【課題を解決するための手段】
【0004】
第1の態様によれば、デバイスが、耳閉塞物と、デバイスの着用者の外耳道に音響的に結合された出力変換器と、音声マイクロホンにおける音声生成音圧に比例した第1の電気信号を生成するように構成されたマイクロホンと、出力変換器およびマイクロホンに電気的に結合された信号処理回路とを含む。回路は、第1の電気信号から第2の電気信号を生成し、第2の電気信号を出力変換器に出力するように構成された補償器を含み、補償器は、耳が閉塞され、電子的に支援されるときの口基準点における音声生成音圧に対する外耳道内の音圧の比であるG
OEを、耳が閉塞されていないときの口基準点における音声生成音圧に対する外耳道内の音圧の比であるG
Uとほぼ等しくさせるように調整される。
【0005】
第1の態様のいくつかの実装形態において、補償器は、
【0006】
【数1】
【0007】
によって定義される周波数応答を有する線形時不変フィルタであり、G
Oは、耳が閉塞され、支援されないときの口基準点における音声生成音圧に対する外耳道内の音圧の比であり、G
MMは、口基準点における音声生成音圧に対する音声マイクロホンからの電圧出力の比であり、G
DEは、通信デバイスの駆動器への電圧入力に対する外耳道内の音圧の比である。
【0008】
第1の態様のいくつかの実装形態において、補償器は、1つまたは複数の所定の周波数帯にわたってG
OEをG
Uとほぼ等しくさせるように調整される。
【0009】
第1の態様のいくつかの実装形態において、補償器は、閉塞効果増幅を受ける周波数帯にわたってG
OEをG
Uとほぼ等しくさせるように調整される。
【0010】
第1の態様のいくつかの実装形態において、補償器は、第1の閾値よりも上の周波数を減衰させる、および異なる第2の閾値よりも下の周波数を減衰させる、のうちの1つまたは複数を実施するように調整される。
【0011】
第1の態様のいくつかの実装形態において、補償器は、能動的に外耳道内の低周波自己音声音圧を減衰させ、高周波自己音声音圧を増幅するように調整される。
【0012】
第1の態様のいくつかの実装形態において、デバイスは、第2の耳閉塞物と、信号処理回路に電気的に結合され、デバイスの着用者の第2の外耳道に音響的に結合された第2の出力変換器とをさらに含む。補償器は、第2の電気信号を第2の出力変換器に出力するようにさらに構成される。補償器は、口基準点における音声生成音圧に対する第1および第2の外耳道のそれぞれ内のそれぞれの音圧の比であるG
OEをG
Uとほぼ等しくさせるように調整される。
【0013】
第1の態様のいくつかの実装形態において、耳閉塞物は、耳覆い型または耳当て型イヤカップ、小型イヤホン、または外耳道挿入型構成部品である。
【0014】
第2の態様によれば、耳閉塞物と、デバイスの着用者の外耳道に音響的に結合された出力変換器と、マイクロホンにおける音声生成音圧に比例した第1の電気信号を生成するように構成された音声マイクロホンと、出力変換器および音声マイクロホンに電気的に結合された信号処理回路とを含むデバイスにおいて、自己音声閉塞を軽減するための方法は、回路の補償器によって、第1の電気信号から第2の電気信号を生成するステップと、第2の電気信号を出力変換器に出力するステップとを含む。補償器は、耳が閉塞され、電子的に支援されるときの口基準点における音声生成音圧に対する外耳道内の音圧の比であるG
OEを、耳が閉塞されていないときの口基準点における音声生成音圧に対する外耳道内の音圧の比であるG
Uとほぼ等しくさせるように調整される。
【0015】
第2の態様のいくつかの実装形態において、方法は、
【0016】
【数2】
【0017】
によって定義される周波数応答を有するように補償器を調整するステップをさらに含み、ここで、G
Oは、耳が閉塞され、支援されないときの口基準点における音声生成音圧に対する外耳道内の音圧の比であり、G
MMは、口基準点における音声生成音圧に対する音声マイクロホンからの電圧出力の比であり、G
DEは、通信デバイスの駆動器への電圧入力に対する外耳道内の音圧の比である。
【0018】
第2の態様のいくつかの実装形態において、方法は、1つまたは複数の所定の周波数帯にわたってG
OEをG
Uとほぼ等しくさせるように補償器を調整するステップさらに含む。
【0019】
第2の態様のいくつかの実装形態において、方法は、閉塞効果増幅を受ける周波数帯にわたってG
OEをG
Uとほぼ等しくさせるように補償器を調整するステップをさらに含む。
【0020】
第2の態様のいくつかの実装形態において、方法は、第1の閾値よりも上の周波数を減衰させる、および異なる第2の閾値よりも下の周波数を減衰させる、のうちの1つまたは複数を実施するように補償器を調整するステップをさらに含む。
【0021】
