(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記複数のストラットのそれぞれは、前記ストラットに外力が加えられていない状態から前記内視鏡先端部アセンブリの前方または後方に傾斜させるために要する力が前記ストラットの厚みの三乗に比例する、
請求項1に記載の内視鏡先端部アセンブリ。
前記内視鏡挿入部を前記体内から抜き取る際の前記ストラットの前記ベースに対する角度と前記体内からの抜き力量から前記挿入力量を引いた値である挿抜力量差とには相関がある、
請求項1に記載の内視鏡先端部アセンブリ。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下で説明され、添付の図面に示される本開示の例示的な実施形態が、詳細に参照される。可能な限り、同じ参照番号は、全ての図面を通して同じまたは同様のパーツを指すように用いられる。
【0026】
本開示の目的のため、「内視鏡」は、医療処置中に患者に挿入する任意の好適な種類のスコープを指してよい。例えば内視鏡として、結腸鏡、十二指腸内視鏡、胃カメラ、S状結腸鏡、小腸鏡、尿管鏡、および気管支鏡が挙げられる。「処置」という用語は、概して任意の目的のために患者に内視鏡を挿入することを指し、以下に限定されないが、手術、生体組織検査、診断、治療、視覚化、装置の埋め込みもしくは除去、吸引、または吸入を含む。
【0027】
詳細な説明を提供する前に、以下の概説によって企図される実施形態の全体を説明する。本開示の内視鏡先端部アセンブリ17は、内視鏡の遠位端に付属するように、ならびに、体の管腔内に内視鏡を挿入する際は流線形となるよう、および、内視鏡を回収するときには対象領域の検査を容易にするために、体の管腔を拡張するように広がる構成となるよう、構成される。
【0028】
内視鏡先端部アセンブリ17は、取り付けベース4を含む。ベース4は、内視鏡の遠位端を受け、それによってベース4の内面が内視鏡の外側頂部に付属するように構成される。したがってベース4は、その内径が内視鏡頂部の径よりもわずかに大きくなり相補的な形状を有するようサイズが決められてよい。具体的には、下記でさらに説明するように、ベース4は内視鏡の硬質の頂部に受け入れられるように構成され、所定の位置に摺動、回転、または摩擦嵌合されてよい。ベースの外面は、下記でさらに説明するように、回収の際にストラットの底面を支持する役割を担ってよい。
【0029】
ベース4は、下記で説明するように、ストラット3およびウェビング2に取り付けられる単一の構成単位として存在してよい。ベース4は、下記で説明するように、例えば軸スリーブ22およびスリーブロック23など、別個のパーツを含んでよい。代替で、ベース4は、軸スリーブ30およびスリーブロック25を含んでよい。別の実施形態において、ベース4は、軸スリーブ27、スリーブロック26、およびストラット支持環28を含んでよい。さらに別の実施形態として、ベース4は、軸スリーブ27および遠位キャップ29を含んでよい。上述の実施形態において、構成要素は、ストラット3およびウェビング2を支持するよう、内視鏡の頂部をしっかり把持するよう、処置中に内視鏡先端部アセンブリが外れるのを防止するように、協働する。
【0030】
ベース4は、複数の把持窓(gripping window)19または複数の圧力パッド24を含んでよい。回収時、ストラット3は把持窓19を突くか、または圧力パッド24を押圧してよい。ストラット3が把持窓19または圧力パッド24のいずれか一方に圧力を加えると、その力は、把持窓19または圧力パッド24のいずれか一方と、内視鏡の硬質の頂部の外面との間の滑り摩擦を大きくすることができる。摩擦を増加させるこの自動ロックの働きは、処置中に内視鏡先端部アセンブリ17が内視鏡から外れるのを防止するのに役立ち得る。
【0031】
ウェビング2は、厚さのあるストラット3と協働して、ベース4から広がる折畳み傘部を画定する。
【0032】
ストラット3は、断面形状が長軸と短軸とを有する扁平な形状であってもよい。換言すると、ストラット3は、ベース4の周方向の幅に比べてベース4の表面の法線方向の厚みが小さい細長の形状であってもよい。また、ストラット3の先端は湾曲形状であってもよい。ストラット3は、ベース4から広がってよく、体の管腔に挿入する際にはより流線形で折りたたまれた外形となるように、回収の際には大きく広がった外形となるように、ベース4に対して曲がるように構成されてよい。折りたたまれた構成において、ストラット3は、内視鏡先端部アセンブリ17が取り付けられる内視鏡の軸に対して実質的に平行となるよう、折込むように構成されてよい。広がった構成においてストラット3は、内視鏡が挿入される体の管腔を緩やかに押すために、内視鏡の軸から離れるように、かつ体の管腔の周辺に向かって広がるように構成されてよい。したがって、広がったときにストラット3は、内視鏡先端部アセンブリ17を囲む体の管腔領域を拡張するために、体の管腔の周辺に圧力を加えてよい。
【0033】
ストラット3は、傘の材料が傘の骨の間で広がるのと同様の方法で、互いにストラット3と接続する表面を形成するウェビング2に沿って延在する。ウェビング2は、ストラット3の全長に沿って、または一部の長さに沿って延在してよい。ウェビング2は、ベース4と接触するようストラット3の下方の長さ全てにわたって延在してよい。ウェビング2は、ストラット3の頂部と同一面に設置されてよい。ウェビング2は、ストラット3の頂部とウェビング2の遠位縁部との間の長さ31を残して、ストラットの一部のみ覆ってよい。または、ウェビング2は、ストラット3の頂部を越えて延在してよい。
【0034】
広がった構成において、ストラット3の頂部間に広がることによって、かつストラット3を互いに接続することによって、ウェビング2は、ストラット3によって体の管腔に加えられる力を、大きい表面領域にわたってより均一に分配する。体の管腔に外傷を与えることがある高い圧力を、ストラット3が管腔に加える代わりに、ウェビング2およびストラット3は、連続した接触面を協働して作り出す。その接触面にわたって、広がったストラット3の力が体の管腔の周辺に沿って分配される。
【0035】
したがって、ストラット3の接触領域の周りを中心とした、いくつかの高い圧力を伴う接触領域となる代わりに、本開示の装置は、いくつかのバルーン装置と同様の、より広い、拡散した、より低い圧力を伴う接触領域を作り出す。
【0036】
例えば、示された実施形態における八本のストラット3を合計して計算した面積は、概ね480mm
2であってよく、ウェビング2の計算した合計面積は、概ね1,670mm
2であってよい。しかし、パッシブ内視鏡先端部アセンブリ17は、そうしたアクティブバルーン装置のような技術的な制限および困難がない。内視鏡先端部アセンブリ17の例示的な実施形態および詳細は、以下でさらに説明される。
【0037】
次に、本開示の一実施形態による、休止状態にある例示的な内視鏡先端部アセンブリ17を示す図である、
図1を参照する。内視鏡先端部アセンブリ17は、ベース4を含む。上述のように、ベース4は、内視鏡の遠位端に嵌合して付属するように構成されてよい。ベース4は、体の管腔内で操作しているときに、使用中の内視鏡先端部アセンブリ17が内視鏡から外れるのを防止するように設計される。この目的で、例えばベース4の内面と内視鏡頂部の外面との間の摩擦を大きくするため、ベース4は、表面加工、突起部、および/または圧点を含んでよい。
【0038】
図1に示されるように、例示的な内視鏡先端部アセンブリ17は、一つ以上のクラッシュリブ11を含んでよい。クラッシュリブ11は、ベース4の内面から突出して内視鏡と接触し、ベース4と内視鏡頂部との間の接触圧を高めることができる。それによって滑り摩擦が大きくなり、処置中に内視鏡先端部アセンブリ17が内視鏡から外れるのを防止する。クラッシュリブ11は、ベース4の軸に沿って延在するか、または軸に対して角度を付けて、もしくは軸に対して垂直に延在してよい。クラッシュリブ11は、複数の別個のリブを含んでよく、または、ベース4の一端から他端へ、もしくはベース4の全周縁を囲んで延在してよい。
【0039】
いくつかの実施形態において、クラッシュリブ11は、ベース4の周縁を囲む円形またはスクリュー状のデザインを形成してよい。いくつかの実施形態において、クラッシュリブ11は、互いに平行、互いに角度付き、または摩擦を大きくするための任意の適切な配置、とすることができる。クラッシュリブ11は、一端で、例えば近位端にテーパーが付いて、漏斗形または円錐形になってよい。これによって、取り付けられる内視鏡の硬質の遠位部との係合を容易にし得る。さらに、クラッシュリブ11は、均質もしくは中空でよく、または、均質領域および中空領域の両方を有してもよい。
【0040】
クラッシュリブ11は、内視鏡と係合する際に、または、内視鏡から装置を外す間もしくは体内の内視鏡を回収する間に、圧力が内視鏡先端部アセンブリ17に加えられるときに、わずかに変形するよう構成されてよい。クラッシュリブ11は、下記で説明するが、任意の適切な材料で形成されてよい。クラッシュリブ11は、例えば約0.2mmから約0.7mmの範囲で、ベース4の内面から適切な量だけ突出してよい。下記で説明するが、クラッシュリブ11を含んだ内径は、内視鏡の外径よりも小さくてよい。したがって内視鏡先端部アセンブリ17の、クラッシュリブ11を含んだ内径は、成人用の装置では約12.75mmから約15mmの範囲で、小児用の装置では約8.75mmから12mmの範囲であってよく、ベース4およびクラッシュリブ11が製造される材料のデュロメータに依存する。クラッシュリブ11がない場合、ベース4の径は、成人用の装置では約12.25mmから約15mmの範囲で、小児用の装置では約8.25mmから12mmの範囲であってよい。ベース4の内径は、クラッシュリブ11が取り付けられる表面と同一面になるように、同じ径であってよい。別の実施形態において、ベース4の内径は、クラッシュリブ11が取り付けられる表面の径とは異なる径でよい。
【0041】
ベース4およびクラッシュリブ11を形成するために使用され得る材料の例として、熱可撓性エラストマー(例えば、ポリウレタンもしくはサントプレーン(登録商標))、熱硬化性樹脂(たとえば、ゴムおよびシリコーンゴム)、または任意の他の好適な材料が挙げられる。ベース4およびクラッシュリブ11を形成する材料の、デュロメータによる硬度は、約20Aから約70Aの範囲であってよい。
