル 、チオエーテル、またはシリル基、および/またはハロゲン置換基から選択される1以上の官能基を更に含有してよい。
【0076】
ある実施形態において、上記第2のアルコールは水酸基以外の官能基を有しない。
【0077】
本発明の方法の他の形態として、工程c)における上記第2のアルコールは、モノアルコール類から選択される。
【0078】
本発明の方法の他の形態として、工程c)における上記第2のアルコールは、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、1−ヘキサノール、シクロヘキサノール、2−エチルヘキサノール、イソノナノール、2−プロピルヘプタノール、フェノール、ベンジルアルコールから選択される。
【0079】
好適な他の実施形態において、工程c)における上記第2のアルコールは、メタノール、エタノール、1−プロパノール、1−ブタノール、1−ペンタノール、1−ヘキサノール、2−プロパノール、tert−ブタノール、3−ペンタノール、シクロヘキサノール、およびこれらの混合物から選択される。
【0080】
本発明の方法の他の形態において、工程c)における上記第2のアルコールは、ポリアルコール類から選択される。
【0081】
本発明の方法の他の形態において、工程c)における上記第2のアルコールは、ジオール類、トリオール類、テトラオール類から選択される。
【0082】
本発明の方法の他の形態において、工程c)における上記第2のアルコールは、シクロヘキサン−1,2−ジオール、エタン−1,2−ジオール、プロパン−1,3−ジオール、グリセロール、ブタン−1,2,4−トリオール、2−ヒドロキシメチルプロパン−1,3−ジオール、1,2,6−トリヒドロキシヘキサン、ペンタエリトリトール、1,1,1−トリ(ヒドロキシメチル)エタン、カテコール、レゾルシノール、およびヒドロキシヒドロキノンから選択される。
【0083】
本発明の方法の他の形態において、工程c)における上記第2のアルコール は、スクロース、フルクトース、マンノース、ソルボース、ガラクトースおよびグルコースから選択される。
【0084】
本発明の方法の好適な形態において、工程c)における上記第2のアルコールは、メタノール、エタノール、1−プロパノール、1−ブタノール、1−ペンタノール、1−ヘキサノールから選択される。
【0085】
本発明の方法の特に好適な他の形態において、工程c)における上記第2のアルコールは、メタノールおよびエタノールから選択される。
【0086】
本発明の方法の特に好適な他の形態において、工程c)における上記第2のアルコールはメタノールである。
【0087】
本発明の方法の他の形態において、工程c)における上記第2のアルコールは過剰に使用される。
【0088】
本発明の方法の他の形態において、工程c)における上記第2のアルコールは、同時に溶媒として使用される。
【0089】
本発明の方法の他の形態において、トルエン、キシレン、テトラヒドロフラン(THF)およびメチレンクロライド(CHCl)から選択された、追加の溶媒が使用される。
【0090】
COは、好適には0.1〜10MPa(1〜100バール)のCO分圧で工程d)に導入される。好適には1〜8MPa(10〜80バール)、より好適には2〜4MPa(20〜40バール)である。
【0091】
本発明の方法の工程e)において、上記アルコールをエステルに転化するため、反応混合物を好適には10℃〜180℃、より好適には20〜160℃、更に好適には40〜120℃の間の温度で加熱する。
【0092】
工程a)に最初に導入された第1のアルコールと工程c)に添加する第2のアルコールのモル比は、好適には1:1〜1:20、より好適には1:2〜1:10、更に好適には1:3〜1:4である。
【0093】
Pdの工程a)に最初に導入された第1のアルコールに対する質量比は、好適には0.001重量%〜0.5重量%、より好適には0.01重量%〜0.1重量%、更に好適には0.01重量%〜0.05重量%である。
【0094】
