(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6495405
(24)【登録日】2019年3月15日
(45)【発行日】2019年4月3日
(54)【発明の名称】ロボット装置
(51)【国際特許分類】
A63H 11/00 20060101AFI20190325BHJP
A63H 5/00 20060101ALI20190325BHJP
A63H 29/00 20060101ALI20190325BHJP
【FI】
A63H11/00 Z
A63H5/00 C
A63H29/00 E
【請求項の数】21
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-192156(P2017-192156)
(22)【出願日】2017年9月29日
【審査請求日】2018年2月26日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000135748
【氏名又は名称】株式会社バンダイ
(74)【代理人】
【識別番号】100076428
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康徳
(74)【代理人】
【識別番号】100115071
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康弘
(74)【代理人】
【識別番号】100112508
【弁理士】
【氏名又は名称】高柳 司郎
(74)【代理人】
【識別番号】100116894
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 秀二
(74)【代理人】
【識別番号】100130409
【弁理士】
【氏名又は名称】下山 治
(72)【発明者】
【氏名】大江 雅之
(72)【発明者】
【氏名】柳 康仁
(72)【発明者】
【氏名】豊田 淳
(72)【発明者】
【氏名】大友 健司
【審査官】
前地 純一郎
(56)【参考文献】
【文献】
特開2002−264051(JP,A)
【文献】
特開2003−305671(JP,A)
【文献】
特開2004−184788(JP,A)
【文献】
特開2005−279174(JP,A)
【文献】
特開2011−152910(JP,A)
【文献】
特開2009−297263(JP,A)
【文献】
実開平05−093497(JP,U)
【文献】
米国特許第07726422(US,B2)
【文献】
米国特許第04501569(US,A)
【文献】
平野 哲郎 外2名,転がり拘束を利用した立方体移動ロボットの開発,ロボティクス・メカトロニクス 講演会2014 講演論文集,一般社団法人 日本機械学会,2014年 5月24日,1P1-N04(1)〜(2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63H 1/00−37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロボット装置であって、
本体と、
前記本体内において動作可能に設けられた第1の動作体及び第2の動作体と、
前記第1の動作体及び前記第2の動作体の動作を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記第1の動作体を第1の方向に動作させるよう制御可能であると共に、前記第2の動作体を第1の方向とは異なる第2の方向に動作させるよう制御可能であり、
前記第1の動作体は、第1の錘部、及び、前記第1の錘部を支持する第1のアーム部を含み、前記第2の動作体は、第2の錘部、及び、前記第2の錘部を支持する第2のアーム部を含み、
前記第1の動作体と前記第2の動作体とは、前記第1のアーム部と前記第2のアーム部とが前記本体内において交差するように設けられ、
前記本体は、第1の外殻体、及び、接地面と接地可能な第2の外殻体により球体形状を成し、
前記第1のアーム部、又は前記第2のアーム部の回動により、前記第1の外殻体及び第2の外殻体の少なくとも何れかの外表面に沿って揺動可能に構成され、
前記第1の外殻体を前記第2の外殻体に対し回転させるための第3の動力を供給する第3の動力供給部を更に備えるロボット装置。
【請求項2】
前記第1の動作体は、前記第1の方向とは反対の方向である第3の方向に更に動作可能であり、
前記第2の動作体は、前記第2の方向とは反対の方向である第4の方向に更に動作可能である
請求項1に記載のロボット装置。
【請求項3】
前記第1の動作体は、前記第1の方向に第1の角度内で動作可能であり、
前記第2の動作体は、前記第2の方向に前記第1の角度内で動作可能である請求項1または2に記載のロボット装置。
【請求項4】
前記第1の動作体は、複数の前記第1の錘部を含み、
