特許第6495810号(P6495810)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6495810
(24)【登録日】2019年3月15日
(45)【発行日】2019年4月3日
(54)【発明の名称】ナノワイヤの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 29/06 20060101AFI20190325BHJP
【FI】
   H01L29/06 601N
【請求項の数】1
【外国語出願】
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-229874(P2015-229874)
(22)【出願日】2015年11月25日
(65)【公開番号】特開2016-129220(P2016-129220A)
(43)【公開日】2016年7月14日
【審査請求日】2016年8月31日
(31)【優先権主張番号】PI 2014703553
(32)【優先日】2014年11月27日
(33)【優先権主張国】MY
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】506250398
【氏名又は名称】ユニバーシティ マラヤ
(74)【代理人】
【識別番号】100102842
【弁理士】
【氏名又は名称】葛和 清司
(72)【発明者】
【氏名】ベンガデッシュ,ペリアサミー
(72)【発明者】
【氏名】グスタヴォ,ジー.ピー.エム.ケー.シニシアト
【審査官】 綿引 隆
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−036292(JP,A)
【文献】 特開2008−172220(JP,A)
【文献】 特開2006−049810(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/056816(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05D 3/00− 3/14
B82B 1/00− 3/00
H01L 21/208
H01L 21/288
H01L 29/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体支持材料上にマイクロ/ナノワイヤを製造する方法であって
(a)前記固体支持材料を用意する工程と、
(b)核酸および金属ナノ粒子を含む液体組成物を前記固体支持材料の表面に適用し、その後、前記固体支持材料の表面の一部から前記液体組成物を除去することにより前記液体組成物を切断し、それによって、前記液体組成物の前記切断により形成された端部に、前記金属ナノ粒子と核酸との複合体からなるマイクロ/ナノワイヤを製造する工程と、
(c)任意に、前記核酸を除去して前記金属ナノ粒子からなるマイクロ/ナノワイヤを製造する工程と、
を含む、前記方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、核酸を足場として使用するナノワイヤの製造方法に関する。本方法は、金属−DNA複合体の薄膜を固体支持体上に適用する。コーヒーリング効果の毛細管力を利用して、核酸金属ナノ粒子薄膜を剥すことは、切断部の端部でのナノ粒子の蓄積を誘導し、それによりマイクロ〜ナノスケールの金属ワイヤを製造する。追加の態様において、本発明は、酵素加水分解を使用し、核酸を除去し、最終金属ナノワイヤを得る。本発明はさらに、本発明の方法を用いて製造された電気回路を含むチップを提供する。
【背景技術】
【0002】
