特許第6495620号(P6495620)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6495620
(24)【登録日】2019年3月15日
(45)【発行日】2019年4月3日
(54)【発明の名称】組立建物
(51)【国際特許分類】
   E04H 6/02 20060101AFI20190325BHJP
   E04B 1/343 20060101ALI20190325BHJP
   E04D 13/068 20060101ALI20190325BHJP
【FI】
   E04H6/02 C
   E04B1/343 U
   E04D13/068 503A
【請求項の数】1
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2014-223060(P2014-223060)
(22)【出願日】2014年10月31日
(65)【公開番号】特開2016-89417(P2016-89417A)
(43)【公開日】2016年5月23日
【審査請求日】2017年4月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000175560
【氏名又は名称】三協立山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090206
【弁理士】
【氏名又は名称】宮田 信道
(74)【代理人】
【識別番号】100168228
【弁理士】
【氏名又は名称】倉谷 達則
(72)【発明者】
【氏名】保坂 純平
(72)【発明者】
【氏名】岩崎 勝也
【審査官】 兼丸 弘道
(56)【参考文献】
【文献】 実開平05−089720(JP,U)
【文献】 特開平06−229084(JP,A)
【文献】 実開平06−020692(JP,U)
【文献】 特開2013−177751(JP,A)
【文献】 実開昭55−107501(JP,U)
【文献】 英国特許出願公告第00554327(GB,A)
【文献】 実開平05−012527(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 6/02
E04B 1/343
E04H 1/12
E04D 13/04−13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
柱と、梁と、梁に吊り下げられる屋根とを備え、柱は、柱本体と、柱カバーとからなり、屋根は、柱側に向けて下向きに傾斜していて、柱側端に横樋を有しており、横樋が柱本体の直前に位置しており、柱本体は、屋根側に縦樋を有し、柱カバーは、上部柱カバーと下部柱カバーからなり、上部柱カバーは、横樋よりも上方の柱本体に取り付けられて排水空間を形成しており、梁の柱本体側端部が排水空間内に位置しており、下部柱カバーは、横樋よりも下方の柱本体に取り付けてあるとともに縦樋を被覆しており、横樋に設けた排水孔が縦樋の直上に位置しており、排水空間は横樋の直上に位置していることを特徴とする組立建物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、柱と屋根を備える組立建物に関する。
【背景技術】
【0002】
カーポートなどに代表される、柱と屋根を備える組立建物においては、従来、非特許文献1に示すように、屋根の端部に横樋を設けてあり、柱に沿って縦樋を設けてあって、横樋と縦樋はドレンエルボを介して接続してあった。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】「エクステリア総合カタログ2013−2014(STX0734A)」、三協立山株式会社、2013年3月、p.801
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような従来の組立建物においては、ドレンエルボにゴミがたまるため、この部分の清掃が必要であった。また、縦樋やドレンエルボが露出する構造であったため、これらが露出しない、より意匠性の好ましい構造のものが求められていた。
【0005】
本発明は、上記事情を鑑みたものであり、排水経路にゴミがたまりにくく、また意匠性が良好な組立建物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、柱と、梁と、梁に吊り下げられる屋根とを備え、柱は、柱本体と、柱カバーとからなり、屋根は、柱側に向けて下向きに傾斜していて、柱側端に横樋を有しており、横樋が柱本体の直前に位置しており、柱本体は、屋根側に縦樋を有し、柱カバーは、上部柱カバーと下部柱カバーからなり、上部柱カバーは、横樋よりも上方の柱本体に取り付けられて排水空間を形成しており、梁の柱本体側端部が排水空間内に位置しており、下部柱カバーは、横樋よりも下方の柱本体に取り付けてあるとともに縦樋を被覆しており、横樋に設けた排水孔が縦樋の直上に位置しており、排水空間は横樋の直上に位置していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、横樋の直下に縦樋が位置しているので、ゴミがたまりにくく、またこれによりドレンエルボが不要である。そして、ドレンエルボがなく、また縦樋が柱カバーに被覆されているので、意匠性が良好である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】屋根の柱側端部分の拡大図である。