前記第1のアーム部に対し、垂下した状態で、前記第1のアーム部の一方の端部近傍と、前記第1のアーム部の他方の端部近傍とにそれぞれ少なくとも1つの第1の錘部が設けられ、
前記第2の動作体は、複数の前記第2の錘部を含み、
前記第2のアーム部に対し、垂下した状態で、前記第2のアーム部の一方の端部近傍と、前記第2のアーム部の他方の端部近傍とにそれぞれ少なくとも1つの第2の錘部が設けられている請求項1から3のいずれか1項に記載のロボット装置。
【請求項5】
前記本体内において、前記第1のアーム部は前記第2のアーム部よりも上側で交差する請求項1から4のいずれか1項に記載のロボット装置。
【請求項6】
前記第1の錘部と前記第2の錘部とは、前記本体内において、前記本体の接地面に対し、同一の高さ位置に設けられる請求項1から5のいずれか1項に記載のロボット装置。
【請求項7】
前記第1のアーム部と前記第2のアーム部とは、前記本体の内側に揺動可能に設けられている請求項1から6のいずれか1項に記載のロボット装置。
【請求項8】
前記第1の動作体に第1の動力を供給する第1の動力供給部と、
前記第2の動作体に第2の動力を供給する第2の動力供給部と
を更に備え、
前記第1の動作体は、前記第1の動力供給部と前記第1のアーム部とを接続する第1の接続部を更に含み、
前記第2の動作体は、前記第2の動力供給部と前記第2のアーム部とを接続する第2の接続部を更に含む
請求項1から7のいずれか1項に記載のロボット装置。
【請求項9】
前記第1のアーム部は、前記第1の接続部を介して前記第1の動力供給部より供給される前記第1の動力により揺動可能に構成され、
前記第2のアーム部は、前記第2の接続部を介して前記第2の動力供給部より供給される前記第2の動力により揺動可能に構成される
請求項8に記載のロボット装置。
【請求項10】
前記制御部は、
前記第1の動力供給部と前記第2の動力供給部とを制御することにより、前記第1の動作体及び前記第2の動作体の動作を制御し、
前記第1の動力供給部を制御して前記第1の動作体を動作させている間は、前記第2の動作体を動作させないように前記第2の動力供給部を制御し、
前記第2の動力供給部を制御して前記第2の動作体を動作させている間は、前記第1の動作体を動作させないように前記第1の動力供給部を制御する
請求項8又は9に記載のロボット装置。
【請求項11】
前記本体は、前記第1の動作体、又は前記第2の動作体の動作により揺動可能に構成され、
前記制御部は、前記本体の揺動動作中において、前記第1の動作体、又は前記第2の動作体を前記本体の揺動動作とは逆位相で動作させるように制御する請求項1から10のいずれか1項に記載のロボット装置。
【請求項12】
前記制御部は、前記本体の揺動動作中において、前記第1の動作体、又は前記第2の動作体を前記本体の揺動動作とは逆位相で動作させることで、当該逆位相で動作させない場合と比べて、前記本体の揺動が停止するまでの時間が短くなるように制御する請求項11に記載のロボット装置。
【請求項13】
前記第1の外殻体の外表面の曲率半径と第2の外殻体の外表面の曲率半径とは異なる請求項1から12のいずれか1項に記載のロボット装置。
【請求項14】
前記第1の動作体、又は、前記第2の動作体の動作により、前記第2の外殻体の少なくとも一部が前記接地面に接地し、かつ、前記第1の外殻体が前記接地面に接地していない第1の動作状態から、前記第1の外殻体と前記第2の外殻体との少なくとも一部が前記接地面に接地する第2の動作状態へ遷移するように構成されている請求項1から13のいずれか1項に記載のロボット装置。
【請求項15】
前記第2の外殻体の外表面の少なくとも一部は、前記接地面に対する滑りを低減する部材により構成されている請求項1から14のいずれか1項に記載のロボット装置。
【請求項16】
前記本体内において、前記第2の外殻体の近傍に第3の錘部を更に備える請求項1から15のいずれか1項に記載のロボット装置。
【請求項17】
前記制御部は、前記第1の動作体又は前記第2の動作体を動作させている場合に、前記第1の外殻体を前記第2の外殻体に対して回転させないように前記第3の動力供給部を制御する請求項1から16のいずれか1項に記載のロボット装置。
【請求項18】
音入力を検知する音検知部を更に備え、
前記制御部は、
前記音検知部により検出された音から、該音の発生源の方向を判定する、
請求項1から17のいずれか1項に記載のロボット装置。
【請求項19】
前記第1の外殻体には、顔部が形成されている請求項1から18のいずれか1項に記載のロボット装置。
【請求項20】
前記第1の外殻体は、発光部を備え、
前記第1の外殻体は、一方の外殻体と他方の外殻体とが分割可能に接合され、
前記発光部は、前記一方の外殻体と他方の外殻体とを接合する接合部、又は前記一方の外殻体と他方の外殻体とに形成される間隙を介して視認可能となるように発光する請求項1から19のいずれか1項に記載のロボット装置。
