特許第6495836号(P6495836)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6495836建築限界測定システム、建築限界測定方法および建築限界測定システム用測定台
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6495836
(24)【登録日】2019年3月15日
(45)【発行日】2019年4月3日
(54)【発明の名称】建築限界測定システム、建築限界測定方法および建築限界測定システム用測定台
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/14 20060101AFI20190325BHJP
【FI】
   G01B11/14 Z
【請求項の数】9
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2016-9343(P2016-9343)
(22)【出願日】2016年1月21日
(65)【公開番号】特開2017-129475(P2017-129475A)
(43)【公開日】2017年7月27日
【審査請求日】2018年4月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】590003825
【氏名又は名称】北海道旅客鉄道株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120640
【弁理士】
【氏名又は名称】森 幸一
(72)【発明者】
【氏名】安達 竜治
【審査官】 櫻井 仁
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−304860(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3013607(JP,U)
【文献】 登録実用新案第3161621(JP,U)
【文献】 登録実用新案第3194063(JP,U)
【文献】 実開平07−038903(JP,U)
【文献】 実公昭48−000108(JP,Y1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 11/00−11/30
G01B 21/00−21/32
G01B 5/00− 5/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軌道の一対のレール上に跨がって設置される測定台と、
上記測定台上に、レール面に平行な第1平面内において軌道に直交する方向に移動可能に、かつ軌道に直交する第2平面内においてレーザー光が上記第1平面に対して仰角θの方向を照射するように設置されるレーザー距離計とを有し、
上記第2平面内において、レール面を含む第3平面内であって軌道に直交する直線をx軸に、軌道中心を通る直線をy軸に取り、上記第3平面と上記第3平面に平行でかつ上記レーザー距離計の測定基準点を含む第4平面との間の距離をH、軌道の非電化区間における上記第2平面内の建築限界の左右方向の一端の上下方向の直線部とこの直線部の上部に連なる円弧部との交点の座標を(W1 ,H1 )、軌道の電化区間における上記第2平面内の建築限界の最上部の円弧部とこの円弧部に連なる上記一端と同じ側の一端の上下方向の直線部との交点の座標を(W2 ,H2 )としたとき、θが式
tanθ≒(H1 +H2 −2H)/(W1 +W2
を満足することを特徴とする建築限界測定システム。
【請求項2】
上記測定台は、支持体と、上記支持体に対して互いに逆向きに均等に移動可能に支持され、測定時に上記一対のレールの上部の内側の側面にそれぞれ接触する一対のガイド部材とを有することを特徴とする請求項1記載の建築限界測定システム。
【請求項3】
上記一対のガイド部材はリンク機構、歯車機構、ベルト機構またはチェーン機構により互いに逆向きに均等に移動可能に構成されていることを特徴とする請求項2記載の建築限界測定システム。
【請求項4】
上記測定台上に軌道に直交する方向に移動可能に設置される移動台をさらに有し、この移動台に上記レーザー距離計が、レールの長手方向に移動可能に設置されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項記載の建築限界測定システム。
【請求項5】
軌道の建築限界の測定を行う区間において、x軸上の軌道中心を通る直線からの距離XRCに対するこの距離XRCの点における上記角度θの方向の建築限界までの距離を予め測定したデータをさらに有し、上記距離XRCの点において上記レーザー距離計により測定される測定対象物までの距離を上記距離XRCの点における上記データと比較することにより上記測定対象物が建築限界を支障しているか否かを判定することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項記載の建築限界測定システム。
【請求項6】
θ=64.3°〜68.3°であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項記載の建築限界測定システム。
【請求項7】
軌道の一対のレール上に跨がるように測定台を設置するステップと、
上記測定台上に、レール面に平行な第1平面内において軌道に直交する方向に移動可能に、かつ軌道に直交する第2平面内においてレーザー光が上記第1平面に対して仰角θの方向を照射するように設置されるレーザー距離計からレーザー光を照射することにより測定対象物までの距離を測定するステップとを有し、
上記第2平面内において、レール面を含む第3平面内であって軌道に直交する直線をx軸に、軌道中心を通る直線をy軸に取り、上記第3平面と上記第3平面に平行でかつ上記レーザー距離計の測定基準点を含む第4平面との間の距離をH、軌道の非電化区間における上記第2平面内の建築限界の左右方向の一端の上下方向の直線部とこの直線部の上部に連なる円弧部との交点の座標を(W1 ,H1 )、軌道の電化区間における上記第2平面内の建築限界の最上部の円弧部とこの円弧部に連なる上記一端と同じ側の一端の上下方向の直線部との交点の座標を(W2 ,H2 )としたとき、θが式
tanθ≒(H1 +H2 −2H)/(W1 +W2
を満足することを特徴とする建築限界測定方法。
【請求項8】
軌道の建築限界の測定を行う区間において、x軸上の軌道中心を通る直線からの距離XRCに対するこの距離XRCの点における上記角度θの方向の建築限界までの距離を予め測定したデータを用い、上記距離XRCの点において上記レーザー距離計により測定される測定対象物までの距離を上記距離XRCの点における上記データと比較することにより上記測定対象物が建築限界を支障しているか否かを判定するステップをさらに有することを特徴とする請求項7記載の建築限界測定方法。
【請求項9】
軌道の一対のレール上に跨がって設置される測定台と、
上記測定台上に、レール面に平行な第1平面内において軌道に直交する方向に移動可能に、かつ軌道に直交する第2平面内においてレーザー光が上記第1平面に対して仰角θの方向を照射するように設置されるレーザー距離計とを有し、
上記第2平面内において、レール面を含む第3平面内であって軌道に直交する直線をx軸に、軌道中心を通る直線をy軸に取り、上記第3平面と上記第3平面に平行でかつ上記レーザー距離計の測定基準点を含む第4平面との間の距離をH、軌道の非電化区間における上記第2平面内の建築限界の左右方向の一端の上下方向の直線部とこの直線部の上部に連なる円弧部との交点の座標を(W1 ,H1 )、軌道の電化区間における上記第2平面内の建築限界の最上部の円弧部とこの円弧部に連なる上記一端と同じ側の一端の上下方向の直線部との交点の座標を(W2 ,H2 )としたとき、θが式