【0042】
代替として、ベース4の内面は、実質的に滑らかであってよく、または、ベース4の内面にわたって延在する表面加工パターンを含んでよく、かつクラッシュリブ11を含まなくてよい。例えば内面は、内視鏡先端部アセンブリ17の内視鏡上における位置を維持する、被覆または表面加工を含んでよい。いくつかの実施形態において、ベース4および/またはベース4の内面は、大きい摩擦係数を有する材料で形成されてよい。またはいくつかの実施形態において、滑らかな面もしくは表面加工面は、一つ以上のクラッシュリブ11をさらに含んでよい。
【0043】
ベース4の外面は、臨床医が内視鏡先端部アセンブリ17を、内視鏡に取り付けおよび取り外しを行うのを補助できるよう、一つ以上の隆起部、突条部、へこみ、および/またはテクスチャを含んでよい。例えば
図1に示されるように、ベース4は、その外周に位置される一つ以上のくぼみ12を含んでよい。くぼみ12は、内視鏡先端部アセンブリ17を内視鏡に取り付ける、または内視鏡から取り外すときに、臨床医がベース4を把持するのを補助し得る。
【0044】
ベース4の全体のサイズおよび形状は、内視鏡先端部アセンブリ17が付属するように構成される内視鏡の遠位端のサイズ、および形状を基準としてよい。例示的な内視鏡は、成人用の内視鏡では概ね13mmから約15mmの直径、小児用の内視鏡では約9mmから約12mmの頂部の径としてよい。いくつかの実施形態において、ベース4の内径は、約10mmから約14mmの間でよい。さらに、内視鏡先端部アセンブリ17が折りたたまれた挿入構成である場合に挿入を容易にするために、内視鏡頂部の径を実質的に大きくしないよう、ベース4が嵌合する内視鏡の表面からわずかに突出するように、ベース4の外径は構成されてよい。例えば、ベース4の外径は、約11mmから約17mmでよい。いくつかの実施形態において、内視鏡先端部アセンブリ17のベース4は、例えば装置と共に使用するよう意図される内視鏡のサイズおよび/または形状によって、様々なサイズにしてよい。
【0045】
ベース4は、内視鏡に取り付けられるときに、内視鏡先端部アセンブリ17が内視鏡の最遠位のみに係合するように、寸法を決められてよい。多くの内視鏡の最遠位は、硬質プラスチックもしくは金属で作られ得る硬質で円筒形の頂部を含み、内視鏡の端部を画定し、剛性を提供し、ならびに/または、内視鏡の遠位面に位置する光学レンズおよび他の構造を包み込み、もしくは防護する。内視鏡の湾曲部は一般に、この遠位の金属環に近接する。多くの内視鏡の湾曲部は、より可撓性で、一般的により繊細な物質から作られる。したがってこの湾曲部は、より簡単に穴が開き、もしくは損傷を受ける場合があり、このことで漏れを起こす場合があり、または別の方法で内視鏡の健全性を傷付ける、もしくは損なう場合がある。内視鏡を犠牲にすることは望ましくなく、使用中に損傷した場合、中断すなわち進行中の処置が不可能となり得る。
【0046】
したがって、通常または不定期のいずれにおいても、内視鏡の付属品を湾曲部の上を摺動させること、または別の方法で装置を内視鏡の湾曲部に直接付けることは、望ましくない場合がある。この問題を改善するために、内視鏡先端部アセンブリ17は、より繊細な湾曲部の代わりに内視鏡の硬質の頂部と相互作用するように設計される。したがってベース4は、湾曲部に重なることなく、内視鏡の硬質の頂部と嵌合するように寸法を決められてよい。さらに、内視鏡先端部アセンブリ17は内視鏡の遠位頂部に据えられるので、より良好な視認性を提供できる。なぜなら、光学レンズが位置する内視鏡の遠位面に近い領域で、体の管腔が広げられ得るからである。
【0047】
しかし、他の装置は通常、使用中に内視鏡から外れるのを防止するために、湾曲部に付けられるよう設計される。一般に、内視鏡の付属品を所定の位置に保つためには、内視鏡の付属品が内視鏡の頂部と相互作用して内視鏡の頂部に付くほうがずっと簡単であると考えられた。他の装置が、内視鏡のより後に位置するように構成され得る、または使用中の分離に抵抗するために、内視鏡との接触面積を増すようなより広い寸法をとり得る一方で、開示された装置の実施形態は、内視鏡上の所定の位置に留まりながら、より狭くてよく、かつ優先的または独占的に遠位の硬質隆起部に接触するように構成されてよい。これは、以下でさらに説明されるように、例えばクラッシュリブ11の使用、および/または他の設計を介して実現され得る。いくつかの実施形態において、内視鏡の硬質部分の上のみに意図される、内視鏡先端部アセンブリ17の位置付けによって、より堅い摩擦嵌合を提供することが可能となり得る。なぜなら、設計では湾曲部の繊細さを考慮に入れる必要がないからである。これによってベース4もまた、より硬質となり得る。ベース4の剛性はまた、臨床医が、アセンブリの下の内視鏡に圧力を加えることもなく、かつ内視鏡先端部アセンブリ17と内視鏡との間の摩擦を増すことなく、アセンブリを把持して圧力を加えることができるため、取り外しの補助もできる。
【0048】
内視鏡先端部アセンブリ17は、ベース4から径方向に外へ広がる、折畳み傘を含む。傘は、ウェビング2と、折畳み傘を挿入状態、休止状態、および回収状態の間で移行させるために曲がるように構成される複数の可撓性ストラット3と、によって形成される。
【0049】
内視鏡先端部アセンブリ17は、ベース4の任意の箇所に取り付けられる約一本から約二十本のストラット3を含んでよい。例えば、三本、四本、五本、六本、八本、または十二本のストラット3がベース4に取り付けられてよい。ストラット3は可撓性で、休止位置、挿入位置、および回収位置の間で曲がるように構成される。挿入位置において、
図7Aに示されるように、ストラット3は内視鏡の軸に沿って近位方向に曲がるように構成される。これによって、内視鏡を体に挿入しやすくなるように、流線形となる。
【0050】
一旦体の管腔に挿入されて対象領域に導かれると、内視鏡は、対象領域を視覚化するためにゆっくりと回収され得る。内視鏡が回収されるとき、ストラット3は体の管腔と係合して、内視鏡の軸から外に曲がり得る。内視鏡がさらに回収されると、
図8に示されるように、ストラット3はその頂部が遠位方向に向くまで曲がり得る。これが回収位置である。
図1に示されるように、使用しないときの内視鏡先端部アセンブリ17は、休止位置としてよく、この位置ではストラット3は内視鏡の軸からラッパ状に広がるように付勢される。休止位置における、ストラット3の自然に外に向かう付勢は、体の管腔内で挿入位置と回収位置との間を移行するのを容易にし得る。
【0051】
いくつかの実施形態において、内視鏡先端部アセンブリ17が休止位置にあるとき、ストラットの径間の合計は約30mmから約70mmの範囲でよい。内視鏡先端部アセンブリ17が挿入位置にあるとき、ストラットの径間の合計は約12mmから約18mmの範囲でよい。前述のストラットの径間は、処置および患者によって変化してよい。例えば、上部胃腸管の管腔の平均径は、下部胃腸管の平均径または他の体の管腔の平均径とは異なる場合がある。さらに、幼児または年少者の同じ体の管腔の平均径は、成人のそれとは異なる場合がある。したがって、ストラットの径間は、意図する適用を反映してよく、または個々の患者でも、ストラットの径間の適切なサイズ決めによって、望ましくない圧力を管腔に加えることなく、効果的に管腔と係合するのを容易にする。
【0052】
ストラット3はウェビング2を支持して、折りたたまれた挿入状態(折畳まれた傘と同様の外形)と、めくられた回収状態(裏返しになった傘と同様の外形)との間でウェビング2を移行させる。前述で説明したように、バルーンが管腔に圧力を加えるのと同様の方法で、ウェビング2およびストラット3は、回収状態にあるときに協働し、拡散した大きい表面積で低圧力である、体の管腔との接触領域を作り出す。例えば、
図9Aを参照する。内視鏡先端部アセンブリ17の、体の管腔に接触する部分は、例えばストラット3単独の表面とは対照的に、ウェビング2およびストラット3によって作り出されたより大きい表面積にわたって広がる。内視鏡先端部アセンブリ17によって作り出された、
図9Aの拡散した接触領域は、バルーンを備えた内視鏡によって作り出された拡散した接触領域と同様である。
【0053】
一実施形態において、休止位置の場合、
図1に示されるように、隣接するストラット3間のウェビング2には緩みがあってよい。または、
図2に示されるように、隣接するストラット3間に実質的に緩みがなくてよい。
図1に示されるように、ウェビング2はプリーツ付きのパターン1であってよい。または
図2に示されるように、プリーツ無しのパターンであってよい。プリーツ付きまたはプリーツ無しの実施形態のどちらかにおいて、ウェビング2は、
図1および
図2に示されるようにストラット3の端部と同一面に広がってよく、またはストラット3の端部を越えて広がってもよい。いくつかの実施形態において、ウェビング2は、ストラット3と同一面に広がってストラット3の端部を結合してよいが、ストラット3間の領域でストラット3の端部を越えて広がってもよく、その逆でもよい。
【0054】
一実施形態において、折畳み傘のウェビング2およびストラット3は、異なる材料で形成されてよい。例えば、ウェビング2およびストラット3は、接着剤で互いに取り付けられてよい。いくつかの実施形態において、接着剤は、RTV(室温加硫)接着剤でよい。別の実施形態において、ウェビング2およびストラット3は、プラスチック溶接または高周波溶接によって互いに取り付けられてよい。別の実施形態において、ウェビング2およびストラット3は、一様に成型されてよい。一実施形態において、ウェビング2は約0.05mmから約0.2mmの範囲の厚さであってよい。
【0055】
いくつかの実施形態において、ウェビング2がストラット3の下方まで延在せずベース4に届かない実施形態では、間隙21が生じ得る。内視鏡先端部アセンブリ17が回収位置にあり、ストラット3およびウェビング2が管腔に係合しているとき、この間隙21によって流体および気体が通り抜けることが可能になり得る。他の実施形態において、間隙21がなくてよい。いくつかの実施形態において、ベース4とウェビング2の遠位縁部との間の距離は、約1mmから約6mmの間であってよい。
【0056】
いくつかの実施形態において、ベース4は複数のくぼみ12を含んでよい。前述のように、くぼみ12は臨床医による内視鏡先端部アセンブリ17の把持を容易にして、それによって内視鏡への設置および内視鏡からの取り外しを補助し得る。しかし、
