(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、電動アシスト自転車の例をもって説明する。しかしながら、本発明の実施の形態の適用対象は、電動アシスト自転車だけに限定されず、人力に応じて移動する移動体(例えば、台車、車いす、昇降機など)に対して当該移動体の移動を補助するモータなどのバッテリについて適用可能である。なお、バッテリは、移動体と一体化される場合もあれば、移動体とは別途設置される場合もある。
【0013】
[実施の形態1]
図1に、電動アシスト自転車の外観図を示す。電動アシスト自転車1は、モータ駆動制御装置102と、バッテリパック101と、トルクセンサ103と、ペダル回転センサ104と、モータ105と、操作パネル106と、太陽光発電機107と、ケーブル108とを有する。なお、電動アシスト自転車1は、フリーホイール及び変速機も有している。
【0014】
バッテリパック101は、例えば、リチウムイオン二次電池、リチウムイオンポリマー二次電池、ニッケル水素蓄電池などを含み、モータ駆動制御装置102を介してモータ105に対して電力を供給し、回生時にはモータ駆動制御装置102を介してモータ105からの回生電力によって充電も行う。さらに、バッテリパック101には、新たに端子が設けられ、バッテリパック101は、当該端子に接続されたケーブル108を介して太陽光発電機107に接続される。なお、ここではバッテリパック101が太陽光発電機107に接続される例を示しているが、風力発電機その他のエナジーハーベストデバイスが接続されるようにしても良い。また、太陽光発電機107等の設置位置は荷台に限定されるものではなく、他の箇所に設置しても良い。
【0015】
トルクセンサ103は、クランク軸に取付けられたホイールに設けられており、運転者によるペダルの踏力を検出し、この検出結果をモータ駆動制御装置102に出力する。また、ペダル回転センサ104は、トルクセンサ103と同様に、クランク軸に取付けられたホイールに設けられており、回転に応じたパルス信号をモータ駆動制御装置102に出力する。
【0016】
モータ105は、例えば周知の三相ブラシレスモータであり、例えば電動アシスト自転車1の前輪に装着されている。モータ105は、前輪を回転させるとともに、前輪の回転に応じてローターが回転するように、ローターが前輪に直接又は減速器などを介して連結されている。さらに、モータ105はホール素子等の回転センサを備えてローターの回転情報(すなわちホール信号)をモータ駆動制御装置102に出力する。
【0017】
操作パネル106は、例えばアシストの有無に関する指示入力、アシスト有りの場合には希望アシスト比等をユーザから受け付けて、当該指示入力等をモータ駆動制御装置102に出力する。また、操作パネル106は、モータ駆動制御装置102によって演算された結果である走行距離、走行時間、消費カロリー、回生電力量等のデータを表示する機能を有する場合もある。
【0018】
以下、本実施の形態に係るバッテリパック101の構成について説明する。
【0019】
図2に、第1の本実施の形態に係るバッテリパック101の外観を示す。
【0020】
バッテリパック101は、ケース1010に、充電端子1011と、充電指示ボタン1012と、充電レベルを表示するためのLED(Light Emitting Diode)群1013と、LED群1013を点灯させるように指示するためのボタン1014と、モータ駆動制御装置102との接続端子群を含む接続部1015とを有する。
【0021】
LED群1013については、例えば、75%以上100%以下の充電レベルの場合には全LEDを点灯させ、50%以上75%未満の充電レベルの場合には下から3つのLEDを点灯させ、25%以上50未満の充電レベルの場合には下から2つのLEDを点灯させ、5%を超えて25%未満の充電レベルの場合には下から1つのLEDを点灯させ、5%の充電レベルの場合には1つもLEDを点灯させない、といったルールに従って点灯させる。但し、これは一例であり、従来から行われているので、これ以上説明しない。
【0022】
充電端子1011は、ケーブル108との接続端子であり、例えばMicro USB(Universal Serial Bus)端子又はMini USB端子若しくはUSB端子であってもよい。さらに、PoE(Power over Ether)のコネクタであっても良い。さらに、コンセントであっても良い。その他、電力入力が可能な規格におけるコネクタであっても良い。
図2の例では、バッテリパック101の上部に配置しているが、使用態様に併せてどのような位置に配置しても良い。
【0023】
図2では示していないが、バッテリパック101の筐体表面に充電端子1011を設ける場合には、防水用のキャップを充電端子1011に付けるようにしても良い。また、雨などの影響を受けないように防水機能を備えるようにすることが好ましい。
【0024】
また、充電指示ボタン1012を、LED群1013を点灯させるように指示するためのボタン1014が兼ねる場合もある。また、充電指示ボタン1012を設けずに、ケーブル108の端子挿入や充電電流などを検出して、自動的に充電を開始するようにしても良い。
【0025】
接続部1015の底面は、例えば
図3(a)に示すように、電流用の端子1015aと、信号用の端子1015bと、接地用の端子1015cとを有する。信号用の端子の数は、より多いこともある。
【0026】
これに併せて、バッテリパック101の充電器120は、
図3(b)に示すように、商用電源に接続するためのコンセント1202と、バッテリパック101の端子1015aと接触する電流用の端子1201aと、端子1015bと接触する信号用の端子1201bと、端子1015cと接触する接地用の端子1201cとを有する。このような充電器120は、従来と同じであり、これ以上説明しない。また、本実施の形態においては、モータ駆動制御装置102も、従来と同様に、充電器120と同様の端子を有している。
【0027】
本実施の形態では、このような充電器120でバッテリパック101に対して充電を行っても良いし、充電端子1011を介して、太陽光発電機107等で発電された電力にて充電を行うようにしても良い。特に、走行中に太陽光発電機107等で発電された電力にて充電を行うことによって、電動アシスト自転車1の走行距離を延長させ、また充電器120による充電を極力行わずにアシスト走行を可能にすることで、ユーザの利便性が向上する。
【0028】
図4に、本実施の形態に係るバッテリパック101の機能ブロック構成例を示す。
【0029】
本実施の形態に係るバッテリパック101は、モータ駆動制御装置用の端子群1015a乃至1015cと、充電端子1011に含まれる端子1011a及び1011bと、回路基板1100と、電池セル1150とを有する。
【0030】
端子1011aは、例えば充電電流用の端子であり、端子1011bは、例えば接地用の端子である。
【0031】
回路基板1100は、電池パック制御基板又はBMS(Battery Management System)基板と呼ばれる基板であり、制御部1110を有する。制御部1110は、第1制御部1111と、スイッチ1112及び1113と、スイッチ保護制御部1116と、スイッチ温度検出素子1117と、セル監視部1120と、温度検知部1118と、第1電流検知部1119と、電池セル温度検出素子1124と、抵抗1115と、第2制御部1114と、第2電流検知部1121と、電力変換部1122と、抵抗1123とを有する。
【0032】
スイッチ1112は、例えばMOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)であり、そのソースが端子1015aに接続され、ゲートがスイッチ保護制御部1116に接続され、ドレインがスイッチ1113であるMOSFETのドレインに接続される。スイッチ1113は、例えばMOSFETであり、そのソースは電池セルの充放電用の端子に接続され、ドレインはスイッチ1112のドレインに接続され、ゲートはスイッチ保護制御部1116に接続される。
【0033】
スイッチ保護制御部1116は、第1制御部1111の指示に応じてスイッチ1112及び1113を制御して、モータ駆動制御装置に係る給電及び充電を開始又は停止する。より具体的には、電池セル1150へ過度な充電、電池セル1150からの過度の放電、異常温度時の充放電又は放電が起きないように、温度検知部1118により検知された温度情報や、第1電流検知部1115により検知された電流情報、セル監視部1120により収集された各セルの電圧値といった第1制御部1111で収集された状態に応じて、スイッチ保護制御部1116は、スイッチ1112及び1113を制御する。
【0034】
温度検知部1120は、スイッチ温度検出素子1117及び電池セル温度検出素子1124に接続されており、これらから温度情報を取得する。スイッチ温度検出素子1117及び電池セル温度検出素子1124は、例えばサーミスタであり、これによって電池セル1150並びにスイッチ1112及び1113の各温度を検知する。スイッチ温度検出素子1117及び電池セル温度検出素子1124は、サーミスタに限らず、熱電対や赤外線検知などによるセンサでも良い。スイッチ温度検出は回路保護のため、また電池セル温度検出は電池セル保護のため、各温度が検出されることもある。スイッチ温度検出素子1117及び電池セル温度検出素子1124の各々は、例えば熱伝導率の高い熱伝導部材を介して検出対象であるスイッチ1112及び1113や電池セル1150に対して熱的に接触されている。
【0035】
セル監視部1120は、電池セル1150中における各セルに接続されており、これらの電圧を検出する。具体的には、セル監視部1120は、直列接続された各セルの電圧を検出し、また直列接続されたセルの電圧バランスが崩れないように各々のセルに対し放電制御を行い電圧バランスを整える。
