(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6495800
(24)【登録日】2019年3月15日
(45)【発行日】2019年4月3日
(54)【発明の名称】負荷時タップ切換器用限流抵抗器
(51)【国際特許分類】
H01C 3/16 20060101AFI20190325BHJP
H01F 29/04 20060101ALI20190325BHJP
【FI】
H01C3/16
H01F29/04 502F
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-208829(P2015-208829)
(22)【出願日】2015年10月23日
(65)【公開番号】特開2017-84867(P2017-84867A)
(43)【公開日】2017年5月18日
【審査請求日】2018年5月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000262
【氏名又は名称】株式会社ダイヘン
(74)【代理人】
【識別番号】100064469
【弁理士】
【氏名又は名称】菊池 新一
(74)【代理人】
【識別番号】100099612
【弁理士】
【氏名又は名称】菊池 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100073450
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 英俊
(72)【発明者】
【氏名】武田 学
【審査官】
田中 晃洋
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭60−124801(JP,A)
【文献】
特開2014−183122(JP,A)
【文献】
特開平05−114521(JP,A)
【文献】
特開2014−116402(JP,A)
【文献】
実開昭62−078704(JP,U)
【文献】
実開昭54−079642(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01C 3/16
H01F 29/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
負荷時タップ切換器が変圧器のタップを切り換える過程で過電流が流れるのを抑制するために用いる負荷時タップ切換器用限流抵抗器において、
電気抵抗を有する金属を素材として形成されたコイルからなる本体部と該本体部の軸線方向の一端及び他端にそれぞれ一体に形成された一方及び他方の端末部とを有して前記素材が外面に露呈された空心コイル状の限流抵抗体と、
一定の距離を隔てて対向配置された一対の抵抗体支持部を有して該一対の抵抗体支持部の間に前記限流抵抗体の本体部の少なくとも一部を配置するスペースが形成された絶縁フレームと、
を備え、
前記限流抵抗体は、自立性を有するように形成されていて、その本体部の少なくとも一部が前記絶縁フレームの前記スペースに配置された状態でその一方の端末部及び他方の端末部がそれぞれ前記絶縁フレームの一対の抵抗体支持部の一方及び他方に締結されることにより前記絶縁フレームに支持されていること、
を特徴とする負荷時タップ切換器用限流抵抗器。
【請求項2】
負荷時タップ切換器が変圧器のタップを切り換える過程で過電流が流れるのを抑制するために用いる負荷時タップ切換器用限流抵抗器において、
電気抵抗を有する金属を素材として形成されたコイルからなる本体部と該本体部の一端及び他端にそれぞれ一体に形成された一方及び他方の端末部とを有して前記素材が外面に露呈された空心コイル状の第1の限流抵抗体と、
前記第1の限流抵抗体と同様にコイルからなる本体部と、該本体部の軸線方向の一端及び他端にそれぞれ一体に形成された一方及び他方の端末部とを有して素材が外面に露呈されているが、本体部の外径が前記第1の限流抵抗体の本体部の内径よりも小さく設定されている空心コイル状の第2の限流抵抗体と、
一定の距離を隔てて対向配置された一対の抵抗体支持部を有して該一対の抵抗体支持部の間に前記第1及び第2の限流抵抗体の本体部の少なくとも一部を配置するスペースが形成された絶縁フレームと、
を備え、
前記第1及び第2の限流抵抗体は、自立性を有するように形成されていて、第2の限流抵抗体の本体部が第1の限流抵抗体の本体部の内側に配置され、
