特許第6495576号(P6495576)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6495576
(24)【登録日】2019年3月15日
(45)【発行日】2019年4月3日
(54)【発明の名称】パネル
(51)【国際特許分類】
   B32B 3/02 20060101AFI20190325BHJP
   B32B 3/26 20060101ALI20190325BHJP
   B32B 5/24 20060101ALI20190325BHJP
   B60R 13/01 20060101ALN20190325BHJP
【FI】
   B32B3/02
   B32B3/26 Z
   B32B5/24 101
   !B60R13/01
【請求項の数】4
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-80167(P2014-80167)
(22)【出願日】2014年4月9日
(65)【公開番号】特開2015-199285(P2015-199285A)
(43)【公開日】2015年11月12日
【審査請求日】2017年3月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】000244280
【氏名又は名称】盟和産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【弁理士】
【氏名又は名称】森 哲也
(74)【代理人】
【識別番号】100108914
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 壯兵衞
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100116012
【弁理士】
【氏名又は名称】宮坂 徹
(72)【発明者】
【氏名】田邉 佳孝
(72)【発明者】
【氏名】青木 宏之
【審査官】 深谷 陽子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−046846(JP,A)
【文献】 特開2010−082941(JP,A)
【文献】 特開平09−109241(JP,A)
【文献】 実開昭59−190525(JP,U)
【文献】 特公平05−030363(JP,B2)
【文献】 特開平05−220881(JP,A)
【文献】 特開昭61−205119(JP,A)
【文献】 特開平05−278049(JP,A)
【文献】 特開2007−118837(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/008445(WO,A1)
【文献】 特開平10−024487(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00−43/00
B29C 44/00−44/60,67/20−67/24
B29D 30/00−30/72
B60R 3/00−7/14、13/00−13/04
B60R 13/07−15/04
B29C 33/00−33/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車のデッキボードとして用いられるパネルであって、
第1の中空部を構成するように、互いに平坦な第1の基材の底面である第1の底面と第2の基材の底面である第2の底面とを対向させた中空形状の基材と、
第2の中空部を構成するように、前記第1の基材の内面及び前記第2の基材の内面の形状に整合させて、前記内面に外面をアンカー効果により接合した不織布と、
前記第2の中空部を自身のみによって埋める発泡体と、
を備え、
前記第1の基材の高さ方向の寸法h1と、前記第2の基材の高さ方向の寸法h2との関係は、寸法h2が寸法h1よりも大きく、
前記第1の基材の前記内面側において、前記第1の中空部の側面と前記第1の底面とを接続する接続面は曲面であり、前記接続面の湾曲した領域に前記不織布の外面が追従して接合し、
前記第2の基材の前記内面側において、前記第1の中空部の側面と前記第2の底面とを接続する接続面の少なくとも一部が平坦であり、前記接続面の平坦な領域に前記不織布の外面が追従して接合し
