【実施例】
【0154】
特に明記しない場合は、すべての原料は通常の市販業者から購入される。
1H−NMRスペクトルは、CDCl
3溶解化合物の内部標準物質としてTMSを使用して記録された。DMSO−d
6、MeOD及びD
2O溶解化合物については、装置をそれぞれδ2.5、3.3、及び4.82ppmで較正した。化学シフト値は、δ(百万分率)で記載される。
【0155】
LCMS分析には、LCMS/MS API 2000 (Applied Biosystem) 装置が使用された。カラムは以下を含んだ:
カラムW:Zorbax(登録商標)Extend C18 カラム, 4.6 x 50 mm, 5μ
カラムX:Gemini(登録商標)NX C18 カラム, 4.6 x 50 mm, 5μ
カラムY:Xbridge(登録商標)C18 カラム, 4.6 x 50 mm, 5μ
カラムZ:Reprosil(登録商標)カラム, 4.6 x 50 mm, 5μ
【0156】
溶離液(溶媒)は典型的には以下を含んだ(水相として酸性又は塩基性緩衝液):
Aチャネル:(i)0.05%ギ酸水溶液;
(ii)10mM酢酸アンモニウム水溶液;又は
(iii)0.05%TFA水溶液。
Bチャネル:アセトニトリル(有機相)。
【0157】
検出器は、2重波長でUV測定した:220と260nm。
【0158】
LCMS勾配は以下の1つであった:
1.LCMS反応モニタリングと最終化合物の分析法(一般的極性化合物)
勾配条件:5分の運転時間
時間プログラム:P1:10mM酢酸アンモニウム、水/アセトニトリル中
Q1:0.05%TFA、水/アセトニトリル中
R1:0.05%ギ酸、水/アセトニトリル中
勾配は、アセトニトリルが10%〜90%〜10%に変化した。
流速: 1.2mL/分。
【0159】
2.12分の運転時間でのLCMS反応モニタリングと最終化合物の分析法(密接に溶出するする化合物)
勾配条件:12分の運転時間
時間プログラム:P2:10mM酢酸アンモニウム、水/アセトニトリル中
Q2:0.05%TFA、水/アセトニトリル中
R2:0.05%ギ酸、水/アセトニトリル中
勾配は、アセトニトリルが5%〜90%〜5%に変化した。
流速: 1.0mL/分。
【0160】
3.HPLCで方法開発後のLCMS − 勾配条件はHPLCと同じである。
質量スペクトルデータは以下を使用して得られた:
イオン化法: API(大気圧イオン化)源を使用するESI(電子噴霧イオン化)
デクラスタリング電位:化合物のイオン化に応じて10〜70V
質量範囲:100〜800amu
スキャンの種類: Q1
極性: +/−ve
イオン源: ターボ噴霧
イオン噴霧電圧: +モード用の5500、−モード用の−4500
質量源温度:200℃。
【0161】
HPLC分析は、Shimadzu(登録商標)LC-2010、Agilent(登録商標)1200 シリーズ、及び Waters(登録商標)Alliance(登録商標)HT 装置を使用して行われた。カラムは、(i) Zorbax(登録商標)SB C18カラム (50 x 4.6 mm) 1.8μ、(ii) Atlantis(登録商標)dC18カラム (150 x 4.6 mm) 5μ、(iii) Gemini(登録商標)NX C18カラム、(50 x 4.6 mm) 3μ、(iv) XBridge(登録商標)C18カラム (50 x 4.6 mm) 3 μ、(v) XBridge(登録商標)C18カラム (50 x 4.6 mm) 5μ、及び (iv) XTerra(登録商標)C18カラム (250 x 4.6 mm) 5μ、(v) Gemini(登録商標)C18カラム、(50 x 4.6 mm) 5μ、(vi) Zorbax(登録商標)SB-C18 (4.6 x 50 mm) 5μを含んだ。移動相は、以下を含み、移動相勾配は、A90%〜10%〜90%まで変化した。流速は1mL/分であった。
【0162】
A.水中の0.05%TFA、水中の0.05%HCOOH、水中の0.05%酢酸、水中の10mM酢酸アンモニウム(酸性又は塩基性緩衝液);及び
B.アセトニトリル又はメタノール(有機相)。
【0163】
UPLC分析は、Agilent 1100シリーズ及び1200シリーズの装置を使用して行われた。使用したカラムは、周囲温度で動作する (i) Zorbax(登録商標)SB C18 (50 x 4.6 mm, 1.8μ)、及び (ii) Zorbax(登録商標)XDB C18 (50 x 4.6 mm, 1.8μ) である。移動相は以下を含み、移動相勾配は、A.95%〜5%〜95%と変化させた。流速は、0.8〜1ml/分に変化した。
A.水中の0.05%TFA、水中の0.05%HCOOH
B.アセトニトリル。
【0164】
実施例1:一般的手順A − N,N−ジメチル−N−[2−((2,4,6−トリメチルベンゾイル)オキシ)プロピル]シクロヘキサンアミニウムヨージドの調製
【化15】
【0165】
I: 1−(シクロヘキシルアミノ)プロパン−2−オール
エタノール(300ml)中の1−アミノ−2−プロパノール(15g,0.199モル)の溶液に、シクロヘキサノン(31.4mL,0.299モル)を加えた。反応混合物を0〜−10℃で10分間撹拌した。0℃で水素化ホウ素ナトリウム(10.8g,0.285モル)を、室温で15分間撹拌した。得られた反応混合物を水でクエンチし、Celite(登録商標)試薬に通して濾過し、溶媒を蒸発させた。残渣を2N HClに溶解し、酢酸エチルで洗浄した;水層のpHを飽和炭酸水素ナトリウム溶液を用いて8に調整した。化合物を酢酸エチルで抽出した。有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥し、濃縮乾固し、粗物質をカラムクロマトグラフィーにかけて、1−(シクロヘキシルアミノ)プロパン−2−オールを得た。収率:22g(70.1%);
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6) δ 8.25 (bs, 1 H), 5.25 (bs, 1 H), 3.95-3.91 (m, 1 H), 2.89-2.88 (dd, J = 6, 9 Hz, 2 H), 2.71-2.66 (m, 1 H), 2.00-1.99 (m, 2 H), 1.75-1.72 (m, 2 H), 1.60-1.57 (m, 1 H), 1.36-0.93 (m, 8 H).。
【0166】
II: tert−ブチルシクロヘキシル(2−ヒドロキシプロピル)カルバメート(2)
THF(300ml)中の1−(シクロヘキシルアミノ)プロパン−2−オール(15g,95.5ミリモル)の溶液に、0℃でTEA(19.9mL,143.2ミリモル)を加えた。次にBoc無水物(22.8g,104.46ミリモル)を加えた。得られた反応混合物を室温で6時間攪拌した。反応混合物を水でクエンチし、酢酸エチルで希釈し、水及び食塩水で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮乾固した。粗化合物をカラムクロマトグラフィー(10〜15%酢酸エチル/ヘキサン)により精製して、tert−ブチルシクロヘキシル(2−ヒドロキシプロピル)カルバメートを得た。収率:16g(65%);
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ 4.41-4.25 (bs, 1 H), 3.81-3.96 (m, 1 H), 3.71-3.59 (m, 1 H), 3.11-3.34 (m, 1 H), 2.99-3.02 (m, 1 H), 1.79-1.76 (m, 3 H), 1.68-1.64 (m, 1 H), 1.60 (m, 1H), 1.46-1.45 (s, 9 H), 1.37-1.26 (m, 4 H), 1.14-1.12 (d, J = 6 Hz, 3 H), 1.07-1.03 (m, 1H)。
