特許第6495585号(P6495585)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6495585
(24)【登録日】2019年3月15日
(45)【発行日】2019年4月3日
(54)【発明の名称】通信機器、プログラム、通信方法
(51)【国際特許分類】
   H04W 48/16 20090101AFI20190325BHJP
   H04W 88/04 20090101ALI20190325BHJP
   H04W 88/06 20090101ALI20190325BHJP
   H04W 84/12 20090101ALI20190325BHJP
【FI】
   H04W48/16 135
   H04W88/04
   H04W88/06
   H04W84/12
【請求項の数】10
【全頁数】27
(21)【出願番号】特願2014-136472(P2014-136472)
(22)【出願日】2014年7月2日
(65)【公開番号】特開2016-15607(P2016-15607A)
(43)【公開日】2016年1月28日
【審査請求日】2017年6月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000227205
【氏名又は名称】NECプラットフォームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【弁理士】
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100124154
【弁理士】
【氏名又は名称】下坂 直樹
(72)【発明者】
【氏名】柿内 良博
(72)【発明者】
【氏名】吉山 正晃
【審査官】 横田 有光
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−227610(JP,A)
【文献】 特開2004−140684(JP,A)
【文献】 特開2012−138709(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24− 7/26
H04W 4/00−99/00
H04M 3/00
3/16− 3/20
3/38− 3/58
7/00− 7/16
11/00−11/10
3GPP TSG RAN WG1−4
SA WG1−4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報機器、及び、接続する装置と通信網との通信を中継する複数の端末に接続され、
前記端末が中継する通信の通信量を出力する回線接続部と、
前記回線接続部から入力された所定時間内の前記通信量が所定の上限値より小さな前記端末に対応する所定の識別子を出力する選択部と、
を備え、
前記回線接続部は、
前記識別子に対応する前記端末と前記情報機器の通信を中継す
ことを特徴とする通信機器。
【請求項2】
前記回線接続部は、前記通信量を測定し、所定のタイミングになると、測定した前記通信量を前記選択部に出力する、
ことを特徴とする請求項1に記載の通信機器。
【請求項3】
前記回線接続部は、前記端末から入力された前記所定時間内の前記通信量と前記所定の上限値との差を前記選択部に出力する、
ことを特徴とする請求項1に記載の通信機器。
【請求項4】
前記選択部は、接続される前記端末のうち、入力された前記所定時間内の前記通信量と前記所定の上限値との差が最も小さな前記端末以外の前記端末を示す所定の最小識別子を出力し、
前記回線接続部は、前記最小識別子が示す前記端末との通信を優先して前記情報機器と中継する、
ことを特徴とする請求項に記載の通信機器。
【請求項5】
前記所定の上限値は、前記所定時間内に前記端末が利用可能な通信量である、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の通信機器。
【請求項6】
前記情報機器は前記通信網と直接通信を行う情報機器で、前記端末は所定のパケットが入力されると、前記通信機器と前記通信網との通信を中継する端末であり、
前記回線接続部は、前記端末とコネクションが確立しないときには、前記情報機器に前記端末宛ての前記所定のパケットを出力する、
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の通信機器。
【請求項7】
情報機器、及び、接続する装置と通信網との通信を中継する複数の端末に接続された通信機器を、
前記端末が中継する通信の通信量を出力する回線接続モジュール及び
前記回線接続モジュールから入力された所定時間内の前記通信量が所定の上限値より小さな前記端末に対応する所定の識別子を出力する選択モジュール
として機能させるためのプログラムであり、
前記回線接続モジュールは、
前記識別子に対応する前記端末と前記情報機器の通信を中継する
ことを特徴とするプログラム。
【請求項8】
前記選択モジュールは、接続される前記端末のうち、入力された前記所定時間内の前記通信量と前記所定の上限値との差が最も小さな前記端末以外の前記端末を示す所定の最小識別子を出力し、
前記回線接続モジュールは、前記最小識別子が示す前記端末との通信を優先して前記情報機器と中継する、
ことを特徴とする請求項7に記載のプログラム。
【請求項9】
情報機器、及び、接続する装置と通信網との通信を中継する複数の端末に接続された通信機器の通信方法であり、
前記端末が中継する通信の通信量を出力する第1の回線接続ステップと、
前記第1の回線接続ステップにより入力された所定時間内の前記通信量が所定の上限値より小さな前記端末に対応する所定の識別子を出力する選択ステップと、
前記識別子に対応する前記端末と前記情報機器の通信を中継する第2の回線接続ステップと、を有する、
ことを特徴とする通信方法。
【請求項10】
前記選択ステップは、接続される前記端末のうち、入力された前記所定時間内の前記通信量と前記所定の上限値との差が最も小さな前記端末以外の前記端末を示す所定の最小識別子を出力し、
前記第2の回線接続ステップは、前記最小識別子が示す前記端末との通信を優先して前記情報機器と中継する、
ことを特徴とする請求項9に記載の通信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信機器、プログラム、通信方法に関し、特に、テザリング機能を備える端末と通信を行う通信機器、プログラム、通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、スマートフォンには、テザリング機能が備わることが知られている。テザリング機能とは、スマートフォンをアクセスポイントとして、パソコンやゲーム機器等の外部機器をインターネットに接続する機能である。上述のテザリング機能を用いることにより、パソコン等の外部機器は、スマートフォンを介してインターネットに接続できるようになる。
【0003】
テザリング機能に関して、以下の特許文献1に開示がされている。
【0004】
特許文献1の通信システムは、情報提供装置と、親機と、子機と、を備える。親機はステザリング機能を有するスマートフォンで、子機はパソコンである。
【0005】
特許文献1の通信システムでは、まず、親機が、自身に備わるテザリング機能を用いて子機を広域無線通信網(例えば、CDMA方式の移動通信網)と接続させている状態であることを前提とする。CDMAは、Code Division Multiple Accessの略称である。上述の状態で、親機の使用者が親機を情報提供装置にかざすと、情報提供装置は、利用可能な広域無線通信網に関する通信環境情報を親機に送信する。親機は、通信環境情報に記載されている利用可能な広域無線通信網のうち、最も消費電力が小さい別の広域無線通信網(例えば、LTEの移動通信網)に切り替える。LTEは、Long Term Evolutionの略称である。
【0006】
特許文献1の通信システムは、テザリング機能を用いる親機の消費電力を低減することができる。
【0007】
ところで、親機(スマートフォン)の使用者は、一ヶ月間に利用可能なデータ通信容量(例えば、7Gbyte/月)をキャリアと契約する。上述の利用可能なデータ通信容量は近年、十分に大きな量であるのが一般的であり、通常の親機(スマートフォン)の使用者は、テザリング機能を用いたとしても、上述のデータ通信容量を全て使いきれていないのが現状である。すなわち、スマートフォンの使用者は、利用可能な通信容量を余らせている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2013−219740号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、スマートフォンの使用者は、特許文献1の通信システムを用いたとしても、利用可能な通信容量を十分に活用できないという課題があった。
