(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
一部又は全部が重なり合う第1不織布層及び第2不織布層と、これら第1不織布層及び第2不織布層の間に伸縮方向と直交する直交方向に間隔を空けて配置された、伸縮方向に沿って延びる複数本の細長状の弾性部材とを有し、
前記弾性部材は、少なくとも伸縮領域における前記伸縮方向の両端部が前記第1不織布層及び第2不織布層に固定されており、
前記伸縮領域は、前記第1不織布層及び第2不織布層が接合されたシート接合部を有しており、
前記第1不織布層及び第2不織布層の少なくとも一方は、厚み方向に貫通する孔が配列された有孔不織布である、使い捨て着用物品の伸縮構造において、
前記シート接合部は、少なくとも前記伸縮方向に間隔を空けて設けられており、
前記伸縮構造における前記孔の配列は、前記シート接合部における前記伸縮方向の中央部に設けられた孔が前記直交方向に間隔を空けて並ぶ第1の孔列と、前記伸縮方向における隣り合う前記シート接合部の間の中央部に設けられた孔が前記直交方向に間隔を空けて並ぶ第2の孔列とが、伸縮方向に間隔を空けて交互に繰り返すものであり、
前記第1の孔列における前記孔の伸縮方向寸法が、前記第2の孔列における前記孔の伸縮方向寸法より長い、
ことを特徴とする使い捨て着用物品の伸縮構造。
前身頃から後身頃にわたる一体的な外装体、又は前身頃及び後身頃に別々に設けられた外装体と、この外装体の幅方向中間部に取り付けられた、股間部の前後両側にわたる内装体と、前身頃における外装体の両側部と後身頃における外装体の両側部とがそれぞれ接合されたサイドシール部と、ウエスト開口及び左右一対の脚開口とを備え、
前記前身頃及び後身頃の少なくとも一方における前記外装体は、少なくとも前後方向の一部の範囲における前記サイドシール部間に対応する幅方向範囲にわたり、請求項1〜8のいずれか1項に記載の伸縮構造を、その伸縮領域の伸縮方向が幅方向となるように備えている、
ことを特徴とするパンツタイプ使い捨て着用物品。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
そこで、本発明の主たる課題は、通気性の向上、及び襞の良好な外観の維持を両立しうる、使い捨て着用物品の伸縮構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決した使い捨て着用物品の伸縮構造等は次記のとおりである。
<第1の態様>
一部又は全部が重なり合う第1不織布層及び第2不織布層と、これら第1不織布層及び第2不織布層の間に伸縮方向と直交する直交方向に間隔を空けて配置された、伸縮方向に沿って延びる複数本の細長状の弾性部材とを有し、
前記弾性部材は、少なくとも伸縮領域における前記伸縮方向の両端部が前記第1不織布層及び第2不織布層に固定されており、
前記伸縮領域は、前記第1不織布層及び第2不織布層が接合されたシート接合部を有しており、
前記第1不織布層及び第2不織布層の少なくとも一方は、厚み方向に貫通する孔が配列された有孔不織布である、使い捨て着用物品の伸縮構造において、
前記シート接合部は、少なくとも前記伸縮方向に間隔を空けて設けられており、
前記伸縮構造における前記孔の配列は、前記シート接合部における前記伸縮方向の中央部に設けられた孔が前記直交方向に間隔を空けて並ぶ第1の孔列と、前記伸縮方向における隣り合う前記シート接合部の間の中央部に設けられた孔が前記直交方向に間隔を空けて並ぶ第2の孔列とが、伸縮方向に間隔を空けて交互に繰り返すものであり、
前記第1の孔列における前記孔の伸縮方向寸法が、前記第2の孔列における前記孔の伸縮方向寸法より長い、
ことを特徴とする使い捨て着用物品の伸縮構造。
【0014】
(作用効果)
本伸縮構造では、シート接合部が、少なくとも伸縮方向間隔を空けて形成されているため、孔以外の部分における通気性、柔軟性も確保される。また、本伸縮構造では、伸縮方向におけるシート接合部の間の部分が互いに反対向きに膨らむことにより、直交方向に延びる襞が形成される。また、第1の孔列はシート接合部に位置し、第2の孔列は伸縮方向における隣り合うシート接合部の間の中央部に位置するため、第1の孔列の孔は襞の間の谷底に位置し、第2の孔列の孔は襞の頂部に位置することとなる。そして、本伸縮構造では、孔の寸法が一律になっておらず、第1の孔列における孔の伸縮方向寸法が、第2の孔列における孔の伸縮方向寸法より長いものとなっている。つまり、本伸縮構造は、第1の孔列及び第2の孔列の両方により通気性を向上させることを基本とするものである。ここで、第1の孔列は、その大きさが襞の頂部の形状にほとんど影響しないのに対し、第2の孔列はその大きさが襞の頂部の形状に強く影響する。本伸縮構造はこれを巧みに利用するものである。すなわち、第1の孔列の孔の伸縮方向寸法を第2の孔列の孔の伸縮方向寸法よりも大きくすることにより、全体としての通気性をより一層向上させつつ、その通気性向上の割には襞の外観は損なわれないものとすることができる。
【0015】
なお、「伸縮構造における孔の配列」とは、第1不織布層及び第2不織布層におけるすべての孔を合わせた配列を意味する。よって、例えば第1不織布層及び第2不織布層のいずれか一方のみが有孔不織布の場合には、その有孔不織布における孔の配列に一致するが、第1不織布層及び第2不織布層の両方が有孔不織布の場合には、各不織布層の孔の配列が本態様の条件を満足しなくても、両不織布層のすべての孔を合わせた配列が本態様の条件を満足すればよい。
【0016】
<第2の態様>
前記第1の孔列における前記孔の伸縮方向寸法は、前記第2の孔列における前記孔の伸縮方向寸法の1.5〜3.0倍であり、
前記第2の孔列は、隣り合う前記シート接合部の間に位置する、
第1の態様の使い捨て着用物品の伸縮構造。
【0017】
(作用効果)
第1の孔列における孔の伸縮方向寸法、及び第2の孔列における孔の伸縮方向寸法は適宜定めることができるが、通常の場合、本態様の範囲内であることが好ましい。
【0018】
<第3の態様>
前記伸縮構造における前記孔の配列は、前記直交方向に直線的に間隔を空けて並ぶ孔の列が前記伸縮方向に間隔を空けて繰り返す行列状であり、
前記第1の孔列では、前記シート接合部の前記伸縮方向の中心と、前記孔の前記伸縮方向の中心とが一致しており、
前記第1の孔列では、前記シート接合部の前記伸縮方向の寸法は、前記孔の前記伸縮方向の寸法の1.5〜2.0倍であり、
前記第1の孔列及び第2の孔列における前記孔の前記直交方向の間隔が、前記第1の孔列及び第2の孔列の前記伸縮方向の間隔の0.1〜1.0倍である、
第1又は2の態様の使い捨て着用物品の伸縮構造。
【0019】
(作用効果)
本態様のように孔が直交方向に狭い間隔で直線的な列をなしており、かつシート接合部の両側縁が孔の両側近傍に位置していると、孔の列の方向に沿ってかつ孔を有する部分が谷底となるように折れやすくなるため、有孔不織布における襞が直交方向に沿ってより綺麗に形成されるようになる。
【0020】
<第4の態様>
前記シート接合部の伸縮方向の寸法が0.5〜4mmであり、
前記シート接合部の伸縮方向の間隔が2.5〜10.0mmであり、
前記第1の孔列及び第2の孔列における前記孔は、前記伸縮方向の寸法が0.3〜3.0mm、かつ前記直交方向の寸法が0.3〜5.0mmであり、
前記第1の孔列及び前記第2の孔列における前記孔の前記直交方向の間隔が1.0〜5.0mmであり、
前記第1の孔列及び前記第2の孔列の前記伸縮方向の間隔が2.5〜10.0mmであり、
前記直交方向における前記弾性部材の間隔が5〜10mmである、
第3の態様の使い捨て着用物品の伸縮構造。
【0021】
(作用効果)
孔、シート接合部、弾性部材の配置は適宜定めることができるが、本態様の範囲内であることが好ましい。
【0022】
<第5の態様>
前記シート接合部は、前記第1不織布層及び第2不織布層がホットメルト接着剤を介して接合されたものであり、
前記第1
の孔列には、孔と孔の縁部を対向する不織布に接着するシート接合部との組が、前記直交方向に間隔を空けて並んでおり、
前記有孔不織布における各孔の径は、対向する不織布層側と反対側から対向する不織布層側に向かうにつれて小さくなっている、
第1〜4のいずれか1つの態様の使い捨て着用物品の伸縮構造。
【0023】
(作用効果)
