(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6495491
(24)【登録日】2019年3月15日
(45)【発行日】2019年4月3日
(54)【発明の名称】エレベータのドアインターロック装置
(51)【国際特許分類】
B66B 13/18 20060101AFI20190325BHJP
【FI】
B66B13/18 C
【請求項の数】6
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2018-11544(P2018-11544)
(22)【出願日】2018年1月26日
【審査請求日】2018年1月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】390025265
【氏名又は名称】東芝エレベータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】渋谷 光央
【審査官】
有賀 信
(56)【参考文献】
【文献】
特開平03−182493(JP,A)
【文献】
特開2010−260648(JP,A)
【文献】
特開2013−188829(JP,A)
【文献】
特開平08−067475(JP,A)
【文献】
特開平11−335042(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 13/00─13/30
B66B 5/00─ 5/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右方向に開閉する乗場ドアの戸開動作を規制するインターロック部と、上側から押圧されて弾性変形する検出センサ部を有していて前記弾性変形によって前記乗場ドアの戸閉状態を検出するドアスイッチと、を備え、
前記インターロック部は、
下方へ突出する爪部と前記検出センサ部を押圧するための押圧部とを有していて、戸開動作時には前記乗場ドアの移動に伴って戸開方向へ移動する可動側インターロック部と、
戸閉状態では前記爪部の戸開方向への移動を規制することで前記可動側インターロック部の戸開方向への移動を規制する規制部を有している固定側インターロック部と、
を備え、
前記爪部は目視可能なマークを有し、
前記マークは、前記押圧部が前記検出センサ部に接触するときの前記規制部の上端と同じ高さ位置に配置されており、
前記規制部の上端が水平面であり、
前記マークは、直線状であって、前記爪部のうち前記規制部側の側辺部に配置されているとともに戸閉状態のときには水平になるように配置されていることを特徴とするエレベータのドアインターロック装置。
【請求項2】
前記爪部は前記マークの目視側と同じ側から目視可能な第2マークを有し、
前記第2マークは、直線状であって、前記爪部のうち前記規制部側の側辺部に配置されているとともに完全な戸閉状態のときには水平になるように配置され、かつ、前記検出センサ部が規定寸法の押ししろで押圧されたときに前記上端と同じ高さ位置となるように配置されていることを特徴とする請求項1に記載のエレベータのドアインターロック装置。
【請求項3】
前記爪部には、前記乗場ドアを完全に戸閉状態にしたときの高さ方向に沿ってスケールが配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載のエレベータのドアインターロック装置。
【請求項4】
前記マークは前記スケールの最下端に位置し、前記マークの長さは前記スケールよりも長くされていることを特徴とする請求項3に記載のエレベータのドアインターロック装置。
【請求項5】
前記マークは前記スケールの最下端に位置し、前記マークの太さは前記スケールよりも太くされていることを特徴とする請求項3または4に記載のエレベータのドアインターロック装置。
【請求項6】
前記マークと前記上端との目視側に拡大ルーペが配置されていることを特徴とする請求項2〜5の何れか1項に記載のエレベータのドアインターロック装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、エレベータのドアインターロック装置に関する。
【背景技術】
【0002】
エレベータの乗場ドアの内側(昇降路側)には、乗場ドアが不用意に開かないようにドアインターロック装置が配置されており、また、戸閉状態がわかるようにドアスイッチ(戸閉確認スイッチ)が設置されている。
【0003】