【0036】
第1電流検知部1119は、抵抗1115に接続されており、モータ駆動制御装置102に係る充電及び放電電流を検知する。例えば、抵抗1115のように電流路に直接接続された抵抗の電圧降下の値から電流値を計算してもよい。電流の検知方法についてはこれに限定されるものではなく、ホールセンサといった種々の電流検知方法を用いて良い。
【0037】
第2電流検知部1121は、抵抗1123に接続されており、充電端子1011から電池セル1150へ流れる電流を検知する。例えば、抵抗1123のように、電流路に直接接続された抵抗の電圧降下の値から電流の値を計算してもよい。電流の検知方法についてはこれに限定されるものではなく、ホールセンサといった種々の電流検知方法を用いて良い。なお、第2電流検知部1121は、電池セル1150への電流のみならず、電子セル1150からの電流をも検知する。また、第2電流検知部1121によって検知された電流の値については、第2制御部1114にも出力するようにしても良い。
【0038】
電力変換部1122は、電池セル1150に接続されており、第2制御部1114からの指示に応じて充電端子1011からの電流により電池セル1150へ充電を行う。回路方式としてはブースト、フライバック、ハーフブリッジ、フルブリッジ等種々の形式を採用可能であり、ここでは特に指定しない。また、電力変換部1122は、回路停止状態で電池セル1150への充電を停止させる回路保護機能をも有する。
【0039】
第1制御部1111は、セル監視部1120、温度検知部1118、第1電流検知部1119及び第2電流検知部1121から各種情報を取得して、スイッチ保護制御部1116に充放電の停止を指示したり、充電端子1011からの電流に制限をかける。具体的には、第1制御部1111は、第2制御部1114に対して充電端子1011からの充電電流又は充電電力の制限を通知して、第2制御部1114に電力変換部1122を制御させる。
【0040】
また、第1制御部1111は、セル監視部1120、温度検知部1118、第1電流検知部1119及び第2電流検知部1121から取得した情報と使用履歴とから、電池残量、劣化状態などを算出し、例えば端子1015b等を介して通信によりモータ駆動制御装置102に伝達する。さらに、第1制御部1111は、セル監視部1120、温度検知部1118、第1電流検知部1119及び第2電流検知部1121から取得した情報をモータ駆動制御装置102に伝達し、モータ駆動制御装置102は、受信した情報に基づき電池セル1150が異常を引き起こすような状態にならないように、適切に、バッテリパック101に対する充放電に係る制御を行う。但し、電池セル1150からの放電電流又は電池セル1150への充電電流を調整する必要がある場合には、第1制御部1111又は第1制御部1111及びモータ駆動制御装置102が連携して、放電電流又は充電電流を制御する。以下の説明では、第1制御部1111によって制御が行われるものとして説明する。
【0041】
さらに、第2制御部1114は、第1制御部1111及び電力変換部1122に接続されており、第1制御部1111からの指示に応じて、充電端子1011から電池セル1150に充電させるために、電力変換部1122を制御する。具体的には、第2制御部1114は、例えば充電指示ボタン1012が押されたことに応じて又はケーブル108の端子挿入や充電電流などを検出したことに応じて、第1制御部1111から指示された電力制限値等に応じて、充電端子1011から充電する電力を制御する。
【0042】
なお、ボタン1014が押された場合には、第1制御部1111は、電池セル1150の充電レベルを確認し、充電レベルに応じてLED群1013の点灯を制御するようになっているが、これは従来と同じ機能であるから、これ以上述べない。
【0043】
なお、第1制御部1111と第2制御部1114とが分かれている例を示しているが、これらは一体となっている場合もある。さらに、回路基板1100は1つである例を示しているが、複数の基板に分かれている場合もある。
【0044】
[充電制御の第1例]
次に、電池セル1150に対する充電制御の第1の例を、
図5及び
図6を用いて説明する。第1例では、回生による充電を優先する例を示す。すなわち、端子1015aを介してモータ駆動制御装置102からモータ105の回生電流が流れてくるが、この回生電流による充電を優先する例を説明する。
【0045】
図5においては、横軸は、モータ駆動制御装置用の端子1015aからの充電電流又は充電電力を表し、縦軸は、充電電流又は充電電力を表す。すなわち、直線aで示されるように、モータ駆動制御装置用の端子1015aからの充電電流I
c1又は充電電力P
c1が0から、電池セル1150に対する充電制限値(充電電流の制限値I
c_limit又は充電電力の制限値P
c_limit)まで変化する場合、第2制御部1114による充電電流I
c2又は充電電力P
c2は、直線b以下の範囲に制御される。より具体的には、以下のように表される。
I
c2≦I
c_limit−I
c1 (1)
P
c2≦P
c_limit−P
c1 (2)
【0046】
このような場合、例えば、第1制御部1111は、第1電流検知部1115からの信号に基づき、I
c1又はP
c1を検知する(
図6:ステップS1)。一方、第1制御部1111からI
c1又はP
c1の通知又は(1)又は(2)式の右辺の値の通知を受けて、第2制御部1114は、電力変換部1122を制御して、充電電流I
c2又は充電電力P
c2が、関係式(1)又は(2)を満たすようにする。
【0047】
より具体的には、充電端子1011からの入力電流又は入力電力が、元々I
c_limit−I
c1以下又はP
c_limit−P
c1(回生による充電電流又は充電電力に基づく値)以下であれば(ステップS3:Yesルート)、第2制御部1114は、電力変換部1122に、充電端子1011からの入力電流又は入力電力で、電池セル1150に対する充電を行わせる(ステップS5)。一方、充電端子1011からの入力電流又は入力電力が、I
c_limit−I
c1を超える場合又はP
c_limit−P
c1を超える場合(ステップS3:Noルート)、第2制御部1114は、電力変換部1122により、関係式(1)又は(2)を満たすように、充電電流I
c2又は充電電力P
c2を制限する(ステップS7)。後者の場合、I
c_limit−I
c1より少なくなるように又はP
c_limit−P
c1より小さくなるように、入力電流又は入力電力に対して充電電流I
c2又は充電電力P
c2が制限されるようになる場合もある。
【0048】
回生が行われる場合、回生ブレーキが効くようになるので、回生による充電電流又は充電電力が制限されると、回生ブレーキの効きが変化してしまう。これは、制動力の変化として現れ、ユーザにとっては乗り味が変化することになるので、好ましくない場合がある。本例のように、回生による充電を優先すれば、このような事態を回避できる。
【0049】
上でも述べたように、回生による充電を優先したとしても、充電端子1011からの入力電流又は入力電力が制限されない状態もある。例えば、太陽光発電機107等の発電能力が低い場合、回生による充電電流又は充電電力が充電制限値に近い状態以外では、充電端子1011からの入力電流又は入力電力がほとんど制限されずに充電に用いられることもある。
【0050】
一方、回生能力が低いモータ105が用いられている場合には、充電端子1011からの充電電流又は充電電力を優先させて、場合によっては回生による充電を制限するようにした方が、より多くの充電が行われる場合もある。
【0051】
さらに、回生による充電電流又は充電電力を、モータ駆動制御装置102からの入力電流から制限するようにしても良い。
【0052】
すなわち、一般的には、以下の不等式が成り立つように制御される。
I
c2+I
c1≦I
c_limit
P
c2+P
c1≦P
c_limit
【0053】
[充電制御の第2例]
一般的に、電池セル1150に対する充電電流の制限値は、温度によって変化する。その一例を
図7Aに示す。
図7Aの例では、横軸は電池セル1150の温度τ[℃]を表し、縦軸は充電電流の制限値I
c_limitを表す。このように、電池セル1150の温度τに応じて充電電流の制限値I
c_limitは変化し、例えばτ
2未満になると、最大電流I
max未満になってしまう。
【0054】
また、電池セル1150に対する充電電流の制限値は、電池電圧によっても変化する。その一例を
図7Bに示す。
図7Bの例では、横軸は電池電圧[V]を表し、縦軸は充電電流の制限値I
c_limitを表す。このように、電池セル1150の電池電圧に応じて充電電流の制限値I
c_limitは変化し、例えばV
1を超えると、最大電流I
max未満になってしまう。
【0055】
従って、本例では、最大電流I
max又は最大電流I
maxから様々なマージンを考慮して決定される基準電流I
refに対する比率によって、モータ駆動制御装置用の端子1015aからの充電電流I
c1及び充電端子1011からの充電電流I
c2を制御する。
【0056】
具体的には、例えば第1制御部1111は、第1電流検知部1115からの信号に基づき、回生電流を検知する(
図8:ステップS11)。そして、第1制御部1111は、温度及び電池電圧から最大電流I
max又は基準電流I
refの値を決定し、回生による充電電流I
c1の比率R
c1を算出する(ステップS13)。すなわち、回生による入力電流が最大電流I
max又は基準電流I
refの値以下であれば、回生電流から比率R
c1を算出する。一方、回生電流が最大電流I
max又は基準電流I
refの値を超える場合には、比率R