図1のくぼみ12は例示である。臨床医が内視鏡先端部アセンブリ17を把持するのを補助する、例えばベース4の外面上の隆起部、溝、または表面加工仕上げもしくは表面加工材料など、任意の適切な設計またはパターンが本開示によって企図される。
【0057】
ウェビング2、ストラット3、ベース4、またはクラッシュリブ11は、同じ材料で作られてよく、異なる材料で作られてもよい。好適な材料として、熱硬化性樹脂(たとえば、ゴムもしくはシリコーンゴム)、熱可塑性エラストマー(例えば、熱可塑性ポリウレタンもしくはサントプレーン(登録商標)、または他の好適な生体適合材料)が挙げられる。ウェビング2は、熱可塑性ポリウレタンフィルム、任意の好適なポリマー、または任意の好適な生体適合材料からも作られてよい。ウェビング2、ストラット3、ベース4、またはクラッシュリブ11のうちの一つ以上はさらに、例えば滑らかな被覆または抗菌性の被覆など、好適な被覆を含んでもよい。
【0058】
次に、本開示の別の実施形態による、明確にするためにウェビング2を描かない内視鏡先端部アセンブリ17の、それぞれ遠位および近位から見た
図3および
図4を参照する。これらの図において、例示的なベース4の内面がより明確に見ることができる。図に示されるように、ストラット3は、ベース4の内面に取り付けられ、ベース4の内側表面から広がり、ベース4の縁を回り込み、そしてストラット3の先端へ向けてベース4から外径方向へ拡がる。ストラット3は、ベース4の内面から広がり、ベース4の縁辺を越え、ベース4からラッパ状に広がってストラット3の先端に至る。
【0059】
ストラット3は、いくつかの実施形態においては硬質であり得るベース4よりも、可撓性が大きくてよい。ストラット3のベース4への取り付けについて、以下でさらに詳細に記載される。前述の説明およびここでより詳細に示されるように、クラッシュリブ11により、硬質の内視鏡頂部と内視鏡先端部アセンブリ17との間の滑り摩擦を大きくすることができる。クラッシュリブ11は例であって、滑り摩擦を大きくする他の方法が、例えば隆起部または表面加工を含む上記の説明のように企図される。
【0060】
いくつかの実施形態において、ストラット3は、硬質であり得るベース4よりも可撓性が大きくてよい。いくつかの実施形態において、ストラットはシリコーンから作られてよく、ベース4はポリカーボネートまたはポリスルホンから作られてよい。これらの材料は、相当な剛性を有し、医療用で、射出成型が可能で、かつシリコーンのオーバーモールド中にシリコーンのストラットを急速に硬化できる、高いガラス転移温度を有する。
【0061】
クラッシュリブ11が含まれる場合、ストラット3に沿って、ストラット3の間に、またはその両方で延在してよい。クラッシュリブ11は、ストラット3および/またはベース4と分離されてよく、あるいは例えば三つ全てが1種類の材料から形成される場合には、ストラット3もしくはベース4のうちの一つの一部として、または、両方の一部として形成されてよい。
【0062】
さらに、
図4に示されるように、クラッシュリブ11は、ストラット3の表面に沿って延在してよく、ストラット3の基部は、ベース4の内面に付属しかつベース4の内面から張り出る。このような実施形態において、クラッシュリブ11は、スコープの頂部とより容易に係合するために漏斗を形成してよい。いくつかの実施形態において、クラッシュリブ11は、ベース4および/またはストラット3と同じ材料で作られてよい。他の実施形態において、クラッシュリブ11は、ベース4および/またはストラット3とは異なる材料で作られる。
【0063】
次に、一般的な内視鏡装置10を示す
図5を参照する。内視鏡制御部6は、臨床医が、挿入管5の遠位領域にある湾曲部7の制御された曲げを介して、頂部9を患者に導くために使用するノブおよびダイヤルを含んでよい。挿入管5は、長く可撓性の管で、内視鏡10が患者に挿入されるときに曲がる。湾曲部7は、臨床医によって遠隔で制御され、曲がりながら管腔の屈折箇所を進む。内視鏡10の最遠位部である硬質の頂部9は、例えばカメラ面8を収容する。硬質の頂部9は、本開示の内視鏡先端部アセンブリ17が取付けられ得る箇所である。本開示の内視鏡先端部アセンブリ17は、湾曲部7までは延在しなくともよい。なぜなら、前記湾曲部7まで延在すると、臨床医が湾曲部7の湾曲を制御する能力に干渉し、または上述のように湾曲部7を傷付ける場合があるからである。
【0064】
次に、本開示の一実施形態による、内視鏡10に取り付けられた、休止状態にある内視鏡先端部アセンブリ17を示す、
図6を参照する。本実施形態において、ベース4の遠位縁部は内視鏡7のカメラ面8と同一面である。この位置は、内視鏡先端部アセンブリ17が環9のみに載り、内視鏡10の湾曲部7の動作に干渉できないことを保証するのに役立ち得る。しかしいくつかの実施形態において、ベース4は、内視鏡面からわずかに後退してよい。いくつかの実施形態において、ストラット3とベース4の長手方向軸との間の角度は、休止状態において、約45°から約90°の間であってよい。
【0065】
次に、内視鏡10に取り付けられた、挿入状態にある内視鏡先端部アセンブリを示す、
図7Aを参照する。いくつかの実施形態において、ストラット3と内視鏡10の長手方向軸との間の角度は、約0°から約45°の間であってよい。挿入中に、ストラット3およびウェビング2をこの位置に折りたたむことは、より小さい全体径を実現して挿入を容易にするので、有利である。以下で説明するように、ストラット3およびウェビング2を挿入位置に曲げる力は、ストラット3およびウェビング2を回収位置に曲げるために要する力よりも小さくてよい。ストラットを休止位置から挿入位置へ移行させるために、各ストラット3の厚さの一部だけが、曲げられる必要があってよい。この厚さは、約0.5mmから約1mmの範囲でよい。他方で、ストラット3を回収位置に折り返すために、各ストラット3のさらなる厚さ、または各ストラット3の全厚さを曲げる必要があってよい。この厚さは、約1mmから約3mmの範囲でよい。
【0066】
次に、内視鏡10に取り付けられた、回収位置にある内視鏡先端部アセンブリを示す
図7Bを参照する。内視鏡先端部アセンブリ17がこのような位置にあるとき、ストラット3間のウェビング2には緩みがあってよく、これは、閉じられた状態の傘のプリーツおよび束ねたものと同様で、
図7Bに示されるようにウェビング2のプリーツまたは束ねたものをもたらす。別の実施形態において、ウェビングに緩みがないときにプリーツが存在するように、プリーツを予め形成してよい。
【0067】
次に、内視鏡10に取り付けられた、回収状態にある内視鏡先端部アセンブリ17を示す、
図8を参照する。いくつかの実施形態において、回収状態において、ストラット3の頂部からベース4に接触する位置まで延長する直線に沿って計測すると、ストラット3とベース4の長手方向軸との間の角度は、約50°から約180°の間でよい。ストラット3およびウェビング2によって作り出された、裏返しになった傘の形状の径は、この位置において約20mmから約30mmの範囲でよい。
【0068】
図7Aに示される挿入位置(閉じられた傘の形状に類似)から、傘のように裏返しにめくられて内視鏡を回収する際に、内視鏡先端部アセンブリ17はこの位置になる。内視鏡10の回収が始まると、ストラット3は体の管腔と係合してよく、回収との組合せによるこの係合は、ストラット3を内視鏡から離れるように外向きに曲げ、回収状態に入る。内視鏡先端部アセンブリ17における裏返しになった傘の形状は、管腔に接触して管腔に外向きの圧力を緩やかに加えてよく、それによって、ストラット3の頂部による個別の接触箇所とは対照的に、より拡散した領域にわたってより大きい表面積に接触させることによって、外傷を与えるような管腔との接触がより少なくなる。内視鏡先端部アセンブリ17を使用して実現する接触は、バルーンを備えた内視鏡のバルーンを使用して実現される接触タイプと同様の方法であってよい。
【0069】
次に、結腸16内部で、内視鏡頂部9(図では隠れている)に取り付けられた回収状態にある内視鏡先端部アセンブリ17を示す、
図9Aを参照する。裏返された傘の形状は、バルーンを備えた内視鏡と同様に、外向きの力をウェビング2の外周の周囲に均一に分配するので、外傷を与えるような結腸壁との接触をより少なくすることができる。
図9Aに示されるように、回収位置の内視鏡先端部アセンブリ17は、緩やかな圧力を結腸に加え、結腸の襞をより広げた構成で保持し、視覚化を改善し得る。この方法において、裏返された傘の形状によって結腸の襞を伸ばし、そうしなければこれらの襞によって見えにくくなり得る表面を露出することによって、臨床医の視覚化を最大限に補助し得る。
【0070】
この形状はまた、内視鏡頂部8の安定化の助けにもなり得て、それによって臨床医は結腸の内部を視覚的に検査でき、またはより簡単に処置を行うことができる。さらに、内視鏡の全ての側において外向きで均一に広がるため、回収の間に、ストラット3およびウェビング2は、管腔の中央領域において、内視鏡を中心に位置決めすることができ、少なくとも部分的に重力に対抗し、かつ、内視鏡の頂部が、結腸壁に沿って落ち込む傾向、または結腸壁に沿って引きずられる傾向に対抗するのを助ける。
【0071】
次に、結腸16の内部で、内視鏡に取り付けられた内視鏡頂部のバルーンを示す、
図9Bを参照する。
図9Aにおける、内視鏡先端部アセンブリ17によって実現される接触領域と比較した、
図9Bにおける、バルーンと結腸壁との間の拡散した接触領域の類似性を参照する。しかしながら
図9Bのアクティブバルーンは、バルーンを膨張させかつ制御するための追加の機器が必要となり、その一方で
図9Aのパッシブな内視鏡先端部アセンブリ17は、そのような追加の機器または制御は必要ない。また、パッシブな内視鏡先端部アセンブリ17は、内視鏡の遠位頂部に直接位置され、その一方で内視鏡頂部からアクティブバルーンまでの軸方向距離はより長く、襞を広げることによって改善された、襞の裏における視覚化の効果を低減する可能性がある。
【0072】
次に、本開示の一実施形態による、明確にするためにウェビング2を省略した、挿入状態にある内視鏡先端部アセンブリ17を示す
図10を参照する。