tanθ≒(H1 +H2 −2H)/(W1 +W2
を満足する建築限界測定システムに用いられる建築限界測定システム用測定台であって、
支持体と、上記支持体に対して互いに逆向きに均等に移動可能に支持され、測定時に上記一対のレールの上部の内側の側面にそれぞれ接触する一対のガイド部材とを有することを特徴とする建築限界測定システム用測定台。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、建築限界測定システム、建築限界測定方法および建築限界測定システム用測定台に関し、例えば、鉄道の駅のホーム上に設置された建築物が建築限界を支障するか否かを判定するのに適用して好適な建築限界測定システムおよび建築限界測定方法ならびにその建築限界測定システムに用いて好適な建築限界測定システム用測定台に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄道の線路においては、定められた建築限界内に車両の走行に支障をきたす建築物などを設置してはならないこととされている。
【0003】
この建築限界の支障の有無を確認する技術としては、従来より種々の技術が提案されている(特許文献1〜4)。特許文献1には、レール上に載置する支持体に回動軸で回動可能なアームを取り付け、このアームに測定対象物までの距離と仰角を測定できる測定器を取り付け、前記支持体の端部にレールに当接する位置設定板を設ける鉄道の建築限界測定装置が記載されている。特許文献2には、プラットホームの端面にレーザー、ミリ波等を利用した非接触式の測定器の基盤を設置することで、当該基盤をレールと平行に配設するとともに、前記測定器をレールと垂直面内で回動できるように配設し、この位置で測定器を回動させてレールまでの距離と角度を検知するとともに、同様にして測定対象物までの距離と角度を検知し、これらの距離と角度とからレール中心から測定対象物までのX軸寸法とY軸寸法とを演算して求めるようにした鉄道の建築限界測定方法および建築限界測定装置が記載されている。特許文献3には、レーザー距離測定器および該レーザー距離測定器の角度を検出する角度検出器を備えた角度調整器と、前記レーザー距離測定器および角度検出器の出力信号に基づいて2本のレール間の中心垂直線上から測定対象物までの距離を演算する距離演算回路と、該距離演算回路の出力信号から測定対象物が建築限界を支障しているか否かを判定する支障量判定回路とからなる鉄道線路の建築限界測定装置が記載されている。特許文献4には、電車の軌道上に配置される基台と、この基台の上部において前記軌道に直交した水平方向に延出し、この軌道のレール間の中心を基点とした距離測定用の目盛りを延出方向に設けてなる横尺付きガイドと、この横尺付きガイド上に摺動自在に取り付けられ、垂直上方への光線の放射により被測定物との離間距離を計測する距離計測器とを備えた鉄道施設の建築限界距離測定装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3161621号明細書
【特許文献2】特開2001−50734号公報
【特許文献3】実開平6−56711号公報
【特許文献4】実用新案登録第3013607号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1〜4に記載された上述の従来技術は、大掛かりな装置が必要であったり、測定に複数の人員が必要であったり、測定対象物から建築限界までの最短距離(離隔距離)が分かりにくかったり、線路にカントがある場合には補正が必要であったり、カント補正を行う場合には補正数値により建築限界の測定に誤差が生じたりするという欠点がある。
【0006】
そこで、この発明が解決しようとする課題は、大掛かりな装置を用いることなく、軌道にカントあるいは軌道方向の勾配がある場合でもそれらの補正を行う必要がなく、しかも一人でも、測定対象物から建築限界までの最短距離(離隔距離)を容易に求めることができ、それによって測定対象物が建築限界を支障するか否かを容易かつ正確に判定することができる建築限界測定システムおよび建築限界測定方法を提供することである。
【0007】
この発明が解決しようとする他の課題は、上記の建築限界測定システムに用いて好適な建築限界測定システム用測定台を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、この発明は、
軌道の一対のレール上に跨がって設置される測定台と、
上記測定台上に、レール面に平行な第1平面内において軌道に直交する方向に移動可能に、かつ軌道に直交する第2平面内においてレーザー光が上記第1平面に対して仰角θの方向を照射するように設置されるレーザー距離計とを有し、
上記第2平面内において、レール面を含む第3平面内であって軌道に直交する直線をx軸に、軌道中心を通る直線をy軸に取り、上記第3平面と上記第3平面に平行でかつ上記レーザー距離計の測定基準点を含む第4平面との間の距離をH、軌道の非電化区間における上記第2平面内の建築限界の左右方向の一端の上下方向の直線部とこの直線部の上部に連なる円弧部との交点の座標を(W1 ,H1 )、軌道の電化区間における上記第2平面内の建築限界の最上部の円弧部とこの円弧部に連なる上記一端と同じ側の一端の上下方向の直線部との交点の座標を(W2 ,H2 )としたとき、θが式
tanθ≒(H1 +H2 −2H)/(W1 +W2 ) (1)
を満足することを特徴とする建築限界測定システムである。
【0009】
ここで、式(1)の根拠について説明する。図1および図2に示すように、軌道に直交する第2平面内において、レール面を含む第3平面内であって軌道に直交する直線をx軸に、軌道中心を通る直線をy軸に取ると、建築限界をxy座標で表すことができる。図1においては、非電化区間の建築限界を一点鎖線、電化区間の建築限界を二点鎖線で示してあり、一点鎖線と二点鎖線とが重なる部分では二点鎖線を優先している。図2においては、電化区間の建築限界だけが示されている。図1においては、建築限界の一例として、北海道旅客鉄道株式会社 土木施設整備心得(実施基準)に定めるものが記載されているが、これに限定されるものではない。この建築限界測定システムでは、測定台上でレーザー距離計をx軸方向に移動させながら、レーザー距離計から仰角θの方向にレーザー光を建築限界の測定対象物に照射することによりレーザー距離計の測定基準点から測定対象物までの距離を測定する。レーザー距離計の移動中、レーザー距離計の測定基準点は第4平面内をx軸方向に座標(−W’,H)の点と座標(W,H)の点との間を移動する。このとき、測定対象物が測定可能範囲内に収まるように測定基準点のx軸方向の移動可能範囲(−W’〜W)および角度θを決定する。ところで、測定対象物は、建築限界を基準とし、それから一定範囲内に収まるように設計を行う。特に、駅の旅客上家における測定対象物(軒先、雨樋等)では、旅客サービス等の観点から建築限界上の(W1 ,H1 )〜(W2 ,H2 )付近を近接目標として設計を行う。そこで、軌道中心線上の点(0,H)から、建築限界測定を行う範囲の両端に位置する測定目標点(W1 ,H1 )、(W2 ,H2 )の間を結ぶ線分の中点((W1 +W2 )/2,(H1 +H2 )/2)への仰角をθとする。xy座標から数式で求める場合には、(0,H)と((W1 +W2 )/2,(H1 +H2 )/2)とを結ぶ直線の傾きをAとすると、y=Ax+Hとなり、A=(H1 +H2 −2H)/(W1 +W2 )=tanθと表すことができる。レーザー距離計の設置誤差、測定台の設置誤差、測定台の組み立て誤差などを考慮すると、実際には近似的にこの式が成立すれば足りる。以上により、式(1)が導出される。このとき、角度θの直線がy=Ax+β(βは、y=Hのときxが−W' <x<Wの範囲での値)となり、建築限界測定可能範囲は図1の点描を施した領域となる。ここで、H≧0であるが、一般的にはH>0である。なお、図2においては、建築限界測定対象物である旅客上家を支持する梁や支柱なども示されている。また、建築限界測定対象物は旅客上家に限定されるものではなく、駅を含めて線路の沿線に存在し、支障物となり得るものである限り含まれるが、具体的には、例えば、各種建築物、木、草などである。
