特許第6495766号(P6495766)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6495766
(24)【登録日】2019年3月15日
(45)【発行日】2019年4月3日
(54)【発明の名称】スライドレール
(51)【国際特許分類】
   F16C 29/04 20060101AFI20190325BHJP
【FI】
   F16C29/04
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-132662(P2015-132662)
(22)【出願日】2015年7月1日
(65)【公開番号】特開2017-15180(P2017-15180A)
(43)【公開日】2017年1月19日
【審査請求日】2018年4月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】390002255
【氏名又は名称】日本アキュライド株式会社
(72)【発明者】
【氏名】岡崎 正彦
【審査官】 藤村 聖子
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭60−015632(JP,A)
【文献】 実開昭59−172824(JP,U)
【文献】 特開平08−114221(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16C 29/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つのアウターメンバーと、摺動方向の両端部に設けられた左右のベルトガイド部材を介して摺動方向に渡ってエンドレスバンドがとりつけられたボールリテーナと、ボールリテーナを介してアウターメンバーに摺動自在に設けられたインナーメンバーよりなり、エンドレスバンドのインナーメンバー側の一部とインナーメンバーの所定箇所が連結され、エンドレスバンドのアウターメンバー側の一部とアウターメンバーの所定箇所が連結されたスライドレールにおいて、インナーメンバーに第1嵌合係止孔を設け、エンドレスバンドに第1位置決め部材を取り付け、第1位置決め部材を保持した状態で第1嵌合部材を、第1嵌合係止孔に嵌合係止する一方、アウターメンバーに第2嵌合係止孔を設け、エンドレスバンドに第2位置決め部材を取り付け、第2位置決め部材を保持した状態で第2嵌合部材を、第2嵌合係止孔に嵌合係止することを特徴とするスライドレール。
【請求項2】
少なくとも一つのアウターメンバーと、摺動方向の両端部に設けられた左右のベルトガイド部材を介して摺動方向に渡ってエンドレスバンドがとりつけられたボールリテーナと、ボールリテーナを介してアウターメンバーに摺動自在に設けられたインナーメンバーよりなり、エンドレスバンドのインナーメンバー側の一部とインナーメンバーの所定箇所が連結され、エンドレスバンドのアウターメンバー側の一部とアウターメンバーの所定箇所が連結されたスライドレールにおいて、左右のベルトガイド部材は、合成樹脂材より構成され、ボールリテーナの摺動方向の両端部と連結される連結部と、エンドレスバンドをガイドする案内部と、連結部と案内部間に一体に連設された弾性付与部より構成されている事を特徴とするスライドレール。
【請求項3】
少なくとも一つのアウターメンバーと、摺動方向の両端部に設けられた左右のベルトガイド部材を介して摺動方向に渡ってエンドレスバンドがとりつけられたボールリテーナと、ボールリテーナを介してアウターメンバーに摺動自在に設けられたインナーメンバーよりなり、エンドレスバンドのインナーメンバー側の一部とインナーメンバーの所定箇所が連結され、エンドレスバンドのアウターメンバー側の一部とアウターメンバーの所定箇所が連結されたスライドレールにおいて、インナーメンバーに第1嵌合係止孔を設け、エンドレスバンドに第1位置決め部材を取り付け、第1位置決め部材を保持した状態で第1嵌合部材を、第1嵌合係止孔に嵌合係止する一方、アウターメンバーに第2嵌合係止孔を設け、エンドレスバンドに第2位置決め部材を取り付け、第2位置決め部材を保持した状態で第2嵌合部材