また、本伸縮構造では、伸縮方向におけるシート接合部の間の部分が互いに反対向きに膨らむことにより、直交方向に延びる襞が形成される。シート接合部の直交方向の間隔部分は、第1不織布層及び第2不織布層ともに襞と襞との間の谷部となる。ここで、シート接合部が厚み方向に加圧溶着されていると、シート接合部の直交方向の間隔部分では、シート接合部の縁から不織布層の厚みが復元することにより互いに反対向きに膨らみやすくなる。そして、このようにシート接合部の直交方向の間隔部分が膨らみやすくなると、襞が枝分かれしたり、襞の山部が部分的に広くなったりする等、全体として整った襞が形成されにくい。この問題を発生しにくくするためには、シート接合部の直交方向の間隔を非常に狭くする必要があるが、シート接合部の直交方向の間隔部分に弾性部材を通す必要もあるため、製造が極めて困難となる。
【0024】
これに対して、本伸縮構造のように、シート接合部がホットメルト接着剤により接着されていると、シート接合部とそれ以外の部分における圧縮の程度がほとんど変わらないため、加圧溶着の場合と比べて、シート接合部の直交方向の間隔部分が反対向きに膨らみにくい。
【0025】
その上、本伸縮構造では、有孔不織布における各孔の径は、対向する不織布層側と反対側から対向する不織布層側に向かうにつれて小さくなっている。このように、孔の径が、対向する不織布層側と反対側から対向する不織布層側に向かうにつれて小さくなっていると、孔及びその近傍では、対向する不織布層と反対側の面が谷折りとなるように折れやすい。ここで、本伸縮構造では孔とシート接合部が同配置となるため、シート接合部の直交方向の間隔部分は、その両側に隣接する孔及びその近傍が谷折りになりやすい影響を受け、同じ方向に折れやすくなる。つまり、シート接合部の直交方向の間隔部分は反対向きに膨らみにくくなる。
【0026】
そして、シート接合部の直交方向の間隔部分は反対向きに膨らみにくくなる結果、襞が枝分かれしたり、谷部が部分的に広くなったりしにくくなり、全体として、孔の列に沿って延びる整った襞が形成されやすくなる。換言すると、ある程度整った襞を形成する場合、シート接合部の直交方向の間隔部分を加圧溶着の場合よりも広くできるようになり、より柔軟な伸縮構造とすることが可能となる。しかも、シート接合部がホットメルト接着である場合、シート接合部と弾性部材とが交差しても問題がないため、製造も容易となる。
【0027】
さらに、シート接合部が接着不十分等により剥離したとしても、孔及びその近傍では、対向する不織布層と反対側の面が谷折りとなるように折れやすいため、シート接合部の直交方向の間隔部分は反対向きに膨らみにくにくいという利点もある。
【0028】
なお、孔の径は、孔の重心を通りかつ伸縮方向と直交する方向の寸法(したがって、円の場合は直径となり、楕円の場合は長径となる)を意味する。
【0029】
<第6の態様>
前記シート接合部では、前記孔を取り囲み、かつ前記孔の縁部を含む環状部分のみが、前記ホットメルト接着剤を介して前記対向する不織布層と接着されている、
第5の態様の使い捨て着用物品の伸縮構造。
【0030】
(作用効果)
このように、孔の近傍の環状部分のみをシート接合部とすることにより、通気性及び柔軟性により優れたものとなる。また、孔内にホットメルト接着剤がはみ出ているとしても、孔の中央部にはホットメルト接着剤は存在せず、また、孔を有する部分は襞の間の谷底に位置するため、ホットメルト接着剤は肌に触れにくいものとなる。
【0031】
<第7の態様>
前記第1不織布層及び第2不織布層のうち、装着者の肌側となる不織布層が無孔不織布であり、反対の不織布層が前記有孔不織布である、
第1〜6のいずれか1つの態様の使い捨て着用物品の伸縮構造。
【0032】
(作用効果)
肌側の不織布層を無孔不織布とすることにより、孔の肌触りへの影響を無くすことができる。また、第1不織布層及び第2不織布層のうち一方にしか孔がないため、装着時に肌が露出することがなく、孔を通じた漏れを防止することができる。
【0033】
<第8の態様>
前記第1不織布層及び第2不織布層の両方が前記有孔不織布であり、一方の有孔不織布の孔と、他方の有孔不織布の孔とが重ならない、
第1〜6のいずれか1つの態様の使い捨て着用物品の伸縮構造。
【0034】
(作用効果)
本態様では、両方の不織布層を有孔不織布とすることにより、より高い通気性を獲得することができる。また、一方の有孔不織布の孔と、他方の有孔不織布の孔とが重ならないため、装着時に肌が露出することがなく、孔を通じた漏れを防止することができる。
【0035】
<第9の態様>
前身頃から後身頃にわたる一体的な外装体、又は前身頃及び後身頃に別々に設けられた外装体と、この外装体の幅方向中間部に取り付けられた、股間部の前後両側にわたる内装体と、前身頃における外装体の両側部と後身頃における外装体の両側部とがそれぞれ接合されたサイドシール部と、ウエスト開口及び左右一対の脚開口とを備え、
前記前身頃及び後身頃の少なくとも一方における前記外装体は、少なくとも前後方向の一部の範囲における前記サイドシール部間に対応する幅方向範囲にわたり、第1〜8のいずれか1つの態様の伸縮構造を、その伸縮領域の伸縮方向が幅方向となるように備えている、
ことを特徴とするパンツタイプ使い捨て着用物品。
【0036】
(作用効果)
前述の伸縮構造は、パンツタイプの使い捨て着用物品の外装体に好適なものである。
【発明の効果】
【0037】
本発明によれば、通気性の向上、及び襞の良好な外観の維持を両立しうるようになる、等の利点がもたらされる。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、パンツタイプ使い捨ておむつの例について、添付図面を参照しつつ詳説する。断面図における点模様部分はその表側及び裏側に位置する各構成部材を接合する接合手段としての接着剤を示しており、ホットメルト接着剤のベタ、ビード、カーテン、サミット若しくはスパイラル塗布、又はパターンコート(凸版方式でのホットメルト接着剤の転写)などにより、あるいは弾性部材の固定部分はこれに代えて又はこれとともにコームガンやシュアラップ塗布などの弾性部材の外周面への塗布により形成されるものである。ホットメルト接着剤としては、例えばEVA系、粘着ゴム系(エラストマー系)、オレフィン系、ポリエステル・ポリアミド系などの種類のものが存在するが、特に限定無く使用できる。各構成部材を接合する接合手段としてはヒートシールや超音波シール等の素材溶着による手段を用いることもできる。
【0040】
図1〜
図6に示されるパンツタイプ使い捨ておむつは、前身頃Fを構成する前側外装体12F及び後身頃Bを構成する後側外装体12Bと、前側外装体12Fから股間部を経て後側外装体12Bまで延在するように外装体12F,12Bの内側に設けられた内装体200とを備えている。前側外装体12Fの両側部と後側外装体12Bの両側部とが接合されて、サイドシール部12Aが形成されている。この結果、外装体12F,12Bの前後端部により形成される開口が装着者の胴を通すウエスト開口WOとなり、内装体200の幅方向両側において外装体12F,12Bの下縁及び内装体200の側縁によりそれぞれ囲まれる部分が脚を通す脚開口LOとなる。内装体200は、尿等の排泄物等を吸収保持する部分であり、外装体12F,12Bは着用者の身体に対して内装体200を支えるための部分である。図中の符号Yは展開状態におけるおむつの全長(前身頃Fのウエスト開口WOの縁から後身頃Bのウエスト開口WOの縁までの前後方向長さ)を示しており、符号Xは展開状態におけるおむつの全幅を示している。
【0041】
また、本パンツタイプ使い捨ておむつは、サイドシール部12Aを有する前後方向範囲(ウエスト開口WOから脚開口LOの上端に至る前後方向範囲)として定まる胴周り領域Tと、脚開口LOを形成する部分の前後方向範囲(前身頃Fのサイドシール部12Aを有する前後方向領域と後身頃Bのサイドシール部12Aを有する前後方向領域との間)として定まる中間領域Lとを有する。胴周り領域Tは、概念的にウエスト開口の縁部を形成する「ウエスト部」Wと、これよりも下側の部分である「ウエスト下方部」Uとに分けることができる。通常、胴周り領域T内に幅方向WDの伸縮応力が変化する境界(例えば弾性部材の太さや伸長率が変化する)を有する場合は、最もウエスト開口WO側の境界よりもウエスト開口WO側がウエスト部Wとなり、このような境界が無い場合は吸収体56又は内装体200よりもウエスト開口WO側がウエスト部Wとなる。これらの前後方向長さは、製品のサイズによって異なり、適宜定めることができるが、一例を挙げると、ウエスト部Wは15〜40mm、ウエスト下方部Uは65〜120mmとすることができる。一方、中間領域Lの両側縁は被着者の脚周りに沿うようにコ字状又は曲線状に括れており、ここが装着者の脚を入れる部位となる。この結果、展開状態のパンツタイプ使い捨ておむつは、全体として略砂時計形状をなしている。