【0010】
ただし、この角度θをもとに建築限界測定対象点のxy座標を三角関数により算出すること、および、レーザー距離計を測定台上に設置する際の角度設定を容易にするため、角度θは、式(1)から算出されたθに近似する整数等に置きかえることが望ましい。
【0011】
図1中に建築限界の数値を示した一例では、長さの単位をmmに取ると、(W1 ,H1 )=(1,900,3,156)、(W2 ,H2 )=(1,450,4,667)であり、点(W1 ,H1 )と点(W2 ,H2 )とを結ぶ線分の中点は((W1 +W2 )/2,(H1 +H2 )/2)=(1,675,3,912)となる。一例としてH=100mmとし、点(0,H)と中点(1,675,3,912)とを通る直線をy=Ax+Hとすると
(H1 +H2 )/2=A・((W1 +W2 )/2)+H
となる。この式を変形してAを求めると、
A=(H1 +H2 −2H)/(W1 +W2
=(3,156+4,667−2・100)/(1,900+1,450)
=2.2755
となる。ここで、A=tanθであることからθ=66.276°≒66.3°となる。実際には、例えば、このθ=66.3°に対して±2°の範囲、すなわちθ=64.3°〜68.3°、あるいは、このθ=66.3°に対して±1°の範囲、すなわちθ=65.3°〜67.3°であればよい。こうして得られたθに近似する整数としては、例えば66°あるいは67°を用いることができる。
【0012】
測定台は、好適には、支持体と、この支持体に対して互いに逆向きに均等に移動可能に支持され、測定時にレールの上部の内側の側面に接触する一対のガイド部材とを有する。この測定台がレール上に設置されたとき、一対のガイド部材の移動方向は軌道に直交する方向となる。このように一対のガイド部材が支持体に対して互いに逆向きに均等に移動可能であることにより、この測定台をレール上に設置したとき、軌間距離(レール間隔)にかかわらず、軌道に直交する方向の測定台の中心を常に軌道中心と一致させることができる。この一対のガイド部材は、例えば、リンク機構(クランク機構など)、歯車機構、ベルト機構、チェーン機構などにより、互いに逆向きに均等に移動可能に構成される。すなわち、一対のガイド部材をリンク機構、歯車機構、ベルト機構、チェーン機構などにより互いに結合し、一方のガイド部材が移動すると、その移動がリンク機構、歯車機構、ベルト機構、チェーン機構などを介して他方のガイド部材に伝達され、それによって他方のガイド部材が軌道に直交する方向に逆向きに同じ移動量だけ移動するようにする。より具体的には、リンク機構は、複数のリンクにより構成され、例えば、一つのリンクをその一点の周りに回転可能に支持体に取り付け、別の一つのリンクを一方のガイド部材に結合し、さらに別の一つのリンクを他方のガイド部材に結合し、支持体に取り付けたリンクの回転に伴ってガイド部材に結合したリンクが移動することにより一対のガイド部材が互いに逆向きに移動するようにする。歯車機構は、例えば、支持体に回転可能に取り付けたピニオンギアを挟んで一対のラックを互いに平行に設けてピニオンギアと噛み合わせることにより構成され、一方のラックを一方のガイド部材に固定し、他方のラックを他方のガイド部材に固定し、ピニオンギアの回転により一対のラックが互いに逆向きに移動し、それによって一対のガイド部材が互いに逆向きに移動するようにする。この建築限界測定システムは、典型的には、測定台上に軌道に直交する方向に移動可能に設置される移動台をさらに有し、この移動台にレーザー距離計が、レールの長手方向に移動可能に設置される。測定台は、この移動台の移動により、レーザー距離計の測定基準点がx軸方向に(−W’,H)の点と(W,H)の点との間の範囲で移動可能なように構成される。
【0013】
この建築限界測定システムにおいては、レーザー距離計により測定された測定対象物までの距離を用いて計算により建築限界と測定対象物との間の離隔距離を求め、測定対象物が建築限界を支障しているか否かを判定することができるが、次のようにすることにより建築限界の支障判定を容易かつ迅速に行うことができる。すなわち、この建築限界測定システムが、軌道の建築限界の測定を行う区間において、x軸上の軌道中心を通る直線からの距離XRCに対するこの距離XRCの点における角度θの方向の建築限界までの距離を予め測定したデータをさらに有するようにする。このデータは、建築限界支障判定早見表に載せてもよいし、コンピュータのデータベースに格納するようにしてもよい。そして、x軸上の軌道中心を通る直線からの距離XRCの点においてレーザー距離計により測定される測定対象物までの距離を距離XRCの点における上記のデータと比較することにより測定対象物が建築限界を支障しているか否かを判定する。
【0014】
また、この発明は、
軌道の一対のレール上に跨がるように測定台を設置するステップと、
上記測定台上に、レール面に平行な第1平面内において軌道に直交する方向に移動可能に、かつ軌道に直交する第2平面内においてレーザー光が上記第1平面に対して仰角θの方向を照射するように設置されるレーザー距離計からレーザー光を照射することにより測定対象物までの距離を測定するステップとを有し、
上記第2平面内において、レール面を含む第3平面内であって軌道に直交する直線をx軸に、軌道中心を通る直線をy軸に取り、上記第3平面と上記第3平面に平行でかつ上記レーザー距離計の測定基準点を含む第4平面との間の距離をH、軌道の非電化区間における上記第2平面内の建築限界の左右方向の一端の上下方向の直線部とこの直線部の上部に連なる円弧部との交点の座標を(W1 ,H1 )、軌道の電化区間における上記第2平面内の建築限界の最上部の円弧部とこの円弧部に連なる上記一端と同じ側の一端の上下方向の直線部との交点の座標を(W2 ,H2 )としたとき、θが式
tanθ≒(H1 +H2 −2H)/(W1 +W2
を満足することを特徴とする建築限界測定方法である。
【0015】
この建築限界測定方法は、軌道の建築限界の測定を行う区間において、x軸上の軌道中心を通る直線からの距離XRCに対するこの距離XRCの点における角度θの方向の建築限界までの距離を予め測定したデータを用い、x軸上の軌道中心を通る直線からの距離XRCの点においてレーザー距離計により測定される測定対象物までの距離を距離XRCの点における上記のデータと比較することにより測定対象物が建築限界を支障しているか否かを判定するステップをさらに有する。この建築限界測定方法の発明においては、その性質に反しない限り、上記の建築限界測定システムの発明に関連して説明したことが成立する。
【0016】
また、この発明は、
軌道の一対のレール上に跨がって設置される測定台と、
上記測定台上に、レール面に平行な第1平面内において軌道に直交する方向に移動可能に、かつ軌道に直交する第2平面内においてレーザー光が上記第1平面に対して仰角θの方向を照射するように設置されるレーザー距離計とを有し、