前記発泡体は前記第2の中空部の内面全面に密着していることを特徴とするパネル。
【請求項2】
前記接続面を平坦にする接続面の内面は、前記第2の底面の内面及び前記側面の内面のうち少なくとも一方の内面との間の角度が、35度以上55度以下とされていることを特徴とする請求項1に記載のパネル。
【請求項3】
前記第2の底面に垂直方向から見た前記基材の外面形状が略矩形形状をなし、
前記第2の底面側において、前記矩形形状の隣り合う辺部と辺部との間の角部に、角部面取部が形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のパネル。
【請求項4】
前記第1及び第2の底面のうち少なくとも一方の底面の外面に、第3の不織布が接合されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のパネル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パネル本体内面に接合された不織布のパネル本体内面への追従性を向上させ、不織布を介して発泡体をパネル本体内面の全面に充填(密着)させるパネルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車のトランクに敷設されるデッキボード、車室内に装着される内装材、建築物用の内装材、或いは仕切壁などとして広く利用されるパネルが知られている。こうしたパネル本体内には発泡体が装填され、その発泡体がパネル本体の内面に溶着されることで、パネル全体の剛性が高められている。さらに、特許文献1では、樹脂製のパネル本体の内面に不織布を接合してパネル本体を成形することにより、パネル本体内に充填された樹脂製の発泡体を、不織布のアンカー効果によってパネル本体の内面に強固に接合し、パネルの剛性を高める技術が開示されている。
【0003】
しかし、特許文献1に開示されているパネルの成形方法では、パネル本体の製品高さが高くなると、不織布が伸びずにパネル本体内面から剥がれ、不織布とパネル本体内面との間に空隙が生じる場合がある。例えば図16では、パネル本体である基材52が第1の基材56と第2の基材57とからなるとともに、基材52の内面には第1の不織布58と第2の不織布59とからなる不織布53が接合されている。また基材52の内面が、第1の基材56の底面の内面56aと、第1の基材56の側面の内面56bと、第2の基材57の底面の内面57aと、第2の基材57の側面57bと、接続面の内面57cとによって構成されている。そして、断面が円弧状の接続面の内面57cにおいて、不織布53が追従せず、第2の基材57の内面と第2の不織布59の外面との間に空隙Sが発生する場合が示されている。この場合、基材52内部に発泡用原料を注入しても、発泡用原料が不織布59に遮られて空隙Sに到達できない。その結果、空隙Sには発泡体54が充填されず、パネル51の空隙Sの位置の剛性が著しく低下するという問題が生じる場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−082941号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記した問題に着目してなされたものであって、パネル本体内面に接合された不織布のパネル本体内面への追従性を向上させることができるとともに発泡体をパネル本体内面の全面に充填(密着)させることができるパネルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るパネルのある態様は、自動車のデッキボードとして用いられるパネルであって、第1の中空部を構成するように、互いに平坦な第1の基材の底面である第1の底面と第2の基材の底面である第2の底面とを対向させた中空形状の基材と、第2の中空部を構成するように、前記第1の基材の内面及び前記第2の基材の内面の形状に整合させて、前記内面に外面をアンカー効果により接合した不織布と、前記第2の中空部を自身のみによって埋める発泡体と、を備え、前記第1の基材の高さ方向の寸法h1と、前記第2の基材の高さ方向の寸法h2との関係は、寸法h2が寸法h1よりも大きく、前記第1の基材の前記内面側において、前記第1の中空部の側面と前記第1の底面とを接続する接続面は曲面であり、前記接続面の湾曲した領域