図10の実施形態は、複数の把持窓19を示す。ベース4は、任意の好適な数の把持窓19を含んでよい。例えばベース4は、ゼロ、二、四、六、八、十、十二、またはそれよりも多くの把持窓19を含んでよい。いくつかの実施形態において、把持窓19は、臨床医が内視鏡先端部アセンブリ17を取り付けるとき、および取り外すときに、把持の補助を提供し得る。把持窓19は、ベース4の任意の箇所に位置されてよく、ベース4と同じ材料、または異なる材料で作られてよい。
【0073】
次に、本開示の一実施形態による、明確にするためにウェビング2を省略した、ストラット3が回収状態で最大限に折りたたまれた位置にある、内視鏡先端部アセンブリ17を示す
図11を参照する。いくつかの実施形態において、内視鏡の長手方向の軸に沿って見た場合、内視鏡先端部アセンブリ17が内視鏡に取り付けられるときに、可能な限り最小の外径を持ち得ることは、回収時に有利となり得る。最小の外径は、ストラット3を内視鏡の遠位端に向かって折畳み、潜在的に越えることによって達成され得る。この構成は、例えば肛門から内視鏡の頂部を最後に取り除く際など、体の管腔のより狭い区域において、外傷を与える接触を防止するのに役立ち得る。したがって、いくつかの実施形態において、ストラットは遠位方向に曲げて、内視鏡の軸に実質的に平行に位置付けることが可能であり得る。
【0074】
図10に示されるような、ストラット3が挿入位置となるのに要する力は、
図8および
図11に示されるような、ストラット3が回収位置となるのに要する力よりも小さい。一実施形態において、
図10に示されるような、ストラット3が挿入位置に曲がるために要する力は、約0.3ポンドから約0.4ポンドの範囲でよい。別の実施形態において、
図11に示されるような、ストラット3が回収位置となるのに要する力は、約2.6ポンドから約3.0ポンドの範囲でよい。ストラット3の回収時の剛性の、挿入時の剛性に対する比は、約5から約8の範囲でよい。
【0075】
ストラット3を挿入位置に曲げるために小さい挿入力を要することは、処置中の粘膜の外傷を防止するのに役立ち得る。挿入の間、内視鏡の頂部は対象領域に導かれ、したがって目標は、より小さい径の流線形を実現して、内視鏡を進めるのを容易にすることである。したがって内視鏡先端部アセンブリ17は、挿入位置においては内視鏡の軸に実質的に平行となるように構成され、結腸を広げるための外向きの圧力を、結腸に加えることは意図されない。
【0076】
対照的に、回収の間、内視鏡先端部アセンブリ17は、内視鏡の軸から離れて広がり、結腸を拡張して視覚化を補助するための力を結腸に加える。したがって、回収位置においてはストラット3は、内視鏡が回収される力、および内視鏡が回収されるときの体の管腔によって加えられる摩擦に、抵抗できなければならない。回収位置におけるいくらかの可撓性が、処置中に粘膜に外傷を与えるのを防止するのに望ましい場合がある一方で、回収位置において可撓性が大きすぎると、
図11に示されるように、ストラット3は完全に遠位に曲がる場合があり、それでは結腸を広げられず、臨床医の視野を遮る場合がある、および/または内視鏡の頂部を結腸の中央に整定できない場合がある。内視鏡先端部アセンブリ17を、挿入位置から回収位置まで、裏返された傘のようにめくるためには、より大きな力が必要な場合があるという事実によって、回収の際にストラット3およびウェビング2が傘状の形状を維持するのを可能にし、それによって視覚化および頂部の安定の改善に役立ち得る。いくつかの実施形態において、挿入力の回収力に対する小さい比は、望ましい場合がある。
【0077】
次に、本開示の一実施形態による、明確にするためにウェビング2を省略した、休止状態にある内視鏡先端部アセンブリ17の一部を拡大した側面を示す、
図12を参照する。確実停止部(positive stop)13は、回収の際にストラット3が位置および形状を維持するのを補助し得る。確実停止部13は、前述のように、回収の際にストラット3およびウェビング2が、裏返された傘の形状を維持するのに役立ち得る。
【0078】
次に、本開示の一実施形態による、明確にするためにウェビング2を省略した、休止状態にある内視鏡先端部アセンブリ17の遠位方向からの近接図を示す、
図13を参照する。前述のように、クラッシュリブ11は、ベース4の内面に含まれてよい。クラッシュリブ11は、ベース4と内視鏡との間の滑り摩擦の量を大きくする補助をし得、それは処置中に内視鏡先端部アセンブリ17が内視鏡から外れるのを防止し得る。
【0079】
次に、本開示の一実施形態による、例示的なストラット3の側面を示す
図14を参照する。ストラット3は、様々な形状および厚さで存在してよい。いくつかの実施形態において、ストラット3の長さにわたる厚さは、
図14の頂部20が示すように変化してよく、例えば、ストラット3の頂部20は中間部2よりも薄い。また、例えば、ストラット3の基端部は先端部に比べて断面積が大きい。いくつかの実施形態において、ストラット3の幅は、例えば
図14に示されるように変化してよく、頂部20は、ベース取り付け部14よりも狭くてよい。頂部20は、例えば、中間部21よりも幅が狭い。厚さおよび/または幅のこの違いは、可撓性の違いを生じさせ、それによってストラット3の異なる領域を曲げるために要する、力の違いを生じさせることができる。代替として、厚さおよび/または幅は、ストラット3に沿って一定でよい。
【0080】
いくつかの実施形態において、ストラット3の直線部の厚さは、約0.5mmから約3.0mmの範囲でよい。いくつかの実施形態において、ストラット3の頂部20の厚さは、約0.5mmから約1.0mmの範囲でよい。いくつかの実施形態において、ストラット3の幅は、約2mmから約5mmの範囲でよく、ストラット3はその長さに沿って一定の幅でよく、または変化した幅でもよい。
【0081】
いくつかの実施形態において、ストラット3の頂部20は、付勢されていない状態において、中間部21に対して外向きに角度が付けられてよい。一実施形態において、ストラット3の頂部20の角度は、約110°から約160°の範囲でよい。頂部20に角度が付くと、回収の際に、管腔の表面をとらえることによって、ストラット3が管腔と係合するのに役立ち得る。この向上した係合は、ストラット3およびウェビング2が、傘のようにめくれて裏返されるのを補助し、それによって回収状態を実現し得る。各ストラットの頂部は少なくとも部分的に、厚さが比較的薄くて剛性が比較的低く、且つ先端が湾曲形状であるので、管腔と係合するとき、および回収状態のときに、内視鏡アセンブリ17は柔軟で損傷を最小にする。ストラット3が扁平な板状であると、厚み方向に曲がりやすく幅方向には変形しにくい。それ故、内視鏡の挿入部を体内から引き抜く際、ストラット3は周方向へのねじれおよび座屈が生じにくく、引き抜く方向に適切に変形させることができる。
【0082】
ストラット3およびウェビング2は、回収中に内視鏡の頂部を安定させ、視覚化を向上させるように、周囲の体の管腔と接触するように構成される。さらに、ストラット3は、挿入位置から回収位置まで移行させるために、体の管腔と相互作用する必要がある。したがって、ストラット3の長さは、それが挿入される体の管腔の径によって、少なくとも部分的に規定される。いくつかの実施形態において、ストラット3の確実停止部13から最遠頂部までの長さは、約10mmから約25mmの範囲でよい。
【0083】
次に、本開示の一実施形態による、ストラット3の側面を示す
図15を参照する。この実施形態において、ストラット3は一つ以上のノッチ15を含んでいる。ノッチ15は、ストラット3の近位対向面と遠位対向面との間で、剛性の差異を生じさせ得る。例えば、ノッチ15が付いたストラット3の表面は、ノッチ15が付いていないストラット3の表面よりも、自身の内側に曲げるのに小さい力しか必要としなくてよい。いくつかの実施形態において、ストラット3の一方の表面と他方の表面との間のこの違いによって、ストラット3が、他方よりも一方の方向に優先的に曲がることが可能となり得る。
【0084】
いくつかの実施形態において、ストラット3には一つ以上のノッチ15が付いてよい。いくつかの実施形態において、ノッチ15は、ストラット3の直線部にのみ位置されてよい。他の実施形態において、ノッチは、ストラット3の直線部と角度付き部20との両方に位置されてよい。他の実施形態において、
図14に示されるように、ノッチ15がなくてもよい。ノッチ15は、例えばスリット、矩形、三角形、U型、またはテーパー付きの断面など、任意の好適な形状とすることができる。ノッチが付いた表面に形成される間隙によって、その表面自体が縮められ得るので、ノッチの形状はストラット3の可撓性に影響し得る。
【0085】
次に、本開示の一実施形態による、明確にするためにウェビング2を省略し、ストラット3にノッチ15が付いた内視鏡先端部アセンブリ17の遠位端を斜めから示す、
図16を参照する。
図16は、ノッチ15がストラット3に存在する場合の、
図3に示されるようなノッチが付かないストラット3の位置と同様に、ストラット3が休止位置にある図である。
【0086】
次に、本開示の例示的な実施形態による、内視鏡10に取り付けられた、休止状態にある内視鏡先端部アセンブリ17を示す、
図17Aを参照する。軸スリーブ22およびスリーブロック23は、内視鏡先端部アセンブリ17が内視鏡から外れるのを防止するよう、かつ回収時にストラット3に支持と剛性を提供するよう、協働してよい。スリーブロック23には、遠位端の内径が近位端の内径よりもわずかに大きくなるように、テーパーが付けられてよい。一実施形態において、スリーブロック23の遠位端は、約13.8mmから約15.5mmの範囲の径を有してよい。別の実施形態において、スリーブロック23の近位端は、約12.8mmから約15.0mmの範囲の径を有してよい。スリーブロック23と同様、軸スリーブ22もまた、軸スリーブ22の近位端の外径が遠位端の外径よりわずかに大きくなるように、テーパーが付けられてよい。一実施形態において、遠位端の外径は、約13.3mmから約15.5mmの範囲でよい。別の実施形態において、近位端の外径は、約13.8mmから約16mmの範囲でよい。軸スリーブ22およびスリーブロック23の両方にテーパーが付けられている特性によって、回収時に、軸スリーブ22と硬質の頂部9との間の滑り摩擦を大きくするように補助することができ、そのときストラットは、遠位方向に曲がる力を受けて、スリーブロック23を押圧し得る。テーパー部は係合し、軸スリーブ22と硬質頂部9との間の圧力および摩擦力を大きくし得る。これによって、内視鏡先端部アセンブリ17が内視鏡から外れるのを防止し得る。