前記第1の限流抵抗体の本体部及び該第1の限流抵抗体の本体部の内側に配置された第2の限流抵抗体の本体部の少なくとも一部が前記絶縁フレームの前記スペースに配置されて、それぞれの一方の端末部及び他方の端末部がそれぞれ前記絶縁フレームの一対の抵抗体支持部の一方及び他方に締結され、
前記第1及び第2の限流抵抗体の一方の端末部どうし及び他方の端末部どうしが電気的に接続されることにより、前記第1及び第2の限流抵抗体が並列に接続されていること、
を特徴とする負荷時タップ切換器用限流抵抗器。
【請求項3】
前記第1の限流抵抗体の本体部及び第2の限流抵抗体の本体部は、それぞれの中心軸線を一致させ、かつそれぞれを構成するコイルの巻回方向を逆にした状態で配置されていることを特徴とする請求項2に記載の負荷時タップ切換器用限流抵抗器。
【請求項4】
負荷時タップ切換器が変圧器のタップを切り換える過程で過電流が流れるのを抑制するために用いる負荷時タップ切換器用限流抵抗器において、
電気抵抗を有する金属を素材として形成されたコイルからなる本体部と該本体部の一端及び他端にそれぞれ一体に形成された一方及び他方の端末部とを有して前記素材が外面に露呈された空心コイル状の第1の限流抵抗体と、
前記第1の限流抵抗体と同様にコイルからなる本体部と、該本体部の軸線方向の一端及び他端にそれぞれ一体に形成された一方及び他方の端末部とを有して素材が外面に露呈されているが、本体部の外径が前記第1の限流抵抗体の本体部の内径よりも小さく設定されている空心コイル状の第2の限流抵抗体と、
一定の距離を隔てて対向配置された一対の抵抗体支持部を有して該一対の抵抗体支持部の間に前記第1及び第2の限流抵抗体の本体部の少なくとも一部を配置するスペースが形成された絶縁フレームと、
を備え、
前記第1及び第2の限流抵抗体は、自立性を有するように形成されていて、第2の限流抵抗体の本体部が第1の限流抵抗体の本体部の内側に配置され、
前記第1の限流抵抗体の本体部及び該第1の限流抵抗体の本体部の内側に配置された第2の限流抵抗体の本体部の少なくとも一部が前記絶縁フレームの前記スペースに配置されて、それぞれの一方の端末部及び他方の端末部がそれぞれ前記絶縁フレームの一対の抵抗体支持部の一方及び他方に締結され、
前記第1の限流抵抗体及び第2の限流抵抗体が互いに直列に接続されていること、
を特徴とする負荷時タップ切換器用限流抵抗器。
【請求項5】
前記第1及び第2の限流抵抗体は、それぞれの中心軸線を一致させ、かつそれぞれの本体部を構成するコイルの巻回方向を同じにした状態で配置されて、両限流抵抗体の一方の端末部どうし又は他方の端末部どうしが電気的に接続されることにより、両限流抵抗体が互いに直列に接続されていることを特徴とする請求項4に記載の負荷時タップ切換器用限流抵抗器。
【請求項6】
前記絶縁フレームの一対の抵抗体支持部を連結する連結部は一対設けられていて、該一対の連結部が、前記一対の抵抗体支持部の対向方向に対して直角な方向に間隔を隔てて配置され、前記一対の抵抗体支持部と一対の連結部とにより囲まれた空間が前記第1及び第2の限流抵抗体の本体部を配置するスペースを構成していることを特徴とする請求項1ないし5の何れか一つに記載の負荷時タップ切換器用限流抵抗器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力系統の線路電圧を調整する電圧調整装置に設ける負荷時タップ切換器に用いる限流抵抗器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に示されているように、電力系統においては、系統の線路電圧を入力として線路に印加する調整電圧を出力するタップ付きの変圧器と、該変圧器のタップを切り換える負荷時タップ切換器とを備えた自動電圧調整装置を設けて、線路電圧に応じて、変圧器のタップを切り換えて調整電圧を切り換えることにより、線路電圧を目標とする範囲に保つようにしている。
【0003】
負荷時タップ切換器においては、変圧器のタップを切り換える過程で過渡的に流れる過電流を抑制するために、限流抵抗器を設けている。負荷時タップ切換器は、例えば、特許文献1に示されているように、タップ巻線の奇数タップと偶数タップとを交互に選択するタップ選択器と、負荷電流を流すタップを奇数タップから偶数タップに又は偶数タップから奇数タップに切り換える切換開閉器とにより構成される。この種の負荷時タップ切換器においては、タップを切り換える過程でタップ巻線の隣接タップ間を限流抵抗器を介して橋絡することにより、タップ間を通して流れる循環電流を抑制するようにしている。