に前記不織布の外面が追従して接合し、前記第2の基材の前記内面側において、前記第1の中空部の側面と前記第2の底面とを接続する接続面の少なくとも一部が平坦であり、前記接続面の平坦な領域に前記不織布の外面が追従して接合し、前記発泡体は前記第2の中空部の内面全面に密着していることを要旨とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明を用いれば、パネル本体内面と不織布との間に、少なくとも一部が平坦面である接続面が形成されるので、不織布が平坦面に接合することにより、パネル本体内面に接合された不織布のパネル本体内面への追従性を向上させることができるとともに発泡体をパネル本体内面の全面に充填(密着)させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態に係るパネルの一部断面図(図2のA−A線断面)である。
図2】本発明の実施形態に係るパネルを第1の基材側から見た平面図である。
図3】本発明の実施形態に係るパネルを第2の基材側から見た底面図である。
図4】パネルの変形例を示す一部断面図である。
図5】パネルの変形例を説明する図である。
図6】パネルの変形例を示す一部断面図である。
図7図3のB−B方向から見た断面図である。
図8】第2の基材の変形例を示す一部断面図である。
図9図3のC部分を拡大した図である。
図10図3のD−D方向から見た断面図である。
図11】本発明の実施形態に係るパネルの成形方法を説明する図である。
図12】本発明の実施形態に係るパネルの成形方法を説明する図である。
図13】本発明の実施形態に係るパネルの成形方法を説明する図である。
図14】本発明の実施形態に係るパネルの成形方法を説明する図である。
図15】本発明の実施形態に係るパネルの成形方法を説明する図である。
図16】従来のパネルの一部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態に係るパネル1の構成を、図面を参照して説明する。尚、図中に示されたパネルを構成する各部の形状、大きさ又は比率は適宜簡略化及び誇張して示されている。また図中、同一機能を有するものには同一符号を付し、その繰り返しの説明を省略する。
本発明の実施形態に係るパネル1は、図1及び図2に示すように、全体が横長で平板状に近い直方体形状とされている。本発明の実施形態に係るパネル1は、自動車のトランク内の収納室の上部に嵌め込まれてデッキボードとして用いられるものである。
【0010】
パネル1は、図1に示すように、第1の中空部を構成するように、互いに平坦な第1の底面と第2の底面とを対向させた中空形状の基材2と、第2の中空部を構成するように、基材2の内面の形状に整合させて、内面に外面を接合した不織布3と、第2の中空部を埋める発泡体4とを備える。すなわち、基材2の内面で囲まれて定義される空間が第1の中空部である。また基材2の内面に接合された不織布3の内面で囲まれて定義される空間が第2の中空部である。本発明の実施形態に係るパネル1の基材2は、図1に例示するように第1の基材6及び第2の基材7から構成された場合であるが、図1に示す構造に限定されるものではない。図1に例示する構造においては、第1の基材6の底面が本発明の第1の底面に相当し、第2の基材7の底面が本発明の第2の底面に相当する。すなわち第1の基材6の底面の内面6aと、第2の基材7の底面の内面7aとが、第1の中空部の内平面を形成する。また、基材2の第1の底面側の外面に、化粧用の不織布5が接合されている。
【0011】
第2の基材7の内面側において、第1の中空部の側面と第2の底面とを接続する接続面の内面7cの少なくとも一部が平坦である。基材2の第1の中空部の側面は、第1の基材6の側面と、第2の基材7の側面とを接合して構成されている。また、本発明の実施形態に係るパネル1においては、不織布3は、第1の基材6の内面に接合された第1の不織布8と、第2の基材7の内面に接合された第2の不織布9とを有するが、図1に示す構造に限定されるものではない。また化粧用の不織布5が、本発明の第3の不織布に相当する。
【0012】
