特許第6495581号(P6495581)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6495581
(24)【登録日】2019年3月15日
(45)【発行日】2019年4月3日
(54)【発明の名称】電子計量式ガスメータ
(51)【国際特許分類】
   G01F 3/22 20060101AFI20190325BHJP
【FI】
   G01F3/22 D
【請求項の数】1
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2014-119826(P2014-119826)
(22)【出願日】2014年6月10日
(65)【公開番号】特開2015-232511(P2015-232511A)
(43)【公開日】2015年12月24日
【審査請求日】2017年6月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】000150109
【氏名又は名称】株式会社竹中製作所
(73)【特許権者】
【識別番号】000116633
【氏名又は名称】愛知時計電機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000156813
【氏名又は名称】関西ガスメータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100067091
【弁理士】
【氏名又は名称】大橋 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100198797
【氏名又は名称】大橋 裕
(72)【発明者】
【氏名】石谷 聡
(72)【発明者】
【氏名】能登 雅弘
(72)【発明者】
【氏名】野中 勉
(72)【発明者】
【氏名】花木 克久
(72)【発明者】
【氏名】山本 泰広
(72)【発明者】
【氏名】吉田 貴昭
【審査官】 山下 雅人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−202170(JP,A)
【文献】 実開平03−125222(JP,U)
【文献】 特開2002−257605(JP,A)
【文献】 特開2005−331395(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第02063234(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01F 3/22
G01D 5/00 −5/252
G01B 7/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスメーター本体の上ケースを区画壁により下段に機械室を形成し、上段に制御室を形成し、前記機械室内には計量膜の往復運動により回転縦軸を中心として回転するクランク機構を組み付けると共にこのクランク機構の最上段には、前記回転縦軸の延長線上に位置し、かつ前記回転縦軸と一緒に回転するように永久磁石を上面に取り付けた永久磁石取付板を取り付け、前記制御室内には前記永久磁石と対向する位置に磁気センサーを取り付け、 前記磁気センサーから出力された流量パルス信号に基づいてガスの流量を演算する流量演算回路は、前記制御室内に設けられている電子計量式ガスメーターであって、
前記永久磁石を取り付けた取付板を前記クランク機構の上段に取り付けている支軸において、この支軸内に永久磁石側に偏心させて肉盗み孔を形成し、前記取付板と支軸とを一体成形することによる取付板の先端側と支軸部側との樹脂量の差による成型収縮率の違いにより発生する取付板側の変形を防止して永久磁石の水平回転運動を確保するように構成したこと、を特徴とする電子計量式ガスメーター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、計量膜の往復運動に基づいて翼軸からヒンジを経由してクランク機構を回転させ、このクランク機構に永久磁石を取り付け、この永久磁石と対向する位置に取り付けた磁気センサ(以下「MRセンサ」という。)によりパルス信号を出力し、このパルス信号を基に流量を演算する所謂電子計量式ガスメータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電子計量式ガスメータを図5に示す。
この図5に示すガスメータは、ガスメータ本体100の下部に計量膜101を組み付けると共にこの計量膜101の往復運動により翼軸102を回転し、翼軸102の回転をヒンジ103を経由してクランク機構104に伝達し、図5、6に示すようにクランク機構104の上段に取り付けた永久磁石105の回転によりMRセンサ106からパルス信号を出力させ、このパルス信号を基に流量演算回路107により流量を演算する方式であった。
【0003】
図中108は、MRセンサ106の隔離ケーシングである。
【0004】