このようなドアスイッチには、上下方向に撓み変形可能な検出センサ部が配置されており、エレベータの据付時には、検出センサ部にドアインターロック装置が接触したときに、検出センサ部への押ししろ(ワイプ量)を確保できるように、据付け調整を行っている。その際、この押ししろが規定寸法となっているかどうかを据付の技術者がスケールを当てて確認することが必要になっている。また、このような確認作業は、定期的に保守作業を行う保守点検員にも必要になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平3−182493号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、検出センサ部にスケールを当てて押ししろを測定する際、測定作業に時間がかかり、しかも測定値にばらつきが生じる。このため、この押ししろを目視で正確に確認できることが望まれている。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、ドアスイッチへの押ししろが規定寸法になっていることを目視で簡単に正確に確認することができるエレベータのドアインターロック装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態に係るエレベータのドアインターロック装置は、左右方向に開閉する乗場ドアの戸開動作を規制するインターロック部と、上側から押圧されて弾性変形する検出センサ部を有していてこの弾性変形によって乗場ドアの戸閉状態を検出するドアスイッチと、を備える。インターロック部は、下方へ突出する爪部と検出センサ部を押圧するための押圧部とを有していて、戸開動作時には乗場ドアの移動に伴って戸開方向へ移動する可動側インターロック部と、戸閉状態では爪部の戸開方向への移動を規制することで可動側インターロック部の戸開方向への移動を規制する規制部を有している固定側インターロック部と、を備える。そして、爪部は目視可能なマークを有する。そして、このマークは、押圧部が検出センサ部に接触するときの規制部の上端と同じ高さ位置に配置されている。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態に係るエレベータのドアインターロック装置を示す側面図。
【
図2】実施形態に係るエレベータのドアインターロック装置で、(a)は、マークの高さ位置が固定側インターロック部の規制部の上端と一致していることを示す側面図、(b)は、完全に戸閉状態になったことを示す側面図。
【
図3】実施形態に係るエレベータのドアインターロック装置の変形例で、(a)は、マークの高さ位置が固定側インターロック部の規制部の上端と一致していることを示す側面図、(b)は、完全に戸閉状態になったことを示す側面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して、実施形態の一例(以下、本実施形態という)に係るエレベータを説明する。
図1は、本実施形態に係るエレベータのドアインターロック装置の要部を示す側面図である。
図2で、(a)は、マークの高さ位置が固定側インターロック部の規制部の上端と一致していることを示す側面図、(b)は、完全に戸閉状態になったことを示す側面図である。
【0010】
本実施形態で説明するエレベータでは、ドアレール10にドアハンガ12が掛けられ、ドアレール10に沿って乗場ドア14(ドアパネル)がドア開閉方向(左右方向)へ移動する構成になっている。
【0011】
本実施形態に係るエレベータのドアインターロック装置20(以下、単にドアインターロック装置20という)では、乗場ドア14の戸開動作を規制するインターロック部Rと、上側から押圧されて弾性変形する検出センサ部22を有していてこの弾性変形によって乗場ドアの戸閉状態を検出するドアスイッチ24と、を備える。本実施形態では、検出センサ部22は、弾性変形として撓み変形する例で説明する。
【0012】
インターロック部Rは、可動側インターロック部26と固定側インターロック部28とを備える。
【0013】
可動側インターロック部26は、下方へ突出する爪部30と検出センサ部22を押圧するための押圧部32とを有していて、乗場ドア14に取付けられていることで戸開動作時には乗場ドア14ととともに左右方向U(水平方向)に移動する構成になっている。固定側インターロック部28は、戸閉状態では爪部30の戸開方向への移動を規制することで可動側インターロック部26の戸開方向への移動を規制する規制部36を有している。
【0014】
本実施形態では、可動側インターロック部26は、可動側インターロック部26を構成する基部26b側で回動可能に保持されている。そして、乗りかごの着床に伴って可動側インターロック部26の先端側がやや上昇するように可動側インターロック部26が回動して乗場ドア14の戸閉ロックが解除され、乗りかごの着床階からの移動に伴って可動側インターロック部26の先端側がやや下降するように可動側インターロック部26が回動して乗場ドア14の戸閉ロックがなされる構造になっている。また、押圧部32は、可動側インターロック部本体26mの先端部に取付けられた板状部材である。
【0015】
また、ドアスイッチ24の検出センサ部22は、ドアスイッチ本体24mから可動側インターロック部26側へ水平に延び出していて、上下方向に撓み変形可能(弾性変形可能)な可撓性部材(板ばねなど)で構成されている。そして、乗りかごの着床階からの移動に伴って可動側インターロック部26が下降すると押圧部32が検出センサ部22に上方から接触して検出センサ部22を下方へ押圧する構造になっている。ドアスイッチ24は、このように検出センサ部22が押圧されて下方へ移動すると、乗場ドア14が戸閉状態になっていることを検出する。
【0016】