を、第2嵌合係止孔に嵌合係止し、左右のベルトガイド部材は、合成樹脂材より構成され、ボールリテーナの摺動方向の両端部と連結される連結部と、エンドレスバンドをガイドする案内部と、連結部と案内部間に一体に連設された弾性付与部より構成されている事を特徴とするスライドレール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アウターメンバーに対しインナーメンバーが何度も摺動を繰り返したときに、ボールリテーナが正規の摺動位置から位置ずれを起こすのを防止した、特に複写機の画像走査のため原稿台を移動させるスライドレールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の上記スライドレールは、少なくとも断面略C字形のアウターメンバーと、該アウターメンバーと摺動自在とした断面略C字形のインナーメンバーと、上記両メンバーの屈折縁間で、ボールを回転自在に保持するボールリテーナからなるスライドレールにおいて、上記ボールリテーナに前後方向に渡ってエンドレスバンドがとりつけられ、該エンドレスバンドの内面がボールリテーナの基板の摺動方向端部に回転自在に取り付けられた回転ローラの外面に密着し、インナーメンバーとアウターメンバーに形成された係止孔に取り付けられる係合雌型と、係合雌型に取り付けられる係合雄型よりなる係合部材をもって、エンドレスバンドの一部がインナーメンバー、アウターメンバーと連結されているものである。(特許文献1参照)
【0003】
すなわち、上記スライドレールは、回転ローラ、係合雌型、係合雄型等、エンドレスバンドを配設するための部品点数が多くなり、高価なものとなっていた。
特に回転ローラはコストアップにつながる一番の要因でもあった。したがって、回転ローラにかわって、合成樹脂製のベルトガイドをボールリテーナの摺動方向の両端部に取り付けるのが一般的になっている。
一方、上記スライドレールは次のようにして組み立てられる。
まず、エンドレスバンドが装着されたボールリテーナの端部がアウターメンバーのストッパーに当接した状態を維持し、インナーメンバーをボールとスリップさせながら、ボールリテーナの所定位置までボールとスリップさせながら移動させる。次に、インナーメンバーの係止孔よりエンドレスバンドの一部を円弧状に上方に突出せしめて接着材を塗布した係合雌型をエンドレスバンドの下側で係止孔に固着する。
次に、エンドレスバンドを係合雌型の挿通路に位置せしめ、さらに接着剤を塗布した係合雄型を係合雌型の係合凹孔内に、エンドレスバンドと共に嵌合し、固着する。さらに、アウターメンバーの係止孔に上記作業と同様の作業にてエンドレスバンドの一部をアウターメンバーと連結する。
【0004】
このため、インナーメンバーをボールとスリップさせながら、ボールリテーナの所定位置まで移動させる作業(ベルトを両メンバーに固定する前に、アウターメンバー、インナーメンバー、ボールリテーナの位置を正しく配置する作業)、小さな係合雌型、係合雄型に接着剤を塗布する作業、さらに、小さな係合雌型に係合雄型を接着材が塗布された状態で、両メンバーあるいは互いに係合させる作業等、組立て作業が煩雑で、非常に作業効率が悪かった。
又、スライドレールに配設されたエンドレスバンドの長さは、湿度、温度によって変化するので、エンドレスバンドが長くなったとき、張設状態が緩み、ボールリテーナとインナーメンバー間にスリップ現象が発生したり、エンドレスバンドが縮んだ時、張設状態が緊張し、インナーメンバーの動きが重くなることがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実公平3−12972号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記問題に鑑み、部品点数を削減し、組立ての作業効率を向上させて、コストダウンを実現し、環境の変化にスライド性能が左右されない、スライドレールを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決する為、本発明が第1の手段として構成したところは、少なくとも一つのアウターメンバーと、摺