(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
所定の速度指令により速度制御を行う速度指令部と、巻上機に備えられるロータリーエンコーダーからの信号を基に実速度を検出する実速度検出部とを備えたエレベーターの乗り心地診断装置であって、
エレベーター走行時の前記速度指令と前記実速度とを記録する速度指令及び実速度記録部と、
前記エレベーター走行時の前記速度指令と前記実速度とに基づいて、前記速度指令に対する前記実速度の応答遅れ時間を計測し、当該応答遅れ時間に応じて前記速度指令及び実速度記録部に記録された前記実速度を時間補正実速度に補正する速度応答遅れ時間算出・補正部と、
前記速度指令と前記時間補正実速度に所定の乖離が生じた場合、異常を検出したことを報知するための信号を出力する異常振動検出報知部と、
を備えたエレベーターの乗り心地診断装置。
前記速度応答遅れ時間算出・補正部は、エレベーター加速中もしくは減速中の前記速度指令と前記実速度とを監視することにより、前記速度指令に前記実速度が追従するまでの時間を計測して前記応答遅れ時間を算出する
請求項1に記載のエレベーターの乗り心地診断装置。
前記速度応答遅れ時間算出・補正部は、前記速度指令に前記実速度が追従するまでの時間を複数の所定速度毎に計測し、計測した平均値又は中央値を用いて、前記応答遅れ時間を算出する
請求項1又は2に記載のエレベーターの乗り心地診断装置。
所定の速度指令により速度制御を行う速度指令部と、巻上機に備えられるロータリーエンコーダーからの信号を基に実速度を検出する実速度検出部とを備えたエレベーターの乗り心地診断方法であって、
エレベーター走行時の前記速度指令と前記実速度とを記録する速度指令及び実速度記録処理と、
エレベーター走行時の前記速度指令と前記実速度とに基づいて、前記速度指令に対する前記実速度の応答遅れ時間を計測して、当該応答遅れ時間に応じて前記実速度記録処理された前記実速度を時間補正実速度に補正する速度応答遅れ時間算出・補正処理と、
前記速度指令と前記時間補正実速度に所定の乖離が生じた場合、異常を検出して報知する異常振動検出報知処理と、
を含むエレベーターの乗り心地診断方法。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施の形態例(以下、「本例」と称する。)を、
図1〜
図6を参照して説明する。
[1.システム全体の構成例]
図1は、本例のエレベーターの乗り心地診断装置が取り付けられたエレベーター全体の構成を示す。
エレベーターのかご1は、ワイヤーロープ2を介して釣り合い錘であるカウンタウェート3に接続される。電動巻上機4は、ワイヤーロープ2の巻上動作を行う。この電動巻上機4によるワイヤーロープ2の巻上動作で、かご1が昇降する。電動巻上機4には、エレベーターの速度検出器としてのロータリーエンコーダー5が取付けられる。ロータリーエンコーダー5は、電動巻上機4の回転量に比例してパルスを発生する。
【0014】
電動巻上機4は、制御装置10内のモーター制御部12からの指令で、ワイヤーロープ2の巻上動作を行う。モーター制御部12は、速度指令部11からの指令に従って、電動巻上機4の周波数制御を行い、エレベーターのかご1を走行させる。速度指令部11は、不図示のエレベーターホールやかご1内のボタンなどの操作に基づいて、かご1を指示された階に移動させるための速度指令データをモーター制御部12に供給する。
【0015】
また、本例の制御装置10は、上述した速度指令部11、モーター制御部12の他に、実速度検出部13、速度指令及び実速度記録部14、速度応答遅れ時間算出・補正部15、及び異常振動検出報知部16を備える。これらの各部は、エレベーターの乗り心地診断装置として機能する。
実速度検出部13は、ロータリーエンコーダー5が出力するパルスをカウントして、エレベーター走行時の実速度を検出する。実速度検出部13が検出した実速度データは、速度指令及び実速度記録部14に供給されると共に、速度応答遅れ時間算出・補正部15に供給される。
