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特許6495886BTK阻害剤としての複素環式芳香族化合物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6495886
(24)【登録日】2019年3月15日
(45)【発行日】2019年4月3日
(54)【発明の名称】BTK阻害剤としての複素環式芳香族化合物
(51)【国際特許分類】
   C07D 487/04 20060101AFI20190325BHJP
   A61K 31/519 20060101ALI20190325BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20190325BHJP
   A61P 37/06 20060101ALI20190325BHJP
   A61P 37/08 20060101ALI20190325BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20190325BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20190325BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20190325BHJP
   A61P 25/02 20060101ALI20190325BHJP
   A61P 19/02 20060101ALI20190325BHJP
   A61P 17/06 20060101ALI20190325BHJP
   A61P 17/04 20060101ALI20190325BHJP
   A61P 11/06 20060101ALI20190325BHJP
   A61P 1/00 20060101ALI20190325BHJP
【FI】
   C07D487/04 143
   C07D487/04CSP
   A61K31/519
   A61P43/00 111
   A61P37/06
   A61P37/08
   A61P35/00
   A61P29/00 101
   A61P29/00
   A61P25/28
   A61P25/02
   A61P19/02
   A61P17/06
   A61P17/04
   A61P11/06
   A61P1/00
【請求項の数】10
【全頁数】38
(21)【出願番号】特願2016-502294(P2016-502294)
(86)(22)【出願日】2014年3月14日
(65)【公表番号】特表2016-513675(P2016-513675A)
(43)【公表日】2016年5月16日
(86)【国際出願番号】US2014026966
(87)【国際公開番号】WO2014152114
(87)【国際公開日】20140925
【審査請求日】2017年3月7日
(31)【優先権主張番号】61/787,596
(32)【優先日】2013年3月15日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】503385923
【氏名又は名称】ベーリンガー インゲルハイム インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】特許業務法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】ボサナック,トッド
(72)【発明者】
【氏名】ディサルボ,ダレン
(72)【発明者】
【氏名】ホーラン,ジョシュア・コートニー
(72)【発明者】
【氏名】リャン,シュアン
(72)【発明者】
【氏名】ジンデル,レニー・エム
【審査官】 早乙女 智美
(56)【参考文献】
【文献】 特表2010−526768(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/010380(WO,A1)
【文献】 特表2015−509107(JP,A)
【文献】 米国特許第08377946(US,B1)
【文献】 特表2011−528376(JP,A)
【文献】 特表2013−507448(JP,A)
【文献】 特表2007−520559(JP,A)
【文献】 ChemMedChem,2007年,2,pp.58−61
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
A61K
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

[式中、
Cyは、炭素環、ヘテロアリール又は複素環であり、各々は、Rによって置換されており、そしてハロゲン、ハロC1−4アルキル、C1−4アルキル、オキソ又はC1−4アルコキシによって場合により置換されており;
は、以下:
L−Ar、C1−6アルキル、−S(O)−R及びC1−6アルコキシから選択され、各Ar、C1−6アルキル及びC1−6アルコキシは、ベンジル、ハロゲン、ハロC1−4アルキル、C1−4アルキル、R−S(O)−、−CN、−C(O)−N(R又はC1−4アルコキシによって場合により置換されており;
Lは、結合、C(O)、−(CH−、−O−(CH−、−N(R)−、−N(R)−(CH−、−(CH−N(R)−、−C(O)−N(R)−、−C(O)−N(R)−(CH−、−N(R)−C(O)−N(R)−、−N(R)−C(O)−、−S(O)−N(R)−、R−S(O)−及び−N(R)−S(O)−から選択されるリンカーであり、ここで、各L中の−CH−は、C1−3アルキルによって置き換えられている1〜2個の水素を有することができ、該C1−3アルキル基は、場合により環化してC3−6シクロアルキル環を形成することができ;
Arは、炭素環、複素環又はヘテロアリールであり

【化2】

あり、各Xは、ハロゲン、ハロC1−4アルキル、C1−4アルキル又は1−4アルコキシによって場合により置換されており;
は、
【化3】

であり、
各nは、独立に1〜4であり;
各mは、独立に0〜2であり;
各R及びRは、独立に、水素及び1−4アルキルから選択され;
各Rは、独立に、水素、ハロゲン、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、C1−4アルキルC1−4アルコキシ、C1−4アルキルヒドロキシ、−(CH−複素環及び複素環から選択され、各複素環は、ハロゲン、OH又はR−S(O)−によって場合により置換されており;
Cy、R−R及びYに関して先に定義された各基は、可能であれば部分的又は完全にハロゲン化されていてもよい
で示される化合物但し
(1−(6−(4−アミノ−3−(4−フェノキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)−2−アザスピロ[3.3]ヘプタン−2−イル)−2−プロペン−1−オン)、
(1−(2−(4−アミノ−3−(4−フェノキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)−7−アザスピロ[3.5]ノナン−7−イル)−2−プロペン−1−オン)、
(1−(7−(4−アミノ−3−(4−フェノキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)−2−アザスピロ[3.5]ノナン−2−イル)−2−プロペン−1−オン)、及び
(1−(2−(4−アミノ−3−(4−フェノキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)−6−アザスピロ[3.5]ノナン−6−イル)−2−プロペン−1−オン)を除く)、又はその薬学的に許容し得る塩
【請求項2】
Cyが、フェニル、ピラゾリル、ピリジニル、ピロリル、イミダゾリル、チアゾリル、フラニル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チエニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル又はピラニルであり、各々が、Rによって置換されており、そして1−4アルキル、F、Cl又はオキソによって場合により置換されており;
が、以下:
L−Ar及び−S(O)−Rから選択され、各Rが、Br、C1−4アルキル、R−S(O)−、−CN、−C(O)−NH(R)及びC1−3アルコキシによって場合により置換されており;
Arが、フェニル、ピリジニル、ピリダジニル、ベンジルによって場合により置換されているピリミジニル、ピラジニル、ベンゾオキサゾリル、インドリル、イソインドリル、ベンゾフラニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、ピペリジニル、ピペラジニル又はピロリジニルである、
請求項1記載の化合物又はその薬学的に許容し得る塩。
【請求項3】
Cyが、フェニル又はピリジニルであり、各々が、Rによって置換されており、そしてF、Cl、オキソ又はC1−2アルコキシによって場合により置換されており;
が、L−Arであり、各Rが、Br、C1−4アルキル、CH−S(O)−、−CN、−C(O)−NH(R)及びC1−2アルコキシによって場合により置換されており;
Arが、フェニル、ピリジニル、ピリダジニル、ベンジルによって場合により置換されているピリミジニル、ピラジニル、ベンゾオキサゾリル、インドリル、イソインドリル、ベンゾフラニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾチアゾリル又はピペリジニルである、
請求項1記載の化合物又はその薬学的に許容し得る塩。
【請求項4】
Cyが、フェニル又はピリジニルであり、各々が、Rによって置換されており、そしてF、Cl、オキソ又はC1−2アルコキシによって場合により置換されており;
L−Arが、F、Cl、C1−4アルキル、CH−S(O)−、−CN、−C(O)−NH(CH)及びC1−2アルコキシによって場合により置換されており;
Arが、フェニル又はピリミジニルである、
請求項1記載の化合物又はその薬学的に許容し得る塩
【請求項5】
が、
【化4】