c1は1となり、第1制御部1111は、最大電流I
max又は基準電流I
refの値に、回生による充電電流I
c1を制限する。場合によっては、比率R
c1を1より小さい所定値に設定して、所定値×最大電流I
max又は基準電流I
refの値によって得られる電流の値に充電電流I
c1を制限する場合もある。
【0057】
また、第1制御部1111は、最大電流I
max又は基準電流I
refの値と、比率R
c1とを、第2制御部1114に出力する。
【0058】
一方、第2制御部1114は、最大電流I
max又は基準電流I
refの値に対する第2制御部1114による充電電流I
c2の比率R
c2を、以下の関係式を満たすように決定する(ステップS15)。
【0060】
基準値R
refは、典型的には「1」であるが、さらにマージンを考慮して0以上1以下の実数が設定される場合もある。
【0061】
すなわち、
図9に示すように、回生による充電電流I
c1の比率R
c1が直線cのように0から基準値R
refまで変化する場合に、充電電流I
c2の比率R
c2は、直線d以下の範囲の値になるように決定される。
【0062】
R
c2が決定されれば、第2制御部1114は、最大電流I
max又は基準電流I
refにR
c2を乗ずることで、実際の充電電流I
c2を決定する(ステップS17)。ステップS15及びS17については第1制御部1111が実施して第2制御部1114に通知するようにしても良い。このような演算を行った上で、充電端子1011からの入力電流が充電電流I
c2を超える場合には(ステップS19:Noルート)、第2制御部1114は、電力変換部1122に、充電電流I
c2以下になるように制限して充電を行わせ(ステップS23)、充電端子1011からの入力電流が充電電流I
c2以下である場合(ステップS19:Yesルート)、第2制御部1114は、電力変換部1122に、入力電流そのままで充電を行わせる(ステップS21)。
【0063】
このように制御することで、電池セル1150の状態に応じた適切な充電がなされる。
【0064】
なお、上では電流について説明したが、同様に電力について制御を行うようにしても良い。
【0065】
さらに、回生による充電を優先していたが、回生能力が低いモータ105が用いられている場合には、充電端子1011からの入力電流を優先して充電するようにしても良い。
【0066】
すなわち、一般化すると以下のような不等式が成り立つように制御される。
R
c2+R
c1≦R
ref
【0067】
[充電制御の第3例]
第2例では、電力変換部1122等の能力については考慮していなかった。しかしながら、大電流又は大電力を取り扱う場合には、コストが高い部品などを用いなければならなくなる。
【0068】
そこで、第3例では、コストを重視して第2制御部1114による充電電流I
c2に制限がある場合を考える。例えば、第2制御部1114等には充電電流制限値I
c2_limitが設定されるものとする。
【0069】
このような場合、最大電流I
max又は基準電流I
refにR
c2を乗ずることで得られる充電電流I
c2が、充電電流制限値I
c2_limit以下であれば、第2例と同じである。
【0070】
一方、充電電流I
c2が、充電電流制限値I
c2_limitを超えている場合には、充電電流I
c2は、充電電流制限値I
c2_limitとなる。
【0071】
説明を簡単にするために、温度や電池電圧が一定で最大電流I
max又は基準電流I
refが変化しない状態を想定する。このような前提の下、回生による充電電流I
c1と、充電電流I
c2との関係を
図10を用いて説明する。
【0072】
図10において、横軸は、モータ駆動制御装置用の端子1015aからの充電電流(回生電流)を表し、縦軸は、充電電流を表す。すなわち、直線aで示されるように、モータ駆動制御装置用の端子1015aからの充電電流I
c1が0から、電池セル1150に対する充電制限値(充電電流の制限値I
c2_limit)まで変化する場合、第2制御部1114による充電電流I
c2は、線e以下の範囲に制御される。より具体的には、以下のように表される。
I
c2≦I
c2_limit−I
c1 IF I
c2≦I
c2_limit (4)
I
c2≦I
c2_limit IF I
c2>I
c2_limit (5)
【0073】
図10では、(4)式は、区間E1で表され、(5)式は、区間E2で表される。
【0074】
この場合、
図10では、一点鎖線f以上充電制限値以下の領域が、充電可能にも拘わらず充電できない領域であるが、これはコストを優先したためである。
【0075】
なお、上では電流についての制限を設定する例を示したが、電力について制限を設定するようにしても良い。
【0076】
さらに、第2例のように、最大電流I
max又は基準電流I
refの値に対する比率を、
図10に示すように変化させるようにしても良い。すなわち、どのような電池状態においても、第2制御部1114による充電電流I
c2を、原則として最大電流I
max又は基準電流I
refの値のγ%に制限する。回生による充電電流I
c1の比率が、最大電流I
max又は基準電流I
refの値の(1−γ)%を超えると、超えた分だけ充電電流I
c2の比率を下げるものである。
【0077】
さらに、回生による充電を優先していたが、回生能力が低いモータ105が用いられている場合には、充電端子1011からの入力電流を優先して充電するようにしても良い。
【0078】
[充電制御の第4例]
本例ではより簡単な制御を行う例を示す。
図7Aにおいてτ
2未満の場合には、充電電流の制限値I
c_limitが、最大電流I
max未満となってしまう。同様に
図7BにおいてV
1を超えると、充電電流の制限値I
c_limitが最大電流I
max未満になってしまう。
【0079】
そのため本例では、
図11に示すように、このような充電電流に制限がある(最大電流I
max未満でないと充電できない)状態においては、充電端子1011から充電は行わず、電池状態で決まる充電電流I
c_limitで回生電流によって充電を行うことにする。このようにすれば、制御が簡単になる。
【0080】
さらに、充電電流に制限がない(最大電流で充電できる)状態において、充電端子1011からの入力電流が検出されない場合又は充電端子1011から充電しない場合には、回生による充電電流I
c1の上限値を、I
maxに設定する。すなわち、回生電流だけで充電を行う。
【0081】
一方、充電端子1011からの入力電流が検出された場合又は充電端子1011から充電する場合には、回生による充電電流I
c1の上限値を、I
maxに係数α(0を超えて1未満)を乗じた値に設定する。すなわち、モータ駆動制御装置102からの回生電流が、I
max×αを超える場合には、充電電流I
c1はI
max×αに制限される。また、第2制御部1114による充電電流I
c2の上限値を、I
max×(1−α)に設定する。すなわち、充電端子1011からの入力電流が、I
max×(1−α)を超える場合には、充電電流I
c2はI
max×(1−α)に制限される。
【0082】
このようにαを適切に設定することで、回生による充電及び充電端子1011からの入力電流による充電の適切な両立が図られる。さらに、簡単な場合分けによる制御であるから、制御部1110のコストを下げることができる。
【0083】
より具体的には、第1制御部1111は、セル監視部1120及び温度検知部1118等から取得した情報に基づき電池セル1150の状態を検出して(
図12:ステップS31)、電池セル1150の状態に応じた充電電流の制限値I
c_limitを特定する。
【0084】
充電電流の制限値I
c_limitが最大電流I
max未満であれば(ステップS33:Yesルート)、第1制御部1111は、第2制御部1114に対して充電不可を通知すると共に、電池セル1150の状態に応じた充電電流の制限値I
c_limit以下で回生による充電を実行する(ステップS35)。すなわち、回生電流が電池セル1150の状態に応じた充電電流の制限値I
c_limit以下であれば当該回生電流で充電し、回生電流が電池セル1150の状態に応じた充電電流の制限値I
c_limitを超えていれば、電池セル1150の状態に応じた充電電流の制限値I
c_limitに制限して充電を行う。
【0085】
第2制御部1114は、充電不可の通知に応じて、電力変換部1122に指示し、充電端子1011からの入力電流を遮断して、充電を行わないようにする(ステップS37)。
【0086】
一方、充電電流の制限値I
c_limitが最大電流I
maxであれば(ステップS33:Noルート)、第1制御部1111は、第2電流検知部1121により充電端子1011からの入力電流をチェックする(ステップS39)。充電端子1011からの入力電流を検出できなければ(ステップS41:Noルート)、第1制御部1111は、回生による充電を、最大電流I
maxまで実行する(ステップS45)。このように回生による充電のみが行われる。
【0087】
一方、充電端子1011からの入力電流を検出できた場合には(ステップS41:Yesルート)、第1制御部1111は、第2制御部1114に対して、最大電流I
max×(1−α)を通知し、これに応じて、第2制御部1114は、電力変換部1122に、最大電流I
max×(1−α)まで、充電端子1011からの入力電流で充電を行わせる(ステップS43)。すなわち、充電端子1011からの入力電流が、最大電流I
max×(1−α)以下であれば当該入力電流で充電を行い、当該入力電流が、最大電流I
max×(1−α)を超えていれば当該入力電流を最大電流I
max×(1−α)に制限して充電を行う。
【0088】
また、第1制御部1111は、最大電流I
max×αまで、回生による充電を実行する(ステップS47)。すなわち、回生電流が最大電流I