本発明において、ホスフィンリガンドとPdのモル比は、好適には0.1:1〜400:1、より好適には0.5:1〜400:1、更に好適には1:1〜100:1、最も好適には2:1〜50:1である。
【0095】
本発明の方法は、酸を加えて実施されるのが好適である。従って、他の実施形態において、該方法は付加的に工程c’)、すなわち混合物に酸を添加する工程を含む。これは、好適にはブレンステッド酸又はルイス酸であってよい。
【0096】
好適なブレンステッド酸は、好適には酸強度pK≦5であり、好適には酸強度pK≦3である。上記酸強度pKは、標準状態(25℃、1.01325バール)下で決定されたpKに基づく。多塩基酸の場合、上記酸強度pKは最初のプロトリシスに関係する。
【0097】
好適には、上記酸はカルボン酸でない。
【0098】
好適なブレンステッド酸の例としては、過塩素酸、硫酸、リン酸、メチルホスホン酸、およびスルホン酸である。好適には、硫酸またはスルホン酸である。好適なスルホン酸の例は、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、tert−ブタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸(PTSA)、2−ヒドロキシプロパン−2−スルホン酸、2,4,6−トリメチルベンゼンスルホン酸またはドデシルスルホン酸である。特に、硫酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸またはp−トルエンスルホン酸が好適である。
【0099】
ルイス酸は、例えばアルミニウムトリフレートであってよい。
【0100】
ある形態において、工程c’)で添加する酸の量は、工程a)において用いられる第1のアルコールのモル量に対し、0.3〜40モル%、好適には0.4〜15モル%、より好適には0.5〜5モル%、最も好適には0.6〜4モル%である。
【0101】
また、本発明で得られる反応混合物には、モレキュラーシーブを添加することもできる。場合によって、この手段は、エステルの収率を増加する。例えば、ゼオライトを含有するか、または炭素を含有するモレキュラーシーブがこの目的に適しており、ゼオライトを含有するモレキュラーシーブが好適である。該モレキュラーシーブの孔径としては、1〜10Åの範囲が好適であり、より好適には2〜6Åの範囲、最も好適には3〜5Åの範囲である。
【実施例】
【0102】
以下、実施例により本発明を説明する。
【0103】
基本手順
以下の全調製は、標準的なシュレンク技術を使用し、保護ガス下で行われた。使用前に溶媒を好適な脱水剤で乾燥させた(Purification of Laboratory Chemicals, W.L.F.Armarego(著者),Christina Chai(著者),Butterworth Heinemann(Elsevier),第6編,オックスフォード 2009)。
【0104】
使用前に三塩化リン(アルドリッチ社製)をアルゴン下で蒸留した。全ての予備工程をベークアウトされた容器内で行った。NMRスペクトル法を用いて製品の特徴を示した。化学シフト(δ)をppmで報告する。
31P NMRシグナル を以下のように参照した:SR31P=SR1H(BF31P/BF1H)=SR1H0.4048(Robin K. Harris, Edwin D. Becker, Sonia M. Cabral de Menezez, Robin Goodfellow, および Pierre Granger, Pure Appl. Chem., 2001, 73, 1795〜1818;Robin K. Harris, Edwin D. Becker, Sonia M. Cabral de Menezez, Pierre Granger, Roy E. Hoffman および Kurt W. Zilm, Pure Appl. Chem., 2008, 80, 59〜84)。
【0105】