【請求項21】
音出力部と、
音入力を検知する音検知部と
を更に備え、
前記制御部は、前記音検知部が検知した音に応じた音を出力するように前記音出力部を制御する請求項1から20のいずれか1項に記載のロボット装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボット装置に関する。
【背景技術】
【0002】
球体の形状を有するロボット装置として、特許文献1に記載されるものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−046387号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、従来技術と比較して、より興趣性のある動きを呈することが可能なロボット装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願発明は、ロボット装置であって、
本体と、
前記本体内において動作可能に設けられた第1の動作体及び第2の動作体と、
前記第1の動作体及び前記第2の動作体の動作を制御する制御部と、
を
備え、
前記制御部は、前記第1の動作体を第1の方向に動作させるよう制御可能であると共に、前記第2の動作体を第1の方向とは異なる第2の方向に動作させるよう制御可能であ
り、
前記第1の動作体は、第1の錘部、及び、前記第1の錘部を支持する第1のアーム部を含み、前記第2の動作体は、第2の錘部、及び、前記第2の錘部を支持する第2のアーム部を含み、
前記第1の動作体と前記第2の動作体とは、前記第1のアーム部と前記第2のアーム部とが前記本体内において交差するように設けられ、
前記本体は、第1の外殻体、及び、接地面と接地可能な第2の外殻体により球体形状を成し、
前記第1のアーム部、又は前記第2のアーム部の回動により、前記第1の外殻体及び第2の外殻体の少なくとも何れかの外表面に沿って揺動可能に構成され、
前記第1の外殻体を前記第2の外殻体に対し回転させるための第3の動力を供給する第3の動力供給部を更に備える。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、より興趣性のある動きを呈するロボット装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】発明の実施形態に対応するロボット装置100の外観の一例を示す図。
【
図2】発明の実施形態に対応するロボット装置100の内部構造の一例を示す図。
【
図3】発明の実施形態に対応するロボット装置100内の動作体の構成例を示す図。
【
図4】発明の実施形態に対応するロボット装置100の内部構造の一例を示す断面図。
【
図5】発明の実施形態に対応するロボット装置100内の動作体の回動に応じたロボット装置100の動作を説明するための図。
【
図6】発明の実施形態に対応するロボット装置100の内部構造の他の一例を示す図。
【
図7】発明の実施形態に対応するロボット装置100のハードウエア構成の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、発明の例示的な実施形態について、添付の図面を参照して説明する。なお、各図において、同じ参照符号は、同じ要素を示している。
【0009】
図1は、本願発明に係るロボット装置の一つの実施形態を示す全体図である。ロボット装置100は球状形状を有する装置として構成され、その外殻は、球状上部本体101と球状下部本体111とからなる第1の外殻体と、地面(接地面)と接地する第2の外殻体121とで構成される。本実施形態において、ロボット装置100は第1の外殻体の球状下部本体111と第2の外殻体121との外表面に沿って所定方向に揺動可能に構成されると共に、外殻体121を中心として旋回動作可能に構成されている。
【0010】
球状上部本体101には、2つの蓋部材102が取り付けられている。それぞれの蓋部材102は、球状上部本体101に対して開閉可能に取り付けられており、閉じられた状態において球状上部本体101とともに球状面を形成する。また、蓋部材102には、球状上部本体101内において不図示の錘部がアームを介して接続されている。この構成により、ロボット装置100の揺動中において、錘部の揺動により蓋部材102が、球状上部本体101との接続部分を中心として矢印106で示す方向に上下に動作する。さらに、各蓋部材102の内側には、手型部材103が収容されている。手形部材103は、不図示の腕部材と接続されて球状上部本体101から腕のように突出させることができる。開口104はロボット装置100の眼に相当し、例えばLED等の発光素子が埋め込まれている。接合部105は、球状上部本体101と球状下部本体111との接合部分であって、LED等の発光素子が埋め込まれている。