【0167】
III: 1−((tert−ブトキシカルボニル)(シクロヘキシル)アミノ)プロパン−2−イル2,4,6−トリメチルベンゾエート(3)
無水トルエン(10ml)中のtert−ブチルシクロヘキシル(2−ヒドロキシプロピル)カルバメート(1g,3.89ミリモル)の溶液に、2,4,6−トリメチル−ベンゾイルクロリド(0.510mL,4.280ミリモル)を加えた。得られた反応混合物を室温で16時間撹拌した。反応混合物を酢酸エチルで希釈し、水及び食塩水で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮乾固して、1−((tert−ブトキシカルボニル)(シクロヘキシル)アミノ)プロパン−2−イル2,4,6−トリメチルベンゾエートを得た。収率:1g(64.10%);LCMS:m/z=404.4[M+H]、RT=2.76分、(カラム:Y、プログラム:P1)
【0168】
IV: 1−(シクロヘキシル(メチル)アミノ)プロパン−2−イル2,4,6−トリメチルベンゾエート(4)
1−((tert−ブトキシカルボニル)(シクロヘキシル)アミノ)プロパン−2−イル2,4,6−トリメチルベンゾエート(1.0g,2.48ミリモル)を、ジオキサン−塩酸(15mL)に溶解した。反応混合物を室温で2時間撹拌した。溶媒を蒸発させた。粗固体をDCE(10ml)とホルムアルデヒド(0.34mL,3.96ミリモル)に溶解し、及びトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(1.67g,7.92ミリモル)と酢酸(0.5mL)を0℃で加えた。得られた反応混合物を室温で16時間撹拌した。反応混合物をDCMで希釈し、1N NaOH、水及び食塩水で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮乾固した。粗化合物をカラムクロマトグラフィーにより精製して、1−(シクロヘキシル(メチル)アミノ)プロパン−2−イル2,4,6−トリメチルベンゾエートを得た。収率:0.6(76%);
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ 6.82 (s, 2 H), 5.27-5.25 (m, 1 H), 2.64-2.62 (m, 1 H), 2.51-2.46 (m, 1 H), 2.29 (s, 9 H), 2.25 (s, 3 H), 1.75-1.74 (m, 4 H), 1.33-1.31 (d, J = 6 Hz, 3 H), 1.18-1.13 (m, 4 H), 1.09-1.03 (m, 1H); LCMS:m/z=317.8[M+H]、RT=2.98分(カラム:X、プログラム:P1)。
【0169】
V: N,N−ジメチル−N−[2−((2,4,6−トリメチルベンゾイル)オキシ)プロピル]シクロヘキサンアミニウムヨージド
DCE(5mL)中の1−(シクロヘキシル(メチル)アミノ)プロパン−2−イル2,4,6−トリメチルベンゾエート(0.30g,0.946ミリモル)の溶液に、ヨウ化メチル(0.12mL,1.892ミリモル)を加えた。得られた反応混合物を室温で16時間撹拌した。反応混合物をDCMで希釈し、濃縮乾固した。粗生成物をカラムクロマトグラフィーにかけて、N,N−ジメチル−N−[2−((2,4,6−トリメチルベンゾイル)オキシ)プロピル]シクロヘキサンアミニウムヨージドを得た。収率:0.109g(25%)。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ 6.86 (s, 2 H), 5.70-5.67 (m, 1 H), 4.52-4.48 (d, J = 14 Hz, 1 H), 3.83-3.77 (m, 1 H), 3.70-3.64 (m, 1 H), 3.34 (s, 3 H), 3.28 (s, 3 H), 2.29-2.01 (m, 10 H), 2.01-1.98 (m, 1 H), 1.84 (m, 1 H), 1.64-1.62 (d, J = 6 Hz, 4 H), 1.47-1.38 (m, 4 H), 1.13-1.08 (m, 2 H)。LCMS:m/z=332.2[M
+]、RT=3.01分(カラム:Y、プログラム:P1)。HPLC:99.53%(200nm)、RT4.11分(移動相:A:ACN、B:水中の0.05%TFA、カラム:Zorbax(登録商標)SBC18(50*4.6mm)1.8μ。
【0170】
実施例2:一般的手順B − N−[2−((2−イソプロピルベンゾイル)オキシ)プロピル]−N,N−ジメチルシクロヘキサンアミニウムヨージドの調製
【化16】
【0171】
I. 1−(シクロヘキシルアミノ)プロパン−2−オール(1)
エタノール(15mL)中の1−アミノ−2−プロパノール(1.0mL,13.31ミリモル)の撹拌溶液に、0℃でシクロヘキサノン(1.9g,19.9ミリモル)を加えた。反応混合物を0℃で15分間撹拌し、次にNaBH
4(0.725g,19.17ミリモル)を加えた。反応混合物を室温で15分間攪拌し、次に水でクエンチした。反応混合物をCelite(登録商標)パッドを通して濾過し、濾液を濃縮した。残渣をDCMに溶解し、Na
2SO
4で乾燥させ、濾過し、濃縮して、1−(シクロヘキシルアミノ)プロパン−2−オールを得た。収率:2.6g(粗物質)。
1H NMR (DMSO-d
6) δ 4.39-4.36 (m, 1 H), 3.61-3.57 (m, 1 H), 2.47-2.30 (m, 3 H), 1.78-1.75 (m, 2 H), 1.66-1.63 (m, 2 H), 1.55-1.52 (m, 1 H), 1.23-1.12 (m, 3 H), 1.03-0.89 (m, 5 H)。1−(シクロヘキシルアミノ)プロパン−2−オールはまた、実施例1の手順に従って調製することができる。
【0172】
II. 1−(シクロヘキシル(メチル)アミノ)プロパン−2−オール(14)
DCE(30mL)中の1−(シクロヘキシルアミノ)−プロパン−2−オール(粗2.6g)の攪拌溶液に、HCHO(水中35%、2.1mL,24.8ミリモル)、Na(OAc)
3BH(10.5g,49.6ミリモル)及び酢酸(1mL)を、氷冷条件で連続的に加えた。得られた混合物を室温で16時間撹拌した。反応物を酢酸エチルで希釈し、1N NaOHで塩基性化した。有機層を分離し、水及び食塩水で洗浄し、Na
2SO
4で乾燥させ、濾過し、濃縮した。粗物質をシリカゲル(230〜400メッシュ)のクロマトグラフィーにより5%MeOH/DCMで溶出して精製することにより、1−(シクロヘキシル(メチル)アミノ)プロパン−2−オールを得た。収率:1.0g、
1H NMR (DMSO-d
6) δ 4.11 (brs, 1 H), 3.65-3.57 (m, 1 H), 2.35-2.20 (m, 3 H), 2.19 (s, 3 H), 1.72-1.68 (m, 4 H), 1.57-1.54 (m, 1 H), 1.24-1.05 (m, 5 H), 1.01 (d, J = 6 Hz, 3 H)。
【0173】
III. 1−(シクロヘキシル(メチル)アミノ)プロパン−2−イル2−イソプロピルベンゾエート(15)
塩化チオニル(0.8mL,10.52ミリモル)を0℃で2−イソプロピル安息香酸(0.864g,5.26ミリモル)に加え、得られた混合物を3時間還流した。反応混合物を減圧下で濃縮して酸塩化物を得た。無水トルエン(15mL)中の酸塩化物の撹拌溶液に、0℃の無水トルエン(10mL)中の1−(シクロヘキシル(メチル)アミノ)プロパン−2−オール(0.75g,4.38ミリモル)の溶液を添加し、反応混合物を16時間還流した。反応混合物を酢酸エチルで希釈し、有機層を飽和NaHCO
3、水及び食塩水で洗浄し、Na
2SO
