(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施形態について、図面を参照して説明する。なお、図面は模式的なものであり、例えば厚さと平面寸法との関係、各層の厚さの比率等は現実のものとは異なる場合がある。また、実施形態において、実質的に同一の構成要素には同一の符号を付し説明を省略する。
【0009】
図1は、半導体装置の側面模式図である。
図2は、半導体装置の平面模式図である。
図1および
図2に示す半導体装置10は、筐体1と、回路基板2と、プラグ3と、を具備する。なお、
図1および
図2では、便宜のため、一部の構成要素は図示されていない。
【0010】
筐体1は、回路基板2を覆うように設けられている。筐体1は、絶縁性を有し、例えばポリ塩化ビニル等の合成樹脂等により形成される。筐体1は、差込穴11aと溝11bとを有する筐体部11と、内壁に差込穴11aおよび溝11bを有する開口部1aを筐体部11との間に有するように筐体部11に結合された筐体部12と、を備える。換言すると、開口部1aの内壁は、差込穴11aを有する第1の内壁部と、開口部1aの深さ方向において第1の内壁部の位置よりも深い位置に設けられた溝11bを有する第2の内壁部と、を有する。差込穴11aの平面形状は矩形状であるが、これに限定されず円状であってもよい。差込穴11aは、貫通穴であってもよい。また、差込穴11aは溝11bと連続する一つの開口部として設けられていてもよい。
【0011】
回路基板2は、差込穴11aの全部に重畳しないように開口部1aの第2の内壁部に設けられている。回路基板2は、
図1および
図2に示す回路基板2はSiP(System in a Package:SiP)であるがこれに限定されない。回路基板2は、開口部1aの内壁に接して固定されていてもよい。
【0012】
回路基板2は、面21aと面21aの反対側に位置する面21bとを有する配線基板21と、面21a上に搭載されたメモリチップ22と、面21a上に搭載され、配線基板21を介してメモリチップ22に電気的に接続されたコントローラチップ23と、メモリチップ22およびコントローラチップ23を封止する封止樹脂層24と、を具備する。回路基板2は、例えば配線基板21上のメモリチップ22およびコントローラチップ23を封止樹脂層24により封止した後、パッケージダイシングを行うことにより形成される。よって、面21aの全体が封止樹脂層24に覆われていてもよい。
【0013】
配線基板21は、面21a上に設けられた複数の接続パッドと、面21b上、すなわちメモリチップ22およびコントローラチップ23の搭載面の反対側に位置する面に設けられ、接続パッド211を含む複数の接続パッドと、を有する。面21aおよび面21b上に設けられた複数の接続パッドを介してメモリチップ22とコントローラチップ23とが電気的に接続される。面21a上の接続パッドは、例えば配線基板21を貫通するビアを介して面21b上の接続パッドに電気的に接続することができる。配線基板21としては、例えば表面に設けられた接続パッドを備える配線層を有する、ガラスエポキシ等の樹脂基板等を用いることができる。
【0014】
メモリチップ22は、例えば複数積層された半導体チップを有する。複数の半導体チップは、接着層を介して一部が重畳するように互いに接着される。複数の半導体チップは、ワイヤボンディングによりそれぞれの半導体チップに設けられた電極を接続することにより電気的に接続される。半導体チップとしては、例えばNANDフラッシュメモリ等の記憶素子を有するメモリチップ等を用いることができる。このとき、半導体チップは、メモリセルに加え、デコーダ等を備えていてもよい。
【0015】
コントローラチップ23は、メモリチップ22に記憶されたデータの書き込みおよび読み出し動作の実行を制御する。コントローラチップ23には、半導体チップを用い、例えばワイヤボンディングにより半導体チップに設けられた電極パッドと配線基板21に設けられた接続パッドとを接続することにより配線基板21に電気的に接続される。
【0016】
メモリチップ22およびコントローラチップ23と配線基板21との接続方法としては、ワイヤボンディングに限定されず、フリップチップボンディングやテープオートメーテッドボンディング等のワイヤレスボンディングを用いてもよい。また、配線基板21の面21aにメモリチップ22とコントローラチップ23とを積層させたTSV(Through Silicon Via:TSV)方式等の3次元実装構造を用いてもよい。
回路基板2は、メモリチップ22およびコントローラチップ23の代わりに他の半導体チップや受動部品を有していてもよい。また、メモリチップ22とコントローラチップ23の位置は逆であってもよい。
【0017】
封止樹脂層24は、メモリチップ22およびコントローラチップ23を覆うように、配線基板21の面21a上に設けられている。封止樹脂層24は、SiO
2等の無機充填材を含有する。また、無機充填材は、SiO