【0004】
また特許文献2に示されているように、一次側が線路に対して並列に接続されたタップ付きの調整変圧器からタップ切換器を通して出力される調整電圧を、2次側が線路に直列に接続された直列変圧器の一次側に印加して、調整電圧を直列変圧器を通して線路に印加するようにした間接切換式の自動電圧調整装置においては、タップ切換の過程で直列変圧器の一次側が開放状態になって直列変圧器の一次側からタップ切換器に過電圧が印加されるのを防ぐために、タップ切換器の出力端子間に橋絡用スイッチを通して限流抵抗器を接続しておいて、タップ切換の過程で橋絡用スイッチを一時的にオン状態にすることにより、直列変圧器の一次側が開放状態になるのを防ぐようにしている。
【0005】
負荷時タップ切換器に用いる限流抵抗器としては、特許文献3に示されているように、ニクロム線等の固有抵抗値が大きい金属からなる抵抗線をコイル状に巻回することにより、限流抵抗体を構成したものが多く用いられている。従来は、抵抗線として線径が比較的小さい柔軟なものを用いていたため、限流抵抗体を構成するコイルの隣接ターンが接触して抵抗値が変化するのを防ぐために、特許文献3に示されているように、抵抗線を絶縁材からなる巻枠の外周に設けた螺線状の溝に沿って巻回する構造を採用していた。また抵抗線に絶縁被覆を施すことにより、コイルの隣接ターン間の接触を防ぐようにしたものも知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−175749号公報
【特許文献2】特開2014−116402号公報
【特許文献3】特開昭60−124801号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
限流抵抗器は、通電した際に多くの熱を発生するため、温度上昇を抑制するために放熱を効率よく行うことが必要とされる。しかしながら、従来の限流抵抗器は、熱伝導性が悪い絶縁物からなる巻枠の外周の溝に沿って抵抗線を巻回する構造を採用していたため、放熱を効率よく行なわせることが難しく、抵抗器の温度上昇を抑制することが難しいという問題があった。また抵抗線に絶縁被覆を施した場合には、抵抗線からの放熱が更に悪くなるため、抵抗器の温度が高くなり、絶縁被覆の劣化が早期に進んで、抵抗器の寿命が短くなるのを避けられなかった。
【0008】
本発明の目的は、放熱性を良好にして、従来よりも温度上昇を抑制することができるようにした負荷時タップ切換器用限流抵抗器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、負荷時タップ切換器が変圧器のタップを切り換える過程で過電流が流れるのを抑制するために用いる負荷時タップ切換器用限流抵抗器を対象とする。本願明細書では、上記の目的を達成するために、少なくとも以下に示す第1の発明ないし第6の発明が開示される。
【0010】
<第1の発明>
第1の発明に係る限流抵抗器は、電気抵抗を有する金属を素材として形成されたコイルからなる本体部と該本体部の軸線方向の一端及び他端にそれぞれ一体に形成された一方及び他方の端末部とを有して前記素材が外面に露呈された空心コイル状の限流抵抗体と、一定の距離を隔てて対向配置された一対の抵抗体支持部を有して該一対の抵抗体支持部の間に限流抵抗体の本体部の少なくとも一部を配置するスペースが形成された絶縁フレームとを備えている。上記限流抵抗体は、自立性を有するように形成されていて、その本体部の少なくとも一部が絶縁フレームの前記スペースに配置された状態でその一方の端末部及び他方の端末部がそれぞれ絶縁フレームの一対の抵抗体支持部の一方及び他方に締結されることにより絶縁フレームに支持されている。
【0011】
<第2の発明>
第2の発明では、電気抵抗を有する金属を素材として形成されたコイルからなる本体部と該本体部の一端及び他端にそれぞれ一体に形成された一方及び他方の端末部とを有して前記素材が外面に露呈された空心コイル状の第1の限流抵抗体と、この第1の限流抵抗体と同様にコイルからなる本体部と、該本体部の軸線方向の一端及び他端にそれぞれ一体に形成された一方及び他方の端末部とを有して素材が外面に露呈されているが、本体部の外径が前記第1の限流抵抗体の本体部の内径よりも小さく設定されている空心コイル状の第2の限流抵抗体と、一定の距離を隔てて対向配置された一対の抵抗体支持部を有して一対の抵抗体支持部の間に第1及び第2の限流抵抗体の本体部の少なくとも一部を配置するスペースが形成された絶縁フレームとが設けられる。