第1の基材6及び第2の基材7は、いずれも繊維で強化された樹脂を材料とするとともに、凹状に成形された上で互いに接合されパネル本体を構成する。また第1の基材6及び第2の基材7は、成形前のシート状の基材時はともに同じ厚みである。その厚みは例えば0.6mm以上1.0mm以下程度に設定される。第1の基材6及び第2の基材7の厚みが0.6mm未満であると、シート状の基材を押出機で押し出す際、厚みが薄い為に基材が破れたり、裂け易くなったりする。シート状の基材を押出機で押し出す際のトラブルによりパネル1の生産速度が遅くなり、生産効率が低下してしまう。また第1の基材6及び第2の基材7の厚みが1.0mmより大きいと、凹状に成形する際、溶融した基材樹脂の重量が増加するので、例えば真空成形を行う時、真空吸引が不十分となる場合が生じ、凹状に成形できなくなる。尚、本発明の実施形態では、第1の基材6及び第2の基材7の厚みは、パネル1の生産速度及び真空吸引における成形性を考慮すると、例えば0.8mm程度の値が好ましい。
【0013】
第1の基材6は、図1に示すように、第1の底面と、第1の底面に繋がる側面とを有する。A−A方向から見た断面図上で第1の基材6の高さとして、図1に示すように、第1の基材6の側面の下端面から底面の外面までの高さh1を定義すると、第1の基材6の基材7の高さh1は、例えば6mm以下となる。第1の基材6の底面の内面6aと側面の内面6bとに、第1の不織布8が接合されている。
【0014】
第2の基材7は、図3に示すように、最大面積を定義する主面に垂直方向に沿って外面側から見た平面形状が、略矩形(長方形)である。第2の基材7の主面に垂直方向に切った断面図において、第2の基材7の内面には、図1に示すように、第2の底面と、第2の底面に連続した接続面の内面7cと、接続面の内面7cに連続した側面の内面7bが定義されている。接続面は、断面形状が直線状に表現されているので、図1に示す接続面の外面7fと接続面の内面7cとはそれぞれ平坦である。図1から分かるように、第2の基材7における底面の内面7aと、接続面の内面7cと、側面の内面7bとに、第2の不織布9の外面が、第2の底面、接続面及び側面の各内面がなす形状に整合するように接合されている。
【0015】
また、図3に示すように、第2の基材7には、第2の基材7の長辺方向(幅方向)の中央部であって、短辺方向の一端側寄り位置に、凹部Hが形成されている。また第2の基材7の長方形の角部には、図3に符号Cを付した円で示すように、長方形の第1辺部をなす第1の接続面の外面7f1と、第1の側面の外面7e1と、長方形の第4辺部をなす第4の接続面の外面7f4と、第1の側面の外面7e4との間に、第1の角部面取部10aが、第2の基材7の底面に対し傾斜をなすように形成されている。
同様に、長方形の第1辺部をなす第1の接続面の外面7f1と、第1の側面の外面7e1と、長方形の第2辺部をなす第2の接続面の外面7f2と、第2の側面の外面7e2との間に、第2の角部面取部10bが、第2の基材7の底面に対し傾斜をなして形成されている。
【0016】
また、第2辺部をなす第2の接続面の外面7f2と、第2の側面の外面7e2と、第3辺部をなす第3の接続面の外面7f3と、第3の側面の外面7e3との間に、第3の角部面取部10cが、第2の基材7の底面に対し傾斜をなして形成されている。
更に、第3辺部をなす第3の接続面の外面7f3と、第3の側面の外面7e3と、第4辺部をなす第4の接続面の外面7f4と、第4の側面の外面7e4との間に、第4の角部面取部10dが、第2の基材7の底面に対し傾斜をなして形成されている。
【0017】
図1に示した断面図上、第2の基材7の高さh2は、第2の基材7の底面の外面7dから側面の上端面までの距離として定義される。第2の基材7の高さh2は、例えば、14.0mm程度に設定することができる。また図1に示した断面図上、接続面の高さd2は、第2の基材7の底面の外面7dから、側面の外面7eと接続面の外面7fとの境界位置までの距離として定義される。接続面の高さd2は、例えば、8.0mm程度に設定することができる。また接続面の投影幅d1は、底面の外面7dを延長する面に投影(射影)される接続面の幅であり、第2の基材7の側面の外面7eの下端から、底面の外面7dと接続面の外面7fとの境界位置までの距離として定義される。接続面の投影幅d1は、例えば、8.0mm程度に設定することができる。
