(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6495847
(24)【登録日】2019年3月15日
(45)【発行日】2019年4月3日
(54)【発明の名称】汚泥処理システム
(51)【国際特許分類】
C02F 11/14 20190101AFI20190325BHJP
C02F 11/04 20060101ALI20190325BHJP
【FI】
C02F11/14 A
C02F11/04 AZAB
【請求項の数】6
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2016-44751(P2016-44751)
(22)【出願日】2016年3月8日
(65)【公開番号】特開2017-159216(P2017-159216A)
(43)【公開日】2017年9月14日
【審査請求日】2018年3月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】特許業務法人 志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】平岩 良太
【審査官】
佐々木 典子
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭62−266200(JP,A)
【文献】
特開平11−277096(JP,A)
【文献】
特開2001−170695(JP,A)
【文献】
特開平11−003723(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 11/00−11/20
B01D 21/01
C02F 1/52− 1/56
C02F 3/28− 3/34
B09B 1/00− 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下水汚泥を消化処理してメタンと二酸化炭素とを含む消化ガスおよび消化汚泥を生成させる消化槽と、
前記消化槽にて生成された消化汚泥を貯留する汚泥貯留槽と、
脱水処理前に、前記汚泥貯留槽に貯留されている消化汚泥に二酸化炭素を注入する二酸化炭素注入装置と、
前記二酸化炭素注入装置により二酸化炭素が注入された消化汚泥を脱水処理する脱水装置と、
を備える汚泥処理システム。
【請求項2】
前記汚泥貯留槽にpH計が設置されていて、
前記pH計によって計測されたpH値に基づいて、前記二酸化炭素注入装置が消化汚泥に注入する二酸化炭素の量を制御する制御装置を備える請求項1に記載の汚泥処理システム。
【請求項3】
前記消化槽にて生成された消化ガスに含まれるメタンと二酸化炭素を分離して回収し、回収された二酸化炭素を前記二酸化炭素注入装置に供給する消化ガス分離回収装置を備える請求項1に記載の汚泥処理システム。
【請求項4】
前記消化ガス分離回収装置にて回収されたメタンガスを原料とする発電装置を備える請求項3に記載の汚泥処理システム。
【請求項5】
前記消化ガス分離回収装置にて回収されたメタンガスを燃焼させる燃焼装置を備え、
前記二酸化炭素注入装置は、前記燃焼装置にてメタンガスを燃焼させることによって生成される二酸化炭素を、前記汚泥貯留槽に貯留されている消化汚泥に注入する請求項3に記載の汚泥処理システム。
【請求項6】
前記汚泥貯留槽に貯留されている消化汚泥に凝集剤を注入する凝集剤注入装置を備える請求項1から5のいずれか一項に記載の汚泥処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、汚泥処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
下水や排水を処理するための水処理施設では、被処理水に凝集剤を注入して、被処理水中の固形物を凝集体(フロック)として沈殿除去することが行なわれている。この凝集剤による凝集効果は、被処理水のpHによって変動する。このため、使用する凝集剤の種類に合せて、凝集剤と共にpH調整剤を注入して、被処理水のpHを最適化するのが一般的である。pH調整剤として、大気中から回収された二酸化炭素を用いるpH調整システムは知られている。
