特許第6495590号(P6495590)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6495590
(24)【登録日】2019年3月15日
(45)【発行日】2019年4月3日
(54)【発明の名称】電力供給システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 3/32 20060101AFI20190325BHJP
   H02J 3/38 20060101ALI20190325BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20190325BHJP
   H02J 7/35 20060101ALI20190325BHJP
   G06Q 50/06 20120101ALI20190325BHJP
【FI】
   H02J3/32
   H02J3/38 170
   H02J7/00 303E
   H02J7/35 K
   G06Q50/06
【請求項の数】5
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2014-148565(P2014-148565)
(22)【出願日】2014年7月22日
(65)【公開番号】特開2016-25760(P2016-25760A)
(43)【公開日】2016年2月8日
【審査請求日】2017年6月30日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100162031
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 豊彦
(72)【発明者】
【氏名】原田 真宏
【審査官】 原 嘉彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−198079(JP,A)
【文献】 特開2013−150485(JP,A)
【文献】 特開2002−198080(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16Z 99/00
G06Q 10/00−10/10
30/00−30/08
50/00−50/20
50/26−99/00
H02J 3/00−7/12
7/34−7/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
負荷追従機能を有して発電可能な燃料電池と、
前記燃料電池で発電された電力を充放電可能な蓄電装置と、
前記燃料電池の発電及び前記蓄電装置の充放電を制御する制御装置と、
を具備し、
前記制御装置は、
前記蓄電装置に充電された電力残量とは無関係に予め設定された所定の単位期間ごとに負荷の消費電力に基づいて複数の定格値のうち何れか一つを設定し、
前記燃料電池で発電される電力が前記設定した定格値となるように、前記蓄電装置の充放電を行い、
商用電源、前記燃料電池及び前記蓄電装置からの電力を負荷へと供給する電力供給システムであって、
前記複数の定格値のうち一つは、値を更新可能な更新定格値であり、
第一の単位期間が終了した後に第二の単位期間が開始される場合に、前記第一の単位期間の終了時における前記蓄電装置に充電された電力残量の有無に応じて、前記第一の単位期間の更新定格値を前記第二の単位期間の更新定格値に更新する更新手段を具備し、
前記更新手段は、
前記第一の単位期間の終了時に前記蓄電装置に充電された電力残量が無い場合には、
前記第一の単位期間の間に前記商用電源から買電された買電量を算出し、
前記第一の単位期間の間に前記燃料電池で発電される電力が前記更新定格値とされた累計時間を算出し、
前記買電量を前記累計時間で除算した第一の値を前記第一の単位期間の更新定格値に加算することにより、前記第二の単位期間の更新定格値を算出する、
ことを特徴とする電力供給システム。
【請求項2】
前記更新手段は、
更に前記第一の単位期間の間における前記商用電源からの買電の有無に応じて、前記第一の単位期間の更新定格値を第二の単位期間の更新定格値に更新する、
ことを特徴とする請求項1に記載の電力供給システム。
【請求項3】
前記更新手段は、
前記第一の単位期間の終了時に前記蓄電装置に充電された電力残量が有る場合であって、且つ、前記第一の単位期間の間に前記商用電源からの買電が無い場合には、
前記第一の単位期間の終了時の前記蓄電装置に充電された電力残量を算出し、
前記第一の単位期間の間に前記燃料電池で発電される電力が前記更新定格値とされた累計時間を算出し、
前記電力残量を前記累計時間で除算した第二の値を前記第一の単位期間の更新定格値から減算することにより、前記第二の単位期間の更新定格値を算出する、
ことを特徴とする請求項2に記載の電力供給システム。
【請求項4】
前記更新手段は、
前記第一の単位期間の終了時に前記蓄電装置に充電された電力残量が有る場合であって、且つ、前記第一の単位期間の間に前記商用電源からの買電が有る場合には、
前記第一の単位期間の終了時の前記蓄電装置に充電された電力残量を算出し、
前記第一の単位期間の間に前記商用電源から買電された買電量を算出し、
前記第一の単位期間の間に前記燃料電池で発電される電力が前記更新定格値とされた累計時間を算出し、
前記買電量を前記累計時間で除算した第一の値を前記第一の単位期間の更新定格値に加算すると共に、前記電力残量を前記累計時間で除算した第二の値を前記第一の単位期間の更新定格値から減算することにより、前記第二の単位期間の更新定格値を算出する、
ことを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の電力供給システム。
【請求項5】
負荷追従機能を有して発電可能な燃料電池と、
前記燃料電池で発電された電力を充放電可能な蓄電装置と、
前記燃料電池の発電及び前記蓄電装置の充放電を制御する制御装置と、
を具備し、
前記制御装置は、
前記蓄電装置に充電された電力残量とは無関係に予め設定された所定の単位期間ごとに負荷の消費電力に基づいて複数の定格値のうち何れか一つを設定し、