動方向の両端部に設けられた左右のベルトガイド部材を介して摺動方向に渡ってエンドレスバンドがとりつけられたボールリテーナと、ボールリテーナを介してアウターメンバーに摺動自在に設けられたインナーメンバーよりなり、エンドレスバンドのインナーメンバー側の一部とインナーメンバーの所定箇所が連結され、エンドレスバンドのアウターメンバー側の一部とアウターメンバーの所定箇所が連結されたスライドレールにおいて、インナーメンバーに第1嵌合係止孔を設け、エンドレスバンドに第1位置決め部材を取り付け、第1位置決め部材を保持した状態で第1嵌合部材を、第1嵌合係止孔に嵌合係止する一方、アウターメンバーに第2嵌合係止孔を設け、エンドレスバンドに第2位置決め部材を取り付け、第2位置決め部材を保持した状態で第2嵌合部材を、第2嵌合係止孔に嵌合係止したものである。
【0008】
上記課題を解決する為、本発明が第2の手段として構成したところは、少なくとも一つのアウターメンバーと、摺動方向の両端部に設けられた左右のベルトガイド部材を介して摺動方向に渡ってエンドレスバンドがとりつけられたボールリテーナと、ボールリテーナを介してアウターメンバーに摺動自在に設けられたインナーメンバーよりなり、エンドレスバンドのインナーメンバー側の一部とインナーメンバーの所定箇所が連結され、エンドレスバンドのアウターメンバー側の一部とアウターメンバーの所定箇所が連結されたスライドレールにおいて、左右のベルトガイド部材は、合成樹脂材より構成され、ボールリテーナの摺動方向の両端部と連結される連結部と、エンドレスバンドをガイドする案内部と、連結部と案内部間に一体に連設された弾性付与部より構成されているものである。
【0009】
上記課題を解決する為、本発明が第3の手段として構成したところは、少なくとも一つのアウターメンバーと、摺動方向の両端部に設けられた左右のベルトガイド部材を介して摺動方向に渡ってエンドレスバンドがとりつけられたボールリテーナと、ボールリテーナを介してアウターメンバーに摺動自在に設けられたインナーメンバーよりなり、エンドレスバンドのインナーメンバー側の一部とインナーメンバーの所定箇所が連結され、エンドレスバンドのアウターメンバー側の一部とアウターメンバーの所定箇所が連結されたスライドレールにおいて、インナーメンバーに第1嵌合係止孔を設け、エンドレスバンドに第1位置決め部材を取り付け、第1位置決め部材を保持した状態で第1嵌合部材を、第1嵌合係止孔に嵌合係止する一方、アウターメンバーに第2嵌合係止孔を設け、エンドレスバンドに第2位置決め部材を取り付け、第2位置決め部材を保持した状態で第2嵌合部材を、第2嵌合係止孔に嵌合係止し、左右のベルトガイド部材は、合成樹脂材より構成され、ボールリテーナの摺動方向の両端部と連結される連結部と、エンドレスバンドをガイドする案内部と、連結部と案内部間に一体に連設された弾性付与部より構成されているものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の第1の手段として構成したところによると、エンドレスバンドの第1、第2位置決め部材を保持する第1、第2嵌合部材より構成しているので、部材点数が少なく安価に製作できるだけでなく、エンドレスバンドに対する第1、第2位置決め部材の取り付け位置と、第1、第2嵌合係止孔の位置を予め設定して加工しておけば、いずれか一方の位置決め部材と、それに対応する嵌合部材をいずれか一方のメンバーに嵌合すれだけで、自然(自動的)にアウターメンバー、ボールリテーナ、インナーメンバーの正規位置が決定されるので、作業効率が非常に良い。
【0011】
本発明の第2の手段として構成したところによると、左右のベルトガイド部材を合成樹脂材で形成し、連結部と案内部間に一体に弾性付与部を構成しているので、環境の変化(湿度、温度の変化)による、エンドレスバンドの伸び縮みに対応して、弾性付与部が弾性変形し、エンドレスバンドを常に安定した張設状態とするので、インナーメンバーの摺動性能に影響を与えることがない。
【0012】
本発明の第3の手段として構成したところによると、第1の手段として構成したところ、第2の手段として構成したところの効果を合わせ持つ。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の斜視図である。