【0003】
また、水処理施設では、好気性細菌を用いた活性汚泥法により、被処理水中の有機物を除去することが行なわれている。この活性汚泥法による有機物の除去処理では、多量の汚泥(下水汚泥)が発生する。このため、水処理施設には、下水汚泥を処理するための汚泥処理システムが備えられている。
【0004】
汚泥処理システムでは、下水汚泥を消化槽に投入し、その消化槽内にて消化処理して消化ガスと消化汚泥とを生成させることによって、汚泥を減量する。消化ガスは、メタンと二酸化炭素とを含む。この消化ガスに含まれるメタンは、発電装置やボイラーなどの燃料として利用される。消化を促進させてメタン生成量をより多くするために、消化ガス中の二酸化炭素を回収し、その回収された二酸化炭素ガスの一部を消化槽に循環する消化ガス利用燃料電池設備は知られている。
【0005】
一方、消化処理によって生成された消化汚泥は脱水処理され、固形分(脱水汚泥)は肥料などに利用される。水分(脱水分離液)は、リン酸やアンモニアを大量に含んでいるため、排水として、再度、水処理施設に戻されて処理される。
【0006】
消化汚泥の脱水処理による脱水効率を向上させるために、脱水処理前の消化汚泥に無機系凝集剤や高分子凝集剤(ポリ硫酸第二鉄など)などの凝集剤を注入して、消化汚泥中の固形物を凝集させることが行なわれている。しかしながら、凝集剤の注入のみでは消化汚泥を十分に凝集させることができない場合があった。すなわち、消化汚泥はpHが一般に7.5〜8.5の範囲にあり、アルカリ性であるため、凝集剤による凝集効果が不十分となる場合があった。消化汚泥にpH調整剤を注入して、消化汚泥のpHを下げることも行われているが、この場合は、凝集剤とpH調整剤とを合わせた薬剤費が高くなり、消化汚泥処理のランニングコストの上昇を招くという可能性があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−161782号公報
【特許文献2】特開平11−3723号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、低コストで消化汚泥のpHを下げることができる汚泥処理システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
実施形態の汚泥処理システムは、消化槽と、汚泥貯留槽と、二酸化炭素注入装置と、脱水装置とを持つ。消化槽は、下水汚泥を消化処理してメタンと二酸化炭素とを含む消化ガスおよび消化汚泥を生成させる。汚泥貯留槽は、前記消化槽にて生成された消化汚泥を貯留する。二酸化炭素注入装置は、
脱水処理前に、前記汚泥貯留槽に貯留されている消化汚泥に二酸化炭素を注入する。脱水装置は、前記二酸化炭素注入装置により二酸化炭素が注入された消化汚泥を脱水処理する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】第1の実施形態における汚泥処理システムの構成を示すブロック図。
【
図2】第2の実施形態における汚泥処理システムの構成を示すブロック図。
【
図3】第3の実施形態における汚泥処理システムの構成を示すブロック図。
【
図4】第4の実施形態における汚泥処理システムの構成を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施形態の汚泥処理システムを、図面を参照して説明する。
【0012】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態における汚泥処理システムの構成を示すブロック図である。
第1実施形態の汚泥処理システムは、消化槽1、汚泥貯留槽3、二酸化炭素注入装置5および脱水装置8を備える。
【0013】
消化槽1は、下水汚泥を消化処理(嫌気性発酵処理)してメタンと二酸化炭素とを含む消化ガスおよび消化汚泥を生成させるための槽である。消化槽1は、下水や排水を処理するための水処理施設(不図示)に併設されていて、水処理施設にて生成された下水汚泥が送られる。