また、接続面の内面7cと第2の基材7の底面の内面7aとがなす角度θは、例えば、35度以上55度以下程度とすることが望ましい。角度θは、43度以上47度以下程度がより好ましい。43度以上47度以下程度が好ましい理由を、接続面の高さd2=8.0mmの場合を用いて以下に説明する。説明の都合上、角度θは45度として説明する。
【0018】
角度θが35度未満のとき、例えば図4に示すように接続面の内面37cと第2の基材7の底面の内面7aとがなす角度θ2=30度の場合は、角度θ=45度における接続面の高さd2と同様に定義される接続面の高さd4=8.0mmとすると、第2の不織布の外面が、図4に示した接続面の内面37cに接合して追従する。しかし、角度θ=45度における接続面の投影幅d1と同様に定義される接続面の投影幅d3が、図1に示した接続面の内面7cと第1の底面がなす角度θ=45度の場合の投影幅d1より長くなる。投影幅d3が角度θ=45度の場合の投影幅d3より長くなると、パネル1をデッキボードとして自動車のトランク内に設置した時に、図4に示すように、パネル1の接続面の下方に占有される空間領域Vの容積が大きくなる。そのため、図5中の白抜き矢印で示すように、パネル1の上端部が上から押された時に、図5中の実線矢印で示す向きに、パネル1が傾いてしまう。
【0019】
また角度θが55°より大きいとき、例えば図6に示すように接続面の内面47cと第2の基材7の底面の内面7aとがなす角度θ3=60度、角度θ=45度における接続面の高さd2と同様に定義される接続面の高さd6=8.0mmとすると、角度θ=45度における接続面の投影幅d1と同様に定義される接続面の投影幅d5が、角度θ=45度の場合の投影幅d1より短くなり、角度θ2=30度の場合のようにパネル1が傾く懸念は低下する。しかし、接続面の内面47cと第2の底面がなす角度θ3が大きくなりすぎて、第2の不織布9の外面の接続面の内面47cへの追従性が悪化し、接続面の底面寄りの位置を中心に、図6に示すような空隙Sが生じてしまう。
よって、第2の不織布9の接続面の内面47cへの追従性の向上と、パネル1の安定性の向上を考慮すると、角度θは45度とすることが好ましい。尚、接続面の内面47cと第2の底面がなす角度θが45度の場合は、接続面と側面との間の角度も45度となる。
【0020】
尚、便宜上、図1等の断面図上で接続面が直線状に示された場合を例示しているが、接続面をなすすべての領域に一様に平坦な内面が形成される必要はない。例えば、第1の中空部の側面と第2の基材7の底面とを接続する接続面の内面の一部が局所的に平坦面であってもよい。また、第1の中空部の側面と第2の基材7の底面とを接続する接続面の一部に、断面が円弧状となる箇所や領域があってもよい。要は、第2の不織布9の外面の、パネル本体を構成する基材2の内面の形状への追従性や整合性を高められればよい。また第1の中空部の側面と第1の基材6の底面の内面との間に、第2の基材7側と同様の接続面が形成された上で、第1の基材6側の接続面の少なくとも一部に、断面図上で直線状に示される平坦面が形成されてもよい。
【0021】
図3に示した凹部Hは、パネル1を自動車のデッキボードを持ち上げる部品のストラップを取り付ける箇所である。図7は、図3のB−B方向から見た断面図に対応し、図1と上下方向を反対にして第2の基材7の底面を上にして表示している。凹部Hは、第2の基材7の外面側から見ると第2の基材7の底面の外面7dに設けられた凹状の成形部となる。また凹部Hは、第2の基材7の内面側すなわち発泡体4側から見ると、第2の基材7の底面の内面7aの内平面から隆起する凸状の成形部となる。
【0022】
凹部Hは、図7に示すように、凹部の底面をなす凹部底面、凹部の側面をなす凹部側面及び、凹部底面と凹部側面との間を接続する凹部接続面とを有する。凹部底面の内面11aと、凹部側面の内面11bと、凹部接続面の内面11cとが、凹部Hの内面を形成する。凹部接続面の内面11cは、断面図上で直線状に示される平坦な接続面であり、その機能は第2の基材7の接続面の内面7cと同様である。平坦な内面11cを有する凹部接続面を、第2の基材7の底面と、凹部Hの側面との間に設けることにより、凹部Hの凹部接続面における第2の不織布9の形状追従性を高めることができる。
【0023】