【0011】
ロボット装置100の本体は、接合部105により、球状上部本体101と球状下部本体111とに分割される。ロボット装置100のユーザは、このような蓋部材102、開口104及び接合部105をロボット装置100の顔部を形成する耳、眼、口として捉えることで、ロボット装置100に対する愛着をより一層ユーザに感じさせることができる。なお、接合部105を透明又は半透明の別部材とし、球状上部本体101と球状下部本体111に取り付けられるようにしてもよい。また、球状上部本体101と球状下部本体111に間隙が形成されるようにしてもよい。さらに、接合部分は、波状に形成されているので、球状上部本体101と球状下部本体111との接合に際し、異なる向きでの接合を抑制することができる。
【0012】
球状下部本体111には、2つの蓋部材112が取り付けられている。それぞれの蓋部材112は、球状下部本体111に対して着脱可能に取り付けられており、装着された状態において球状下部本体111とともに球状面を形成する。また、各蓋部材112の内側は不図示の脚部材と接続されて、蓋部材112を球状下部本体111から脚のように突出させることができる。球状下部本体111から突出した蓋部材112は、ロボット装置100の接地面と接触することができる。なお、本実施形態において、ロボット装置100の向きは、
図1の下側に示すように眼104のある側を正面(前側)として、前後、左右、上下が特定される。
【0013】
次に、ロボット装置100の内部機構について、
図2から
図4を参照して説明する。
図2は、本実施形態に対応するロボット装置100の内部構造の一例を示す図である。
図3は、
図2に示す内部機構から、球状下部本体111を除外して、ロボット装置100内の動作体の構成例を示す図である。
図4は、ロボット装置100の内部構造を示す断面図である。
図4は、
図1のA−A断面図である。但し、簡単のため蓋部材102は閉じている。
【0014】
ロボット装置100内には、球体をロボット装置100の正面に対して前後方向(ピッチ軸)と左右方向(ロール軸)とに揺動動作させる機構が設けられている。当該機構は、球状下部本体111において互いに交差するように配置されている。交差角度としては、予め定めた所定値(例えば、90度)とすることができる。
【0015】
まず、前後方向に揺動動作させるための機構は、アーム部材201、動力供給部202、軸受部203、カウンターウェイト204を含む。アーム部材201は、動力供給部202から伝達される動力に従って、一定角度範囲において所定の回動軸を中心に回動する動作体である。動力供給部202はモータを含み、アーム部材201を回動させることができる。軸受部203は、アーム部材201の回動軸を支持して、アーム部材201の回動を可能とするとともに、球状下部本体111に対してアーム部材201を位置決めする役割を有する。軸受部203は、球状下部本体111の輪郭を前後方向に実質的に等分する位置であって、ロボット装置100の内部周面に配置される。アーム部材201は、動力供給部202及び一方の軸受部203と接続する接続部、及び他方の軸受部203と接続する接続部と、該接続部を繋いでアーム部材201として一体化するためのアーム部とで構成されている。
【0016】
カウンターウェイト204は、アーム部材201の軸受部203の近傍の位置、或いは、アーム部材201の端部近傍において、下方に延びる支持部材205によりにより垂下した状態で保持される錘部である。本実施形態では、1つのアーム部材201に対して2つのカウンターウェイト204が提供されるが、カウンターウェイトの数は2つに限定されず、2つよりも多くても良いし1つでも良い。ただし、カウンターウェイトの数を1つとする場合は、他のアーム部材211に対して提供されるカウンターウェイトの位置との関係から配置位置が決定される。カウンターウェイト204は、それが最も下側の位置で静止している状態において、ロボット装置100が転がらず、かつ、傾かずに静止するように、アーム部材201に対して配置される。
【0017】
このようにカウンターウェイト204をアーム部材201から支持部材205を介して配置することにより、アーム部材201の回動により、ロボット装置100の重心位置を簡単に変更して、ロボット装置100の前後方向の揺動動作を実現することができる。より詳細には
図5を参照して説明する。
【0018】