この場合、第1及び第2の限流抵抗体は、自立性を有するように形成されていて、第2の限流抵抗体の本体部が第1の限流抵抗体の本体部の内側に配置される。また第1の限流抵抗体の本体部及び該第1の限流抵抗体の本体部の内側に配置された第2の限流抵抗体の本体部の少なくとも一部が絶縁フレームの前記スペースに配置されて、それぞれの一方の端末部及び他方の端末部がそれぞれ絶縁フレームの一対の抵抗体支持部の一方及び他方に締結され、第1及び第2の限流抵抗体の一方の端末部どうし及び他方の端末部どうしが電気的に接続されることにより、第1及び第2の限流抵抗体が並列に接続される。
【0012】
<第3の発明>
第3の発明は、第2の発明に適用されるもので、本発明においては、第1の限流抵抗体の本体部及び第2の限流抵抗体の本体部が、それぞれの中心軸線を一致させ、かつそれぞれを構成するコイルの巻回方向を逆にした状態で配置されている。
【0013】
<第4の発明>
第4の発明においても、電気抵抗を有する金属を素材として形成されたコイルからなる本体部と該本体部の一端及び他端にそれぞれ一体に形成された一方及び他方の端末部とを有して前記素材が外面に露呈された空心コイル状の第1の限流抵抗体と、第1の限流抵抗体と同様にコイルからなる本体部と、該本体部の軸線方向の一端及び他端にそれぞれ一体に形成された一方及び他方の端末部とを有して素材が外面に露呈されているが、本体部の外径が第1の限流抵抗体の本体部の内径よりも小さく設定されている空心コイル状の第2の限流抵抗体と、一定の距離を隔てて対向配置された一対の抵抗体支持部を有して一対の抵抗体支持部の間に第1及び第2の限流抵抗体の本体部を配置するスペースが形成された絶縁フレームとが設けられる。本発明においても、第1及び第2の限流抵抗体は、自立性を有するように形成されていて、第2の限流抵抗体の本体部が第1の限流抵抗体の本体部の内側に配置されている。そして、第1の限流抵抗体の本体部及び該第1の限流抵抗体の本体部の内側に配置された第2の限流抵抗体の本体部の少なくとも一部が絶縁フレームのスペースに配置されて、それぞれの一方の端末部及び他方の端末部がそれぞれ絶縁フレームの一対の抵抗体支持部の一方及び他方に締結され、第1の限流抵抗体及び第2の限流抵抗体が互いに直列に接続されている。
【0014】
<第5の発明>
第5の発明は第4の発明に適用されるもので、本発明においては、第1及び第2の限流抵抗体が、それぞれの本体部の中心軸線を一致させ、かつそれぞれの本体部を構成するコイルの巻回方向を同じにした状態で配置されて、両限流抵抗体の一方の端末部どうし又は他方の端末部どうしが電気的に接続されることにより、両限流抵抗体が互いに直列に接続されている。
【0015】
<第6の発明>
第6の発明は、第1の発明ないし第5の発明の何れかに適用されるもので、本発明においては、絶縁フレームの一対の抵抗体支持部を連結する連結部が一対設けられていて、該一対の連結部が、一対の抵抗体支持部の対向方向に対して直角な方向に間隔を隔てて配置され、一対の抵抗体支持部と一対の連結部とにより囲まれた空間が第1及び第2の限流抵抗体の本体部を配置するスペースを構成している。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、コイルからなる本体部と該本体部の一端及び他端にそれぞれ一体に設けられた一方及び他方の端末部とを有して、素材が外面に露呈された構造を限流抵抗体に持たせると共に、該限流抵抗体に自立性を持たせて(特に支持しなくても自らの形状を維持できるような機械的強度を持たせて)、限流抵抗体の両端の端末部を絶縁フレームに締結する構造にしたので、巻枠を設けることなく、限流抵抗体の本体部の外面全体を露呈させて、冷却媒体(例えば絶縁油)に直接接触させることができる。従って、限流抵抗器からの放熱を効率良く行なわせて、限流抵抗器の温度上昇を抑制することができる。
【0017】
また本発明によれば、限流抵抗体を支持するために巻枠を必要としないため、部品点数の削減を図ってコストの低減を図ることができる。
【0018】
特に第2の発明によれば、限流抵抗器の電流容量を増大させるために、2つの限流抵抗体を並列に接続する構成をとる場合に、第2の限流抵抗体の本体部を第1の限流抵抗体の本体部の内側に配置するようにしたので、両限流抵抗体を横方向に並べて配置する場合に比べて限流抵抗器全体をコンパクトに構成することができ、限流抵抗器の大形化を招くことなく、その電流容量の増大を図ることができる。