また、速度指令部11からの速度指令データが、速度指令及び実速度記録部14と速度応答遅れ時間算出・補正部15とに供給される。
【0016】
速度指令及び実速度記録部14には、実速度検出部13から供給される実速度データと速度指令部11から供給される速度指令データが、かご1の走行開始前から走行停止まで系列データとして記録される。
速度応答遅れ時間算出・補正部15は、実速度検出部13から供給される実速度データと、速度指令部11から供給される速度指令データとを監視する。そして、速度応答遅れ時間算出・補正部15は、速度指令に対する実速度の応答遅れ時間を計測し、計測した応答遅れ時間に基づき、速度指令及び実速度記録部14に記録された実速度データを補正する。
したがって、速度指令及び実速度記録部14は、応答遅れが補正された実速度データを持つことになる。なお、速度応答遅れ時間算出・補正部15が応答遅れ時間を計測して、実速度データを補正する具体的な例については後述する。
【0017】
異常振動検出報知部16は、速度指令及び実速度記録部14に記録された速度指令データと実速度データを読み出し、速度指令データで指示された指令速度と、実速度データで示された実速度とを比較し、両速度の差速度を得る。ここで比較する実速度データは、速度応答遅れ時間算出・補正部15で補正された実速度データである。
そして、異常振動検出報知部16は、指令速度と実速度との差速度が、予め設定された判定しきい値を超えるか否かを判断し、判定しきい値を越えている場合に、異常であると検知し、これを報知する。
【0018】
すなわち、異常振動検出報知部16は、異常を検知した場合に、外部の監視センター18に回線17を介して速度異常を報知する。回線17としては、例えば電話またはインターネットが使用される。なお、外部の監視センター18に報知すると同時に、制御装置10の制御状況記録部(不図示)に、異常の発生を記録するようにしてもよい。
【0019】
[2.実速度の応答遅れ補正処理の実行例]
次に、速度応答遅れ時間算出・補正部15が実速度の補正処理を実行する例について説明する。
図2は、速度指令部11が出力する速度指令と、実速度検出部13が検出する実速度と、速度応答遅れ時間算出・補正部15が補正した実速度との変化を示す。この
図2に示す各データは、速度指令及び実速度記録部14に記録される。
【0020】
図2は、0.01秒ごとに各データをサンプリングして、速度指令及び実速度記録部14がデータを記録する例を示す。走行モードとしては、 “00”[停止]、“01”[加速]、“02”[定常走行]、及び“03”[減速]の4つのモードがある。
“01”[加速]の場合には、速度指令部11はほぼ一定状態で加速する速度を指示する。“02”[定常走行]の場合には、速度指令部11は同じ速度(ここでは47.00[m/min])を指示する。“03”[減速]の場合には、速度指令部11はほぼ一定状態で減速する速度を指示する。但し、停止から加速、加速から定常走行、定常走行から減速、及び減速から停止の各モードの移行時には、かご1の速度の変化が滑らかになるように、速度指令部11は徐々に速度を変える指示を行う。
【0021】
図2では、速度指令部11が出力する速度指令をV
*とし、各サンプリング時間で検出される実速度Vと、応答遅れを補正した実速度Vhとを示す。
図2に示すように、“01”[加速]の場合には、応答遅れにより速度指令V
*を出したタイミングで、それより遅い実速度Vが検出される。例えば、サンプリング時間3.00[s]のとき、速度指令V
*が22.35[m/min]であり、そのときに検出される実速度Vは、16.36[m/min]になる。ここで、速度応答遅れ時間算出・補正部15は、応答の遅れを考慮して、22.35[m/min]の速度指令V
*が反映されるそれよりも所定時間後の実速度から、22.36[m/min]に補正される。
このように、それぞれのサンプリング時間での実速度Vが、それよりも所定時間後に補正された実速度データVhに補正される。
【0022】
図3は、速度指令部11が出力する速度指令V
*(破線)と、実速度検出部13が検出する実速度V(実線)との関係を示す。