であり、
各Rが、独立に、水素、C1−3アルキル、ハロC1−3アルキル、C1−3アルキルC1−3アルコキシ、−CH−複素環及び複素環から選択され、各複素環が、F、Cl、OH及びCH−S(O)−によって場合により置換されており、そして各複素環が、ピロリジニル、ピペリジニル、モルホリニル、1,4−オキサゼパン及びオキシランから選択される、
請求項記載の化合物又はその薬学的に許容し得る塩。
【請求項6】
Cyが、
【化5】

である、請求項記載の化合物又はその薬学的に許容し得る塩。
【請求項7】
Xが、
【化6】

である、請求項記載の化合物又はその薬学的に許容し得る塩。
【請求項8】
以下:
【表7】



から選択される化合物又はその薬学的に許容し得る塩。
【請求項9】
求項1〜8のいずれか一項記載の化合物又はその薬学的に許容し得る塩を含む、医薬組成物。
【請求項10】
関節リウマチ、全身性エリテマトーデス(systemic lupus erythromatosis)、強皮症、喘息、アレルギー性鼻炎、アレルギー性湿疹、B細胞リンパ腫、多発性硬化症、若年性関節リウマチ、若年性特発性関節炎、炎症性腸疾患、移植片対宿主病、乾癬性関節炎、強直性脊椎炎及びブドウ膜炎から選択される疾患を処置するための、請求項記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の背景
1.技術分野
本発明は、BTKを阻害する新規な化合物及びそれらの医薬としての使用に関する。
【0002】
2.背景情報
ヒト酵素のプロテインキナーゼファミリーのメンバーは、リン酸基の付加を介する特定タンパク質のそれらの翻訳後修飾に起因して、多数の別個のシグナル伝達プロセスにおいて、重要な調節的役割を果たす(Hunter, Cell, 1987 50, 823-829)。ブルートンチロシンキナーゼ(BTK)は、チロシンキナーゼのTecファミリーのメンバーであり、そしてB細胞発生、活性化及び抗体産生において重大な役割を果たす。
【0003】
B細胞生物学に対するBTKの貢献は、BCR連結時に弱められたカルシウムシグナリングを示し、プロB細胞期とプレB細胞期との間の遮断に起因して末梢において成熟B細胞を欠き、そして正常な健常対象よりも低い循環抗体レベルを有するヒトにおけるX連鎖無ガンマグロブリン血症(XLA)免疫不全で例証される(Lindvall, Immunol Rev 2005, 203, 200-xxxにおいて考察されている)。関節リウマチ(RA)及び多発性硬化症(MS)などの疾患における、B細胞を枯渇させる抗CD20分子を用いた最近臨床治験の結果は、B細胞が、自己免疫障害を制御するための重要な介入ノード(intervention node)を提供するという仮説を支持する(Townsend et al. 2010)。そのため、BTKの阻害を介したB細胞活性化及び増殖の弱化はしばしば、同様の治療的有用性を提供することもでき、かつBTK欠損マウスのコラーゲン誘発関節炎(Jansson, 1993, Clin Exp Immunol 94, 459-xxx)及び実験的自己免疫脳炎(Svensson et al. 2002及びMangla et al 2004)に対する証明された抵抗性と一致している。同様に、B細胞刺激因子BlySに対して中和抗体を用いて観察される臨床的有効性は、全身性エリテマトーデス(SLE)の病態生理におけるB細胞の役割を裏付けるものである(La Cava 2010)。SLEのマウスモデルにおける、抗DNA抗体を含む自己抗体の産生に対するBTKの必要性を前提とすれば(Steinberg et al., 1982; Golding et al., 1983; Scribner et al., 1987; Seldin et al.,1987; Satterthwaite et al., 1998; Takeshita et al., 1998;Whyburn et. al., 2003)、BTK阻害剤は、SLE患者に対して治療的有用性を提供することもできる。
【0004】
骨髄性細胞内部で、BTKシグナル伝達は、刺激された単球からのTNFなどの炎症性サイトカインの刺激された放出に(Horwood, J Exp Med, 2003, 1603-xxx)、及び単離された破骨細胞における最適なアクチン細胞骨格構築及び小窩の骨吸収に(Danks, 2011, J Bone and Mineral Research, 26, 182-192)必要である。BTKを欠く骨髄由来マスト細胞は、障害された活性化誘導性脱顆粒及びサイトカイン放出(ref)を示す。自己免疫及びアレルギー性障害の病因に関与する多数の細胞型にわたるシグナル伝達プロセスにおけるBTKの役割を前提とすれば、BTK活性の阻害は、RA、MS、SLE、喘息及びアレルギー性障害などの疾患において臨床的利益を提供することもできる。
【0005】
発明の概要
本発明は、複素環式芳香族化合物の新規なクラス及びそれを作成し、そして使用するための方法を含む。これらの化合物は、BTKへの良好な阻害効果を示すので、自己免疫及びアレルギー性障害の処置に有用である。
【0006】
発明の詳細な説明
第一の一般的な実施態様において、式(I):
【化1】

[式中、
Cyは、炭素環、ヘテロアリール又は複素環であり、各々は、Rによって置換されており、そしてハロゲン、ハロC1−4アルキル、C1−4アルキル、オキソ及びC1−4アルコキシによって場合により置換されており;
は、以下:
L−Ar、C1−6アルキル、−S(O)−R及びC1−6アルコキシから選択され、各Ar、C1−6アルキル及びC1−6アルコキシは、ベンジル、ハロゲン、ハロC1−4アルキル、C1−4アルキル、R−S(O)−、−CN、−C(O)−N(R又はC1−4アルコキシによって場合により置換されており;
Lは、結合、O、>C(O)、−(CH−、−O−(CH−、−N(R)−、−N(R)−(CH−、−(CH−N(R)−、−C(O)−N(R)−、−C(O)−N(R)−(CH−、−N(R)−C(O)−N(R)−、−N(R)−C(O)−、−S(O)−N(R)−、R−S(O)−及び−N(R)−S(O)−から選択されるリンカーであり、ここで、各L中の−CH−は、C1−3アルキルによって置き換えられている1〜2個の水素を有することができ、該C1−3アルキル基は、場合により環化してC3−6シクロアルキル環を形成することができ;
Arは、炭素環、複素環又はヘテロアリールであり;
式(I)のXは、窒素含有C−C10スピロ環であり、各Xは、1個のRによって置換されており、そしてハロゲン、ハロC1−4アルキル、C1−4アルキル及びC1−4アルコキシによって場合により置換されており;
は、
【化2】