2に加え、例えば水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、窒化ホウ素、酸化チタン、またはチタン酸バリウム等を含んでいてもよい。無機充填材は、例えば粒状であり、封止樹脂層24の粘度や硬度等を調整する機能を有する。封止樹脂層24中の無機充填材の含有量は、例えば60%以上90%以下である。封止樹脂層24としては、例えば無機充填材と絶縁性の有機樹脂材料との混合物を用いることができる。有機樹脂材料としては、例えばエポキシ樹脂が挙げられる。
【0018】
封止樹脂層24の形成法としては、例えば無機充填材と有機樹脂等との混合物を用いた、トランスファモールド法、コンプレッションモールド法、インジェクションモールド法、シートモールド法、または樹脂ディスペンス法等が挙げられる。
【0019】
図3は、プラグの構造例を示す模式図である。
図3に示すプラグ3は、筐体31と、端子部32と、を備える。プラグ3としては、例えばUSB2.0またはUSB3.0のコネクタを構成するプラグが挙げられる。USB規格の一つであるUSB3.0では、USB2.0との互換性を保ちながら、USB2.0の10倍以上の転送速度を有する高速転送を行うことが可能である。なお、プラグ3は、USB2.0およびUSB3.0以外のUSB規格のコネクタを構成してもよい。
【0020】
筐体31は、面31a(下面)と、面31aの反対側に位置する面31b(上面)と、面31aまたは面31bに垂直な方向に沿って設けられた面31c(左側面)と、面31cの反対側に位置する面31d(右側面)とを含む外周面と、外周面に囲まれ、プラグ3の長さ方向に延在する中空部311と、筐体31から面31aまたは面31bと異なる方向に沿って延在する固定用突起31eと、を有する。なお、筐体31の外周面は、5面以上の面を有していてもよい。
【0021】
図3において、固定用突起31eは、プラグ3の基端(面31bの基端)において、面31c側および面31d側のそれぞれに設けられている。固定用突起31eは、面31bから面31bに垂直な方向(下方向)に沿って延在する。なお、固定用突起31eは、例えば面31aから下方向に突出するように設けられていてもよい。
【0022】
固定用突起31eは、
図1および
図2に示すように、差込穴11aと嵌合される。このとき、筐体部11は面31aに接し、筐体部12は面31bに接している。これにより、プラグ3は、上下方向から挟み込まれる。
図1の筐体部11において、筐体部11と面31aとの接触部の厚さおよび筐体部11と面31bとの接触部の厚さは、固定用突起31eと差込穴11aとの嵌合部の厚さよりも薄い。これにより、半導体装置10を薄くすることができる。なお、固定用突起31eは、筐体部11に埋め込まれていてもよい。
【0023】
端子部32は、例えばポリ塩化ビニル等の合成樹脂等の絶縁部321と、絶縁部321上に設けられた複数の接続端子322と、を有する。接続端子322としては、例えば銅等を用いることができる。また、接続端子322としては、例えば銅合金(例えばベリリウム銅、リン青銅、コバルト銅)やニッケル合金(例えばベリリウムニッケル)等の材料を用いてもよい。
【0024】
複数の接続端子322のそれぞれは、プラグ3の先端から基端に沿って設けられ、中空部311の内部から外部に延在している。プラグ3の先端側の中空部311内において、接続端子322の一端は露出している。複数の接続端子322は、レセプタクルに接続可能な外部接続端子としての機能を有する。
【0025】
プラグ3の基端において、接続端子の322の他端は、
図1および
図2に示すように、はんだ5を介して接続パッド211に電気的に接続されている。接続端子322は、中空部311の内部から外部に延在し、第1の接続パッドに電気的に接続されている。なお、接続端子322は、中空部311の内部に設けられた外部接続端子と、当該外部接続端子に電気的に接続され、中空部311の外部に延在し、はんだ5を介して接続パッド211に電気的に接続された内部接続端子と、を有していてもよい。
【0026】
半導体装置10をレセプタクルに接続させる場合、プラグ3の先端側の中空部311内において露出された接続端子322は、レセプタクルの接続端子に接触する。これにより、半導体装置10と、レセプタクルを具備する情報機器との間でUSBによるデータ転送を行うことができる。
【0027】
接続端子322としては、電源端子(VBUS)、差動信号である通常転送用のデータ信号のための信号端子(D+、D−)、およびグランド端子(GND)等のUSB2.0またはUSB3.0によるデータ転送に必要な接続端子や、差動信号である高速転送用の送信データ信号のための信号端子(SSTX+、SSTX−)、差動信号である高速転送用の受信データ信号のための信号端子(SSRX+、SSRX−)等のUSB3.0による高速転送に必要な接続端子等が設けられる。
図3では、一例として電源端子(VBUS)、通常転送用のデータ信号のための信号端子(D+、D−)、およびグランド端子(GND)の4本の接続端子322を図示している。
【0028】
接続端子322の一部を配線基板21の接続パッド211に電気的に接続する場合やプラグ3自体を配線基板21に電気的に接続する場合、例えばSMT(Surface Mount Technology:SMT)等のはんだ接合により接合が行われる。しかしながら、SMT等のはんだ接合は、コストが高いため、はんだ接合箇所が増えるとその分製造コストが高くなってしまう。このように、USBによるデータ転送が可能な半導体装置では、はんだ接合箇所を可能な限り少なくし、安価に製造が可能な構造が求められている。