また、図7に示した凹部Hと対称的に、図8に示すように、第2の基材7の外面側から見ると凸状の成形部である凸部Lを、第2の基材7の底面に設けてもよい。凸部Lは、第2の基材7の内面側すなわち発泡体4側から見ると凹状の成形部となる。凸部Lは、凸部の頂面をなす凸部底面、凸部の側面をなす凸部側面及び、凸部底面と凸部側面とを接続する凸部接続面とを有する。凸部底面の内面27aと、凸部側面の内面27bと、凸部接続面の内面27cとが、凸部Lの内面を形成する。凸部接続面の内面27cは、断面図上で直線状に示される平坦な接続面であり、その機能は第2の基材7の接続面の内面7cと同様である。平坦な内面27cを有する凸部接続面を、第2の基材7の底面と、凸部Lの側面との間に設けることにより、凸部Lの凸部接続面における第2の不織布9の形状追従性を高めることができる。
【0024】
図9に示した角部面取部10aは、図3に符号Cを付して示した箇所の拡大図に対応し、長方形の第1辺部をなす第1の接続面の外面7f1と、第1の側面の外面7e1と、長方形の第4辺部をなす第4の接続面の外面7f4と、第1の側面の外面7e4との間に、逆五角形或いはこれに近似した形状の第1の角部面取部10aが、第2の底面に対し傾斜をなすように形成されている態様を例示的に示す。第1の角部面取部10aは、内面10eと外面10fとを有する。本発明の実施形態において、第1〜第4の角部面取部10a〜10dは、いずれも平坦である。尚、角部面取部10a〜10dは、図9に示す形態に限定されるものではない。
【0025】
第2の基材7の平面パターンは、略矩形(長方形)をなすので、長方形の4つの角部は、パネル本体内面における不織布3の接合部位の中で、周辺の不織布3の接合部位から作用する張力が比較的大きい部位である。また、長方形の4つの角部は、パネル1の取り扱い時には、衝撃が加わり易い部位でもある。よって、図3に示すように、それぞれの角部に、第1〜第4の角部面取部10a〜10dが構成されることにより、第2の基材7を構成する長方形の辺部のみならず、長方形の4つの角部の内面における不織布9の形状追従性を高め、パネルの角部の剛性を高めることができる。
尚、図9では、平面パターンが略矩形(長方形)をなす第1の基材6の4つの角部の外面の形状を直接図示していない。しかしながら、図9に一つの角部を代表例として示すように、第1の基材6の外面に接合された化粧用の不織布5の形状として第1の基材6の外面の形状が表現され、下地となっている第1の基材6の4つの角部の外面は、僅かに丸められていることが理解できる。
【0026】
基材2の内面に接合される不織布3は、目付量80〜100g/m程度のものが、いわゆる「けば立ち」を抑え、空気の含有を抑える点から好ましい。本発明の実施形態に係るパネル1では、例えば目付量80g/mの不織布3が用いられている。
発泡体4を構成する発泡用原料は、ウレタン等の樹脂素材が用いられる。これ以外にも公知の材料から適宜、発泡体4を構成する発泡用原料として選択されてよい。
【0027】
(パネルの成形方法)
次に本発明の実施形態に係るパネル1の製造方法を、図11図15を参照して説明する。なお、以下に述べるパネル1の製造方法は、一例であり、特許請求の範囲に記載した趣旨の範囲内であれば、この変形例を含めて、これ以外の種々の製造方法により、実現可能であることは勿論である。
まず、押出機(不図示)によって、補強用の繊維が配合された熱可塑性樹脂を押出し成形して、シート状の第1の基材6を製造する。シート状の第1の基材6の厚みは例えば0.8mm程度が好ましい。その際、押出機から押出された第1の基材6の一方の面(図11中上側の面)に第1の不織布8を接合する。また第1の基材6の他方の面(図11中下側の面)に化粧用の不織布5を接合する。このとき、第1の基材6は加熱されており、第1の基材6と、第1の不織布8及び化粧用の不織布5とは、それぞれアンカー効果によって接合される。尚、第1の不織布8及び化粧用の不織布5は、第1の基材6に、接着剤を用いて接合されてもよい。
第1の成形型18は、その内部に中空室20が区画形成され、成形面21を構成する壁部には多数の吸引孔22が形成され、その吸引孔22を介して、中空室20と外部が連通している。成形面21は、底面21a及び側面21bを有する。
【0028】
次に、第1の基材6を、加熱軟化させた状態で、図11に示すように、第1の成形型18の上端面を構成する縁部18aと縁部18aとの上に配置する。このとき、第1の基材6に接合された不織布8が第1の成形型18の上面の凹部と反対側を向くようにして、第1の基材6を第1の成形型18上に配置する。第1の基材6が縁部18aと縁部18aとの上に配置されることにより、第1の成形型18の内部から各縁部18a,18aの上面に開口形成されている上面吸引孔22a,22aが閉鎖されることとなる。