【0042】
(内外接合部)
内装体200の外装体12F,12Bに対する固定は、特に限定されず、例えばホットメルト接着剤により行うことができる。図示例では、内装体200の裏面、つまりこの場合は液不透過性シート11の裏面及び起き上がりギャザー60の付根部分65に塗布されたホットメルト接着剤を介して外装体12F,12Bの内面に対して固定されている。この内装体200と外装体12F,12Bとを固定する内外接合部201は、両者が重なる領域のほぼ全体に設けることができ、例えば内装体200の幅方向両端部を除いた部分に設けることもできる。
【0043】
(内装体)
内装体200は任意の形状を採ることができるが、図示の形態では長方形である。内装体200は、
図3〜
図5に示されるように、身体側となるトップシート30と、液不透過性シート11と、これらの間に介在された吸収要素50とを備えているものであり、吸収機能を担う本体部である。符号40は、トップシート30を透過した液を速やかに吸収要素50へ移行させるために、トップシート30と吸収要素50との間に設けられた中間シート(セカンドシート)を示しており、符号60は、内装体200の両脇に排泄物が漏れるのを防止するために、内装体200の両側部から装着者の脚周りに接するように延び出た起き上がりギャザー60を示している。
【0044】
(トップシート)
トップシート30は、液を透過する性質を有するものであり、例えば、有孔又は無孔の不織布や、多孔性プラスチックシートなどを例示することができる。また、このうち不織布は、その原料繊維が何であるかは、特に限定されない。例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維などや、これらから二種以上が使用された混合繊維、複合繊維などを例示することができる。さらに、不織布は、どのような加工によって製造されたものであってもよい。加工方法としては、公知の方法、例えば、スパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法、エアスルー法、ポイントボンド法等を例示することができる。例えば、柔軟性、ドレープ性を求めるのであれば、スパンボンド法、スパンレース法が、嵩高性、ソフト性を求めるのであれば、エアスルー法、ポイントボンド法、サーマルボンド法が、好ましい加工方法となる。
【0045】
また、トップシート30は、1枚のシートからなるものであっても、2枚以上のシートを貼り合せて得た積層シートからなるものであってもよい。同様に、トップシート30は、平面方向に関して、1枚のシートからなるものであっても、2枚以上のシートからなるものであってもよい。
【0046】
トップシート30の両側部は、吸収要素50の側縁で裏側に折り返しても良く、また折り返さずに吸収要素50の側縁より側方にはみ出させても良い。
【0047】
トップシート30は、裏側の部材に対する位置ずれを防止する等の目的で、ヒートシール、超音波シールのような素材溶着による接合手段や、ホットメルト接着剤により裏側に隣接する部材に固定することが望ましい。図示例では、トップシート30はその裏面に塗布されたホットメルト接着剤により中間シート40の表面及び包装シート58のうち吸収体56の表側に位置する部分の表面に固定されている。
【0048】
(中間シート)
トップシート30を透過した液を速やかに吸収体へ移行させるために、トップシート30より液の透過速度が速い、中間シート(「セカンドシート」とも呼ばれている)40を設けることができる。この中間シート40は、液を速やかに吸収体へ移行させて吸収体による吸収性能を高めるばかりでなく、吸収した液の吸収体からの「逆戻り」現象を防止し、トップシート30上を常に乾燥した状態とすることができる。中間シート40は省略することもできる。
【0049】
中間シート40としては、トップシート30と同様の素材や、スパンレース不織布、スパンボンド不織布、SMS不織布、パルプ不織布、パルプとレーヨンとの混合シート、ポイントボンド不織布又はクレープ紙を例示できる。特にエアスルー不織布が嵩高であるため好ましい。エアスルー不織布には芯鞘構造の複合繊維を用いるのが好ましく、この場合芯に用いる樹脂はポリプロピレン(PP)でも良いが剛性の高いポリエステル(PET)が好ましい。目付けは20〜80g/m
2が好ましく、25〜60g/m
2がより好ましい。不織布の原料繊維の太さは2.0〜10dtexであるのが好ましい。不織布を嵩高にするために、原料繊維の全部又は一部の混合繊維として、芯が中央にない偏芯の繊維や中空の繊維、偏芯且つ中空の繊維を用いるのも好ましい。
【0050】
図示の形態の中間シート40は、吸収体56の幅より短く中央に配置されているが、全幅にわたって設けてもよい。中間シート40の長手方向長さは、おむつの全長と同一でもよいし、吸収要素50の長さと同一でもよいし、液を受け入れる領域を中心にした短い長さ範囲内であってもよい。
【0051】
中間シート40は、裏側の部材に対する位置ずれを防止する等の目的で、ヒートシール、超音波シールのような素材溶着による接合手段や、ホットメルト接着剤により裏側に隣接する部材に固定することが望ましい。図示例では、中間シート40はその裏面に塗布されたホットメルト接着剤により包装シート58のうち吸収体56の表側に位置する部分の表面に固定されている。
【0052】
(液不透過性シート)
液不透過性シート11の素材は、特に限定されるものではないが、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂等からなるプラスチックフィルムや、不織布の表面にプラスチックフィルムを設けたラミネート不織布、プラスチックフィルムに不織布等を重ねて接合した積層シートなどを例示することができる。液不透過性シート11には、ムレ防止の観点から好まれて使用されている液不透過性かつ透湿性を有する素材を用いることが好ましい。透湿性を有するプラスチックフィルムとしては、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂中に無機充填剤を混練して、シートを成形した後、一軸又は二軸方向に延伸して得られた微多孔性プラスチックフィルムが広く用いられている。この他にも、マイクロデニール繊維を用いた不織布、熱や圧力をかけることで繊維の空隙を小さくすることによる防漏性強化、高吸水性樹脂又は疎水性樹脂や撥水剤の塗工といった方法により、プラスチックフィルムを用いずに液不透過性としたシートも、液不透過性シート11として用いることができる。
【0053】
液不透過性シート11は、図示のように吸収要素50の裏側に収まる幅とする他、防漏性を高めるために、吸収要素50の両側を回り込ませて吸収要素50のトップシート30側面の両側部まで延在させることもできる。この延在部の幅は、左右それぞれ5〜20mm程度が適当である。
【0054】
(起き上がりギャザー)
起き上がりギャザー60は、横漏れを防止するためのものであり、内装体200の両側部に沿って前後方向LDの全体にわたり延在し、内装体200の側部から表側に起立するものである。図示例の起き上がりギャザー60は、付け根側部分が幅方向中央側に向かって斜めに起立し、中間部より先端側部分が幅方向外側に向かって斜めに起立するものであるが、これに限定されるものではなく、全体として幅方向中央側に起立する形態等、適宜の変更が可能である。
【0055】
より詳細に説明すると、図示例の起き上がりギャザー60は、内装体200の前後方向長さに等しい長さを有する帯状のギャザー不織布62を、先端となる部分で幅方向WDに折り返して二つに折り重ねるとともに、折り返し部分及びその近傍のシート間に、細長状のギャザー弾性部材63を長手方向に沿って伸長状態で、幅方向WDに間隔を空けて複数本固定してなるものである。起き上がりギャザー60のうち先端部と反対側に位置する基端部(幅方向WDにおいてシート折り返し部分と反対側の端部)は、内装体200における液不透過性シート11より裏側の側部に固定された付根部分65とされ、この付根部分65以外の部分は付根部分65から延び出る本体部分66(折り返し部分側の部分)とされている。また、本体部分66は、幅方向中央側に延びる付け根側部分と、この付け根側部分の先端で折り返され、幅方向外側に延びる先端側部分とを有している。この形態は面接触タイプの起き上がりギャザー60であるが、幅方向外側に折り返されない線接触タイプの起き上がりギャザー60も採用することができる。そして、本体部分66のうち前後方向両端部が倒伏状態でトップシート30の側部表面に対して固定された倒伏部分67とされる一方で、これらの間に位置する前後方向中間部は非固定の自由部分68とされ、この自由部分68の少なくとも先端部に前後方向LDに沿うギャザー弾性部材63が伸長状態で固定されている。
