特許第6495655号(P6495655)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6495655
(24)【登録日】2019年3月15日
(45)【発行日】2019年4月3日
(54)【発明の名称】美容方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/85 20060101AFI20190325BHJP
   A61K 8/73 20060101ALI20190325BHJP
   A61K 8/02 20060101ALI20190325BHJP
   A61Q 1/10 20060101ALI20190325BHJP
   A61Q 17/04 20060101ALI20190325BHJP
【FI】
   A61K8/85
   A61K8/73
   A61K8/02
   A61Q1/10
   A61Q17/04
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-540911(P2014-540911)
(86)(22)【出願日】2013年10月11日
(86)【国際出願番号】JP2013077802
(87)【国際公開番号】WO2014058060
(87)【国際公開日】20140417
【審査請求日】2016年9月20日
(31)【優先権主張番号】特願2012-227076(P2012-227076)
(32)【優先日】2012年10月12日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001959
【氏名又は名称】株式会社 資生堂
(74)【代理人】
【識別番号】100092901
【弁理士】
【氏名又は名称】岩橋 祐司
(72)【発明者】
【氏名】木村 朋子
(72)【発明者】
【氏名】菅野 直美
(72)【発明者】
【氏名】八巻 悟史
【審査官】 松本 直子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−187926(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/129707(WO,A1)
【文献】 国際公開第2009/041121(WO,A1)
【文献】 特開2013−071906(JP,A)
【文献】 特開2013−184970(JP,A)
【文献】 特開2013−001661(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/173198(WO,A1)
【文献】 国際公開第2013/153678(WO,A1)
【文献】 特許第4810129(JP,B2)
【文献】 特開昭51−55783(JP,A)
【文献】 Wound Repair and Regeneration,2012年 6月19日,Vol.20, No.4,p.573-579
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00− 8/99
A61Q 1/00− 90/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
皮膚に非水乳化日焼け止めを塗布するステップの後に、薄膜の基材膜面を非水乳化日焼け止めが塗布された皮膚に貼付するステップを有し、その後、貼付した薄膜の支持体を除去するステップと、を有する美容方法であって、
薄膜が、ポリ乳酸膜に、ヒアルロン酸又はその誘導体が担持されている基材膜と支持体からなり、
基材膜の膜厚が10〜500nmであることを特徴とする美容方法。
【請求項2】
皮膚に非水乳化日焼け止めを塗布するステップの後に、薄膜の支持体を除去するステップを有し、その後、非水乳化日焼け止めが塗布された皮膚に基材膜を貼付するステップと、を有する美容方法であって、
薄膜が、ポリ乳酸膜に、ヒアルロン酸又はその誘導体が担持されている基材膜と支持体からなり、
基材膜の膜厚が10〜500nmであることを特徴とする美容方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の美容方法において、支持体が水溶性高分子膜または布であることを特徴とする美容方法。
【請求項4】
皮膚に非水乳化日焼け止めを塗布した後、薄膜の支持体を除去した基材膜を貼付するメーキャップ方法であって、
薄膜が、ポリ乳酸膜に、ヒアルロン酸又はその誘導体が担持されている基材膜と支持体からなり、
基材膜の膜厚が10〜500nmであることを特徴とするメーキャップ方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