【0010】
なぜならば、特許文献1の通信システムの子機(パソコン等の外部装置)は、広域無線通信網と親機を1台のみで通信を行うだけであり、余っている利用可能な通信容量がなくなるように、十分な大容量通信を行わないからである。
【0011】
本発明は、上記課題を解決する通信機器、プログラム、通信方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本発明の通信機器は、情報機器、及び、接続する装置と通信網との通信を中継する複数の端末に接続され、入力された所定時間内の前記通信量が所定の上限値より小さな前記端末に対応する所定の識別子を出力する選択部と、前記識別子に対応する前記端末と前記情報機器の通信を中継する回線接続部と、を備える。
【0013】
上記目的を達成するために、本発明のプログラムは、情報機器、及び、接続する装置と通信網との通信を中継する複数の端末に接続された通信機器を、入力された所定時間内の前記通信量が所定の上限値より小さな前記端末に対応する所定の識別子を出力する選択モジュール、及び前記識別子に対応する前記端末と前記情報機器の通信を中継する回線接続モジュールとして機能させるためのプログラム。
【0014】
上記目的を達成するために、本発明の通信方法は、情報機器、及び、接続する装置と通信網との通信を中継する複数の端末に接続された通信機器の通信方式であり、入力された所定時間内の前記通信量が所定の上限値より小さな前記端末に対応する所定の識別子を出力する選択手段と、前記識別子に対応する前記端末と前記情報機器の通信を中継する回線接続手段と、を有する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、スマートフォンの使用者は、利用可能な通信容量を十分に活用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の第1の実施の形態におけるシステムの構成例を示す図である。
図2】本発明の第1の実施の形態におけるシステムの動作(通信を行うスマートフォンを選択する動作)を説明する為の図である。
図3】本発明の第1の実施の形態におけるシステムの動作(選択したスマートフォンを使用してインターネット網と大容量通信を行うときの動作)を説明する為の図である。
図4】本発明の第1の実施の形態におけるシステムの動作(その他の動作)を説明する為の図である。
図5】本発明の第2の実施の形態におけるシステムの構成例を示す図である。
図6】本発明の第2の実施の形態におけるシステムの動作(通信を行うスマートフォンを選択する動作)を説明する為の図である。
図7】本発明の第2の実施の形態におけるシステムの動作(選択したスマートフォンを使用してインターネット網と大容量通信を行うときの動作)を説明する為の図である。
図8】本発明の第3の実施の形態におけるシステムの構成例を示す図である。
図9】本発明の第3の実施の形態におけるシステムの動作を説明する為の図である。
図10】本発明の第4の実施の形態におけるシステムの構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0018】
≪第1の実施の形態≫
[概要]
本発明の第1の実施の形態におけるシステムでは、通信機器を備える。通信機器は、接続される親機(スマートフォン)のうち、利用可能な通信容量を十分に使用していない、通信量が所定量以下の親機(スマートフォン)を選択し、選択した親機と通信を行う。親機(スマートフォン)は、テザリング機能を有しており、通信機器とインターネット網の通信を中継する。通信機器は、子機(パソコン等)とも通信を行い、選択した複数の親機との間の通信を中継する。その結果、本実施形態のシステムに備わる子機は、複数の親機を介して、インターネット網と大容量通信を行う。複数のスマートフォンを用いて大容量に通信を行うので、本実施形態のシステムは、1台のスマートフォンを用いる特許文献1のシステムよりも多く、利用可能な通信容量を使用することができる。その結果、本実施形態のシステムを用いるスマートフォンの使用者は、利用可能な通信容量を十分に活用することができる。
【0019】
以下に、本発明の第1の実施の形態におけるシステムの構成や機能、動作の詳細について説明する。
【0020】
[構成の説明]
まず、本発明の第1の実施の形態におけるシステムの構成について説明する。図1は、本発明の第1の実施の形態におけるシステムの構成例を示す図である。
【0021】
(1)本発明の第1の実施の形態におけるシステムの構成
本実施形態のシステムは、図1に示されるように、スマートフォン1、2、3と、通信機器4と、外部装置5、6と、キャリア網7と、を備える。
【0022】
外部装置5は一般的なPC(Personal Computer)であり、外部装置6は無線LAN(Local Area Network)機能を持つ一般的なタブレット端末である。
【0023】
スマートフォン1、2、3は、無線回線を介してキャリア網7と接続される。キャリア網7と接続される無線回線は、LTE(Long Term Evolution)規格に準拠して通信を行う無線回線(以下、「LTE回線」という)である。キャリア網7は、一般的な移動体通信網であり、図示していないが、インターネット網と接続される。
【0024】
また、スマートフォン1、2、3は、無線回線を介して通信機器4と接続される。通信機器4と接続される無線回線は、Wifi(登録商標)規格を用いて無線通信を行う無線回線(以下、「無線LAN回線」という)である。
【0025】
通信機器4は、Ethernet(登録商標)ケーブルを介して外部装置5と接続され、無線LAN回線を介して外部装置6と接続される。
【0026】
なお、本実施形態のシステムには、2台や3台以外の台数の外部装置やスマートフォンが備わっていてもよい。
【0027】
(2)スマートフォン1、2、3の機能
スマートフォン1、2、3は、テザリング機能を有する一般的なスマートフォンである。
【0028】
すなわち、スマートフォン1、2、3は、Wifi規格に準拠して通信機器4と通信を行うと同時に、LTE規格に準拠してキャリア網7(インターネット網)と通信を行う。すなわち、スマートフォン1、2、3は、通信機器4とキャリア網7(インターネット網)との通信を中継する。
【0029】
(3)通信機器4の機能
(3−1)通信機能と計測機能
通信機器4は、Wifi規格に準拠してスマートフォン1、2、3と通信を行う。
【0030】
また、通信機器4は、各スマートフォン1、2、3の通信量を一定周期毎に計測する機能(以下、「計測機能」という)を有する。計測機能は、スマートフォン1、2、3と通信を行った際に送受信したパケットの数を計測する機能であってもよい。
【0031】
(3−2)計測結果集計機能と通信先決定機能
通信機器4は、一定周期毎に計測した各スマートフォン1、2、3の通信量を、スマートフォン1、2、3毎に合計する。合計した通信量は、以下、「総通信量」という。通信機器4は、総通信量が所定の通信量以下のスマートフォンを選択し、選択したスマートフォンと通信を行う。
【0032】
上述の所定の通信量は、本実施形態のシステムに備わる通信機器のユーザによって設定される。通信機器のユーザは、スマートフォンが利用可能な通信容量を上限として、各スマートフォンが通常、使用する通信量より大きな通信量を所定の通信量として設定する。
【0033】
例えば、各スマートフォンが一ヶ月間に利用可能なデータ通信容量が7Gbyte/月で、毎月、使用する通信量が3Gbyteであった場合、3〜7Gbyteまでの値を所定の通信量として設定する。以下では、所定の値が3Gbyteであるものとして説明を続ける。
【0034】
(3−3)子機との通信機能
通信機器4は、外部装置5(一般的なPC)とパケット通信を行う。
【0035】
通信機器4は、外部装置6(一般的なタブレット端末)とWifi規格に準拠して通信を行う。
【0036】
通信機器4は、外部装置5、6と選択したスマートフォン1、2、3との通信を中継する。
【0037】
(4)通信機器4の構成
通信機器4は、上述の「(3)通信機器4の機能」を実現する為に、図1に示される通り、ルーター部40と、回線切替部41と、回線選択部42と、を備える。各部位は、以下の[動作の説明]の通りに動作する。
【0038】
[動作の説明]
図2、3は、本発明の第1の実施の形態におけるシステムの動作を説明する為の図である。図2、3を用いて、本実施形態のシステムの詳細な動作を以下に説明する。