図3の縦軸は速度[m/min]、横軸は時間[s]を示す。
図3に示すように、かご1は、出発階に停止した状態(速度0)から一定速度(47.00[m/min])まで加速し、その後、一定速度で走行し、さらに停止階に近づくことで減速して、停止階に止まる。
【0023】
図3から判るように、加速時と減速時のいずれの場合でも、破線で示す速度指令V
*から遅れて、実線の実速度Vが変化している。
例えば、
図3に示すように、あるタイミングでの速度指令値Va
*,Vb
*,Vc
*
に対して、それぞれの速度が実速度として検出されるまでの速度応答遅れ時間Ta,Tb,Tcが生じる。具体的には、速度応答遅れ時間Taは、速度指令Va
*が発せられてから実速度Vが速度指令Va
*と等しくなるまでの時間である。同様に、速度応答遅れ時間Tbは速度指令Vb
*が発せられてから実速度Vが速度指令Vb
*と等しくなるまでの時間を示す。また、速度応答遅れ時間Tcは速度指令Vc
*が発せられてから実速度Vが速度指令Vc
*に等しくなるまでの時間を示している。
【0024】
本例の速度応答遅れ時間算出・補正部15は、加速中又は減速中の速度応答遅れ時間Ta,Tb,Tcの平均時間を算出して、その算出した平均値を応答遅れ時間Tとする。そして、算出した応答遅れ時間Tだけ後の実速度Vを、応答遅れ補正実速度データVhとする。
【0025】
図4は、
図3に示す制御状態の応答遅れを補正した例であり、応答遅れ補正実速度データVh(実線)と、速度指令V
*(破線)との関係を示したものである。
図4から判るように、応答遅れがない状態で、速度指令V
*(破線)と応答遅れ補正実速度データVh(実線)とを比較することで、本来の速度誤差が判るようになる。
【0026】
そして、
図4に示す速度上限判定値V
U及び速度下限判定値V
Lは、異常振動検出報知部16が異常を判断する際のしきい値を示す。すなわち、速度指令V
*の値に対して一定の速度だけ上及び下の値が、速度上限判定値V
U及び速度下限判定値V
Lになる。この速度上限判定値V
Uよりも速い速度、又は速度下限判定値V
Lよりも遅い速度が検出されたとき、異常振動検出報知部16は異常を検知する。
【0027】
[3.乗り心地の診断処理の実行手順の例]
図5は、本例の乗り心地診断装置として機能する制御装置10が乗り心地診断を行う実行手順の例を示すフローチャートである。
まず、制御装置10の速度指令及び実速度記録部14は、かご1の走行開始の所定時間前(停止中)から、速度指令部11からの速度指令V
*と、実速度検出部13からの実速度Vとを所定のサンプリング時間毎に記録する(ステップS1)。そして、記録を開始した後、制御装置10は、エレベーターのかご1が走行を開始したか否かを判断し(ステップS2)、走行開始を検出するまで、ステップS1での走行開始前の記録を継続して行う。
【0028】
ステップS2でかご1が走行を開始したと判断された場合には、制御装置10は、ステップS3の計測処理に移る。すなわち、制御装置10は、
図3に示すように、かご1が加速中の所定の3つの速度指令値Va
*,Vb
*,Vc
*に、実速度Vが追従するまでの速度応答遅れ時間Ta,Tb,Tcを計測する。3つの速度指令値Va
*,Vb
*,Vc
*は、加速中又は減速中の値である。そして、計測を開始した後、制御装置10は、かご1が停止したか否かを判断し(ステップS4)、停止を検出するまで、ステップS3での速度指令及び実速度記録処理を継続して行う。
【0029】
ステップS4でかご1が停止したと判断された場合には、制御装置10は、速度指令データV
*と実速度データVの記録を停止する(ステップS5)。そして、記録が停止した後、制御装置10の速度指令及び実速度記録部14は、実速度データの時間軸の補正処理を行う。すなわち、速度指令及び実速度記録部14は、ステップS6で、ステップS4で得た速度応答遅れ時間Ta,Tb,Tcの平均値を算出し、算出した平均値を応答遅れ時間Tとする。そして、速度指令及び実速度記録部14は、算出した応答遅れ時間Tを用いて記録済の実速度データVの時間軸を補正し、速度指令V