本出願は、2012年10月12日付け出願の日本国特許出願2012−227076号の優先権を主張しており、ここに折り込まれるものである。
【技術分野】
【0002】
本発明は美容方法に関し、特に二次付着レス効果に優れる美容方法に関する。
【背景技術】
【0003】
ファンデーション、頬紅、アイシャドウ、口紅等のメーキャップ化粧料には、顔料等の色材が多量に配合されている。このようなメーキャップ化粧料が衣服等に付着しない、いわゆる二次付着レス効果を実現するために、特許文献1記載のシリコーン化多糖化合物等の皮膜剤を配合することが知られている。しかし、擦るといった刺激に対しての二次付着レス効果の実現は難しかった。
【0004】
一方、紫外線は、皮膚にあらゆる悪影響を及ぼす。このため、皮膚を保護するために、さまざまな紫外線吸収剤が開発され、皮膚外用剤に配合して用いられてきた。しかし、さらなる紫外線吸収効果の向上が求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−29910号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は前記従来技術に鑑み行われたものであり、その解決すべき課題は、二次付着レス効果に優れる美容方法を提供することにある。また、非水乳化日焼け止め等のサンケア化粧料を用いた場合には、紫外線吸収効果に優れる美容方法を提供することもできる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らが前述の課題を解決すべく鋭意研究を行った結果、皮膚に非水乳化日焼け止めを塗布するステップの後に、薄膜の基材膜面を非水乳化日焼け止めが塗布された皮膚に貼付するステップを有し、その後、貼付した薄膜の支持体を除去するステップと、を有する美容方法であって、薄膜が、基材膜と支持体からなり、基材膜の膜厚が10〜500nmであることにより、二次付着レス効果に優れる美容方法を得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明にかかる美容方法は、皮膚に非水乳化日焼け止めを塗布するステップの後に、薄膜の基材膜面を非水乳化日焼け止めが塗布された皮膚に貼付するステップを有し、その後、貼付した薄膜の支持体を除去するステップと、を有する美容方法であって、
薄膜が、基材膜と支持体からなり、
基材膜の膜厚が10〜500nmであることを特徴とする。
また、本発明にかかる美容方法は、皮膚に非水乳化日焼け止めを塗布するステップの後に、薄膜の支持体を除去するステップを有し、その後、非水乳化日焼け止めが塗布された皮膚に基材膜を貼付するステップと、を有する美容方法であって、
薄膜が、ポリ乳酸膜に、ヒアルロン酸又はその誘導体が担持されている基材膜と支持体からなり、
基材膜の膜厚が10〜500nmであることを特徴とする。
【0008】
前記美容方法において、支持体が水溶性高分子膜または布であることが好適である。
【0009】
本発明にかかるメーキャップ方法は、皮膚に非水乳化日焼け止めを塗布した後、薄膜の支持体を除去した基材膜を貼付するメーキャップ方法であって、
薄膜が、ポリ乳酸膜に、ヒアルロン酸又はその誘導体が担持されている基材膜と支持体からなり、
基材膜の膜厚が10〜500nmであることを特徴とする。
本発明にかかる美容用キットは、基材膜と支持体からなり、基材膜の膜厚が10〜500nmである薄膜と、非水乳化日焼け止めと、からなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、二次付着レス効果に優れる美容方法を提供することができる。また、非水乳化日焼け止め等のサンケア化粧料を用いた場合には、紫外線吸収効果に優れる美容方法を提供することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の美容方法で用いられる薄膜を示す図である。
図2】本発明の美容方法の説明図である。
図3】本発明の美容方法の説明図である。
図4】(A−1)は、皮膚上にメーキャップ化粧料(参考例1)を塗布した写真である。(A−2)は、(A−1)の化粧料塗布部分を指で3回擦った写真である。(B−1)は、皮膚上にメーキャップ化粧料(参考例1)を塗布した後、基材膜を貼付した写真である。(B−2)は、(B−1)の化粧料塗布部分を指で3回擦った写真である。
図5】(A)は、高分子乳化日焼け止め(参考例2)を塗布した試料およびその上に基材膜を貼付した試料のスペクトルである。(B)は、油中水型日焼け止め(参考例3)を塗布した試料およびその上に基材膜を貼付した試料のスペクトルである。(C)は、非水乳化日焼け止め(参考例4)を塗布した試料およびその上に基材膜を貼付した試料のスペクトルである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