【0014】
汚泥貯留槽3は、消化槽1にて生成された消化汚泥を貯留するための槽である。汚泥貯留槽3には、pH計4が設置されている。また、汚泥貯留槽3には、凝集剤の注入装置とpH調整剤の注入装置が設置されている(不図示)。
【0015】
二酸化炭素注入装置5は、汚泥貯留槽3に貯留されている消化汚泥に二酸化炭素を注入(曝気)するための装置である。二酸化炭素注入装置5の二酸化炭素の供給機としてはブロワを用いることができる。また、消化汚泥に二酸化炭素を注入する注入具としては散気管を用いることができる。二酸化炭素は、市販の二酸化炭素ボンベを使用して供給してもよいし、大気中の二酸化炭素を回収して使用してもよい。また、後述のとおり、消化ガス中の二酸化炭素を回収して使用してもよいし、消化ガス中のメタンを焼成することによって生成された二酸化炭素を使用してもよい。
【0016】
脱水装置8は、消化汚泥を脱水処理するための装置である。脱水装置8としては、消化汚泥の脱水処理において一般に使用されている各種の脱水機を用いることができる。脱水装置8の例としては、ベルトプレス脱水機、フィルタープレス脱水機、ロータリープレス脱水機、スクリュープレス脱水機、遠心分離脱水機、多重円板脱水機などが挙げられる。
【0017】
次に、第1の実施形態の汚泥処理システムを用いた下水汚泥の処理方法を説明する。
まず、消化槽1において、下水汚泥は消化処理されて、メタンと二酸化炭素とを含む消化ガスおよび消化汚泥が生成される。消化汚泥は、通常、pHが7.5〜8.5の範囲にあるアルカリ性であり、含水率は一般的に95質量%以上である。消化槽1にて生成された消化汚泥は、汚泥貯留槽3に送泥され、汚泥貯留槽3にて一旦貯留される。
【0018】
汚泥貯留槽3に貯留されている消化汚泥は、凝集剤注入装置(不図示)によって凝集剤が注入され、二酸化炭素注入装置5によって二酸化炭素が注入される。消化汚泥に注入された二酸化炭素は、消化汚泥中の水分と結合して炭酸(H
2CO
3)を形成し、この炭酸が水素イオン(H
+)と炭酸イオン(HCO
3−)とに分解することによって、消化汚泥のpHがアルカリ性から酸性側に変化する。消化汚泥の最適なpH値は、消化汚泥に注入する凝集剤の種類によって異なるため、一律に設定することはできないが、通常は、消化汚泥のpHが5〜7の範囲となるように調整する。消化汚泥のpH値は、pH計4によって計測される。消化汚泥のpH値が設定値から外れた場合には、pH調整剤投入装置(不図示)により、消化汚泥にpH調整剤が投入される。pH調整剤としては、塩酸や硫酸などの酸を用いることができる。こうして、pH値が調整された消化汚泥は、配管9を介して脱水装置8に送泥される。
【0019】
なお、消化汚泥は、一般にリン酸やアンモニアを大量に含んでいる。このため、消化汚泥のpHがアルカリ性であると、MAP(リン酸マグネシウムアンモニウム)などのリン酸アンモニウム塩が析出し易い。このリン酸アンモニウム塩が析出して、配管内にスケールが形成されると、配管が閉塞することがある。本実施形態では、汚泥貯留槽3にて、消化汚泥のpHを酸性側に調整するので、配管9などの汚泥貯留槽3よりも下流側の配管ではリン酸アンモニウム塩の析出によるスケールが形成されにくくなる。
【0020】
脱水装置8において、消化汚泥は脱水処理される。脱水処理によって生成された脱水汚泥は、通常は、水分が85質量%以下である。脱水汚泥は、脱水汚泥の利用先11に送られる。脱水汚泥は、例えば、肥料やセメント原料として利用される。一方、消化汚泥から分離された水分(脱水分離液)は、リン酸やアンモニアを大量に含んでいるため、水処理施設(不図示)に送られて処理される。
【0021】
以上のように、第1の実施形態の汚泥処理システムは、二酸化炭素注入装置5を用いて汚泥貯留槽3に貯留されている消化汚泥に二酸化炭素を注入して、消化汚泥のpHを調整することにより、従来pH調整に用いられていた薬品の使用量を少なくできるので、低コストで消化汚泥のpHを下げることが可能となる。また、消化汚泥のpHは、凝集剤が有効に作用するpHに調整されるので、脱水装置8による消化汚泥の脱水効率が向上する。さらに、汚泥貯留槽3にて消化汚泥のpHを酸性側に調整することによって、汚泥貯留槽3よりも下流側の配管ではリン酸アンモニウム塩の析出によるスケールが形成されにくくなるので、配管内のスケールの除去費用を削減できる。