4で乾燥させ、濾過し、濃縮した。粗物質をCombiflash(登録商標)クロマトグラフィーにより9〜11%の酢酸エチル/ヘキサンで溶出して、1−(シクロヘキシル(メチル)アミノ)プロパン−2−イル2−イソプロピルベンゾエートを得た。収率:0.88g(63.38%)。
1H NMR (DMSO-d
6) δ 7.56 (d, J = 8 Hz, 1 H), 7.51-7.44 (m, 2 H), 7.26 (t, J = 7 Hz, 1 H), 5.15-5.12 (m, 1 H), 3.61-3.54 (m, 1 H), 2.67-2.59 (m, 1 H), 2.33-2.31 (m, 1 H), 2.23 (s, 3 H), 1.71-1.67 (m, 4 H), 1.57-1.54 (m, 1 H), 1.25 (d, J = 6 Hz, 3 H), 1.21-1.05 (m, 11 H)。LCMS:m/z=318.4[M+H]、RT=2.51分(カラム:Y、プログラム:P1)
【0174】
IV: N−[2−((2−イソプロピルベンゾイル)オキシ)プロピル]−N,N−ジメチルシクロヘキサンアミニウムヨージド
DCE(3mL)中の1−(シクロヘキシル(メチル)アミノ)プロパン−2−イル2−イソプロピルベンゾエート(0.45g,1.41ミリモル)の攪拌溶液に、ヨウ化メチル(0.35mL,5.67ミリモル)を加え、反応混合物を封管中で室温で16時間攪拌した。反応混合物を濃縮し、粗物質をCombiflash(登録商標)クロマトグラフィーにより3〜4% CH
3OH/DCMで溶出して固体を得て、これをメタノール−エーテルから結晶化して、白色のN−[2−((2−イソプロピルベンゾイル)オキシ)プロピル]−N,N−ジメチルシクロヘキサンアミニウムヨージドを得た。収率:0.415g(64%)。
1H NMR (DMSO-d
6) δ 7.71 (d, J = 8 Hz, 1 H), 7.58-7.50 (m, 2 H), 7.31 (t, J = 7 Hz, 1 H), 5.57-5.54 (m, 1 H), 3.93-3.87 (m, 1 H), 3.67-3.57 (m, 2 H), 3.38-3.34 (m, 1 H), 3.05 (s, 3 H), 3.02 (s, 3 H), 2.17-2.08 (m, 2 H), 1.87-1.84 (m, 1 H), 1.75-1.72 (m, 1 H), 1.54-1.42 (m, 3 H), 1.40 (d, J = 6 Hz, 3 H), 1.24-1.19 (m, 7 H), 1.13-0.99 (m, 2 H)。LCMS:m/z=332.0[M+]、RT=3.01分、(カラム:Y、プログラム:P1)。UPLC:98.43%(200nm)、RT=3.60分(移動相A、水中の0.05%TFA、B、アセトニトリル;カラム:Zorbax(登録商標)SB−C18(4.6×50mm)1.8μ)
【0175】
実施例3:一般的手順C − N−[2−(ベンゾイルオキシ)プロピル]−N,N−ジエチルシクロヘキサンアミニウムクロリドの調製
【化17】
【0176】
I. 1−(シクロヘキシル(エチル)アミノ)プロパン−2−イルベンゾエート(17)
DCE(20mL)中の安息香酸2−シクロヘキシルアミノ−1−メチル−エチルエステル(1.0g,3.8ミリモル)の撹拌溶液に、K
2CO
3(2.11g,15.2ミリモル)及びヨウ化エチル(1.8mL,22ミリモル)を連続して添加した。得られた混合物を封管中で50℃で16時間加熱した。ヨウ化エチル(1.8mL)を再度加え、反応混合物をさらに60℃で24時間加熱した。反応混合物を濾過し、5%メタノール−DCMで洗浄した。濾液を濃縮し、粗物質をCombiflash(登録商標)クロマトグラフィーにより6〜7%メタノール/DCMで溶出して、1−(シクロヘキシル(エチル)アミノ)プロパン−2−イルベンゾエートを得た。収率:1.04g(94.70%)。
1H NMR (DMSO-d
6) δ 7.95 (d, J = 7 Hz, 2 H), 7.64 (t, J = 7 Hz, 1 H), 7.52 (t, J = 8 Hz, 2 H), 5.08-5.04 (m, 1 H), 2.68-2.62 (m, 1 H), 2.55-2.40 (m, 4 H), 1.70-1.53 (m, 5 H), 1.26 (d, J = 6 Hz, 3 H), 1.19-1.07 (m, 5 H), 0.93 (t, J = 7 Hz, 3 H)。LCMS:m/z=290.4[M+H]、RT=3.93分、(カラム:Y、プログラム:P1)
【0177】
II. N−[2−(ベンゾイルオキシ)プロピル]−N,N−ジエチルシクロヘキサンアミニウムクロリド
乾燥DCM(20mL)中の1−(シクロヘキシル(エチル)アミノ)プロパン−2−イルベンゾエート(0.427g,1.47ミリモル)の撹拌溶液に、エチルトリフレート(0.25mL,1.92ミリモル)を氷冷条件下で滴下して添加した。得られた混合物を、封管中で室温で16時間攪拌した。反応混合物を濃縮し、粗物質をCombiflash クロマトグラフィーにより3〜4%メタノール/DCMで溶出して、粘性の液体を得た。アンバーライト(登録商標)IRA−400(Cl)の塩化物型樹脂(3.0g)を、メタノール(15mL)中の液体化合物(15)の溶液に添加し、6時間攪拌した。次に溶液を濾過し、濃縮し、凍結乾燥して固体を得た。フッ素NMRスペクトルは不完全な対イオン交換を示したため、固体を再び水中のアンバーライト(登録商標)IRA−400(Cl)の塩化物型樹脂で処理し、濾過した。濾液を濃縮し、粗物質を凍結乾燥して、N−[2−(ベンゾイルオキシ)プロピル]−N,N−ジエチルシクロヘキサンアミニウムクロリドをオフホワイト色の固体として得た。収率:0.05g(9.62%)。
1H NMR (DMSO-d
6) δ 7.98 (d, J = 8 Hz, 2 H), 7.68 (t, J = 7 Hz, 1 H), 7.54 (t, J = 8 Hz, 2 H), 5.52-5.49 (m, 1 H), 3.95-3.89 (m, 1 H), 3.55 (d, J = 15 Hz, 1 H), 3.44-3.35 (m, 5 H), 2.19-2.17 (m, 1 H), 2.09-2.06 (m, 1 H), 1.80-1.78 (m, 2 H), 1.54-1.51 (m, 3 H), 1.36 (d, J = 6 Hz, 3 H), 1.25-1.07 (m, 9 H)。LCMS:m/z=318.0[M
+]、RT=2.88分、(カラム:Y、プログラム:P1)。UPLC:98.70%(200nm)で、RT=3.59分、(移動相A、水中0.05%TFA、B、アセトニトリル;カラム:Zorbax(登録商標)SB−C18(4.6×50mm)1.8μ)
【0178】
実施例4:一般的手順D − N−[2−((4−イソプロピルベンゾイル)オキシ)プロピル]−N,N−ジメチルシクロヘキサンアミニウムヨージドの調製
【化18】
【0179】
I. 1−(シクロヘキシル(メチル)アミノ)プロパン−2−イル4−イソプロピルベンゾエート(18)
DCM(10mL)中の4−イソプロピル−安息香酸(1g,6.09ミリモル)の溶液に、クロロギ酸イソブチル(0.7mL,7.31ミリモル)を−20℃〜−30℃で添加した。反応混合物を、同じ温度で30分攪拌して、混合無水物の溶液を得た。別の丸底フラスコに、1−(シクロヘキシル(メチル)アミノ)プロパン−2−オール(1.04g,6.09ミリモル)をDCM(15mL)に溶解し、TEA(2.1mL,15.24ミリモル)を加えた。この反応混合物に、得られた混合酸無水物溶液を0℃で加えた。得られた反応混合物を同じ温度で45分間撹拌した。反応混合物をDCMで抽出し、水及び食塩水で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮乾固した。粗固体をカラムクロマトグラフィーを用いて精製して、1−(シクロヘキシル(メチル)アミノ)プロパン−2−イル4−イソプロピルベンゾエートを得た。収率:0.6g(32.4%)。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ 7.95-7.93 (d, J = 8 Hz, 2 H), 7.27-7.25 (d, J = 8 Hz, 2 H), 5.20-5.18 (m, 1 H), 2.96-2.92 (m, 1 H), 2.72-2.67 (m, 1 H), 2.53-2.48 (m, 1 H), 2.33-2.28 (m, 4 H), 1.76-1.74 (bs, 4 H), 1.32-1.30 (d, J = 6 Hz, 3 H), 1.25 (bs, 6 H), 1.24-1.18 (m, 5 H)。