はじめに、本発明の美容方法で用いられる薄膜について説明する。
本発明で用いられる薄膜を図1に示す。
薄膜10は、膜厚が10〜500nmの基材膜12と支持体14からなる。
【0013】
基材膜は、厚さ10〜500nmであることが必要である。また、基材膜の厚さは50〜350nmが好ましく、100〜250nmが特に好ましい。
基材膜の厚さが厚すぎると、貼り付けする部分に違和感が生じたり、凹凸補正効果に劣る傾向がある。
基材膜の厚さが薄すぎると、操作性に劣る傾向がある。
【0014】
基材膜の材料は、特に限定されないが、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリカプロラクトン、これらの共重合体、アクリルウレタン共重合体から選ばれる1種または2種以上の材料が好ましい。
【0015】
基材膜の作製方法は、本発明の厚さに作製できるものであれば特に限定されないが、スピンコーティング法、(マイクロ)グラビア法、あるいはスプレーコーティング法により作製することが好ましい。特にスピンコーティング法の場合は、スピンコーターは任意のものを用いることができるが、回転数2000〜5000rpmで作製することが好ましい。
【0016】
また、基材膜にヒアルロン酸またはその誘導体を担持させることが好ましい。本発明において、担持させる場合には、担持層(ヒアルロン酸またはその誘導体)を含めて基材膜としている。
担持層(ヒアルロン酸またはその誘導体)の厚さは特に限定されないが、均一な製品を製造するために、50〜400nmが好ましい。
ヒアルロン酸またはその誘導体としては、ヒアルロン酸ナトリウム、アセチル化ヒアルロン酸等が挙げられる。
【0017】
ヒアルロン酸またはその誘導体を担持させる方法は、任意の方法で行うことができる。例えば、基材膜をスピンコーティング法、(マイクロ)グラビア法、あるいはスプレーコーティング法等により作製後、ヒアルロン酸またはその誘導体含有溶液を滴下・乾燥させる方法や、ヒアルロン酸またはその誘導体を基材膜材料に分散させた分散液を得た後、スピンコーティング法、(マイクロ)グラビア法、あるいはスプレーコーティング法等に用いられる基板上に該分散液を滴下する方法等が挙げられる。
【0018】
支持体としては、水溶性高分子膜または布を用いることが好ましい。基材膜のみでは、薄すぎて作製後の剥離等が難しく、取り扱い性も悪いが、支持体を積層することで、取り扱い性に優れた薄膜を実現できる。
支持体の厚さは特に限定されないが、1〜500μmが好ましい。
【0019】
水溶性高分子膜としては、特に限定されないが、ポリビニルアルコールまたはその誘導体、ポリエーテルまたはその誘導体、ポリサッカライド類、高分子電解質あるいはその塩、ヒアルロン酸またはその誘導体から選ばれる1種または2種以上を含むことが好ましい。
なお、取り扱いを容易にするために、ヒアルロン酸ナトリウム等を担持させる場合、支持体として水溶性高分子膜に加えてPET(ポリエチレンテレフタレート)樹脂膜を用いてもよい。
【0020】
布としては、特に限定されないが、メッシュまたは不織布が好ましい。
メッシュとは、網目状の樹脂シートであり、素材としてはPET樹脂、ポリエステル樹脂、ナイロンなどが挙げられ、剥離性の点でPET樹脂が好ましく用いられるが、いずれも良好に用いることができる。
また、不織布としては、ナイロン、セルロース、ポリエステル繊維などが挙げられる。
なお、本発明においては、基材膜が皮膚上に均一に貼付されている状態に導くための支持体の種類や使用方法の例を挙げているが、均一に皮膚上に貼付されるものであれば、本願の効果を奏することができる。
【0021】
本発明の美容方法は、優れた二次付着レス効果および化粧もちの向上を実現するために実施されるものである。
【0022】
本発明の美容方法は、皮膚に化粧料を塗布するステップ(図2(A))と、薄膜の支持体を除去するステップ(図2(B))と、該皮膚に基材膜を貼付するステップ(図2(C))と、を有する。
【0023】
まず、図2(A)に示されるように、皮膚に化粧料20を塗布することが必要である。
化粧料としては、特に限定されず、スキンケア化粧料、メーキャップ化粧料、サンケア化粧料等が挙げられる。これらのうち、サンケア化粧料が好ましい。
【0024】
サンケア化粧料は、皮膚を紫外線から守るために用いられる化粧料であって、一般に紫外線吸収剤が高配合されている。本発明において、サンケア化粧料とは、必ずしもボディ用ではなく、顔用の化粧料も含まれる。サンケア化粧料としては、日焼け止め、日中用美容液、日中用乳液などを含むが、BBクリームも含まれる。
なお、BBクリームはBlemish Balm creamの略で、日焼け止め機能の他、化粧下地、ファンデーション、コンシーラ等のメーキャップ化粧料の機能および美容液の機能も有する多機能化粧料であるため、サンケア化粧料とメーキャップ化粧料の両方に分類されることがある。