前記燃料電池で発電される電力が前記設定した定格値となるように、前記蓄電装置の充放電を行い、
商用電源、前記燃料電池及び前記蓄電装置からの電力を負荷へと供給する電力供給システムであって、
前記複数の定格値のうち一つは、値を更新可能な更新定格値であり、
第一の単位期間が終了した後に第二の単位期間が開始される場合に、前記第一の単位期間の終了時における前記蓄電装置に充電された電力残量の有無に応じて、前記第一の単位期間の更新定格値を前記第二の単位期間の更新定格値に更新する更新手段を具備し、
前記更新手段は、
更に前記第一の単位期間の間における前記商用電源からの買電の有無に応じて、前記第一の単位期間の更新定格値を第二の単位期間の更新定格値に更新し、
前記第一の単位期間の終了時に前記蓄電装置に充電された電力残量が有る場合であって、且つ、前記第一の単位期間の間に前記商用電源からの買電が有る場合には、
前記第一の単位期間の終了時の前記蓄電装置に充電された電力残量を算出し、
前記第一の単位期間の間に前記商用電源から買電された買電量を算出し、
前記第一の単位期間の間に前記燃料電池で発電される電力が前記更新定格値とされた累計時間を算出し、
前記買電量を前記累計時間で除算した第一の値を前記第一の単位期間の更新定格値に加算すると共に、前記電力残量を前記累計時間で除算した第二の値を前記第一の単位期間の更新定格値から減算することにより、前記第二の単位期間の更新定格値を算出する、
ことを特徴とする電力供給システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商用電源、燃料電池及び蓄電装置からの電力を負荷へと供給する電力供給システムの技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、発電可能な燃料電池と、前記燃料電池で発電された電力を充放電可能な蓄電装置と、前記燃料電池の発電及び前記蓄電装置の充放電を制御する制御装置と、を具備し、商用電源、前記燃料電池及び前記蓄電装置からの電力を負荷へと供給する電力供給システムの技術は公知となっている。例えば、特許文献1に記載の如くである。
【0003】
特許文献1に記載の電力供給システム(エネルギー管理システム)は、発電可能な燃料電池と、前記燃料電池で発電された電力を充放電可能な蓄電装置(蓄電池)と、前記燃料電池の発電及び前記蓄電装置の充放電を制御する制御装置(エネルギー管理装置)と、を具備し、商用電源、前記燃料電池及び前記蓄電装置からの電力を負荷へと供給する。
【0004】
そして、特許文献1に記載の電力供給システムにおいては、所定時刻において蓄電装置に充電された電力量が0に近付くように、燃料電池の発電及び蓄電装置の充放電が制御装置により制御される。こうして、前記電力供給システムにおいては、蓄電装置に充電された電力を所定時間まで利用することができると共に、前記充電された電力を可及的に使い切ることができる。
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の電力供給システムにおいては、蓄電装置に充電された電力を所定時間まで利用すると共に、前記充電された電力を可及的に使い切ることを目的とした制御が行われるため、燃料電池の発電に使用する燃料の使用量が考慮されず、燃料電池の発電に使用する燃料の使用量を抑制することができない点で不都合である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2013−74689号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は以上の如き状況に鑑みてなされたものであり、その解決しようとする課題は、燃料電池からの電力を効率よく負荷へと供給すると共に、燃料電池の発電に使用する燃料の使用量を可及的に抑制することができる電力供給システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0009】
即ち、請求項1においては、負荷追従機能を有して発電可能な燃料電池と、前記燃料電池で発電された電力を充放電可能な蓄電装置と、前記燃料電池の発電及び前記蓄電装置の充放電を制御する制御装置と、を具備し、前記制御装置は、前記蓄電装置に充電された電力残量とは無関係に予め設定された所定の単位期間ごとに負荷の消費電力に基づいて複数の定格値のうち何れか一つを設定し、前記燃料電池で発電される電力が前記設定した定格値となるように、前記蓄電装置の充放電を行い、商用電源、前記燃料電池及び前記蓄電装置からの電力を負荷へと供給する電力供給システムであって、前記複数の定格値のうち一つは、値を更新可能な更新定格値であり、第一の単位期間が終了した後に第二の単位期間が開始される場合に、前記第一の単位期間の終了時における前記蓄電装置に充電された電力残量の有無に応じて、前記第一の単位期間の更新定格値を前記第二の単位期間の更新定格値に更新する更新手段を具備し、前記更新手段は、前記第一の単位期間の終了時に前記蓄電装置に充電された電力残量が無い場合には、前記第一の単位期間の間に前記商用電源から買電された買電量を算出し、前記第一の単位期間の間に前記燃料電池で発電される電力が前記更新定格値とされた累計時間を算出し、前記買電量を前記累計時間で除算した第一の値を前記第一の単位期間の更新定格値に加算することにより、前記第二の単位期間の更新定格値を算出するものである。
【0010】
請求項2においては、前記更新手段は、更に前記第一の単位期間の間における前記商用電源からの買電の有無に応じて、前記第一の単位期間の更新定格値を第二の単位期間の更新定格値に更新するものである。
【0011】
請求項3においては、前記更新手段は、前記第一の単位期間の終了時に前記蓄電装置に充電された電力残量が有る場合であって、且つ、前記第一の単位期間の間に前記商用電源からの買電が無い場合には、前記第一の単位期間の終了時の前記蓄電装置に充電された電力残量を算出し、前記第一の単位期間の間に前記燃料電池で発電される電力が前記更新定格値とされた累計時間を算出し、前記電力残量を前記累計時間で除算した第二の値を前記第一の単位期間の更新定格値から減算することにより、前記第二の単位期間の更新定格値を算出するものである。