しかし、上記した従来の電子計量式ガスメータにおいては、次のような問題があった。1.永久磁石105は、ガスが充満しているガスメータ本体100内に位置し、MRセンサ106は、その永久磁石105の横方向へ配置する必要があった為、図6に示すようにガスが充満しているガスメータ本体100内と隔離する隔離ケーシング108を用いてMRセンサ106をガスメータ本体内に配置させる必要があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、ガスメータ本体内の環境の影響を受けることがないと共に周辺の機器で発生した磁気ノイズの影響を受けない新規な永久磁石とMRセンサの取り付け構造を持った電子計量式ガスメータを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、電子計量式ガスメーターにおいて、ガスメーター本体の上ケースを区画壁により下段に機械室を形成し、上段に制御室を形成し、前記機械室内には計量膜の往復運動により回転縦軸を中心として回転するクランク機構を組み付けると共にこのクランク機構の最上段には、前記回転縦軸の延長線上に位置し、かつ前記回転縦軸と一緒に回転するように永久磁石を上面に取り付けた永久磁石取付板を取り付け、前記制御室内には前記永久磁石と対向する位置に磁気センサーを取り付け、 前記磁気センサーから出力された流量パルス信号に基づいてガスの流量を演算する流量演算回路は、前記制御室内に設けられている電子計量式ガスメーターであって、前記永久磁石を取り付けた取付板を前記クランク機構の上段に取り付けている支軸において、この支軸内に永久磁石側に偏心させて肉盗み孔を形成し、前記取付板と支軸とを一体成形することによる取付板の先端側と支軸部側との樹脂量の差による成型収縮率の違いにより発生する取付板側の変形を防止して永久磁石の水平回転運動を確保するように構成したことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0007】
請求項1に記載の発明によると、ガスメータ本体の上ケース内を区画壁により下段の機械室と上段の制御室に区画し、永久磁石は機械室側のクランク機構に取り付け、MRセンサ及び電子部品類は制御室側に取り付けると共にMRセンサは前記永久磁石に対して区画壁を挟んで上方から対向させたことにより、永久磁石とMRセンサ間の距離を接近させてパルス信号の発生を大きくすることができ、また永久磁石取付板の先端側と支軸側において成形収縮率の差により発生する前記取付板の変形を防止して永久磁石が回転するときの水平度を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明を実施したガスメータを示す断面図。
図2】永久磁石とMRセンサ部分の説明図。
図3】永久磁石の取付構造を示すもので、(A)はクランク機構の回転縦軸と永久磁石の取付構造を示し、(B)は上方から見た永久磁石の取付構造の説明図。
図4】永久磁石固定用爪片の爪部を薄く形成した実施例の説明図。
図5】従来の電子計量式業務用ガスメータの説明図。
図6】従来の永久磁石とMRセンサの取付構造の説明図。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0009】
請求項1に記載した本願発明の実施例を図1図4に基づいて詳細に説明する。
【0010】
符号の1は、ガスメータ本体であって、このガスメータ本体1は、下半に計量膜3を組み付けた計量室2を形成し、上半に上ケース4を形成した所謂ダイキャストボディから成る。
【0011】
5は、前記上ケース4内において、下段を機械室6、上段を制御室(電子部品室)7に区画している区画壁、8は制御室7の正面の開口部に取り付けられた前カバーであって、この前カバー8の正面には流量表示用液晶板9が設けられている。
【0012】
10は、制御室7内に組み付けられた流量演算回路、11は感震センサ12等の電子部品である。
【0013】
13は、機械室6内のクランク機構であって、このクランク機構13は、前記計量膜3の往復運動で回転する翼軸3aによりヒンジ14を介して縦軸15を中心として回転する。
【0014】
16は、前記ヒンジ機構13の上段に取り付けられた永久磁石取付板であって、この取付板16にはその上面に永久磁石17が取り付けられていると共に永久磁石17は前記縦軸15の垂直線上に位置し、この垂直線を中心としてクランク機構13の回転と一致して回転するように設定されている。
【0015】
18は、前記制御室7側において、前記永久磁石17と上方から対向する位置において、区画壁5に接近して取り付けられたMRセンサであって、このMRセンサ18は、図2に示すようにその周囲と上面が磁気シールド板19により覆われていることにより、周辺からの磁気ノイズの影響が遮断されている。
【0016】
20は、区画壁5において、永久磁石17と対向する面を加工した薄肉部であって、この薄肉部20により、永久磁石17を可及的にMRセンサ18に接近させることにより、パルス信号の発生を確実なものにしている。
【0017】
併せて、永久磁石取付板16には、図3で明らかなように、爪片16aにより二辺で永久磁石17が固定されているが、この爪片16aは逆L字状を呈し、かつ永久磁石17の縁に接合する爪部16bは薄く(W´>W)形成されていることにより、MRセンサ18側に永久磁石17を可及的に接近させて、この場合もパルス信号の発生を確実なものにしている。
【0018】
また、クランク機構13の上段に取り付けられている永久磁石取付板16と、支軸16aとを一体成形しても肉抜き孔16の作用により取付板16の先端側と支軸16a側の樹脂量が接近するこの結果、成形収縮率の違いにより、取付板16の変形が防止されて永久磁石17の水平回転運動が確保される。
【0019】
本発明に係るパルス信号発生部としての永久磁石17、MRセンサ18においては以上の如き工夫がそれぞれ施されていることにより、周辺機器のノイズを遮断し、併せてパルス信号を正確に発信することができる。
【符号の説明】
【0020】
1.ガスメータ
2.下ケース
3.計量膜
4.上ケース
5.区画壁
6.機械室
7.制御室
13.クランク機構
16.永久磁石取付板
17.永久磁石
18.MRセンサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6