【0180】
II. N−[2−((4−イソプロピルベンゾイル)オキシ)プロピル]−N,N−ジメチルシクロヘキサンアミニウムヨージド
DCE(5mL)中の1−(シクロヘキシル(メチル)アミノ)プロパン−2−イル4−イソプロピルベンゾエート(0.5g,1.57ミリモル)の溶液に、ヨウ化メチル(0.2mL,3.15ミリモル)を加えた。得られた反応混合物を室温で16時間攪拌した。溶媒を蒸発させ、粗生成物をカラムクロマトグラフィーにより精製した。単離された生成物を、メタノール/エーテルから再結晶化した。収率:134.9mg(18.65%)。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6) δ 7.94-7.92 (d, J = 8 Hz, 2 H), 7.43-7.41 (d, J = 8 Hz, 2 H), 5.54-5.50 (m, 1 H), 3.95-3.89 (m, 1 H), 3.61-3.58 (d, J = 14 Hz, 1 H), 3.40-3.34 (m, 1 H), 3.03-2.95 (m, 7 H), 2.22-2.20 (d, J = 11 Hz, 1 H), 2.10-2.07 (d, J = 11 Hz, 1 H), 1.86-1.83 (m, 2 H), 1.57-1.43 (m, 3 H), 1.36-1.35 (d, J = 6 Hz, 3 H), 1.16-1.11 (m, 9 H)。LCMS:m/z=331.8[M
+]、RT=3.08分(カラム:Y、プログラム:P1)。UPLC:99.65%(200nm)、室温3.09分(移動相:A.ACN、B.水中の0.05% HCOOH、カラム:Gemini(登録商標)NXC18(50×4.6mm)3μ。
【0181】
実施例5:一般的手順E − (S)−N−[2−((4−(tert−ブチル)ベンゾイル)オキシ)プロピル]−N,N−ジメチルシクロヘキサンアミニウムブロミドの調製
【化19】
【0182】
I. 1−(シクロヘキシル(メチル)アミノ)プロパン−2−イル4−(tert−ブチル)ベンゾエート(19)
無水THF(700ml)中の(S)−1−(シクロヘキシル(メチル)アミノ)プロパン−2−オール(38.0g,222.22ミリモル)の攪拌溶液に、0℃でNaH(油中60%、9.77g,244.22ミリモル)を加え、室温で20分間攪拌した。次に、4−tert−ブチルベンゾイルクロリド(52.1ml、266.67ミリモル)を0℃を添加し、反応混合物を室温で4時間撹拌した。反応混合物を飽和NH
4Cl溶液でクエンチし、酢酸エチルで希釈した。有機層を水及び食塩水で洗浄し、Na
2SO
4で乾燥させ、濾過し、濃縮した。粗物質を中性アルミナ上のクロマトグラフィーにより4〜0%酢酸エチル−ヘキサンで溶出して、粘性の化合物1−(シクロヘキシル(メチル)アミノ)プロパン−2−イル4−(tert−ブチル)ベンゾエートを得た。収率:26.0g(35.7%)。
1H NMR (DMSO-d
6) δ 7.86 (d, J = 8 Hz, 2 H), 7.52 (d, J = 8 Hz, 2 H), 5.12-5.07 (m, 1 H), 2.66-2.61 (m, 1 H), 2.46 (d, J = 5 Hz, 1 H), 2.31-2.28 (m, 1 H), 2.24 (s, 3 H), 1.68-1.65 (m, 4 H), 1.55-1.53 (m, 1 H), 1.29 (s, 9 H), 1.25 (d, J = 6 Hz, 3 H), 1.18-1.02 (m, 5 H); LCMS:m/z=332.2[M+H]、RT=2.85分、(カラム:Y、プログラム:P1)
【0183】
II. (S)−N−[2−((4−(tert−ブチル)ベンゾイル)オキシ)プロピル]−N,N−ジメチルシクロヘキサンアミニウムブロミド
DCE(150ml)中の1−(シクロヘキシル(メチル)アミノ)プロパン−2−イル4−(tert−ブチル)ベンゾエート(22.5g,67.98ミリモル)の攪拌溶液に、臭化メチル(トルエン中25%溶液、103ml、271.90ミリモル)を加え、反応混合物を室温で16時間撹拌した。TLCは、非常に少量の未反応の出発材料を示した。そのため、別の0.5当量の臭化メチルを加え、室温で8時間攪拌した。反応混合物を濃縮し、粗物質を中性アルミナ上のクロマトグラフィーにより2〜8%メタノール−DMCで溶出して、オフホワイトの固体を得た。固体材料をDCM−エーテルから結晶化して、[2−(4−(tert−ブチル−ベンゾイルオキシ)プロピル]−シクロヘキシル−ジメチル−アンモニウムブロミドを得た。収率:15.5g(53.5%)。
1H NMR (DMSO-d
6) δ 7.94 (d, J = 8 Hz, 2 H), 7.57 (d, J = 8 Hz, 2 H), 5.54-5.51 (m, 1 H), 3.93 (dd, J = 15, 9 Hz, 1 H), 3.63 (d, J = 14 Hz, 1 H), 3.42-3.36 (m, 1 H), 3.05 (s, 6 H), 2.23-2.20 (m, 1 H), 2.11-2.08 (m, 1 H), 1.87-1.83 (m, 2 H), 1.57-1.43 (m, 3 H), 1.36 (d, J = 6 Hz, 3 H), 1.30 (s, 9 H), 1.23-1.08 (m, 3 H); LCMS:m/z=346.4[M
+]、RT=3.00分、(カラム:Y、プログラム:P1)。UPLC:99.90%(200nm)、RT=4.04分(移動相A.水中の0.05%TFA、B.アセトニトリル;カラム:Zorbax(登録商標)SB−C18(4.6×50mm)1.8μ)。
【0184】
実施例6〜48の化合物は、上記スキーム及び実施例1〜5に記載された合成方法を用いて調製した。実施例6〜48のそれぞれについて使用した具体的な一般的な手順は、それぞれの質量スペクトル及びクロマトグラフィーデータとともに以下の表に示される。
【0185】
【表3-1】
【表3-2】
【表3-3】
【表3-4】
【表3-5】
【表3-6】
【0186】
実施例49:hTRPV1発現細胞とインビトロアッセイ
hTRPV1を発現する細胞で、熱(47℃)による刺激後に、化合物を用いてナトリウムチャネル応答の抑制を評価するためのインビトロアッセイを開発した。
【0187】
A.hTRPV1を発現する細胞の作成
インビボアッセイでのさらなる評価に進むであろう化合物を選択することを補助する予備スクリーンとして、以下の細胞が開発された。
(i)hTRPV1を細胞に送達するためのプラスミド
細胞株を調製するために、ヒト神経芽腫細胞株IMR322[NCBI dbEST ID:18353]に基づくcDNAライブラリーからPCRにより、以下のプライマーを使用して、hTRPV1をコードする読みとり枠を増幅した:
(a)TRPV1_KpnIF(前進プライマー)[配列番号2]
5’-ATAAAC
GGTACCGCCGCCACCATGAAGAAATGGAGCAGCAC-3’
(b)TRPV1_PmeIR(逆進プライマー)[配列番号3]