図2】本発明の要部分解斜視図である。
図3】第1嵌合部材の表面側斜視図である。
図4】第1嵌合部材の裏面側斜視図である。
図5】ベルトガイド部材の斜視図である。
図6】第1、第2嵌合部材が重なった位置での要部断面図である。
図7図6のA−A線断面図である。
図8】ベルトガイド部材が位置する箇所の要部断面図である。
図9】第1位置決め部材を第1嵌合部材に保持する作業を示す説明図である。
図10】(イ)エンドレスバンドの通常長さに対応するベルトガイドの位置を示す説明図である。 (ロ)エンドレスバンドの収縮状態に対応するベルトガイドの位置を示す説明図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
少なくとも一つのアウターメンバーと、摺動方向の両端部に設けられた左右のベルトガイド部材を介して摺動方向に渡ってエンドレスバンドがとりつけられたボールリテーナと、ボールリテーナを介してアウターメンバーに摺動自在に設けられたインナーメンバーよりなり、エンドレスバンドのインナーメンバー側の一部とインナーメンバーの所定箇所が連結され、エンドレスバンドのアウターメンバー側の一部とアウターメンバーの所定箇所が連結されたスライドレールにおいて、インナーメンバーに第1嵌合係止孔を設け、エンドレスバンドに第1位置決め部材を取り付け、第1位置決め部材を保持した状態で第1嵌合部材を、第1嵌合係止孔に嵌合係止する一方、アウターメンバーに第2嵌合係止孔を設け、エンドレスバンドに第2位置決め部材を取り付け、第2位置決め部材を保持した状態で第2嵌合部材を、第2嵌合係止孔に嵌合係止し、第1、第2嵌合係止孔は対向した同形で、第1、第2嵌合部材は兼用可能で、左右のベルトガイド部材は、対向した同形に合成樹脂材より構成され、ボールリテーナの摺動方向の両端部と連結される連結部と、エンドレスバンドをガイドする案内部と、連結部と案内部間に一体に連設された弾性付与部より構成されているものである。
【実施例】
【0015】
以下、本発明の実施例を添付図面に基づいて説明する。
図1図2図6において、符号1はアウターメンバーを示し、符号2はインナーメンバーを示し、符号3はボールリテーナを示し、符号4はエンドレスバンドを示し、符号5、5は第1、第2嵌合部材を示している。
【0016】
アウターメンバー1は、帯状金属板からなる基板11と、該基板11の短手側両端部を内向き円弧状に湾曲して形成された内面長手方向にボール摺動溝12、12を有する屈折縁13、13より断面略上向きC字形に形成されている。そして、基板11の前後端部に、基板11の一部を内方に折り曲げた、インナーメンバー2のストッパー14、14が設けられている。
又、基板11の摺動方向中央部には、第2嵌合部材5を介してエンドレスバンド4の一部が連結される第2嵌合係止孔7が形成されている。
【0017】
第2嵌合係止孔7(図6図7参照)は、摺動方向で対向し、短手方向中央部に第2バンド突出孔71を有し、互いに対抗して内側方向に上向きに突出する第2載置部72・・・と、摺動方向に対向する第2載置部72・・・間に位置し、第2嵌合係止孔7が形成された基板21の前後端面が兼用する第2前後係止部73、73を有している。
【0018】
インナーメンバー2は、アウターメンバー1の3分の1程度の長さで、アウターメンバー1に挿入可能な大きさの帯状金属板よりなる基板21と、基板21の短手側の両端部を外向き円弧状に湾曲して形成された、外面長手方向にボール摺動溝22、22を有する屈折縁23、23より、断面下向きC字形に形成されている。
そして、基板21の摺動方向両端部に、連結用ボルト、211、211を設け、基板21の摺動方向中央部には、第1嵌合部材5を介してエンドレスバンド4の一部が保持される第1嵌合係止孔8が形成されている。
【0019】
第1嵌合係止孔8(図9参照)は、前記第2嵌合係止孔7に対向した同形に形成されている。すなわち、摺動方向で対向し、短手方向中央部に第1バンド突出孔81を有し、互いに対抗して内側方向に下向きに突出する第1載置部82・・・と、摺動方向に対向する第1載置部82・・・間に位置し、第1嵌合係止孔8が形成された基板21の前後端面が兼用する第1前後係止部83、83を有している。