【0039】
(1)前提となる状態
まず、スマートフォン1、2、3は、周知のテザリング機能を動作させていることを前提とする。
【0040】
すなわち、スマートフォン1、2、3は、Wifi規格に準拠して通信機器4とコネクションを確立し、LTE規格に準拠してキャリア網7(インターネット網)ともコネクション(RRC接続状態)を確立している状態である。RRCは、Radio Resource Controlの略称である。さらに、スマートフォン1、2、3は、通信機器4からの無線信号を受信したときには、受信した無線信号からWifi規格に準拠してパケットを抽出し、そのパケットをLTE規格に準拠した無線信号としてキャリア網7(インターネット網)に出力できる状態である。
【0041】
また、通信機器4は、Wifi規格に準拠して動作する一般的な子機と同様、Wifi規格に準拠してコネクションを確立する際に、SSIDをスマートフォン1、2、3から取得し、自身に備わるメモリに記憶しているものとする。SSIDは、Service Set Identifierの略称であり、コネクションが確立しているスマートフォン1、2、3(以下、「接続するスマートフォン」という)を示す識別子である。
【0042】
(2)通信機器4の動作
通信機器4は、起動後、以下の動作を繰り返し行う。
【0043】
(2−1)通信を行うスマートフォンを選択する動作
まず、通信機器4の回線切替部41は、起動後、図2に示されるように、スマートフォン1、2、3との通信における通信量(以下、「スマートフォン1、2、3の通信量」という)を計測し、計測した通信量を一定時間間隔毎に回線選択部42に出力する(S1)。
【0044】
具体的には、回線切替部41は、スマートフォン1、2、3毎に、そのスマートフォンと通信を行ったときには、送受信したパケットの数を計測し、一定時間間隔毎に、計測した各パケットの数を各スマートフォン1、2、3の通信量として出力してもよい。
【0045】
次に、通信機器4の回線選択部42は、回線切替部41から各スマートフォン1、2、3の通信量が入力されると、自身に備わるメモリに記憶する(S2)。
【0046】
上述のS1、S2は、一定時間間隔毎に繰り返される。
【0047】
次に、通信機器4の回線選択部42は、所定のタイミングになると、それまでに記憶した各スマートフォン1、2、3の通信量を読み出し、スマートフォン1、2、3毎に通信量の合計値を算出する(S3)。
【0048】
上述の所定のタイミングは、一定の間隔の時間であり、通信機器4のユーザによって通信機器4に設定される。所定のタイミングは、上述のS1の一定時間間隔を含むように設定される。
【0049】
上述のS3は、上述の所定のタイミング間における各スマートフォン1、2、3の総通信量を求めている。S3の合計値は、以下、「総通信量」という。
【0050】
次に、通信機器4の回線選択部42は、S3で求めた各スマートフォン1、2、3の総通信量が所定の通信量以下であるスマートフォンを選択し、選択したスマートフォンを示す所定の番号を回線切替部41に出力する(S4)。
【0051】
所定の通信量は、通信機器4のユーザによって設定される。通信機器のユーザは、スマートフォンが利用可能な通信容量を上限として、各スマートフォンが通常、使用する通信量よりも大きな通信量を所定の通信量として設定する。所定の通信量は、上述の「(3−2)計測結果集計機能と通信先決定機能」で説明した通り、3Gbyteであるものとして説明を続ける。
【0052】
上述のS4の後、通信機器4の回線切替部41は、入力されたスマートフォンを示す所定の番号を、通信を行うスマートフォンを示す番号として記憶する(S5)。
【0053】
上述のS1〜S5の動作により、通信機器4の回線切替部4は、総通信量が所定の通信量以下、すなわち、利用可能な通信容量を十分に使用していないスマートフォンを、通信を行うスマートフォンとして選択することができる。
【0054】
なお、上述のS1〜S5は、繰り返し実施される。その結果、回線切替部4には、総通信量が所定の通信量以下、すなわち、利用可能な通信容量を十分に使用していないスマートフォンを示す番号が繰り返し入力される。
【0055】
(2−2)選択したスマートフォンを使用してインターネット網と大容量の通信を行う動作
ここで、一般的なPCである外部装置5が、大容量の通信を行う為、複数のパケットを通信機器4に送信し始めたとする。送信されるパケットは、いずれもインターネット網宛てのパケットである。
【0056】
そのとき、通信機器4のルーター部40は、図示していないが、外部装置5からパケットが入力される度に、自身に備わる一般的なルーター機能によって、入力されるパケットを回線切替部41に出力する。
【0057】
次に、通信機器4の回線切替部41は、パケットが入力されると、図3に示されるように、入力されたパケットを自身に備わるバッファに一旦、格納する(D1)。
【0058】
通信機器4の回線切替部41は、外部装置5から(ルーター部40を介して)多くのパケットが入力されるが、パケットが入力される度に、上述のD1を実施し、入力されたパケットを、自身に備わるバッファに格納していく。すなわち、回線切替部41は、自身に備わるバッファに、入力されたパケットを追加していく。
【0059】
上述のD1を実施した際、回線切替部41は、接続するスマートフォンを示す識別子SSIDを、通信機器4に備わるメモリから取得する。取得したSSIDについては、上述の「(1)前提となる状態」で説明した通りである。SSIDを取得するのは、後述のD2で、所定のスマートフォンが接続されているか否かを判別する為である。
【0060】
なお、回線切替部41は、上述のD1の処理と、後述のD2〜D9の処理を各々異なるタイミングで実施するが、処理タイミングが重なった時には、上述のD1の処理を優先して行うものとする。
【0061】
(2−2−1)スマートフォン1を利用する場合の動作
次に、回線切替部41は、上述のD1の処理を1度でも実施した後には、スマートフォン1の総通信量が所定の通信量(3Gbyte)以下であり、且つ、スマートフォン1が接続されているか否かを判別する(D2)。
【0062】
具体的には、回線切替部41は、上述のS5で入力された番号の中にスマートフォン1を示す番号が含まれ、且つ、上述のD1で取得したSSIDにスマートフォン1のSSIDが含まれているか否かを判別する。
【0063】
上述の条件、すなわちスマートフォン1の総通信量が所定の通信量(3Gbyte)以下であり、且つ、スマートフォン1が接続されていることを、以下、「条件DD2」という。
【0064】
次に、回線切替部41は、条件DD2が満たされる場合(D2でYesの場合)には、バッファに格納されていたパケットを取得し、取得したパケットを、Wifi規格に準拠したスマートフォン1宛ての無線信号としてスマートフォン1に所定数まで送信する(D3)。
【0065】
上述の所定数は、通信機器4のユーザによって回線切替部41に設定される。所定数は、3Gbyteであってもよい。回線切替部41は、上述のD1の処理によってバッファに追加されるパケットを、所定数分、スマートフォン1に送信する。回線切替部41は、所定数になるまでは、(バッファに格納されている)全てのパケットをスマートフォン1に送信する。
【0066】
(2−2−2)スマートフォン1に送信されたパケットのその後
上述のD3の後、図示していないが、スマートフォン1は、通信機器4から無線信号を受信すると、Wifi規格に準拠して無線信号からパケットを抽出し、そのパケットをLTE規格に準拠した無線信号としてキャリア網7に送信する。キャリア網7は、無線信号を受信すると、LTE規格に準拠して無線信号からパケットを抽出し、そのパケットをインターネット網に送信する。その結果、回線切替部41は、スマートフォン1を利用してパケットをインターネット網に送信することができる。
【0067】
次に、スマートフォン2についても上述のD2、D3と同様の処理を行う。
【0068】
(2−2−3)スマートフォン2を利用する場合の動作
すなわち、上述のD3の後、回線切替部41は、スマートフォン2の総通信量が所定の通信量(3Gbyte)以下であり、且つ、スマートフォン1が接続されているか否かを判別する(D4)。
【0069】
具体的な判別方法は、上述のD2で示した方法と同じである。但し、スマートフォン1をスマートフォン2と読み替え、条件DD2を条件DD4と読み替えるものとする。
【0070】
次に、回線切替部41は、条件DD4が満たされる場合(D4でYesの場合)には、上述のD3と同様、バッファからパケットを所定数、取得し、取得したパケットをスマートフォン2宛ての無線信号としてスマートフォン2に送信する(D5)。