【0025】
本発明において、化粧料20として、非水乳化日焼け止めを用いることが特に好ましい。非水乳化日焼け止めを用いることで、本発明の美容方法による紫外線吸収効果の向上を特に実感することができる。
【0026】
メーキャップ化粧料としては、ファンデーション、頬紅、アイシャドウ、化粧下地、口紅、BBクリーム等が挙げられる。
【0027】
スキンケア化粧料としては、化粧水、乳液、美容液、クリーム等が挙げられる。スキンケア化粧料を用いた場合には、有効成分の優れた経皮吸収効果を実現することができる。このため、スキンケア化粧料を用いる場合、保湿剤、美白剤、血行促進剤、植物抽出物等の有効成分を配合することが好ましい。
【0028】
次に、図2(B)に示されるように、薄膜の支持体14を除去し、基材膜12を得ることが必要である。
支持体として水溶性高分子膜を用いる場合、水溶性高分子膜は、例えば水に浸漬させることで容易に除去することができる。
支持体として布を用いる場合、水や化粧水等を皮膚に塗布し、薄膜の基材膜側を皮膚に貼付することで、基材膜を肌に貼付し、支持体のみを剥離することができる。
【0029】
そして、図2(C)に示されるように、皮膚に基材膜を貼付することが必要である。
ヒアルロン酸またはその誘導体を基材膜に担持させている場合、ヒアルロン酸またはその誘導体担持側を皮膚に貼付することが好ましい。
【0030】
本発明の美容方法において、薄膜の支持体を除去するステップと、該皮膚に基材膜を貼付するステップは、順番が逆でも構わない。
すなわち、本発明にかかる美容方法は、皮膚に化粧料を塗布するステップ(図3(A))と、薄膜の基材膜面を皮膚に貼付するステップ(図3(B))と、貼付した薄膜の支持体を除去するステップ(図3(C))と、を有する。
これらのステップは、上記の実施形態と同様に行うことができる。
【0031】
図3(B)に示されるステップでは、化粧料で適度に濡れた皮膚に薄膜を貼付する。支持体として布を用いる場合、このような濡れた皮膚に容易に薄膜を貼付することができる。このため、本実施形態において、支持体が布であることが好ましい。
【0032】
本発明の美容方法で貼り付けされた基材膜は、使用後に、水やその他の洗浄料(例えばメイク落とし、洗顔料等)により、はがすことができる。
このように、単なる水であっても、濡らすことで、基材膜を除去することができる。しかし、本発明の基材膜は、通常の発汗のみではがれることはない。
【実施例】
【0033】
はじめに、本発明の美容方法に用いられる薄膜の作製方法を示す。
【0034】
・薄膜作製方法
全ての操作は、クリーンルーム(クラス10,000)内にスピンコーター(Opticoat MS-A 150、MIKASA社製)を設置して行った。
シリコン基板(KST World社製)を4cm×4cmに切り取り、SPM(H2SO4/H2O 2.3:1(v/v) )に120℃にて10分間浸漬した後、イオン交換水(抵抗率 18MΩcm)にて洗浄した。この基板をスピンコーターに設置して、ポリL乳酸(以下、PLA)ジクロロメタン溶液(Mw:100,000、ポリサイエンス社製、20mg/mL)を500μL滴下して、スピンコート(4000rpm、20秒) を行い、ポリL乳酸膜を得た。得られたポリL乳酸膜の厚さを原子間力顕微鏡(キーエンス社製)で測定したところ、120nmであった。
次に、ヒアルロン酸ナトリウム(バイオヒアロ12(株式会社資生堂製))を70%エタノール水溶液にて10mg/mLに調製しておき、これをポリL乳酸膜上に約1.5mL滴下して乾燥(80℃、30分)させ、イオン交換水にて基板表面を洗浄(室温、1分)、窒素ガスにて表面を乾燥させ、基材膜(ポリL乳酸膜にヒアルロン酸ナトリウムを担持した膜;厚さ130nm)を得た。
さらに、基材膜の表面にポリビニルアルコール水溶液(以下PVA、Mw:22,000、関東化学社製、100mg/mL)を0.5mL滴下して乾燥させて水溶性高分子膜(PVAフィルム)を基材膜上に形成させた(80℃、30分)。シリコン基板から基材膜を水溶性高分子膜ごと剥がし、薄膜を得た。
なお、以下に示す効果は、薄膜を水に浸漬して水溶性高分子膜を溶解して得られた基材膜を、ヒアルロン酸ナトリウムを担持させた側を皮膚に貼付することにより評価された。
【0035】
まず、本発明者らは、メーキャップ化粧料を塗布した皮膚に、上記作製方法で得られた薄膜の基材膜を貼付した皮膚について検討を行った。
下記方法によりメーキャップをした皮膚(A(コントロール)およびB)を撮影した写真を、それぞれ図4(A−1)、(B−1)に示す。該皮膚を指で3回ずつ、同じ力で擦った場合のアイシャドウの取れを撮影した写真を、それぞれ図4(A−2)、(B−2)に示す。