*に同期させた応答遅れ補正実速度データVhを得、得られた補正実速度データVhを記録する(ステップS7)。
【0030】
次に、異常振動検出報知部16が、速度指令及び実速度記録部14に記録されたデータから異常振動の検出処理を行う。すなわち、異常振動検出報知部16は、速度指令及び実速度記録部14に記録された時間補正実速度データVhと、速度指令データV
*を基に予め設定された所定の速度上限判定値V
Uとを比較する。この比較結果に基づいて、異常振動検出報知部16は、時間補正実速度データVhが速度上限判定値V
Uを越えているか否かを判断する(ステップS8)。さらに、ステップS8で時間補正実速度データVhが速度上限判定値V
Uを超えていないと判断した場合には、異常振動検出報知部16は、時間補正実速度データVhが速度下限判定値V
Lを超えている否かを判断する(ステップS9)。ここで、時間補正実速度データVhが速度下限判定値V
Lを超えているとは、速度値が速度下限判定値V
Lを下回っていることを意味する。
【0031】
ステップS9の判断で、時間補正実速度データVhが所定の速度下限判定値V
Lを超えて(下回って)いなければ、異常振動検出報知部16は異常を検知せず、エレベーター乗り心地診断の一連の処理を終了する。
ステップS8で時間補正実速度データVhが速度上限判定値V
Uを超えていた場合、及びステップS9で時間補正実速度データVhが速度下限判定値V
Lを下回っていた場合には、異常振動検出報知部16は、ステップS10の異常振動検出報知処理に移る。
ステップS10では、異常振動検出報知部16は、エレベーターの乗り心地に異常があると判断し、回線17を介して接続された監視センター18に異常を報知する。
【0032】
乗り心地異常の報知を受信した監視センター18は、例えば該当するエレベーターの運転状況の監視画面に、乗り心地異常を表示させる(ステップS11)。この表示を確認した監視作業者は、該当するエレベーターに技術者を出動させ、技術者がエレベーターの駆動機構の調整や部品の交換などの作業を行って、乗り心地を改善する。なお、ステップS10で異常を報知する場合には、単に乗り心地異常を示すデータを伝送するだけでもよいが、速度指令及び実速度記録部14が記録した詳細なデータを監視センター18に伝送して、監視センター18で異常の状態が判るようにしてもよい。
【0033】
以上説明したように、
図5のフローチャートに示す手順で乗り心地診断を行うことで、速度指令と実速度とに乖離がないかを精度よく検出でき、高精度なエレベーターの乗り心地診断装置が得られる。
すなわち、本例の場合、速度指令V
*と比較する対象が、実速度Vではなく応答遅れ補正実速度データVhであるため、精度の高い診断を行うことができる。例えば
図4に示す速度上限判定値V
U及び速度下限判定値V
Lとして、速度指令V
*との差を小さく設定して、エレベーター駆動機構のわずかな不具合による乗り心地の悪化を検知できるようになる。
【0034】
図6は、時間補正実速度データに異常があった場合の一例を示す。
図6では、異常が発生した時間補正実速度データVh′を実線で示し、速度指令V
*を破線で示している。
図6に示す時間補正実速度データVh′は、加速モードから定常走行モードに移行する際に、上限判定値V
Uを超えた場合を示している。このように時間補正実速度データVh′が上限判定値V
Uを超えたとき乗り心地異常が検知されるわけであるが、上限判定値V
Uと速度指令V
*との差を小さく制御することができるので、わずかな差による乗り心地異常であっても容易に検知することができるようになる。
【0035】
また、本例の場合には、
図5のフローチャートで説明したように、実際の記録データから応答遅れ時間Tを求めるようにしたため、エレベーターが如何なるパターンの走行速度や階床間運転であっても、運転毎の乗り心地診断が可能になる。したがって、走行パターンが多く存在する場合であっても、それぞれの走行パターン毎に正確な乗り心地診断が行えるようになる。例えば、特定の走行パターンのときだけ乗り心地異常が発生するような場合でも、的確に乗り心地異常を検知することができる。