5’-ATCG
GTTTAAACTCACTTCTCTCCGGAAGCGGC-3’
前進プライマーは、KpnI部位[GGTACC(上記(a)で下線を引いてある]とコザック配列[GCCGCCACC((a)で2重下線を引いてある]を含む。逆進プライマーは、PmeI部位[GTTTAAAC,(b)で下線を引いてある]を含む。
hTRPV1の読みとり枠(NCBI NM_080706.3に対応する)は、配列番号4である:
【0188】
【表4-1】
【表4-2】
【0189】
ATG:遺伝子の開始コドン(ORFの最初)
TGA:遺伝子の停止コドン(ORFの最後)
GGG→GGA:逆進プライマー中のふらつき(グリシンからグリシン)
ATG→ATC:Genecardで報告された単一ヌクレオチド多型(SNP)、Met−−−>Ile,SNP ID:rs222747。
【0190】
ハイブリッド発現ベクターは、以下のように2つの市販のベクターから作成された。ベクターpTK−Hygro(Clonetech Cat No 631750)をHindIIIとAvalで消化して、TKプロモーター、ヒグロマイシン遺伝子、及びHSV−TKポリAシグナルを含有するヒグロマイシンカセットを放出させた。このヒグロマイシンカセットを、AvrII部位を使用してpcDNA4myc−HisB(Invitrogen Cat No V863-20)にクローン化した。hTRPV1コード配列を、Kpn1(5’)とPmel(3’)部位で、生じたpcDNAHygroベクターに挿入し、こうして、上流でサイトメガロウイルスプロモーターにより、そして下流でウシ成長ホルモンポリアデニル化シグナルによりフランキングされた。組換え発現ベクターDNA(以後DNAと記載)への全ORFの正しい挿入は、配列解析により確認された。完全なプラスミド骨格は、hTRPV1 ORF以外に、pUC開始点(ori)、アンピシリン耐性遺伝子、CMVプロモーター、複クローニング部位(KpnIとPmeI部位を含有する)、大腸菌(E. coli)EM−7プロモーター、及びヒグロマイシン耐性遺伝子を含有する。
【0191】
(ii)hTRPV1を発現する組換えN1E115の開発
以下の材料がこの方法のために使用された:
リポフェクタミン2000(Invitrogen, Cat # 11668-019)、ポリエチレンイミン(Aldrich, Cat # J40872)、ヒグロマイシン−B(Invitrogen, Cat# 10687-010)。Ultra pureキットによりスーパーコイルドDNAが調製され、トランスフェクションは抗生物質不含無血清DMEMで行われた。
【0192】
細胞の継代のために、N1E115細胞[アメリカンタイプカルチャーコレクション、Manassas, Virginia (US), 受け入れ番号 CRL2263]を、175cm
2のフラスコ(Nunc)中で1×DMEM(Sigma)+10%FBS(GIbco)+1%ペニシリン−ストレプトマイシン(Gibco)を含有する増殖培地中で培養した。プレーティングの日に、フラスコからの使用済み培地を吸引し、手のひらでフラスコの側面をたたいてフラスコの底から細胞をはがした。10mLの増殖培地を加えて細胞を懸濁し、懸濁細胞の1mLを、35mLの増殖培地を含む新鮮なT−175フラスコに接種した。
【0193】
トランスフェクション用の細胞プレーティングプロトコールは以下の通りである:2mLの増殖培地中の0.2×10
6細胞を、蓋が層流空気中にある6ウェルプレートの各ウェルに加えた。プレートをCO
2インキュベーター(Thermo)中で37℃、5%CO
2で24時間インキュベートした。
【0194】
リポフェクタミン介在トランスフェクションの日に、DNAとリポフェクタミンを層流フード中で以下のようにして希釈した:4μgのDNAを250μlのDMEMで希釈した。次に10μgのリポフェクタミンを250μlのDMEMで希釈した。溶液を室温(RT)で7分間放置し、次に溶液を混合し、室温でさらに20分間放置した。トランスフェクションミックスが調製されたら、プレーティングした細胞を500μlのDMEMで洗浄した。洗浄後、500μlのリポフェクタミン−DNAミックスをウェルに加えた。対照ウェルには、リポフェクタミン−DMEMを加え、プレートを37℃、5%CO
2で4.5時間インキュベートした。インキュベーション後、トランスフェクトした細胞からの培地を、細胞を乱すことがないように注意深くデカントした。次に細胞を1mLのDMEMで1回洗浄した。洗浄後、増殖培地(DMEM+10%FBS)を細胞に加え、細胞を37℃、5%CO
2で24時間インキュベートした。
【0195】
インキュベーションの24時間後に、トランスフェクトした細胞を、生存能力と接着性について目視判定した。使用済み培地をウェルから取り出し、300μg/mlのヒグロマイシンを含有する1.2mLの新鮮な増殖培地を各ウェルに加えた。ピペットで上下させることにより、細胞をはがした。各ウェルからの細胞を1:4に分割し、新鮮な6ウェルプレートに移した(300μl細胞/ウェル)。トランスフェクトした細胞と対照細胞を毎日観察し、最初は、使用済み培地を1日起きに交換した。第2週の終わりまでに、トランスフェクトした安定なコロニーが現れ、次にこれらは拡張され、カルシウムアッセイとナトリウムアッセイを以下のように行って機能的に試験した。
【0196】
(iii)細胞継代と細胞のクローン単離
細胞を継代するために、上記のように上記の細胞継代プロトコールを行った、限界希釈法によるクローン単離は、以下のように行った。
【0197】
フィーダー細胞の調製:一見健康なN1E115(野生型細胞)を採取した。1×10
6細胞/mLのN1E115細胞を、10μg/L×10
6細胞の濃度のマイトマイシンCで、CO
2インキュベーター中で37℃で20分間処理した。20分後、細胞をDMEMで5〜6回洗浄した。次に細胞を、15mLの増殖培地を含む75cm
2のフラスコに移し、CO
2インキュベーター中で37℃で4時間インキュベートした。インキュベーション後、フィーダー細胞をDMEMで洗浄し、細胞はプレーティングの準備ができた。
【0198】
安定な細胞の調製:hTRPV1−N1E115の一見健康な細胞をペレットにして沈降させ、96ウェルプレートにプレーティングした場合、その分布が0.3細胞/ウェル/100μl培地になるような濃度で増殖培地に再懸濁した。そこに、選択的抗生物質であるヒグロマイシンb(300μg/mL)を加えた。
【0199】
フィーダー細胞を96ウェルプレートに、1000細胞/100μl/ウェルの濃度でプレーティングした。細胞は、端にあるウェルにはプレーティングしなかった。その代わりに、200μlの無菌リン酸緩衝化生理食塩水(PBS)を加えた。フィーダー細胞層に、0.3細胞/ウェル/100μLを含む100μlの安定な細胞懸濁液を加えた。プレートは、CO
2インキュベーター中で10日間動かさないように放置した。10日目から先は、単一のコロニー(単一の細胞から生成されると仮定された)についてすべての細胞プレートを非常に注意深く観察した。各々の及びすべてのウェルを注意深くチェックした。単一のコロニーのみを有するウェルに印をつけた。
【0200】
印をつけたウェルで培地を交換し、使用済み培地を捨て、300μg/mLのヒグロマイシンBを含有する新鮮な増殖培地を加えた。単一のコロニーを有する印をつけたウェルを96ウェルプレートから48ウェルプレートに、そして6ウェルプレートに拡張した。最後に細胞を25cm
2のフラスコに移した(5mLの増殖培地+300μg/mLのヒグロマイシンB)。培養したフラスコから、細胞を計測し、機能的スクリーニングのために、ナトリウム及びカルシウムアッセイプラットフォームにプレーティングした。カルシウムアッセイでカプサイシン誘発カルシウム応答を使用して、hTRPV1の頑強な発現と、膜電位アッセイで頑強なベラトリジン応答により判定される構成性ナトリウムチャネル活性の損失が無いこととを確認するアッセイデータに基づいて、試験のための最後のクローン候補が選択された。