【0071】
スマートフォン2は、スマートフォン1と同様に、受信したパケットを、キャリア網7に送信する。キャリア網7は、スマートフォン2からのパケットをインターネット網に送信する。その結果、回線切替部41は、スマートフォン2を利用してパケットをインターネット網に送信することができる。
【0072】
次に、スマートフォン3についても上述のD4、D5と同様の処理を行う。
【0073】
(2−2−4)スマートフォン3を利用する場合の動作
すなわち、上述のD5の後、回線切替部41は、スマートフォン3の総通信量が所定の通信量(3Gbyte)以下であり、且つ、スマートフォン3が接続されているか否かを判別する(D6)。
【0074】
具体的な判別方法は、上述のD2で示した方法と同じである。但し、スマートフォン1をスマートフォン3と読み替え、条件DD2を条件DD6と読み替えるものとする。
【0075】
次に、回線切替部41は、条件DD6が満たされる場合(D6でYesの場合)には、上述のD3と同様、バッファからパケットを所定数、取得し、取得したパケットをスマートフォン3宛ての無線信号としてスマートフォン3に送信する(D7)。
【0076】
スマートフォン3は、スマートフォン1と同様に、受信したパケットを、キャリア網7に送信する。キャリア網7は、スマートフォン3からのパケットをインターネット網に送信する。その結果、回線切替部41は、スマートフォン3を利用してパケットをインターネット網に送信することができる。
【0077】
(2−2−5)全てのスマートフォンが、利用可能な通信容量を十分に使用しているか判別する動作
次に、回線切替部41は、図示していないが、総通信量が所定の通信量以下、すなわち、利用可能な通信容量を十分に使用していないスマートフォンを示す番号が回線選択部42から新たに入力されるのを待つ。
【0078】
次に、回線切替部41は、スマートフォン1、2、3の総通信量がいずれも所定の通信量(3Gbyte)より大きいか(十分に使用しているか)、又は、スマートフォン1、2、3のいずれとも接続されていない状態か否かを判別する(D8)。
【0079】
具体的には、回線切替部41は、回線選択部4から入力された番号の中にスマートフォン1、2、3を示す番号が1つも含まれていないか、又は、通信機器4に備わるメモリにスマートフォン1、2、3を示すSSIDが1つも含まれていないかを判別する。
【0080】
上述の条件、すなわち、スマートフォン1、2、3の総通信量がいずれも所定の通信量(3Gbyte)より大きい、又は、スマートフォン1、2、3のいずれとも接続されていない状態であることを、以下、「条件DD8」という。
【0081】
次に、回線切替部41は、条件DD8が満たされる場合(D8でYesの場合)、各スマートフォンは利用可能な通信容量を十分に使用しているので、全てのスマートフォンとのコネクションを切断し、通信を停止する(D9)。
【0082】
なお、通信機器4は、スマートフォン1、2、3とのコネクションが切断すると、スマートフォン1、2、3のSSIDをメモリから削除するものとする。
【0083】
通信機器4は、カレンダー機能を有し、月に1回、上述のS3でメモリに記憶した各スマートフォン1、2、3の通信量を全て削除してもよい。次の月には、再度、D1〜D9の処理が実施され、スマートフォン1、2、3の余っている通信容量を用いて通信を行うことができる。
【0084】
(2−3)上述のD2、D4、D6、D8の処理について
なお、回線切替部41は、条件DD2、DD4、DD6が満たされない場合(D2、D4、D6でNoの場合)には、上述のD3、D5、D7を実施せず、上述のD4、D6、D8を実施する。
【0085】
さらに、回線切替部41は、条件DD8が満たされない場合(D8でNoの場合)には、スマートフォン1、2、3は利用可能な通信容量を十分に使用していないので、再度D2に戻り、上述のD2〜D8を繰り返す。
【0086】
なお、上述の「条件DD8が満たされない場合」とは、具体的にいうと、スマートフォン1、2、3いずれかの総通信量が所定の通信量以下で、且つ、スマートフォン1、2、3のいずれかには接続されている状態のことをいう。
【0087】
スマートフォン2、3には接続されているが、スマートフォン1に接続されていない状態、且つ、スマートフォン1の総通信量が所定の通信量以下である場合も、上述の「条件DD8が満たされない場合」に該当し、回線切替部41は、上述のD2〜D8を繰り返す。なぜなら、回線切替部41は、スマートフォン1が接続されたときに、上述のD3を実施し、スマートフォン1を使用して、外部装置3のパケットをインターネット網に送信することができるからである。
【0088】
(2−4)上述のD2〜D9を実施した結果のまとめ
上述のD2〜D9を実施した結果、通信機器4は、スマートフォン1、2、3が利用可能な通信容量を十分に使用するまで、複数のスマートフォンを使用して、外部装置3のパケットを大容量にインターネット網に送信することができる。大容量通信を行うので、本実施形態のシステムは、特許文献1のシステムよりも多く、利用可能な通信容量を使用することができる。その結果、本実施形態のシステムを用いるスマートフォンの使用者は、利用可能な通信容量を十分に活用することができる。
【0089】
(3)通信機器4のその他の動作と構成
(3−1)D3のその他の動作
図4は、本発明の第1の実施の形態におけるシステムの動作(その他の動作)を説明する為の図である。
【0090】
上述のD3では、回線切替部41は、バッファから所定数(3Gbyte分の数)のパケットを取得し、スマートフォン1に送信した。上述の所定数は、1Gbyte分のパケット数であってもよい。
【0091】
すなわち、回線切替部41は、図4に示されるように、バッファから1Gbyte分のパケットを取得し、取得したパケットを無線信号としてスマートフォン1に送信してもよい(E3)。
【0092】
このとき、回線切替部41は、上述のD1の処理によってバッファに追加されるパケットを、1Gbyte分、スマートフォン1に送信する。回線切替部41は、1Gbyteになるまでは、(バッファに格納されている)全てのパケットをスマートフォン1に送信する。
【0093】
(3−2)条件DD2、DD4、DD6について
上述の条件DD2、DD4、DD6において、スマートフォンの総通信量が所定の通信量以下であることを条件の1つとしたが、この代わりに、スマートフォンの総通信量が所定の通信量より小さいことを条件の1つとしてもよい。その場合、条件DD8は、スマートフォン1、2、3の総通信量がいずれも所定の通信量(3Gbyte)以上、又は、スマートフォン1、2、3のいずれとも接続されていない状態であることとする。
【0094】
(3−3)外部装置6について
上記では、外部装置5(PC)からのパケットについて記載したが、外部装置6(タブレット端末)からのパケットについても同様である。
【0095】
例えば、外部装置6(タブレット端末)が複数のパケットをWifi規格に準拠した無線信号にして通信機器4に送信したとする。送信されたパケットは、いずれもインターネット網宛てのパケットである。
【0096】
このとき、通信機器4のルーター部は、外部装置6(タブレット端末)から無線信号を受信すると、受信した無線信号からパケットを抽出し、自身に備わる一般的なルーター機能を用いて、抽出したパケットを回線切替部41に出力する。
【0097】
その後、回線切替部41は、上述のD1〜D9を実施して、外部装置6(タブレット端末)のパケットをインターネット網に送信する。この際、回線切替部41は、外部装置6(タブレット端末)のパケットを、複数のスマートフォンを介してより大容量に送信する。
【0098】
[効果の説明]
本実施形態によれば、スマートフォンの使用者は、利用可能な通信容量を十分に活用することができる。
【0099】
なぜならば、本実施形態のシステムでは、通信機器が、利用可能な通信容量を十分に使用していない(通信量が所定量以下の)スマートフォンを複数用いて大容量に通信を行うからである。複数のスマートフォンを用いて大容量に通信を行うので、本実施形態の通信機器を含むシステムは、1台のスマートフォンを用いる特許文献1のシステムよりも多く利用可能な通信容量を使用することができる。その結果、各スマートフォンの使用者は、利用可能な通信容量を十分に活用することができる。
【0100】
≪第2の実施の形態≫
以下に、第2の実施の形態のシステムの構成と動作について説明する。
【0101】