デオキシリボ核酸(DNA)鋳型合成は、過去20〜30年間、金属マイクロ/ナノワイヤを作製するために利用されている。かなりの成功にかかわらず、作製プロセスのハイスループットおよび可制御性の面は、主要な障害のままである。この研究において、我々は、自然の毛細管力を使用してシリコン(Si)ウエハ上にマイクロ〜ナノスケールの銀(Ag)ワイヤを作製する新規のスクライビングまたは「描画(writing)」方法を紹介する。毛細管力によりあおられるコーヒーリング乾燥効果は、スクライビングされたパターンに沿った堆積をもたらすスクライビングの端部に向かったAgをロードしたDNA分子の拡散を可能にする。これに、酵素支援エッチングを使用したDNA足場の除去が続き、ウエハ上のAgワイヤが残る。この技術は、ナノエレクトロニクスにおける潜在的な用途に向かって現在の金属ナノパターンおよびナノ構造のDNA支援形成を改善することが予想される。
【0003】
マイクロおよびナノ構造のDNA支援形成は、何年にもわたり様々な分野における潜在的な用途のために広く研究されている。Agなどの金属ワイヤを含むこれらの構造は、並外れた空間分解能および柔軟性を示す。かかる特性は、その骨格に沿って金属ナノ粒子を特異的に鋳型合成するDNA鎖の特に特異的な本質に起因する4。そのようなものとして、DNA分子は、柔軟なナノ鋳型合成能力を発揮する選択的金属結合を可能にする。その自己相補的な性質と相まって、DNAエレクトロニクスは、従来のマイクロエレクトロニクス技術を使用して達成不可能な分解能の導電ワイヤの製造のための正しいツールを提供する。しかしながら、DNA支援金属ワイヤパターンのハイスループット工業化に関するいくつかの主要な問題は、未解決のままである。最も重要な、柔軟な「描画」能力および可制御性に、最初に取り組むべきであり、関与するプロセスのコストおよび複雑性を下げることが続く。ごく最近、いくつかの洗練されたなデザインアーキテクチャが、これらの障害の克服に関して提案されており、パターンアライメントの操作および再現性をかなり強調している。しかしながら、これらの方法は、商業的に実行可能な生産能力を可能にする工業レベルの制御および精度で作製するのに必要な決定的な工程が未だ欠落している。
【発明の概要】
【0004】
したがって、本発明の目的は、固体支持体上への電気回路のデザインおよび製造をさせる制御された形式で固体支持体上にナノワイヤを適用するための手段を提供することにより、DNA足場をベースとする金属ナノワイヤの商業的に実行可能な製造を可能にし、それによりシリコンチップの製造を可能にすることにある。
【0005】
上記課題は、支持材料上におけるマイクロ/ナノワイヤの製造方法であって、工程
(a)固体支持材料を用意する、
(b)核酸および金属を含む液体組成物をナノ粒子支持材料の表面に適用し、液体組成物により被覆された少なくとも1つの領域および液体組成物により被覆されていない少なくとも1つの領域を有する表面を持つ固体支持材料を得る、それによって液体組成物により被覆された領域および液体組成物により被覆されていない領域の間の端部にマイクロ/ナノワイヤを製造する、
(c)任意に、核酸を除去する、
を含む、前記方法によって、第1の側面において解決される。
【0006】
好ましくは、金属は、白金、鉄、コバルト、ニッケル、金、銀、銅、酸化鉄、酸化銅、酸化亜鉛およびこれらの合金から選択され、好ましくは銀(Ag)である。
好ましい態様において、核酸は、一本鎖(ss)または二本鎖(ds)DNA、PNAまたはRNAから選択され、好ましくは二本鎖DNAである。
【0007】
1つの好ましい態様において、方法工程(c)を遂行することは、必須である。また好ましいのは、工程(c)が、酵素エッチング、好ましくはヌクレアーゼ酵素、最も好ましくはデオキシリボヌクレアーゼを使用して遂行される。
本明細書に記載の発明の内容において、固体支持材料は、好ましくはSi、好ましくはSiウエハである。
1つの追加の態様において、表面張力低減剤、好ましくは界面活性剤を、液体組成物に添加する。
【0008】