【0087】
次に、本開示の一実施形態による、内視鏡に取り付けられた、休止位置にある例示的な内視鏡先端部アセンブリの部分斜視図である、
図17Bを参照する。斜視図は、スリーブロック23の近位端と遠位端との間の厚さの違い、および軸スリーブ22といかに接触するかを示す。一実施形態において、軸スリーブ22およびスリーブロック23は、同じ材料で作られてよい。別の実施形態において、軸スリーブ22およびスリーブロック23は、異なる材料で作られてよい。スリーブロック23の幅は、約2mmから約10mmの範囲でよい。
【0088】
次に、本開示の一実施形態による、内視鏡に取り付けられた、休止位置にある例示的な内視鏡先端部アセンブリを示す、
図18Aを参照する。一実施形態において、複数の圧力パッド24が存在してよい。いくつかの実施形態において、約四個から約十二個の圧力パッド24があってよい。回収の際、ストラット3は圧力パッド24を押圧して圧力を加えてよい。圧力が圧力パッド24に加えられると、ベース4と内視鏡10の硬質の頂部9との間の滑り摩擦は大きくなり得、それによって、処置中に内視鏡先端部アセンブリ17が外れるのを防止し得る。
【0089】
次に、本開示の一実施形態による、内視鏡に取り付けられた、休止位置にある例示的な内視鏡先端部アセンブリの部分斜視図である、
図18Bを参照する。この斜視図は、スリーブロック25と圧力パッド24と軸スリーブ30との間の接触を示す。前述のように、回収時に、ストラット3は圧力パッド24を押圧して圧力を加えることができ、それによって軸スリーブ30と内視鏡10の硬質の頂部9との間の圧力を大きくし得る。一実施形態において、軸スリーブ30およびスリーブロック25は別個の部材でよい。別の実施形態において、軸スリーブ30およびスリーブロック25は、一つの部材でよい。一実施形態において、各圧力パッド24の長さは、約2mmから約7mmの範囲でよい。別の実施形態において、各圧力パッド24の幅は、約2mmから約5mmの範囲であってよい。
【0090】
一実施形態において、軸スリーブ30およびスリーブロック25は同じ材料から作られてよい。別の実施形態において、軸スリーブ30およびスリーブロック25は、異なる材料で作られてよい。
【0091】
次に、本開示の一実施形態による、休止位置にある例示的な内視鏡先端部アセンブリの部分分解図を示す、
図19Aを参照する。一実施形態において、ベース4は、軸スリーブ27、スリーブロック26、およびストラット支持環28を含んでよい。これら三つの部材は、内視鏡先端部アセンブリ17が処置中に外れるのを防止するため、および/または、回収時にストラット3が押圧し得る硬質面を提供するために、軸スリーブ27と内視鏡10の硬質の頂部9との間の滑り摩擦を大きくするよう協働してよい。この配置は、内視鏡先端部アセンブリ17が内視鏡の頂部に摩擦嵌合するのに要する力よりも大きい係合解除力を提供し得る。一実施形態において、スリーブロック26と軸スリーブ27との間の摩擦係数は、軸スリーブ27と硬質の頂部9との間の摩擦係数よりも小さくてよい。スリーブロック26はリブ11を含んでよく、リブ11は軸スリーブ27に追加の圧力を加えるような働きを担ってよく、それによって、軸スリーブ27と内視鏡10の硬質の頂部9との間の滑り摩擦は大きくなる。
【0092】
一実施形態において、軸スリーブ27、スリーブロック26、およびストラット支持環28は、同じ材料で作られてよい。別の実施形態において、軸スリーブ27、スリーブロック26、およびストラット支持環28は、異なる材料で作られてよい。クラッシュリブ11は、前述の特性を有する。
【0093】
スリーブロック26の内径にはテーパーが付いており、径は近位端に向かって大きくなる。テーパー角度は、約0.5°から約2.5°の範囲でよい。軸スリーブ27の外径もまた、同じ方向にテーパーが付いており、遠位端の径は近位端の径よりも小さい。軸スリーブ27のテーパー角度は、約0.5°から約2.5°で変化してよい。
【0094】
一実施形態において、スリーブロック26の遠位端の内径は、軸スリーブ27の遠位端の外径と同一でよい。別の実施形態において、スリーブロック26の遠位端の内径は、軸スリーブ27の遠位端の外径よりわずかに小さくてよい。例えば、一実施形態において、成人の結腸鏡のスリーブロック26の内径は、約14mmから約16mmまででよい。別の実施形態において、軸スリーブ27の外径は、約14mmから約15.5mmでよい。一実施形態において、スリーブロック26の幅は、軸スリーブ27の幅とほぼ同じでよい。別の実施形態において、スリーブロック26の幅は、軸スリーブ27の幅と異なってもよい。一実施形態において、スリーブロック26の幅は、約5mmから約10mmでよい。別の実施形態において、スリーブロック26は、約0.4mmから約1.5mmの範囲の厚さを有してよい。別の実施形態において、軸スリーブ27は、約0.3mmから約0.75mmの厚さを有してよい。一実施形態において、ストラット支持環28は、約0.3mmから約1.0mmの範囲の厚さを有してよい。
【0095】
次に、本開示の一実施形態による、休止位置にある例示的な内視鏡先端部アセンブリを示す、
図20Aおよび
図20Bを参照する。一実施形態において、ベース4は、遠位キャップ29および軸スリーブ27を含んでよい。これら二つの部材は、内視鏡先端部アセンブリ17が処置中に外れるのを防止するため、および/または、回収時にストラット3が押圧し得る硬質面を提供するために、軸スリーブ27と内視鏡10の硬質の頂部9との間の滑り摩擦を大きくするよう協働してよい。さらに、内視鏡10の端部を越えて延在する際の遠位キャップ29は、カメラ8が視野を妨げられないように、管腔を抑える補助をし得る。遠位キャップ29の内径は、軸スリーブ27の外径とほぼ同じでよい。別の実施形態において、遠位キャップ29の内径は、軸スリーブ27の外径と異なってよい。一実施形態において、遠位キャップ29の内径は、約12mmから約17mmの範囲でよい。別の実施形態において、軸スリーブ27の外径は、約13mmから約15mmでよい。一実施形態において、例えば
図20Aのように、遠位キャップ29の幅は、周縁に沿って均一でよく、約2mmから約8mmの範囲でよい。別の実施形態において、例えば
図20Bのように、遠位キャップの幅は、変化してよい。いくつかの実施形態において、遠位キャップ29の幅は、キャップの周縁に沿って変化してよく、その幅は約2mmから約12mmの範囲でよい。
【0096】
次に、本開示の一実施形態による、挿入位置にあるストラットの断面図を示す、
図21Aを参照する。ベース4は、Aで示されるようにストラット3に常時付着するが、Cにおいてはストラット3に常時付着しない。挿入時に、ストラット3を近位方向に曲げるために要する挿入力f
insertionは、回収時に要する力F
withdrawalに比べて小さくてよい。なぜなら、ストラット3を休止位置に維持しようとする抵抗r
insertionは、ストラット3の厚さt
insertionの三次関数であり、この厚さは、回収時のストラット3の厚さT
withdrawalの約30%から約60%の範囲にあってよいからである。さらに、内視鏡先端部アセンブリ17が挿入されると、確実停止部13とベース4との間においてCでは接触しない。
【0097】
次に、本開示の一実施形態による、休止位置にあるストラットの断面図を示す、
図21Bを参照する。休止位置では、ベース4とストラット3の確実停止部13との間においてCで接触する。
【0098】
次に、本開示の一実施形態による、回収位置にあるストラットの断面図を示す、
図21Cを参照する。回収の際、ベース4とストラット3の確実停止部13との間においてCで接触する。さらに、回収時の曲がりに対する抵抗R
withdrawalは、回収時における、ストラットの厚さの合計T
withdrawalの三次関数であり、これは挿入時の抵抗r
insertionよりもかなり大きくてよい。この回収抵抗R
withdrawalは、回収に際して、ストラット3およびウェビング2の裏返した傘のような形状を維持するのを補助し得る。
【0099】
次に、本開示の一実施形態による、プリーツ付きウェビングがストラットの端部まで延在しない、例示的な内視鏡先端部アセンブリを示す、
図22を参照する。長さ31は、ストラット3の頂部とウェビング2の縁部との間の距離を表わす。いくつかの実施形態において、
図1に示されるように、長さ31は0mmでよい。いくつかの実施形態において、長さ31は、約0mmから約15mmの範囲でよい。他の実施形態において、長さ31は、約3mmから約10mmの範囲でよい。この長さ31が0mmより長い場合、カメラの視野を遮るウェビング2が少なくなり得るので、処置中に結腸内部のより良好な視覚化を促進し得る。
【0100】
次に、本開示の一実施形態による、例示的な内視鏡先端部アセンブリを示す、
図23を参照する。
図23に示された内視鏡先端部アセンブリは、プリーツ付きウェビング2の一方の端が、ストラット3が屈折している位置(中間部21と頂部20との間の角度が変化する箇所)において接続し、ストラット3の頂部20まで延在しない。
図23は、
図22に示された実施形態の代替の図を提供し、長さ31はゼロではない距離である。ウェビング2が頂部20まで延在しないため、体内から引き抜く時の抵抗が大きくなり過ぎない。このような構成にすると、ストラット3がストレートに延在している範囲がウェビング2の接続範囲であるため、ストラット3の曲げ形状にウェビング2を添わせる必要がなく、製作しやすい。
【0101】
次に、本開示の一実施形態による、内視鏡に取り付けられた、休止位置にある例示的な内視鏡先端部アセンブリを示す、
図24を参照する。
図6に示されるように、長さ31は、0mmでよく、または、いくつかの実施形態において、例えば
図24に示されるように、長さ31は、約0mmから約15mmの範囲でよい。いくつかの実施形態において、ウェビング2の径方向長さは、ストラットの長さの約25%から約100%の範囲でよい。
【0102】
次に、本開示の一実施形態による、内視鏡に取り付けられた、休止位置にある例示的な内視鏡先端部アセンブリを示す、
図25Aを参照する。例えば
図6に示されるように、長さ31は、0mmでよく、または、いくつかの実施形態において、例えば