第2の態様のいくつかの実装形態において、方法は、変換器によって、第2の電気信号を、能動的に外耳道内の低周波自己音声音圧を減衰させ、外耳道内の高周波自己音声音圧を増幅する音響エネルギーに変換するステップを含む。
【0022】
第3の態様によれば、デバイスは、第1の耳閉塞物および第2の耳閉塞物と、デバイスの着用者の第1の耳の第1の外耳道に音響的に結合された第1の出力変換器と、デバイスの着用者の第2の耳の第2の外耳道に音響的に結合された第2の出力変換器と、音声マイクロホンにおける音声生成音圧に比例した第1の電気信号を生成するように構成されたマイクロホンと、第1および第2の出力変換器および音声マイクロホンに電気的に結合された信号処理回路とを含む。回路は、第1の電気信号から第2の電気信号を生成し、第2の電気信号を第1および第2の出力変換器に出力するように構成された補償器を含み、補償器は、口基準点における音声生成音圧に対する第1および第2の外耳道内の音圧の平均比であるG
OEを、耳が閉塞されていないときの口基準点における音声生成音圧に対する外耳道内の音圧の比であるG
Uとほぼ等しくさせるように調整される。
【0023】
第3の態様のいくつかの実装形態において、補償器は、
【0024】
【数3】
【0025】
によって定義される周波数応答を有する線形時不変フィルタであり、G
Oは、耳が閉塞され、支援されないときの口基準点における音声生成音圧に対する第1および第2の外耳道内の音圧の平均比であり、G
MMは、口基準点における音声生成音圧に対する通信音声マイクロホンからの電圧出力の比であり、G
DEは、通信デバイスの駆動器への電圧入力に対する第1および第2の外耳道内の音圧の平均比である。
【0026】
第4の態様によれば、デバイスは、耳閉塞物と、デバイスの着用者の外耳道に音響的に結合された出力変換器と、音声マイクロホンにおける音声生成音圧に比例した第1の電気信号を生成するように構成されたマイクロホンと、出力変換器および音声マイクロホンに電気的に結合された信号処理回路とを含む。回路は、第1の電気信号から第2の電気信号を生成し、第2の電気信号を出力変換器に出力するように構成された補償器を含む。補償器は、耳が閉塞され、電子的に支援されるときの口基準点における音声生成音圧に対する外耳道内の音圧の比であるG
OEを、所定の自己音声体験を提供するように選択された、耳が閉塞され、電子的に支援されるときの口基準点における音声生成音圧に対する外耳道内の音圧の目標比であるG
Tとほぼ等しくさせるように調整される。
【0027】
第4の態様のいくつかの実装形態において、補償器は、
【0028】
【数4】
【0029】
によって定義される周波数応答を有する線形時不変フィルタであり、G
Oは、耳が閉塞され、支援されないときの口基準点における音声生成音圧に対する外耳道内の音圧の比であり、G
MMは、口基準点における音声生成音圧に対するマイクロホンからの電圧出力の比であり、G
DEは、デバイスの駆動器への電圧入力に対する外耳道内の音圧の比である。
【0030】
第4の態様のいくつかの実装形態において、G
T=2*G
Uであり、ここで、G
Uは、耳が閉塞されていないときの口基準点における音声生成音圧に対する外耳道内の音圧の比であり、所定の自己音声体験は、自然な自己音声体験よりも音が大きい。
【0031】
第4の態様のいくつかの実装形態において、G
T=0.5*G
Uであり、ここで、G
Uは、耳が閉塞されていないときの口基準点における音声生成音圧に対する外耳道内の音圧の比であり、所定の自己音声体験は、自然な自己音声体験よりも音が小さい。
【0032】
第4の態様のいくつかの実装形態において、補償器は、ユーザ制御モードの選択に応答して動的に調整される。
【0033】
第4の態様のいくつかの実装形態において、補償器は、ヘッドセットが遠端通信デバイスとの能動的な通話に関与しているとの検知に応答して動的に調整される。
【0034】
自分自身の音声が不自然に聞こえることにより、自分がどのような音を出しているのか意識することができ、それにより、かなり苛立ち、かつ/または気が散ることがある。閉塞効果を低減する利点は、以下のうちの1つまたは複数を含む。閉塞効果を低減することにより、ヘッドセット着用者を自分自身の音がどのように聞こえるのかについてより快適にすることによって話のしやすさが増す。また、閉塞効果を低減し、ヘッドセット着用者が自分自身の音声を自然に聞こえることが可能になることにより、ヘッドセット着用者は、例えば、音声コマンドを提供しながら他の誰かと話すとき(通話中もしくは顔を合わせて)、または音声メモを録音するとき、通常のレベルで話すことが促進される。
【0035】
上述のすべての例および特徴は、任意の技術的に可能なやり方で組み合わせることができる。他の特徴および利点は、説明および特許請求の範囲から明らかであろう。