【0056】
以上のように構成された起き上がりギャザー60では、ギャザー弾性部材63の収縮力が前後方向両端部を近づけるように作用するが、本体部分66のうち前後方向両端部が起立しないように固定されるのに対して、それらの間は非固定の自由部分68とされているため、自由部分68のみが
図3に矢印で示すように身体側に当接するように起立する。特に、付根部分65が内装体200の裏側に位置していると、股間部及びその近傍において自由部分68が幅方向外側に開くように起立するため、起き上がりギャザー60が脚周りに面で当接するようになり、フィット性が向上するようになる。
【0057】
(吸収要素)
吸収要素50は特に限定されるものではないが、本例では吸収体56と、この吸収体56の全体を包む包装シート58とを有するものとなっている。包装シート58は省略することもできる。
【0058】
(吸収体)
吸収体56は、繊維の集合体により形成することができる。この繊維集合体としては、綿状パルプや合成繊維等の短繊維を積繊したものの他、セルロースアセテート等の合成繊維のトウ(繊維束)を必要に応じて開繊して得られるフィラメント集合体も使用できる。吸収体56中には高吸収性ポリマー粒子を分散保持させるのが好ましい。
【0059】
吸収体56は長方形形状でも良いが、
図7にも示すように、前端部、後端部及びこれらの間に位置し、前端部及び後端部と比べて幅が狭い括れ部56Nとを有する砂時計形状を成していると、吸収体56自体と起き上がりギャザー60の、脚周りへのフィット性が向上するため好ましい。
【0060】
また、吸収体56の寸法は排尿口位置の前後左右にわたる限り適宜定めることができるが、前後方向LD及び幅方向WDにおいて、内装体200の周縁部又はその近傍まで延在しているのが好ましい。なお、符号56Xは吸収体56の幅を示している。
【0061】
(高吸収性ポリマー粒子)
吸収体56には、その一部又は全部に高吸収性ポリマー粒子を含有させることができる。高吸収性ポリマー粒子とは、「粒子」以外に「粉体」も含む。高吸収性ポリマー粒子54としては、この種の使い捨ておむつに使用されるものをそのまま使用できる。
【0062】
高吸収性ポリマー粒子の材料としては、特に限定無く用いることができるが、吸水量が40g/g以上のものが好適である。高吸収性ポリマー粒子としては、でんぷん系、セルロース系や合成ポリマー系などのものがあり、でんぷん−アクリル酸(塩)グラフト共重合体、でんぷん−アクリロニトリル共重合体のケン化物、ナトリウムカルボキシメチルセルロースの架橋物やアクリル酸(塩)重合体などのものを用いることができる。高吸収性ポリマー粒子の形状としては、通常用いられる粉粒体状のものが好適であるが、他の形状のものも用いることができる。
【0063】
高吸収性ポリマー粒子としては、吸水速度が70秒以下、特に40秒以下のものが好適に用いられる。吸水速度が遅すぎると、吸収体56内に供給された液が吸収体56外に戻り出てしまう所謂逆戻りを発生し易くなる。
【0064】
また、高吸収性ポリマー粒子としては、ゲル強度が1000Pa以上のものが好適に用いられる。これにより、嵩高な吸収体56とした場合であっても、液吸収後のべとつき感を効果的に抑制できる。
【0065】
高吸収性ポリマー粒子の目付け量は、当該吸収体56の用途で要求される吸収量に応じて適宜定めることができる。したがって一概には言えないが、50〜350g/m
2とすることができる。
【0066】
(包装シート)
包装シート58を用いる場合、その素材としては、ティッシュペーパ、特にクレープ紙、不織布、ポリラミ不織布、小孔が開いたシート等を用いることができる。ただし、高吸収性ポリマー粒子が抜け出ないシートであるのが望ましい。クレープ紙に換えて不織布を使用する場合、親水性のSMS不織布(SMS、SSMMS等)が特に好適であり、その材質はポリプロピレン、ポリエチレン/ポリプロピレン複合材などを使用できる。目付けは、5〜40g/m
2、特に10〜30g/m
2のものが望ましい。
【0067】
包装シート58の包装形態は適宜定めることができるが、製造容易性や前後端縁からの高吸収性ポリマー粒子の漏れ防止等の観点から、吸収体56の表裏面及び両側面を取り囲むように筒状に巻き付け、且つその前後縁部を吸収体56の前後からはみ出させ、巻き重なる部分及び前後はみ出し部分の重なり部分をホットメルト接着剤、素材溶着等の接合手段により接合する形態が好ましい。
【0068】
(外装体)
外装体12F,12Bは、前身頃Fを構成する部分である前側外装体12Fと、後身頃Bを構成する部分である後側外装体12Bとからなり、前側外装体12F及び後側外装体12Bは股間側で連続しておらず、前後方向LDに離間されている(外装二分割タイプ)。この離間距離12dは例えば全長Yの40〜60%程度とすることができる。また、
図8及び
図9に示すように、外装体12が、前身頃Fから後身頃Bにかけて股間を通り連続する一体的なものとすることもできる(外装一体タイプ)。
【0069】
外装二分割タイプのパンツタイプ使い捨ておむつでは、前側外装体12F及び後側外装体12Bとの間に内装体200が露出するため、内装体200の裏面に液不透過性シート11が露出しないように、前側外装体12Fと内装体200との間から、後側外装体12Bと内装体200との間にかけて、内装体200の裏面を覆うカバー不織布20を備えていると好ましい。カバー不織布20の素材は特に限定されず、例えば外装体12の外側不織布層12S又は内側不織布層12Hと同様の素材(後述する有孔不織布層でも、無孔不織布層でもよい)とすることができる。カバー不織布20の前後方向範囲は、前側外装体12F及び後側外装体12Bに重なる部分を有している限り特に限定されず、内装体200の前端から後端までの全体にわたり前後方向LDに延在していてもよく、
図7に示すように、前側外装体12Fと内装体200とが重なる領域の前後方向中間位置から後側外装体12Bと内装体200とが重なる領域の前後方向中間位置まで前後方向LDに延在していてもよい。
【0070】
外装体12F,12Bは、胴周り領域Tと対応する前後方向範囲である胴周り部を有する。また、本形態では、前側外装体12Fには中間領域Lと対応する部分を有していないが、後側外装体12Bは胴周り領域Tから中間領域L側に延び出る臀部カバー部Cを有している。図示しないが、前側外装体12Fにも胴周り領域Tから中間領域L側に延び出る鼠蹊カバー部を設けたり、鼠径カバー部は設けるものの臀部カバー部は設けない形態としたり、前側外装体12F及び後側外装体12Bの両方に中間領域Lと対応する部分を設けなくても良い。また、図示例では、臀部カバー部Cの下縁は、前側外装体12Fの下縁と同様、幅方向WDに沿う直線状に形成しているが、幅方向外側に向かうにつれてウエスト開口側に位置するようになる曲線とすることもできる。
【0071】
外装体12F,12Bは、
図2〜
図5に示されるように、外側不織布層12S及び内側不織布層12Hにより表裏が形成されている。いうまでもないが、外側不織布層12S及び内側不織布層12Hのいずれか一方が本発明の第1不織布層に相当し、他方が本発明の第2不織布層に相当する、外側不織布層12S及び内側不織布層12Hは、
図5に示すように、一枚のシート材をウエスト開口側に折目が位置するように折り畳んで形成する他、
図9に示すように、二枚のシート材を貼り合わせて形成することもできる。また、これらシート材のうち最も内側に位置する部分12rを内装体200のウエスト開口WO側の端部まで延在させることもできる(
図9例を参照)。また、外側不織布層12S及び内側不織布層12Hの少なくとも一方は、その一部が他の部分と異なるシート材により形成されていても良い。
【0072】