【0012】
請求項4においては、前記更新手段は、前記第一の単位期間の終了時に前記蓄電装置に充電された電力残量が有る場合であって、且つ、前記第一の単位期間の間に前記商用電源からの買電が有る場合には、前記第一の単位期間の終了時の前記蓄電装置に充電された電力残量を算出し、前記第一の単位期間の間に前記商用電源から買電された買電量を算出し、前記第一の単位期間の間に前記燃料電池で発電される電力が前記更新定格値とされた累計時間を算出し、前記買電量を前記累計時間で除算した第一の値を前記第一の単位期間の更新定格値に加算すると共に、前記電力残量を前記累計時間で除算した第二の値を前記第一の単位期間の更新定格値から減算することにより、前記第二の単位期間の更新定格値を算出するものである。
【0013】
請求項5においては、負荷追従機能を有して発電可能な燃料電池と、前記燃料電池で発電された電力を充放電可能な蓄電装置と、前記燃料電池の発電及び前記蓄電装置の充放電を制御する制御装置と、を具備し、前記制御装置は、前記蓄電装置に充電された電力残量とは無関係に予め設定された所定の単位期間ごとに負荷の消費電力に基づいて複数の定格値のうち何れか一つを設定し、前記燃料電池で発電される電力が前記設定した定格値となるように、前記蓄電装置の充放電を行い、商用電源、前記燃料電池及び前記蓄電装置からの電力を負荷へと供給する電力供給システムであって、前記複数の定格値のうち一つは、値を更新可能な更新定格値であり、第一の単位期間が終了した後に第二の単位期間が開始される場合に、前記第一の単位期間の終了時における前記蓄電装置に充電された電力残量の有無に応じて、前記第一の単位期間の更新定格値を前記第二の単位期間の更新定格値に更新する更新手段を具備し、前記更新手段は、更に前記第一の単位期間の間における前記商用電源からの買電の有無に応じて、前記第一の単位期間の更新定格値を第二の単位期間の更新定格値に更新し、前記第一の単位期間の終了時に前記蓄電装置に充電された電力残量が有る場合であって、且つ、前記第一の単位期間の間に前記商用電源からの買電が有る場合には、前記第一の単位期間の終了時の前記蓄電装置に充電された電力残量を算出し、前記第一の単位期間の間に前記商用電源から買電された買電量を算出し、前記第一の単位期間の間に前記燃料電池で発電される電力が前記更新定格値とされた累計時間を算出し、前記買電量を前記累計時間で除算した第一の値を前記第一の単位期間の更新定格値に加算すると共に、前記電力残量を前記累計時間で除算した第二の値を前記第一の単位期間の更新定格値から減算することにより、前記第二の単位期間の更新定格値を算出するものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0015】
本願発明においては、第一の単位期間の終了時に蓄電装置に充電された電力残量の有無に応じて、第二の単位期間において燃料電池からの電力を効率よく負荷へと供給すると共に、燃料電池の発電に使用する燃料の使用量を可及的に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の一実施形態に係る電力供給システムの構成を示したブロック図。
図2】同じく、電力の供給態様における制御装置の処理を示したフローチャート。
図3】同じく、制御装置による第一定格値の更新の処理を示したフローチャート。
図4】同じく、図3の続きを示したフローチャート。
図5】同じく、図3の続きを示したフローチャート。
図6】同じく、図3の続きを示したフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下では、図1を用いて、本発明に係る「電力供給システム」の一実施形態である電力供給システム1の構成について説明する。
【0022】
電力供給システム1は、住宅等に設けられ、商用電源90や後述する燃料電池20等からの電力を図示せぬ負荷へと供給するものである。電力供給システム1は、主として、太陽光発電部10と、燃料電池20と、蓄電装置30と、分電盤40と、制御装置50と、を具備する。
【0023】
太陽光発電部10は、太陽光(自然エネルギー)を利用して発電する装置である。太陽光発電部10は、太陽光パネル(PV)等により構成される。太陽光発電部10は、住宅の屋根の上等の日当たりの良い場所に設置される。太陽光発電部10は、発電した電力を出力可能に構成される。
【0024】
燃料電池20は、都市ガスを燃料として発電する装置である。燃料電池20は、図示せぬ固体酸化物形燃料電池(SOFC : Solid Oxide Fuel Cell)や、制御部等により構成される。燃料電池20は、負荷の消費電力に追従して(必要に応じて)電力を発電する負荷追従機能を有する。燃料電池20は、図示せぬ貯湯ユニットを具備し、発電時に発生する熱を用いて当該貯湯ユニット内で湯を沸かすことができる。なお、本実施形態において燃料電池20は、最大発電電力が700Wに設定される。
【0025】
蓄電装置30は、燃料電池20等からの電力を充電可能であって、充電した電力を放電可能な装置である。蓄電装置30は、電力を充放電可能なリチウムイオン電池(蓄電池)や、供給されてくる交流電力を整流して前記蓄電池に充電させる充電器、前記蓄電池からの直流電力を交流電力に変換して出力するインバータ、制御部等により構成される。
【0026】
分電盤40は、負荷の消費電力に応じて電力の供給元から供給された電力を、当該負荷に分配するものである。分電盤40は、図示せぬ漏電遮断器や、配線遮断器、制御ユニット等により構成される。分電盤40は、電力の供給元としての商用電源90や、太陽光発電部10、燃料電池20、蓄電装置30と接続され、これらからの電力が適宜供給される。
【0027】
なお、本実施形態において負荷とは、住宅において電力が消費される電化製品等に接続される回路である。負荷は、例えば部屋ごとや、エアコンのように大きな電力を消費する機器専用のコンセントごとに設けられ、それぞれ分電盤40に接続される(不図示)。
【0028】