工程(b)に関し、この工程が、液体組成物を固体支持体上に適用し、その後液体組成物の一部を表面から除去し、液体組成物により被覆された少なくとも1つの領域および液体組成物により被覆されていない少なくとも1つの領域を有する表面を持つ固体支持材料を得る副工程を含むことが好ましい。除去を、理想的には液体組成物を剥す、切るまたは拭き取ることにより遂行する。液体組成物を剥す、切るまたは拭き取ることは、本明細書の内容において、固体支持体のレベルまで液体組成物を除去することを意味する。
したがって、以下にも説明するとおり、本発明の方法は、所定のパターンの金属ナノワイヤをシリコンウエハなどの固体支持体上に適用する容易な方法を提供する。剥す方法を使用する所定のパターンは、好ましくは電気回路などの回路であり得る。
【0009】
(b)における方法の一態様において、液体組成物を固体支持体の表面に適用した後、液体組成物を乾燥させ、固体支持体の表面上に金属ナノ粒子および核酸のゲル様の薄膜を得る。これを、溶媒などの乾燥剤、好ましくはエタノールを添加することにより促進してもよい。例えば、乾燥は、好ましくは少なくとも1、2、3、4、5、6もしくは7時間またはより長時間の空気乾燥であってもよい。乾燥の代わりに、液体組成物を、固体支持体にゲルまたは薄膜の形状で適用してもよい。核酸/金属ナノ粒子のゲル様または薄膜様の組成物を使用する利点は、かかる薄膜は、表面から容易に剥すことができ、それにより制御された端部が製造される。製造された端部の形状は、後のナノワイヤの鋳型である。したがって、端部が鋭利であるほど、固体支持体上におけるナノワイヤの可能な密度がより高い。
【0010】
本発明の根底にある原理を、以下により詳細に記載する。一般的に、マイクロ/ナノワイヤは、核酸/金属−ナノ粒子を端部に拡散させることにより製造される。端部に向かって拡散することにより、核酸−金属材料は、端部に蓄積し、ワイヤ構造を形成する。拡散は、いわゆる「コーヒーリング効果」により促進される。
【0011】
本発明の課題はさらに、マイクロ/ナノワイヤを有するシリコンウエハの製造方法であって、工程
(a)シリコンウエハを用意する、
(b)核酸および金属−ナノ粒子の複合体を含む液体組成物を用意する、
(c)液体組成物をシリコンウエハの表面上へ適用する、
(d)シリコンウエハを乾燥させ、その表面に核酸/金属−ナノ粒子薄膜を有するシリコンウエハを得る、
(e)シリコンウエハの表面から核酸/金属−ナノ粒子薄膜の一部を除去し、薄膜の端部をシリコンウエハの表面上に製造する、
(f)任意に、加水分解、好ましくは酵素加水分解により、最も好ましくはデオキシリボヌクレアーゼを使用することにより、核酸を除去する、
を含む、前記方法によって解決される。
【0012】
好ましくは、工程(e)は、薄膜をシリコンウエハの表面から剥すまたは拭き取ることを含む(上記参照)。
既に上に記載されているように、工程(f)は、好ましくは必須である。
本発明の追加の面はさらに、本明細書に記載の方法を用いて製造された固体支持体またはシリコンウエハに関する。
また、本明細書に以前記載した方法の遂行を含む、電気回路チップの製造方法を提供する。
【0013】
別の面は、本発明の固体支持体、シリコンウエハまたはチップを含むコンピュータに関する。
そして、1つの面は、本発明の方法を用いて製造されたマイクロ/ナノワイヤに関する。
本発明は、その好ましい態様のいくつかに従い具体的に記載されているが、以下の例は、本発明を説明するためのみの役割を果たし、本発明をその最も広い解釈および均等の構成の原則および範囲内に限定することを意図しない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1元素組成分析。イメージ(a)、(b)および(c)は、Siウエハ上でのAgナノ粒子の分布を示す。グラフは、ウエハ基板にわたり異なる地点;薄膜内部、ワイヤ上および切断部上、を表す緑色の点で測定されたAg分布を明示する。
図2図2原子間力顕微鏡のイメージング。酵素エッチングの(a)前および(b)後ならびにAgワイヤの(c)高さプロファイルおよび(d)三次元構造の光学イメージを説明する接触モードAFMイメージング。
【発明を実施するための形態】
【0015】