本実施形態のシステムと第1の実施形態のシステムとで異なる点は、各スマートフォンに搭載された専用アプリが、各スマートフォンの残通信量(利用可能な通信容量のうち、まだ使用していない通信量)を測定し、通信機器4の回線選択部42に通知する点である。本実施形態の通信機器の回線選択部42は、第1の実施形態のシステムの通信機器の回線選択部42と異なり、残通信量の少ないスマートフォン以外のスマートフォンを、通信を行うスマートフォンに選択する。回線切替部41は、残通信量の少ないスマートフォン(あまり通信を行っていないスマートフォン)は使用されないので、各スマートフォンで使用される通信量を平準化することができる。
【0102】
なお、第2の実施の形態のシステムでは、残通信量がなくなるまで、すなわち、(第1の実施の形態のシステムと同様に)利用可能な通信容量を十分に使用するまで、複数のスマートフォンが大容量通信を行うので、利用可能な通信容量を十分に活用することができる。
【0103】
[構成の説明]
(1)第2の実施形態のシステムの構成
図5は、本発明の第2の実施の形態におけるシステムの構成例を示す図である。
【0104】
第2の実施形態のシステムは、図5に示されるように、スマートフォン1、2、3と通信機器4の代わりに、スマートフォン11、12、13と通信機器14を備える。
【0105】
(2)スマートフォン11、12、13について
スマートフォン11、12、13は、専用のアプリケーション(以下、「専用アプリA」という)がスマートフォン11、12、13のユーザによってインストールされる。専用アプリAは、スマートフォンの上述の残通信量を測定し、測定した残通信量を一定時間毎に回線切替部41に出力するアプリである。
【0106】
専用アプリAは、以下のように残通信量を測定することができる。
【0107】
まず、専用アプリAは、スマートフォンが通信を行う度に、その通信量を測定し、一定時間毎に、測定した通信量の合計値(上述のS3で説明した総通信量)を算出する。専用アプリAは、総通信量を算出すると、所定の通信量(S4で使用した所定の通信量と同じ)から上述の総通信量を差し引いた値を残通信量とする。専用アプリAは、例えば、Java(登録商標)を用いて実現することができる。
【0108】
(3)通信機器14の構成
また、通信機器14は、回線切替部41と回線選択部42の代わりに、回線切替部141と回線選択部142を備える。
【0109】
回線切替部141は、各スマートフォンの専用アプリAからの残通信量を回線選択部142に出力する。
【0110】
回線選択部142は、残通信量が入力されると、残通信量の多いスマートフォンを、通信を行うスマートフォンに選択する。
【0111】
上述した以外の構成や機能は、第1の実施の形態におけるシステムと同じであるので、同一の符号を付して説明を省略する。
【0112】
[動作の説明]
図6、7は、本発明の第2の実施の形態におけるシステムの動作を説明する為の図である。図6、7を用いて、本実施形態のシステムの詳細な動作を以下に説明する。
【0113】
(1)専用アプリAと通信機器4の動作
(1−1)専用アプリAの動作
まず、スマートフォン11、12、13の各専用アプリAは、図6に示されるように、自身が備わるスマートフォンの残通信量を測定し、所定のタイミングになると、測定した残通信量を回線切替部141に出力する(S21)。
【0114】
残通信量の測定の仕方は、上述の「(2)スマートフォン11、12、13について」で説明した通りである。
【0115】
なお、各専用アプリAは、残通信量に、自身がインストールされたスマートフォンを示す所定の識別子(以下、「スマホ識別子」という)を関連づけ、Wifi規格に準拠した無線信号として通信機器14に出力する。
【0116】
上述の所定のタイミング、及び所定の識別子は、スマートフォンのユーザによって専用アプリAに設定される。
【0117】
(1−2)スマートフォンを選択する動作
次に、上述のS21の後、通信機器14の回線切替部141は、Wifi規格に準拠して無線信号を受信すると、無線信号から残通信量と識別子を抽出し、それらを回線選択部142に出力する(S22)。
【0118】
回線切替部141は、図6に示されるように、スマートフォン11、12、13からの残通信量と識別子を纏めて回線選択部142に出力してもよい。
【0119】
次に、通信機器14の回線選択部142は、残通信量とスマホ識別子が入力されると、それらを関連づけて自身に備わるメモリに記憶する(S23)。
【0120】
但し、回線選択部142は、入力されたスマホ識別子と同じスマホ識別子を記憶していた場合には、そのスマホ識別子に関連づけて記憶している残通信量を、入力された残通信量に置き換えて記憶する。
【0121】
次に、回線選択部142は、所定のタイミングになると、メモリに記憶しているスマホ識別子と残通信量を全て読み出す(S24)。
【0122】
次に、回線選択部142は、読み出した各スマホ識別子と残通信量について以下の通りに処理を行う。
【0123】
まず、回線選択部142は、読み出した残通信量のうち、最も少ない残通信量以外の残通信量を求め、それら残通信量と関連づけられるスマホ識別子を全て取得する(S25)。
【0124】
次に、回線選択部142は、取得したスマホ識別子が示すスマートフォンを、通信を行うスマートフォンと選択し、そのスマートフォンを示す所定の番号を回線切替部141に出力する(S26)。
【0125】
上述のS24〜26の処理によって、残通信量が最も少ないスマートフォン以外のスマートフォンが選択される。本実施形態のシステムは、後述の「(1−3)平準的にスマートフォンを使用しながらインターネット網と大容量の通信を行う動作」において、選択したスマートフォン(残通信量が最も少ないスマートフォン以外のスマートフォン)を使用する。その結果、各スマートフォンは、平準的に使用されることとなる。
【0126】
次に、上述のS26の後、通信機器14の回線切替部141は、入力されたスマートフォンを示す所定の番号を、通信を行うスマートフォンを示す番号として記憶する(S27)。
【0127】
さらに、上述のS26の後、回線選択部142は、残通信量が所定の通信量(例えば2Gbyte)より小さいスマートフォンを全て選択し、選択したスマートフォンを示す所定の番号を回線切替部141に出力する(S28)。
【0128】
後述するF8の処理において、各スマートフォンが利用可能な通信容量を十分に使用したかを判別する為である。なお、上述の所定の通信量は、利用可能な通信量から、上述のS4で用いた所定の通信量(通常、使用する通信量よりも大きな通信量)を引いた値であるものとする。
【0129】
次に、上述のS28の後、通信機器14の回線切替部141は、入力されたスマートフォンを示す所定の番号を、利用可能な通信容量を十分に使用したスマートフォンを示す番号として記憶する(S29)。
【0130】
上述のS21〜S29は、繰り返し実施される。その結果、回線切替部141には、残通信量が最も多いスマートフォンを示す番号、又、利用可能な通信容量を十分に使用したスマートフォンを示す番号が繰り返し入力される。
【0131】
(1−3)平準的にスマートフォンを使用しながらインターネット網と大容量の通信を行う動作
ここで、一般的なPCである外部装置5が複数のパケットを通信機器14に送信したとする。送信されたパケットは、いずれもインターネット網宛てのパケットである。
【0132】
そのとき、通信機器14のルーター部40は、図示していないが、自身に備わる一般的なルーター機能によって、外部装置5から入力されるパケットを回線切替部141に出力する。
【0133】
次に、通信機器14の回線切替部141は、パケットが入力されると、図7に示されるように、上述のD1と同様、入力されるパケットを自身に備わるバッファに一旦、格納する(F1)。
【0134】
さらに、回線切替部141は、上述のD1と同様、接続するスマートフォンを示す識別子SSIDを、通信機器4に備わるメモリから取得する。
【0135】
次に、回線切替部141は、スマートフォン11を利用してインターネット網と通信を行う(F2)。
【0136】
具体的には、回線切替部141は、上述のD3と同様、バッファに格納されているパケットを所定数(例えば、1Gbyte分)、取得し、取得したパケットを、Wifi規格に準拠したスマートフォン11宛ての無線信号としてスマートフォン11に送信する。
【0137】
すなわち、回線切替部141は、上述のD1の処理によってバッファに追加されるパケットを、1Gbyte分、スマートフォン1に送信する。回線切替部141は、1Gbyteになるまでは、(バッファに格納されている)全てのパケットをスマートフォン11に送信する。
【0138】
(1−3−1)スマートフォン11に送信されたパケットのその後