max×α以下であれば当該回生電流で充電を行い、回生電流最大電流I
max×αを超える場合には当該回生電流を最大電流I
max×αまでに制限して充電を行う。なお、αのような係数を乗ずるのではなく、係数値を最大値から差し引いた値を、回生電流による充電電流の上限値に採用し、係数値を、第2制御部1114による充電電流の上限値に採用するようにしても良い。
【0089】
このようにすれば、回生電流と充電端子1011からの入力電流で充電を分担することができる。また、制御が簡単で、αを適切に設定することで、電力変換部1122等に用いられる部品などのコストを下げることができる。
【0090】
本実施の形態についても、電流ベースではなく電力ベースで制御するようにしても良い。
【0091】
なお、最大電流ではなく、最大電流に対して所定のマージンなどを考慮した電流値を採用するようにしても良い。
【0092】
[実施の形態2]
第1の実施の形態では、バッテリパック101に充電端子を設ける例を示したが、本実施の形態では、出力端子を設ける例を示す。
【0093】
図13に、本実施の形態に係る電動アシスト自転車1bの外観を示す。
【0094】
電動アシスト自転車1bは、モータ駆動制御装置102と、バッテリパック101bと、トルクセンサ103と、ペダル回転センサ104と、モータ105と、操作パネル106と、電力消費又は充電を行う機器109と、ケーブル108とを有する。
【0095】
バッテリパック101bは、例えば、リチウムイオン二次電池、リチウムイオンポリマー二次電池、ニッケル水素蓄電池などを含み、モータ駆動制御装置102を介してモータ105に対して電力を供給し、回生時にはモータ駆動制御装置102を介してモータ105からの回生電力によって充電も行う。さらに、バッテリパック101bには、新たに出力端子が設けられ、バッテリパック101bは、当該出力端子に接続されたケーブル108を介して機器109に接続される。
【0096】
機器109は、パーソナルコンピュータなどのような情報処理装置、スマートフォンを含む携帯通信端末に加えて、ライト、冷蔵庫、保温装置、保湿装置、その他電動アシスト自転車1bが走行中に電力を消費する機器である。但し、電動アシスト自転車1bが停車中に電力を消費する機器であっても、バッテリパック101bに接続可能である。例えば災害時その他の時間において、バッテリパック101bから電力供給を受けられれば、有用である場合が多い。
【0097】
機器109及びバッテリパック101b以外の構成要素については、第1の実施の形態と同様であるから説明を省略する。
【0098】
図14に、第2の本実施の形態に係るバッテリパック101bの外観を示す。
【0099】
バッテリパック101bは、ケース1010bに、出力端子1016と、出力指示ボタン1017と、充電レベルを表示するためのLED群1013と、LED群1013を点灯させるように指示するためのボタン1014と、モータ駆動制御装置102との接続端子群を含む接続部1015とを有する。
【0100】
LED群1013及びボタン1014は、第1の実施の形態と同様である。
【0101】
出力端子1016は、ケーブル108との接続端子であり、例えばUSB端子又はUSB−PD(Power Delivery)端子若しくはその他のUSB端子であってもよい。さらに、PoE(Power over Ether)のコネクタであっても良い。その他、電力出力が可能な規格におけるコネクタであっても良い。
図14の例では、バッテリパック101bの上部に配置しているが、使用態様に併せてどのような位置に配置しても良い。
【0102】
図14では示していないが、防水用のキャップを出力端子1016に付けるようにしても良い。また、雨などの影響を受けないように防水機能を備えるようにすることが好ましい。
【0103】
また、出力指示ボタン1017を、LED群1013を点灯させるように指示するためのボタン1014が兼ねる場合もある。また、出力指示ボタン1017を設けずに、ケーブル端子の挿入などを検出して、自動的に出力を開始するようにしても良い。
【0104】
接続部1015については、第1の実施の形態と同様である。
【0105】
本実施の形態では、例えば電動アシスト自転車1b走行中に、モータ105の駆動をアシストするためにバッテリパック101bに充電された電力を用いると共に、機器109に対してもバッテリパック101bに充電された電力を用いる。これによって、ユーザの利便性を向上させるものである。但し、停車中のように、モータ105の駆動のために電力を使っていない場合には問題はないが、走行中であれば、モータ105の駆動に用いられる電力との関係で、機器109に用いられる電力を適切に制御することが求められる。
【0106】
図15に、本実施の形態に係るバッテリパック101bの機能ブロック構成例を示す。
【0107】
本実施の形態に係るバッテリパック101bは、モータ駆動制御装置用の端子群1015a乃至1015cと、出力端子1016に含まれる端子1016a及び1016bと、回路基板1100bと、電池セル1150とを有する。
【0108】
端子1016aは、例えば出力電流用の端子であり、端子1016bは、例えば接地用の端子である。
【0109】
回路基板1100bは、電池パック制御基板又はBMS(Battery Management System)基板と呼ばれる基板であり、制御部1110bを有する。制御部1110bは、第1制御部1111bと、スイッチ1112及び1113と、スイッチ保護制御部1116と、スイッチ温度検出素子1117と、セル監視部1120と、温度検知部1118と、第1電流検知部1115と、電池セル温度検出素子1124と、抵抗1115と、第2制御部1114bと、第2電流検知部1121と、電力変換部1122bと、抵抗1123とを有する。
【0110】
スイッチ1112及びスイッチ1113、スイッチ保護制御部1116、セル監視部1120、温度検知部1118、スイッチ温度検出素子1117、電池セル温度検出素子1124、第1電流検知部1119、第2電流検知部1121並びに抵抗1115は、第1の実施の形態と同様である。
【0111】
電力変換部1122bは、電池セル1150に接続されており、第2制御部1114bからの指示に応じて出力端子1016に対して放電を行う。回路方式にはブースト、フライバック、ハーフブリッジ、フルブリッジ等種々の形式を採用可能であり、ここでは特に指定しない。また、電力変換部1122bは、回路停止状態で電池セル1150からの出力を停止させる回路保護機能をも有する。
【0112】
また、第1制御部1111bは、セル監視部1120、温度検知部1118、第1電流検知部1119及び第2電流検知部1121から各種情報を取得して、スイッチ保護制御部1116による充放電の停止を指示したり、出力端子1016への出力電流に制限をかける。具体的には、第1制御部1111bは、第2制御部1114に対して出力端子1016による放電電流又は放電電力の制限を通知して、第2制御部1114bに電力変換部1122bを制御させる。その他の機能は、第1の実施の形態に係る第1制御部1111と同様である。
【0113】
さらに、第2制御部1114bは、第1制御部1111b及び電力変換部1122bに接続されており、第1制御部1111bからの指示に応じて、出力端子1016から電力を出力させるために、電力変換部1122bを制御する。具体的には、第2制御部1114bは、例えば出力指示ボタン1017が押されたことに応じて又はケーブル108の端子挿入や出力電流などを検出したことに応じて、第1制御部1111bから指示された電力制限値等に応じて、出力端子1016から出力する電力を制御する。
【0114】
なお、第1制御部1111bと第2制御部1114bとが分かれている例を示しているが、これらは一体となっている場合もある。さらに、回路基板1100bは1つである例を示しているが、複数の基板に分かれている場合もある。
【0115】
さらに、充電端子1011と出力端子1016とは同じである場合もある。
【0116】
[放電制御の第1例]
次に、電池セル1150からの放電制御の第1の例を、
図16Aを用いて説明する。第1例では、モータ105に対する電力供給を優先する例を示す。すなわち、端子1015aを介してモータ駆動制御装置102に対してモータ105を駆動するための電流が流れるが、このモータ105を駆動するための電力供給を優先する例を
図16Aを用いて説明する。
【0117】
図16Aでは、横軸は、モータ駆動制御装置用の端子1015aへの出力電流又は出力電力を表し、縦軸は、出力電流又は出力電力を表す。すなわち、直線gで示されるように、モータ駆動制御装置用の端子1015aへの出力電流I
o1又は出力電力P
o1が0から、電池セル1150の出力制限値(出力電流の制限値I
o_limit又は出力電力の制限値P
o_limit)まで変化する場合、第2制御部1114bによる出力電流I
o2又は出力電力P
o2は、直線h以下の範囲に制御される。より具体的には、以下のように表される。
I
o2≦I
o_limit−I
o1 (6)
P
o2≦P
o_limit−P
o1 (7)
【0118】
このような場合、例えば、第1制御部1111bは、第1電流検知部1119からの信号に応じてI
o1又はP
o1を検知する(
図16B:ステップS501)。一方、第1制御部1111bからI
o1又はP
o1の通知又は(6)又は(7)式の右辺の値の通知を受けて、第2制御部1114bは、出力端子1016への出力電流I
o2又は出力電力P
o2を、関係式(6)又は(7)を満たすように制御する(ステップS503)。
【0119】
出力電流I
o2又は出力電力P
o2が、I
o_limit−I
o1又はP
o_limit−P