同様にして、左右方向に揺動動作させるための機構は、アーム部材211、動力供給部212、軸受部213、カウンターウェイト214を含む。アーム部材211は、動力供給部212から伝達される動力に従って、一定角度範囲において所定の回動軸を中心に回動する動作体である。動力供給部212はモータを含み、アーム部材を回動させることができる。軸受部213は、アーム部材211の回動軸を支持して、アーム部材211の回動を可能とするとともに、球状下部本体111に対してアーム部材211を位置決めする役割を有する。軸受部213は、球状下部本体111の輪郭を前後方向に実質的に等分する位置であって、ロボット装置100の内周面に配置される。アーム部材211は、動力供給部212及び一方の軸受部213と接続する接続部、及び他方の軸受部213と接続する接続部と、該接続部を繋いでアーム部材211として一体化するためのアーム部とで構成されている。
【0019】
カウンターウェイト214は、アーム部材211の軸受部213の近傍の位置、或いは、アーム部材201の端部近傍において、下方に延びる支持部材215により垂下した状態で保持される錘部である。本実施形態では、1つのアーム部材211に対して2つのカウンターウェイト214が提供されるが、カウンターウェイトの数は2つに限定されず、2つよりも多くても良いし1つでも良い。ただし、カウンターウェイトの数を1つとする場合は、他のアーム部材201に対して提供されるカウンターウェイトの位置との関係から配置位置が決定される。カウンターウェイト214も、それが最も下側の位置で静止している状態において、ロボット装置100が転がらず、かつ、傾かずに静止するように、アーム部材211に対して配置される。
【0020】
このようにカウンターウェイト214をアーム部材211から支持部材215を介して配置することにより、アーム部材211の回動により、ロボット装置100の重心位置を簡単に変更して、ロボット装置100の左右方向の揺動動作を実現することができる。より詳細には
図5を参照して説明する。
【0021】
アーム部材201及び211とは、軸受部203及び213に沿って下方向に延びている第1の部分(接続部)と、当該第1の部分を接続する水平方向に延びている第2の部分(アーム部)とから構成される。ここで、
図4で一点鎖線401で示すように、軸受部203及び213は球状下部本体111に対して上下方向において実質的に同じ高さに配置される。よって、アーム部材201を駆動する際の駆動軸の位置と、アーム部材211を駆動する際の駆動軸の位置と同じ高さになる。そこで、アーム部材201と211とが接触しないように、アーム部材201の第1の部分と、アーム部材211の第1の部分とで長さを異ならせている。本実施形態では、アーム部材211の方が第1の部分の長さが長くなっている。その分、アーム部材201は支持部材205の長さを長くし、アーム部材211は支持部材215を短くする。これにより、一点鎖線402で示すようにカウンターウェイト204とカウンターウェイト214との位置を同じくしている。
【0022】
このように、アーム部材201と211とをそれぞれ回動させる回動軸401からカウンターウェイトの位置402までの距離は、アーム部材201とアーム部材211とで等しいので、アーム部材201またはアーム部材211を揺動させた場合の重心のずれ量は同じくなり、ロボット装置100の動きを、前後方向(ピッチ軸)と、左右方向(ロール軸)とで同様とすることができる。
【0023】
次に、アーム部材の回動によるロボット装置100の揺動動作について説明する。
図5はロボット装置100内の動作体の回動に応じたロボット装置100の動作を説明するための図である。
図5において、ロボット装置100は接地面である地面500上に位置している。このとき、アーム部材211は、初期状態においてカウンターウェイト214は最も低い位置にある。そして、ロボット装置100の重心位置は、ロボット装置100の中心を通る一点鎖線501上にあり、かつ、重心位置は変動しない。よって、ロボット装置100は静止状態で地面500に対し安定して位置することができる。
【0024】
これに対して、アーム部材211を矢印502の方向に回動させると、カウンターウェイト214の位置が右上方向に移動するため、ロボット装置100の重心位置は一点鎖線501から右方向にずれると共に、上側に移動する。このときロボット装置100は、本体が球形状を有しているので、重心位置のずれを相殺するように、ロボット装置100は地面500上を矢印503の方向に転がる。換言すると、ロボット装置100と地面500との設置位置が矢印503の方向に移動する。このことにより、上昇したカウンターウェイト214の位置がロボット装置100が転がった分だけ下降し、重心位置の変化を相対的に小さくすることができる。
【0025】