上記第2平面内において、レール面を含む第3平面内であって軌道に直交する直線をx軸に、軌道中心を通る直線をy軸に取り、上記第3平面と上記第3平面に平行でかつ上記レーザー距離計の測定基準点を含む第4平面との間の距離をH、軌道の非電化区間における上記第2平面内の建築限界の左右方向の一端の上下方向の直線部とこの直線部の上部に連なる円弧部との交点の座標を(W1 ,H1 )、軌道の電化区間における上記第2平面内の建築限界の最上部の円弧部とこの円弧部に連なる上記一端と同じ側の一端の上下方向の直線部との交点の座標を(W2 ,H2 )としたとき、θが式
tanθ≒(H1 +H2 −2H)/(W1 +W2
を満足する建築限界測定システムに用いられる建築限界測定システム用測定台であって、
支持体と、上記支持体に対して互いに逆向きに均等に移動可能に支持され、測定時に上記一対のレールの上部の内側の側面に接触する一対のガイド部材とを有することを特徴とする建築限界測定システム用測定台である。
【0017】
この建築限界測定システム用測定台の発明においては、その性質に反しない限り、上述の建築限界測定システムの発明に関連して説明したことが成立する。
【発明の効果】
【0018】
この発明によれば、軌道の一対のレール上に跨がるように測定台を設置し、この測定台上でレーザー距離計を軌道に直交する方向に移動させながらレーザー距離計により測定対象物までの距離を測定することができ、こうして測定される測定対象物までの距離を用いて計算により測定対象物から建築限界までの離隔距離を容易に求めることができる。このため、大掛かりな装置を用いることなく、測定対象物が建築限界を支障しているか否かを容易かつ正確に判定することができる。この場合、レーザー距離計からのレーザー光はレール面に平行な第1平面に対して仰角θの方向を照射するように決められているため、軌道にカントがあったとしても、カント補正が不要であり、従ってカント補正に伴う計算誤差等の問題もない。また、軌道方向に上り下りの勾配があったとしても、第2平面は軌道に対して鉛直方向に設定されるため、勾配補正が不要であり、従って勾配補正に伴う計算誤差等の問題もない。さらに、測定台は、軌道の幅程度の大きさで済み、材料の選定等により軽量に構成することができるため、測定者が一人で持ち運ぶことが可能である。そして、この測定台を一人でレール上に設置し、建築限界を測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】この発明の原理を説明するための模式図である。
図2】この発明の原理を説明するための斜視図である。
図3】この発明の第1の実施の形態による建築限界測定システムを構成する測定台を示す正面図、平面図および裏面図である。
図4】この発明の第1の実施の形態による建築限界測定システムを構成する測定台から補助測定台およびガイド部材を外側に引き出した状態を示す正面図、平面図および裏面図である。
図5】この発明の第1の実施の形態による建築限界測定システムを構成する測定台上に設置される移動台を示す正面図、側面図および平面図である。
図6】この発明の第1の実施の形態による建築限界測定システムを構成する測定台上に移動台を設置した状態を示す側面図および平面図である。
図7】この発明の第1の実施の形態による建築限界測定システムを構成するレーザー距離計を示す正面図である。
図8】この発明の第1の実施の形態による建築限界測定システムを用いて建築限界の測定を行う方法を説明するための図面代用写真である。
図9】この発明の第1の実施の形態による建築限界測定システムを用いて建築限界の測定を行う方法を説明するための模式図である。
図10】この発明の第1の実施の形態による建築限界測定システムを用いて建築限界の支障判定を行う際に用いられる建築限界支障判定早見表の一例を示す模式図である。
図11図10に示す建築限界支障判定早見表を用いて建築限界の支障判定を行う方法を説明するための模式図である。
図12】この発明の第1の実施の形態による建築限界測定システムを用いて建築限界の測定を行う測定対象物の一例を示す図面代用写真である。
図13】この発明の第1の実施の形態による建築限界測定システムを用いて建築限界の測定を行う測定対象物の他の一例を示す模式図である。
図14】この発明の第1の実施の形態による建築限界測定システムを用いて軌道にカントがある場合に建築限界の測定を行う方法を説明するための模式図である。
図15】この発明の第1の実施の形態による建築限界測定システムを用いて軌道にカントがある場合に建築限界の測定を行う方法を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、発明を実施するための形態(以下「実施の形態」という。)について説明する。
〈1.第1の実施の形態〉
[建築限界測定システム]
この建築限界測定システムは、軌道の一対のレール上に跨がって設置される測定台と、この測定台上に軌道に直交する方向に移動可能に設置される移動台と、この移動台上に設置されるレーザー距離計とを有する。
【0021】
図3A、BおよびCは収納状態(非使用時)の測定台100を示す。また、図4A、BおよびCはレール上に設置された使用状態の測定台100を示す。ここで、図3Aは正面図、図3Bは平面図、図3Cは裏面図(測定台100を下側から見た図)である。同様に、図4Aは正面図、図4Bは平面図、図4Cは裏面図(測定台100を下側から見た図)である。
【0022】
図3A、BおよびCに示すように、この測定台100は、収納状態では、全体として直方体の箱状の形状を有し、一対のレール上に設置される際にはその長手方向が軌道に直交する方向になる。測定台100は、支持体110と、この支持体110に対してこの測定台100の長手方向に移動可能に支持された一対の補助測定台120、130と、支持体110に対して測定台100の長手方向に互いに逆向きに均等に移動可能に支持された一対のガイド部材140、150とを有する。
【0023】
支持体110は、測定台100の長手方向に平行でかつ一定の間隔を置いて互いに対向した一対の細長い長方形の側板111a、111bと、これらの側板111a、111bを互いに固定するための長方形の固定板112a、112b、112c、112dとからなる。これらの固定板112a、112b、112c、112dは、側板111a、111bの長手方向の中心寄りの位置に設けられている。固定板112a、112bは、側板111a、111bの内側の面の上部に側板111a、111bの幅方向に平行に取り付けられているのに対し、固定板112c、112dは、側板111a、111bの内側の面の下部に側板111a、111bの長手方向に平行に取り付けられている。側板111a、111bの内側の面には、側板111a、111bの一端部と固定板112aとの間の部分に互いに対向してかつ側板111a、111bの長手方向に平行にガイドレール113a、113bが取り付けられているとともに、側板111a、111bの他端部と固定板112bとの間の部分に互いに対向してかつ側板111a、111bの長手方向に平行にガイドレール113c、113dが取り付けられている。また、図3Bに示すように、側板111aの上面には、この側板111aの長手方向に沿って目盛115が設けられている。この目盛115の中心(図3B中、この中心の目盛の線を太線で示す)は、側板111aの長手方向の長さの中心と一致している。この目盛115は例えば1mm刻みで設けられる。
【0024】