であり、
各nは、独立に1〜4であり;
各mは、独立に0〜2であり;
各R及びRは、独立に、水素又はC1−4アルキルから選択され;
各Rは、独立に、水素、ハロゲン、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、C1−4アルキルC1−4アルコキシ、C1−4アルキルヒドロキシ、−(CH−複素環及び複素環から選択され、各複素環は、ハロゲン、OH又はR−S(O)−によって場合により置換されており;
Cy、R−R及びYに関して先に定義された各基は、可能であれば部分的又は完全にハロゲン化され得る]
で示される化合物又はその薬学的に許容し得る塩が提供される。
【0007】
さらなる実施態様において、本明細書における実施態様のいずれかによる式(I)[式中、
Cyは、フェニル、ピラゾリル、ピリジニル、ピロリル、イミダゾリル、チアゾリル、フラニル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チエニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル又はピラニルであり、各々は、Rによって置換されており、そしてC1−4アルキル、F、Cl又はオキソによって場合により置換されており;
は、以下:
L−Ar及び−S(O)−Rから選択され、各Rは、Br、C1−4アルキル、R−S(O)−、−CN、−C(O)−NH(R)及びC1−3アルコキシによって場合により置換されており;
Arは、フェニル、ピリジニル、ピリダジニル、ベンジルによって場合により置換されているピリミジニル、ピラジニル、ベンゾオキサゾリル、インドリル、イソインドリル、ベンゾフラニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、ピペリジニル、ピペラジニル又はピロリジニルである]の化合物又はその薬学的に許容し得る塩が提供される。
【0008】
さらなる実施態様において、本明細書における実施態様のいずれかによる式(I)[式中、
Cyは、フェニル又はピリジニルであり、各々は、Rによって置換されており、そしてF、Cl、オキソ又はC1−2アルコキシによって場合により置換されており;
は、L−Arであり、各Rは、Br、C1−4アルキル、CH−S(O)−、−CN、−C(O)−NH(R)及びC1−2アルコキシによって場合により置換されており;
Arは、フェニル、ピリジニル、ピリダジニル、ベンジルによって場合により置換されているピリミジニル、ピラジニル、ベンゾオキサゾリル、インドリル、イソインドリル、ベンゾフラニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾチアゾリル又はピペリジニルである]の化合物又はその薬学的に許容し得る塩が提供される。
【0009】
さらなる実施態様において、本明細書における実施態様のいずれかによる式(I)[式中、
Cyは、フェニル又はピリジニルであり、各々は、Rによって置換されており、そしてF、Cl、オキソ又はC1−2アルコキシによって場合により置換されており;
L−Arは、F、Cl、C1−4アルキル、CH−S(O)−、−CN、−C(O)−NH(CH)及びC1−2アルコキシによって場合により置換されており;
Arは、フェニル又はピリミジニルである]の化合物又はその薬学的に許容し得る塩が提供される。
【0010】
さらなる実施態様において、本明細書における実施態様のいずれかによる式(I)[式中、
Xは、
【化3】

である]の化合物又はその薬学的に許容し得る塩が提供される。
【0011】
さらなる実施態様において、本明細書における実施態様のいずれかによる式(I)[式中、
は、
【化4】

であり、
各Rは、独立に、水素、C1−3アルキル、ハロC1−3アルキル、C1−3アルキルC1−3アルコキシ、−CH−複素環及び複素環から選択され、各複素環は、F、Cl、OH及びCH−S(O)−によって場合により置換されており、そして各複素環は、ピロリジニル、ピペリジニル、モルホリニル、1,4−オキサゼパン及びオキシランから選択される]の化合物又はその薬学的に許容し得る塩が提供される。
【0012】
さらなる実施態様において、本明細書における実施態様のいずれかによる式(I)[式中、
Cyは、
【化5】

である]の化合物又はその薬学的に許容し得る塩が提供される。
【0013】
さらなる実施態様において、本明細書における実施態様のいずれかによる式(I)[式中、
Xは、
【化6】

である]の化合物又はその薬学的に許容し得る塩が提供される。
【0014】
もう一つの実施態様では、本発明は、当技術分野において公知の一般スキーム、例及び方法を考慮して作製され得る、表I中の作製された化合物を提供する。
【0015】
【表1】