【0022】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態の汚泥処理システムについて説明する。
図2は、第2の実施形態における汚泥処理システムの構成を示すブロック図である。ただし、第2の実施形態では、第1の実施形態との相違点を中心に説明し、第1の実施形態と共通する構成要素については、同一の符号を付して再度の説明を省略する。なお、
図2において、破線は、通信線を表す。
【0023】
第2実施形態の汚泥処理システムは、汚泥貯留槽3に設置されているpH計4が通信線を介して制御装置6と接続されていて、制御装置6は通信線を介して二酸化炭素注入装置5と接続されている点において、第1の実施形態と相違する。
【0024】
制御装置6は、pH計4によって計測されたpH値に基づいて、二酸化炭素注入装置5が消化汚泥に注入する二酸化炭素の量を制御する装置である。すなわち、第2の実施形態において、pH計4は消化汚泥のpH値を計測し、そのpH値を制御装置6に出力する。そして、制御装置6は入力されたpH値と予め設定されたpH値と基づいて、消化汚泥に注入する二酸化炭素の量を求め、その二酸化炭素の量を二酸化炭素注入装置5に入力して、二酸化炭素注入装置5が消化汚泥に注入する二酸化炭素の量を制御する。二酸化炭素の量を調整する方法としては、二酸化炭素の流量を調整する方法、二酸化炭素の濃度を調整する方法あるいはその両者の方法を用いることができる。
【0025】
なお、汚泥貯留槽3に水位計や流量計などのpH計4以外の計測機器を組み合わせて設置してもよい。この場合、水位計や流量計によって計測された消化汚泥の水位や流量を考慮して、消化汚泥に注入する二酸化炭素の量を調整できるので、より精度よく、消化汚泥のpH値を調整することが可能となる。
【0026】
以上のように、第2の実施形態の汚泥処理システムは、pH計によって計測されたpH値に基づいて、消化汚泥に注入する二酸化炭素の量を調整するので、消化汚泥のpH値を設定値により確実に合わせることができる。
【0027】
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態の汚泥処理システムについて説明する。
図3は、第3の実施形態における汚泥処理システムの構成を示すブロック図である。ただし、第3の実施形態では、第1および第2の実施形態との相違点を中心に説明し、それらの実施形態と共通する構成要素については、同一の符号を付して再度の説明を省略する。
【0028】
第3実施形態の汚泥処理システムは、消化槽1に消化ガス分離回収装置2が接続されていて、消化ガス分離回収装置2は二酸化炭素注入装置5に接続されている点において、第1および第2の実施形態と相違する。
【0029】
消化ガス分離回収装置2は、消化槽1にて生成された消化ガスに含まれているメタンと二酸化炭素を分離して回収し、回収された二酸化炭素を二酸化炭素注入装置5に供給する装置である。すなわち、第3の実施形態においては、消化ガス分離回収装置2を用いて、消化槽1にて生成された消化ガスに含まれる二酸化炭素を分離して回収し、その回収された二酸化炭素を汚泥貯留槽3に貯留されている消化汚泥に注入する。消化ガスに含まれているメタンと二酸化炭素を分離する方法としては、化学吸収法、物理吸着法、膜分離法などを用いることができる。
【0030】
以上のように、第3の実施形態の汚泥処理システムは、消化ガス分離回収装置2にて、消化ガスに含まれているメタンと二酸化炭素を分離して回収し、その回収された二酸化炭素を汚泥貯留槽3に貯留されている消化汚泥に注入するので、二酸化炭素を用意するためのコストが安価となり、消化汚泥のpH調整のためのコストをさらに抑えることが可能となる。
【0031】
(第4の実施形態)
次に、第4の実施形態の汚泥処理システムについて説明する。
