【実施例】
【0036】
以下、本発明の構成及び効果をより具体的にするため、実施例等を挙げるが、本発明がこれらの実施例に限定されるというものではない。尚、以下の実施例及び比較例において、部は質量部を、また%は質量%を意味する。
【0037】
試験区分1(ジスチレン化フェノールのアルキレンオキサイド付加物の調製)
・ジスチレン化フェノールのアルキレンオキサイド付加物A−1の調製:
オートクレーブ内の雰囲気を窒素ガスで置換し、ジスチレン化フェノール288部及び水酸化カリウム2部を加え、135℃でエチレンオキサイド660部とプロピレンオキサイド580部を徐々に加えてランダム付加エーテル化反応を行った。水酸化カリウムを吸着処理した後、濾過することで、ジスチレン化フェノールのエチレンオキサイド15モルとプロピレンオキサイド10モルのランダム付加物A−1を得た。
【0038】
・ジスチレン化フェノールのアルキレンオキサイド付加物A−2の調製:
エチレンオキサイド1364部とプロピレンオキサイド232部に変更した以外はジスチレン化フェノールのアルキレンオキサイド付加物A−1と同様の方法でジスチレン化フェノールのエチレンオキサイド31モルとプロピレンオキサイド4モルのランダム付加物A−2を得た。
【0039】
・ジスチレン化フェノールのアルキレンオキサイド付加物A−3の調製:
エチレンオキサイド1188部とプロピレンオキサイド174部に変更した以外はジスチレン化フェノールのアルキレンオキサイド付加物A−1と同様の方法でジスチレン化フェノールのエチレンオキサイド27モルとプロピレンオキサイド3モルのランダム付加物A−3を得た。
【0040】
・ジスチレン化フェノールのアルキレンオキサイド付加物A−4の調製:
オートクレーブ内の雰囲気を窒素ガスで置換し、ジスチレン化フェノール288部及び水酸化カリウム2部を加え、135℃でエチレンオキサイド1232部を徐々に加えた後、プロピレンオキサイド290部を徐々に加えてブロック付加エーテル化反応を行った。水酸化カリウムを吸着処理した後、濾過することで、ジスチレン化フェノールのエチレンオキサイド28モルとプロピレンオキサイド5モルのブロック付加物A−4を得た。
【0041】
・ジスチレン化フェノールのアルキレンオキサイド付加物A−5の調製:
エチレンオキサイド440部とプロピレンオキサイド174部に変更した以外はジスチレン化フェノールのアルキレンオキサイド付加物A−1と同様の方法でジスチレン化フェノールのエチレンオキサイド10モルとプロピレンオキサイド3モルのランダム付加物A−5を得た。
【0042】
・ジスチレン化フェノールのアルキレンオキサイド付加物A−6の調製:
オートクレーブ内の雰囲気を窒素ガスで置換し、ジスチレン化フェノール288部及び水酸化カリウム2部を加え、135℃でエチレンオキサイド748部を徐々に加えてエーテル化反応を行った。水酸化カリウムを吸着処理した後、濾過することで、ジスチレン化フェノールのエチレンオキサイド17モル付加物A−6を得た。
【0043】
・ジスチレン化フェノールのアルキレンオキサイド付加物A−7の調製:
オートクレーブ内の雰囲気を窒素ガスで置換し、ジスチレン化フェノール288部及び水酸化カリウム2部を加え、135℃でエチレンオキサイド1496部を徐々に加えてエーテル化反応を行った。水酸化カリウムを吸着処理した後、濾過することで、ジスチレン化フェノールのエチレンオキサイド34モル付加物A−7を得た。
【0044】
・ジスチレン化フェノールのアルキレンオキサイド付加物A−8の調製:
オートクレーブ内の雰囲気を窒素ガスで置換し、ジスチレン化フェノール288部及び水酸化カリウム2部を加え、135℃でプロピレンオキサイド1160部を徐々に加えてエーテル化反応を行った。水酸化カリウムを吸着処理した後、濾過することで、ジスチレン化フェノールのプロピレンオキサイド20モル付加物A−8を得た。上述したA−1〜A−8について、ジスチレン化フェノールのアルキレンオキサイド付加物を構成するアルキレンオキサイドの種類、付加モル数、付加形態を下記表1に示す。
【0045】
【表1】
試験区分2(トリスチレン化フェノールのアルキレンオキサイド付加物の調製)
・トリスチレン化フェノールのアルキレンオキサイド付加物B−1の調製:
オートクレーブ内の雰囲気を窒素ガスで置換し、トリスチレン化フェノール393部及び水酸化カリウム2部を加え、135℃でエチレンオキサイド660部とプロピレンオキサイド580部を徐々に加えてランダム付加エーテル化反応を行った。水酸化カリウムを吸着処理した後、濾過することで、トリスチレン化フェノールのエチレンオキサイド15モルとプロピレンオキサイド10モルのランダム付加物B−1を得た。
【0046】
・トリスチレン化フェノールのアルキレンオキサイド付加物B−2の調製:
エチレンオキサイド1364部とプロピレンオキサイド232部に変更した以外はトリスチレン化フェノールのアルキレンオキサイド付加物B−1と同様の方法でトリスチレン化フェノールのエチレンオキサイド31モルとプロピレンオキサイド4モルのランダム付加物B−2を得た。
【0047】
・トリスチレン化フェノールのアルキレンオキサイド付加物B−3の調製:
エチレンオキサイド1188部とプロピレンオキサイド174部に変更した以外はトリスチレン化フェノールのアルキレンオキサイド付加物B−1と同様の方法でトリスチレン化フェノールのエチレンオキサイド27モルとプロピレンオキサイド3モルのランダム付加物B−3を得た。
【0048】
・トリスチレン化フェノールのアルキレンオキサイド付加物B−4の調製:
オートクレーブ内の雰囲気を窒素ガスで置換し、トリスチレン化フェノール393部及び水酸化カリウム2部を加え、135℃でエチレンオキサイド1232部を徐々に加えた後、プロピレンオキサイド290部を徐々に加えてブロック付加エーテル化反応を行った。水酸化カリウムを吸着処理した後、濾過することで、トリスチレン化フェノールのエチレンオキサイド28モルとプロピレンオキサイド5モルのブロック付加物B−4を得た。
【0049】
・トリスチレン化フェノールのアルキレンオキサイド付加物B−5の調製:
エチレンオキサイド440部とプロピレンオキサイド174部に変更した以外はトリスチレン化フェノールのアルキレンオキサイド付加物B−1と同様の方法でトリスチレン化フェノールのエチレンオキサイド10モルとプロピレンオキサイド3モルのランダム付加物B−5を得た。
【0050】
・トリスチレン化フェノールのアルキレンオキサイド付加物B−6の調製:
オートクレーブ内の雰囲気を窒素ガスで置換し、トリスチレン化フェノール393部及び水酸化カリウム2部を加え、135℃でエチレンオキサイド748部を徐々に加えてエーテル化反応を行った。水酸化カリウムを吸着処理した後、濾過することで、トリスチレン化フェノールのエチレンオキサイド17モル付加物B−6を得た。
【0051】
・トリスチレン化フェノールのアルキレンオキサイド付加物B−7の調製:
オートクレーブ内の雰囲気を窒素ガスで置換し、トリスチレン化フェノール393部及び水酸化カリウム2部を加え、135℃でエチレンオキサイド1496部を徐々に加えてエーテル化反応を行った。水酸化カリウムを吸着処理した後、濾過することで、トリスチレン化フェノールのエチレンオキサイド34モル付加物B−7を得た。
【0052】
・トリスチレン化フェノールのアルキレンオキサイド付加物B−8の調製:
オートクレーブ内の雰囲気を窒素ガスで置換し、トリスチレン化フェノール393部及び水酸化カリウム2部を加え、135℃でプロピレンオキサイド1160部を徐々に加えてエーテル化反応を行った。水酸化カリウムを吸着処理した後、濾過することで、トリスチレン化フェノールのプロピレンオキサイド20モル付加物B−8を得た。上述したB−1〜B−8について、トリスチレン化フェノールのアルキレンオキサイド付加物を構成するアルキレンオキサイドの種類、付加モル数、付加形態を下記表2に示す。
【0053】
【表2】
試験区分3(炭素繊維用サイジング組成物の調製)
実施例1:試験区分1で調製したジスチレン化フェノールのアルキレンオキサイド付加物A−1を60gと試験区分2で調製したトリスチレン化フェノールのアルキレンオキサイド付加物B−1を240gとエポキシ樹脂E−1(三菱ケミカル社製の商品名:jER828)700gを5Lの容器に加えて100℃で良く撹拌した後、撹拌しながら60℃に冷却後イオン交換水3000gを徐々に加えることで実施例1の炭素繊維用サイジング組成物を調製した。なお、表3においては、溶媒以外の成分を100%とした場合の各成分の比率を示す(以下同様)。
【0054】
実施例2:試験区分1で調製したジスチレン化フェノールのアルキレンオキサイド付加物A−2を50gと試験区分2で調製したトリスチレン化フェノールのアルキレンオキサイド付加物B−2を350gとエポキシ樹脂E−1(三菱ケミカル社製の商品名:jER828)300gとエポキシ樹脂E−2(三菱ケミカル社製の商品名:jER1002)300gを5Lの容器に加えて100℃で良く撹拌した後、撹拌しながら60℃に冷却後イオン交換水3000gを徐々に加えることで実施例2の炭素繊維用サイジング組成物を調製した。
【0055】
実施例3:試験区分1で調製したジスチレン化フェノールのアルキレンオキサイド付加物A−3を90gと試験区分2で調製したトリスチレン化フェノールのアルキレンオキサイド付加物B−3を210gとエポキシ樹脂E−1(三菱ケミカル社製の商品名:jER828)200gとポリエステル樹脂E−7(ビスフェノールAのエチレンオキサイド2モル付加物とフマル酸のポリエステル樹脂)500gを5Lの容器に加えて100℃で良く撹拌した後、撹拌しながら60℃に冷却後イオン交換水3000gを徐々に加えることで実施例3の炭素繊維用サイジング組成物を調製した。
【0056】
実施例4:試験区分1で調製したジスチレン化フェノールのアルキレンオキサイド付加物A−4を100gと試験区分2で調製したトリスチレン化フェノールのアルキレンオキサイド付加物B−4を300gとエポキシ樹脂E−2(三菱ケミカル社製の商品名:jER1002)200gとポリエステル樹脂E−8(ビスフェノールAのエチレンオキサイド10モル付加物とアジピン酸のポリエステル樹脂)400gを5Lの容器に加えて100℃で良く撹拌した後、撹拌しながら60℃に冷却後イオン交換水3000gを徐々に加えることで実施例4の炭素繊維用サイジング組成物を調製した。
【0057】
実施例5:試験区分1で調製したジスチレン化フェノールのアルキレンオキサイド付加物A−1を100gと試験区分2で調製したトリスチレン化フェノールのアルキレンオキサイド付加物B−1を150gとC−1(ポリオキシエチレン(10モル)ドデシルエーテル)を150gとビニルエステル樹脂E−9(三菱ケミカル社製の商品名:jER828とメタクリル酸をエステル化反応させて製造したビニルエステル樹脂)600gを5Lの容器に加えて良く撹拌した後、撹拌しながらイオン交換水3000gを徐々に加えることで実施例5の炭素繊維用サイジング組成物を調製した。
【0058】
実施例6:試験区分1で調製したジスチレン化フェノールのアルキレンオキサイド付加物A−2を10gとA−5を10g、試験区分2で調製したトリスチレン化フェノールのアルキレンオキサイド付加物B−2を10gとB−5を10g、ポリウレタン樹脂E−3(DIC社製の商品名:ボンディック1940NE、固形分濃度50%)1920gを5Lの容器に加えて良く撹拌した後、撹拌しながらイオン交換水2400gを加えることで実施例6の炭素繊維用サイジング組成物を調製した。