外側不織布層12S及び内側不織布層12Hの構成繊維としては、例えばポリエチレン又はポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維(単成分繊維の他、芯鞘等の複合繊維も含む)の他、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維等、特に限定なく選択することができ、これらを混合して用いることもできる。不織布層12S,12Hの柔軟性を高めるために、構成繊維を捲縮繊維とするのは好ましい。また、外側不織布層12S及び内側不織布層12Hの構成繊維は、親水性繊維(親水化剤により親水性となった疎水性繊維を含む)であっても、疎水性繊維若しくは撥水性繊維(撥水剤により撥水性となった撥水性繊維を含む)であってもよい。また、不織布は一般に繊維の長さや、シート形成方法、繊維結合方法、積層構造により、短繊維不織布、長繊維不織布、スパンボンド不織布、メルトブローン不織布、スパンレース不織布、サーマルボンド(エアスルー)不織布、ニードルパンチ不織布、ポイントボンド不織布、積層不織布(スパンボンド層間にメルトブローン層を挟んだSMS不織布、SMMS不織布等)等に分類されるが、これらのどの不織布も、外側不織布層12S及び内側不織布層12Hとして用いることができる。
【0073】
外側不織布層12S及び内側不織布層12Hの構成繊維の繊度及び目付けは適宜定めることができるが、通常の場合、それぞれ1.8〜6.0dtex程度、10〜30g/m
2程度であると好ましい。
【0074】
(有孔不織布について)
図2、
図8、
図11及び
図12に示すように、外側不織布層12S及び内側不織布層12Hの少なくとも一方は、厚み方向に貫通する孔14が散在する有孔不織布とされる。
図11及び
図12に示すように、装着者の肌側となる内側不織布層12Hが無孔不織布であり、外側不織布層12Sが有孔不織布であると、孔14の肌触りへの影響を無くすことができる。また、外側不織布層12S及び内側不織布層12Hのうち一方にしか孔14がないため、装着時に肌が露出することがなく、孔14を通じた漏れを防止することができる。図示しないが、装着者の肌側となる内側不織布層12Hを有孔不織布とし、外側不織布層12Sを無孔不織布としてもよい。
図13及び
図14に示すように、外側不織布層12S及び内側不織布層12Hの両方が有孔不織布であり、一方の有孔不織布の孔14と、他方の有孔不織布の孔14とが重ならない構造であるのも好ましい。この場合、外側不織布層12S及び内側不織布層12Hの両方を有孔不織布とすることにより、より高い通気性を獲得することができる。また、一方の有孔不織布の孔14と、他方の有孔不織布の孔14とが重ならないため、装着時に肌が露出することがなく、孔14を通じた漏れを防止することができる。
図15に示すように、外側不織布層12S及び内側不織布層12Hの両方が有孔不織布であり、一方の有孔不織布の孔14と、他方の有孔不織布の孔14とが完全に又は部分的に重なっていてもよい。また、図示しないが、外側不織布層12S及び内側不織布層12Hの両方が有孔不織布である場合において、大部分(例えば50%以上の面積)では、一方の有孔不織布の孔14と他方の有孔不織布の孔14とが重ならないものの、一部では、一方の有孔不織布の孔14と他方の有孔不織布の孔14とが重なっていてもよい。
【0075】
個々の孔14の平面形状(開口形状)は、適宜定めることができる。孔14は、
図10(a)(b)に示すような長孔形とするほか、
図10(e)に示すような真円形、
図10(d)に示すような楕円形、三角形、長方形、ひし形等の多角形、星形、雲形等、任意の形状とすることができる。
図10(c)に示すように異なる形状の孔が混在していてもよい。個々の孔14の寸法は特に限定されないが、直交方向XDの寸法(最も長い部分の寸法)14Lは0.3〜5.0mm、特に0.6〜2.0mmとするのが好ましく、幅方向WDの寸法(最も長い部分の寸法)14Wは0.3〜3.0mm、特に0.4〜1.5mmとするのが好ましい。孔14の形状が、長孔形、楕円形、長方形、ひし形等のように一方向に長い形状(一方向の全長がこれと直交する方向の全長よりも長い形状)の場合、長手方向の寸法(最も長い部分の寸法)はこれと直交する方向の寸法(最も長い部分の寸法)の1.2〜2.5倍であることが好ましい。また、孔14の形状が一方向に長い形状の場合、孔14の長手方向が前後方向LDであることが望ましいが、幅方向WDや斜め方向であってもよい。
【0076】
個々の孔14の面積及び面積率は適宜定めればよいが、面積は0.1〜2.7mm
2(特に0.1〜1.0mm
2)程度であることが好ましく、面積率は1.0〜15.0%(特に5.0〜10.0%)程度であることが好ましい。
【0077】
一枚の有孔不織布における孔14の平面配列は特に限定されるものではない。よって、例えば、図示しないが、外側不織布層12S及び内側不織布層12Hの両方が有孔不織布である場合において、外側不織布層12S及び内側不織布層12Hは孔14の寸法、形状及び配列の少なくとも一つが異なっていてもよい。
【0078】
一方、外側不織布層12S及び内側不織布層12Hにおけるすべての孔14を合わせた(つまりすべての孔14を平面投影したときの)孔14の平面配列は、後述するシート接合部70における伸縮方向EDの中央部に設けられた孔14が直交方向XDに間隔を空けて並ぶ第1の孔列91と、伸縮方向EDにおける隣り合うシート接合部70の間の中央部に設けられた孔14が直交方向XDに間隔を空けて並ぶ第2の孔列92とが、伸縮方向EDに間隔を空けて交互に繰り返すものである限り適宜定めることができる。例えば、
図10(a)(c)(d)に示すように、すべての孔14の配列は、直交方向XDに所定の間隔で直線的に間隔を空けて並ぶ孔14の列が伸縮方向EDに所定の間隔を空けて繰り返す行列状であると好ましい。この場合、
図10(a)に示すように、第1の孔列91と第2の孔列92との伸縮方向EDの間隔14xが、第1の孔列91における孔14の直交方向XDの間隔91yよりも短い配列とする他、
図10(c)に示すように、第1の孔列91と第2の孔列92との伸縮方向EDの間隔14xと、第1の孔列91における孔14の直交方向XDとの間隔91yがほぼ等しい配列、又は
図10(d)に示すように、第1の孔列91と第2の孔列92との伸縮方向EDの間隔14xが、第1の孔列91における孔14の直交方向XDの間隔91yよりも長い配列とすることができる。また、
図10(b)(e)に示すように、第1の孔列91における直交方向XDの孔14の位置と、第2の孔列92における直交方向XDの孔14の位置とはずれていてもよい。また、
図10(f)に示すように、隣り合う孔列91,92の間が直交方向XDに連続する部分を有する限り、孔14が直交方向に沿う中心線を有する波線状に並ぶものも、伸縮方向EDと直交する方向に間隔を空けて並ぶ孔14の列が、伸縮方向EDに間隔を空けて並ぶものに含まれる。
【0079】
第1の孔列91における孔14の直交方向間隔91y及び第1の孔列91と第2の孔列92との伸縮方向間隔14xはそれぞれ一定であっても、変化してもよい。これらは適宜定めることができるが、通気性を考慮すると、第1の孔列91における孔14の直交方向間隔91yは0.9〜8.0mm、特に1.0〜3.0mmの範囲内とすることが望ましく、第1の孔列91と第2の孔列92との伸縮方向間隔14xは2.0〜8.0mm、特に2.0〜5.0mmの範囲内とすることが望ましい。また、第2の孔列92における孔14の直交方向間隔92yは、第1の孔列91における孔14の直交方向間隔91yの1.0〜3.0倍であることが望ましい。
【0080】
孔14の断面形状は特に限定されない。例えば、孔14は、周縁が繊維の切断端により形成されている打ち抜きタイプの孔であっても、孔14の周縁に繊維の切断端がほとんど無く、ピンが繊維間に挿入されて押し広げられて形成された非打ち抜きタイプの孔(縁部の繊維密度が高い)であってもよい。打ち抜きタイプの孔は、
図16(d)に示すように、孔14の径が厚み方向中間に向かうにつれて小さくなるものであっても、図示しないが厚み方向一方側に向かうにつれて小さくなるものであってもよい。
【0081】
非打ち抜きタイプの孔14は、孔14の径がピン挿入側から反対側に向かうにつれて小さくなるものである。これには、孔14の径が不織布層の厚み方向の全体にわたり減少し続けるもののほか、厚み方向の中間で孔14の径の減少がほぼなくなるものも含まれる。このような非打ち抜きタイプの孔には、
図16(a)(c)に示すように、ピン挿入側と反対側における孔14の縁部に繊維がピン挿入側と反対側に押し出された突出部(バリ)14eが形成され、ピン挿入側には突出部14eが形成されないものと、