【0019】
また第3の発明によれば、第1の限流抵抗体の本体部の内側に第2の限流抵抗体の本体部を配置して、両限流抵抗体を並列に接続する場合に、両限流抵抗体の本体部を構成するコイルの巻回方向を逆にしたので、限流抵抗器に通電した際に第1の限流抵抗体の軸線方向に沿って生じる電磁機械力と、第2の限流抵抗体の軸線方向に沿って生じる電磁機械力とをキャンセルして、各限流抵抗体の本体部及び各限流抵抗体の両端の端末部と絶縁フレームとの締結部に過大な力がかかるのを防ぐことができ、限流抵抗器の機械的強度を低下させることなく、電流容量の増大を図ることができる。
【0020】
第4の発明によれば、第2の限流抵抗体の本体部を第1の限流抵抗体の本体部の内側に配置して、両限流抵抗体を直列に接続するようにしたので、限流抵抗器の大形化を招くことなく、その抵抗値の増大を図ることができる。
【0021】
第5の発明によれば、第1の限流抵抗体と第2の限流抵抗体とを直列に接続して限流抵抗器の抵抗値の増大を図る場合に、限流抵抗器に通電した際に第1の限流抵抗体に働く電磁機械力と、第2の限流抵抗体に働く電磁機械力とをキャンセルして、各限流抵抗体の本体部及び各限流抵抗体の両端の端末部と絶縁フレームとの締結部に過大な力がかかるのを防ぐことができるため、限流抵抗器の機械的強度を低下させることなく、限流抵抗器の抵抗値の増大を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明に係る限流抵抗器の一実施形態を示した上面図である。
【
図3】
図1及び
図2に示した実施形態で用いる限流抵抗体の端末部の形状の一例を示した正面図である。
【
図4】本発明に係る限流抵抗器の他の実施形態を示した正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
図1及び
図2は本発明に係る限流抵抗器の一実施形態を示したもので、これらの図において、1及び2はそれぞれ電気抵抗を有する金属を素材とした抵抗体からなる空心コイル状の第1の限流抵抗体及び第2の限流抵抗体、3は第1及び第2の限流抵抗体1及び2を支持した絶縁フレームである。
【0024】
第1の限流抵抗体1は、抵抗体により形成されたコイルからなる本体部101と、該本体部101の一端及び他端にそれぞれ一体に形成された一方の端末部102及び他方の端末部103とを有している。第1の限流抵抗体1に自立性を持たせる(特に支えなくても自らの形状を保持させる)ため、第1の限流抵抗体1の各部は十分な断面積と硬さとを持って形成されている。
【0025】
また負荷時タップ切換器の運転中に、第1の限流抵抗体1に作用する機械的な力によって、本体部101を構成するコイルの隣接ターン間が接触するような顕著な変形が生じることがないように、本体部101を構成するコイルの巻回ピッチ(隣接ターン間の間隔)が設定されている。この巻回ピッチは、負荷時タップ切換器の運転中に限流抵抗器に作用する可能性がある外力、通電の際に発生する可能性がある電磁機械力、及び本体部の機械的な強度等を勘案して必要最小限の大きさに設定される。
【0026】
そして、第1の限流抵抗体1を構成する抵抗体の固有抵抗値と、本体部101を構成しているコイルの外径及びターン数(本体部101を構成している抵抗体の全長)と、端末部102及び103の長さと、第1の限流抵抗体1の各部の断面積とが適当な値に設定されることにより、第1の限流抵抗体1の抵抗値が所定値に調整される。
【0027】
第1の限流抵抗体1の端末部102及び103の先端部は、例えば
図3に示されているように、端末部102及び103を絶縁フレーム3に締結するために用いるボルトに引っ掛けることができるフック状の端子部102a及び103aを構成するように成形されている。
【0028】
同様に第2の限流抵抗体2は、電気抵抗を有する金属を素材とした抵抗体により形成されたコイルからなる本体部201と、該本体部201の一端及び他端にそれぞれ一体に形成された一方及び他方の端末部202及び203とを有している。第2の限流抵抗体2の各部も、自立性を有するように十分な断面積と硬さとを持って形成されている。第2の限流抵抗体2は、第1の限流抵抗体1と同様にコイルからなる本体部201と、該本体部の軸線方向の一端及び他端にそれぞれ一体に形成された一方及び他方の端末部202及び203とにより構成されているが、本体部201の外径は、第1の限流抵抗体1の本体部101の内径よりも小さく設定されている。図示してないが、第2の限流抵抗体2の端末部202及び203の先端部にも、フック状の端子部が形成されている。