スマートフォン11は、通信機器14から無線信号を受信するとWifi規格に準拠して、受信した無線信号からパケットを抽出し、そのパケットをキャリア網7に出力する。キャリア網7は、スマートフォン11からのパケットをインターネット網に送信する。その結果、回線切替部141は、スマートフォン11を利用してパケットをインターネット網に送信する。
【0139】
(1−3−2)スマートフォン11以外のスマートフォン12を優先して使用する動作
次に、回線切替部141は、上述のF2の後、スマートフォン11の残通信量が他のスマートフォン12、13の残通信量よりも小さいか、又は、スマートフォン11と接続されていない状態であるか否かを判別する(F3)。
【0140】
具体的には、回線切替部141は、(上述のS27で記憶した)通信を行うスマートフォンを示す番号がスマートフォン12、13を示す番号か、又は、(上述のF1で取得した)SSIDにスマートフォン11のSSIDを含まないかを判別する。
【0141】
上述の条件、すなわちスマートフォン11の残通信量が他のスマートフォン12、13の残通信量よりも小さい、又は、スマートフォン11と接続されていない状態であることを、以下、「条件FF3」という。
【0142】
次に、回線切替部141は、条件FF3が満たされる場合(F3でYesの場合)には、スマートフォン12を利用して通信を行う(F4)。
【0143】
スマートフォン11よりも残通信量が大きいスマートフォン12を使用した方が、各スマートフォンで残通信量を平準化することができるからである。
【0144】
上述のF4は、具体的には、回線切替部141が、バッファからパケットを所定数(例えば、1Gbyte分)、取得し、取得したパケットを、Wifi規格に準拠した無線信号としてスマートフォン12に送信することを意味する。
【0145】
スマートフォン12は、スマートフォン11と同様に、受信した無線信号からパケットを抽出し、抽出したパケットを、キャリア網7に送信する。キャリア網7は、スマートフォン12からのパケットをインターネット網に送信する。その結果、回線切替部141は、スマートフォン12を利用してパケットをインターネット網に通信する。
【0146】
なお、回線切替部141は、条件FF3が満たされない場合(F3でNoの場合)には、スマートフォン11の残通信量が他のスマートフォン12、13の残通信量以上なので、再度、上述のF2に戻り、スマートフォン11を利用して通信を行う。
【0147】
上述の「条件FF3が満たされない場合」とは、スマートフォン11の残通信量が他のスマートフォン12、13いずれかの残通信量以上で、且つ、スマートフォン11と接続されている状態のことをいう。
【0148】
(1−3−3)スマートフォン11、12以外のスマートフォン13を優先して使用する動作
上述のF4の後、スマートフォン12についても上述のF3と同様の処理を行う。
【0149】
すなわち、回線切替部141は、上述のF4の後、スマートフォン12の残通信量が他のスマートフォン11、13の残通信量よりも小さいか、又は、スマートフォン12が接続されていない状態であるか否かを判別する(F5)。
【0150】
具体的な判別方法は、上述のF3で示した方法と同じである。但し、スマートフォン12、13を示す番号を、スマートフォン11、13を示す番号と読み替え、スマートフォン11のSSIDを、スマートフォン12のSSIDと読み替えるものとする。さらに、条件FF3は、条件FF5と読み替えるものとする。
【0151】
次に、回線切替部141は、条件FF5が満たされる場合(F5でYesの場合)には、スマートフォン13を利用して通信を行う(F6)。
【0152】
スマートフォン11、12よりも残通信量が大きいスマートフォン13を使用した方が、各スマートフォンで残通信量を平準化することができるからである。
【0153】
上述のF6は、具体的には、回線切替部141が、バッファからパケットを所定数(例えば、1Gbyte分)、取得し、取得したパケットを、Wifi規格に準拠した無線信号としてスマートフォン13に送信する。
【0154】
スマートフォン13は、スマートフォン11、12と同様に、受信した無線信号からパケットを抽出し、抽出したパケットをキャリア網7に送信する。キャリア網7は、スマートフォン13からのパケットをインターネット網に送信する。その結果、回線切替部141は、スマートフォン13を利用してパケットをインターネット網に通信する。
【0155】
一方、回線切替部141は、スマートフォン12の残通信量が他のスマートフォン11、13の残通信量以上で、且つ、スマートフォン12が接続されている場合(F5でNoの場合)には、上述のF4に戻り、スマートフォン12を利用して通信を行う。
【0156】
(1−3−4)再度、スマートフォン11、12を優先して使用する動作
次に、スマートフォン13についても上述のF5と同様の処理F7を行う。上述のF6を実施した結果、スマートフォン13の残通信量よりもスマートフォン11、12の残通信量が多くなっているかもしれないからである。
【0157】
具体的には、回線切替部141は、上述のF6の後、スマートフォン13の残通信量が他のスマートフォン11、12の残通信量よりも小さいか、又は、スマートフォン13が接続されていない状態であるか否かを判別する(F7)。
【0158】
具体的な判別方法は、上述のF3で示した方法と同じである。但し、スマートフォン12、13を示す番号を、スマートフォン11、12を示す番号と読み替え、スマートフォン11のSSIDを、スマートフォン13のSSIDと読み替えるものとする。さらに、条件FF3は、条件FF7と読み替えるものとする。
【0159】
(1−3−5)各スマートフォンが利用可能な通信容量を十分に使用したか判別する動作
次に、回線切替部141は、上述の条件FF7が満たされない場合(F7でNoの場合)には、上述のF6に戻り、スマートフォン13を利用して通信を行う。
【0160】
一方、回線切替部141は、条件FF7が満たされる場合(F7でYesの場合)、図示していないが、上述のS21〜S28が実施され、自身がS29を実施するのを待つ。すなわち、回線切替部141は、利用可能な通信容量を十分に使用したスマートフォンを示す番号が入力され、それを記憶するのを待つ。利用可能な通信容量を十分に使用したスマートフォンを取得する為である。
【0161】
次に、回線切替部141は、上述のS29を実施すると、図7に示されるように、スマートフォン11、12、13の残通信量がいずれも所定の通信量より小さいか、又は、スマートフォンのいずれとも接続されていない状態であるか否かを判別する(F8)。
【0162】
上述のF8は、各スマートフォン11、12、13が利用可能な通信容量を十分に使用したか否かを判別する処理である。所定の通信量は、S28で使用した所定の通信量と同じである。
【0163】
上述のF8は、通信を行うスマートフォンを示す番号(上記S29で記憶)にスマートフォン11、12、13を示す番号が含まれるか、又は、通信機器14に備わるメモリにスマートフォンのSSIDを含まないかを回線切替部141が判別することで実現できる。
このとき、回線切替部141は、通信機器14に備わるメモリからSSIDを取得するものとする。
【0164】
次に、回線切替部141は、スマートフォン11、12、13の残通信量がいずれも所定の通信量より小さい、又は、スマートフォンのいずれとも接続されていない場合(F8でYesの場合)、各スマートフォンとのコネクションを切断し、通信を停止する(F9)。
【0165】
各スマートフォン11、12、13が利用可能な通信容量を十分に使用しているからである。
【0166】
一方、回線切替部141は、スマートフォン11、12、13いずれかの残通信量が所定の通信量以上、且つ、スマートフォンのいずれかと接続している状態である場合(F8でNoの場合)には、F2に戻り、残通信量のあるスマートフォンを利用して通信を行う。
【0167】
回線切替部141は、各スマートフォン11、12、13が利用可能な通信容量を十分に使用するまでF2〜F8を繰り返す。
【0168】
なお、回線切替部141は、上述のS28を実施し、利用可能な通信容量を十分に使用したスマートフォンを示す番号として記憶した後は、上述のD1〜D9は実施しないものとする。
【0169】
その他の動作については、第1の実施の形態の動作と同様である為、詳細の説明を省略する。
【0170】
[効果の説明]
本実施形態によれば、スマートフォンの使用者は、第1の実施形態のシステムと同様、利用可能な通信容量を十分に活用することができる。
【0171】
なぜならば、本実施形態の通信機器は、各スマートフォンが利用可能な通信容量を十分に使用するまで、複数のスマートフォンを用いて大容量に通信を行うからである。
【0172】