o1以下となるように、第2制御部1114bは、電力変換部1122bを制御して電池セル1150に放電を行わせる。I
o_limit−I
o1又はP
o_limit−P
o1を超えて他の機器109が電流又は電力を要求する場合には、第2制御部1114bは、I
o_limit−I
o1以下又はP
o_limit−P
o1以下に、出力電流I
o2又は出力電力P
o2を制限する。
【0120】
電動アシスト自転車1bが走行中の場合、モータ駆動制御装置102の制御のとおりモータ105を駆動するように電力供給を行わないと、適切なトルクが得られなくなる。これは、アシスト不足などとしてユーザに知覚されるので、好ましくない場合がある。本例のように、モータ駆動制御装置102への出力を優先することで、このような事態を回避できる。
【0121】
なお、モータ駆動制御装置102への出力電流又は出力電力を、モータ駆動制御装置102の制御に基づき要求される電流又は電力から様々な理由で制限する場合もある。
【0122】
また、機器109の性質によっては、モータ駆動よりも優先して電力供給を行うことが肯定される場合もある。例えば、機器109が保温又は保湿のためにある程度の電力供給を維持しなければならない場合もある。
【0123】
このような事態を鑑みれば、一般的には、以下の不等式が成り立つように制御される。
I
o2+I
o1≦I
o_limit
P
o2+P
o1≦P
o_limit
【0124】
[放電制御の第2例]
一般的に、電池セル1150に対する放電電流の制限値は、温度によって変化する。その一例を
図17Aに示す。
図17Aの例では、横軸は電池セル1150の温度τ[℃]を表し、縦軸は放電電流の制限値I
o_limitを表す。このように、電池セル1150の温度τに応じて放電電流の制限値I
o_limitは変化し、例えばτ
4未満になると、最大電流I
max2未満になってしまう。
【0125】
また、電池セル1150に対する放電電流の制限値は、電池電圧によっても変化する。その一例を
図17Bに示す。
図17Bの例では、横軸は電池電圧[V]を表し、縦軸は放電電流の制限値I
o_limitを表す。このように、電池セル1150の電池電圧に応じて放電電流の制限値I
o_limitは変化し、例えばV
4未満となると、最大電流I
max2未満になってしまう。
【0126】
従って、本例では、最大電流I
max2又は最大電流I
max2から様々なマージンを考慮して決定される基準電流I
ref2に対する比率によって、モータ駆動制御装置用の端子1015aへの出力電流I
o1及び出力端子1016への出力電流I
o2を制御する。
【0127】
具体的には、例えば第1制御部1111bは、第1電流検知部1119からの信号に基づき、モータ駆動のための出力電流を検知する(
図18:ステップS101)。そして、第1制御部1111bは、温度及び電池電圧から最大電流I
max2又は基準電流I
ref2の値を決定し、モータ駆動のための出力電流I
o1の比率R
o1を算出する(ステップS103)。
【0128】
すなわち、モータ駆動のための出力電流が最大電流I
max2又は基準電流I
ref2の値以下であれば、モータ駆動のための出力電流から比率R
o1を算出する。モータ駆動のための出力電流が最大電流I
max2又は基準電流I
ref2の値に達すれば、比率R
o1は1となり、例えば第1制御部1111bは、最大電流I
max2又は基準電流I
ref2より多くの電流をモータ駆動制御装置102には流さないように制限をするようになる。場合によっては、比率R
o1を1より小さい所定値に設定して、所定値×最大電流I
max2又は基準電流I
ref2の値によって得られる電流にモータ駆動のための出力電流I
o1を制限する場合もある。
【0129】
また、第1制御部1111bは、最大電流I
max2又は基準電流I
ref2の値と、比率R
o1とを、第2制御部1114bに出力する。
【0130】
一方、第2制御部1114bは、最大電流I
max2又は基準電流I
ref2の値に対する出力端子1016からの出力電流I
o2の比率R
o2を、以下の関係式を満たすように決定する(ステップS105)。
R
o2≦R
ref2−R
o1 (8)
基準値R
ref2は、典型的には「1」であるが、さらにマージンを考慮して0以上1以下の実数が設定される場合もある。
【0131】
すなわち、
図19に示すように、モータ駆動のための出力電流I
o1の比率R
o1が直線jのように0から基準値R
ref2まで変化する場合に、出力端子1016への出力電流I
o2の比率R
o2は、直線k以下の範囲の値になるように決定される。
【0132】
R
o2が決定されれば、第2制御部1114bは、最大電流I
max2又は基準電流I
ref2にR
o2を乗ずることで、出力電流I
o2を決定する(ステップS107)。なお、ステップS105及びS107の演算を第1制御部1111bが実行するようにして、出力電流I
o2を第2制御部1114bに出力するようにしても良い。第2制御部1114bは、このような演算により得られた出力電流I
o2以下となるように、供給電流を制御する(ステップS109)。
【0133】
このように制御することで、電池セル1150の状態に応じた適切な電力供給がなされる。
【0134】
なお、上では電流について説明したが、同様に電力について制御を行うようにしても良い。
【0135】
さらに、機器109の性質によっては、機器109への電力供給を優先すべき場合もある。従って、一般化すると以下のような不等式が成り立つように制御される。
R
o2+R
o1≦R
ref2
【0136】
[放電制御の第3例]
第2例では、電力変換部1122b等の能力については考慮していなかった。しかしながら、大電流又は大電力を取り扱う場合には、コストが高い部品などを用いなければならなくなる。
【0137】
そこで、第3例では、コストを重視して第2制御部1114bによる出力電流I
o2に制限がある場合を考える。例えば、第2制御部1114bには出力電流制限値I
o2_limitが設定されるものとする。
【0138】
このような場合、最大電流I
max2又は基準電流I
ref2にR
o2を乗ずることで得られる出力電流I
o2が、出力電流制限値I
o2_limit以下であれば、第2例と同じである。
【0139】
一方、出力電流I
o2が、出力電流制限値I
o2_limitを超えている場合には、実際の出力電流I
o2は、出力電流制限値I
o2_limitとなる。
【0140】
説明を簡単にするために、温度や電池電圧が一定で最大電流I
max2又は基準電流I
ref2が変化しない状態を想定する。このような前提の下、モータ駆動のための出力電流I
o1と、出力電流I
o2との関係を
図20を用いて説明する。
【0141】
図20において、横軸は、モータ駆動ための出力電流を表し、縦軸は、出力電流を表す。すなわち、直線gで示されるように、モータ駆動のための出力電流I
o1が0から、電池セル1150に対する出力制限値(出力電流の制限値I
o_limit)まで変化する場合、第2制御部1114bによる出力電流I
o2は、線m以下の範囲に制御される。より具体的には、以下のように表される。
I
o2≦I
o_limit−I
o1 IF I
o2≦I
o2_limit (9)
I
o2≦I
o2_limit IF I
o2>I
o2_limit (10)
【0142】
図20では、(9)式は、区間M1で表され、(10)式は、区間M2で表される。
【0143】
この場合、
図20では、一点鎖線n以上出力制限値以下の領域が、出力可能にも拘わらず出力できない領域であるが、これはコストを優先したためである。
【0144】
なお、上では電流についての制限を設定する例を示したが、電力について制限を設定するようにしても良い。
【0145】
さらに、第2例のように、最大電流I
max2又は基準電流I
ref2の値に対する比率を、
図20に示すように変化させるようにしても良い。すなわち、どのような電池状態においても、出力端子1016への出力電流I
o2を、原則として最大電流I
max2又は基準電流I
ref2の値のγ%に制限する。モータ駆動のための出力電流I
o1の比率が、最大電流I
max2又は基準電流I
ref2の値の(1−γ)%を超えると、超えた分だけ出力電流I
o2の比率を下げるものである。
【0146】
さらに、モータ駆動のための出力を優先していたが、機器109への出力を優先すべき事由がある場合には、出力端子1016への出力を優先して充電するようにしても良い。
【0147】
[放電制御の第4例]
本例ではより簡単な制御を行う例を示す。
図17Aにおいてτ
4未満の場合には、出力電流の制限値I
o_limitが、最大電流I
max2未満となってしまう。同様に
図17BにおいてV
4未満となると、出力電流の制限値I
o_limitが最大電流I
max2未満になってしまう。
【0148】
そのため本例では、
図21に示すように、このような出力電流に制限がある(最大電流I
max2未満でないと出力できない)状態においては、出力端子1016から出力は行わず、電池状態で決まる出力電流I
o_limitでモータ駆動のための出力を行うことにする。このようにすれば、制御が簡単になる。
【0149】
さらに、出力電流に制限がない(最大電流で出力できる)状態において、出力端子1016からの出力が要求されていない場合又は出力端子1016から出力しない場合には、モータ駆動のための出力電流I
o1の上限値を、I
max2に設定する。すなわち、モータ駆動制御装置102にのみ出力を行う。
【0150】
一方、出力端子1016から出力を要求された場合には、モータ駆動のための出力電流I
o1の上限値を、I
max2に係数β(0を超えて1未満)を乗じた値に設定する。すなわち、モータ駆動制御装置102への出力電流が、I