又はその薬学的に許容し得る塩。
【0016】
本発明はさらに、式(I)の化合物の代謝物及びプロドラッグに関する。
【0017】
本発明はさらに、無機又は有機酸又は塩基との式(I)の化合物の薬学的に許容し得る塩に関する。
【0018】
もう一つの態様では、本発明は、医薬としての、式(I)の化合物又はその薬学的に許容し得る塩に関する。
【0019】
もう一つの態様では、本発明は、患者の処置のための方法における使用のための、式(I)の化合物又はその薬学的に許容し得る塩に関する。
【0020】
もう一つの態様では、本発明は、自己免疫疾患及びアレルギー性障害の処置における使用のための、式(I)の化合物又はその薬学的に許容し得る塩に関する。
【0021】
もう一つの態様では、本発明は、自己免疫疾患及びアレルギー性障害の処置のための医薬組成物を調製するための、式(I)の化合物又はその薬学的に許容し得る塩の使用に関する。
【0022】
もう一つの態様では、本発明は、自己免疫疾患及びアレルギー性障害の処置のための方法であって、治療有効量の式(I)の化合物又はその薬学的に許容し得る塩の1種を患者に投与することを含む、方法に関する。
【0023】
もう一つの態様では、本発明は、活性物質として1種以上の式(I)の化合物又はその薬学的に許容し得る塩を、場合により従来の賦形剤及び/又は担体と組み合わせて含有する、医薬製剤に関する。
【0024】
定義
ここで明確に定義されない用語は、全開示内容及び文脈全体を踏まえると当業者に明らかである意味を有する。
【0025】
本明細書で使用されるように、特に断りない限り、以下の定義が適用される。
【0026】
接頭語Cx−y(ここで、x及びyは各々、自然数を表す)の使用は、直接の関連で特定され言及される、鎖もしくは環構造又は鎖及び環構造の組合せ全体が、最大y個及び最少x個の炭素原子からなりうることを示す。
【0027】
アルキルは、直鎖(非分岐鎖)及び分岐の両形態で存在してもよい、一価の飽和炭化水素鎖を示す。アルキルが置換されている場合、置換は、全ての水素担持炭素原子上で、各場合においてモノ又はポリ置換によって、互いに独立に行われてもよい。
【0028】
例えば、用語「C1−5アルキル」は、例えば、HC−、HC−CH−、HC−CH−CH−、HC−CH(CH)−、HC−CH−CH−CH−、HC−CH−CH(CH)−、HC−CH(CH)−CH−、HC−C(CH−、HC−CH−CH−CH−CH−、HC−CH−CH−CH(CH)−、HC−CH−CH(CH)−CH−、HC−CH(CH)−CH−CH−、HC−CH−C(CH−、HC−C(CH−CH−、HC−CH(CH)−CH(CH)−及びHC−CH−CH(CHCH)−を含む。
【0029】
アルキルのさらなる例は、メチル(Me;−CH)、エチル(Et;−CHCH)、1−プロピル(n−プロピル;n−Pr;−CHCHCH)、2−プロピル(i−Pr;イソプロピル;−CH(CH)、1−ブチル(n−ブチル;n−Bu;−CHCHCHCH)、2−メチル−1−プロピル(イソブチル;i−Bu;−CHCH(CH)、2−ブチル(sec−ブチル;sec−Bu;−CH(CH)CHCH)、2−メチル−2−プロピル(tert−ブチル;t−Bu;−C(CH)、1−ペンチル(n−ペンチル;−CHCHCHCHCH)、2−ペンチル(−CH(CH)CHCHCH)、3−ペンチル(−CH(CHCH)、3−メチル−1−ブチル(イソペンチル;−CHCHCH(CH)、2−メチル−2−ブチル(−C(CHCHCH)、3−メチル−2−ブチル(−CH(CH)CH(CH)、2,2−ジメチル−1−プロピル(ネオペンチル;−CHC(CH)、2−メチル−1−ブチル(−CHCH(CH)CHCH)、1−ヘキシル(n−ヘキシル;−CHCHCHCHCHCH)、2−ヘキシル(−CH(CH)CHCHCHCH)、3−ヘキシル(−CH(CHCH)(CHCHCH))、2−メチル−2−ペンチル(−C(CHCHCHCH)、3−メチル−2−ペンチル(−CH(CH)CH(CH)CHCH)、4−メチル−2−ペンチル(−CH(CH)CHCH(CH)、3−メチル−3−ペンチル(−C(CH)(CHCH)、2−メチル−3−ペンチル(−CH(CHCH)CH(CH)、2,3−ジメチル−2−ブチル(−C(CHCH(CH)、3,3−ジメチル−2−ブチル(−CH(CH)C(CH)、2,3−ジメチル−1−ブチル(−CHCH(CH)CH(CH)CH)、2,2−ジメチル−1−ブチル(−CHC(CHCHCH)、3,3−ジメチル−1−ブチル(−CHCHC(CH)、2−メチル−1−ペンチル(−CHCH(CH)CHCHCH)、3−メチル−1−ペンチル(−CHCHCH(CH)CHCH)、1−ヘプチル(n−ヘプチル)、2−メチル−1−ヘキシル、3−メチル−1−ヘキシル、2,2−ジメチル−1−ペンチル、2,3−ジメチル−1−ペンチル、2,4−ジメチル−1−ペンチル、3,3−ジメチル−1−ペンチル、2,2,3−トリメチル−1−ブチル、3−エチル−1−ペンチル、1−オクチル(n−オクチル)、1−ノニル(n−ノニル);1−デシル(n−デシル)等である。
【0030】
用語プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル等によって、いかなるさらなる定義なくとも、対応する数の炭素原子を有する飽和炭化水素基が意味され、ここでは、全ての異性体形態が包含される。
【0031】
アルキルに関する先の定義は、アルキルが例えばCx−yアルキルアミノ又はCx−yアルコキシなどの別の(組み合わせた)基の一部である場合も適用される。
【0032】
アルキルとは異なり、アルケニルは、少なくとも2個の炭素原子からなり、ここで、少なくとも2個の隣接する炭素原子は、C−C二重結合によって一緒に結合されており、そして炭素原子は、単に、1個のC−C二重結合の一部であることができる。本明細書において先に定義されたとおりの少なくとも2個の炭素原子を有するアルキルにおいて、隣接する炭素原子上の2個の水素原子が形式上除去され、そして残余原子価が飽和されて第二の結合を形成すると、対応するアルケニルが形成される。
【0033】
アルケニルは、場合により、二重結合に関してcisもしくはtrans又はEもしくはZ配向で存在することもできる。
【0034】
アルキルとは異なり、アルキニルは、少なくとも2個の炭素原子からなり、ここで、少なくとも2個の隣接する炭素原子は、C−C三重結合によって一緒に結合されている。本明細書において先に定義されたとおりの少なくとも2個の炭素原子を有するアルキルにおいて、隣接する炭素原子で各々の場合において2個の水素原子が形式上除去され、そして残余原子価が飽和されて2つのさらなる結合を形成すると、対応するアルキニルが形成される。
【0035】
ハロアルキル(ハロアルケニル、ハロアルキニル)は、炭化水素鎖の1個以上の水素原子を互いに独立に、同一か又は異なってもよいハロゲン原子によって置き換えることによって、先に定義されたアルキル(アルケニル、アルキニル)から誘導される。ハロアルキル(ハロアルケニル、ハロアルキニル)がさらに置換される場合、置換は、全ての水素担持炭素原子上で、各場合においてモノ又はポリ置換の形態で、互いに独立に行われてもよい。
【0036】
ハロアルキル(ハロアルケニル、ハロアルキニル)の例は、−CF、−CHF、−CHF、−CFCF、−CHFCF、−CHCF、−CFCH、−CHFCH、−CFCFCF、−CFCHCH、−CF=CF、−CCl=CH、−CBr=CH、−C≡C−CF、−CHFCHCH、−CHFCHCF等である。
【0037】
ハロゲンは、フッ素、塩素、臭素及び/又はヨウ素原子に関する。
【0038】
シクロアルキルは、サブ基である単環式炭化水素環、二環式炭化水素環及びスピロ炭化水素環で構成されている。系は、飽和されている。二環式炭化水素環において、2個の環は、それらが少なくとも2個の炭素原子を共有するように、一緒に結合されている。
【0039】
シクロアルキルが置換される場合、置換は、全ての水素担持炭素原子上で、各場合においてモノ又はポリ置換の形態で、互いに独立に行われてもよい。シクロアルキルそれ自体が、環系のあらゆる適切な位置を介して、置換基として分子に結合されてもよい。
【0040】
シクロアルキルの例は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルである。
【0041】
対応する基は、一例として:
シクロヘキシル
【化7】