このとき、アーム部材211の回動角度は、予め定めた所定値(例えば、90度)以内とすることができる。アーム部材211の回動角度を所定値以内に制限することで、ロボット装置100内の空間が狭い場合でも、他のアーム部材の回動動作と併せることで、ロボット装置100に所望の動作をさせることができる。また、アーム部材211の回動角度は、ロボット装置100を揺動させる程度に応じた大きさとすることができる。小さく揺動させたい場合には回動角度を小さくすればよく、大きく揺動させたい場合には回動角度を大きくすればよい。また、カウンターウェイト214の重量、又は数により、揺動の程度を制御することができる。より大きく揺動させたい場合には、より重いカウンターウェイト214に変更すればよく、また、カウンターウェイト214の数を増やせばよい。また、アーム部材211を回動させる回数により、揺動の程度を制御することができる。より大きく揺動させたい場合には回動角度を大きくするとともに回数を増やせばよい。また、揺動の程度を小さくする場合であっても、回数を増やすことにより揺動動作状態を継続することができる。
【0026】
次に、アーム部材211を矢印502とは反対方向の矢印504の方向に回動させると、カウンターウェイト214の位置が左下方向に移動するため、ロボット装置100の重心位置は再び一点鎖線501上に戻っていくと共に、下側に移動する。このときロボット装置100は、既に矢印503方向に回動している。そこで、重心位置の変化を再度相殺するために、ロボット装置100は地面500上を今度は矢印505方向に回動する。換言すると、ロボット装置100と地面500との設置位置が矢印505の方向に移動する。
【0027】
以上のアーム部材211の回動動作を繰り返すことにより、ロボット装置100は、アーム部材211の回動動作による重心位置の変化を打ち消すように回動するため、結果として揺動運動を実現することができる。
【0028】
以上では、アーム部材211について説明したが、揺動動作の動作原理は、アーム部材201の場合も同様である。但し、アーム部材201とアーム部材211とでは回動の方向が前後方向と左右方向とで異なるため、揺動方向が異なる。
【0029】
また、上記では揺動動作を開始する場合のアーム部材の動作を説明したが、以下、揺動動作を終了する場合のアーム部材の動作を説明する。ロボット装置100には、
図6に示すように装置下側におもりが設けられていても良く、アーム部材の回動動作を停止すれば、自然にロボット装置100自体の揺動の幅が小さくなって、最終的には揺動が収束してもとの位置に停止する。
【0030】
また、このような自然停止以外に、アーム部材を回動させることで強制的に揺動を停止することもできる。ロボット装置100の揺動動作の原理は、アーム部材の回動及びカウンターウェイトの移動に基づく重心位置変化の相殺にある。この原理では、重心位置が変化した方向にロボット装置100が転がるので、ロボット装置100が回動している方向と反対方向にアーム部材を回動させれば、ロボット装置100自体の回動力を妨げるように重心位置が変化するので、揺動速度を強制的に落とすことができる。
【0031】
例えば、矢印505に示す方向にロボット装置100が回動している場合に、アーム部材211を矢印502の方向に回動させれば、重心位置の変化はロボット装置100を矢印503の方向に回動させるように働くので、矢印505の方向への回動を妨げ、結果として揺動運動が妨げられることになる。このように、アーム部材をロボット装置100の揺動動作と逆位相で動作させることにより、停止時間の短縮化を図ることができる。なお、ロボット装置100における揺動動作の状態は、例えば加速度センサ等により検出することができる。
【0032】
次に、
図6を参照してロボット装置100の底面構造について説明する。
図6は、ロボット装置100の内部構造の他の一例を示す図である。ロボット装置100の底面は、回動軸600を中心として回動可能となっている。回動方向は、一方向に限定されない。
【0033】
ロボット装置100の底面には、動力供給部601が配置され、動力供給部601は、保持板602により、球状下部本体111に対して固定されている。また、動力供給部601の回転力は底面部材604に伝達され、底面部材604に対して、ロボット装置100のそれ以外の部分が旋回するように構成されている。ここで、底面部材604は、
図1の第2の外殻121に対応する。底面部材604の地面500との接触面の少なくとも一部は所定の摩擦を有する部材(例えば、ゴム等)で構成されているか、或いは、摩擦係数が高くなるような表面仕上げをされており、動力供給部601の回転力が底面部材604に伝達されると、当該摩擦力により底面部材604は地面500に対して回転することなくほぼ静止した状態で維持される。また、底面部材604と地面500との接地面積を大きくするために、底面部材604は接地面側がより平らになるように構成することができる。これにより、底面部材604の外表面の曲率半径R1は、球状下部本体111の該表面の曲率半径R2と異なる値となり、R1>R2となる。
【0034】