制御装置50は、電力供給システム1内の情報を管理すると共に、当該電力供給システム1における電力の供給態様(例えば、燃料電池20の発電や蓄電装置30の充放電等)を制御するものである。制御装置50は、RAMやROM等の記憶部や、CPU等の演算処理部等により構成される。
【0029】
制御装置50の前記記憶部には、電力供給システム1における電力の供給態様に関する情報が予め記憶されている。また、制御装置50には、時間計測に使用される図示せぬタイマカウンタが設けられる。また、制御装置50は、負荷の消費電力に関する情報や、電力の供給態様に用いられる情報(例えば、商用電源90から売電された電力量等)を学習する学習機能を有する。
【0030】
なお、制御装置50は、分電盤40と電気的に接続される。制御装置50は、負荷の消費電力に関する情報を分電盤40から取得することができる。
また、制御装置50は、燃料電池20と電気的に接続される。制御装置50は、燃料電池20で発電された電力に関する情報を取得することができる。また、制御装置50は、燃料電池20の運転(発電)を制御することができる。
また、制御装置50は、蓄電装置30と電気的に接続される。制御装置50は、蓄電装置30で充放電された電力に関する情報を取得することができる。また、制御装置50は、蓄電装置30の運転(電力の充放電)を制御することができる。
また、制御装置50は、太陽光発電部10よりも上流側に配置される図示せぬセンサと接続され、商用電源90からの買電に関する情報を取得することができる。
【0031】
なお、本発明に係る「制御装置」の構成は、制御装置50の構成に限定するものではない。例えば、本発明に係る「制御装置」は、蓄電装置30の制御部や、燃料電池20の制御部により構成されるものであってもよい。
また、本実施形態に係る制御装置50は学習機能を有するものとしたが、学習機能を有する機器は制御装置50に限定するものではない。例えば、学習機能は、燃料電池20や蓄電装置30が有する構成としてもよい。
【0032】
以下では、電力供給システム1における電力の供給態様について、簡単に説明する。
【0033】
なお、本実施形態において、以下の説明における電力の流通方向の変更は、制御装置50により制御される。しかしながら、図示せぬホームサーバ等の制御手段により制御される構成とすることや、図示せぬスイッチ部やパワーコンディショナが有する制御部によりそれぞれ制御される構成とすることが可能であり、本発明はこれを限定するものではない。
【0034】
商用電源90からの電力や、太陽光発電部10で発電された電力、燃料電池20で発電された電力は、それぞれ分電盤40に供給され、当該分電盤40により負荷に分配される。こうして、住宅の居住者は、商用電源90だけでなく、太陽光発電部10や燃料電池20で発電された電力によって、照明を点灯したり、電化製品を使用したりすることができる。なお、本実施形態においては、燃料電池20で発電された電力が、他の電力に優先して分電盤40に供給されるように設定される。
【0035】
なお、燃料電池20で発電された電力だけで負荷の消費電力がまかなえる場合には、商用電源90や太陽光発電部10からの電力を使用しないことも可能である。これによって、商用電源90からの買電を減らし、電力料金を節約することができる。また、太陽光発電部10で発電された電力を商用電源90に逆潮流させて売電し、経済的な利益を得ることができる。
【0036】
また、商用電源90からの電力や、太陽光発電部10で発電された電力は、適宜の時間帯に蓄電装置30に充電される。なお、充電する時間帯は、居住者の任意に設定することができる。
【0037】
例えば深夜の時間帯に商用電源90からの電力を充電するように設定すれば、料金の安い深夜電力を蓄電装置30に充電することができる。また、太陽光が十分に照射される昼間の時間帯に太陽光発電部10で発電された電力を充電するように設定すれば、自然エネルギー(太陽光)を利用して発電された電力を蓄電装置30に充電することができる。
【0038】
また、商用電源90からの電力や太陽光発電部10で発電された電力だけでなく、蓄電装置30に充電された電力を分電盤40に供給することも可能である。すなわち、蓄電装置30が充電した電力を放電すると、当該放電した電力が分電盤40に供給される。なお、蓄電装置30から分電盤40に電力を供給するタイミングは、任意に設定することができる。
【0039】
例えば深夜の時間帯に商用電源90からの電力を充電すると共に、住宅に居住者が不在であり負荷の消費電力が比較的少ない昼間の時間帯に太陽光発電部10で発電された電力を蓄電装置30に充電するように設定する。そして、居住者が住宅に帰宅してから就寝するまでの夜間の時間帯に、蓄電装置30に充電された電力を分電盤40に供給するように設定する。これによって、料金の安い深夜電力を夜間の時間帯に使用できると共に、商用電源90からの買電を減らすことができ、ひいては電力料金を節約することができる。
【0040】
このように、電力供給システム1においては、種々の電力の供給態様が設定されている。
【0041】
また、電力供給システム1における電力の供給態様には、複数の定格値を用いて燃料電池20及び蓄電装置30からの電力を負荷へと供給する電力の供給態様が含まれる。以下の説明では、電力供給システム1において設定されている種々の電力の供給態様のうち、前記複数の定格値を用いた電力の供給態様を単に「電力の供給態様」と称する。
【0042】
なお、本実施形態において「定格値」とは、燃料電池20が発電する際に目標となる電力の値である。本実施形態においては、前記複数の定格値として、第一定格値P1と、第二定格値P2という、2つの定格値が用いられる。
【0043】
第一定格値P1は、燃料電池20の最大発電電力以下の値に設定される。第一定格値P1は、複数の定格値のうち、最も小さい定格値(最小定格値)である。すなわち、第一定格値P1は、第二定格値P2以下の定格値であり、700W以下(0W〜700W)に設定される。第一定格値P1は、設定された値が変更(更新)可能に構成される。
【0044】