【0059】
実施例7:試験区分1で調製したジスチレン化フェノールのアルキレンオキサイド付加物A−6を160gと試験区分2で調製したトリスチレン化フェノールのアルキレンオキサイド付加物B−6を40gとエポキシ樹脂E−1(三菱ケミカル社製の商品名:jER828)400gを5Lの容器に加えて100℃で良く撹拌した後、撹拌しながら60℃に冷却後イオン交換水2067gを徐々に加えた後、ポリウレタン樹脂E−4(第一工業製薬社製の商品名:スーパーフレックス300、固形分濃度30%)1333gを加えて良く撹拌することで実施例7の炭素繊維用サイジング組成物を調製した。
【0060】
実施例8:試験区分1で調製したジスチレン化フェノールのアルキレンオキサイド付加物A−7を30gと、試験区分2で調製したトリスチレン化フェノールのアルキレンオキサイド付加物B−7を90gと変性ポリプロピレン樹脂E−5(東洋紡社製の商品名:ハードレンNZ−1015、固形分濃度30%)2933gを5Lの容器に加えて良く撹拌した後、撹拌しながらイオン交換水947gを加えることで実施例8の炭素繊維用サイジング組成物を調製した。
【0061】
実施例9:試験区分1で調製したジスチレン化フェノールのアルキレンオキサイド付加物A−8を200gと、試験区分2で調製したトリスチレン化フェノールのアルキレンオキサイド付加物B−8を300gと変性ポリエステル樹脂E−6(東洋紡社製の商品名:バイロナールMD−1480、固形分濃度25%)2000gを5Lの容器に加えて良く撹拌した後、撹拌しながらイオン交換水1500gを加えることで実施例8の炭素繊維用サイジング組成物を調製した。
【0062】
比較例1:C−1(ポリオキシエチレン(エチレンオキサイドの付加モル数:10モル)ドデシルエーテル)を400gとエポキシ樹脂E−2(三菱ケミカル社製の商品名:jER1002)600gを5Lの容器に加えて100℃で良く撹拌した後、撹拌しながら60℃に冷却後イオン交換水3000gを徐々に加えることで比較例1の炭素繊維用サイジング組成物を調製した。
【0063】
比較例2:試験区分1で調製したジスチレン化フェノールのアルキレンオキサイド付加物A−1を200gとエポキシ樹脂E−1(三菱ケミカル社製の商品名:jER828)800gを5Lの容器に加えて良く撹拌した後、撹拌しながらイオン交換水3000gを徐々に加えることで比較例2の炭素繊維用サイジング組成物を調製した。
【0064】
比較例3:試験区分2で調製したトリスチレン化フェノールのアルキレンオキサイド付加物B−2を200gとエポキシ樹脂E−1(三菱ケミカル社製の商品名:jER828)800gを5Lの容器に加えて良く撹拌した後、撹拌しながらイオン交換水3000gを徐々に加えることで比較例3の炭素繊維用サイジング組成物を調製した。
【0065】
比較例4:試験区分1で調製したジスチレン化フェノールのアルキレンオキサイド付加物A−3を200gと試験区分2で調製したトリスチレン化フェノールのアルキレンオキサイド付加物B−3を800gを5Lの容器に加えて良く撹拌した後、撹拌しながらイオン交換水3000gを徐々に加えることで比較例4の炭素繊維用サイジング組成物を調製した。
【0066】
【表3】
表3中において、各表記は以下のものを示す。
※1:ジスチレン化フェノールのアルキレンオキサイド付加物
※2:トリスチレン化フェノールのアルキレンオキサイド付加物
※3:ジスチレン化フェノールのアルキレンオキサイド付加物/トリスチレン化フェノールのアルキレンオキサイド付加物
C−1:ポリオキシエチレン(10モル)ドデシルエーテル