【0201】
(iv)hTRPV1発現製細胞の機能を評価するためのカルシウムアッセイ
カルシウムアッセイのために、細胞を、384透明底ポリ−D−リジン被覆プレート中のウェル当たり50μlのDMEM+10%FBS+300μg/mLヒグロマイシンにつき、5000個をプレーティングし、37℃、5%CO
2で48時間インキュベートした。アッセイの日に、静かに培地を捨て、修飾タイロード(Tyrodes)(登録商標)緩衝液(20μL/ウェル)で洗浄し、次にこれを静かに捨てた。表3を参照。
【0202】
【表5】
【0203】
カルシウム4色素(Molecular Devices)に、プルロニック酸を0.025%(10mLの色素につき250μLの1%ストック)の濃度で加えた。次に、ウェル当たり、修飾タイロード緩衝液[pH調整の前に、プロベニシド(60μLの5N NaOH中42mg)を50mLの修飾タイロード緩衝液に加えた]で調製した20μLのカルシウム4色素(Molecular Devices)を加え、プレートを25℃で30分インキュベートした後、製造業者の説明書に従ってカルシウムアッセイを行うためにカプサイシン添加[カプサイシンストックはDMSO中20mMであり、使用ストックは1mM(緩衝液中)であり、アッセイプレート中の最終濃度は10μMであった]を行った。20μLの2×(20μM)カプサイシンを、FLIPR(登録商標)(Molecular Devices, Inc.)中の細胞に加え、15分間読み値を取った。
【0204】
(v)hTRPV1発現細胞のナトリウムチャネル機能を評価するための膜電位アッセイ
384透明底ポリ−D−リジン被覆プレート中のウェル当たり50μl[DMEM+10%FBS+300μg/mL H\ヒグロマイシン]につき、細胞5000個をプレーティングし、37℃、5%CO
2で48時間インキュベートした。アッセイの日に、静かに培地を捨て、ウェル当たり30μLの色素[FMPブルー色素をアッセイ緩衝液で調製した]を加え、室温で20分間、色素ローディングを進行させた。製造業者の説明書に従ってFLIPR(登録商標)装置のための、「アゴニスト」薬剤添加プレートを調製した。このプレートは、ベラチジン(Sigma-Aldrich, Cat No V5754)とアネモニア・スルカータ(Anemonia sulcata)からのトキシン-II(ATX-II, Sigma-Aldrich Cat No T3268)を含有した。FLIPR装置を使用して10μLの組合せ溶液を細胞プレートに分注した時、100μMと3μMの最終アッセイ濃度が達成できるように、薬剤添加プレート中のベラトリジンとATX−IIの濃度は、それぞれ400μMと12μMであった。蛍光シグナルの読みの開始と一致するように、そしてそのような読みが10分間の継続中規則的な間隔で取れるように、アゴニスト添加をFLIPR(登録商標)でプログラムした。
【0205】
B.hTRPV1を発現する細胞で熱(47℃)による刺激後に、化合物によるナトリウムチャネル応答の抑制を評価するために開発されたインビトロアッセイ
175mLのフラスコ(Nunc)中で増殖培地[1×DMEM(Sigma)+10%FBS(Gibco)+1%ペニシリン−ストレプトマイシン(Gibco)+300μg/mLヒグロマイシンB(Invitrogen、選択マーカーとして)を含有する]中で培養することにより、hTRPV1−N1E115を継代した。細胞を1:10に分割した。フラスコからの使用済み培地を吸引し、手のひらでフラスコの側面をたたいて、フラスコの底から細胞をはがした。増殖培地(10mL)を加えて細胞を懸濁し、増殖培地(35mL)を含む新鮮なT−175フラスコに懸濁細胞(1mL)を接種した。アッセイ用の細胞のプレーティングのために、50μLの増殖培地中の5000細胞を、蓋(Greiner-bio one)が層流空気中にある384ウェルの透明底の無菌ポリ−D−リジン被覆プレートの各ウェルに加えた。プレートをCO
2インキュベーター(Thermo)中で37℃、5%CO
2でインキュベートした。48時間後、アッセイの日に、細胞接種プレートを顕微鏡で観察して、アッセイの前に単層の健康、付着、及びコンフルエンスをチェックした。
【0206】
細胞接種プレートからの使用済み培地を静かにデカントし、プレートの各ウェルにFLIPR(登録商標)膜電位色素−ブルー(Molecular Devices Inc., USから、「FLIPR膜電位アッセイキットブルー」として入手可能)を加えた。製造業者の説明書に従って、アッセイ緩衝液で色素を調製した。色素を加えたプレートを、プレートインキュベーター(Thermo)中で室温(25℃)で30分間インキュベートした。アッセイ緩衝液は、以下の表4に従って調製された。pHはKOH(Sigma)で7.4に調整し、容量をミリQ(登録商標)水(Millipore)で500mLにした。特に明記しない場合は、すべての希釈はアッセイ緩衝液で行った。
【0207】
【表6】
【0208】
化合物をアッセイ緩衝液で希釈し、384ウェルのポリプロピレン丸底ウェルプレート(Costar)に加えて、化合物添加のソースプレートとした。インキュベーション期間が終了後、色素充填プレートと化合物ソースプレートを、384FLIPR(登録商標)チップボックス(Molecular Devices, Inc.)を有するFLIPR
Tetra(Molecular Devices, Inc.)内に挿入した。化合物は、FLIPR
Tetra(1回目の添加)システムにより色素充填プレートに加えられた。化合物の添加後、プレートは直ちに47℃のプレートインキュベーター(Thermo)に移され、10分間インキュベートされてhTRPV1が活性化された。次に、直ちにプレートを25℃のプレートインキュベーター(Thermo)に移し、30分間インキュベートされた。活性化されなかった細胞接種プレートを25℃のプレートインキュベーター(Thermo)に移し、30分間インキュベートされた。2回目の添加の前に、ベラトリジン(Sigma)及びATX−IIを含有するアゴニストプレートが上記したように調製された。アゴニスト添加はFLIPR(登録商標)ソフトウェアを使用して行われ、全部で12分間の時間中、定期的な間隔で取られる蛍光読みに一致するように、タイミングが合わせられた。
【0209】
参照化合物であるQX−314は、hTRPV1−N1E115、FLIPR(登録商標)アッセイで733mMの47℃のIC
50値を有した。IC
50≦100μMは、QX−314より10倍活性が高いことを示す。
【0210】
C.hNav1.5−HEK293細胞で化合物によるナトリウムチャネル応答の抑制の程度を評価するための方法
主要な心臓ナトリウムチャネルアイソフォームを遮断する試験化合物の傾向を評価するために、以下のアッセイを使用した。Nav1.5ナトリウムチャンネルは、例えばQX−314のような4級ナトリウムチャネル遮断薬に対して透過性であることが知られており、従って、このアッセイは、化学的TRPV1アゴニストの非存在下で行われた。
【0211】
75mLの細胞結合フラスコ(Corning)中で、hNav1.5−HEK−293細胞(CreaCell、フランス、ヒトNav1.5ナトリウムチャンネルを発現するヒト胚腎臓細胞株)を、増殖培地(1×DMEM(Gibco社)+10%FBS(PAA Gold)+2%グルタミン100mM(Gibco)+1%ペニシリン10,000U/ml、ストレプトマイシン10,000μg/mL(Invitrogen)+1.2mg/mLのゲネチシン(登録商標)G418(Invitrogen)を含有する)で培養した。以下の工程は、記載されたとおりに正確に行われた。使用済み培地を捨て、細胞をPBS−1Xで1回洗浄した。Accutase(登録商標)(1〜2mL;PAA)溶液を加えた。プレートを37℃の加温インキュベーターに3〜5分間入れた。細胞が剥がれたらすぐ、37℃の完全培地(9mL)を加えた。細胞懸濁液を無菌ピペットに引き入れ、細胞を穏やかにホモジナイズして細胞凝集物を解離させた。細胞をトリパンブルーで血球計数器を用いて計数し、次に400gで5分間遠心分離した。細胞を、T75フラスコ(最終容量:15mL)に2,105細胞/mLで接種して、増幅又は維持することができる。50μLの増殖培地中の8000細胞を、蓋が層流空気中にある384ウェルの透明底の無菌ポリ−D−リジン被覆プレートの各ウェルに加えた。プレートをCO