【0029】
上記半導体装置では、回路基板の代わりに筐体に差込穴を設け、プラグの固定用突起を差込穴に嵌合させることにより、プラグを固定する。仮に、回路基板とプラグとを固定する場合、固定強度を高めるためにSMTによるはんだ接合で回路基板とプラグとを機械的に接続することが必要となる。また、封止樹脂層に差込穴を形成する場合、封止状態が悪化する等の問題がある。よって、プラグの固定用突起を筐体の差込穴に嵌合させてプラグを固定することにより、SMTによるはんだ接合箇所の増加を抑制しつつ、プラグを固定することができる。よって、例えば製造コストを低減することができる。また、回路基板に差込穴を設ける必要がないため、封止状態が保持され、また回路基板を小さくすることができる。
【0030】
また、プラグを筐体に嵌合させて固定する場合、嵌合部が一方向のみであると例えばプラグに外力が与えられ、プラグの接続端子と回路基板の接続パッドとの間の接続部に力が加わる。よって、接続端子の変形等によりプラグと回路基板との間の接続不良が生じる場合がある。
【0031】
上記半導体装置では、プラグを筐体に嵌合させるとともに筐体がプラグの筐体部の第1の面と第1の面の反対側に位置する第2の面に接している。筐体により、プラグを複数の方向から支持することができるため、プラグの接続端子と回路基板の接続パッドとの間の接続不良の発生を抑制することができる。
【0032】
半導体装置10の構造は、上記構造に限定されない。
図4は、半導体装置の他の構造例を示す側面模式図である。
図5は、半導体装置の他の構造例を示す平面模式図である。
【0033】
図4および
図5に示す半導体装置は、
図1および
図2に示す半導体装置と比較して筐体1が面31cおよび面31dに接している構成が異なる。すなわち、筐体1は、面31aないし面31dに接して外周面の基端を含む一部(筐体31の基端を含む一部)を囲むように設けられている。
【0034】
上記半導体装置では、プラグを筐体に嵌合させるとともに筐体がプラグの筐体部の第1の面と第1の面の反対側の第2の面と第1の面または第2の面に垂直に設けられた第3の面に接している。筐体により、プラグを複数の方向から支持することができるため、プラグの接続端子と回路基板の接続パッドとの間の接続不良の発生を抑制することができる。
【0035】
次に、上記半導体装置の製造方法例について
図6および
図7を参照して説明する。
図6および
図7は、半導体装置の製造方法例を説明するための図である。
【0036】
上記半導体装置の製造方法例では、
図6に示すように、差込穴11aと溝11bとプラグ3を支持するための領域11cとを有する筐体部11を準備する。筐体部11は、例えば金型に樹脂を流し込んで固化させることにより所望の形状に成形される。領域11cは、差込穴11aよりも筐体部11の先端側に設けられている。溝11bは、差込穴11aよりも筐体部11の基端側に設けられている。
【0037】
次に、溝11b上に回路基板2を載置する。また、プラグ3を準備し、面31aを領域11cに接触させつつ、固定用突起31eを差込穴11aと嵌合させてプラグ3の一部を筐体部11上に載置する。さらに、接続端子322の基端を例えばSMT等のはんだ接合によりはんだ5を介して接続パッド211に電気的に接続する。
【0038】
インサート成形により筐体部11とプラグ3とを固着してもよい。インサート成形とは、金型内に挿入した金属部品の周りに樹脂を注入して金属と樹脂を一体化する成形方法である。このとき、固定用突起31eは、筐体部11に埋め込まれるように固着されている。
【0039】
次に、
図7に示すように、プラグ3を支持するための領域12aを有する筐体部12を準備する。筐体部12は、例えば金型に樹脂を流し込んで固化させることにより所望の形状に形成される。領域12aは、筐体部12の先端側に設けられている。なお、筐体部11と同様に筐体部12に溝を設け、筐体部11の溝11bと筐体部12の溝とを対向させながら筐体部11と筐体部12とを結合させてもよい。
【0040】
次に、側壁に差込穴11aを有する開口部を筐体部11と筐体部12との間に形成するように筐体部11に筐体部12を結合させる。このとき、例えばスナップフィット等を用いて筐体部11と筐体部12とを結合させてもよい。スナップフィットを用いた結合法では、筐体部11および筐体部12の一方に凸部を設け、他方に凹部を設け、材料の弾性を利用して凸部を凹部に嵌めこんで引っかけることにより筐体部11と筐体部12とを結合させる。また、接着剤等を用いて筐体部11と筐体部12とを互いに貼り合わせてもよい。上記工程により、半導体装置10を製造することができる。
【0041】
なお、各実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施し得るものであり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。