【0020】
第1嵌合係止孔8、第2嵌合係止孔7に嵌合する第1、第2嵌合部材5、5は、第1嵌合係止孔8、第2嵌合係止孔7に対応して嵌合方向が対向しているが、同形に形成されているので、第1嵌合係止孔8に嵌合する第1嵌合部材5についてのみ説明する。
第一嵌合部材5(図3図4参照)は、前記第1嵌合係止孔8の第1載置部82・・に載置される左右前後載置用突部51・・・が、上端の摺動方向両端部に外方に突出して形成された前後壁52、52と、前後壁52、52の下端部で、摺動方向の端部間を連結し、エンドレスバンド4が上面に接触するバンド下面左右支持部53、53と、エンドレスバンド4の所定位置に取り付けられた第1位置決め部材80を保持する保持孔54と、前後壁52、52の外面所定位置で前後方向に突出し摺動方向に渡って形成された、前記第1前後係止部83、83の下面に係止する係止突条55、55より、合成樹脂材にて一体に成形されて構成されている。
【0021】
ボールリテーナ3は、帯状金属板にて、上記アウターメンバー1、インナーメンバー2間に挿入可能な大きさで、かつ、アウターメンバー1の半分程度の長さとし、基板31と、屈折縁32、32よりなり、屈折縁32、32の長手方向数箇所にそれぞれ複数個のボール30・・・が回転自在に保持され、基板31の摺動方向の両端部には着脱自在に、摺動方向に対向する左右のベルトガイド部材6、6が取り付けられている。
【0022】
左右のベルトガイド部材6、6は同形部材を摺動方向で対向させて配置されているだけであるから左側のベルトガイド部材6についてのみ説明する。
ベルトガイド部材6(図5参照)は、ボールリテーナ3の基板31の前端部に形成されたガイド部材取付用切り欠き部34に嵌入する前後嵌入溝61、61が前後端面の摺動方向に形成された連結部62と、連結部62の所定寸法前方に位置し、ガイド部材取付用切り欠き部34に嵌入する左側前後嵌入溝63、63が前後端面の摺動方向に形成された前後ガイド壁64、64と、前後ガイド壁64、64の右側端部に連設され、エンドレスバンド4が折り返される折り返し支持壁65より平面視略コ字形に形成された案内部67と、連結部62と案内部67間に連設され、平面視略U字形をなし、摺動方向で拡縮する弾性変形可能な弾性付与部66が合成樹脂材より一体に成形された構成されている。
【0023】
エンドレスバンド4はボールリテーナ3の摺動側端部に設けられた左右のベルトガイド部材6、6の折り返し支持壁65、65の外面に密着し、前後幅が前後ガイド壁64、64間の寸法にほぼ一致し、摺動方向に架け渡され、インナーメンバー2側とアウターメンバー1側の所定位置に第1位置決め部材80、第2位置決め部材70が設けられている。
第1位置決め部材80と、第2位置決め部材70は同形に形成されているので、第1位置決め部材80についてのみ説明する。
第1位置決め部材80は、金属製板材を、エンドレスバンド4を挟んで偏平U字形に折りつぶして圧着され、エンドレスバンド4の前後方向で突出し、摺動方向の寸法は、第1嵌合部材5の保持孔54の摺動方向の寸法にほぼ一致し、前後方向の寸法は保持孔54の前後方向に寸法にほぼ一致する。すなわち、第1位置決め部材80は、第1嵌合部材5の保持孔54に上方から嵌合し保持される。
【0024】
尚、第1位置決め部材80、あるいは、第2位置決め部材70は、バンドの両端部を連結してエンドレスバンド4とするための連結部材として使用されることもある。
又、第1嵌合部材5、第2嵌合部材5は同形に形成され、第1決め部材80、第2決め部材70も同形に形成されているので、兼用して使用することができ、さらに部品点数が削減され、安価に製作することが出来る。
更に、左右のベルトガイド部材6、6は、対向して同形に形成されているので、兼用して使用することができ、さらに部品点数が削減され、安価に製作することが出来る。
【0025】