図2】野縁部分の拡大図である。
図3】横樋部分の拡大図である。
図4】柱の横断面図(図1のA−A線断面図)である。
図5】梁の縦断面図(図1のB−B線断面図)である。
図6】雨水の流れを示す説明図である。
図7】組立建物の縦断面図(図8のC−C線断面図)である。
図8】組立建物の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。なお、以下において、前側及び後側とは、図8における下側及び上側を示し、左右とは図8における左右を示す。この組立建物は、図7及び図8に示すように、二本の柱1及び梁6と、屋根3を備える。柱1は左右に離隔して立設してあり、各柱1の上端部の前側面から、梁6が前側に向けて延びている。ただし、梁6は、後側(柱1側)に向けて下向きに傾斜している。そして、梁6の下側の前後二箇所に、左右に延びる野縁9を取り付けてあり、野縁9の下側に屋根3を取り付けてある。より詳しくは、野縁9は断面略矩形の形材からなる。そして図2に示すように、梁6の下面に、上側取付具91をボルト止めしてある。上側取付具91は、前後に対向する二枚の垂下片92を有しており、垂下片92で野縁9を挟み込んで、前後からボルト止めして固定してある。さらに、野縁9の下面には、略C字形の取付溝93を形成してあり、この取付溝93に、下側取付具94を係合させて取り付けてある。下側取付具94は、下側に梁6と平行な平板状の取付面95を有しており、取付面95を屋根3の上面に当接させて、ボルト止めして固定してある。なお、屋根3は、前後に延びる中空平板状の屋根部材31を左右に連設して構成したものであり、各屋根部材31に対して下側取付具94を設けてある。このように取り付けることで、屋根3は梁6と平行な向きとなり、すなわち、後側(柱1側)に向けて下向きに傾斜している。
【0010】
そして、図4に示すように、柱1は、柱本体10と、柱カバー2とからなる。柱本体10は、中空形材からなるものであって、前後に長い略楕円形の前側略1/3を切り落とした形状となっており、前側面には後側に向けて開口する断面コ字形の前側溝部11を形成してあり、後側面には後側に向けて開口する断面コ字形の後側溝部12を形成してある。また、左右側面の内周側には、略矩形で中空の突出部13を形成してある。さらに、前側面の左右端には、前側に向けて延び先端が内周側に向けて屈曲する係合部14を形成してある。一方、図5に示すように、梁6は、中空形材からなるものであって、左右側面の内周側には、長手方向(前後方向)に延びる三本のリブ61を形成してある。そして、このように構成した柱本体10と梁6を、コーナー部材7により連結してある。図1及び図6に示すように、コーナー部材7は、一方腕部71と他方腕部72からなる略L字形で、断面略矩形の金具であり、一方腕部71は下側に向けて延び、他方腕部72は前側に向けて延びている。ただし、他方腕部72は後側に向けて下向きに傾斜している。連結に際しては、このコーナー部材7の一方腕部71を柱本体10の上端部に挿入し、他方腕部72を梁6の後端部に挿入する。柱本体10においては、図4に示すように、前側溝部11の底面、後側溝部12の背面(前側面)及び左右の突出部13の内周側面によって、コーナー部材7が前後左右に位置決めされ、前後方向からボルト止めしてある。特に後側のボルトについては、柱本体10の後側溝部12の底面にボルト孔を形成してあって、ボルトの頭部が後側溝部12内に納まっており、後側溝部12をボルトカバー15で覆ってある。図4に示すように、ボルトカバー15は曲面状であって、柱本体10の外周面と連続的な曲面を形成する。また、図5に示すように、梁6においては、上面、下面及び左右のリブ61によって、コーナー部材7が上下左右に位置決めされ、上下方向からボルト止めしてある。なお、柱本体10の上端の前側面には、上向きに開口する切欠部を形成してあり、切欠部にコーナー部材7の他方腕部72が納まることで、柱本体10の前側からコーナー部材7の他方腕部72が突出し、梁6が柱本体10の前側(側方)に位置することになる。そして、梁6は、その後端部(柱1側端部)が柱本体10の前面から離隔するようにして、他方腕部72に固定してある。
【0011】