第二定格値P2は、燃料電池20の最大発電電力と同一の値に設定される。すなわち、第二定格値P2は、700Wに設定される。第二定格値P2は、制御装置50の記憶部に予め記憶される。第二定格値P2は、第一定格値P1とは異なり、設定された値(700W)が変更(更新)不能に構成される。
【0045】
電力の供給態様においては、単位期間ごとに、電力供給システム1が設けられている住宅の住人のライフスタイルに合うような制御(すなわち、燃料電池20からの電力を効率よく負荷へと供給すると共に、燃料電池20の発電に使用する燃料の使用量を可及的に抑制することができる制御)が行われる。なお、前記ライフスタイルに合うような制御には、燃料電池20で発電される電力を複数の定格値のうち何れか一つとする制御や、複数の定格値のうち第一定格値P1(最小定格値)が単位期間ごとに適宜更新される制御が含まれる。また、本実施形態においては、前記単位期間として1日(0時から24時まで)が適用される。
【0046】
以下では、電力の供給態様における制御装置50の処理について、図2のフローチャートを用いて説明する。
【0047】
ステップS100において、制御装置50は、第一定格値P1の更新の処理を行う。
なお、制御装置50による第一定格値P1の更新の処理についての詳細な説明は後述する。
制御装置50は、ステップS100の処理を行った後、ステップS101へ移行する。
【0048】
ステップS101において、制御装置50は、現在の負荷の消費電力が第一定格値P1以下であるか否かを判定する。
制御装置50は、現在の負荷の消費電力が第一定格値P1以下であると判定した場合には、ステップS102へ移行する。
制御装置50は、現在の負荷の消費電力が第一定格値P1以下ではないと判定した場合には、ステップS103へ移行する。
【0049】
ステップS102において、制御装置50は、燃料電池20で発電される電力が第一定格値P1となるように、蓄電装置30に電力を充電させる。より詳細には、制御装置50は、負荷の消費電力に応じて第一定格値P1及び第二定格値P2のうち何れか一つである第一定格値P1を設定し、燃料電池20で発電される電力が第一定格値P1となるように、蓄電装置30の充電を行う。
具体的には、制御装置50は、例えば現在の負荷の消費電力が250Wであって、且つ第一定格値P1が400Wである場合に、150Wの電力を充電するように蓄電装置30を制御する。これにより、250Wの電力が分電盤40(負荷)に供給されると共に150Wの電力が蓄電装置30に供給されるため、燃料電池20は必要に応じた電力として400Wの電力を発電する。すなわち、制御装置50は、蓄電装置30に電力を充電させることにより、燃料電池20が発電する電力を負荷の消費電力(250W)よりも大きい第一定格値P1(400W)に増加させる。
制御装置50は、ステップS102の処理を行った後、再びステップS100へ移行する。
【0050】
ステップS103において、制御装置50は、現在の負荷の消費電力が第二定格値P2以上であるか否かを判定する。
制御装置50は、現在の負荷の消費電力が第二定格値P2以上であると判定した場合には、ステップS105へ移行する。
制御装置50は、現在の負荷の消費電力が第二定格値P2以上ではないと判定した場合には、ステップS104へ移行する。
【0051】
ステップS104において、制御装置50は、燃料電池20で発電される電力が第二定格値P2となるように、蓄電装置30に電力を充電させる。より詳細には、制御装置50は、負荷の消費電力に応じて第一定格値P1及び第二定格値P2のうち何れか一つである第二定格値P2を設定し、燃料電池20で発電される電力が第二定格値P2となるように、蓄電装置30の充電を行う。
具体的には、制御装置50は、例えば現在の負荷の消費電力が500Wである場合に、200Wの電力を充電するように蓄電装置30を制御する。これにより、500Wの電力が分電盤40(負荷)に供給されると共に200Wの電力が蓄電装置30に供給されるため、燃料電池20は必要に応じた電力として700Wの電力を発電する。すなわち、制御装置50は、蓄電装置30に電力を充電させることにより、燃料電池20が発電する電力を第一定格値P1(700W)に増加させる。
制御装置50は、ステップS104の処理を行った後、再びステップS100へ移行する。
【0052】
ステップS105において、制御装置50は、蓄電装置30を放電して必要に応じた電力を分電盤40に供給する。
具体的には、制御装置50は、例えば現在の負荷の消費電力が800Wである場合に、100Wの電力を放電するように蓄電装置30を制御する。これにより、700Wの電力が燃料電池20から分電盤40(負荷)に供給されると共に100Wの電力が蓄電装置30から分電盤40(負荷)に供給されるため、負荷の消費電力を賄うことができる。
制御装置50は、ステップS105の処理を行った後、再びステップS100へ移行する。
【0053】
以上のように、電力の供給態様における制御装置50の処理においては、燃料電池20で発電される電力は、負荷の消費電力に基づいて、第一定格値P1及び第二定格値P2のうち何れか一つとなるように設定される。
【0054】
具体的には、制御装置50は、負荷の消費電力が第一定格値P1以下である場合に、蓄電装置30に電力を充電させることにより、燃料電池20が発電する電力を負荷の消費電力よりも大きい第一定格値P1に増加させる。また、制御装置50は、負荷の消費電力が第一定格値P1よりも大きく、且つ第二定格値P2よりも小さい場合に、蓄電装置30に電力を充電させることにより、燃料電池20が発電する電力を負荷の消費電力よりも大きい第二定格値P2に増加させる。
【0055】
こうして、負荷の消費電力に基づいて、2つの定格値(第一定格値P1及び第二定格値P2)から最適な定格値が選択され、当該選択された定格値を目標となる電力の値として燃料電池20が発電するため、例えば1つの定格値(例えば、燃料電池20の最大発電電力である700W)を目標となる電力の値として燃料電池20が発電する場合と比べて、燃料電池20の発電に使用する燃料の使用量を可及的に抑制しながら、燃料電池20及び蓄電装置30からの電力を負荷へと供給することができる。
【0056】
以下では、図3から図6までのフローチャートを用いて、制御装置50による第一定格値P1(最小定格値)の更新の処理について説明する。