[式中、破線------は、結合点を示す]である。
【0042】
スピロ環は、1個の炭素原子(スピロ原子)が同時に2個の環に属する、スピロ炭化水素環である。
【0043】
アリールは、少なくとも1個の芳香族炭素環を有する単、二又は三環式炭素環を示す。好ましくは、それは、6個の炭素原子を有する単環式基(フェニル)、又は9もしくは10個の炭素原子を有する二環式基(2個の6員環、又は5員環を有する1個の6員環)を示し、ここで、第二の環は、芳香族であってもよいが、あるいは飽和又は部分的に飽和されていてもよい。
【0044】
アリールが置換される場合、置換は、全ての水素担持炭素原子上で、各場合においてモノ又はポリ置換の形態で、互いに独立に行われてもよい。アリールそれ自体が、環系のあらゆる適切な位置を介して、置換基として分子に結合されてもよい。
【0045】
アリールの例は、フェニル及びナフチルである。
【0046】
アリールの先の定義は、アリールが、例えばアリールアミノ、アリールオキシ又はアリールアルキルにおけるような、別の(組み合わせた)基の一部である場合にも適用される。
【0047】
ヘテロシクリルは、炭化水素環中の1個以上の基−CH−を互いに独立に、基−O−、−S−又は−NH−に置き換えることによって、先に定義されたシクロアルキル又はスピロ環から誘導された環系を示し、ここで、合計5個を超えないヘテロ原子が存在してもよく、少なくとも1個の炭素原子が、2個の酸素原子の間かつ2個の硫黄原子の間に、又は1個の酸素と1個の硫黄原子との間に、存在してもよく、そして環は全体として、化学安定性を有しなければならない。ヘテロ原子は、場合により、全ての可能な酸化段階において存在することもできる(硫黄→スルホキシド−SO−、スルホン−SO−;窒素→N−オキシド)。
【0048】
ヘテロシクリルが置換されている場合、置換は、全ての水素担持炭素及び/又は窒素原子上で、各場合においてモノ又はポリ置換の形態で、互いに独立に行われてもよい。ヘテロシクリルそれ自体が、環系のあらゆる適切な位置を介して、置換基として分子に結合されてもよい。
【0049】
ヘテロシクリルの例は、ピペリジニル、ピペラジニル、ピロリジニル、モルホリニル、又は以下の複素環スピロ環
【化8】

である。
【0050】
ヘテロアリールは、対応するアリール又はシクロアルキルと比較して、1個以上の炭素原子の代わりに、窒素、硫黄及び酸素の中から互いに独立に選択される1個以上の同一又は異なるヘテロ原子を含む、単環式芳香族複素環又は少なくとも1個の芳香族複素環を有する多環式環を示し、ここで、得られた基は、化学的に安定でなければならない。ヘテロアリールの存在の必須要件は、ヘテロ原子及び複素芳香族系である。
【0051】
ヘテロアリールが置換される場合、置換は、全ての水素担持炭素及び/又は窒素原子上で、各場合においてモノ又はポリ置換の形態で、互いに独立に行われてもよい。ヘテロアリールそれ自体が、環系、炭素及び窒素の両方のあらゆる適切な位置を介して、置換基として分子に結合されてもよい。
【0052】
ヘテロアリールの例は、ピリジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ベンゾオキサゾリル、インドリル、イソインドリル、ベンゾフラニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、ピロリル、イミダゾリル、チアゾリル、フラニル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チエニル、ピラニル等である。
【0053】
ヘテロ原子は、場合により、全ての可能な酸化段階において存在することもできる(硫黄→スルホキシド−SO−、スルホン−SO−;窒素→N−オキシド)。
【0054】
炭素環は、3〜12個の炭素原子を含有する炭化水素環を含む。これらの炭素環は、芳香族又は非芳香族環系のいずれであることもできる。非芳香族環系は、モノ又はポリ不飽和であることもできる。好ましい炭素環は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロペンテニル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、シクロヘプタニル、シクロヘプテニル、フェニル、インダニル、インデニル、ベンゾシクロブタニル、ジヒドロナフチル、テトラヒドロナフチル、ナフチル、デカヒドロナフチル、ベンゾシクロヘプタニル及びベンゾシクロヘプテニルを非限定的に含む。
【0055】
この部において先に定義された全ての環状及び非環状系は、可能であれば、そして特に断りのない限り、場合により部分的又は完全にハロゲン化されることが理解されよう。
【0056】
立体化学/溶媒和物/水和物:特に示されない限り、明細書及び添付の特許請求の範囲を通じて、所与の化学式又は化学名は、互変異性体、及び全ての立体、光学及び幾何異性体(例えば、エナンチオマー、ジアステレオマー、E/Z異性体等)及びそのラセミ体、ならびに別個のエナンチオマーの異なる割合での混合物、ジアステレオマーの混合物、又は上述の形態のいずれかの混合物(そのような異性体及びエナンチオマーが存在する場合)、ならびにその薬学的に許容し得る塩を含む塩を包含するものとする。本発明の化合物及び塩は、非溶媒和形態、及び水、エタノール等などの薬学的に許容し得る溶媒との溶媒和形態で存在することができる。概して、水和物などの溶媒和形態は、本発明の目的では、非溶媒和形態と同等と見なされる。
【0057】
塩:語句「薬学的に許容し得る」は、信頼できる医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー反応もしくは他の問題又は合併症なく、ヒト及び動物の組織と接触する使用に適し、かつ妥当なリスク便益比に釣り合う、化合物、材料、組成物及び/又は剤形を指すよう本明細書において使用される。
【0058】
本明細書で使用する「薬学的に許容し得る塩」は、親化合物が、その酸性又は塩基性塩を作ることによって修飾される、開示された化合物の誘導体を指す。薬学的に許容し得る塩の例は、アミンなどの塩基性残基の鉱酸塩又は有機酸塩;カルボン酸などの酸性残基のアルカリ塩又は有機塩等を非限定的に含む。
【0059】
例えば、そのような塩は、酢酸塩、アスコルビン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、ベシレイト、重炭酸塩、重酒石酸塩、臭化物/臭化水素酸塩、エデト酸Ca/エデト酸塩、カンシル酸塩、炭酸塩、塩化物/塩酸塩、クエン酸塩、エジシル酸塩、エタンジスルホン酸塩、エストレート エシレート、フマル酸塩、グルセプテート、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、グリコール酸塩、グリコリルアルサニラート(glycollylarsnilates)、ヘキシルレゾルシナート(hexylresorcinates)、ヒドラバミン、ヒドロキシマレイン酸塩(hydroxymaleates)、ヒドロキシナフトエ酸塩(hydroxynaphthoates)、ヨウ化物、イソチオン酸塩(isothionates)、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マンデル酸塩、メタンスルホン酸塩、メシル酸塩、臭化メチル、硝酸メチル、硫酸メチル、粘液酸塩、ナプシラート、硝酸塩、シュウ酸塩、パモ酸塩、パントテン酸塩、酢酸フェニル、リン酸塩/二リン酸塩、ポリガラクツロン酸塩、プロピオン酸塩、サリチル酸塩、ステアリン酸塩、塩基性酢酸塩、コハク酸塩、スルファミド、硫酸塩、タンニン酸塩、酒石酸塩、テオクル酸塩、トルエンスルホン酸塩、トリエチオダイド(triethiodides)、アンモニウム、ベンザチン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、メグルミン及びプロカインを含む。
【0060】
さらなる薬学的に許容し得る塩は、アルミニウム、カルシウム、リチウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウム、亜鉛等のような金属からのカチオンで形成され得る(Pharmaceutical salts, Birge, S.M. et al., J. Pharm. Sci., (1977), 66, 1-19も参照のこと)。
【0061】
本発明の薬学的に許容し得る塩は、塩基性又は酸性部分を含有する親化合物から、従来の化学的方法によって合成され得る。一般に、そのような塩は、これらの化合物の遊離酸又は塩基形態と、水中、又はエーテル、酢酸エチル、エタノール、イソプロパノールもしくはアセトニトリル又はそれらの混合物のような有機希釈剤中、十分な量の適切な塩基又は酸とを反応させることによって調製され得る。
【0062】
例えば、本発明の化合物を精製するか又は単離するのに有用である、先に述べたもの以外の他の酸の塩(例えば、トリフルオロ酢酸塩)も本発明の一部である。
【0063】
いくつかの省略表記及びそれらの対応構造は、以下に列挙される:
例えば、
【化9】