max2×β以下になるように制限する。また、出力端子1016への出力電流I
o2の上限値を、I
max2×(1−β)に設定する。すなわち、出力端子1016への出力電流が、I
max2×(1−β)以下に制限される。
【0151】
このようにβを適切に設定することで、モータ駆動のための出力及び出力端子1016への出力電流の適切な両立が図られる。さらに、簡単な場合分けによる制御であるから、制御部1110bのコストを下げることができる。
【0152】
より具体的には、第1制御部1111bは、セル監視部1120及び温度検知部1118等から取得した情報に基づき電池セル1150の状態を検出して(
図22:ステップS131)、電池セル1150の状態に応じた出力電流の制限値I
o_limitを特定する。
【0153】
出力電流の制限値I
o_limitが最大電流I
max2未満であれば(ステップS133:Yesルート)、第1制御部1111bは、第2制御部1114bに対して出力不可を通知すると共に、電池セル1150の状態に応じた出力電流の制限値I
o_limit以下でモータ駆動のための出力を実行する(ステップS135)。すなわち、モータ駆動のための出力電流が電池セル1150の状態に応じた出力電流の制限値I
o_limit以下に電流供給を制限する。
【0154】
第2制御部1114bは、出力不可の通知に応じて、電力変換部1122bに指示し、出力端子1016への出力電流を遮断して、出力を行わないようにする(ステップS137)。
【0155】
一方、出力電流の制限値I
o_limitが最大電流I
max2であれば(ステップS133:Noルート)、第1制御部1111bは、第2電流検知部1121により出力端子1016をチェックする(ステップS139)。出力端子1016に接続された他の機器109を検出できなければ(ステップS141:Noルート)、第1制御部1111bは、モータ駆動のための出力を、最大電流I
max2まで実行する(ステップS145)。このようにモータ駆動のための出力のみが行われる。
【0156】
一方、出力端子1016に接続された他の機器109を検出できた場合には(ステップS141:Yesルート)、第1制御部1111は、第2制御部1114に対して、最大電流I
max2×(1−β)を通知し、これに応じて、第2制御部1114bは、電力変換部1122bに、最大電流I
max2×(1−β)まで、出力端子1016への出力を行わせる(ステップS143)。すなわち、出力端子1016への出力電流が、最大電流I
max2×(1−β)以下 になるように出力を行う。
【0157】
また、第1制御部1111bは、最大電流I
max2×βまで、モータ駆動のための出力を実行する(ステップS147)。すなわち、モータ駆動のための出力電流が最大電流I
max2×β以下になるように出力を行う。
【0158】
このようにすれば、モータ駆動のための出力電流と出力端子1016への出力電流とに適切に分けることができる。また、制御が簡単で、βを適切に設定することで、電力変換部1122bに用いられる部品などのコストを下げることができる。なお、βのような係数を乗ずるのではなく、係数値を最大値から差し引いた値を、モータ駆動のための出力の電流の上限値に採用し、係数値を、出力端子1016への出力電流の上限値に採用するようにしても良い。
【0159】
本実施の形態についても、電流ベースではなく電力ベースで制御するようにしても良い。
【0160】
なお、最大電流ではなく、最大電流に対して所定のマージンなどを考慮した電流値を採用するようにしても良い。
【0161】
[実施の形態3]
上で述べた第1の実施の形態及び第2の実施の形態では、バッテリ本来の機能である充電及び放電の制御に着目していたが、例えばUSBなどの通信可能な規格に従った端子を設ける場合には、外部の装置と、バッテリパックとのデータ通信が可能になる。
【0162】
例えば、第1の実施の形態と第2の実施の形態とを併せて実装した上で、追加した端子にデータ通信用の端子を含ませるようにする。
【0163】
本実施の形態に係るバッテリパック101cの機能ブロック図を
図23に示す。本実施の形態では、バッテリパック101cには充電及び出力用の端子1018が追加され、当該端子1018には、充電電流又は出力電流用の端子1018a、充電電流及び出力電流が流れる電線に対する接地用の端子1018b、データ通信用の端子1018c、及びデータ通信用の電線に対する接地用の端子1018dが含まれる。
【0164】
本実施の形態に係る回路基板1100cは、制御部1110cを含み、当該制御部1110cは、第1制御部1111cと、スイッチ1112及び1113と、スイッチ保護制御部1116と、スイッチ温度検出素子1117と、セル監視部1120と、温度検知部1118と、第1電流検知部1119と、電池セル温度検出素子1124と、抵抗1115と、第2制御部1114cと、第2電流検知部1121と、電力変換部1122cと、抵抗1123と、通信部1125とを有する。
【0165】
スイッチ1112及びスイッチ1113、スイッチ保護制御部1116、セル監視部1120、温度検知部1118、スイッチ温度検出素子1117、電池セル温度検出素子1124、第1電流検知部1119、第2電流検知部1121並びに抵抗1115は、第1の実施の形態と同様である。
【0166】
第2制御部1114c及び電力変換部1122cは、第1の実施の形態及び第2の実施の形態に係る機能を有する。
【0167】
通信部1125は、第1制御部1111cと端子1018c及び1018dに接続されており、端子1018と接続された外部の装置と第1制御部1111cとの間の通信に係る処理を実行する。
【0168】
例えば、パーソナルコンピュータやスマートフォンなどが外部装置として、ケーブルを介して端子1018に接続されると、第1制御部1111cは、セル監視部1120、温度検知部1118、第1電流検知部1119及び第2電流検知部1121などから、外部装置に出力すべきデータ、例えば各種温度、電圧、電流、電力、電池セル残量といった種々の情報を収集する。本実施の形態に特徴的なデータとしては、端子1018を介して充電された電流量又は電力量、端子1018を介して出力された電流量又は電力量がある。例えば、第2電流検知部1121などによって外部装置が端子1018に接続されたことを検出すると、第1制御部1111cは、通信部1125に、端子1018に接続された外部装置との接続を確立させる。また、外部装置は、データ出力要求を端子1018を介して通信部1125に入力し、これに応じて通信部1125はデータ出力要求を第1制御部1111cに出力する。第1制御部1111cは、データ出力要求を受信したときにのみ、要求に係るデータを、通信部1125を介して外部装置へ出力する。このようにすれば、常にデータを出力することによる消費される電力を低減させることができる。
【0169】
また、モータ駆動制御装置102が、モータ105の回転センサからの信号等に基づき走行距離を算出したり、トルクセンサ103やペダル回転センサ104の信号等に基づき消費カロリーを算出したりする機能を有している場合には、そのようなデータを、第1制御部1111c、通信部1125及び端子1018を介して外部装置に出力する。
【0170】
外部装置には、例えばバッテリパック101c用のドライバ及びアプリケーションプログラムがインストールされており、例えばアプリケーションプログラムによって、バッテリパック101cから得られたデータを表示装置に表示する。上で述べたように、端子1018を介して充電された電流量又は電力量、端子1018を介して出力された電流量又は電力量、走行距離、消費カロリー、電池残量(充電レベル)などを表示装置に表示する。
【0171】
このようにすれば、一般的に電動アシスト自転車1に搭載されている操作パネル106により出力されるデータより多様なデータを、ユーザに対して提示することができるようになる。
【0172】
なお、逆に、制御部1110cやモータ駆動制御装置102に含まれるプログラムの更新データを例えばパーソナルコンピュータから端子1018を介して入力して、プログラムの更新処理を行うことで、より適切なプログラムによる処理の実行を行わせることができるようになる。また、機能拡張も可能になる場合もある。なお、設定データの更新を行うようにしても良い。
【0173】
また、セキュリティの観点から、特定の機器が接続された場合にのみ、データ通信ができるようにするような形や、一般的なパスワードの検証を行ってからデータ通信ができるような形にしたり、別途鍵が挿入された場合にのみデータ通信ができるような形を採用するようにしても良い。
【0174】
[実施の形態4]
バッテリパックに、複数の充電端子を設けることで、並列に充電を行ったり、複数の出力端子を設けることで、複数の機器に対して電力出力を行うようにしても良い。
【0175】
例えば、
図24に示すように、バッテリパック101dに、充電端子1011X及び1011Yを設けると共に、出力端子1016X及び1016Yを設けるようにしても良い。数は、2に限定されず、より多くの端子を設けるようにしても良い。充電端子のみを複数設けたり、出力端子のみを複数設けたりしても良い。さらに、第3の実施の形態のような充電及び出力の両方を行うことができるような端子を複数設けるようにしても良い。
【0176】
図24に示したバッテリパック101dの機能ブロック図を、一点鎖線及び記号PQS及びTを介して接続された
図25A及び
図25Bに示す。
【0177】
本実施の形態に係るバッテリパック101dは、モータ駆動制御装置用の端子群1015a乃至1015cと、充電端子1011X及びYと、出力端子1016X及び1016Yと、回路基板1100eと、電池セル1150とを有する。
【0178】