図24に示されるように、長さ31は、約0mmから約15mmの範囲でよい。一実施形態において、ベース4は、遠位キャップ29および軸スリーブ27を含んでよい。これら二つの部材は、カメラ8が視野を遮られないように、管腔を抑える補助をするために協働し得る。一実施形態において、例えば
図25Aのように、遠位キャップの幅は、周縁に沿って均一であってよく、約2mmから約8mmの範囲であってよい。別の実施形態において、例えば
図25Bのように、遠位キャップ29の幅は、キャップの周縁に沿って変化してよく、その幅は約2mmから約12mmの範囲でよい。
【0103】
本開示の一実施形態において、内視鏡先端部アセンブリ17は、当該内視鏡先端部アセンブリ17が装着された内視鏡の体内への挿入力量よりも体内からの抜き力量が大きくなるように(即ち、挿抜力量差があるように)構成される。ここで、挿抜力量差とは、内視鏡先端部アセンブリ17を備えた内視鏡の、体内からの抜き力量から体内への挿入力量を引いた差として定義される。
【0104】
上記挿抜力量差は、ストラット3の厚さ、形状、材質等の因子によって変化する。また、挿抜力量差は、内視鏡抜き取り時のストラット3のベース4に対する角度と相関関係がある。または、抜き力量は、内視鏡抜き取り時のストラット3のベース4に対する角度に依存する。内視鏡先端部アセンブリ17は、ストラット3間の隙間に設けられるウェビング2を有し、抜き力量は、さらに、上記ウェビング2の構成(取り付け領域、硬度(差)、面積等)に依存する。
【0105】
以下の表1は、ストラット3の厚さ、形状等を変化させて作成した各内視鏡先端部アセンブリの挿抜力量を測定した結果を記した表である。挿抜力量の測定は、プッシュプルゲージに内視鏡先端部アセンブリを取り付け、内視鏡先端部アセンブリを内径24mmおよび29mmのアクリルチューブ(長さL=150mm)に挿入し、挿入時および引き抜き時の最大力量を測定し、それぞれ、挿入力量および抜き力量とした。挿入時および引き抜き時の速度は、75mm/sとした。また、測定は、腸の径の多様性を考慮し、複数の内径のアクリルチューブで測定している。
【0107】
上述のとおり、表1に記された#1から#9の各内視鏡先端部アセンブリについて、大腸を模して作成した大腸モデルを用いて、挿入性と観察性についての評価を行った。ここで観察性とは、内視鏡引き抜き時に大腸が良好に観察できるか否かを示す指標である。
【0108】
#1については、十分な挿抜力量差が得られず、観察性が欠如したため、挿入性と観察性が両立しない結果となった。
#2から#8については、挿入性および観察性ともに良好であった。特に、#3から#6については、観察性を評価中(即ち内視鏡を大腸モデルから抜いている間中)、常に良好な観察性が得られた。
#8については、引き抜き時の引き抜き性が良好ではない箇所があった。
#9については、挿抜力量差が過剰で、挿入性と観察性が両立しなかった。
【0109】
上記のとおり、内視鏡先端部アセンブリ17の構造を調節することによって、腸のヒダ裏の病変の検出精度を上げる等の観察性を向上させることできる。上述のとおり、内視鏡の挿入性および観察性を両立することは重要である。
【0110】
<クラッシュリブの変形例>
近年、女性の医師の活躍など医師の多様化により、脱落防止だけではく、容易に取り付けることができる内視鏡先端部アセンブリが求められている。以下に、内視鏡先端部アセンブリのさらなる例を挙げる。
【0111】
図26A、26Bおよび26Cは、内視鏡先端部アセンブリ17の内側表面の一部を拡大した図である。
図26A、26Bおよび26Cの内視鏡先端部アセンブリ17は、それぞれ、内視鏡と接触する内側表面に複数のクラッシュリブ11を有する。上記複数のクラッシュリブ11は、内視鏡の挿入方向に沿って傾斜が付けられており、内視鏡先端部アセンブリ17の開口端側より内側に向かうにつれて、クラッシュリブ11は高さが高くなる。そのため、内視鏡先端部アセンブリ17へ挿入するにしたがって、内視鏡が内視鏡先端部アセンブリ17から受ける抗力が大きくなる。つまり、内視鏡先端部アセンブリ17へ挿入するにしたがって、挿入方向の摩擦力が大きくなる。
【0112】
一方、内視鏡先端部アセンブリ17を内視鏡から取り外す際は、上記クラッシュリブ11の最も突き出た部分が内視鏡と接触し続けるため、一定の長さ分だけ内視鏡を内視鏡先端部アセンブリ17から引き抜くまで摩擦力は概ね一定である。
【0113】
したがって、上述の形状の凸部11を有する内視鏡先端部アセンブリ17は、内視鏡先端部アセンブリ17を内視鏡に取り付けるのに必要な取り付け力量が、内視鏡先端部アセンブリ17を内視鏡から取り外すのに必要な取り外し力量よりも小さい。
【0114】
図26Aに示した例では、内視鏡先端部アセンブリ17は、内側の表面に複数のクラッシュリブ11が内視鏡の挿入方向に沿って設けられている。このようにすると、内視鏡先端部アセンブリ17を内視鏡に取り付けるのに必要な取り付け力量は、内視鏡先端部アセンブリ17を内視鏡から取り外すのに必要な取り外し力量よりも小さくなる。
【0115】
図26Bに示した例では、クラッシュリブ11は、内視鏡先端部アセンブリ17の開口端側より内側に向かうにつれて、内視鏡先端部アセンブリ17の内側表面の円周方向の幅が広がる。このようにすると、内視鏡先端部アセンブリ17を内視鏡に取り付けるのに必要な取り付け力量は、内視鏡先端部アセンブリを内視鏡から取り外すのに必要な取り外し力量よりも小さくなる。
【0116】
図26Cに示した例では、クラッシュリブ11はV字状であり、内視鏡先端部アセンブリ17の開口端側より内側に向かう方向に二分岐している。このようにすると、内視鏡先端部アセンブリ17を内視鏡に取り付けるのに必要な取り付け力量は、内視鏡先端部アセンブリ17を内視鏡から取り外すのに必要な取り外し力量よりも小さくなる。
【0117】
次の表2は、
図26Bのクラッシュリブ11の厚さ、大きさ、数、形状等を変化させ作成した各内視鏡先端部アセンブリの着脱力量を測定した結果を示す表である。測定は、次の方法で実施した。
1.外径が13.1mmおよび13.2mmのピンゲージに各内視鏡先端部アセンブリを載置し、プラスチック板の上からプッシュプルゲージを使用してピンゲージに挿入されるときの力量の最大値を測定した(取り付け力量)。
2.外径が13.1mmおよび13.2mmのピンゲージに内視鏡先端部アセンブリを取り付け、内視鏡先端部アセンブリのベースを固定し、プッシュプルゲージを使用してピンゲージを引き抜くときの力量の最大値を測定した(取り外し力量)。
【表2】
【0118】
内視鏡先端部アセンブリ17は、取り付け力量が45N以下であると内視鏡への取り付けに支障をきたさなかった。
【0119】
内視鏡先端部アセンブリ17は、取り外し力量が20N以上45N以下であると内視鏡への取り外しに支障をきたさなかった。
【0120】
内視鏡先端部アセンブリ17を付けた内視鏡を体内から引き抜く際に、内視鏡先端部アセンブリ17が脱落しないようにするため、内視鏡先端部アセンブリ17を付けた内視鏡を体内から引き抜く抜き力量は、内視鏡先端部アセンブリ17の取り外し力量より小さくする必要がある。前記抜き力量は、前記取り外し力量よりも1N以上小さくすることが好適であった。内視鏡先端部アセンブリ17は、取り外し力量と取り付け力量の差が、3N以下とすることがさらに好適であった。
【0121】
<ストラットの抵抗力のさらなる説明>
図27は、一実施形態のストラット3とベース4とがなす角度(内視鏡先端の挿入方向とは反対の軸方向を0°とし、角度は反時計回りを正とする)とストラット3を内視鏡基端側から先端側に傾斜させるのに要する力(ストラットの抵抗力)との関係を模式的に表したグラフである。
【0122】
抵抗力を示すグラフの段差(変位点)はベース4を受ける凹部の当て付け(凹部の一部がベース4に当接する)、ウェビング2のたるみ解消、ストラット3の切欠きなどに起因する。上記グラフは理想化されたものであり、弾性体で構成された内視鏡先端部アセンブリ17では滑らかな曲線となり、上記段差を構成する不連続点は曲線の変曲点として現れる。本実施の形態における内視鏡先端部アセンブリ17のストラット3は、その抵抗力が多段階に変化するので、より最適な摩擦力で腸壁の襞を支持できる。
【0123】
いくつかの実施形態において、内視鏡検査による処置中の視覚化を改善する方法が提供され、本開示の内視鏡先端部アセンブリが、処置に先立って内視鏡の遠位端に取り付けられる。
【0124】
いくつかの実施形態において、内視鏡検査による処置中の内視鏡の安定性を改善する方法が提供され、本開示の内視鏡先端部アセンブリが、処置に先立って内視鏡の遠位端に取り付けられる。
【0125】
いくつかの実施形態において、外傷を与えることの少ない内視鏡検査による処置の方法が提供され、本開示の内視鏡先端部アセンブリが、処置に先立って内視鏡の遠位端に取り付けられる。
【0126】
本開示が、医療処置を実施するような特定の適用に使用される、内視鏡取り付け具の例示的な実施形態を参照して本明細書で説明されるが、本明細書に記載された実施形態は、それに限定するものではないことを、理解するべきである。例えば、スコープおよび同様の装置は、例えば機械類の検査および/または補修など、しばしば産業用途に使用される。本開示の内視鏡取り付け具はまた、医療環境以外の産業用スコープと共に使用され得る。当業者および本明細書で提供される教示にアクセスする者は、追加の変更、追加の適用、追加の実施形態、および均等物の代替の全ては、開示された実施形態の範囲に含まれることを理解するであろう。したがって、開示された実施形態は、前述または以下の記載によって限定されるとは、考えるべきではない。
【0127】
本開示の多くの特徴および利点は、詳細な明細書から明白となり、したがって、添付の請求の範囲は、本開示の趣旨および範囲に含まれる本開示の全てのそのような特徴および利点を含むことが意図される。さらに、多くの変更および変形が、当業者には容易に思い付くので、例示および記載した正確な構成ならびに動作に本開示を限定するのは、望ましくない。したがって、全ての好適な変更および均等物は、本開示の範囲に含まれるものとして使われ得る。
【0128】
さらに当業者は、本開示の基となる概念は、本開示のいくつかの目的を実行するための、他の構造、方法、およびシステムを設計する基礎として容易に使用され得るものと理解されたい。したがって、請求の範囲は、前述の記載によって限定されると考えるべきではない。
【0129】