補助測定台120は、支持体110の側板111a、111bと直交する長方形の前板121と、互いに一定の間隔を置いて互いに対向してこの前板121に固定された側板122a、122bとを有する。これらの側板122a、122bの内側の面には、これらの側板122a、122bを一定の間隔を置いて互いに固定するための長方形の固定板123a、123bが固定されている。側板122a、122bの外側の面には、互いに対向して側板111a、111bの内側の面に取り付けられたガイドレール113a、113bと組み合わさってこれらのガイドレール113a、113bに沿って摺動自在なスライダ124a、124bが取り付けられている。補助測定台130も、補助測定台120と同様に、支持体100の側板111a、111bと直交する長方形の前板131と、互いに一定の間隔を置いて互いに対向してこの前板131に固定された側板132a、132bとを有する。これらの側板132a、132bの内側の面には、これらの側板132a、132bを一定の間隔を置いて互いに固定するための長方形の固定板133a、133bが固定されている。また、側板132a、132bの外側の面には、互いに対向して側板111a、111bの内側の面に取り付けられたガイドレール113c、113dと組み合わさってこれらのガイドレール113c、113dに沿って摺動自在なスライダ134c、134dが取り付けられている。また、図3Bに示すように、補助測定台120、130の側板122a、132aの上面には、これらの側板122a、132aの長手方向に沿って目盛135、136が設けられている。これらの目盛135、136は例えば1mm刻みで設けられる。補助測定台120、130は支持体110の外側に引き出すことができるが、補助測定台120、130の可動距離は、測定台100をレール上に設置した後、レーザー距離計が設置された移動台を支持体110および引き出された補助測定台120、130上で移動させることにより建築限界測定に必要な範囲でレーザー距離計を移動させることができるように決められている。
【0025】
ガイド部材140は、支持体110の側板111a、111bと直交する長方形の前板141と、互いに一定の間隔を置いて互いに対向してこの前板141に固定された側板142a、142bとを有する。これらの側板142a、142bの内側の面には、これらの側板142a、142bを一定の間隔を置いて互いに固定するための長方形の固定板143a、143bが固定されている。側板142a、142bの外側の面には、互いに対向してかつ側板111a、111bの内側の面に取り付けられたガイドレール114a、114bと組み合わさってこれらのガイドレール114a、114bに沿って摺動自在なスライダ144a、144bが取り付けられている。さらに、固定板143aの下面には矩形断面の突起145が測定台100の長手方向に対して直交する方向に取り付けられている。ガイド部材150も、ガイド部材140と同様に、支持体110の側板111a、111bと直交する長方形の前板151と、互いに一定の間隔を置いて互いに対向してこの前板151に固定された側板152a、152bとを有する。これらの側板152a、152bの内側の面には、これらの側板152a、152bを一定の間隔を置いて互いに固定するための長方形の固定板153a、153bが固定されている。また、側板152a、152bの外側の面には、互いに対向してかつ側板111a、111bの内側の面に取り付けられたガイドレール114c、114dと組み合わさってこれらのガイドレール114c、114dに沿って摺動自在なスライダ154a、154bが取り付けられている。さらに、固定板153aの下面には矩形断面の突起155が測定台100の長手方向に対して直交する方向に取り付けられている。測定台100をレール上に設置する場合には、この突起155の外側の側面を一方のレールの上部の内側の側面と接触させるとともに、ガイド部材140の突起145の外側の側面を他方のレールの上部の内側の側面と接触させる。ガイド部材140、150は、後述のリンク機構により互いに逆向きに均等に移動させることができるが、測定台100をレール上に設置する場合には、ガイド部材140の突起145の外側の側面およびガイド部材150の突起155の外側の側面がレール上部の内側の側面と接触するまで支持体100に対してガイド部材140、150を外側に引き出すことができるように、ガイド部材140、150の可動距離が決められている。必要に応じて、ガイド部材140、150の突起145、155の外側の側面がレールの上部の側面に接触した状態を保持するため、ガイド部材140、150が移動しないようにするためのストッパを支持体110に設けてもよい。
【0026】
図3Cに示すように、支持体110の側板111a、111bに固定された固定板112dの中心部の上に円形のスペーサ116が取り付けられている。このスペーサ116上に、このスペーサ116および固定板112dの中心の周りに回転可能に細長い板状のリンク117aが取り付けられている。このリンク117aの中心はスペーサ116および固定板112dの中心と一致している。このリンク117aの一端部に細長い板状のリンク117bの一端部がこのリンク117aの一端部の回転中心の周りに回転可能に取り付けられている。さらに、このリンク117bの他端部に細長い板状のリンク117cの一端部が取り付けられている。このリンク117cの他端部は、このリンク117cが側板111a、111bに平行となるようにガイド部材140の固定板143bに固定されている。リンク117bの他端部はリンク117cの一端部の回転中心の周りに回転可能になっている。一方、リンク117aの他端部に細長い板状のリンク117dの一端部がリンク117aの他端部の回転中心の周りに回転可能に取り付けられている。このリンク117dの他端部は、ガイド部材150の固定板153bにこのリンク117dの他端部の回転中心の周りに回転可能に取り付けられている。これらのリンク117a〜117dによりリンク機構が形成されている。この場合、リンク117dの両端部の回転中心の間の距離は、上述のリンク117bの両端部の回転中心の間の距離と等しい。また、測定台100の長手方向の中心線とリンク117bの他端部の回転中心との間の距離と、測定台100の長手方向の中心線と固定板153b上にあるリンク117dの他端部の回転中心との間の距離とは互いに等しい。このため、ガイド部材140、150の出し入れに伴ってリンク117aが回転する際、リンク117bとリンク117dとは常時平行になっていることから、これらのガイド部材140、150を測定台100の長手方向に互いに逆向きに均等に移動させることができる。
【0027】
図4A、BおよびCは、補助測定台120、130およびガイド部材140、150を支持体110から外側に引き出した使用状態の測定台100を示す。図4A、BおよびCに示すように、リンク117aが回転し、それに伴ってリンク117bが回転し、ガイド部材140の固定板143bに固定されたリンク117cが外側に移動しているとともに、ガイド部材150の固定板153bに固定されたリンク117dが外側に移動しているのが分かる。この状態では、ガイド部材140の突起145の内側の側面が一方のレールR1 の上部の外側の側面に接触し、ガイド部材150の突起155の内側の側面が他方のレールR2 の上部の外側の側面に接触している。図4Aには、測定台100上に後述の移動台200が設置され、この移動台200上にレーザー距離計300が設置された様子が示されている。
【0028】