E−1:エポキシ樹脂として、三菱ケミカル社製の商品名:jER828(数平均分子量:250)
E−2:エポキシ樹脂として、三菱ケミカル社製の商品名:jER1002(数平均分子量:1000)
E−3:ポリウレタン樹脂として、DIC社製の商品名:ボンディック1940NE(数平均分子量:10000)
E−4:ポリウレタン樹脂として、第一工業製薬社製の商品名:スーパーフレックス300(数平均分子量:6000)
E−5:変性ポリプロピレン樹脂として、東洋紡社製の商品名:ハードレンNZ−1015(数平均分子量:30000)
E−6:変性ポリエステル樹脂として、東洋紡社製の商品名:バイロナールMD−1480(数平均分子量:15000)
E−7:ビスフェノールAのエチレンオキサイド2モル付加物とフマル酸のポリエステル樹脂(数平均分子量:1500)
E−8:ビスフェノールAのエチレンオキサイド10モル付加物とアジピン酸のポリエステル樹脂(数平均分子量:2500)
E−9:エポキシ樹脂(三菱ケミカル社製の商品名:jER828)とメタクリル酸のビニルエステル樹脂(数平均分子量:550)
試験区分4(炭素繊維のサイジング(集束))
・炭素繊維のサイジング
試験区分3で調製した各例の炭素繊維用サイジング組成物の30%エマルション等を水で希釈し、処理浴に入れた。ポリアクリロニトリル系繊維から得た未サイジングの炭素繊維(引張強度3500MPa、引張弾性率2.3×10
5MPa、12000フィラメント)を連続的に上記処理浴に浸漬し、炭素繊維用サイジング組成物(溶媒を含まない)の付着量が炭素繊維に対して1.5%一定となるようにローラーの絞り条件を調節して炭素繊維用サイジング組成物を付着させた。引き続き、連続的に120℃のオーブンに5分間通して乾燥し、濡れ性、集束性の評価試料(炭素繊維束)とした。
【0067】
試験区分5(評価)
・サイジングした炭素繊維の評価
(濡れ性)
試験区分4で得られた炭素繊維束を直径1cmのクロムメッキ梨地ピンを開繊バーとして用いて、炭素繊維束を1cm幅に開繊した。その炭素繊維束上にマトリックス樹脂としてのエポキシ樹脂(三菱ケミカル社製の商品名jER828)を25℃雰囲気で0.06g滴下し、滴下後のエポキシ樹脂の60秒後の最大直径を測定した。また、マトリックス樹脂としてポリアミド樹脂(LANXESS社製の商品名DURETHAN B 29)を250℃雰囲気で0.06g滴下し、滴下後のポリアミド樹脂の60秒後の最大直径を測定した。これら測定結果に基づいて、マトリックス樹脂との濡れ性を次の基準で評価した。
◎:エポキシ樹脂とポリアミド樹脂共に最大直径が5mm以上。
○:エポキシ樹脂の最大直径が5mm以上でポリアミド樹脂の最大直径が5mm未満。
×:エポキシ樹脂とポリアミド樹脂共に最大直径が5mm未満。
【0068】
(集束性)
合計5本の直径1cmのクロムメッキ梨地ピンを一定間隔で交互に上下にずらして配置し、前記の評価試料をこれらのクロムメッキ梨地ピンに接触させながら全体として波状に糸速1m/分で通過させて、通過前の炭素繊維束の幅W1と通過後の炭素繊維束の幅W2を測定し、下記の数1により変動幅を求め、以下の基準で評価した。結果を表3にまとめて示した。
【0069】
【数1】
数1において、
W1:合計5本のクロムメッキ梨地ピンを通過する前の炭素繊維束の幅(mm)。
W2:合計5本のクロムメッキ梨地ピンを通過した後の炭素繊維束の幅(mm)。
○:変動幅が4mm未満。
×:変動幅が4mm以上。
【0070】
以上表3の結果からも明らかなように、各実施例の炭素繊維用サイジング組成物は、濡れ性及び集束性の評価がいずれも良好であった。本発明の炭素繊維用サイジング組成物によれば、炭素繊維に優れたマトリックス樹脂との濡れ性及び炭素繊維ストランドの集束性を付与することができる。