図16(b)に示すように、ピン挿入側と反対側における孔14の縁部に繊維がピン挿入側と反対側に押し出された突出部14eが形成されるとともに、ピン挿入側には繊維がピン挿入側に押し出されて形成された突出部14eが形成されるものとが含まれる。さらに、前者のタイプの孔14には、
図16(a)に示すように突出部14eの突出高さ14hがほぼ均一であるものと、
図16(c)に示すように突出部14eが、突出高さ14iが最も高い対向部分と、これと直交する方向に対向する対向部分であって突出高さ14jが最も低い対向部分とを有するものとが含まれる。突出部14eは孔の周方向に連続して筒状になっていることが望ましいが、一部又は全部の孔14の突出部14eが、孔14の周方向の一部のみに形成されていてもよい。突出高さ14h,14i,14j(光学顕微鏡を用いて測定される圧力を加えない状態での見かけの高さ)は0.2〜1.2mm程度であることが好ましい。また、突出部14eにおける、最も高い突出高さ14iは、最も低い突出高さ14jの1.1〜1.4倍程度であることが好ましい。突出部14eの突出高さは孔14の周方向に変化してもよい。
【0082】
例えば、
図10(a)(b)(d)に示す例のような一方向に長い形状の孔14をピンの挿入により形成すると、孔14の縁部の繊維が外側又は垂直方向に退けられ、孔14の長手方向の対向部分の突出高さiが、長手方向と直交する方向の対向部分の突出高さjよりも高い突出部(バリ)14eが形成される。孔14の突出部14eは、繊維密度がその周囲の部分と比べて低くなっていてもよいが、同程度又は高くなっているのが好ましい。
【0083】
有孔不織布の構成繊維の繊度、目付け及び厚みは適宜定めることができるが、通常の場合、それぞれ1.8〜6.0dtex程度、15〜25g/m
2程度、0.1〜1.3mm程度であると好ましい。また、有孔不織布のMD方向(幅方向)の剛軟度は、穿孔加工前の無孔の状態で35〜100mm、特に40〜70mmであると好ましく、穿孔加工後の状態では10〜50mm、特に15〜40mmであると好ましい。
【0084】
(伸縮領域)
外装体12F,12Bには、外側不織布層12S及び内側不織布層12H間に細長状の弾性部材19が設けられ、弾性部材19の伸縮に伴って幅方向WDに弾性伸縮する伸縮領域A2が形成されている。すなわち、この伸縮領域A2は、自然長の状態では外側不織布層12S及び内側不織布層12Hが弾性部材の収縮に伴って収縮し、多数の襞を有する状態となる。また、この伸縮領域A2を幅方向WDに伸長すると、外側不織布層12S及び内側不織布層12Hが襞なく伸び切る所定の伸長率まで伸長する。弾性部材19としては、細長状のものであれば、糸状、紐状、帯状を問わず用いることができる。また、弾性部材19としては合成ゴムを用いても、天然ゴムを用いても良い。
【0085】
図11及び
図13に示すように、弾性部材19は、少なくとも伸縮領域A2における伸縮方向EDの両端部が外側不織布層12S及び内側不織布層12Hに固定される。弾性部材19の固定手段は特に限定されないが、ホットメルト接着剤19Hを用いることが好ましい。一つの好ましい形態は、
図11に示すように、コームガンやシュアラップノズル等の塗布手段により、弾性部材19における伸縮方向EDの両端部の外周面にホットメルト接着剤19Hを間欠的に塗布した後、この弾性部材19を外側不織布層12S及び内側不織布層12H間に挟むものである。この場合、弾性部材19は、その配置部位で、伸縮領域における伸縮方向EDの両端部のみが外側不織布層12S及び内側不織布層12Hにホットメルト接着剤19Hを介して固定される。より簡単な形態は、図示しないが、コームガンやシュアラップノズル等の塗布手段により弾性部材19の外周面にホットメルト接着剤を連続的に塗布した後、この弾性部材19を外側不織布層12S及び内側不織布層12H間に挟むものである。この場合、弾性部材19は、その配置部位で、伸縮領域における伸縮方向EDの両端部はもちろん、その長手方向全体が外側不織布層12S及び内側不織布層12Hに固定される。他の形態としては、
図13に示すように、外側不織布層12S及び内側不織布層12Hの少なくとも一方の対向面における、弾性部材19の伸縮方向EDの両端部の配置位置にホットメルト接着剤19Hを塗布した後、外側不織布層12S及び内側不織布層12Hの間に弾性部材を挟むこともできる。この場合、ホットメルト接着剤19Hは、図示例のように直交方向XDに連続していてもよいし、図示しないが直交方向XDに間欠的に配置されていてもよい。さらに、これらの場合、ホットメルト接着剤19Hの連続部分は図示例のように複数本の弾性部材にわたっていてもよい。
【0086】
図示例のようなパンツタイプ使い捨ておむつの場合、弾性部材19、すなわち伸縮領域は以下の部位に設けることが望ましい。すなわち、外装体12F,12Bのウエスト部Wにおける外側不織布層12S及び内側不織布層12H間には、幅方向WDの全体にわたり連続するように、複数のウエスト部弾性部材17が前後方向に間隔を空けて取り付けられている。また、ウエスト部弾性部材17のうち、ウエスト下方部Uに隣接する領域に配設される1本又は複数本については、内装体200と重なっていてもよいし、内装体200と重なる幅方向中央部を除いてその幅方向両側にそれぞれ設けてもよい。このウエスト部弾性部材17としては、太さ155〜1880dtex、特に470〜1240dtex程度(合成ゴムの場合。天然ゴムの場合には断面積0.05〜1.5mm
2、特に0.1〜1.0mm
2程度)の糸ゴムを、4〜12mmの間隔で3〜22本程度設けるのが好ましく、これによるウエスト部Wの幅方向WDの伸長率は150〜400%、特に220〜320%程度であるのが好ましい。また、ウエスト部Wは、その前後方向LDの全てに同じ太さのウエスト部弾性部材17を用いたり、同じ伸長率にしたりする必要はなく、例えばウエスト部Wの上部と下部で弾性部材17の太さや伸長率が異なるようにしてもよい。
【0087】
また、外装体12F,12Bのウエスト下方部Uにおける外側不織布層12S及び内側不織布層12H間には、細長状弾性部材からなるウエスト下方部弾性部材15が複数本、前後方向に間隔を空けて取り付けられている。
【0088】
ウエスト下方部弾性部材15としては、太さ155〜1880dtex、特に470〜1240dtex程度(合成ゴムの場合。天然ゴムの場合には断面積0.05〜1.5mm
2、特に0.1〜1.0mm
2程度)の糸ゴムを、1〜15mm、特に3〜8mmの間隔で5〜30本程度設けるのが好ましく、これによるウエスト下方部Uの幅方向WDの伸長率は200〜350%、特に240〜300%程度であるのが好ましい。
【0089】
また、後側外装体12Bの臀部カバー部Cにおける外側不織布層12S及び内側不織布層12H間には、細長状弾性部材からなるカバー部弾性部材16が複数本、前後方向に間隔を空けて取り付けられている。
【0090】
カバー部弾性部材16としては、太さ155〜1880dtex、特に470〜1240dtex程度(合成ゴムの場合。天然ゴムの場合には断面積0.05〜1.5mm
2、特に0.1〜1.0mm
2程度)の糸ゴムを、5〜40mm、特に5〜20mmの間隔で2〜10本程度設けるのが好ましく、これによるカバー部の幅方向WDの伸長率は150〜300%、特に180〜260%であるのが好ましい。
【0091】
前側外装体12Fに鼠径カバー部を設ける場合には同様にカバー部弾性部材を設けることができる。
【0092】
(非伸縮領域)
図示例のウエスト下方部Uや臀部カバー部Cのように、吸収体56を有する前後方向範囲に弾性部材15,16を設ける場合には、その一部又は全部において吸収体56の幅方向WDの収縮を防止するために、吸収体56と幅方向WDに重なる部分の一部又は全部を含む幅方向中間(好ましくは内外接合部201の全体を含む)が非伸縮領域A1とされ、その幅方向両側が伸縮領域A2とされる。ウエスト部Wは幅方向WDの全体にわたり伸縮領域A2とされるのが好ましいが、ウエスト下方部Uと同様に、幅方向中間に非伸縮領域A1を設けても良い。
【0093】
伸縮領域A2及び非伸縮領域A1は、内側不織布層12Hと、外側不織布層12Sとの間に、弾性部材15,16を供給し、弾性部材15,16を伸縮領域A2における少なくとも伸縮方向EDの両端部でホットメルト接着剤を介して固定し、非伸縮領域A1となる領域では固定せず、非伸縮領域A1となる領域において、弾性部材15,16を幅方向中間の1か所で加圧及び加熱により切断するか、又は弾性部材15,16のほぼ全体を加圧及び加熱により細かく切断し、伸縮領域A2に伸縮性を残しつつ非伸縮領域A1では伸縮性を殺すことにより構築することができる。前者の場合、