以下に、本開示の実施形態の例を記す。これらの実施形態の例は、矛盾が生じない範囲で互いに一部を置換または組み合わせることができる。
【0130】
[1]
内視鏡の一端を受け入れるリング形状のベースと、前記ベースから放射状に広がる折りたたみ可能な複数のストラットと、を有する内視鏡先端部アセンブリであって、前記内視鏡先端部アセンブリを備えた前記内視鏡は体内への挿入力量より体内からの抜き力量が大きい、内視鏡先端部アセンブリ。
【0131】
[2]
[1]に記載の内視鏡先端部アセンブリにおいて、前記内視鏡を前記体内から抜き取る際の前記ストラットの前記ベースに対する角度と前記体内からの抜き力量から前記挿入力量を引いた値である挿抜力量差とには相関がある、内視鏡先端部アセンブリ。
【0132】
[3]
[2]に記載の内視鏡先端部アセンブリにおいて、前記挿抜力量差は0.5〜10Nの範囲内である、内視鏡先端部アセンブリ。
【0133】
[4]
[2]に記載の内視鏡先端部アセンブリにおいて、前記挿抜力量差は1.0〜4.0Nの範囲内である、内視鏡先端部アセンブリ。
【0134】
[5]
[2]に記載の内視鏡先端部アセンブリにおいて、前記挿抜力量差は2〜3.0Nの範囲内である、内視鏡先端部アセンブリ。
【0135】
[6]
[1]に記載の内視鏡先端部アセンブリにおいて、前記挿入力量は5.0N以下である、内視鏡先端部アセンブリ。
【0136】
[7]
[1]に記載の内視鏡先端部アセンブリにおいて、前記挿入力量は2.0N以下である、内視鏡先端部アセンブリ。
【0137】
[8]
[1]に記載の内視鏡先端部アセンブリにおいて、前記挿入力量は0.5N以下である、内視鏡先端部アセンブリ。
【0138】
[9]
[1]に記載の内視鏡先端部アセンブリにおいて、前記抜き力量は0.5〜10Nの範囲内である、内視鏡先端部アセンブリ。
【0139】
[10]
[1]に記載の内視鏡先端部アセンブリにおいて、前記抜き力量は1〜4.5Nの範囲内である、内視鏡先端部アセンブリ。
【0140】
[11]
[1]に記載の内視鏡先端部アセンブリにおいて、前記抜き力量は2〜3.5Nの範囲内である、内視鏡先端部アセンブリ。
【0141】
[12]
[1]に記載の内視鏡先端部アセンブリにおいて、前記抜き力量は前記複数のストラットが前記ベースに対してなす角度に応じて変化する、内視鏡先端部アセンブリ。
【0142】
[13]
[1]に記載の内視鏡先端部アセンブリにおいて、前記複数のストラットのそれぞれの間にはウェビングが設けられ、前記抜き力量は前記ウェビングの材質、形状、大きさまたは配置位置に応じて変化する、内視鏡先端部アセンブリ。
【0143】
[14]
内視鏡の一端を受け入れるリング形状のベースと、前記ベースから放射状に広がる折りたたみ可能な複数のストラットと、を有する内視鏡先端部アセンブリであって、前記複数のストラットのそれぞれは前記ベースを受ける凹部を有する、内視鏡先端部アセンブリ。
【0144】
[15]
[14]に記載の内視鏡先端部アセンブリにおいて、前記複数のストラットを互いに拘束するウェビングをさらに備える、内視鏡先端部アセンブリ。
【0145】
[16]
[14]に記載の内視鏡先端部アセンブリにおいて、前記凹部の一部は前記ベースの内面と固着し、前記凹部の別の一部は前記ベースと着脱可能に接触する、内視鏡先端部アセンブリ。
【0146】
[17]
[14]に記載の内視鏡先端部アセンブリにおいて、前記複数のストラットのそれぞれは、前記ストラットに外力が加えられていない状態から前記内視鏡先端部アセンブリの前方または後方に傾斜させるために要する力が前記ストラットの厚みの三乗に比例する、内視鏡先端部アセンブリ。
【0147】
[18]
内視鏡挿入部の遠位端に着脱自在に装着でき、外層が第1のポリマーで形成され、内層が前記第1のポリマーよりも硬度が小さい第2のポリマーで形成された環状のベースと、前記第2のポリマーで形成され、前記ベースから放射状に広がる折りたたみ可能な複数のストラットと、を備える、内視鏡先端部アセンブリ。
【0148】
[19]
[18]に記載の内視鏡先端部アセンブリにおいて、前記ストラットと前記外層との硬度差は、デュロメータA10以上である。
【0149】
[20]
[19]に記載の内視鏡先端部アセンブリにおいて、前記硬度差は、デュロメータA30以上である。
【0150】
[21]
[19]に記載の内視鏡先端部アセンブリにおいて、前記硬度差は、デュロメータA60以上である。
【0151】
[22]
[18]に記載の内視鏡先端部アセンブリにおいて、前記外層の硬度は、デュロメータA70以上である。
【0152】
[23]
[18]に記載の内視鏡先端部アセンブリにおいて、前記外層の硬度は、デュロメータA90以上である。
【0153】
[24]
[18]に記載の内視鏡先端部アセンブリにおいて、前記ストラットの硬度は、デュロメータA30〜A80の範囲内である。
【0154】
[25]
[18]に記載の内視鏡先端部アセンブリにおいて、前記ストラットの硬度は、デュロメータA40〜A70の範囲内である。
【0155】
[26]
[18]に記載の内視鏡先端部アセンブリにおいて、前記ストラットの硬度は、デュロメータA50〜A60の範囲内である。
【0156】
[27]
[26]に記載の内視鏡先端部アセンブリにおいて、前記ストラットおよび前記内層はシリコンゴムによって形成されている、内視鏡先端部アセンブリ。
【0157】
[28]
[18]に記載の内視鏡先端部アセンブリにおいて、前記ストラットは、前記ストラットに力が加わっていない状態において、前記内視鏡の基端側に傾斜している、内視鏡先端部アセンブリ。
【0158】
[29]
[1]に記載の内視鏡先端部アセンブリにおいて、前記複数のストラットを互いに拘束するウェビングをさらに備える、内視鏡先端部アセンブリ。
【0159】
[30]
[29]に記載の内視鏡先端部アセンブリにおいて、前記ウェビングは、前記内視鏡の先端側から時計回りで角度を定義した場合に、前記角度が0°以上90°以下である場合にたるみがなくなり、前記角度が90°より大きく180°以下である場合にたるみがある大きさである、内視鏡先端部アセンブリ。
【0160】
[31]
[29]に記載の内視鏡先端部アセンブリにおいて、前記ウェビングは前記ストラットより薄い面状の部材である、内視鏡先端部アセンブリ。
【0161】
[32]
[29]に記載の内視鏡先端部アセンブリにおいて、前記ウェビングは厚さが0.05〜0.2mmの範囲内である、内視鏡先端部アセンブリ。
【0162】
[33]
[29]に記載の内視鏡先端部アセンブリにおいて、前記ウェビングが前記複数のストラットに対して回転対称性を有するように設けられ、前記ストラットおよび前記ウェビングの形状は、以下の条件を満たす、内視鏡先端部アセンブリ。
(条件)
xはストラットの基端位置を原点とした場合の原点からの距離、w(x)は位置xにおけるウェビングの幅、s(x)は位置xにおけるストラットの幅、nはストラットの本数、rはベースの中心からストラットの基端位置までの距離、θはベースの中心軸とストラットに挟まれる角とした場合に、所定の範囲xに対し、式1を満たす0°<θ<90°が存在する。
W(x)=2π(r+xsinθ)/n-s(x)・・・(式1)
【0163】
[34]
[29]に記載の内視鏡先端部アセンブリにおいて、所定の範囲xに対し、式1を満たす30°<θ<80°が存在する。
【0164】
[35]
[29]に記載の内視鏡先端部アセンブリにおいて、所定の範囲xに対し、式1を満たす45°<θ<70°が存在する。
【0165】
[36]
[1]に記載の内視鏡先端部アセンブリにおいて、前記ストラットを前記ベースの基端側に倒した状態から前記内視鏡の挿入方向に垂直な方向へ傾斜させていった場合に、前記ストラットの抵抗力が非連続的に変化するかまたは抵抗力の増減の度合いが変化する変化点が一つ以上ある、内視鏡先端部アセンブリ。
【0166】
[37]
[36]に記載の内視鏡先端部アセンブリにおいて、前記変化点が複数ある、内視鏡先端アセンブリ。
【0167】
[38]
[36]に記載の内視鏡先端部アセンブリにおいて、前記複数のストラットを互いに拘束するウェビングをさらに備え、前記複数のストラットのそれぞれは前記ベースを受ける凹部を備え、前記ストラットの抵抗力は、前記ストラットの凹部の一部が前記ベースに当接するタイミングに対応する第1の変化点と、前記ウェビングのたるみが解消するタイミングに対応する第2の変化点と、がある、内視鏡先端部アセンブリ。
【0168】
[39]
内視鏡の一端を受け入れるリング形状のベースと、前記ベースから放射状に広がる折りたたみ可能な複数のストラットと、を有する内視鏡先端部アセンブリであって、前記内視鏡先端部アセンブリを備えた前記内視鏡は体内への挿入力量より体内からの抜き力量が大きく、前記内視鏡に取り付けるのに必要な取り付け力量が前記内視鏡から取り外すのに必要な取り外し力量よりも小さい、内視鏡先端部アセンブリ。
【0169】
[40]
[39]に記載の内視鏡先端部アセンブリにおいて、前記抜き力量が前記取り外し力量よりも小さい、内視鏡先端部アセンブリ。
【0170】
[41]
[39]に記載の内視鏡先端部アセンブリにおいて、前記抜き力量が前記取り外し力量よりも1N以上小さい、内視鏡先端部アセンブリ。
【0171】
[42]
[39]に記載の内視鏡先端部アセンブリにおいて、前記取り外し力量と前記取り付け力量との差が、3N以下である、内視鏡先端部アセンブリ。
【0172】
[43]
[39]に記載の内視鏡先端部アセンブリにおいて、取り外し力量と取り付け力量の差が、15N以下である、内視鏡先端部アセンブリ。
【0173】
[44]
[39]に記載の内視鏡先端部アセンブリにおいて、取り外し力量と取り付け力量の差が、0.5N〜10Nの範囲内である、内視鏡先端部アセンブリ。
【0174】
[45]
[39]に記載の内視鏡先端部アセンブリにおいて、取り外し力量は45N以下である、内視鏡先端部アセンブリ。
【0175】
[46]
[39]に記載の内視鏡先端部アセンブリにおいて、取り付け力量が45N以下である、内視鏡先端部アセンブリ。
【0176】
[47]
内視鏡挿入部の遠位端に着脱自在に装着できる環状のベースと、前記ベースから放射状に広がる折りたたみ可能な複数のストラットと、前記複数のストラットのうち隣り合う二つのストラットを互いにつなぐウェビングと、を備え、前記ウェビングは、前記内視鏡挿入部の先端側から時計回りで角度を定義した場合に、前記角度が90°より大きく180°以下の範囲内において、たるみがなくなる角度が存在する、内視鏡先端部アセンブリ。