【0057】
第一定格値P1は、単位期間としての1日ごとに(毎日)更新される。より詳細には、第一定格値P1は、当日1日分の電力の供給態様で用いられるものが、0時となって当該1日が開始される際に新しく設定される。以下の説明では、第一定格値P1(最小定格値)のうち、更新される前の第一定格値P1を「第一定格値P1(n)」と称し、更新された後の第一定格値P1を「第一定格値P1(n+1)」と称する。
【0058】
ステップS201において、制御装置50は、現在の時刻が0時であるか否かを判定する。
制御装置50は、現在の時刻が0時であると判定した場合には、ステップS202へ移行する。
制御装置50は、現在の時刻が0時ではないと判定した場合には、制御装置50による第一定格値P1の更新の処理を終了する。
【0059】
ステップS202において、制御装置50は、蓄電装置30に充電された電力の残量があるか否かを判定する。
制御装置50は、蓄電装置30に充電された電力の残量があると判定した場合には、ステップS203へ移行する。
制御装置50は、蓄電装置30に充電された電力の残量がないと判定した場合には、ステップS211へ移行する。
【0060】
ステップS203において、制御装置50は、前日(より詳細には、ステップS201において判定された0時から開始される1日の前の日)に商用電源90から電力を買電したか否かを判定する。
制御装置50は、前日に商用電源90から電力を買電したと判定した場合には、ステップS231へ移行する。
制御装置50は、前日に商用電源90から電力を買電しなかったと判定した場合には、ステップS221へ移行する。
【0061】
ステップS202から移行したステップS211において、制御装置50は、前日に商用電源90から買電された電力量(以下では「前日買電量Pb」と称する)を算出する。
制御装置50は、ステップS211の処理を行った後、ステップS212へ移行する。
【0062】
ステップS212において、制御装置50は、前日に燃料電池20が第一定格値P1(n)となるように電力を発電した累計時間(以下では「前日第一定格累計時間H」と称する)を算出する。
制御装置50は、ステップS212の処理を行った後、ステップS213へ移行する。
【0063】
ステップS213において、制御装置50は、前日に用いられた第一定格値P1(n)を更新し、当日の電力の供給態様に用いられる新しい第一定格値P1(n+1)を算出する。第一定格値P1(n+1)は、次の数式1を用いて算出される。
第一定格値P1(n+1)=第一定格値P1(n)+(前日買電量Pb/前日第一定格累計時間H) ・・・ (数式1)
【0064】
具体的には、例えば前日に用いられた第一定格値P1(n)が400Wであって、且つ前日買電量Pbが2000Wであって、且つ前日第一定格累計時間Hが10時間である場合には、数式(1)を用いて、第一定格値P1(n+1)として600Wの値が算出される。
【0065】
なお、数式(1)を用いて算出された値が700W以上である場合、すなわち第一定格値P1(n+1)が燃料電池20の最大発電電力以上となる場合には、第一定格値P1(n+1)は燃料電池20の最大発電電力と同一の値である700W(すなわち、第二定格値P2と同一の値)に設定される。
【0066】
制御装置50は、ステップS213の処理を行った後、ステップS214へ移行する。
【0067】
ステップS214において、制御装置50は、ステップS213において算出された第一定格値P1(n+1)を、当日の電力の供給態様に用いられる第一定格値P1(最小定格値)として設定する。
制御装置50は、ステップS214の処理を行った後、制御装置50による第一定格値P1(最小定格値)の更新の処理を終了する。
【0068】
このように、前日の終了時に蓄電装置30に充電された電力残量が無い場合に、前日買電量Pbを算出し、前日第一定格累計時間Hを算出し、前日買電量Pbを前日第一定格累計時間Hで除算した時間(期間)当りの売電量(第一の値)を第一定格値P1(n)に加算することにより、第一定格値P1(n+1)を設定する。
【0069】
こうして、前日の終了時に蓄電装置30に充電された電力残量が無い場合に、電力供給システム1が設けられている住宅の住人のライフスタイルに合わせて、当日において燃料電池20からの電力を効率よく負荷へと供給することができる。また、必要以上に燃料電池20が発電することを抑制しているため、燃料電池20の発電に使用する燃料の使用量を可及的に抑制することができる。
【0070】
ステップS203から移行したステップS221において、制御装置50は、蓄電装置30に充電された電力の残量(以下では「前日電力残量Pr」と称する)を算出する。
制御装置50は、ステップS221の処理を行った後、ステップS222へ移行する。
【0071】
ステップS222において、制御装置50は、前日第一定格累計時間Hを算出する。
制御装置50は、ステップS222の処理を行った後、ステップS223へ移行する。
【0072】
ステップS223において、制御装置50は、前日に用いられた第一定格値P1(n)を更新し、当日の電力の供給態様に用いられる新しい第一定格値P1(n+1)を算出する。第一定格値P1(n+1)は、次の数式2を用いて算出される。
第一定格値P1(n+1)=第一定格値P1(n)−(前日電力残量Pr/前日第一定格累計時間H) ・・・ (数式2)
【0073】
具体的には、例えば前日に用いられた第一定格値P1(n)が400Wであって、且つ前日電力残量Prが2000Wであって、且つ前日第一定格累計時間Hが10時間である場合には、数式(2)を用いて、第一定格値P1(n+1)として200Wの値が算出される。
【0074】
なお、数式(2)を用いて算出された値が0W以下である場合には、第一定格値P1(n+1)は0Wに設定される。
【0075】
制御装置50は、ステップS223の処理を行った後、ステップS224へ移行する。
【0076】
ステップS224において、制御装置50は、ステップS223において算出された第一定格値P1(n+1)を、当日の電力の供給態様に用いられる第一定格値P1(最小定格値)として設定する。