回路基板1100eは、制御部1110eを有し、制御部1110eは、第1制御部1111eと、スイッチ1112及び1113と、スイッチ保護制御部1116と、スイッチ温度検出素子1117と、セル監視部1120と、温度検知部1118と、第1電流検知部1119と、電池セル温度検出素子1124と、抵抗1115と、第2制御部1114eと、第2電流検知部1121と、第1電力変換部1122eと、抵抗1123と、第3電流検知部1131と、抵抗1132と、第2電力変換部1133と、第4電流検知部1134と、抵抗1135と、第3電力変換部1136と、第5電流検知部1137と、抵抗1138と、第4電力変換部1139とを有する。
【0179】
第2電流検知部1121は、抵抗1123に流れる電流の値を検出し、当該電流は第1電力変換部1122eによって制御され、第2電流検知部1121と抵抗1123と第1電力変換部1122eは、充電端子1011Xと関連付けられている。第2電流検知部1121によって検知された電流の値は、第1制御部1111eに出力される。
【0180】
第3電流検知部1131は、抵抗1132に流れる電流の値を検出し、当該電流は第2電力変換部1133によって制御され、第3電流検知部1131と抵抗1132と第2電力変換部1133は、充電端子1011Yと関連付けられている。第3電流検知部1131によって検知された電流の値は、第1制御部1111eに出力される。
【0181】
第4電流検知部1134は、抵抗1135に流れる電流の値を検出し、当該電流は第3電力変換部1136によって制御され、第4電流検知部1134と抵抗1135と第3電力変換部1136は、出力端子1016Xと関連付けられている。第4電流検知部1134によって検知された電流の値は、第1制御部1111eに出力される。
【0182】
第5電流検知部1137は、抵抗1138に流れる電流の値を検出し、当該電流は第4電力変換部1139によって制御され、第5電流検知部1137と抵抗1138と第4電力変換部1139は、出力端子1016Yと関連付けられている。第5電流検知部1137によって検知された電流の値は、第1制御部1111eに出力される。
【0183】
なお、第1戦力変換部1122eと、第2電力変換部1133と、第3電力変換部1136と、第4電力変換部1139とは、それぞれ電池セル1150に接続されている。
【0184】
第1制御部1111e及び第2制御部1114eは、充電端子1011X及び充電端子1011Yからの全入力電流に対して、第1の実施の形態で述べたような制御を行う。第1制御部1114e及び第2制御部1114eは、出力端子1016X及び1016Yへの全出力電流に対して、第2の実施の形態で述べたような制御を行う。なお、端子毎に優先度を設定するようにしても良い。
【0185】
さらに、第3の実施の形態のように、出力端子1016X及び1016Yや充電端子1011X及び1011Yに、データ通信用の端子を含めるようにしても良い。
【0186】
[実施の形態5]
これまで説明してきた実施の形態では、バッテリパック101とモータ駆動制御装置102とは別々の装置として実装される例を示してきた。しかしながら、コスト削減などの目的で、
図26に示すように、バッテリパック101とモータ駆動制御装置102とを一体化した形で実装する場合もある。
【0187】
図26に、本実施の形態に係るバッテリパック101fの機能ブロック図を示す。バッテリパック101fは、電池セル1150と、制御部1110fと、モータ駆動制御部102bとを含む。
【0188】
制御部1110fは、端子を介することなくモータ駆動制御部102bに接続している点を除き、第3の実施の形態で説明した制御部とほぼ同様である。なお、制御部1110fは、例えばデータ通信用の端子を含む端子1019a乃至dと接続しており、当該端子1019a乃至d及びケーブルを介して例えばスマートフォンのような携帯機器109bとデータ通信ができるようになっている。電池セル1150も、第1乃至第4の実施の形態と同様である。
【0189】
本実施の形態に係る携帯機器109bは、例えば操作パネル106が従来有している機能、すなわち、アシストの有無に関する指示入力、アシスト有りの場合には希望アシスト比等をユーザから受け付けて、当該指示入力等をバッテリパック101fに出力する機能を有するアプリケーションプログラムを実行するようになっている。また、携帯機器109bのアプリケーションプログラムは、第3の実施の形態で説明したように、モータ駆動制御部102bによって演算された結果である走行距離、走行時間、消費カロリー、回生電力量等のデータを表示する機能、制御部1111f及び端子1019を介して充電された電流量又は電力量、制御部1111f及び端子1019を介して出力された電流又は電力量をさらに出力する機能を有する。
【0190】
一方、モータ駆動制御部102bは、モータ駆動演算部1021と、FETブリッジ1022とを有し、FETブリッジ1022は、端子1161を介してモータ105に接続され、モータ駆動演算部1021は、端子1162を介してモータ105の回転センサに接続され、端子1163を介してトルクセンサ103及びペダル回転センサ104に接続されている。モータ駆動演算部1021は、モータ105の回転センサ、トルクセンサ103及びペダル回転センサ104からの信号に基づき所定の演算を行って、FETブリッジ1022のスイッチングを制御することで、モータ105の駆動を制御する。
【0191】
なお、端子1019には、例えばUSB端子を有するケーブルに接続された操作パネル106が接続される場合もある。
【0192】
[その他の実施の形態]
これまでの実施の形態では、電力変換部1122は、電池セル1150の充放電用の端子に接続する実装例を示したが、
図27に示すように、代わりに、スイッチ1112のソースに接続するようにしても良い。
【0193】
また、第5の実施の形態では、バッテリパック101に、モータ駆動制御装置102の機能を一体化させたが、バッテリパック101として電動アシスト自転車1から取り外し可能な形態となっている。しかしながら、第1乃至第3の実施の形態に係る制御については、バッテリパック101ではなく、電動アシスト自転車1のフレームと一体化させた場合であっても実装可能である。
【0194】
さらに、第1の実施の形態では、回生による電流と充電端子1011からの入力電流とが発生している場面を示しているが、回生による電流ではなく、モータ駆動のための出力電流がモータ駆動制御装置102へ出力されている場合もある。このような場合には、回生による電流が0であるものとして制御を行えばよい。
【0195】
また、第2の実施の形態では、モータ駆動のための出力電流と出力端子1016への出力電流とが発生している場面を示しているが、モータ駆動のための出力電流ではなく、回生による電流がモータ駆動制御装置102から入力されている場合もある。このような場合には、モータ駆動のための出力電流が0であるものとして制御すればよい。
【0196】
以上本発明の実施の形態を説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、実施の形態の組み合わせについては、適宜行うことができる。さらに、上記の機能を実現するための回路構成や実装方法は様々な方法を採用できる。
【0197】
なお、バッテリパック101といったケースを有する形で実装する場合には端子はコネクタとして実装されるが、バッテリパック101内部の制御部1110や回路基板1100から見ると、その制御部1110や回路基板1100にはコネクタが設けられておらず、コネクタに接続されるケーブルとの接続部が設けられている場合もある。逆に、制御部1110や回路基板1100にコネクタが設けられている場合もある。従って、これらの両ケースを併せて接続部と呼ぶ場合もある。
【0198】
さらに、上で述べた実施の形態では、電池セルが含まれている例を示したが、キャパシタなどの蓄電デバイスを用いるような形に変更しても良い。その場合には、キャパシタの特性に合わせて充電及び放電を制御する。
【0199】
また、上で述べた実施の形態では、USB端子のように電極同士が接触するような接続について説明したが、電磁誘導その他の手法により非接触にて電流を流すような場合には非接触ではあるが電気的に接続するような接続手法を採用するようにしても良い。さらに、データ通信についても、ケーブルによる接続ではなく、Bluetooth(登録商標)など近距離無線通信によって行われる場合もある。
【0200】
以上述べた本発明の実施の形態をまとめると、以下のようになる。
【0201】
実施の形態の第1の態様に係る制御装置は、(A)人力による動力装置の駆動を制御する駆動制御装置又は動力装置と接続し、蓄電デバイスの充放電に係る電流が流れる第1の接続部と、(B)第1の接続部とは別に設けられ、蓄電デバイスに対する充電に係る電流が電気的接続により流れる第2の接続部と、(C)第1の接続部と第2の接続部とのうち少なくともいずれかを流れる電流を用いた、蓄電デバイスの充放電を制御する制御部とを有する。
【0202】
このように第2の接続部を設けることで、例えば回生による電流による充電に加えて、第2の接続部からの電流にて蓄電デバイスを充電できるようになる。なお、接続部は、端子だけではなく、他の機器、ケーブル、電線その他の導電物間の接続部分や、非接触受給電における接続部をも含むものとする。
【0203】
なお、上で述べた動力装置が、人力による移動体の移動を補助するためのモータである場合もある。例えば、人力による移動体の移動を補助するためのモータであれば、蓄電デバイスの容量は、回生による充電に加えて、例えば移動体の移動中に他の電源装置から供給される電流による充電にて補充可能な容量に留まるので、商用電源に接続された充電器による充電を抑制させることができるようになる。
【0204】