【0177】
以下に、上で記載した[14]、[15]、[16]、[39]、[40]に係る実施形態の内視鏡先端部アセンブリの有利な点を説明する。
【0178】
[14]に記載の内視鏡先端部アセンブリが取り付けられた内視鏡は、複数のストラットのそれぞれがベース部を受ける凹部を有するため、当該内視鏡を体内に挿入する際に複数のストラットのそれぞれが内視鏡の基端側に倒れやすくなる。換言すると、当該内視鏡を体内に挿入する際に複数のストラットのそれぞれが内視鏡の先端とは反対側に倒れやすくなる。したがって、内視鏡を体内へ挿入するのに必要な挿入力量が小さくなる。
【0179】
[15]に記載の内視鏡先端部アセンブリが取り付けられた内視鏡は、上記複数のストラットのそれぞれが内視鏡の先端側に倒れるにつれて、隣接するストラット同士がなす角度が大きくなる、あるいは、隣接するストラット同士が互いに離間するようになる。そのため複数のストラットのそれぞれは、所定の位置よりも内視鏡の先端側に倒れると、上記ウェビングによる拘束力を受け、上記所定の位置よりも内視鏡の先端側に倒れにくくなる。即ち、当該内視鏡先端部アセンブリが取り付けられた内視鏡は、ウェビングがない場合と比べて体内から引き抜く際の引き抜き力量が大きくなる。
【0180】
[16]に記載の内視鏡先端部アセンブリが取り付けられた内視鏡は、ストラットが有する凹部の一部がベース部と着脱可能に接触するため、当該内視鏡を体内に挿入する際に、複数のストラットのそれぞれが内視鏡の基端側に倒れやすくなる。より詳細には、内視鏡を体内に挿入する際には、ベース部の外側表面と凹部の表面のうち当該ベース部の外側表面と向きあった面とが離間するため、内視鏡を体内に挿入する際に複数のストラットのそれぞれが内視鏡の先端とは反対側に倒れやすくなる。また、複数のストラットのそれぞれは、所定の位置よりも内視鏡の先端側に倒れると、ベースのベース側接触面と凹部の凹部接触面とが接触し、さらに互いに押圧するようになる。したがって、上記内視鏡先端部アセンブリが取り付けられた内視鏡は、当該内視鏡を体内に挿入する際の挿入力量が内視鏡を体内から引き抜く抜き力量より小さくなる。例えば、凹部の一部とベース部とが接触するストラットの角度(所定位置)は、ウェビングのたるみがなくなり、ウェビングによる拘束力を受けるストラットの角度より、内視鏡基端側に倒れた位置である。
【0181】
[39]に記載の内視鏡先端部アセンブリが取り付けられた内視鏡は、大きな力を要せず内視鏡に取り付けることが可能である一方、内視鏡を体内に挿入している際に内視鏡から外れにくい。また、[40]に記載の内視鏡先端部アセンブリが取り付けられた内視鏡は、このようにすると、内視鏡を体内から引き抜く際に、前記内視鏡先端部アセンブリが内視鏡から外れにくくなる。
【0182】
[33]〜[35]について、
図28Aおよび28Bを参照して説明する。
図28Aは、ベース4とストラット3とを側面から見た図である。ストラット3の基端側(ベース4にとりつけた端)からの距離xの位置においてストラット3およびウェビング2が成す傘の外周は、ベースの内径をr、ストラット3がベース4に対してなす角度をθとして、2π(r+xsinθ)で表される。したがって、
図28Bに示されるように、上記距離xの位置にあるストラットの幅をs(x)、当該位置におけるストラット3同士を結ぶウェビング2の幅をw(x)、ストラットの本数をn本とした場合に、w(x)=2π(r+xsinθ)/n-s(x)となれば、ウェビング2がたるまずに張った状態となる。つまり、[33]〜[35]に示された条件は、ストラット3の所定の位置においてウェビング2がたるまない、ストラット3とベース4とがなす角度が存在することを要求することを意味する。上記角度においてストラット3を折り曲げるのに必要な力が変化する。
【0183】
さらに、内視鏡先端部アセンブリの種々の変形例および実施形態について説明する。
【0184】
[48]
ストラットは、内視鏡先端部が備える撮像素子の画角の外に設けられる。特に、ストラットは、内視鏡先端部の遠位端側に湾曲した場合であっても上記画角の外となるように設けられる。換言すると、ストラットは、内視鏡先端部の遠位端側に湾曲した場合であっても、ベースの遠位端における断面に頂面が位置しベースの遠位端よりもさらに遠方に底面が位置する四角台錐の領域よりも外となるように設けられる。
【0185】
[49]
内視鏡先端部が備える複数のストラットのうち、[48]に記された画角の隅角部に対応する位置に設けられるストラットの長さは、上記画角の辺部に対応する位置に設けられるストラットの長さよりも短い。
【0186】
[50]
内視鏡先端部アセンブリが備える複数のストラットは、ベースの断面に平行な面内の第1の方向から所定の範囲内の角度に位置するストラットの長さが、第1の方向とは垂直な第2の方向から所定の範囲内の角度に位置するストラットの長さよりも短い。例えば、内視鏡先端部アセンブリは第1の長さのストラットと第1の長さよりも短い第2の長さのストラットとからなる8個のストラットを備え、第1の長さのストラットと第2の長さのストラットはそれぞれ交互に設けられている。または、内視鏡先端部アセンブリは第1の長さのストラットと第1の長さよりも短い第2の長さのストラットとからなる16個のストラットを備え、上記第1の方向と第2の方向と射影が重なるように第1の長さの4個のストラットを設け、残りの12個のストラットを第1の長さのストラットの間に等分して設けてもよい。
【0187】
[51]
ストラットは、複数の部材で形成されてもよい。例えば、ストラットは、芯部(内側部)と芯部を覆う表皮部(外縁部)とを備え、表皮部は芯部よりも柔らかい。または、ストラットは、ベースと接続する基端部よりも先端部のほうが柔らかい素材で形成されてもよい。例えば、ストラットは、基端部に基端部よりも柔らかい素材の先端部材を接続する。先端部材は、例えば、球状部材または先端に向かうにつれて先細る形状の部材である。また、先端部材は、先端に向かうにつれて厚みが薄くなる形状の部材であってもよい。上記の構造を有するストラットは、内視鏡先端部を体内から引き抜く際に腸を傷つけにくい。
【0188】
[52]
ストラットは、ベースの遠位端側に曲げられるにつれて、漸近的にストラットを曲げるのに要する力が低減するように構成されてもよい。例えば、ストラットは、ストラットの外側表面(ベースの外側表面と同じ側の面)に設けるノッチの深さを基端側から先端側に向かうにつれて深くなるように構成される。または、ストラットは、基端側から先端側に向かうにつれて厚みが薄くなるように構成される。また、ストラットは、所定の大きさの力を加えられた後は、ストラットを曲げるのに要する力が低減するように構成されてもよい。
【0189】
[53]
ベースは、外側表面に基端側から遠位端側に向かって延びる溝部を設けられてもよい。上記溝部は、例えば、幅がストラットの幅よりも広く、ストラットがベースの遠位端側に倒れた際にストラットの少なくとも一部を収納する。ストラットは、ベースが上記溝を有するために、遠位端側に折れ曲がる際に受ける抵抗が小さくなる。上記溝部の深さは、例えば、ベースを構成する外層(例えば、熱硬化性樹脂で形成される)と内層(例えば、エラストマーで形成される)とのうち、外層のみ溝部を有するように調節される。
【0190】
[54]
ストラットの長さ(ベースの基端側からストラットの先端までの長さ)L
sは、ベースの基端側から遠位端側までの長さL
bよりも短い。即ち、ストラットが遠位端側に完全に倒れた場合であっても、ストラットがベースの遠位端側よりもさらに遠位方向に延びることはなく、撮影画像にストラットが映りこむことがない。
【0191】
[55]
ベースは外層と内層とからなる二層の円筒形状であり、内層には凸部(クラッシュリブ)が設けられてもよい。上記凸部は、例えば、ベースが内視鏡先端部から外される方向に向かって突出している。言い換えると、上記凸部は、ベースの遠位端側に向かって突出している。上記凸部は、例えば、ストラットと同じ材料で形成された弾性体である。ベースが内視鏡先端部からはずれる方向にずれる際は、上記凸部とストラットとの間に摩擦力が生じるため、ベースが内視鏡先端部から抜け落ちにくくなる。また、上記凸部はベースの遠位端側に向かって突出しているため、ベースを内視鏡先端部から引き抜く際の取り外し力は、ベースを内視鏡先端部へ取り付ける際の取り付け力よりも大きくなる。
【0192】
[56]
ベースは外層と内層とからなる二層の円筒形状であり、外層は第1のポリマーで形成され、内層は第1のポリマーよりも硬度が小さい第2のポリマーで形成されてもよい。第1のポリマーは、例えば、熱硬化性樹脂であり、第2のポリマーは、例えば、エラストマーである。具体的には、第1のポリマーは、ピーク(PEEK(PolyEtherEtherKetone))、ポリフェニールサルフォン(PPSU(PolyPhenylSulfone))、ポリサルフォン(PSU(PolySulfone))、ポリエーテルイミド(PEI(PolyEtherImide))、ポリアセタール(POM(PolyOxyMethylene))等であり、第2のポリマーは、シリコンゴム、フッ素ゴム、ウレタンゴム、アクリルゴム、ニトリルゴム、天然ゴム等である。これらの材料は、例えば、人間の体内に入れても問題がない医療用途に使用可能な材料(生体適合性がある材料)である。また、外層と内層は一体形成されるため、第1のポリマーは、高温に耐えうる材料である必要があり上記材料は要件を満たす。さらには、第1のポリマーおよび第2のポリマーは、内視鏡先端部アセンブリを滅菌して使用するため、ガンマ線及びEOG滅菌処理に耐性のある材料である必要があり上記材料は要件を満たす。
【0193】
[57]
ベースの内層には、粘着性の粘着剤が設けられてもよい。粘着剤は例えばフィルム形状である。粘着剤はベースの内層の基端側の一部にのみ設けられてもよいし、ベースの内層の表面全体に亘って設けられてもよい。
【0194】
[58]
ベースの内層と内視鏡挿入部との間に水が浸入しないようにするため、内層と内視鏡挿入部との間には、パッキンまたはOリングといった水密部が設けられてもよい。水密部は、例えば、ベースの少なくとも一方の端部に設けられる。または、水密部は、外層と内層とを貫通する穴をベースに設け、上記穴の周囲に設けてもよい。