図4は、第4の実施形態における汚泥処理システムの構成を示すブロック図である。ただし、第4の実施形態では、第1、第2および第3の実施形態との相違点を中心に説明し、それらの実施形態と共通する構成要素については、同一の符号を付して再度の説明を省略する。
【0032】
第4実施形態の汚泥処理システムは、消化ガス分離回収装置2に発電装置7が接続されている点において、第3の実施形態と相違する。発電装置7は、消化ガス分離回収装置2にて回収されたメタンガスを原料とする発電装置である。すなわち、第4の実施形態においては、消化ガス分離回収装置2にて回収されたメタンを発電の原料として用いる。発電装置7としては、ガスタービン式発電機、ボイラー式発電機、ガスエンジン式発電機および燃料電池を用いることができる。ガスタービン式発電機は、メタンガスを燃焼させることによって生成される燃焼ガスによりガスタービンを回転させて発電する発電機である。ボイラー式発電機は、ボイラーにてメタンガスを燃焼させることによって水蒸気を生成させ、その水蒸気よりタービンを回転させて発電する発電機である。ガスエンジン式発電機は、シリンダー内でメタンガスを爆発燃焼させ、ピストンを動かすことにより発電する発電機である。燃料電池は、メタンガスを水蒸気改質して、水素と二酸化炭素を生成させて、その生成された水素を用いて発電する発電機である。
【0033】
発電装置7において、メタンガスの燃焼もしくは水蒸気改質によって生成された二酸化炭素は回収して、汚泥貯留槽3に貯留されている消化汚泥に注入することができる。例えば、発電装置7にて回収された二酸化炭素を、二酸化炭素注入装置5に供給して、消化ガス分離回収装置2にて回収された二酸化炭素と混合して消化汚泥に注入することができる。また、回収された二酸化炭素を、別に用意した二酸化炭素注入装置を用いて消化汚泥に注入することができる。
【0034】
発電装置7により生み出された電気は、場内で利用される、あるいは電力会社に売電されて電気の利用先10に送られる。
【0035】
なお、発電装置7の代わりに、メタンガスを燃焼させる燃焼装置を使用して、その燃焼装置にてメタンガスを燃焼させることによって生成される二酸化炭素を、汚泥貯留槽3に貯留されている消化汚泥に注入するようにしてもよい。燃焼装置の例としては、ボイラーおよび焼却炉を挙げることができる。
【0036】
以上のように、第4の実施形態の汚泥処理システムでは、発電装置7にて生成された二酸化炭素を、汚泥貯留槽3に貯留されている消化汚泥に注入することができるので、二酸化炭素を用意するためのコストを安価にでき、消化汚泥のpH調整のためのコストをさらに抑えることが可能となる。
【0037】
なお、本実施形態は上記第1から第4の実施形態にそのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化が可能である。例えば、二酸化炭素注入装置5や、注入する二酸化炭素の供給方法、制御装置6に入力する信号などについては、その目的を達成するものであれば、構成や機器の追加などを行うことができる。
【0038】
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、二酸化炭素注入装置5を用いて汚泥貯留槽3に貯留されている消化汚泥に二酸化炭素を注入して、消化汚泥のpHを調整することにより、従来pH調整に用いられていた薬品の使用量を少なくできるので、低コストで消化汚泥のpHを下げることが可能となる。また、消化汚泥のpHは、凝集剤が有効に作用するpHに調整されるので、脱水装置8による消化汚泥の脱水効率が向上する。さらに、汚泥貯留槽3にて消化汚泥のpHを酸性側に調整することによって、汚泥貯留槽3よりも下流側の配管ではリン酸アンモニウム塩の析出によるスケールが形成されにくくなるので、配管内のスケールの除去費用を削減できる。
【0039】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0040】
1…消化槽、2…消化ガス分離回収装置、3…汚泥貯留槽、4…pH計、5…二酸化炭素注入装置、6…制御装置、7…発電装置、8…脱水装置、9…配管、10…電気の利用先、11…脱水汚泥の利用先