制御装置50は、ステップS224の処理を行った後、制御装置50による第一定格値P1の更新の処理を終了する。
【0077】
このように、前日の終了時に蓄電装置30に充電された電力残量が有る場合であって、且つ、前日に商用電源90からの買電が無い場合には、前日電力残量Prを算出し、前日第一定格累計時間Hを算出し、前日電力残量Prを前日第一定格累計時間Hで除算した時間(期間)当りの電力残量(第二の値)を第一定格値P1(n)から減算することにより、第一定格値P1(n+1)を設定する。
【0078】
こうして、前日の終了時に蓄電装置30に充電された電力残量が有る場合であって、且つ、前日に商用電源90からの買電が無い場合に、電力供給システム1が設けられている住宅の住人のライフスタイルに合わせて、当日において燃料電池20からの電力を効率よく負荷へと供給することができる。また、必要以上に燃料電池20が発電することを抑制しているため、燃料電池20の発電に使用する燃料の使用量を可及的に抑制することができる。
【0079】
ステップS203から移行したステップS231において、制御装置50は、前日電力残量Prを算出する。
制御装置50は、ステップS231の処理を行った後、ステップS232へ移行する。
【0080】
ステップS232において、制御装置50は、前日買電量Pbを算出する。
制御装置50は、ステップS232の処理を行った後、ステップS233へ移行する。
【0081】
ステップS233において、制御装置50は、前日第一定格累計時間Hを算出する。
制御装置50は、ステップS233の処理を行った後、ステップS234へ移行する。
【0082】
ステップS234において、制御装置50は、前日に用いられた第一定格値P1(n)を更新し、当日の電力の供給態様に用いられる新しい第一定格値P1(n+1)を算出する。第一定格値P1(n+1)は、次の数式3を用いて算出される。
第一定格値P1(n+1)=第一定格値P1(n)+(前日買電量Pb/前日第一定格累計時間H)−(前日電力残量Pr/前日第一定格累計時間H) ・・・ (数式3)
【0083】
具体的には、例えば前日に用いられた第一定格値P1(n)が400Wであって、且つ前日買電量Pbが1000Wであって、且つ前日電力残量Prが2000Wであって、且つ前日第一定格累計時間Hが10時間である場合には、数式(3)を用いて、第一定格値P1(n+1)として300Wの値が算出される。
【0084】
なお、数式(3)を用いて算出された値が700W以上である場合、すなわち第一定格値P1(n+1)が燃料電池20の最大発電電力以上となる場合には、第一定格値P1(n+1)は燃料電池20の最大発電電力と同一の値である700W(すなわち、第二定格値P2と同一の値)に設定される。また、数式(3)を用いて算出された値が0W以下である場合には、第一定格値P1(n+1)は0Wに設定される。
【0085】
制御装置50は、ステップS234の処理を行った後、ステップS235へ移行する。
【0086】
ステップS235において、制御装置50は、ステップS234において算出された第一定格値P1(n+1)を、当日の電力の供給態様に用いられる第一定格値P1(最小定格値)として設定する。
制御装置50は、ステップS235の処理を行った後、制御装置50による第一定格値P1の更新の処理を終了する。
【0087】
このように、前日の終了時に蓄電装置30に充電された電力残量が有る場合であって、且つ、前日に商用電源90からの買電が有る場合には、前日電力残量Prを算出し、前日買電量Pbを算出し、前日第一定格累計時間Hを算出し、前日買電量Pbを前日第一定格累計時間Hで除算した時間(期間)当りの売電量(第一の値)を第一定格値P1(n)に加算すると共に、前日電力残量Prを前日第一定格累計時間Hで除算した時間(期間)当りの電力残量(第二の値)を第一定格値P1(n)から減算することにより、第一定格値P1(n+1)を設定する。
【0088】
こうして、前日の終了時に蓄電装置30に充電された電力残量が有る場合であって、且つ、前日に商用電源90からの買電が有る場合に、電力供給システム1が設けられている住宅の住人のライフスタイルに合わせて、当日において燃料電池20からの電力を効率よく負荷へと供給することができる。また、必要以上に燃料電池20が発電することを抑制しているため、燃料電池20の発電に使用する燃料の使用量を可及的に抑制することができる。
【0089】
以上のように、電力供給システム1においては、
負荷追従機能を有して発電可能な燃料電池20と、
前記燃料電池で発電された電力を充放電可能な蓄電装置30と、
前記燃料電池の発電及び前記蓄電装置の充放電を制御する制御装置50と、
を具備し、
前記制御装置は、
負荷の消費電力に基づいて複数の定格値のうち何れか一つを設定し、
前記燃料電池で発電される電力が前記設定した定格値となるように、前記蓄電装置の充放電を行い、
商用電源90、前記燃料電池及び前記蓄電装置からの電力を負荷へと供給する電力供給システムであって、
前記複数の定格値のうち一つは、値を更新可能な更新定格値(最小定格値(第一定格値P1))であり、
第一の単位期間(前日)が終了した後に第二の単位期間(当日)が開始される場合に、前記第一の単位期間の終了時における前記蓄電装置に充電された電力残量の有無に応じて、前記第一の単位期間の最小定格値(第一定格値P1(n))を前記第二の単位期間の最小定格値(第一定格値P1(n+1))に更新する更新手段(制御装置50)を具備するものである。
【0090】
このような構成により、第一の単位期間(前日)の終了時に蓄電装置30に充電された電力残量の有無に応じて、第二の単位期間(当日)において燃料電池20からの電力を効率よく負荷へと供給すると共に、燃料電池20の発電に使用する燃料の使用量を可及的に抑制することができる(光熱費を削減することができる)。
【0091】
また、電力供給システム1においては、
前記更新手段は、
前記第一の単位期間の終了時に前記蓄電装置に充電された電力残量が無い場合には、
前記第一の単位期間の間に前記商用電源から買電された買電量(前日買電量Pb)を算出し、