【0029】
なお第1の限流抵抗体1の端末部102,103及び第2の限流抵抗体2の端末部202,203にそれぞれ形成する端子部は必ずしもフック状でなくてもよく、端末部102及び103を絶縁フレーム3に締結するために用いるボルトに係合し得る形状であればよい。例えば、各端子部をほぼリング状に形成することもできる。
【0030】
第1の限流抵抗体1及び第2の限流抵抗体2は、第2の限流抵抗体2の本体部201を第1の限流抵抗体1の本体部101の内側に位置させ、かつそれぞれの本体部の中心軸線を一致させた状態で配置されている。このように第1の限流抵抗体1と第2の限流抵抗体2とを配置した状態で、第1の限流抵抗体1の一方の端末部102の先端の端子部と第2の限流抵抗体2の一方の端末部202の先端の端子部とを横方向に所定の間隔を隔てて同一平面上に並べて配置することができ、かつ第1の限流抵抗体1の他方の端末部103の先端の端子部と第2の限流抵抗体2の他方の端末部203の先端の端子部とを横方向に所定の間隔を隔てて同一平面上に並べて配置することができるように、第1及び第2の限流抵抗体1及び2の一端側及び他端側の端末部が設けられている。
【0031】
上記第1及び第2の限流抵抗体1及び2は、所定の電気抵抗を有する金属からなる線状の抵抗体を型に巻き付けてコイル状に成形する(型取りする)ことにより製造することができる。第1及び第2の限流抵抗体1及び2を構成する抵抗体の素材は特に限定されないが、好ましい素材としては、ニクロムを挙げることができる。ニクロムは硬質であるので、ニクロムを型取りして第1及び第2の限流抵抗体1及び2を製造することにより、両限流抵抗体に容易に自立性を持たせることができる。
【0032】
絶縁フレーム3は、一定の距離を隔てて対向配置された一対の帯板状の抵抗体支持部301、302と、一対の抵抗体支持部301,302の対向方向に対して直角な方向に間隔を隔てて配置されて、抵抗体支持部301,302間を機械的に連結する一対の連結部303,304とにより、矩形状の輪郭形状を有するように(額縁状に)形成されている。絶縁フレーム3の抵抗体支持部301,302間には、,第1及び第2の限流抵抗体1及び2の本体部101及び201の一部を配置するためのスペースSが、抵抗体支持部301、302の対向方向と連結部303,304の対向方向との双方に対して直角な方向(絶縁フレーム3の厚み方向)の両側方に開放された状態で設けられている。
【0033】
図示の絶縁フレーム3においては、一対の抵抗体支持部301,302と一対の連結部303,304とにより囲まれた空間が,第1及び第2の限流抵抗体1及び2の本体部101及び201の一部を配置するスペースSを構成している。
図1に示されているように、絶縁フレーム3の厚み寸法tは、第1の限流抵抗体1の本体部101の外径よりも十分に小さく設定されているため、第1及び第2の限流抵抗体1及び2の本体部101及び201の一部をスペースSに配置したときに、第1の限流抵抗体1が絶縁フレーム3から外側に大きくはみ出した状態で配置される。絶縁フレーム3の一対の抵抗体支持部301、302のそれぞれの厚み方向に相対する側面は、第1及び第2の限流抵抗体1及び2の端末部の先端の端子部を受け止める平坦な支持面301s,302sを構成している。
【0034】
第1の限流抵抗体1及び第2の限流抵抗体2は、それぞれの本体部101及び201の一部を絶縁フレーム3のスペースS内の中央部に位置させ、かつそれぞれの一方の端末部102,202の先端の端子部及び他方の端末部103,202の先端の端子部を絶縁フレーム3の抵抗体支持部301及び302の支持面301s及び302sに添わせた状態で配置される。この状態で、端末部102,202の先端の端子部及び端末部103,202の先端の端子部が、それぞれの端子部の内側と絶縁フレームの抵抗体支持部とを貫通させたボルト4と、該ボルトに螺合させたナット5とにより締結されることによって、第1の限流抵抗体1及び第2の限流抵抗体2が絶縁フレーム3に支持される。第1の限流抵抗体1及び第2の限流抵抗体2は、絶縁被覆が施されることなく、それぞれの素材を外面に露呈させた状態で(裸の状態で)絶縁フレーム3に支持される。
【0035】