Bruker Avance 300またはBruker Avance 400を用いて核磁気共鳴スペクトルの記録を、Agilent GC 7890Aを用いてガスクロマトグラフィー分析を、Leco TruSpec CHNSを用いて元素分析を、かつThermo Electron Finnigan MAT 95−XPとAgilent 6890 N/5973器具を用いてESI−TOF質量分析法を行った。
【0106】
クロロ−2−ピリジル−tert−ブチルホスフィン(前駆体A)の調製
イソプロピルマグネシウムクロライドを用いて、ノッシェル法により、クロロ−2−ピリジル−t−ブチルホスフィンの合成のためのグリニャールを調製した(Angew. Chem. 2004, 43,2222〜2226)。Budzelaar法(Organometallics 1990, 9, 1222〜1227)に従い、ワークアップを行った。
【0107】
【化6】
【0108】
マグネチック撹拌子とセプタムを用いて、1.3Mイソプロピルマグネシウムクロライド溶液8.07ml(ノッシェル試剤)を50ml丸底フラスコに導入し、−15℃まで冷却する。その後、2−ブロモピリジン953.5μl(10mmol)を素早く滴下する。該溶液はすぐに黄色に変化した。−10℃まで温めてよい。反応の転化率は以下の通り測定した:
溶液100μlをとり、飽和アンモニウムクロライド溶液1mlへ導入した。溶液が泡立つ場合、グリニャールがまだ十分に形成されていない。水溶液を、ピペット1回分のエーテルを加えて抽出し、有機相をNaSOで乾燥した。エーテル溶液のGCを記録した。2−ブロモピリジンと比較し、大量のピリジンが形成された場合、転化率は高かった。−10℃では転化率は低かった。上記反応溶液を室温(room temperature)まで温め、1〜2時間攪拌すると、該反応溶液は黄褐色になった。GC試験は、完全な転化を示していた。シリンジポンプを用いて、事前に−15℃まで冷却しておいたTHF10ml中で、グリニャール溶液を、ジクロロ−tert−ブチルホスフィン溶液1.748g(11mmol)にゆっくりと滴下することができた。ジクロロ−tert−ブチルホスフィン溶液を冷却する点が重要である。室温では、相当量のジピリジル−tert−ブチルホスフィンが得られた。最初に透明で黄色い溶液が形成され、その後、濁った溶液になった。該混合物を室温まで温め、一晩攪拌した。GC−MSによると、大量の生成物が形成された。高真空下で該溶媒を除去し、所々褐色の白色固体が得られた。ヘプタン20mlを用いて、該固体を懸濁させ、超音波洗浄機で粉砕した。白色固体を沈殿させた後、該溶液をデカントした。毎回10〜20mlのヘプタンを用いて、この操作を2回繰り返した。高真空下でヘプタン溶液を濃縮した後、減圧下で蒸発させた。生成物の蒸発は、4.6ミリバール、オイルバス120℃および蒸発温度98℃で行い得る。無色油1.08gが得られた(50%)。
【0109】
分析データ:
H NMR(300MHz,C):δ8.36(m,1H,Py),7.67(m,1H,Py),7.03−6.93(m,1H,Py),6.55−6.46(m,1H,Py),1.07(d,J=13.3Hz,9H,t−Bu)
13C NMR(75MHz,C):δ162.9,162.6,148.8,135.5,125.8,125.7,122.8,35.3,34.8,25.9および25.8
31P NMR(121MHz,C)δ97.9
MS(EI)m:z(相対強度)201(M,2),147(32),145(100),109(17),78(8),57.1(17)
【0110】
リガンド1(α,α’−ビス(2−ピリジル(t−ブチル)ホスフィンノ)o−キシレン)の調製
【0111】
【化7】
【0112】