発明の詳細な説明
本発明において、本発明者らは、これらの障害を克服するのを助けるために、2つの新規の発想を用いた;制御されたスクライビングに向かうDNA−Ag分子の毛細管力誘導流動およびSiウエハ上のDNA足場材料の酵素エッチング。提案された技術は、スクライビング前にDNA−Agナノ粒子(NPs)薄膜の自己集合性質を活用する。その後、「乾燥」効果の結果としての毛細管力は、NPsがスクライビングに移行して薄膜上に金属−DNAパターンを形成するのを誘導する。
【0016】
そして、酵素エッチングを、不要なDNA材料を除去するために利用し、Agワイヤのみをウエハ上に得る。原子間力顕微鏡(AFM)測定は、これを確認し、粒状ワイヤ構造を示す一方、走査電子顕微鏡−エネルギー分散X線(SEM−EDX)は、ワイヤ上の有意により多い量のAgNPsの堆積を証明する。これらの観察は、表面走査の金属領域を確認し、サブミクロンからナノメートルの寸法のAg集合を示す。よって、我々の方法の潜在的な用途は、マイクロ〜ナノメートルの分解能のパターン形成可能な金属ワイヤの作製において用いることができる。本発明者らは、これらを次に、最終的にエレクトロニクスにおける小型化のために必要な制御された形式で元素間のペーシング(pacing)を低減するためおよび配線のパッキング(packing)を増加させるために、使用することができた。
【0017】
材料および方法
シリコンウエハ基板の準備
寸法が2.0インチ×0.5mmのシリコンウエハ(片面研磨、<100>、n型、ドーピングなし)を英国Sigma社から購入し、使用前に冷蔵庫に保管した(約4℃)。この研究において使用されたウエハは、1度のみ使用され、供給元からの新品であることから、さらなる洗浄は不要であった。
【0018】
銀ナノ粒子のインキュベーション
0.5mlの脱イオン水(18.2MΩ.cm)を、大腸菌RR1からの凍結乾燥されたpBR322DNA(MW2.9×10Da)(英国Sigma社)を含有するバイアルで混合した。400μLのこのDNA溶液を、水性緩衝液(英国Sigma社)中400μLのAgナノ粒子分散体(10nm粒径、0.2mg.mL−1)と混合し、ハイブリット溶液を形成した。そして、この溶液を、一晩インキュベートし、金属銀集合体をDNA分子に結合させた。
【0019】
DNA−AgNPsワイヤの作製
マイクロピペットを使用して、50μLのDNA−AgNPs溶液をシリコンウエハ上に移動させる。15分後、1滴のエタノール(10μL)を液滴上に適用し、空気中に一晩放置して乾燥させた。スクライビングを、手術用の刃を使用して行い、目視間隔または切断部が観察された。そして、DNA足場の除去を、酵素加水分解に先行させた。DNA−AgNp薄膜を含有するシリコンウエハを、牛膵臓からの2mg.mL−1デオキシリボヌクレアーゼI(英国Sigma社)、および酵素活性化のための2mMの塩化マグネシウム(英国Sigma社)を含む10mL溶液の1mMリン酸カリウム緩衝液pH7.4に浸漬した。
【0020】
AFMイメージング
AFM表面および電気イメージング(Veeco Dimension 3100)を、接触モードの先端を有するAFMプローブ(アンチモン(n)ドープしたSiを備えたModel SCM-PIC)を使用して行った。
SEM−EDX測定
元素分析を、米国FEI社のSEM−EDX装置モデルVerios 460を使用して行った。
【0021】
例1:Agマイクロワイヤの作製