【0036】
[4.変形例]
なお、本発明は上述した実施の形態例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上述した実施の形態例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。
【0037】
例えば、上述した実施の形態例では、速度応答遅れ時間Tとして、加速中に速度指令値Va
*,Vb
*,Vc
*に実速度が追従するまでの速度応答遅れ時間Ta,Tb,Tcを計測し、計測した時間Ta,Tb,Tcの平均値を、速度応答遅れ時間Tとした。
これに対して、異常振動検出報知部16は、平均値以外の値から速度応答遅れ時間Tを求めるようにしてもよい。例えば、異常振動検出報知部16は、速度応答遅れ時間Ta,Tb,Tcの中央値を速度応答遅れ時間Tとして算出してもよい。この中央値を速度応答遅れ時間Tとすることで、エレベーター走行時の一時的な振動に伴う異常値や外れ値を除去することができる。また、3カ所の速度応答遅れ時間Ta,Tb,Tcから平均値を得る構成についても一例であり、その他の複数箇所の計測値から速度応答遅れ時間の平均値や中央値を得るようにしてもよい。
さらに、
図3の例では、加速モードでの運転時の速度応答遅れ時間Ta,Tb,Tcを計測して、応答遅れ時間Tを得るようにしたが、減速モードでの運転時に応答遅れ時間を計測するようにしてもよい。この場合、加速モードで計測した時間と減速モードで計測した時間の平均又は中央値を得るようにしてもよい。
【0038】
また、
図5のフローチャートに示す手順では、異常振動検出報知部16は、1回のエレベーターの運転毎に、速度応答遅れ時間Tの算出を行い、その算出した速度応答遅れ時間Tで補正するようにした。これに対して、異常振動検出報知部16は、例えば乗り心地検知を行う際の運転パターンが、過去に速度応答遅れ時間Tを算出した運転パターンと同じであるとき、過去に算出した同じ運転パターンの速度応答遅れ時間Tを使用してもよい。
【0039】
また、上述した実施の形態例では、異常振動検出報知部16は、
図4に示すように、速度上限判定値V
Uや速度下限判定値V
Lとして、それぞれ速度指令値から一定値だけ離れた1つの閾値を設けるようにした。これに対して、異常振動検出報知部16は、速度上限判定値V
Uや速度下限判定値V
Lとして、複数の閾値を設定するようにしてもよい。例えば、第1の閾値と第2の閾値を設定して、第1の閾値を越えた場合には、異常振動検出報知部16は、乗り心地の悪化の兆候があると監視センターに報知し、第2の閾値を越えた場合に、監視センターが技術者を出動させるようにしてもよい。
【0040】
また、上述した実施の形態例では、制御装置10の異常振動検出報知部16は、異常を検知したとき、その検知した異常を監視センター18に報知する処理を行うようにした。これに対して、異常振動検出報知部16が異常を検知したとき、その異常を検知したことを、制御装置10内の速度指令及び実速度記録部14が記録するようにしてもよい。さらに、速度指令及び実速度記録部14は、異常振動検出報知部16が異常を検知したときの速度指令データや実速度データを通常のデータの記録領域とは別の領域に移して保存しておき、技術者が保存データを使って異常状態を解析できるようにしてもよい。
【0041】
また、エレベーターの乗り心地診断装置を構成する制御装置10の各部又は全部は、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。あるいは、制御装置10の各部又は全部は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリや、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記録装置、または、ICカード、SDカード、DVD等の記録媒体に置くことができる。
また、
図1に示す制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。