アウターメンバー1の長さ、インナーメンバー2の長さと摺動範囲、それに対応するボールリテーナ3の長さ(エンドレスバンド4の長さ)に応じて、第2嵌合係止孔7、第1嵌合係止孔8、第2位置決め部材70、第1位置決め部材80が所定位置に形成された(実施例ではエンドレスバンド4に設けられる第1位置決め部材80と第2位置決め部材80は、エンドレスバンド4がボールリテーナ3に架け渡たされたとき、ボールリテーナ3の摺動方向の中央部で、基板31の上下面側に対向して位置する箇所に設けられ、第2嵌合係止孔7と第1嵌合係止孔8は、アウターメンバー1とインナーメンバー2の摺動方向の中央部に設けられている。)、アウターメンバー1、エンドレスバンド4がかけ渡されたボールリテーナ3、インナーメンバー2は次のようにして組立てられる。
【0026】
アウターメンバー1の一方のストッパー14が形成されていない側から、第1位置決め部材80と第2位置決め部材80が摺動方向の中央部位置した状態にエンドレスバンド4が架け渡されたボールリテーナ3を挿入して、ストッパー14が形成されていない側の端部に位置させる。
そして、インナーメンバー2をストッパー14が形成されていない側から、アウターメンバー1に挿入し、第1嵌合係止孔8に第1位置決め部材80が臨む位置まで、インナーメンバー2を摺動する。(このとき、実施例では、インナーメンバー2は、ボールリテーナ3と共に摺動し、アウターメンバー1、ボールリテーナ3の摺動方向のそれぞれの中央部に位置することとなる。)
【0027】
次に、第1位置決め部材80を第1嵌合係止孔8から上方に持ち上げ(図9に示す状態)、第1嵌合部材5を斜め上方から、第1位置決め部材80の下方に潜らせ、第1位置決め部材80を保持孔54に嵌合保持した状態で、第1嵌合部材5を第1嵌合係止孔8の上方から、前後左右載置用突部51・・・が前記第1嵌合係止孔8の第1載置部82・・・に当接するまで押し下げると、係止突条55、55が第1前後係止部83、83の下面に係止し、第1嵌合部材5は、第1位置決め部材80を保持孔54に保持した状態で第1嵌合係止孔8に嵌合係止される。
【0028】
この時、実施例では、アウターメンバー1の第2嵌合係止孔7に第2位置決め部材70が臨む状態に自動的に位置するので、上記と同様にして、第2嵌合部材5を第2位置決め部材70に保持した状態で、第2嵌合係止孔7に嵌合係止し、最後にストッパー14を立ち上げる。
すなわち、第1、第2位置決め部材80、70を所定位置に設けたエンドレスバンド4を、ボールリテーナ3がアウターメンバー1に組み込まれる前に、ボールリテーナ3に架け渡しておく事で、第1嵌合係止孔8、第2嵌合係止孔7と第1、第2位置決め部材80、70は自動的に所定箇所で重なり合い、一方側を連結した状態(例えば、インナーメンバー2とエンドレスバンド4を連結した状態)で、他方側(例えばアウターメンバー1)と連結するため、インナーメンバー2、ボールリテーナ3(ボール30・・・)を強制的にスリップさせる必要がないので作業効率が非常に良い。
【0029】
一方、第1位置決め部材80を第1嵌合係止孔8から上方に持ち上げた時(図9に示す状態)、あるいは、第2位置決め部材70を第2嵌合係止孔7から上方に持ち上げた時、ボールリテーナ3の摺動方向の両端部に設けたベルトガイド部材6、6の弾性付与部66、66が一旦縮まった状態(図10(ロ)に示す状態)となり、第1嵌合係止孔8(第2嵌合係止孔7)に第1嵌合部材5(第2嵌合部材5)が嵌合係止した時、正規の状態(図10(イ)に示す状態)となり、エンドレスバンド4を所定の緊張状態で張設する。
そして、環境の変化(湿度、温度の変化)による、エンドレスバンド4の伸び縮みに対応して、弾性付与部66が弾性変形し、エンドレスバンド4の安定した張設状態を得る事が出来る。
【符号の説明】
【0030】
1 アウターメンバー
11 基板
2 インナーメンバー
21 基板
3 ボールリテーナ
31 基板
32、32 左右の折曲縁
12、12 ボール摺動面
4 エンドレスバンド
5 第1、第2嵌合部材
6 ベルトガイド部材
62 連結部
64 案内部
66 弾性付与部
7 第2嵌合係止孔
70 第2位置決め部材
8 第1嵌合係止孔
80 第1位置決め部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10