本実施形態では、動力供給部601から供給される回転力によりロボット装置100が旋回する。このとき、動力供給部601の回転力がロボット装置100の本体に確実に伝達されるように、底面部材604と接触する部材603は球状下部本体111に対して固定されている。また、底面部材604には空隙605等を複数設けることにより、部材603との接触面積を小さくし摩擦を低減して、底面部材604に対してロボット装置100本体が旋回しやすくなるようにしている。
【0035】
また、ロボット装置100の底部側には、底面部材604の近傍、例えばロボット装置100の内周面であって、底面部材604の周囲に所定の重り606が配置されている。この重り606は、ロボット装置100の重心を下げるために配置されている。
【0036】
次に
図7を参照して、発明の実施形態に対応するハードウエア構成を説明する。ロボット装置100は、その構成として、制御部701、検知部702、揺動用モータ703、旋回用モータ704、出力部705を有することができる。これらは、上記発明の実施形態を説明するための構成として記載したものであって、更なる構成を有していても良い。
【0037】
制御部701は、ロボット装置100の動作全体を制御する。制御部701は、検知部702における検知結果に従って、揺動用モータ703及び旋回用モータ704を制御する。揺動用モータ703は、
図2の動力供給部202及び212に相当する。制御部701は、揺動用モータ703の動作を制御することにより、ロボット装置100の揺動動作及び揺動停止動作を実現する。また、旋回用モータ704は、
図6の動力供給部601に相当する。制御部701は、旋回用モータ704の動作を制御することにより、ロボット装置100の旋回動作及び旋回停止動作を実現する。
【0038】
本実施形態において、制御部701は、複数のモータを同時には駆動しない。即ち、揺動用モータ703を駆動する場合には、旋回用モータ704は駆動しない。同時に、旋回用モータ704を駆動する場合には、揺動用モータ703は駆動しない。また、揺動用モータ703のうち、動力供給部202を駆動している場合は動力供給部212は駆動しないし、動力供給部212を駆動している場合は動力供給部202を駆動しない。なお、複数のモータを同時に駆動すること、例えば、2つの揺動用モータ703を同時に駆動することで、ロボット装置100を斜め方向(右前左後方向、左前右後方向)に揺動動作をさせることができ、また揺動用モータ703と旋回用モータ704を同時に駆動することで、より複雑な揺動動作をさせることもできる。
【0039】
制御部701は更に、出力部705の動作を制御する。出力部705は、例えば、
図1の開口104に埋め込まれたLED等の発光素子や、接合部105に埋め込まれたLED等の発光素子といった発光部を含むことができる。さらには、出力部705は音出力部として機能することもでき、音出力を行うためのスピーカを含むことができる。制御部701は、これらの発光素子の発光を、検知部702における検知結果や、ロボット装置100の揺動動作や旋回動作に応じて制御することができる。また、その際に所定の音出力を行うこともできる。
【0040】
検知部702は、加速度センサのようなロボット装置100の動作を検知するセンサを含むことができる。制御部701は、加速度センサからの出力信号に基づき、ロボット装置100の揺動状態を判定して、揺動用モータ703を制御することにより、揺動動作及び揺動停止動作を実現することができる。また、旋回動作を行なう場合、制御部701は、検知部702における検知結果に基づきロボット装置100の揺動が完全に停止したかどうかを判定し、完全に揺動が停止したと判定した後に旋回動作を開始することができる。
【0041】
検知部702はまた、外部からの音入力を検出するマイクのような音検知手段を含むことができる。この場合、制御部701は、マイクにより検知された音の内容を解析して、解析結果に応じた音を出力部705のスピーカを介して出力することができる。その際に、発光素子による発光形態を、出力する音内容に合わせたパターンとなるように変化させても良い。また、検知部702は複数のマイクを含むことができる。制御部701は、複数のマイクにより検知された音の大きさ等の情報に基づき、音の発生源の方向を特定することができる。制御部701は、音の発生源の方向が特定できると、旋回用モータ704を動作させてロボット装置100を旋回させることにより、ロボット装置100の正面が当該方向を向くように制御することができる。
【要約】
【課題】より興趣性のある動きを呈することが可能なロボット装置を提供する。
【解決手段】ロボット装置であって、本体と、前記本体内において動作可能に設けられた第1の動作体及び第2の動作体と、前記第1の動作体及び前記第2の動作体の動作を制御する制御部とを有し、前記制御部は、前記第1の動作体を第1の方向に動作させるよう制御可能であると共に、前記第2の動作体を第1の方向とは異なる第2の方向に動作させるよう制御可能である。
【選択図】
図1