さらに、図1に示すように、屋根3の後端(柱1側端)には、左右に延びる横樋4を設けてある。横樋4は、図3に示すように、略水平向きの底面部45と、底面部45の後端部から略垂直上向きに延びる壁面部46と、底面部45の前端部に形成した断面略矩形の中空部42を有していて、中空部42の上面に設けたL字形の取付片43を屋根3の下面にネジ止めしてあり、壁面部46の上端と屋根3の上面を前後に延びる連結材44により連結してある。そして、横樋4は、柱本体10の前側面とわずかな隙間を隔てて、柱本体10の直前に位置している。また、柱本体10の前側面の、横樋4の下側部分には、柱カバー2を取り付けてある。図7に示すように、柱カバー2は、横樋4の直下から柱本体10の下部まで延びるものである。そして図4に示すように、柱カバー2は断面略半円弧状であって、両端に略L字形の被係合部21を形成してあり、被係合部21を柱本体10の係合部14に係合させて取り付けるものであって、柱本体10の外周面と連続的な曲面を形成し、柱本体10と柱カバー2とボルトカバー15とで前後対称な略楕円形となる。そして、柱カバー2内(柱本体10と柱カバー2の間)に、上下に延びる縦樋5を内蔵してある。縦樋5は、円管からなり、柱本体10の前側面にネジ止めした取付基部51に、縦樋5の外周に巻き付くバンド部材52を固定することで、柱本体10の前側に固定してある。また、図6に示すように、縦樋5の上端には、筒状の水抜部53を挿入してあり、水抜部53の上端を横樋4の底面部45に固定してある。そして、横樋4の底面部45の水抜部53接続箇所(縦樋5の直上)には排水孔41を開けてあり、横樋4と縦樋5が排水孔41及び水抜部53を介して連通している。このように横樋4及び縦樋5を設けることで、屋根3の上面にたまった雨水は、傾斜に沿って後側(柱1側)へ流れて、横樋4に流入し、排水孔41及び水抜部53を通って縦樋5に流入して排水される。なお、図1に示すように、柱カバー2は横樋4の上側部分にも設けてあり、横樋4が位置する部分だけを切除した構造となっている(横樋4より上側部分の柱カバーを上部柱カバー2aとし、柱カバーの切除した部分を切除部2bとする)。すなわち、横樋4は柱カバーに形成した切除部2bに呑み込まれている。なお、上部柱カバー2aは、横樋4の直上から柱本体10の上端まで延びており、上端の前側面には上向きに開口する切欠部を形成してある。切欠部に梁6が納まることで、上部柱カバー2aの前側から梁6が突出することになり、梁6の後端部(柱1側端部)は上部柱カバー2aにより覆い隠される。
【0012】
このように、横樋4の直下に縦樋5が位置しているので、雨水がスムーズに流れてゴミがたまりにくく、またこれにより、横樋4と縦樋5を接続するドレンエルボが不要である。そして、ドレンエルボがなく、また縦樋5が柱カバー2に被覆されていて外側から見えず、さらに柱本体10と柱カバー2の外周面が連続的な曲面を形成して一体的な形状となるので、意匠性が良好である。
【0013】
また、図1及び図5に示すように、梁6の後端部(柱1側端部)の上面及び側面に、止水部材8を設けてある。止水部材8は、角柱状の樹脂部材からなるものであって、梁6に対して接着して取り付けてあり、梁6の長手方向に直交して、一方の側面の下端から上面を通って他方の側面の下端まで延びている。ただし、上面に取り付ける止水部材8と側面に取り付ける止水部材8は別体である。なお、上記のとおり、梁6の後端部(柱1側端部)は上部柱カバー2aにより覆い隠されており、止水部材8も上部柱カバー2aの内側に納まるので、外側からは見えず、意匠性を損なうことはない。そして、止水部材8は、屋根3の後端(柱1側端)に設けた横樋4の上方に位置している。このように梁6に止水部材8を設けることで、図6に示すように、梁6の上面や側面を伝う雨水は、傾斜に沿って後側(柱1側)へ流れ、止水部材8により塞き止められて下方へ流れ落ちる。そして止水部材8の真下に横樋4が位置しているから、梁6から流れ落ちた雨水は横樋4に流入し、排水孔41及び水抜部53を通って縦樋5に流入して排水される。
【0014】
このように、梁6に止水部材8を設けてあるので、梁6の上面や側面を伝う雨水が止水部材8により塞き止められ、さらに梁6と柱本体10が離隔しているので、雨水は柱本体10よりも前側で流れ落ち、柱本体10の内部には浸入しない。よって、コーナー部材7が濡れて腐食することがない。そして、止水部材8の真下に横樋4が位置しているから、雨水は横樋4及び縦樋5を経由してスムーズに排水される。
【0015】
本発明は、上記の実施形態に限定されない。たとえば、横樋、縦樋や柱カバーの形状及び取付構造は、どのようなものであってもよいし、止水部材の形状及び取付構造も、どのようなものであってもよい。また、梁は、柱本体の側面に当接していてもよい。この場合でも、雨水は止水部材により塞き止められて、柱本体の内部には浸入しない。さらに、柱本体の上端部にコーナー部材を納める切欠部が形成されておらず、梁が柱の上端より高い位置に支持されるものであってもよい。この場合、コーナー部材の角部は別部材により覆われる。また、屋根は屋根部材を左右に連設した構造であるから、連設する数を変更することで、左右長さを自在に変えられる。上記の実施形態のように、屋根の左右幅が短いものは、カーポートなどに用いられ、より屋根の左右幅が長いものは、通路屋根などに用いられる。なお、屋根が左右に長くなった場合には、柱も適宜追加される。
【符号の説明】
【0016】
1 柱
2 柱カバー
3 屋根
4 横樋
5 縦樋
6 梁
7 コーナー部材
8 止水部材
10 柱本体
41 排水孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8