【0036】
・皮膚A(コントロール)
何も塗布していない皮膚に、下記参考例1のアイシャドウをアイシャドウチップで塗布した。
・皮膚B
何も塗布していない皮膚に、下記参考例1のアイシャドウをアイシャドウチップで塗布した。そして、該皮膚に少し水をつけて、基材膜を貼付し、基材膜が乾燥するまで1分間放置した。
【0037】
参考例1 アイシャドウ
タルク 45 質量%
マイカ 15
セリサイト 5
顔料 15
パール顔料 10
流動パラフィン 6
ジメチルポリシロキサン 2
酸化防止剤 2
防腐剤 適量
【0038】
図4より、メーキャップ化粧料を塗布後に基材膜を貼付することにより、メーキャップ化粧料が落ちにくく、化粧もちが上がると共に、二次付着レス効果に優れることがわかった。
【0039】
本発明者らは、上記作製方法で薄膜を作製し、サンケア化粧料と併用した場合の基材膜の紫外線吸収効果を検討した。
すなわち、PMMA板に下記参考例2〜4の各サンケア化粧料を塗布した試料の、紫外線領域の吸収率を測定した。その後、各試料に基材膜を貼付し、同じ部位の紫外線領域の吸収率を測定した。なお、測定は、U-3500自記分光光度計(日立社製)を用いて、25℃で行った。
参考例2〜4の各試料の結果を、それぞれ図5(A)〜(C)に示す。
【0040】
参考例2:高分子乳化日焼け止め
オクチルメトキシシンナメート 8 質量%
4−t−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン 2
(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10−30))クロスポリマー
適量
カルボキシビニルポリマー 適量
グリセリン 5
ジプロピレングリコール 7
2−エチルヘキサン酸セチル 10
苛性カリ 適量
イオン交換水 残量
【0041】
参考例3:油中水型日焼け止め
オクチルメトキシシンナメート 8 質量%
4−t−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン 2
PEG−9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン 1
メチルシロキサン網状重合体 3
架橋型シリコーン・網状型シリコーンブロック共重合体 3
ジメチルポリシロキサン 5
イソドデカン 12
デカメチルシクロペンタシロキサン 18
トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル 10
ポリブチレングリコール 1
エデト酸三ナトリウム 適量
塩化ナトリウム 適量
エタノール 5
グリセリン 5
イオン交換水 残量
【0042】
参考例4:非水乳化日焼け止め
オクチルメトキシシンナメート 8 質量%
4−t−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン 2
ポリオキシエチレン(20)ポリオキシプロピレン(8)セチルエーテル

グリセリン 5
ジプロピレングリコール 7
2−エチルヘキサン酸セチル 10
カルボキシビニルポリマー 適量
苛性カリ 適量
ヘキサメタリン酸ナトリウム 適量
イオン交換水 残量
【0043】
図5の結果から、基材膜を各化粧料に貼付した場合の紫外線吸収率は、コントロール(化粧料のみ)に対して、84%(参考例2)、105%(参考例3)、130%(参考例4)であった。
したがって、高分子乳化日焼け止め以外のサンケア化粧料を塗布した部位に基材膜を貼付することで、紫外線吸収効果を高めることができることがわかった。
特に、非水乳化日焼け止めを塗布した部位に基材膜を貼付することで、非常に優れた紫外線吸収効果を実現できることがわかった。
【0044】
次に、本発明者らは、厚さ330nm(ポリL乳酸膜250nm+アセチル化ヒアルロン酸80nm)の基材膜を含む薄膜を(マイクロ)グラビア法で作製した。支持体としては、布(PETメッシュ)を用いた。
これらの薄膜も、支持体が水溶性高分子膜のものと同様、優れた二次付着レス効果およびサンケア化粧料を用いた場合の紫外線吸収効果を実現できた。
【0045】
また、本発明者らは(マイクロ)グラビア法により、上記以外の厚さ(300nm(ポリL乳酸膜200nm+アセチル化ヒアルロン酸100nm)および400nm(ポリL乳酸膜200nm+アセチル化ヒアルロン酸200nm))の基材膜を含む薄膜(支持体:PETメッシュ、ナイロンメッシュ、不織布)を作製した。
これらの基材膜を皮膚に貼付したところ、いずれも二次付着レス効果およびサンケア化粧料を用いた場合の紫外線吸収効果に優れていた。
【符号の説明】
【0046】
10 薄膜
12 基材膜
14 支持体
16 角層
18 表皮
20 化粧料
図1
図2
図3
図4
図5