測定台100を構成する支持体110、補助測定台120、130およびガイド部材140、150の材質や寸法は、測定精度を維持することができる程度の剛性を有する限り特に限定されず、必要に応じて選ばれる。例えば、これらの支持体110、補助測定台120、130およびガイド部材140、150の一部または全部の材質として、木材、プラスチック(繊維強化プラスチックなど)、構造用アルミニウム合金、鉄鋼材料などを挙げることができる。ただし、これらの支持体110、補助測定台120、130およびガイド部材140、150の全部を鉄鋼材料などの導電材料により構成する場合には、左右のレールR1 、R2 を電気的に絶縁するためにこれらのレールR1 、R2 と接触する部分に絶縁物を配置する。また、これらの支持体110、補助測定台120、130およびガイド部材140、150の各部の寸法の例を挙げると、支持体110の全長は900mm、高さは90mm、幅は210mm、補助測定台120、130の全長は320〜370mm、高さは40mm、前板121、131以外の部分の幅は150mm、ガイド部材140、150の全長は215mm、高さは40mm、前板141、151以外の部分の幅は150mmである。また、補助測定台120の可動幅は300mm、補助測定台130の可動幅は350mmである。また、ガイド部材140、150の可動幅は150mmである。
【0029】
次に、レーザー距離計を設置する移動台200について説明する。図5A、BおよびCに移動台200を示す。ここで、図5Aは正面図、図5Bは側面図、図5Cは平面図である。図5A、BおよびCに示すように、移動台200は、互いに平行に対向して設けられた二つのL字形状の側板201、202を一定の間隔を置いて互いに固定するように長方形の固定板203、204が固定されることにより構成されている。側板201は、固定板203、204の一端部に固定されているのに対し、側板202は、固定板203、204の他端部から少し離れた位置に固定されている。側板201、202の間には、これらの側板201、202の間を接続するように細長い支持板205〜208が固定されている。これらの支持板205〜208のうち、支持板205〜207の前面は、側板201、202の底辺に対して角度θをなす方向の平面内に位置している。一方、支持板208は、その上面が、支持板205〜207の前面が含まれる平面に対して直交する平面内に位置している。レーザー距離計300は、その底部が支持板208で支持され、背面が支持板205〜207の前面で支持されるように設置される。側板201、202の底面にはガイド209、210が設けられている。このうち、ガイド209は側板201の直ぐ内側に設けられ、ガイド210は側板202の外側にこの側板202に平行に設けられている。
【0030】
図6AおよびBに、測定台100上に移動台200を設置し、この移動台200上にレーザー距離計300を設置した様子を示す。支持板205〜208の長さはレーザー距離計300の幅よりも十分に大きく選ばれており、レーザー距離計300の設置位置を移動台200の幅方向に変更することができるようになっている。こうすることで、例えば、レール上に設置された測定台100を移動せずに、建築限界の測定対象物の凹凸(折板の谷など)に合わせてレーザー距離計300を移動させることができる。また、支持体110の側板111aの上面に設けられた目盛115および補助測定台120、130の側板122b、132bの上面に設けられた目盛135、136により、レーザー距離計300の測定基準点の軌道中心からの距離を計測することができる。
【0031】
図7はレーザー距離計300の一例を示す。レーザー距離計300の測定基準(測定される距離の基準(原点))は一般に変更可能になっているが、図7に示すように、このレーザー距離計300は、その後端(レーザー照射口と反対側の底面)の測定基準点から測定対象物までの距離を測定するように設定されている。
【0032】
[建築限界測定システムの使用方法]
この建築限界測定システムを用いて建築限界を測定する方法について説明する。
【0033】
a.建築限界測定システムの設置方法
まず、図8Aに示すように、測定担当者が測定台100を両手で持って線路内に立ち入り、測定台100を水平面から少し傾けた状態で片方のレールの上部の内側の側面に一方のガイド部材150の突起155の外側の側面を接触させる。図8Bに示すように、その状態で他方のガイド部材140をその前板141を手で持って外側に引き出し、それと同時に測定台100を水平にしてガイド部材140の突起145の外側の側面をもう片方のレールの上部の内側の側面に接触させる。この際、ガイド部材140を引き出すと、ガイド部材150もガイド部材140と逆向きに均等に引き出される。こうして、測定台100が軌道に直交して一対のレール上に跨がって設置される。この状態のガイド部材140、150の突起145、155の外側の側面がレールの上部の内側の側面に接触している様子を図8CおよびDに示す。ガイド部材140を引き出したときにリンク機構を構成するリンク117a〜117dの位置が変化する様子を図8EおよびFに示す。次に、図8Gに示すように、測定台100上に移動台200を設置し、その上にレーザー距離計300を設置する。次に、図8Hに示すように、補助測定台120、130をそれらの前板121、131を手で持ってそれぞれ外側に引き出す。以上により、図8Iに示すように、建築限界の測定の準備が完了する。
【0034】
b.建築限界測定システムによる建築限界の測定方法
この建築限界測定システムの測定台100は、レール上の、建築限界の測定を行う測定対象物にレーザー光を照射することができる位置に設置されているとする。具体的には、測定台100は、駅のホーム側の軌道の一対のレール上に設置されているとする。
【0035】
まず、レーザー距離計300が設置された移動台200を手で押さえて測定台100上をスライドさせ、測定対象物とは反対側(x軸の負の方向)に、測定台100の支持体110の側板111aの上面に設けられた目盛115および補助測定台130の側板132bの上面に設けられた目盛136を用いて測定開始位置(−W' )まで移動させる。この際、移動台200の下面のガイド209、210が、支持体110の側板111aと補助測定台120、130の側板122a、132aとの間の隙間および支持体110の側板111bと補助測定台120、130の側板122b、132bとの間の隙間に収まっていてガイドされるため、移動台200の移動を直線的にスムーズに行うことができる。
【0036】
次に、レーザー距離計300の電源を入れ、仰角θの方向に放射されるレーザー光を測定対象物に照射し、それにより測定される距離を読み取り、記録する。次に、測定台100の側板111aの上面に設けられた目盛115および補助測定台120、130の側板122b、132bの上面に設けられた目盛135、136を用いて移動台200を所定距離(例えば、5mm)だけ測定台100上を移動させ、その時に測定される距離を読み取り、記録する。こうして、測定台100上で移動台200を少しずつ移動させてはレーザー距離計300により測定される距離を読み取って記録する作業を繰り返す。この操作を、レーザー距離計300の測定基準点が測定終了位置(+W)に移動するまで行う。
【0037】
上述のようにして軌道中心から軌道に直交する方向の距離に対する測定対象物までの距離を測定した結果を用いて測定対象物が建築限界を支障しているか否かの判定を行う方法は以下の通りである。ここでは、測定対象物がホームの旅客上家であり、これが建築限界を支障しているか否かを判定する場合を考える。図9はx軸上の座標(−W3 ,H)(ただし、W3 >0)の点において測定対象物までの距離Lを測定した状態を示す。このとき、この距離Lに対するx軸方向の距離はLcosθ、測定基準点を含む第4平面からのy軸方向の距離はLsinθとなる。旅客上家の端点Pの座標は(−W3 +Lcosθ,H+Lsinθ)である。建築限界の上部の円弧部の中心点Cの座標は(0,2,150)となる。従って、P点とC点との間の離隔距離PC=[(−W3 +Lcosθ)2 +(H+Lsinθ−2,150)2 1/2 である。このとき、P点とC点とを結ぶ線分上の建築限界とP点との間の離隔距離wはw=[(−W3 +Lcosθ)2 +(H+Lsinθ−2,150)2 1/2 −2,150と表される。W3 はx軸上のレーザー距離計300の位置により決まり、Lはレーザー距離計300により測定され、H,θは予め決められているので、この式によりP点とC点とを結ぶ線分上の建築限界とP点との間の離隔距離wを求めることができ、こうして求められるwによって建築限界を支障しているか否かを判定することができる。