また、上で述べた制御部が、第1の接続部から供給され且つ蓄電デバイスに対する充電に係る第1の電流又は第1の電力と、第2の接続部から供給され且つ蓄電デバイスに対する充電に係る第2の電流又は第2の電力とを検出した場合に、第1の電流又は第1の電力と第2の電流又は第2の電力とを用いて蓄電デバイスの充電を実施するモードを有するようにしても良い。片方のみで充電するモードもあってもよい。
【0205】
さらに、上で述べた制御部が、(c1)第1の接続部から供給され且つ蓄電デバイスに対する充電に係る第1の電流又は第1の電力と、第2の接続部から供給され且つ蓄電デバイスに対する充電に係る第2の電流又は第2の電力とのうち、第1の電流又は第1の電力を優先して、蓄電デバイスに対する充電を行うようにしても良い。典型的には、第1の電流又は第1の電力を優先しないと、移動体の運転に影響が現れる場合があるためである。
【0206】
また、上で述べた制御部が、(c2)第1の接続部から供給され且つ蓄電デバイスに対する充電に係る第1の電流の値又は第1の電力の値と、第2の接続部から供給され且つ蓄電デバイスに対する充電に係る第2の電流の値又は第2の電力の値との和が、第1の所定値以下となるように、又は、ある定数に対する第1の電流の値又は第1の電力の値の比と、ある定数に対する第2の電流の値又は第2の電力の値の比との和が、第2の所定値以下となるように、蓄電デバイスに対する充電を制御するようにしても良い。蓄電デバイスの能力に応じて適切に充電できるようになる。なお、比に基づき充電制御を行う場合は、蓄電デバイスの能力が蓄電デバイスの状態に応じて変化する場合に有用である。
【0207】
さらに、上で述べた制御部が、(c3)第2の接続部から供給され且つ蓄電デバイスに対する充電に係る電流又は電力が検出された場合又は第2の接続部を介した電流入力又は電力入力が要求された場合には、第1の接続部から供給され且つ蓄電デバイスに対する充電に係る電流又は電力による充電を抑制するようにしても良い。例えば、充電制御を簡単化してコスト削減を行うためである。
【0208】
また、上で述べた制御部が、(c4)蓄電デバイスに対する充電に係る電流又は電力の値が上限値よりも制限されている状態において、第2の接続部から供給され且つ蓄電デバイスに対する充電に係る電流又は電力が検出された場合又は第2の接続部からの充電が指示された場合には、第2の接続部から供給され且つ蓄電デバイスに対する充電に係る電流又は電力による充電を抑制又は停止するようにしても良い。より充電制御を簡単化するものである。
【0209】
さらに、上で述べた制御部が、(c5)第1の接続部から供給され且つ蓄電デバイスに対する充電に係る第1の電流又は第1の電力と、第2の接続部から供給され且つ蓄電デバイスに対する充電に係る第2の電流又は第2の電力とのうち、第2の電流又は第2の電力を優先して、蓄電デバイスに対する充電を行うようにしても良い。例えば、回生能力が低いモータを用いている場合、又は第1の接続部に商用電源が接続された充電器が接続された場合には、このように第2の電流又は第2の電力を優先する方が好ましいためである。
【0210】
なお、上で述べた第1の接続部には、充電器をも接続できるようになっている場合もある。
【0211】
第1の態様に係る制御装置は、(D)第1の接続部とは別に設けられ、蓄電デバイスの放電に係る電流が電気的接続により流れる第3の接続部をさらに有するようにしても良い。この場合、上で述べた制御部が、(d1)第1の接続部から供給され且つ蓄電デバイスの放電に係る第3の電流又は第3の電力と、第3の接続部から供給され且つ蓄電デバイスの放電に係る第4の電流又は第4の電力とのうち、第3の電流又は第3の電力を優先して出力するように制御するようにしても良い。
【0212】
このように第3の接続部を設けることで、例えば動力装置への出力に加えて、第3の接続部からの出力ができるようになる。なお、第3の接続部は、第2の接続部と共用される場合もある。また、典型的には、第3の電流又は第3の電力を優先しないと、移動体の運転に影響が現れる場合があるためである。
【0213】
また、上で述べた制御部が、(d2)第1の接続部から供給され且つ蓄電デバイスからの放電に係る第3の電流の値又は第3の電力の値と、第3の接続部から供給され且つ蓄電デバイスからの放電に係る第4の電流の値又は第4の電力の値との和が、第3の所定値以下となるように、又は、ある定数に対する第3の電流の値又は第3の電力の値の比と、ある定数に対する第4の電流の値又は第4の電力の値の比との和が、第4の所定値以下となるように、蓄電デバイスの放電を制御するようにしても良い。蓄電デバイスの能力に応じて適切に放電できるようになる。なお、比に基づき放電制御を行う場合は、蓄電デバイスの能力が蓄電デバイスの状態に応じて変化する場合に有用である。
【0214】
さらに、上で述べた制御部が、(d3)第3の接続部を介した電流出力又は電力出力が要求された場合には、第1の接続部から供給され且つ蓄電デバイスの放電に係る電流の値又は電力の値を抑制するようにしても良い。例えば、放電制御を簡単化してコスト削減を行うためである。
【0215】
また、上で述べた制御部が、(d4)蓄電デバイスの放電に係る電流の値又は電力の値が上限値よりも制限されている状態において、第3の接続部を介した電流出力又は電力出力が要求された場合には、第3の接続部から供給され且つ蓄電デバイスの放電に係る電流の値又は電力の値を抑制又はゼロにするようにしても良い。より充電制御を簡単化するものである。
【0216】
さらに、上で述べた制御部が、(d5)第1の接続部から供給され且つ蓄電デバイスの放電に係る第3の電流又は第3の電力と、第3の接続部から供給され且つ蓄電デバイスの放電に係る第4の電流又は第4の電力とのうち、第4の電流又は第4の電力を優先して出力するように制御するようにしても良い。例えば、第3の接続部に接続されている機器の種類(例えば保温又は保湿など)によっては、このように第4の電流又は第4の電力を優先する方が好ましいためである。
【0217】
第1の態様に係る制御装置は、(E)第1の接続部とは別に設けられ、データの入力及び出力の少なくとも一方を有線又は無線で行うための第4の接続部をさらに有するようにしても良い。これによって、データの入力や内部データを外部に出力できるようになる。
【0218】
さらに、上で述べた制御装置が、(e1)第2の接続部を介した充電に係る電流量又は電力量を第4の接続部を介して出力するようにしても良い。さらに、(e1)第3の接続部を介して出力された電流量又は電力量を第4の接続部を介して出力するようにしても良い。第2の接続部又は第3の接続部を設けることによって得られるようになったデータを出力するものである。
【0219】
さらに、上で述べた制御装置が、(F)第1の接続部とは別に設けられ、データの入力及び出力を有線又は無線で行うための第5の接続部をさらに有するようにしても良い。この場合、上で述べた制御部は、(f1)第2の接続部を介した充電に係る電流量又は電力量を、第5の接続部を介して要求された場合に第5の接続部を介して出力するようにしても良い。また、上で述べた制御部は、(f2)第3の接続部を介して出力された電流量又は電力量を、第5の接続部を介して要求された場合に第5の接続部を介して出力するようにしても良い。
【0220】
なお、このような制御装置を有する蓄電装置を構成することも可能である。さらに、このような制御装置と駆動制御装置とを有する蓄電装置を構成することも可能である。さらに、このような制御装置を有する移動体システムを構成することも可能である。
【0221】
本実施の形態の第2の態様に係る制御装置は、(A)人力による動力装置の駆動を制御する駆動制御装置又は動力装置と接続し、蓄電デバイスの充放電に係る電流が流れる第1の接続部と、(B)第1の接続部とは別に設けられ、蓄電デバイスの放電に係る電流が電気的接続により流れる第2の接続部と、(C)第1の接続部と第2の接続部とのうち少なくともいずれかを流れる電流を用いた、蓄電デバイスの充放電を制御する制御部とを有する。
【0222】
本実施の形態の第3の態様に係る制御方法は、人力を補助する動力装置の駆動を制御する駆動制御装置又は動力装置と接続し、蓄電デバイスの充放電に係る電流が流れる第1の接続部と、第1の接続部とは別に設けられ、蓄電デバイスに対する充電に係る電流が電気的接続により流れる第2の接続部とを有する、蓄電デバイスの充放電制御装置により実行される。そして、制御方法は、(A)第1の接続部から供給され且つ蓄電デバイスに対する充電に係る第1の電流の値又は第1の電力の値を検知するステップと、(B)(b1)第1の電流の値又は第1の電力の値と、第2の接続部から供給され且つ蓄電デバイスに対する充電に係る第2の電流の値又は第2の電力の値との和が、第1の所定値以下となるように、又は、(b2)ある定数に対する第1の電流の値又は第1の電力の値の比と、ある定数に対する第2の電流の値又は第2の電力の値の比との和が、第2の所定値以下となるように、蓄電デバイスに対する充電を制御するステップとを含む。
【0223】
本実施の形態の第4の態様に係る制御方法は、同様の充放電制御装置により実行され、(A)第1の接続部から供給され且つ蓄電デバイスからの放電に係る第1の電流の値又は第1の電力の値を検知するステップと、(B)(b1)第1の電流の値又は第1の電力の値と、第2の接続部から供給され且つ蓄電デバイスからの放電に係る第2の電流の値又は第2の電力の値との和が、第1の所定値以下となるように、又は、(b2)ある定数に対する第1の電流の値又は第1の電力の値の比と、ある定数に対する第2の電流の値又は第2の電力の値の比との和が、第2の所定値以下となるように、蓄電デバイスの放電を制御するステップとを含む制御方法。
【0224】
このような構成は、実施の形態に述べられた事項に限定されるものではなく、実質的に同一の効果を奏する他の構成にて実施される場合もある。