2インキュベーター(Thermo)中で37℃、5%CO
2でインキュベートした。
【0212】
アッセイの日に、以下の表5中の成分と量を使用して調製されたアッセイ緩衝液で細胞を洗浄した。pHはKOHで7.4に調整し、容量をミリQ(登録商標)水で500mLにした。
【0213】
【表7】
【0214】
アッセイ緩衝液を細胞に加え、室温(25℃)で10分間インキュベートした。化合物をアッセイ緩衝液で希釈した。化合物を加え、室温(25℃)で10分間インキュベートした。レッドFMP色素(MDC)を細胞に加え、プレートを室温(25℃)で30分間インキュベートした。ベラトリジンストック(20mM;Sigma)をDMSOで調製した;アッセイ緩衝液中のベラトリジン(最終濃度30μM)を、FLIPR中の細胞接種プレートの各ウェルに加え、10分間読んだ。以下の表は、hTRPV1を発現する細胞の熱刺激の存在又は非存在に応答する、試験化合物のナトリウムチャネル活性を例示するデータを提供する。化合物を25℃と47℃と、2つの試験濃度とで、示差的活性について試験した。いくつかの化合物は、47℃アッセイでIC
50について評価され、例は以下の表6に示される。
【0215】
【表8-1】
【表8-2】
【0216】
同様に、以下の表7は、25℃で最小の抑制とともに、47℃で応答の顕著な抑制を示した試験化合物のナトリウムチャネル活性を例示するデータを提供する。これらの化合物は、Nav1.5を発現する細胞の心臓ナトリウムチャネルを遮断する能力について評価された。いくつかのそのような化合物のデータは
図1に示され、NaV1.5を遮断するのに必要なこれらの化合物の濃度は、TRPV1−N1E115細胞株のナトリウムチャネル応答を遮断するのに必要な濃度より高いことが証明される。
【0217】
【表9】
【0218】
実施例50:機械的侵害受容のインビボアッセイ
このアッセイは、化合物が、単独で又はリドカインと組合せて坐骨神経の近傍に直接注射された時の、鎮痛の経時変化を追跡するために実施された。
【0219】
雄のスプラーグドーレイ(Sprague-Dawley)(SD)ラットは、180〜220グラム体重の範囲であった。動物を、検査技師や実験環境に3日間馴化させた。1日目に、すべての動物は実験室(30〜45分)に対して3回の馴化を行われ、タオル(動物あたり1分)に包まれた。2日目に同じ馴化スケジュールが、セッション3のピンチャータッチ(力のない適用)とともに行われた。3日目に、2日目と同様の馴化スケジュールが行われ、最初のベースラインが記録された。4日目に、薬剤/試験化合物の注射の前に、第2のベースラインが記録された。第2のベースラインは、治療効果の評価のために考慮された。
【0220】
実験日の午前中にすべての動物について、同側(右後肢)足の足引っ込め/発声力閾値(PWF)を記録した。最後の指骨の基部(第5と第4中足骨の中間)にピンチャーを適用し、カットオフを500グラムとした。測定側が足の背部に向き、平坦な側が足底面に向くような形で、ピンチャーの鉗子アームを維持した。ピンチャーのアームによる力の負荷は、ゆっくりと着実に上昇するように行った。練習により、加力速度が約6〜7秒でカットオフ値(500g)に到達するように最適化された。
【0221】
注射のために、ラットをイソフルラン(Baxter Pharma, USから入手した)で短時間麻酔し、手足を広げて腹臥位で維持した。大転子と坐骨結節を触診で見つけ、この2つの間に仮想線を引き、この線の上で、大転子の後端への距離の約3分の1で点を推定した。注射針を背外側方向から45°の角度で進め針先端を坐骨に触れさせて、それぞれの試験化合物/ビヒクル溶液(約100μl又は200μl、別々の実験)を注入した。ツベルクリン注射器に接続された27ゲージの針を、注射のために使用した。注入量を穏やかに押し込んだ。注射後、動物を回収チャンバー内に保持し、麻酔から完全に回復した後にのみ動物をケージに戻した。動物が非常に短い時間のみ麻酔をかけたままになるように、穏やかな麻酔が施されるように注意した。
【0222】
試験化合物は、通常の生理食塩水ビヒクル(0.9%塩化ナトリウム)で必要な濃度(0〜15%)で調製して溶液製剤を得た。次に、リドカインHCl粉末(Sigma, USA)を同じ溶液に溶解して、試験化合物とリドカインとの組合せ溶液製剤を得た。溶液の目視検査により判定して、必要な場合は、超音波処理を行って粒子サイズを小さくした。最終製剤は、投与前に、シリンジトップフィルター(0.22μm)を用いて濾過滅菌をした。
【0223】
4日目に、化合物/ビヒクルの注射後、注射の0.5時間と2時間後にPWLの二つの読み値を取り、応答がカットオフのままであったか又は感度上昇の兆候を示したかどうかにより、1時間又は2時間の間隔で読み値を取った。グラム−力応答が投薬前のベースラインから有意に異ならないレベルに低下するまで、記録は継続した。その他の場合は、記録は14時間まで継続し、次に、5日目に注射後24時間に次の読み出しを行った。有意な抗侵害受容効果が24時間後に依然として観察された時は、記録をさらに4日目まで続けた。
【0224】
GraphPad(登録商標)プリズム5統計ソフトウェアを、解析に使用した。カラム解析中に、各群について一元配置分散分析(ANOVA)を行い、次にベースライン値と異なる時点での読み値との差の有意性をチェックするためにダネット検定を行った。
【0225】
A. 化合物とQX−314との比較
上記で得られた要約とアッセイを使用して、以下の表8の製剤を調製し試験した。これらのアッセイの結果は
図1と2に示され、以下の表に要約される。具体的には、
図1と2は、足引っ込め/発声力(g)対時間(時間)のプロットである。
【0226】
【表10】
【0227】
これらのデータは、実施例1、2、5、6、及び12の化合物が、少なくとも7時間麻酔作用を与え、これがQX−314より大きいことを示す。実施例6の化合物が、リドカインの非存在下で有意な持続の麻酔作用を与えたことは、注目される。
【0228】
C. 注射容量と濃度の影響
注射液は、上記に従って調製し、(i)0.5%の実施例6の化合物と2%のリドカインとを含む溶液100μlと、(ii)0.5%の実施例6の化合物と2%のリドカインとを含む溶液200μlを含んだ。これらの注射液を上記したように投与し、こうして、100μl対200μl容量の製剤の影響の解析を可能にした。
【0229】
これらのアッセイの結果は、
図1と2に示される。具体的には、
図1と2は、足引っ込め/発声力(g)対時間(時間)のプロットである。0.5%の試験化合物量では、深い麻酔(すなわち、500gの作用力)の全体的持続は、麻酔の全体期間と同様に、200μlの注射容量と比較して100μlではより短かった(ベースライン応答からの統計的有意性が得られる最後の時点により決定される)。
【0230】
実施例52:局所麻酔活性
試験溶液のアリコート(0.25mL)を、意識あるウサギ(両方の性、2〜4kg)の結膜嚢に適用し、目蓋を約20秒間閉じて維持した。試験溶液の塗布前及びその後5分毎に、角膜反射がチェックされる。角膜反射を試験するために、柄のある弾性剛毛で角膜を6回タッチする。麻酔の持続時間は、剛毛による6回のタッチのいずれも感じない時点から、6回のタッチの3つに動物が反応する時点までの期間として計算される。局所麻酔効果の可逆性を検証するために、動物が少なくとも15分間毛のすべての6回のタッチに反応するまで、試験が続行される。