などの表示において、
実線は、環系が、炭素原子1、2又は3を介して分子に結合されてもよく、したがって以下の表示:
【化10】

と同等であることを意味する。
【0064】
本発明の目的での治療有効量によって、疾病の症状を除去するか又はこれらの症状を緩和することができるか、あるいは処置される患者の生存時間を長くする、物質の量が意味される。
【0065】
【表2】


【0066】
本発明の特徴及び利点は、本発明の基礎をその範囲を制限することなく例として例示する、以下の詳細な例から明らかとなるであろう:
【0067】
本発明による化合物の調製
最適の反応条件及び反応時間は、使用される特定の反応物に応じて変わることもできる。特に断りない限り、溶媒、温度、圧力、及び他の反応条件は、当業者によって容易に選択されることもできる。具体的な手順は、合成例の項に提供されている。中間体及び生成物は、シリカゲルのクロマトグラフィー、再結晶化及び/又は逆相HPLC(RHPLC)によって精製されてもよい。別々のエナンチオマーは、キラルHPLCを使用したラセミ生成物の分割によって得られうる。RHPLC精製方法は、0.1% ギ酸又は0.1% TFAを含有する水中0〜100%アセトニトリルを使用し、そして以下のカラムの1つを使用した:
a)Waters Sunfire OBD C18 5μm 30x150mmカラム
b)Waters XBridge OBD C18 5μm 30x150mmカラム
c)Waters ODB C8 5μm 19x150mmカラム.
d)Waters Atlantis ODB C18 5μm 19x50mmカラム.
e)Waters Atlantis T3 OBD 5μm 30x100mmカラム
f)Phenomenex Gemini Axia C18 5μm 30x100mmカラム
【0068】
HPLC方法:
分析用LC/MS分析方法A:
カラム:Thermo Scientific, Aquasil C18, 50x2.1mm, 5μmカラム
勾配:
【表3】
【0069】
分析用LC/MS分析方法B:
カラム:Waters BEH 2.1x50mm C18 1.7μmカラム
勾配:
【表4】
【0070】
一般合成方法
式Iの化合物は、以下の一般スキームIaに示されるとおりに調製されてもよい。
【0071】
【化11】

スキームIaにおいて、Aを適切な試薬と反応させてBを与え(Yは、OTf、Cl、Br、Iである)、適切なパラジウム触媒系、例えばビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセンパラジウム(II)クロリド錯体又はテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)の存在下、炭酸カリウム、炭酸セシウム又はリン酸カリウムのような無機塩基の存在下、ジオキサン及び水の組合せのような適切な溶媒系中、適切なボロン酸又はピナコールエステルを使用して、BからCを調製することができる。X−LG(LGは、脱離基である)を適切な塩基で処理し、そしてCと反応させて、一般式(I)で示される化合物を与える。
【0072】
【化12】

スキームIbにおいて、トリフェニルホスフィン及び適切な試薬、例えばDEAD、DIAD又はDBADの存在下、THF又はトルエンのような適切な溶媒中、Bを、アルコールを含有したX−OHと反応させて、Eを与える。次に、適切なパラジウム触媒系、例えばビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセンパラジウム(II)クロリド錯体又はテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)の存在下、炭酸カリウム、炭酸セシウム又はリン酸カリウムのような無機塩基の存在下、ジオキサン及び水の組合せのような適切な溶媒系中、Eを適切なボロン酸又はピナコールエステルと反応させて、一般式(I)の化合物を与える。
【0073】
方法1
中間体I−1の合成
【化13】

DMF(350.0mL)中のR−1(50.0g、0.37mol)の溶液に、NIS(83.3g、0.37mol)を加える。反応混合物を、75℃に24時間加熱する。次に、混合物を室温に冷やし、そして水に注ぐ。混合物を濾過し、そして沈殿物を水で洗浄し、減圧下で乾燥させて、化合物I−1(45.0g、48%)を与える。
【0074】
方法2
中間体I−2の合成
【化14】

1,4−ジオキサン(650.0mL)/水(100.0mL)中のI−1(7.0g、26.8mmol)の撹拌した溶液に、(4−フェノキシフェニル)ボロン酸(7.4g、34.6mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.93g、0.85mmol)及びNaCO(5.6g、52.8mmol)を加える。反応混合物を90℃に60時間加熱し、そして次に室温に冷やし、そして真空下で濃縮する。残留物を、シリカゲルのCombi-flashクロマトグラフィーを介して精製して、I−2(3.5g、43.0%)を与える。
【0075】
方法3
中間体I−3の合成
【化15】