前記第一の単位期間の間に前記燃料電池で発電される電力が前記最小定格値とされた累計時間(前日第一定格累計時間H)を算出し、
前記買電量を前記期間で除算した第一の値(時間(期間)当りの売電量)を前記第一の単位期間の最小定格値(第一定格値P1(n))に加算することにより、前記第二の単位期間の最小定格値(第一定格値P1(n+1))を算出するものである。
【0092】
このような構成により、第一の単位期間(前日)の終了時に蓄電装置30に充電された電力残量が無い場合に、第二の単位期間(当日)において燃料電池20からの電力を効率よく負荷へと供給すると共に、燃料電池20の発電に使用する燃料の使用量を可及的に抑制することができる。
【0093】
また、電力供給システム1においては、
前記更新手段は、
更に前記第一の単位期間の間における前記商用電源からの買電の有無に応じて、前記第一の単位期間の最小定格値(第一定格値P1(n))を第二の単位期間の最小定格値(第一定格値P1(n+1))に更新するものである。
【0094】
このような構成により、第一の単位期間(前日)の終了時に蓄電装置30に充電された電力残量の有無、更に第一の単位期間(前日)の間における商用電源90からの買電の有無に応じて、第二の単位期間(当日)において燃料電池20からの電力を効率よく負荷へと供給すると共に、燃料電池20の発電に使用する燃料の使用量を可及的に抑制することができる。
【0095】
また、電力供給システム1においては、
前記更新手段は、
前記第一の単位期間の終了時に前記蓄電装置に充電された電力残量が有る場合であって、且つ、前記第一の単位期間の間に前記商用電源からの買電が無い場合には、
前記第一の単位期間の終了時の前記蓄電装置に充電された電力残量(前日電力残量Pr)を算出し、
前記第一の単位期間の間に前記燃料電池で発電される電力が前記最小定格値とされた累計時間(前日第一定格累計時間H)を算出し、
前記電力残量を前記期間で除算した第二の値(時間(期間)当りの電力残量)を前記第一の単位期間の最小定格値(第一定格値P1(n))から減算することにより、前記第二の単位期間の最小定格値(第一定格値P1(n+1))を算出するものである。
【0096】
このような構成により、第一の単位期間(前日)の終了時に蓄電装置30に充電された電力残量が有る場合であって、且つ、第一の単位期間(前日)の間に商用電源90からの買電が無い場合に、第二の単位期間(当日)において燃料電池20からの電力を効率よく負荷へと供給すると共に、燃料電池20の発電に使用する燃料の使用量を可及的に抑制することができる。
【0097】
また、電力供給システム1においては、
前記更新手段は、
前記第一の単位期間の終了時に前記蓄電装置に充電された電力残量が有る場合であって、且つ、前記第一の単位期間の間に前記商用電源からの買電が有る場合には、
前記第一の単位期間の終了時の前記蓄電装置に充電された電力残量(前日電力残量Pr)を算出し、
前記第一の単位期間の間に前記商用電源から買電された買電量(前日買電量Pb)を算出し、
前記第一の単位期間の間に前記燃料電池で発電される電力が前記最小定格値とされた累計時間(前日第一定格累計時間H)を算出し、
前記買電量を前記期間で除算した第一の値(時間(期間)当りの売電量)を前記第一の単位期間の最小定格値に加算すると共に、前記電力残量を前記期間で除算した第二の値(時間(期間)当りの電力残量)を前記第一の単位期間の最小定格値(第一定格値P1(n))から減算することにより、前記第二の単位期間の最小定格値(第一定格値P1(n+1))を算出するものである。
【0098】
このような構成により、第一の単位期間(前日)の終了時に蓄電装置30に充電された電力残量が有る場合であって、且つ、第一の単位期間(前日)の間に商用電源90からの買電が有る場合に、第二の単位期間(当日)において燃料電池20からの電力を効率よく負荷へと供給すると共に、燃料電池20の発電に使用する燃料の使用量を可及的に抑制することができる。
【0099】
なお、本実施形態において、1日(0時から24時まで)は、本発明に係る「単位期間」の一実施形態である。本発明に係る「単位期間」は、1日(0時から24時まで)に限定するものではなく、任意に設定することができる。
【0100】
また、本実施形態において、前日及び当日は、本発明に係る「第一の単位期間」及び「第二の単位期間」の一実施形態である。本発明に係る「第一の単位期間」及び「第二の単位期間」は、前日及び当日のように連続する日に限定するものではない。例えば、「第一の単位期間」及び「第二の単位期間」は、先週の月曜日及び今週の月曜日(当日)のように同一の曜日に設定することもできる。このような設定とすれば、より一層電力供給システム1が設けられている住宅の住人のライフスタイルに合わせて、今週の月曜日(当日)において燃料電池20からの電力を効率よく負荷へと供給すると共に、燃料電池20の発電に使用する燃料の使用量を可及的に抑制することができる。
また、本発明に係る「第一の単位期間」及び「第二の単位期間」は、例えば昨年の同じ日及び当日のように設定することもできる。
【0101】
また、本実施形態において、前日電力残量Prは、本発明に係る「第一の単位期間の終了時の蓄電装置に充電された電力残量」の一実施形態である。また、前日買電量Pbは、本発明に係る「第一の単位期間の間に商用電源から買電された買電量」の一実施形態である。また、前日第一定格累計時間Hは、本発明に係る「第一の単位期間の間に前記燃料電池で発電される電力が前記更新定格値とされた累計時間」の一実施形態である。
【0102】
また、本実施形態において、第一定格値P1(最小定格値)及び第二定格値P2は、本発明に係る「複数の定格値」の一実施形態である。また、第一定格値P1(最小定格値)は、本発明に係る「更新定格値」の一実施形態である。また、本発明に係る「複数の定格値」は、2つではなく、3つ以上とすることもできる。
【符号の説明】
【0103】
1 電力供給システム
20 燃料電池
30 蓄電装置
40 分電盤
50 制御装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6