さらに、本実施形態の通信機器を含むシステムでは、各スマートフォンで使用される通信量を平準化することができる。なぜなら、本実施形態の通信機器を含むシステムでは、残通信量が最も大きなスマートフォンを優先して使用するからである。
【0173】
≪第3の実施の形態≫
[概要]
上述の第1、2の実施形態のシステムでは、上述の「(1)前提となる状態」で説明した通り、スマートフォンがテザリング機能を動作させていることを前提に説明した。しかし、一般的なスマートフォンには、テザリング機能をON/OFFさせる機能が備わっているので、時にはテザリング機能がOFFになっているかもしれない。
【0174】
そこで、第3の実施形態のシステムでは、通信開始時、通信機器が各スマートフォンに対し、テザリング機能をONするよう指示を出す。各スマートフォンには、テザリング機能をON/OFFする専用アプリ(以下、「専用アプリB」という)が搭載されていて、専用アプリBは、テザリング機能をONするよう通信機器から指示があれば、テザリング機能を動作させる。
【0175】
以下に、第3の実施の形態のシステムの構成と動作について説明する。
【0176】
[構成の説明]
まず、本発明の第3の実施の形態におけるシステムの構成について説明する。図8は、本発明の第3の実施の形態におけるシステムの構成例を示す図である。
【0177】
(1)本発明の第3の実施の形態におけるシステムの構成
本実施形態のシステムは、図8に示されるように、通信機器14の代わりに、通信機器24を備える。
【0178】
(2)スマートフォン21、22、23について
スマートフォン21、22、23は、専用アプリAの代わりに、上述の専用アプリBをインストールされている。専用アプリBは、テザリング機能をON/OFFする機能を有している。専用アプリBは、テザリング機能ONを指示するパケットが入力されると、テザリング機能を動作させる。
【0179】
(3)通信機器24の構成
通信機器24は、ルーター部40と回線切替部141の代わりに、ルーター部240と回線切替部241を備える。
【0180】
回線切替部241は、スマートフォン21、22、23全てと接続していない場合には、テザリング機能ONを指示するスマートフォン21、22、23宛てのパケットをルーター部240に出力する。
【0181】
ルーター部240は、テザリング機能ONを指示するパケットを、外部装置6(タブレット端末)に出力する。
【0182】
上述した以外の構成や機能は、第2の実施の形態におけるシステムと同じであるので、同一の符号を付して説明を省略する。
【0183】
[動作の説明]
図9は、本発明の第3の実施の形態におけるシステムの動作を説明する為の図である。図9を用いて、本実施形態のシステムの詳細な動作を以下に説明する。
【0184】
(1)前提となる状態
外部装置6(タブレット端末)は、図示していないが、別のアクセスポイントと通信を行っていることを前提とする。すなわち、外部装置6(タブレット端末)は、別のアクセスポイントを介して、直接インターネット網と接続されていることを前提とする。
【0185】
また、スマートフォン21、22、23は、テザリング機能ON/OFFできる機能を有しており、テザリング機能がOFFであるとする。さらに、スマートフォン21、22、23は、通信機器4とコネクションを確立しておらず、接続していない状態であるとする。
【0186】
(2)本実施形態の動作
(2−1)スマートフォン21、22、23との接続を判別する動作
まず、一般的なPCである外部装置3からルーター部240を介して、パケットが入力されたとする。
【0187】
まず、通信機器14の回線切替部241は、パケットが入力されると、上述のF1と同様、図9に示されるように、入力されるパケットを自身に備わるバッファに一旦、格納する(G1)。
【0188】
さらに、回線切替部241は、上述のF1と同様、接続するスマートフォンを示す識別子SSIDを、通信機器24に備わるメモリから取得する。
【0189】
このとき、通信機器24は、スマートフォン21、22、23と接続していないので、スマートフォン21、22、23のSSIDを取得できないが、外部装置6(タブレット端末)と接続しているので、外部装置6(タブレット端末)のSSIDを取得する。そして、通信機器24は、自身に備わるメモリに外部装置6(タブレット端末)のSSIDを記憶する。その為、回線切替部241は、通信機器24に備わるメモリから外部装置6(タブレット端末)のSSIDを取得することができる。以下、回線切替部241は、外部装置6(タブレット端末)のSSIDを取得したものとして説明を続ける。
【0190】
次に、上述のG1の後、回線切替部241は、図9に示されるように、スマートフォン21、22、23全てと接続していない状態、且つ、外部装置6(タブレット端末)とは接続されている状態か否かを判別する(G2)。
【0191】
具体的には、回線切替部241は、上述のG1で取得したSSIDが、外部装置6(タブレット端末)のSSIDのみか否かを判別する。
【0192】
次に、回線切替部241は、スマートフォン21、22、23全てと接続していない状態、且つ、外部装置6とは接続されている状態である場合(G2でYesの場合)、外部装置6を介して各スマートフォン21、22、23にテザリング機能を動作させる(G3)。
【0193】
(2−2)G3の動作を実現する為の動作
上述のG3を実現させる為に、まず、回線切替部241は、テザリング機能ONを指示するパケットを、ルーター部240に出力する。次に、ルーター部240は、テザリング機能ONを指示するパケットを、外部装置6(タブレット端末)に出力する。
【0194】
次に、外部装置6(タブレット端末)は、テザリング機能ONを指示するパケットをWifi規格に準拠した無線信号として、接続するアクセスポイント(図示せず)に送信する。無線信号を受信したアクセスポイントは、受信した無線信号から、テザリング機能ONを指示するパケットを抽出し、インターネット網に送信する。ここで、テザリング機能ONを指示するパケットは、スマートフォン21、22、23宛てのパケットである。テザリング機能ONを指示するパケットは、インターネット網及びキャリア網7を介して、各スマートフォン21、22、23へ転送され、各スマートフォン21、22、23に入力される。
【0195】
各スマートフォン21、22、23は、テザリング機能ONを指示するパケットが入力されると、テザリング機能ONを指示する所定の番号を専用アプリBに入力する。専用アプリBは、テザリング機能ONを指示する番号が入力されると、自身が備わるスマートフォン21、22、23の設定ファイルを開き、テザリングON/OFFを示す設定値を、テザリングONを示す設定値に書き換える。各スマートフォン21、22、23は、自身に備わるテザリング機能を動作させことができる。
【0196】
(2−3)上述のG3の後の動作
次に、回線切替部241は、図9に示されるように、外部装置6を介して各スマートフォン21、22、23にテザリング機能を動作させた後、上述のF2〜F9を実施し、スマートフォン21、22、23を利用してインターネット網と通信を行う(G4)。
【0197】
このとき、上述のG1でバッファに格納されたパケットは、第2の実施形態のシステムと同様、スマートフォン21、22、23を介してインターネット網に送信される。
【0198】
(2−4)G2でNoの場合の動作
一方、回線切替部241は、スマートフォン21、22、23のいずれかと接続している場合(G2でNoの場合)には、上述のG4を実施し、スマートフォン21、22、23を利用してインターネット網と通信を行う。
【0199】
上述した以外の構成や機能は、第2の実施の形態におけるシステムと同じであるので、同一の符号を付して説明を省略する。
【0200】
[効果の説明]
本実施形態の通信機器を含むシステムでは、テザリング機能ON/OFF機能を有するスマートフォンが、テザリング機能OFFの状態であっても、テザリング機能ONの状態にすることができる。
【0201】
なぜなら、本実施形態のシステムでは、(所定の信号が入力されると)テザリング機能をONさせるアプリがスマートフォンにインストールされており、そのアプリに本実施形態の通信機器が、所定の信号を、外部装置を介して送るからである。
【0202】
なお、本実施形態のシステムでは、スマートフォンの使用者は、第1、2の実施形態のシステムと同様、利用可能な通信容量を十分に活用することができる。本実施形態のシステムは、第2の実施形態のシステムと同じ動作を行うからである。
【0203】
≪第4の実施の形態≫
図10は、本発明の第4の実施の形態におけるシステムの構成例を示す図である。以下に、第4の実施の形態のシステムの構成と動作について説明する。