THF(50.0mL)中のI−1(5.0g、0.019mol)、化合物2A(4.1g、0.019mol)、PhP(6.0g、0.023mol)の混合溶液に、DBAD(4.6g、0.023mol)を、窒素下、室温で滴下する。添加後、反応混合物を、60℃に加熱し、そして一晩撹拌する。反応混合物を、室温に冷やし、そして真空下で濃縮する。残留物を、シリカゲルのCombi-flashクロマトグラフィーを介し、次に分取HPLCを介して精製し、化合物I−3(2.8g、33%)を与える。
【0076】
方法4
中間体I−8の合成
【化16】
【0077】
THF(3.5L)中のPPhCHBr(578g、1.62mol)の溶液に、n−Buli(600mL、1.5mol)の溶液をN下、−78℃で加える。混合物を、0℃で1時間撹拌し、次にTHF(2.0L)中のR−2(200g、1.08mol)の溶液を、反応混合物に0℃で加える。混合物を周囲温度まで温まるにまかせ、1時間撹拌し、次にHOに注ぎ、そしてEtOAcで抽出する。有機層をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させ、濃縮し、そしてフラッシュクロマトグラフィー(SiO、ヘプタン〜ヘプタン中25% EtOAc)によって精製して、化合物I−4(70g、36%)を与える。
【0078】
EtO(150mL)中のI−4(20g、109mmol)の溶液に、Zn−Cu(56.2g、436mmol)をN下、10℃で加える。DME(150mL)中のトリクロロアセチルクロリド(39.7g、218mmol)を加える。混合物を、周囲温度まで温まるにまかせ、そして2日間撹拌する。混合物を、NaHCO水溶液で処理し、そしてEtOAcで抽出する。有機層を、ブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させ、濃縮し、そしてフラッシュクロマトグラフィー(SiO、ヘプタン〜ヘプタン中25% EtOAc)によって精製して、I−5(11g、34%)を与える。
【0079】
MeOH(400mL)中の飽和NHCl(64.7g、1.21mol)中のI−5(35.5g、121mmol)の溶液に、Zn(79.1g、1.21mol)を加える。混合物を、周囲温度で8時間撹拌する。混合物を、HOで処理し、そしてEtOAcで抽出する。有機層を、ブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させ、濃縮し、そしてフラッシュクロマトグラフィー(SiO、ヘプタン〜ヘプタン中25% EtOAc)によって精製して、I−6(19g、69%)を与える。
【0080】
THF(200mL)中のI−6(19g、84.3mmol)の混合物に、NaBH(12.8g、337.2mmol)を0℃で加え、そして次に周囲温度で6時間撹拌する。混合物を、MeOH及びHOで処理し、次にEtOAcで抽出する。有機層を、ブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させ、濃縮し、そしてフラッシュクロマトグラフィー(SiO、ヘプタン〜ヘプタン中50% EtOAc)によって精製して、I−7(12g、63%)を生成する。
【0081】
CHCl(300mL)中のI−7(22g、96.8mmol)及びピリジン(23.2g、290.4mmol)の混合物に、TsCl(27.7g、145.2mmol)を0℃で加え、そして次に周囲温度で一晩撹拌する。混合物を、HOで処理し、そしてEtOAcで抽出する。有機層を、ブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させ、濃縮し、そしてフラッシュクロマトグラフィー(SiO、ヘプタン〜ヘプタン中40% EtOAc)によって精製して、I−8(26.6g、72%) m/z 382.2 [M+H]を与える。
【0082】
方法5
中間体I−9の合成及びジアステレオマー(disastereomers)I−10及びI−11の分離
【化17】

DMF(5mL)中のI−1(1.0g、3.83mmol)の撹拌した溶液に、水素化ナトリウム(0.17g、4.2mmol)を加える。5分後、I−8(1.6g、4.2mmol)を加え、そして反応混合物を、70℃に2日間加熱する。反応物を、室温に冷やし、そして飽和NHCl溶液(100mL)で希釈する。有機物を、酢酸エチル(4×250mL)で抽出し、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、そして真空下で濃縮する。残留物を、シリカゲルのCombi-flashカラム(DCM中0〜8% MeOH)を介して精製して、I−9(1.75g、97.1%) m/z 472.28 [M+H], RT 0.72を与える。I−9を、分取HPLCによって分離して、ジアステレオマーI−10(1.6g、88.8%) m/z 472.28 [M+H], RT0.98;I−11(0.15 g, 8.3%) m/z 472.54 [M+H], RT 0.69を与える。
【0083】
方法6
中間体I−12の合成
【化18】

CHCl中のR−3(5.0g、23mmol)の溶液を、TEA(6.5mL、47mmol)及びDMAP(0.57g、4.7mmol)で処理する。混合物を、24時間撹拌して、次に真空下で濃縮する。残留物を、EtOAcに溶解し、そして飽和塩化アンモニウム水溶液及びブラインで洗浄する。有機物を回収し、そして揮発物を真空下で除去する。粗残留物を、EtOでトリチュレートし、そして固体を濾過し、そして回収して、I−12(5.6g、65%) m/z 367.9 [M+]を与える。
【0084】
方法7
中間体I−13の合成
【化19】

DMF(3.0mL)中のI−2(0.15g、0.5mmol)の撹拌した溶液に、I−12(0.2g、0.54mmol)及びCsCO(0.32g、1.0mmol)を加える。反応混合物を、60℃に加熱する。18時間後、反応混合物を、真空下で濃縮し、そしてシリカゲルのCombi-flashクロマトグラフィー(CHCl中5% MeOHの溶媒勾配を使用する)を介して精製して、I−13(0.18g、73%)を与える。以下の中間体を、同様のやり方で調製した:
【0085】
【表5】
【0086】
方法8
中間体I−15の合成:
【化20】

マイクロ波反応器内に、1,4−ジオキサン(0.2mL)中のI−3(0.35g、0.77mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.09g、0.077mmol)、ヘキサメチルジスタンナン(0.19mL、0.92mmol)を入れる。反応混合物を、5分間アルゴンで脱気し、そして次に115℃に1時間加熱する。反応混合物を、室温に冷やし、そしてその後、R−4(0.60g、1.84mmol)及びテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.09g、0.077mmol)の添加が続く。反応混合物を、5分間アルゴンで脱気し、そして次に115℃に一晩加熱する。反応混合物を室温に冷やし、そして真空下で濃縮する。残留物を、シリカゲルのCombi-flashクロマトグラフィー(CHCl中0〜6% MeOHの溶媒勾配を使用する)を介して精製して、I−15(0.27g、70.7%)を与える。
【0087】
以下の中間体を同様のやり方で調製した:
【表6】
【0088】
方法9
実施例1の合成
【化21】