【0038】
建築限界の支障判定は、測定台100上の測定範囲(−W’〜W)における角度θの方向の建築限界までの距離(図9中、x=−W3 のときのl)を軌道中心からの距離に対してまとめた建築限界支障判定早見表としてデータベース化することで、建築限界の測定を行う現地では、レーザー距離計による測定値(L)と建築限界支障判定早見表の建築限界までの距離lとの大小比較のみにより建築限界支障判定を行うことができる。建築限界支障判定早見表の一例を図10に示す。図10に示すように、この建築限界支障判定早見表は、軌道中心(RC)からの距離を−700mmから+700mmの範囲で5mm間隔で変化させ、それぞれの距離に対する建築限界までの距離を記載したものである。軌道中心からある距離の点でレーザー距離計300により測定される距離Lがこの建築限界支障判定早見表に記載された建築限界までの距離を下回った場合は建築限界を支障し、上回っている場合は建築限界を支障していないことを示す。その様子を図11に示す。図11中に、建築限界を支障している場合および建築限界を支障していない場合の例を示す。
【0039】
[建築限界測定システムの使用例]
図12に、建築限界の測定対象物が、線路側が凹凸になっている旅客上家である例を示す。測定台100の設置位置を軌道に平行な方向に変えることができる上、測定台100を移動せずに、レーザー距離計300を移動台200上でこの移動台200の幅方向(軌道に平行な方向あるいはレールの長手方向)に移動させることができるため、建築限界の測定対象物の凹凸(折板の谷など)の形状に合わせてレーザー距離計300を移動させることができる。このため、レーザー距離計300による距離の測定を迅速に行うことができ、ひいては建築限界の支障判定を迅速に行うことができる。また、レーザー距離計300を移動台200上でこの移動台200の幅方向に移動させることにより、第2平面(図2参照)を軌道方向に(カントやレール勾配にも応じて)平行移動することができ、建築限界と測定対象物とが最も近接している特定の第2平面を容易に見出すことができるため、建築限界測定の精度を高めることができる。
【0040】
この建築限界測定システムによれば、建築限界の測定対象物の複数箇所を容易に測定することができ、それによって建築限界の測定精度の向上を図ることができる。一例を図13に示す。図13に示すように、この例では、ホーム上に設置された支柱401の上部に梁402が設けられ、この梁402上に屋根403が設置されている。屋根403の線路側の縁には軒樋404が設けられ、この軒樋404の下部にエルボ405が接続され、このエルボ405に堅樋406が接続されている。堅樋406は支柱401および梁402に固定されている。この場合、建築限界の測定対象物は軒樋404およびエルボ405であるが、複雑な凹凸形状を有することが分かる。建築限界に接近しているのは軒樋404の線路側の下端およびエルボ405の湾曲部である。この場合、測定台100上で移動台200を軌道に直交する方向に移動させながらレーザー距離計300により距離を測定することにより、これらの複雑な形状を有する軒樋404およびエルボ405の複数箇所までの距離を容易に測定することができ、それによって軒樋404およびエルボ405が建築限界を支障するか否かの判定を容易に行うことができる。この例では、レーザー距離計300の測定値と建築限界支障判定早見表との比較から、その差が、軒樋404の線路側の下端では+97mm、エルボ405の湾曲部では+90mmであると求められ、建築限界を支障しないと即座に判定することができる。なお、離隔距離は計算により求められ、建築限界と軒樋404の線路側の下端との離隔距離は+91mm、建築限界とエルボ405の湾曲部との離隔距離は+83mmであると分かるが、支障判定には直接必要としない。
【0041】
この建築限界測定システムによれば、軌道にカントがある場合や軌道に平行な方向に上り下りの勾配(レール勾配)がある場合も容易に建築限界の測定を行うことができる(図2参照)。まず、図14および図15に示すように、軌道にカントがある場合を考える。この場合も、この建築限界測定システムでは、測定台100が一対のレール上に跨がって設置され、この測定台100上でレーザー距離計300が設置された移動台200を軌道に直交する方向に移動させながらレーザー距離計300からレーザー光を測定対象物に照射して距離を測定するため、カントを考慮した計測を行うことができる。このため、従来のようにカント補正を行う必要がない。同様に、図2に示すように、軌道方向に上り下りの勾配がある場合も、測定台100が一対のレール上に跨がって設置されると、それに応じて第2平面も軌道に対して鉛直方向に設定されるため、測定台100を設置するだけで軌道の勾配を考慮した計測を行うことができる。さらに、図12に関連して説明したように、測定台100の設置位置を軌道に平行な方向に変えることによりレーザー距離計300を軌道に平行な方向に移動させる場合も、第2平面が軌道に対して鉛直方向に設定されたまま平行移動するため、自動的に軌道の勾配を考慮した計測を行うことができる。
【0042】
以上のように、この第1の実施の形態によれば、軌道の一対のレール上に跨がるように測定台100を設置し、この測定台100上で移動台200上に設置されたレーザー距離計300を軌道に直交する方向に移動させながらレーザー距離計300により測定対象物までの距離を測定することができる。そして、こうして測定される測定対象物までの距離を予め作成された建築限界支障判定早見表の距離と比較することにより、測定対象物が建築限界を支障しているか否かを容易かつ正確に判定することができる。この建築限界測定システムは、測定台100、移動台200およびレーザー距離計300により構成されており、大掛かりな装置を用いていない。また、上述のように、軌道にカントがあったり、軌道方向に勾配があったりしても、それらの補正が不要であり、従ってそれらの補正に伴う計算誤差等の問題もない。また、支持体110に対してガイド部材140、150を互いに逆向きに均等に移動可能であるため、測定台100の中心を軌道中心に常に維持することができることから、軌道のカーブ区間のスラックに対しても補正の必要がない。また、測定台100は、軌道の幅程度の大きさで済み、材料の選定等により軽量に構成することができるため、測定者が一人で持ち運ぶことが可能である。そして、この測定台100を一人でレール上に設置し、建築限界の測定を行うことができる。
【0043】
〈2.第2の実施の形態〉
[建築限界測定システム]