【0029】
次に、第1の成形型18の、第1の基材6の延在方向の一端の壁面に設けられた排気口23を通して中空室20内の空気を吸引し、中空室20内の空気を外部に排出させる。排気口23を介して空気を排出することにより、第1の基材6は、図12に示すように、化粧用の不織布5及び第1の不織布8とともに、第1の成形型18の成形面21に沿った形状に真空成形されることとなる。
次に、図13の上方に示すように、その内部に中空室14が区画形成され、凹部としての成形面15を構成する壁部に多数の吸引孔16が形成された第2の成形型12を用意する。第2の成形型12は、排気孔17を介して、中空室14と外部が連通している。成形面15をなす凹部には、底面15a、側面15b及び底面15a及び側面15bの間に成形型接続面15cが形成されている。成形型接続面15cは平坦とされている。このとき、成形型接続面15cと底面15aとの間の角度θ9は例えば45度程度が好ましい。
【0030】
そして、図13に示すように、第1の基材6の上方に第2の成形型12を配置し、第1の基材6と第2の成形型12との間に、加熱されて軟化したシート状の第2の基材7を配置する。第2の基材7も第1の基材6と同様に、補強用の繊維が配合された熱可塑性樹脂を材料とする。第2の基材7においても、押出機により、第2の基材7の一方の面(図13中下側の面)に第2の不織布9を接合する。第2の基材7は、その一方の面の第2の不織布9が第1の成形型18の成形面21側を向くようにして、第2の成形型12と第1の成形型18の間に配置される。
【0031】
次に、第2の成形型12を、図14に示すように下降させて、両成形型12,18を型締めし、第1の不織布8及び第2の不織布9の縁部を互いに接合する。そして、第1の成形型18と同様に、第2の成形型12に形成された排気口17を通して中空室14内の空気を吸引し、中空室14内の空気を外部に排出させる。これにより、第2の基材7は、第2の成形型12の成形面15に沿った形状に真空成形される。
次に、第1の成形型18及び第2の成形型12を型締めする。その直後に、中空な細管より成るブローピン24の先端部を、第2の成形型12側から、第1の基材6及び第2の基材7間の空間に差し込み、ブローピン24を通して、第1の基材6及び第2の基材7間の空間にエアーを圧送する。また同時に、第1の成形型18に形成された排気口23を通して、第1の成形型18の中空室20内の空気を吸引して、その空気を外部に排出させる。さらに同時に、第2の成形型12の中空室14内の空気の吸引を継続して行う。このように、第1の基材6及び第2の基材7間へのエアーの圧送と、第1の成形型18の中空室20内の空気の吸引と、第2の成形型12の中空室14内の空気の吸引と、を同時に並行して行う。これにより、第3の不織布5が第1の成形型18の凹部形状をなす成形面21に密着するとともに、第2の基材7が第2の成形型12の凹部形状をなす成形面15に密着する。また第1の基材6が第1の成形型18の成形面21に沿った形状に成形されるとともに、第2の基材7が第2の成形型12の成形面15に沿った形状に成形される。
【0032】
具体的には、第1の基材6の底面の内面6aは、第1の成形型18の成形面21の底面21aに沿った形状とされる。また第1の基材6の側面の内面6bは、第1の成形型18の成形面21の側面21bに沿った形状とされる。
また第2の基材7の底面の内面7aは、第2の成形型12の成形面15の底面15aに沿った形状とされる。また第2の基材7の側面の内面7bは、第2の成形型12の成形面15の側面15bに沿った形状とされる。また第2の基材7の接続面の内面7cは第2の成形型12の成形面15の成形型接続面15cに沿った形状とされる。
【0033】
図13に示すように、第2の成形型12の成形型接続面15c及び底面15a間の角度θ9を、例えば45度としておくことで、第2の基材7の接続面の内面7cと、底面の内面7a間の角度θが45度に形成される。
次に、第1及び第2の不織布8,9の端部を互いに接合するとともに、第1及び第2の不織布8,9を介して第1及び第2の基材6,7の端部どうしを接合する。