図4に示すように、非伸縮領域A1には、伸縮領域A2の弾性部材15,16から連続する切断残部が不要弾性部材18として単独で自然長まで収縮した状態で、外側不織布層12S及び内側不織布層12H間に残ることとなり、後者の場合、図示しないが、伸縮領域A2の弾性部材15,16から連続する切断残部、及び両方の伸縮領域A2の弾性部材15,16と連続しない弾性部材の切断片が不要弾性部材として単独で自然長まで収縮した状態で、外側不織布層12S及び内側不織布層12H間に残ることになる。
【0094】
(外側不織布層及び内側不織布層の接合構造)
伸縮領域A2には、
図11〜
図15に示すように、シート接合部70が、少なくとも伸縮方向EDに間隔を空けて繰り返し設けられている。したがって、孔14以外の部分における通気性、柔軟性も確保される。シート接合部70は、
図17に示す例のように複数の孔14を通るように直交方向XDに連続(伸縮領域A2の直交方向XDの全体にわたり連続する場合のほか、複数の弾性部材19と交差する一部の範囲のみ連続する場合も含む)していてもよいし、
図11に示す例のように伸縮方向EDだけでなく直交方向XDにも間隔を空けて形成してもよい(つまり、図示例のように一つの孔14に対して一つ設けられるだけでもよい)。いずれにせよ、本伸縮構造では、
図12(c)(d)、
図14(c)(d)及び
図15(c)(d)に示すように、弾性部材19の収縮に伴い、外側不織布層12S及び内側不織布層12Hにおけるシート接合部70間に位置する部分がそれぞれ収縮し、互いに反対向きに膨らんで襞80が形成される。この襞80は
図18(a)(b)に示すように、直交方向XDに延びるものとなる。
【0095】
シート接合部70の寸法等は適宜定めることができるが、通常の場合、シート接合部70の伸縮方向EDの寸法70Wは0.5〜4mmであり、シート接合部70の伸縮方向EDの間隔70xは2.5〜10.0mmであると好ましい。また、
図11や
図13に示す例のように、シート接合部70が伸縮方向EDだけでなく、直交方向XDにも間隔を空けて設けられている場合、シート接合部70の直交方向XDの寸法70Lは0.5〜4mmであり、シート接合部70の直交方向XDの間隔70yは1.0〜5.0mmであると好ましい。
【0096】
図示例のシート接合部70は、外側不織布層12S及び内側不織布層12Hがホットメルト接着剤14H溶着を介して接合された部分であるが、外側不織布層12S及び内側不織布層12Hが溶着された部分であってもよい。
【0097】
前述のとおり、伸縮構造における孔14の配列は、シート接合部70における伸縮方向EDの中央部に設けられた孔14が直交方向XDに間隔を空けて並ぶ第1の孔列91と、伸縮方向EDにおける隣り合うシート接合部70の間の中央部に設けられた孔14が直交方向XDに間隔を空けて並ぶ第2の孔列92とが、伸縮方向EDに間隔を空けて交互に繰り返すものとなっている。したがって、本伸縮構造では、第1の孔列91はシート接合部70に位置し、第2の孔列92は伸縮方向EDにおける隣り合うシート接合部70の間の中央部に位置するため、第1の孔列91の孔14は襞80の間の谷底に位置し、第2の孔列92の孔14は襞80の頂部に位置することとなる。よって、自然長の状態等のようにある程度収縮した状態では、
図18(a)に示すように襞80の頂部に第2の孔列92が露出するとともに、襞80間の谷底に第1の孔列91が隠れる。また、装着状態等のようにある程度伸長した状態では、
図18(c)に示すように襞80の間隔が開いて、第1の孔列91も露出するようになる。
【0098】
そして、本伸縮構造では、孔14の寸法が一律になっておらず、第1の孔列91における孔14の伸縮方向寸法91Wが、第2の孔列92における孔14の伸縮方向寸法92Wより長いものとなっている。つまり、本伸縮構造は、第1の孔列91及び第2の孔列92の両方により通気性を向上させること基本とするものである。ここで、第1の孔列91は、その大きさが襞80の頂部の形状にほとんど影響しないのに対し、第2の孔列92はその大きさが襞80の頂部の形状に強く影響する。本伸縮構造はこれを巧みに利用するものである。すなわち、第1の孔列91の孔14の伸縮方向寸法91Wを第2の孔列92の孔14の伸縮方向寸法92Wよりも大きくすることにより、全体としての通気性をより一層向上させつつ、その通気性向上の割には襞80の外観は損なわれないものとすることができる。
【0099】
第1の孔列91における孔14の伸縮方向寸法91W、及び第2の孔列92における孔14の伸縮方向寸法92Wは適宜定めることができるが、通常の場合、第1の孔列91における孔14の伸縮方向寸法91Wは、第2の孔列92における孔14の伸縮方向寸法92Wの1.5〜3.0倍であり、第2の孔列92は、隣り合うシート接合部70の間に位置することが好ましい。
【0100】
孔14の配列は限定されるものではないが、第1の孔列91ではシート接合部70及び孔14は組み合わされて配置される。そして、シート接合部70の配置は襞80の形状に影響する。よって、これら考慮すると、すべての孔14を合わせたときの孔14の配列は、直交方向XDに直線的に間隔を空けて並ぶ孔14の列が伸縮方向EDに間隔を空けて繰り返す行列状であり、第1の孔列91ではシート接合部70の伸縮方向EDの中心と、孔14の伸縮方向EDの中心とが一致していると、襞が直交方向XDに沿って直線的に延び、スッキリとした外観となるため好ましい。ここで、シート接合部70の伸縮方向EDの寸法70Wは、第1の孔列91における孔14の伸縮方向EDの寸法14Wの1.5〜2.0倍であり、第1の孔列91及び第2の孔列92における孔14の直交方向XDの間隔14yが、第1の孔列91及び第2の孔列92の伸縮方向EDの間隔14xの0.1〜1.0倍であると、さらに好ましいものとなる。このように孔14が直交方向XDに狭い間隔で直線的な列をなしており、かつシート接合部70の両側縁が孔14の両側近傍に位置していると、孔14の列の方向に沿ってかつ孔14を有する部分が谷底となるように折れやすくなるため、有孔不織布における襞が直交方向XDに沿ってより綺麗に形成されるようになる。
【0101】
この行列配列における具体的な孔14の寸法・配置、弾性部材の配置は適宜定めることができるが、以下の範囲内であると特に好ましい。
シート接合部70の伸縮方向EDの寸法70Wが0.5〜4mmであり、
シート接合部70の伸縮方向EDの間隔70xが2.5〜10.0mmであり、
第1の孔列91における孔14の伸縮方向EDの寸法91W:0.3〜3.0mm
第2の孔列92における孔14の伸縮方向EDの寸法92W:0.1〜2.0mm
第1の孔列91における孔14の直交方向XDの寸法91L:0.3〜5.0mm
第2の孔列92における孔14の直交方向XDの寸法92L:0.1〜5.0mm
第1の孔列91及び第2の孔列92における孔14の直交方向XDの間隔91y,92y:1.0〜5.0mm
第1の孔列91及び第2の孔列92の伸縮方向EDの間隔91x,92x:2.5〜10.0mm
直交方向XDにおける弾性部材19の間隔:5〜10mm
【0102】
シート接合部70を伸縮方向EDだけでなく、直交方向XDにも間隔を空けて設ける場合、第1
の孔列
91に、孔14と孔14の縁部を対向する不織布に接着するシート接合部70との組が、直交方向XDに間隔を空けて並んでいることが好ましい。前述のように、この伸縮構造では、自然長時やある程度収縮した装着状態では、
図12(c)(d)、
図14(c)(d)及び
図15(c)(d)に示すように、弾性部材19の収縮に伴い、外側不織布層12S及び内側不織布層12Hにおけるシート接合部70間に位置する部分がそれぞれ収縮し、互いに反対向きに膨らんで襞が形成される。この襞は直交方向XDに延びるものとなる。
図12(d)、
図14(d)及び