第1の実施の形態による建築限界測定システムにおいては、軌道中心からのx軸方向の距離を変えてレーザー距離計300により測定対象物までの距離を測定した後、建築限界支障判定早見表を用いて建築限界の支障判定を行っているのに対し、この第2の実施の形態においては、建築限界支障判定早見表と同様な内容(軌道中心からの距離に対する角度θの方向の建築限界までの距離のデータ)をコンピュータのデータベースに蓄積しておき、通信技術を用いて、レーザー距離計300により測定された測定対象物までの距離をこのデータベースに蓄積された距離のデータと照合することにより建築限界の支障判定を行う。具体的には、レーザー距離計300を距離の測定結果を外部に電気信号として出力することができるように構成する。必要に応じて、レーザー距離計300の電源の投入および測定も有線または無線により外部から制御することができるようにする。そして、こうしてレーザー距離計300から出力される電気信号を有線または無線によりコンピュータに送信し、予め作成されたプログラムに従って、データベースに蓄積された距離のデータと照合されて建築限界の支障判定が行われ、その結果が、コンピュータに接続されたディスプレイに表示され、必要に応じて、コンピュータに接続されたプリンタにより印刷される。コンピュータとしては、携帯可能なパーソナルコンピュータを用いてもよいし、スマートフォンやタブレットなどの携帯端末を用いてもよい。レーザー距離計300で測定された距離および建築限界の支障判定の結果は、データベースに蓄積することができる。
【0044】
この建築限界測定システムの上記以外のことは第1の実施の形態による建築限界測定システムと同様である。
【0045】
この第2の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様な利点に加えて、建築限界の支障判定を自動的に行うことができるという利点を得ることができる。
【0046】
〈3.第3の実施の形態〉
[建築限界測定システム]
第1の実施の形態による建築限界測定システムにおいては、レール上で建築限界を測定する場所を変えるには測定担当者が測定台100を手で持って移動し、目的とする場所に到着したらそこでレール上に測定台100を設置するのに対し、この第3の実施の形態においては、測定台100の支持体110に車輪およびモーターなどの動力を取り付けてこの測定台100を自走式に構成するとともに、支持体110に測定台100の移動を制御する制御装置も取り付け、有線または無線により、測定台100がレール上を自走可能とする。測定台100がレール上を走行する際に、ガイド部材140、150の突起145、155の外側の側面がレールの上部の内側の側面に常時接触するようにしてもよく、このためには、例えば、コイルスプリングなどによりガイド部材140、150に突起145、155の外側の側面がレールの上部の内側の側面を押圧するように力を加えるようにすればよい。また、第1の実施の形態による建築限界測定システムにおいては、測定台100上で移動台200を手で持ってx軸方向に移動させるのに対し、この第3の実施の形態においては、測定台100上で駆動機構により移動台200を自走式に構成するとともに、この移動台200の移動を制御する制御装置も取り付け、有線または無線により、移動台200が測定台100上を自走可能とする。移動台200の駆動機構としては従来公知のものを用いることができ、必要に応じて選ばれるが、例えば、測定台100上にレールを設け、その上を移動台200に取り付けられた車輪およびリニアモーターにより移動することができるようにする。加えて、レーザー距離計300の電源の投入および測定も有線または無線により外部から制御することができるようにする。さらに、第2の実施の形態と同様に、建築限界支障判定早見表と同様な内容(軌道中心からの距離に対する角度θの方向の建築限界までの距離のデータ)をコンピュータのデータベースに蓄積しておき、通信技術を用いて、レーザー距離計300により測定された測定対象物までの距離をこのデータベースに蓄積された距離のデータと照合することにより建築限界の支障判定を行う。
【0047】
この建築限界測定システムの上記以外のことは第1および第2の実施の形態による建築限界測定システムと同様である。
【0048】
この第3の実施の形態によれば、第1および第2の実施の形態と同様な利点に加えて、測定台100を一旦レール上に設置すれば、後は無人で必要な場所の建築限界を自動的に測定することができ、それによって建築限界の支障判定を自動的に行うことができるという利点を得ることができる。
【0049】
〈4.第4の実施の形態〉
[建築限界測定システム]
この第4の実施の形態による建築限界測定システムにおいては、第3の実施の形態による建築限界測定システムにおいてさらに、移動台200上に設置するレーザー距離計300を移動台200上で、モーター、制御装置などにより遠隔操作でその幅方向(軌道方向)に移動可能とする。そして、車輪の回転により一定距離、測定台100を軌道上で移動させ、その地点で測定台100上で移動台200をx軸方向に移動させながらレーザー距離計300で測定を行い、次にレーザー距離計300を移動台200上で軌道方向に微少距離移動させて同様な測定を行い、さらにレーザー距離計300を移動台200上で軌道方向に同様に微少距離移動させては同様な測定を行う。この後、測定台100を線路上で所定距離移動させ、上記と同様な測定を繰り返すことで、建築限界測定を軌道方向に精密に行うことができる。また、測定されたデータを使うことにより、測定対象物の軌道方向のプロファイルを得ることも可能である。
【0050】
この建築限界測定システムの上記以外のことは第3の実施の形態による建築限界測定システムと同様である。
【0051】
この第4の実施の形態によれば、第3の実施の形態と同様な利点に加えて、建築限界の支障判定を軌道方向により精密に行うことができるという利点を得ることができる。
【0052】
〈5.第5の実施の形態〉
[建築限界測定システム]
第1〜第4の実施の形態による建築限界測定システムにおいては、建築限界の測定対象物は軌道の片側にあることを想定し、その片側で仰角θの方向にレーザー光を照射するようにしているのに対し、この第5の実施の形態による建築限界測定システムにおいては、測定台100上の移動台200上に、レーザー光の照射方向が軌道の片側で仰角θの方向となるレーザー距離計と、レーザー光の照射方向が軌道の反対側で仰角θの方向となるレーザー距離計とを設置する。具体的には、図4Aにおいて、移動台200上に、右側に角度θ傾斜して設置されているレーザー距離計300に加えて、左側に角度θ傾斜してもう一つのレーザー距離計を移動台200の幅方向に互いに離れた位置に互いに平行に設置する。図4Aにおいて、レーザー距離計300の測定基準点ともう一つのレーザー距離計の測定基準点とは互いに一致している。そして、移動台200をx軸上で移動させながらレーザー距離計300およびもう一つのレーザー距離計から軌道の片側および軌道の反対側にそれぞれレーザー光を照射することにより建築限界測定を行う。こうすることで、軌道の両側の建築限界測定を行うことができ、それによって支障判定を行うことができる。
【0053】
この建築限界測定システムの上記以外のことは第1〜第4の実施の形態のいずれかによる建築限界測定システムと同様である。
【0054】
この第5の実施の形態によれば、第1〜第4の実施の形態のいずれかと同様な利点に加えて、軌道の両側の建築限界を測定することができ、それによって建築限界の支障判定を行うことができるという利点を得ることができる。
【0055】
以上、この発明の実施の形態について具体的に説明したが、この発明は、上述の実施の形態に限定されるものではなく、この発明の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。例えば、上述の実施の形態において挙げた数値、構造、構成、機能、材料などはあくまでも例に過ぎず、必要に応じてこれらと異なる数値、構造、構成、機能、材料などを用いてもよい。
【符号の説明】
【0056】
100…測定台、110…支持体、117a〜117d…リンク、120、130…補助測定台、140、150…ガイド部材、145、155…突起、115、135、136…目盛、200…移動台、300…レーザー距離計
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