次に、ブローピン24を第2の基材7から抜き出す。その後、第1の成形型18及び第2の成形型12を互いに離間させて、成形品を成形型から取り出す。その後、成形品に付着している第1の基材6の一部や第2の基材7の一部をトリミングする。取り出された成形品の基材2の内面には、第1の不織布8及び第2の不織布9のそれぞれの端部が接合した不織布3が接合されている。
【0034】
ここで、第2の基材7の接続面の内面7cは断面図上で直線状の平坦面に形成されている。また第2の基材7の接続面の内面7cと底面の内面7aとの間の角度θが45度となる。接続面の内面7cが平坦面であるとともに、底面の内面7aとの間の角度θが45度であることにより、第2の基材7の接続面の内面7cにおける不織布9の形状追従性が高まるので、パネル本体内部の空隙Sの発生を防止できる。
【0035】
次に、図15に示すように、基材2の内部の不織布8,9間の中空部にノズル25を用いて発泡用原料を注入し、基材2の内部に発泡体4を充填する。これにより、発泡体4をパネル本体内面の全面に充填(密着)でき、パネル1が完成する。尚、このとき基材2はブロー形成時とは上下が逆位置とされている。上記のようにして、本発明の実施形態に係るパネルの成形方法が構成される。尚、前記した処理中、ブローピン24の嵌合により第2の基材7に形成された孔は塞がれてもよいし、或いはこの孔に例えばノズル25を差し込んで用いられてもよい。また、第1の基材6及び第2の基材7の端部どうしの接合の方法は、適宜変更されてよいとともに、採用された接合方法により得られる接合部の形状も適宜変更されてよい。要は、基材2の内面に接合される不織布3の形状追従性を高めるように構成すればよい。
また、パネル1の成形方法は、上記のように、図11図15を参照して説明した方法に限定されるものではない。例えば、特開2010−082941号公報に記載されているように、真空成形と同時にブロー成形を行ってもよいし、或いは射出成形を行ってもよい。
【0036】
(効果)
本発明の実施形態によれば、第2の基材7の側面と底面とを接続する接続面の内面の少なくとも一部に、平坦な内面7cが形成され、第2の不織布9が接続面の平坦な内面7cに接合することにより、不織布3のパネル本体内面への形状追従性を向上させることができるとともに発泡体4を不織布3の内面の全面に充填(密着)させることができる。
不織布3の第2の基材7の内面への形状追従性が向上することにより、パネル1の剛性が高まり、以下のような場合に有効となる。例えば、パネル1を自動車に組み付けるとき、辺部や角部がバックドア開口部に当たった場合の耐久性が向上する。またデッキボードを開閉して収納BOXから収納物を取り出すとき、デッキボードであるパネル1を外す作業が生じるが、このときパネル1を車外に落とした場合のパネル1の耐久性が向上する。またデッキボードの開閉をするとき、車両側のデッキボードの相手部分との隙間が小さい場合、デッキボードの開閉の繰り返しによる接触負荷に対するパネル1の耐久性が向上する。
【0037】
また、本発明の実施形態に係るパネル1の第1の基材6の外面には、化粧用の第3の不織布5が接合されているので、第1の基材6を上側としてパネル1を自動車のデッキボードに使用した際、デッキボードの意匠性を高めることが可能となる。すなわち、通常使用時に視認されることが比較的少ない、パネル1の下側に位置する第2の基材7側の剛性を高めると同時に、通常使用時に視認されることが比較的多い、パネル1の上側に位置する第1の基材6側の意匠性を高めることとなり、自動車の内装用として好適なパネル1を提供することができる。
尚、本発明に係るパネルは、自動車のトランクに敷設されるデッキボードに限定されるものでなく、車室内に装着される内装材、建築物用の内装材、或いは仕切壁等の各種分野において用いることができる。
【符号の説明】
【0038】
1…パネル
2…基材
3…不織布
4…発泡体
5…第3の不織布
6…第1の基材
6a…第1の基材の底面の内面
7…第2の基材
7a…第2の基材の底面の内面
7b…第2の基材の側面の内面
7c…第2の基材の接続面の内面
8…第1の不織布
9…第2の不織布
θ…接続面と底面との間の角度
図1
図2
図3
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