グローブボックス内で、マグネシウム粉末675mg(27.8mmol、4eq)を、窒素タップとマグネチック撹拌子を備えた250ml容量の丸底フラスコに量り入れ、該フラスコをセプタム(septum)で封じた。丸底フラスコを高真空状態(約5×10−2ミリバール)にし、45分間90℃で加熱した。室温まで冷却した後、ヨウ素2粒を添加し、該混合物をTHF20mlに溶解させた。ヨウ素の黄色味が消えるまで、該懸濁液を約10分間攪拌した。マグネシウム粉末が沈殿した後、濁ったTHF溶液をデカントし、活性化したマグネシウム粉末をTHF1〜2mlで2回洗浄した。次いで、新たなTHF20mlを添加した。室温で、α,α’−ジクロロ−o−キシレン1.21g(6.9mmol)が溶解した70mlTHF溶液をシリンジポンプでゆっくりと滴下した。上記THF溶液は、次第に暗い色になった。翌日、転化していないマグネシウム粉末を除去するため、THF懸濁液を濾過し、グリニャール化合物の含有量を以下のようにして測定した。
【0113】
NHCl飽和水溶液中で、グリニャール溶液1mlを急冷(クエンチ)し、エーテルで抽出した。NaSOで乾燥させた後、エーテル溶液のGCを記録した。定性的には、o−キシレンのみが形成されたことが観察された。
【0114】
グリニャール溶液の含有量の定量法:
0.1MのHCl(2ml)を用いてグリニャール溶液1mlをクエンチし、0.1MのNaOHで過剰酸を滴定した。好適な指示薬は、0.04%のブロモクレゾール水溶液であった。色味は、黄色から青色に変化した。0.1MのNaOH 0.74mlを消費した。2ml〜0.74ml=1.26mlは、グリニャール化合物0.126mmolに相当する。ジグリニャールが存在するため、グリニャール溶液は0.063Mであった。これは、90%を超える収率であった。
【0115】
還流冷却器とマグネチック撹拌子を備えた250ml容量の三口フラスコ内で、アルゴン下で、クロロホスフィン(2−Py(tBu)PCl)1.8g(8.66mmol)をTHF10mlに溶解させ、−60℃まで冷却した。次いで、シリンジポンプを使用し、前記規定のグリニャール溶液(0.063M、3.46mmol)55mlをこの温度でゆっくりと滴下した。初め、該溶液は透明であり、その後濃い黄色に変化した。1.5時間経過後、該溶液は濁った色になった。該混合物を室温で一晩温め、透明な黄色の溶液を得た。完全に反応させるため、該混合物を還流下で1時間加熱した。冷却後、HO(1ml)を添加すると、該溶液は色味を失い、乳白色になった。高真空下でTHFを除去した後、繊維質の淡黄色の固形物質を得た。水10mlとエーテル10mlをそこに添加し、良好な分離性を有する2つの同質な透明相を得た。水相をエーテルで2回抽出した。有機相をNaSOで乾燥させた後、高真空下でエーテルを除去し、繊維質のほぼ無色の固形物質を得た。当該固形物質をウォーターバスで加熱しながら、MeOH 5mlに溶解させ、セライトで濾過した。−28℃で、白い結晶の形をした生成物772mgが一晩で得られた(51%)。濃縮後、母液から新たに100mg分離することができた。総収率は57.6%であった。
【0116】
H NMR(300MHz,C):δ8.58(m,2H,Py),7.31−7.30(m,2H,ベンゼン),7.30−7.22(m,2H,Py),6.85−6.77(m,2H,Py),6.73(m,2H,ベンゼン),6.57−6.50(m,2H,py),4.33(dd,J=13.3および4.3Hz,2H,CH),3.72−3.62(m,2H,CH),121(d,J=11.8Hz,18H, tBu),
13C NMR(75MHz,C):δ161.3,161.1,149.6,137.8,137.7,134.5,133.3,132.7,131.4,131.3,125.7,122.9,30.7,30.5,28.2,28.0,26.5, 26.4,26.2および26.1
31P NMR(121MHz,C)δ8.8,C2634に関するEA; C:71.54、H:7.85、N:6.56、P:14.35、実測値;C:71.21、H:7.55、N:6.56、P:14.35
【0117】
比較リガンド
以下の実験例において用いられた比較リガンドは、1,2−ビス (ジ−tert−ブチルホスフィノメチル)ベンゼン(DTMBM,リガンド3)である。
【0118】
【化8】
【0119】
tert−ブタノールのメトキシカルボニル化
【0120】
【化9】
【0121】
1)リガンド非存在(比較例)