本実施形態では、限流抵抗器の電流容量を増大させるために、第1の限流抵抗体1と第2の限流抵抗体2とを電気的に並列に接続する。そのため、図示の例では、第1の限流抵抗体1及び第2の限流抵抗体2の一方の端末部102及び202の端子部の間に跨がって配置した短絡板6を、端末部102及び202の先端の端子部と共締めした状態で抵抗体支持部301に固定することにより、第1の限流抵抗体1及び第2の限流抵抗体2の一方の端末部102及び202の間を電気的に接続している。同様に、第1の限流抵抗体1及び第2の限流抵抗体2の他方の端末部103及び203の端子部の間に跨がって配置した短絡板7を端末部103及び203の端子部と共締めした状態で抵抗体支持部302に固定することにより、第1の限流抵抗体1及び第2の限流抵抗体2の他方の端末部103及び203の間を電気的に接続している。
【0036】
また図示の例では、第1の限流抵抗体1及び第2の限流抵抗体2を外部の回路に接続するために用いる端子部6a及び7aが短絡板6及び7に一体に形成されている。
【0037】
本実施形態では、第1の限流抵抗体1及び第2の限流抵抗体2と、絶縁フレーム3と、短絡板6及び7とにより、限流抵抗器10が構成されている。
【0038】
本実施形態のように、限流抵抗器の電流容量を増大させるために、2つの限流抵抗体を同心的に配置する構成をとると、両限流抵抗体を横方向に並べて配置する場合に比べて限流抵抗器をコンパクトに構成することができるため、限流抵抗器の大形化を招くことなく、その電流容量の増大を図ることができる。
【0039】
また本実施形態のように、第1の限流抵抗体1と第2の限流抵抗体2とを並列に接続する場合には、第1の限流抵抗体1を流れる電流の方向と、第2の限流抵抗体2を流れる電流の方向とが同じであるため、通電時に第1の限流抵抗体1に働く電磁機械力と、第2の限流抵抗体2に働く電磁機械力とをキャンセルするために、第1の限流抵抗体1の本体部101を構成するコイルの巻回方向と、第2の限流抵抗体2の本体部201を構成するコイルの巻回方向とを逆にしておくことが好ましい。
【0040】
このように構成しておくと、限流抵抗器10に通電した際に第1の限流抵抗体1の軸線方向に沿って生じる電磁機械力と、第2の限流抵抗体2の軸線方向に沿って生じる電磁機械力とをキャンセルして、各限流抵抗体の本体部及び各限流抵抗体の両端の端末部と絶縁フレーム3との締結部に大きな力がかかるのを防ぐことができるため、限流抵抗器の機械的強度を低下させることなく、電流容量の増大を図ることができる。
【0041】
本実施形態のように、第1の限流抵抗体1及び第2の限流抵抗体2を並列に接続する場合には、両者の並列合成抵抗値が所望の抵抗値となるようにそれぞれの抵抗値を設定しておく。第1の限流抵抗体1の抵抗値及び第2の限流抵抗体2の抵抗値は異なっていてもよいが、通電時に第1の限流抵抗体1に働く電磁機械力と、第2の限流抵抗体2に働く電磁機械力とをキャンセルする効果を高めるためには、両限流抵抗体を分流する電流を等しくするために、両限流抵抗体の抵抗値を等しく設定しておくことが好ましい。第1の限流抵抗体1及び第2の限流抵抗体2の抵抗値は、それぞれを構成する抵抗体の長さ、抵抗体の断面積、及びそれぞれを構成する抵抗体の固有抵抗値により適宜に調整することができる。
【0042】
上記の実施形態では、限流抵抗器10の電流容量を増大させるために第1の限流抵抗体1と第2の限流抵抗体2とを並列に接続したが、限流抵抗器10の抵抗値の増大を図るために、
図4に示すように、第1の限流抵抗体1と第2の限流抵抗体2とを直列に接続することもできる。
図4に示された例では、第1の限流抵抗体1及び第2の限流抵抗体2の同じ側の端末部どうしが電気的に接続されることにより、第1の限流抵抗体1及び第2の限流抵抗体2が互いに直列に接続されている。図示の例では、第1の限流抵抗体1の端末部103の端子部と第2の限流抵抗体2の端末部203の端子部との間を電気的に接続する短絡板7′が、第1の限流抵抗体1の端末部103の端子部及び第2の限流抵抗体2の端末部203の端子部と共締めされた状態で絶縁フレーム3に固定されている。また第1の限流抵抗体1の端末部102の端子部及び第2の限流抵抗体2の端末部202の端子部を外部回路に接続するための端子金具6′,6′が,第1の限流抵抗体1の端末部102の端子部及び第2の限流抵抗体2の端末部202と共締めされた状態で絶縁フレーム3に固定されている。端子金具6′、6′が図示しない負荷時タップ切換器の切換開閉器等に接続される。
【0043】