【0204】
[構成の説明]
(1)第4の実施形態のシステムの構成
第4の実施形態のシステムは、図10に示されるように、情報機器100と、通信機器110と、端末120、121、122と、通信網130と、を備える。
【0205】
通信機器110は、情報機器100、及び、複数の端末120、121、122に接続される。通信機器110は、情報機器100と有線回線を介して接続され、通信機器110は、端末120、121、122と無線回線を介して接続されてもよい。
【0206】
端末120、121、122は、接続する装置(通信機器110)と通信網130との通信を中継する端末である。端末120、121、122は、周知のテザリング機能を備えたスマートフォンであってもよい。
【0207】
(2)通信機器110の構成
通信機器110は、選択部111と、回線接続部112と、を備える。
【0208】
選択部111と回線接続部112は、接続される。
【0209】
[動作の説明]
次に、本実施形態のシステムの動作を説明する。
【0210】
各端末120、121、122が、自身の一ヶ月間の通信量を通信機器110の選択部111に出力したとする。
【0211】
通信機器110の選択部111は、入力された所定時間内(例えば、一ヶ月間)の通信量が所定の上限値より小さな端末に対応する所定の識別子を出力する。
【0212】
例えば、選択部111には、端末120、121、122から一ヶ月の通信量(3Gbyte、20Mbyte、100Mbyte)が入力されたとする。選択部111は、入力されたそれら通信量が所定の上限値(例えば、2Gbyte)より小さい端末121、122に対応する所定の識別子を出力してもよい。
【0213】
所定の上限値は、端末120、121、122が毎月利用可能な通信量であってもよい。所定の上限値は、通信機器110のユーザによって、選択部111に設定される。通信機器110のユーザは、毎月利用可能な通信容量を上限として、各端末が通常、所定時間内(例えば例えば、一ヶ月間)に使用する通信量よりも大きな通信量を、所定の通信量として設定することができる。
【0214】
また、上述の所定の識別子や所定時間も、通信機器110のユーザによって、選択部111に設定される。
【0215】
次に、通信機器110の回線接続部112は、選択部111が出力した識別子に対応する端末121、122と情報機器100の通信を中継する。
【0216】
端末121、122は、上述の「(1)第4の実施形態のシステムの構成」で説明した通り、通信機器110と通信網130との通信を中継する。
【0217】
その結果、情報機器100は、通信機器110(の回線接続部112)及び、複数の端末121、122を介して、通信網130と通信を行うことができる。このとき、情報機器100は、複数の端末121、122を介して通信を行うので、大容量に通信網130と通信を行うことができる。
【0218】
[効果の説明]
本実施形態によれば、端末(例えば、スマートフォン)の使用者は、利用可能な通信容量を十分に活用することができる。
【0219】
なぜならば、本実施形態のシステムでは、通信機器が、通信量が所定量以下の(利用可能な通信容量を十分に使用していない)端末を複数用いて大容量に通信を行うからである。複数の端末を用いて大容量に通信を行うので、本実施形態の通信機器を含むシステムは、1台の端末を用いる特許文献1のシステムよりも多く利用可能な通信容量を使用することができる。その結果、各端末の使用者は、利用可能な通信容量を十分に活用することができる。
【0220】
なお、上述した実施の形態は、その形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【0221】
さらに、上記の各実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
(付記1)
情報機器、及び、接続する装置と通信網との通信を中継する複数の端末に接続され、
入力された所定時間内の前記通信量が所定の上限値より小さな前記端末に対応する所定の識別子を出力する選択部と、
前記識別子に対応する前記端末と前記情報機器の通信を中継する回線接続部と、を備える、
ことを特徴とする通信機器。
(付記2)
前記回線接続部は、前記端末の通信量を測定し、所定のタイミングになると、前記端末の前記通信量を出力する、
ことを特徴とする付記1に記載の通信機器。
(付記3)
前記回線接続部は、前記端末から入力された前記所定時間内の前記通信量を前記選択部に出力する、
ことを特徴とする付記1に記載の通信機器。
(付記4)
前記所定の上限値は、前記所定時間内に前記端末が利用可能な通信量である、
ことを特徴とする付記1乃至3のいずれか1項に記載の通信機器。
(付記5)
前記選択部は、接続される前記端末のうち、入力された前記所定時間内の前記通信量と前記所定の上限値との差が最も小さな前記端末以外の前記端末を示す所定の最小識別子を出力し、
前記回線接続部は、前記最小識別子が示す前記端末との通信を優先して前記情報機器と中継する、
ことを特徴とする付記1乃至4のいずれか1項に記載の通信機器。
(付記6)
前記情報機器は前記通信網と直接通信を行う情報機器で、前記端末は所定のパケットが入力されると、前記通信機器と前記通信網との通信を中継する端末であり、
前記回線接続部は、前記端末とコネクションが確立しないときには、前記情報機器に前記端末宛ての前記所定のパケットを出力する、
ことを特徴とする付記1乃至5のいずれか1項に記載の通信機器。
(付記7)
情報機器、及び、接続する装置と通信網との通信を中継する複数の端末に接続された通信機器を、
入力された所定時間内の前記通信量が所定の上限値より小さな前記端末に対応する所定の識別子を出力する選択モジュール、及び
前記識別子に対応する前記端末と前記情報機器の通信を中継する回線接続モジュールとして機能させるためのプログラム。
(付記8)
前記選択モジュールは、接続される前記端末のうち、入力された前記所定時間内の前記通信量と前記所定の上限値との差が最も小さな前記端末以外の前記端末を示す所定の最小識別子を出力し、
前記回線接続モジュールは、前記最小識別子が示す前記端末との通信を優先して前記情報機器と中継する、
ことを特徴とする付記7に記載のプログラム。
(付記9)
情報機器、及び、接続する装置と通信網との通信を中継する複数の端末に接続された通信機器の通信方法であり、
入力された所定時間内の前記通信量が所定の上限値より小さな前記端末に対応する所定の識別子を出力する選択手段と、
前記識別子に対応する前記端末と前記情報機器の通信を中継する回線接続手段と、を有する、
ことを特徴とする通信方法。
(付記10)
前記選択手段は、接続される前記端末のうち、入力された前記所定時間内の前記通信量と前記所定の上限値との差が最も小さな前記端末以外の前記端末を示す所定の最小識別子を出力し、
前記回線接続手段は、前記最小識別子が示す前記端末との通信を優先して前記情報機器と中継する、
ことを特徴とする付記9に記載の通信方法。
(付記11)
前記所定の上限値は、前記所定時間内に前記端末が利用可能な通信量である、
ことを特徴とする付記9乃至10のいずれか1項に記載の通信方法。
(付記12)
前記情報機器は前記通信網と直接通信を行う情報機器で、前記端末は所定のパケットが入力されると前記通信機器と前記通信網との通信を中継する端末であり、
前記回線接続手段は、前記端末とコネクションが確立しないときには、前記情報機器に前記端末宛ての前記所定のパケットを出力する、
ことを特徴とする付記9乃至11のいずれか1項に記載の通信方法。
(付記13)
前記所定の上限値は、前記所定時間内に前記端末が利用可能な通信量である、
ことを特徴とする付記7乃至8のいずれか1項に記載のプログラム。
(付記14)
前記情報機器は前記通信網と直接通信を行う情報機器で、前記端末は所定のパケットが入力されると前記通信機器と前記通信網との通信を中継する端末であり、
前記回線接続手段は、前記端末とコネクションが確立しないときには、前記情報機器に前記端末宛ての前記所定のパケットを出力する、
ことを特徴とする付記7乃至8、又は付記13のいずれか1項に記載のプログラム。
【符号の説明】
【0222】
1、2、3、11、12、13 スマートフォン
4、14、110 通信機器
5、6 外部装置
7 キャリア網
40、240 ルーター部
41、141、241 回線切替部
42、142 回線選択部
100 情報機器
111 選択部
112 回線接続部
120、121、122 端末
130 通信網
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10