アルゴン下で、4ml容量のガラス反応容器(バイアル)に、Pd(acac)(3.1mg、0.5mol%)、PTSA(28.5mg、7.5mol%)およびマグネチック撹拌子を充填した。次に、アルゴン下、MeOH(2ml)およびtert−ブタノール(0.2ml,2mmol)を加える。このバイアルをこの目的のために用意された金属板に置き、次いでバイアルと共にこのプレートを300ml容量のParr社製オートクレーブに導入した。COでオートクレーブを3回パージし、CO圧を室温で50バールに調節する。120℃で20時間マグネチック撹拌子で反応を行った。室温まで冷却した後、オートクレーブを慎重に減圧した。イソオクタン(200μl)を内部標準として、GC分析により、収率を測定した(メチル 3−メチルブタノエートの収率:0%)
【0122】
2)リガンド3(比較例)
アルゴン下で、4ml容量のガラス反応容器(バイアル)にPd(acac)(3.1mg、0.5mol%)、リガンド3(15.8mg、2mol%)、PTSA(28.5mg、7.5mol%)およびマグネチック撹拌子を充填した。次に、アルゴン下、MeOH(2ml)およびtert−ブタノール(0.2ml,2mmol)を加えた。このバイアルをこの目的のために用意された金属板に置き、次いでバイアルと共にこのプレートを300ml容量のParr社製オートクレーブに導入した。COでオートクレーブを3回パージし、次いでCO圧を室温で50バールに調節した。120℃で20時間マグネチック撹拌子で反応させた。室温まで冷却した後、オートクレーブを慎重に減圧した。イソオクタン(200μl)を内部標準として、GC分析により、収率を測定した(メチル 3−メチルブタノエートの収率:0%)
【0123】
3)リガンド1
アルゴン下で、4ml容量のガラス反応容器(バイアル)にPd(acac)(3.1mg、0.5mol%)、リガンド1(17.5mg、2mol%)、PTSA(28.5mg、7.5mol%)、およびマグネチック撹拌子を充填した。次に、アルゴン下、MeOH(2ml)およびtert−ブタノール(0.2ml,2mmol)を加えた。このバイアルをこの目的のために用意された金属板に置き、次いでバイアルと共にこのプレートを300ml容量のParr社製オートクレーブに導入した。COでオートクレーブを3回パージした後、CO圧を室温で50バールに調節した。120℃で20時間マグネチック撹拌子で反応を行う。室温まで冷却した後、オートクレーブを慎重に減圧した。イソオクタン(200μl)を内部標準として、GC分析により、収率を測定した(メチル 3−メチルブタノエートの収率:99%)。
【0124】
上記結果を以下の表にまとめる。
【0125】
【表1】
【0126】
1−フェニルエタノールのメトキシカルボニル化
アルゴン下で、4ml容量のガラス反応容器(バイアル)にPd(acac)(3.1mg、0.5mol%)、PTSA(28.5mg、7.5mol%)、リガンド1(8.7mg、1mol%)、マグネチック撹拌子を充填する。次に、アルゴン下、MeOH(2ml)および1−フェニルエタノール 2mmolを加えた。このバイアルをこの目的のために用意された金属板に置き、次いでバイアルと共にこのプレートを300ml容量のParr社製オートクレーブに導入した。COでオートクレーブを3回パージした後、CO圧を室温で50バールに調節した。120℃で20時間マグネチック撹拌子を用いて反応を行った。室温まで冷却した後、オートクレーブを慎重に減圧した。得られた生成物は、メチル 3−フェニルプロパノエート(n生成物)およびメチル 2−フェニルプロパノエート(iso 生成物)の混合物であった。イソオクタン(200μl)を内部標準として、GC分析により、収率を測定した(総収率40%、n/iso比 70/30)。
【0127】
3,3−ジメチルブタン−2−オールのメトキシカルボニル化
【0128】
【化10】
【0129】
実験例1:リガンド3