図4に示されたように、第1の限流抵抗体1と第2の限流抵抗体2とを直列に接続する場合には、第1の限流抵抗体1を流れる電流の方向と、第2の限流抵抗体2を流れる電流の方向とが逆になるため、通電時に第1の限流抵抗体1の軸線方向に沿って生じる電磁機械力と第2の限流抵抗体2の軸線方向に沿って生じる電磁機械力とをキャンセルするためには、第1の限流抵抗体1の本体部101を構成するコイルの巻回方向と、第2の限流抵抗体2の本体部201を構成するコイルの巻回方向とを同じにしておく必要がある。
【0044】
上記の実施形態では、本体部の外径が異なる第1の限流抵抗体1と第2の限流抵抗体2とを設けて、これらを同心的に配置することにより、限流抵抗器の電流容量の増大を図ったり、抵抗値の増大を図ったりするようにしたが、コイルからなる本体部と本体部の一端及び他端に一体に形成された端末部とを有する単一の限流抵抗体を絶縁フレーム3に支持することにより限流抵抗器を構成するようにしてもよい。
【0045】
上記の各実施形態のように、空心コイル状に構成されて素材金属が外面に露呈された限流抵抗体を、限流抵抗体を配置するスペースを両側方に開放させた構造を有する絶縁フレーム3に支持するようにすると、限流抵抗器をタップ切換器とともにタンク内に収容した際に、限流抵抗体の外面全体をタンク内の絶縁冷却媒体(通常は絶縁油)に直接接触させることができるため、限流抵抗器からの放熱を効率よく行わせて、限流抵抗器の温度上昇を抑制することができる。
【0046】
また上記の各実施形態のように、各限流抵抗体の両端を絶縁フレーム3にボルトで締結する構造を採用すると、限流抵抗体を絶縁フレーム3に強固に支持することができるため、限流抵抗体が自立性を有するように構成されていることと相俟って、限流抵抗器の機械的強度を高めることができる。
【0047】
上記の実施形態では、絶縁フレーム3を額縁状に構成したが、絶縁フレーム3は、一定の距離を隔てて対向配置された一対の抵抗体支持部と該一対の抵抗体支持部の間を機械的に連結する連結部とを有して一対の抵抗体支持部の間に限流抵抗体の本体部の少なくとも一部を配置するスペースが形成されたものであればよく、上記実施形態で用いたものに限定されない。例えば、上記の実施形態で用いた絶縁フレーム3から一方の連結部を省略したコの字形の絶縁フレーム3を用いることもできる。
【0048】
また限流抵抗体を支持する絶縁フレーム3は、必ずしも独立に設ける必要はなく、負荷時タップ切換装置の切換開閉器の構成機器を支持するために負荷時タップ切換器に設けられた絶縁フレーム3の一部等に形成された抵抗体支持部により構成されてもよい。
【0049】
本発明に係る限流抵抗器は、負荷時タップ切換器の形式の如何に関わりなく、変圧器のタップを切り換える過程で過渡的に流れる過電流を抑制するために用いることができる。例えば、負荷時タップ切換器が、タップ巻線の奇数タップと偶数タップとを交互に選択するタップ選択器と、負荷電流を流すタップを奇数タップから偶数タップに又は偶数タップから奇数タップに切り換える切換開閉器とにより構成される場合には、タップを切り換える過程でタップ巻線の隣接タップ間を流れる循環電流を抑制するために切換開閉器に設ける限流抵抗器として用いることができる。
【0050】
また本発明に係る限流抵抗器は、一次側が線路に対して並列に接続されたタップ付きの調整変圧器と、この調整変圧器の通電タップ(負荷電流を流すタップ)を切り換える負荷時タップ切換器と、2次側が線路に直列に接続され、調整変圧器から負荷時タップ切換器を通して一次側に調整電圧が印加される直列変圧器とを備えて、調整変圧器がタップ切換器を通して出力する調整電圧を直列変圧器を通して線路に印加することにより線路電圧の調整を行なう間接切換式の自動電圧調整装置において、タップ切換の過程で直列変圧器の一次側が開放状態にされるのを防ぐために、負荷時タップ切換器の出力端子間に橋絡用スイッチを介して接続される限流抵抗器としても用いることができる。
【符号の説明】
【0051】
1 第1の限流抵抗体
101 第1の限流抵抗体の本体部
102 第1の限流抵抗体の一方の端末部
102a 端子部
103 第1の限流抵抗体の他方の端末部
103a 端子部
2 第2の限流抵抗体
201 第2の限流抵抗体の本体部
202 第2の限流抵抗体の一方の端末部
203 第2の限流抵抗体の他方の端末部
3 絶縁フレーム
301 抵抗体支持部
302 抵抗体支持部
303 連結部
304 連結部
S 限流抵抗体の本体部の一部を配置するためのスペース