爪部30は、目視可能なマークMを有する。このマークMは、押圧部32が検出センサ部22に接触するときの規制部36の上端36uと同じ高さ位置に配置されている。本実施形態では、マークMは直線状であって、爪部30のうち規制部36側の側辺部に配置されている。
【0017】
そして、このように同じ高さであることで、乗りかごが着床階から離れて可動側インターロック部26の爪部30が完全に下端位置にまで到達したときには、
図2(b)に示すように、検出センサ部22は規定寸法の押ししろdで押し下げられて、爪部30によって乗場ドア14は完全に戸閉された状態になるように、据付時(設置工事時)に技術者が調整している。従って、可動側インターロック部26の押圧部32による検出センサ部22への押ししろd(ワイプ量。
図2(b)参照)が規定寸法(例えば4mm)になっていることを、技術者が目視で簡単に正確に確認することができる。従って、技術者がスケールを当てて測定する必要がなく、従来のように測定値のばらつきが生じることもない。
【0018】
そして、保守点検時には、押圧部32が検出センサ部22に接触するときのマークMの高さ位置が規制部36の上端36uと同じ高さ位置になっていることを保守点検員が目視で確認することで、ドアスイッチ24の検出センサ部22への押ししろdが規定寸法になっていることを簡単に正確に確認することができる。従って、保守点検員がスケールを当てて測定する必要がなく、従来のように測定値のばらつきが生じることもない。
【0019】
なお、
図2(b)に示すように、爪部30の所定位置にマークNを付して、検出センサ部22が規定寸法の押ししろdで押圧されたときにマークNの高さ位置が上端36uの高さ位置と同じになる構成にしてもよい。これにより、検出センサ部22が規定寸法の押ししろdで押圧されたことを一目で簡単に目視することができる。
【0020】
また、高さ差hと押ししろdとが同じ値になっているので、
図3に示すように、爪部30には、乗場ドア14を完全に戸閉状態にしたときの高さ方向Zに沿ってスケール40が配置されていてもよい。これにより、規制部36の上端36uからマークMまでの上下方向の距離を目視で測定することで、検出センサ部22の押ししろdを知ることができる。マークMは、スケール40の一部を構成していてもよい。
【0021】
この場合、マークMはスケール40の最下端に位置していて、マークMの長さはスケール40よりも長くされていてもよく(
図3参照)、これにより、マークMとスケール40との違いを視認し易い。
【0022】
また、マークMはスケール40の最下端に位置し、マークMの太さはスケール40よりも太くされていてもよい(
図3参照)。これにより、マークMとスケール40との違いを更に視認し易い。
【0023】
また、マークMと規制部36の上端36uとの目視側に拡大ルーペ(図示せず)が配置されていてもよい。これにより、遠方からでも視認し易くすることができる。通常では透明なドアスイッチカバーが設置されており、このドアスイッチカバーの一部がルーペとなっていて目視側から拡大されて見える構成にしてもよい。
【0024】
また、マークMを、光を反射する反射板で構成させた所定形状の部材(例えば矢印形状の部材)にしてもよい。これにより、昇降路内であっても懐中電灯などで簡単に視認することができる。また、反射板として反射テープを用いてもよく、これにより、爪部30の所定位置に貼り付けることでマークMを爪部30に容易に配置することができる。
【0025】
以上、実施形態を説明したが、実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲はそれらに限定することは意図していない。実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0026】
10…ドアレール、12…ドアハンガ、14…乗場ドア、20…エレベータのドアインターロック装置、22…検出センサ部、24…ドアスイッチ、24m…ドアスイッチ本体、26…可動側インターロック部、26b…基部、26m…可動側インターロック部本体、28…固定側インターロック部、30…爪部、32…押圧部、36…規制部、36u…上端、40…スケール、d…押ししろ、h…高さ差、M…マーク、R…インターロック部、U…左右方向、Z…高さ方向。
【要約】
【課題】ドアスイッチへの押ししろが規定寸法になっていることを目視で簡単に正確に確認することができるエレベータのドアインターロック装置を提供する。
【解決手段】エレベータのドアインターロック装置は、左右方向に開閉する乗場ドアの戸開動作を規制するインターロック部Rと、上側から押圧されて弾性変形する検出センサ部22を有していてこの弾性変形によって乗場ドアの戸閉状態を検出するドアスイッチ24と、を備える。インターロック部Rは、下方へ突出する爪部30と検出センサ部22を押圧するための押圧部32とを有している可動側インターロック部26と、戸閉状態では爪部30の戸開方向への移動を規制する規制部36を有している固定側インターロック部28と、を備える。そして、爪部30は目視可能なマークMを有する。このマークMは、押圧部32が検出センサ部22に接触するときの規制部36の上端36uと同じ高さ位置に配置されている。
【選択図】
図2