アルゴン下で、4ml容量のガラス反応容器(バイアル)にPd(acac)(3.1mg、0.5mol%)、リガンド3(15.8mg、2mol%)、CFSOOH(48.0 mg、16 mol%)およびマグネチック撹拌子を充填した。次に、アルゴン下、トルエン(2ml)および3,3−ジメチルブタン−2−オール(0.25ml、2mmol)を加えた。このバイアルをこの目的のために用意された金属板に置き、次いでバイアルと共にこのプレートを300ml容量のParr社製オートクレーブに導入した。COでオートクレーブを3回パージした後、CO圧を室温で50バールに調節した。120℃で20時間マグネチック撹拌子で反応を行う。室温まで冷却した後、オートクレーブを慎重に減圧する。イソオクタン(200μl)を内部標準として、GC分析により、収率を測定した(収率0%)。
【0130】
実験例2:4Åモレキュラーシーブ共存下におけるリガンド3
アルゴン下で、4ml容量のガラス反応容器(バイアル)にPd(acac)(3.1mg、0.5mol%)、リガンド3(15.8mg、2mol%)、CFSOOH(48.0 mg、16 mol%)、4Åゼオライトモレキュラーシーブ(4ÅMS)、およびマグネチック撹拌子を充填した。次に、アルゴン下、トルエン(2ml)および3,3−ジメチルブタン−2−オール(0.25ml、2mmol)を加えた。このバイアルをこの目的のために用意された金属板に置き、次いでバイアルと共にこのプレートを300ml容量のParr社製オートクレーブに導入した。COでオートクレーブを3回パージした後、CO圧を室温で50バールに調節した。120℃で20時間マグネチック撹拌子で反応を行った。室温まで冷却した後、オートクレーブを慎重に減圧した。イソオクタン(200μl)を内部標準として、GC分析により、収率を測定した(収率0%)。
【0131】
実験例3:リガンド1
アルゴン下で、4ml容量のガラス反応容器(バイアル)にPd(acac)(3.1mg、0.5mol%)、リガンド1(17.5mg、2mol%)、CFSOOH(48.0 mg、16 mol%)、およびマグネチック撹拌子を充填した。次に、アルゴン下、トルエン(2ml)および3,3−ジメチルブタン−2−オール(0.25ml、2mmol)を加えた。このバイアルをこの目的のために用意された金属板に置き、次いでバイアルと共にこのプレートを300ml容量のParr社製オートクレーブに導入した。COでオートクレーブを3回パージした後、CO圧を室温で50バールに調節した。120℃で20時間マグネチック撹拌子で反応を行った。室温まで冷却した後、オートクレーブを慎重に減圧した。イソオクタン(200μl)を内部標準として、GC分析により、収率を測定した(収率10%)。
【0132】
実験例4:4Åモレキュラーシーブ共存におけるリガンド1
アルゴン下で、4ml容量のガラス反応容器(バイアル)にPd(acac)(3.1mg、0.5mol%)、リガンド1(17.5mg、2mol%)、CFSOOH(48.0 mg、16 mol%)、4Åゼオライトモレキュラーシーブ(20mg)およびマグネチック撹拌子を充填した。次に、アルゴン下、トルエン(2ml)および3,3−ジメチルブタン−2−オール(0.25ml、2mmol)を加えた。このバイアルをこの目的のために用意された金属板に置き、次いでバイアルと共にこのプレートを300ml容量のParr社製オートクレーブに導入した。COでオートクレーブを3回パージした後、CO圧を室温で50バールに調節した。120℃で20時間マグネチック撹拌子で反応を行った。室温まで冷却した後、オートクレーブを慎重に減圧した。イソオクタン(200μl)を内部標準として、GC分析により、収率を測定した(収率20%)。
【0133】
上記結果を以下の表にまとめる。
【0134】
【表2】
【0135】
上記実験例より、本発明に規定するリガンドを用いた本発明の方法により、COとのアルコキシカルボニル化反応の基質や更にエステル形成のためのアルコールとして、構造的に異なるアルコール群を反応させ得ることを示している。これに反し、従来技術により知られているリガンドは、アルコキシカルボニル化反応におけるアルコールの反応には適さないことを示している。