実施例53:皮膚麻酔活性
各実施例の約18〜24時間前に、オスのモルモットの背中の皮膚の毛を剃り、市販の毛リムーバーで脱毛する。経皮適用後の各薬剤の麻酔作用は、Aberg (Acta Pharmacol Toxicol, 273-286) に記載されたように「ピンプリック」法を用いて決定される。処理前及び処理後の種々の間隔で、皮膚の領域が、10gの所定の最大負荷時で尖った金属の「痛覚計」を用いて、6回の標準化された皮膚プロービングに応答した皮膚収縮の有無について試験される。皮膚の収縮応答を生成しないプロービングの平均数を「麻酔薬スコア」とする。
【0231】
このシステムで6回の刺激に対して6回の応答は「麻酔薬活性無し」を表し、6回の刺激に対して応答が無いことは「最大麻酔活性」を表す。皮膚麻酔作用についての実験では、皮膚1インチ平方の単一領域が、各動物の背中の真ん中に印をつけられる。この領域は、1インチ平方の16層の厚さのガーゼパッドでカバーされ、その上に試験物質の10%水溶液0.45mLをDMSOとともにのせられる。ガーゼパッドを5インチ平方のサランラップ(登録商標)シートで覆い、これはテープで周囲の皮膚に貼り付けられる。次に動物の胴周りに弾性の包帯を巻いて、領域全体を覆う。所定の処置期間後カバーを除去し、上記したように麻酔の存在について皮膚を評価した。皮膚麻酔活性の開始時間及び持続時間を測定するために、10分間隔で皮膚麻酔試験が実施される;参照化合物とビヒクルが比較される。
【0232】
実施例54:C. 局所的(浸潤)麻酔活性
各実験前の約18〜24時間、雄のモルモットの背中の皮膚を、実施例53に従って準備する。皮内注射後の各薬剤の麻酔作用は、実施例53に記載の方法と同様の「ピンプリック(pin-prick)」法を用いて測定される。処理前及び処理後の種々の間隔で、皮膚の領域が、20gの所定の最大負荷で尖った金属の「痛覚計」を用いて、6回の標準化された皮膚プロービングに応答した皮膚収縮の有無について試験される。皮膚の収縮応答を生成しないプロービングの平均数が、「麻酔薬スコア」として指定される。このシステムで6回の刺激に対して6回の応答は「麻酔薬活性無し」を表し、6回の刺激に対して応答が無いことは、「最大麻酔活性」を表す。薬剤の皮内注射を用いた実験において、モルモットの背中はマーキングペンを使用して4つのセクションに分割され、4つの分割された領域のそれぞれに1回、生理食塩水中の試験化合物、ビヒクル(生理食塩水)、及び少なくとも1つの参照化合物の0.25%、0.5%、及び1.0%溶液の0.1mLの注射が行われる。
【0233】
実施例55:マウスにおける急性静脈内毒性
試験施設での少なくとも10日間と実験室での少なくとも1時間の安定化期間の後、NMRI系統ののマウス(雄)(体重20〜22g)が使用される。試験前16時間は、すべての動物に水以外の食物は与えられない。薬剤投与の2時間後からは、動物は食物に自由にアクセスでき、これは、ほぼ午前9.00頃である。すべての動物は、投与後7日間、毎日観察される。
【0234】
実施例56:膀胱排尿筋に対する化合物の作用についてのインビトロアッセイ
この試験は、孤立した排尿筋の収縮応答に対する本明細書に記載の試験化合物の作用を評価する(Iravani & Zar, British Journal of Pharmacology 1994, 113: 95-102)。
膀胱平滑筋片は、雌モルモットから得られる(Dunkin-Hartley系統、体重300〜350g)。膀胱片を調製し、クレブス−ヘンゼライト溶液(95%O2/5%CO
2のガスを供給して37℃、pH7.4で維持される)を含有する5mlの臓器浴中で張力変換器に接続される。片は、1.0gの静止張力で少なくとも60分間平衡化され、その間組織は15分毎に洗浄される。次に、各片は、生存率を確認するために80mM KClに暴露される。30分の期間の平衡化とウォッシュアウト期間後、排尿筋片は電界刺激(EFSパラメータ:800mA、周波数15Hz、パルス持続時間0.1ms、2分毎に4秒のパルス列)に供される。
【0235】
約20〜25分(安定化)後、(i)約0.001〜約0.108%の本明細書に記載の化合物と約0.00025〜約0.03325%のリドカイン(実験1)、又は(ii)約0.00003〜約0.10843%の本明細書に記載の化合物と約0.0001〜約0.01333%のリドカイン(実験2)を臓器浴に加えることにより、累積濃度応答曲線(CRC)が構築される、CRCの最後に、1μMのテトロドトキシン(TTX)を加えて、収縮の神経原性起源を確認する。結果は、基礎EFS誘導性収縮からの%変動として表現されるであろう。
リドカインと本明細書に記載の化合物の両方とも、EFS誘導性排尿筋収縮の濃度依存的抑制を生じることが予想される。また、リドカインと試験化合物の組み合わせに排尿筋組織を暴露することは、濃度−抑制関係を引き起こしことが予測され、これは、2つの薬剤が付加的に作用して収縮応答を抑制することを示唆する。
【0236】
実施例57:EFS誘導性膀胱収縮の持続的抑制
この例は、EFS誘導性膀胱収縮の抑制における本明細書に記載の化合物の持続性を示すために実施された。
EFS処理した膀胱平滑筋片が、実施例58の第1段落に記載のように調製される。約20〜25分(安定化)後、リドカインの単一濃度(0.01又は0.003%)、本明細書に記載の化合物(0.01%又は0.0004%)又は溶媒が添加される。最大作用(約15分)を得た後、すべての調製物は4回洗浄される。次にEFS誘導性収縮が、120分間記録される。回復期間中のEFS誘導性収縮の大きさは、基礎EFS誘導性収縮(処理前)の%として表される。分析は、休薬期間の終了後5分、15分、30分、60分、及び120分に行われる。
データは、試験化合物が膀胱排尿筋に作用して収縮を抑制し、この作用は逆転するのに時間がかかるであろうことを示唆すると予測される。
【0237】
実施例58:膀胱機能のインビボアッセイ
この試験は、意識のあるラットにおいて膀胱機能の様々な面について本明細書に記載の化合物の作用を評価する。
ラットは、ドームを通って膀胱内に配置された留置ポリエチレンカテーテルを用いて準備され、肩甲骨のレベルで体外に出る。膀胱内圧力は、溶液及び薬物の注入を可能にするT−コネクタを介して、市販の歪みゲージにカテーテルを接続することによって追跡される。膀胱内圧記録は、カテーテル移植後48時間以内に開始されるであろう。動物は、連続的に2mL/時の速度でカテーテルを介して、試験化合物有り又は無しで生理食塩水を投与される。尿を採取し、力変換器を用いて計量し、膀胱内圧を連続的に追跡して、排尿振幅、排尿頻度、排尿量及び膀胱容量を評価する。生理食塩水灌流物に試験化合物を補充して、上記の膀胱機能パラメータのそれぞれに対する作用を測定する。
【0238】
本明細書に記載の試験化合物溶液の注入は、投与後の膀胱容量の増大及び排尿量の減少を生じることが予想される。試験化合物と2%リドカインの組合せ溶液の注入は、排尿の抑制及び膀胱内圧の対応する上昇をもたらすことが予想される。最終的に、リドカイン単独と比較して、試験化合物が、排尿頻度に対してより長い作用持続時間を有することが予測される。
【0239】
要約すると、本明細書に記載の化合物は、膀胱機能を変化させであろうことと、過活動膀胱及び/又は間質性膀胱炎(膀胱痛症候群)、過敏性腸症候群、又は化学感受性に、直接的又は間接的につながる疾患又は病状を患う患者に対して、治療的利益を有するであろうことが、予測される。
【0240】
本明細書及び優先出願(すなわち、2011年10月24日に出願された米国仮特許出願第61/550,489号、及び2012年8月15日に出願された第61/683,519号)に引用された全ての刊行物は、参照することにより本明細書に組み込まれる。本発明は特定の態様に関して説明されたが、本発明の精神から逸脱することなく修飾がなされ得ることが理解されるであろう。そのような修飾は、添付の特許請求の範囲に含まれることが意図される。