作製プロセスは、3つの主要な段階を伴う;DNA−AgNPs懸濁液の自己集合、回路のスクライビングまたは描画、および酵素加水分解プロセスを使用したDNA除去(8)。最初の段階は、きれいなSiウエハ上に1滴(50μL)のこの懸濁液を置くことを伴い、約10μLのエタノールの適用が続き、空気中で乾燥させる。エタノールは、DNAの濃縮および脱水に働き、ウエハ上でそれらに機械的安定性9を付与する。そして、ゲル様薄膜残渣が、一晩放置して乾燥させたときの水分子の蒸発後に観察された。その後、切断を、スクライビング方法を使用してウエハレベルまで行い、その端部を効果的に引き離した。ハイブリッド薄膜のゲル様性質のため、柔軟なDNA−AgNPsの流動性が、切断部に向かって生じる。これは、切断部の端部からの毛細管流動により図2aに観察されるより高い材料密度により実証された。そして、DNA足場の酵素エッチングを、酵素デオキシリボヌクレアーゼを使用して行った(8)、光学イメージは、差異を示す;図2bにおいて、酵素処理後に、よりきれいな見た目の基板がみられる。
【0022】
例2:銀ワイヤの表面形態
は、作製したAgワイヤの構造を明確に示す。光学イメージは、スクライビングの両側面の端部でのより高い材料密度を示す(図2a)。この観察は、毛細管力の結果としての溶液の乾燥滴に見られる「コーヒーリング」効果10と一致し、連続粒状ワイヤ構造をもたらす(図2cおよびd)。測定が、時折800nmまでの急な山形がある、およそ200〜400nm平均の高さの値を示す一方、幅は、10μm未満が測定された。これらの値は、サブミクロンからナノメートルスケールの寸法の作製が成功したことを明らかに示す。
【0023】
例3:SEM−EDX分析
本発明者らはまた、Agワイヤの作製の成功を実証するために、ウエハ基板の異なる領域に沿って元素組成を調査した(図)。結果は、他の領域と比較してワイヤ構造に沿った有意に高いパーセンテージのAgを示す。図は、ワイヤ(a)、薄膜(b)の内部および切断領域上のAgの分布を強調する。予想したとおり、金属ナノ粒子の堆積は、ワイヤ構造に沿ってのみみることができ、毛細管力により他の2つの領域ではほとんどみられなかった。
【0024】
この研究において我々が説明した技術は、金属マイクロおよびナノワイヤのDNA支援作製における進展を現在妨害している主要な障害の克服に向かって2つの新規のブレークスルーを導入する。我々の方法は、他に比べていくつかの利点があり、主に、物理的に作られた切開またはスクライビングに向かうDNAAgNPの自然の毛細管力が駆動する拡散の洗練された使用、それに続くAgワイヤ構造のみを得るためにデオキシリボヌクレアーゼを使用したDNA足場の生化学的酵素エッチングである。後者の工程は、ナノエレクトロニックアーキテクチャへの組込みのためのきれいなワイヤのみの基板を調製することへの重要な進歩を導入する。第1の工程は一方で、先に報告された任意のワイヤおよびパターンの作製(6、7、11〜13)と異なり、毛細管力を利用することによって「描画」金属ワイヤにおいて高度な可制御性および柔軟性を可能にする。
【0025】
毛細管力は、液滴に沿って存在する比較差により誘導され、それによって端部から蒸発する水が、大量の水により補充される。この現象のため、DNA分子が、端部に向かってAgNPsを「引っ張り」および堆積させ、ワイヤの形成をもたらす。蒸発プロセスはまた、端部に沿ってDNAAgNPsを堆積するのに有害な液滴内におけるマランゴニ対流を誘導する(14)。強力なマランゴニ対流は、粒子が中央へ戻る再分布を引き起こす。表面張力を低減させる界面活性剤の添加によるこの対流の混乱は、ワイヤ領域に沿って堆積を増加させ得、Agワイヤの構造的および電気的性質を改善する。
【0026】
「描画」分解能はまた、非常に改善され、リソグラフィおよび他のナノスケールの技術を利用することにより容易に操作することができる(15〜16)。この方法を使用した描画パターンの容易さと合わせて、ナノメートル寸法のワイヤ分解能はさらに、単一分子エレクトロニクスへの研究を促進し得る。さらに、この提案された組立およびパターン形成手順により、従前の研究(1〜3、6、7、11〜13)と比較してより低コストでより低いプロセスの複雑性での柔軟性が可能となる。そのようなものとして、我々は、これらの現在の発見の成果を描画幅の低減と共に予測し、実用的なナノパターニングおよびナノエレクトロニクス一般の開発の進行を大きく促進させる。
【0027】
参考文献
【表1】
【0028】
【表2】
図1
図2