図15(d)に示すように、シート接合部70の直交方向XDの間隔部分は、外側不織布層12S及び内側不織布層12Hともに襞80と襞80との間の谷部となる。ここで、シート接合部70がホットメルト接着剤14Hにより接着されていると、シート接合部70とそれ以外の部分における圧縮の程度がほとんど変わらないため、加圧溶着の場合と比べて、シート接合部70の直交方向XDの間隔部分が反対向きに膨らみにくい。その上、本伸縮構造では、有孔不織布における各孔14の径は、対向する不織布150層側と反対側から対向する不織布層側に向かうにつれて小さくなっている。このように、孔14の径が、対向する不織布層側と反対側から対向する不織布層側に向かうにつれて小さくなっていると、孔14及びその近傍では、対向する不織布層と反対側の面が谷折りとなるように折れやすい。ここで、本伸縮構造では孔14とシート接合部70が同配置となるため、シート接合部70の直交方向XDの間隔部分は、その両側に隣接する孔14及びその近傍が谷折りになりやすい影響を受け、同じ方向に折れやすくなる。つまり、シート接合部70の直交方向XDの間隔部分は反対向きに膨らみにくくなる。これは、シート接合部が接着不十分等により剥離したとしても同様である。そして、シート接合部70の直交方向XDの間隔部分は反対向きに膨らみにくくなる結果、襞80が枝分かれしたり、谷部が部分的に広くなったりしにくくなり、全体として、孔14の列に沿って延びる整った襞80が形成されやすくなる。換言すると、ある程度整った襞80を形成する場合、シート接合部70の直交方向XDの間隔部分を加圧溶着の場合よりも広くできるようになり、より柔軟な伸縮構造とすることが可能となる。しかも、シート接合部70がホットメルト接着である場合、シート接合部70と弾性部材19とが交差しても問題がないため、製造も容易となる。
【0103】
孔14の縁部を対向する不織布に接着する場合における代表的な接着状態としては、
図16(a)に示すように、孔14と重なる部分の全体、及び孔14の縁部が、ホットメルト接着剤14Hを介して対向する不織布層12Hに接着されている状態、
図16(b)(c)に示すように、孔14の中央部を取り囲み、かつ孔14の縁部を含む環状部分のみが、ホットメルト接着剤14Hを介して対向する不織布層12Hと接着されている状態を例示することができる。後者のように、孔14の近傍の環状部分のみをシート接合部70とすることにより、通気性及び柔軟性により優れたものとなる。また、孔14内にホットメルト接着剤14Hがはみ出ているとしても、孔14の中央部にはホットメルト接着剤14Hは存在せず、また、孔14を有する部分は襞80の間の谷底に位置するため、ホットメルト接着剤14Hは肌に触れにくいものとなる。なお、
図16に示す例は、いずれも対向面に突出部14eが形成されているものである。
図16(a)に示す状態は、突出部及びその内側の全体にホットメルト接着剤14Hが存在し、
図16(b)に示す状態は、ほぼ突出部14eしかホットメルト接着剤14Hが存在せず、
図16(c)に示す状態は孔14と重なる部分の周縁部、及び突出部14eの外側にホットメルト接着剤14Hが存在するものである。
【0104】
孔14及びシート接合部70は、伸縮領域A2だけに設けることもできるが、
図8及び
図9に示す例のように、非伸縮領域A1を含むより広範囲の領域にわたり設けることができる。
【0105】
<明細書中の用語の説明>
明細書中の以下の用語は、明細書中に特に記載が無い限り、以下の意味を有するものである。
【0106】
・「前後(縦)方向」とは腹側(前側)と背側(後側)を結ぶ方向を意味し、「幅方向」とは前後方向と直交する方向(左右方向)を意味する。
【0107】
・「MD方向」及び「CD方向」とは、製造設備における流れ方向(MD方向)及びこれと直交する横方向(CD方向)を意味し、いずれか一方が前後方向となるものであり、他方が幅方向となるものである。不織布のMD方向は、不織布の繊維配向の方向である。繊維配向とは、不織布の繊維が沿う方向であり、例えば、TAPPI標準法T481の零距離引張強さによる繊維配向性試験法に準じた測定方法や、前後方向及び幅方向の引張強度比から繊維配向方向を決定する簡易的測定方法により判別することができる。
【0108】
・閉じた平面形状に関して「中心」とは、中心を有しない図形の場合には重心意味する。
【0109】
・「表側」とはパンツタイプ使い捨ておむつを着用した際に着用者の肌に近い方を意味し、「裏側」とはパンツタイプ使い捨ておむつを着用した際に着用者の肌から遠い方を意味する。
【0110】
・「表面」とは部材の、パンツタイプ使い捨ておむつを着用した際に着用者の肌に近い方の面を意味し、「裏面」とはパンツタイプ使い捨ておむつを着用した際に着用者の肌から遠い方の面を意味する。
【0111】
・「面積率」とは単位面積に占める対象部分の割合を意味し、対象領域(例えば不織布)における対象部分(例えば孔)の総和面積を当該対象領域の面積で除して百分率で表すものである。対象部分が間隔を空けて多数設けられる形態では、対象部分が10個以上含まれるような大きさに対象領域を設定して、面積率を求めることが望ましい。例えば、孔の面積率は、例えばKEYENCE社の商品名VHX−1000を使用し、測定条件を20倍として、以下の手順で測定することができる。
(1)20倍のレンズにセットし、ピントを調節する。穴が4×6入るように不織布の位置を調整する。
(2)孔の領域の明るさを指定し、孔の面積を計測する。
(3)「計測・コメント」の「面積計測」の色抽出をクリックする。孔の部分をクリックする。
(4)「一括計測」をクリックし、「計測結果ウィンドを表示」にチェックを入れ、CSVデータで保存をする。
【0112】
・「伸長率」は、自然長を100%としたときの値を意味する。
【0113】
・「ゲル強度」は次のようにして測定されるものである。人工尿(尿素:2wt%、塩化ナトリウム:0.8wt%、塩化カルシウム二水和物:0.03wt%、硫酸マグネシウム七水和物:0.08wt%、及びイオン交換水:97.09wt%を混合したもの)49.0gに、高吸収性ポリマーを1.0g加え、スターラーで攪拌させる。生成したゲルを40℃×60%RHの恒温恒湿槽内に3時間放置したあと常温にもどし、カードメーター(I.techno Engineering社製:Curdmeter−MAX ME−500)でゲル強度を測定する。
【0114】
・「目付け」は次のようにして測定されるものである。試料又は試験片を予備乾燥した後、標準状態(試験場所は、温度23±1℃、相対湿度50±2%)の試験室又は装置内に放置し、恒量になった状態にする。予備乾燥は、試料又は試験片を温度100℃の環境で恒量にすることをいう。なお、公定水分率が0.0%の繊維については、予備乾燥を行わなくてもよい。恒量になった状態の試験片から、試料採取用の型板(100mm×100mm)を使用し、100mm×100mmの寸法の試料を切り取る。試料の重量を測定し、100倍して1平米あたりの重さを算出し、目付けとする。
【0115】
・「厚み」は、自動厚み測定器(KES−G5 ハンディ圧縮計測プログラム)を用い、荷重:0.098N/cm
2、及び加圧面積:2cm
2の条件下で自動測定する。
【0116】
・「剛軟度」は、JIS L 1096:2010「織物及び編物の生地試験方法」の「8.21.1 A法(45°カンチレバー法)」を意味する。有孔不織布における穿孔加工前(無孔不織布)の値は、穿孔加工前の無孔不織布が入手できない場合には、孔の有無以外(繊維組成、繊度、目付け、厚み等)はすべて同じ不織布を用意して測定を行うものとする。
【0117】
・吸水量は、JIS K7223−1996「高吸水性樹脂の吸水量試験方法」によって測定する。
【0118】
・吸水速度は、2gの高吸収性ポリマー及び50gの生理食塩水を使用して、JIS K7224‐1996「高吸水性樹脂の吸水速度試験法」を行ったときの「終点までの時間」とする。
【0119】
・「展開状態」とは、収縮や弛み無く平坦に展開した状態を意味する。
【0120】
・各部の寸法は、特に記載が無い限り、自然長状態ではなく展開状態における寸法を意味する。
【0121】
・試験や測定における環境条件についての記載が無い場合、その試験や測定は、標準状態(試験場所は、温度23±1℃、相対湿度50±2%)の試験室又は装置内で行うものとする。
【解決手段】外側不織布層12S及び内側不織布層12Hの間に伸縮方向EDに沿って延びる複数本の細長状の弾性部材19を有し、外側不織布層12Sは、厚み方向に貫通する孔14が配列された有孔不織布であり、シート接合部70は、少なくとも伸縮方向EDに間隔を空けて設けられており、孔14の配列は、シート接合部70における伸縮方向EDの中央部に設けられた孔14が直交方向XDに間隔を空けて並ぶ第1の孔列91と、伸縮方向EDにおける隣り合うシート接合部70の間の中央部に設けられた孔14が直交方向XDに間隔を空けて並ぶ第2の孔列92とが、伸縮方向EDに間隔を空けて交互に繰り返すものであり、第1の孔列91における孔14の伸縮方向寸法91Wが、第2の孔列92における孔14の伸縮方向寸法92Wより長い、使い捨て着用物品の伸縮構造である。