CHCl(5.0mL)中のR−13(0.18g、0.36mmol)の撹拌した溶液に、TFA(0.21g、1.8mmol)を、室温で加える。3時間後、反応混合物を、CHCl中10% MeOHと飽和NaHCO水溶液で分液する。有機物を回収し、MgSOで乾燥させ、濾過し、そして真空下で濃縮して、I−20(0.12g、83.4%)を与える。
【0089】
DMF(2.0mL)中のI−20(0.039g、0.098mmol)の撹拌した溶液に、アクリル酸(0.007mL、0.098mmol)、TBTU(31.4mg、0.098mmol)及びDIPEA(0.043mL、0.25mmol)を、室温で加える。15分後、反応溶液を、真空下で濃縮する。残留物を、シリカゲルのCombi-flashクロマトグラフィー(CHCl中5% MeOHの溶媒勾配を使用する)を介して精製して、Ex 1(0.014g、31.6%) m/z 453.0 [M+H], RT 0.80分間を与える。
【0090】
以下の化合物を同様のやり方で調製した:
Ex 2、3、4、5
【0091】
方法10
実施例11の合成
【化22】

CHCl中のI−15(0.27g、0.54mmol)の撹拌した溶液に、TFA(1.5g、13.1mmol)を室温で加える。1時間後、反応混合物を、真空下で濃縮する。残留物を、NaHCO含有カラムを通過させて、I−21(0.21g、96.9%)を与える。
【0092】
DMF(2.0mL)中のアクリル酸(0.014g、0.19mmol)の撹拌した溶液に、EDCI(0.04g、0.2mmol)を室温で加える。5分後、I−21(0.07g、0.18mmol)を、反応混合物に加える。14時間後、反応物を、飽和NHCl水溶液(4.0mL)でクエンチする。有機物を、酢酸エチルで抽出し、そしてブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、そして真空下で濃縮する。残留物を、HPLCを介して精製して、Ex 11(0.017g、21.4%) m/z 455.55 [M+H], RT 0.87分間を与える。
【0093】
以下の化合物を、同様のやり方で調製した:
Ex 6、7、8、9、10、12、13、14、15、16、17
【0094】
生物学的特性の説明
BTKアッセイ
HTRFアッセイ(Cisbio KinEASE-TK cat # 62TK0PEC)を、基質のBTK介在リン酸化を阻害する試験化合物の能力を定量化するために、実施した。アッセイを、384ウェルプレートにおいて構築し、ここで、6nMの全長ヒトHis標識したBTK(Life Technologies cat # PV3587)及び様々な濃度での試験化合物を、28℃で15分間プレインキュベートした。次に、1uMのTK基質−ビオチン及び30uM ATPを加え、そして28℃で追加の30分間インキュベートした。リン酸化を、62.5nM ストレプトアビジン−XL665及びHTRF検出緩衝液(Cisbio cat # 62SDBRDF)中に1:100希釈したTK−抗体クリプテートを加えることによって検出して、そして室温で60分間インキュベートした。プレートを、Envisionプレート読取機で読み取った。そして蛍光を、620nm(クリプテート)及び665nm(XL665)で測定する。比率を計算し(665/620)、そして対照及びブランクウェルに対するPOCに変換する。
【0095】
アッセイ緩衝液:
50mM HEPES(Invitrogen #15630)、0.01% Brij−35(sigma #B4184)、10mM MgCl(Sigma M1028)、1mM EGTA(Ambion AM9262)及び100uM オルトバナジウム酸ナトリウム(sodium orthovanedate)(Sigma S6508)、1mM DTT(Sigma D5545)及び10nM 補充酵素緩衝液(supplement enzyme buffer)(Cisbio cat# 61SEBALB)。
【0096】
治療用途
それらの生物学的特性に基づいて、本発明による式(I)の化合物又はそれらの互変異性体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、それらの混合物及び先に述べた形態の全ての塩は、BTKへの良好な阻害効果を示すので、自己免疫及びアレルギー性障害を処置するのに適する。
【0097】
そのような疾患は、例えば:関節リウマチ、全身性エリテマトーデス(systemic lupus erythromatosis)、強皮症、喘息、アレルギー性鼻炎、アレルギー性湿疹、B細胞リンパ腫、多発性硬化症、若年性関節リウマチ、若年性特発性関節炎、炎症性腸疾患、移植片対宿主病、乾癬性関節炎、強直性脊椎炎及びブドウ膜炎を含む。
【0098】
式(I)の化合物は、それら単独で、又は本発明による他の活性物質と組み合わせて、場合により他の薬理活性物質とも組み合わせて、使用されてもよい。
【0099】
適切な製剤は、例えば、錠剤、カプセル剤、坐剤、液剤−特に注射(皮下注射、静脈注射、筋肉内注射)及び注入用液剤−エリキシル剤、乳剤又は分散性粉末剤を含む。薬学的活性化合物の含有量は、組成物全体の0.1〜90wt.-%、好ましくは0.5〜50wt.-%の範囲内、すなわち以下で特定される投薬量範囲を達成するのに十分な量であるべきである。特定される用量は、必要ならば、一日に数回与えられてもよい。
【0100】
適切な錠剤は、例えば、活性物質を既知の賦形剤、例えば、炭酸カルシウム、リン酸カルシウムもしくは乳糖などの不活性希釈剤、トウモロコシデンプンもしくはアルギン酸などの崩壊剤、デンプンもしくはゼラチンなどの結合剤、ステアリン酸マグネシウムもしくはタルクなどの滑沢剤、及び/又はカルボキシメチルセルロース、酢酸フタル酸セルロースもしくはポリ酢酸ビニルなどの放出を遅延させるための薬剤と、混合することにより得られうる。錠剤はまた、数層を含んでもよい。
【0101】
コーティング錠剤は、錠剤と同様に生成されたコアを、錠剤コーティングに通常使用される物質、例えば、コリドン(collidone)もしくはシェラック、アラビアゴム、タルク、二酸化チタン又は糖でコーティングすることにより、しかるべく調製されてもよい。遅延放出を達成するか、又は配合禁忌を妨げるために、コアはまた、多くの層からなっていてもよい。同様に、錠剤コーティングは、場合によっては錠剤に関して先に述べた賦形剤を用いて、遅延放出を達成するために多くの層からなっていてもよい。
【0102】
本発明による活性物質又はその組合せを含有するシロップ剤又はエリキシル剤は、さらにサッカリン、チクロ、グリセロール又は糖などの甘味料、及び香味増強剤、例えば、バニリン又はオレンジエキスなどの香味料を含有してもよい。それらはまた、懸濁補助剤又はカルボキシメチルセルロースナトリウムなどの増粘剤、例えば脂肪アルコールとエチレンオキシドとの縮合生成物などの湿潤剤、又はp−ヒドロキシ安息香酸エステルなどの保存料を含有してもよい。
【0103】
注射及び注入用の液剤は、通常の方法で、例えば、等張剤、p−ヒドロキシ安息香酸エステルなどの保存料、又はエチレンジアミン四酢酸のアルカリ金属塩などの安定剤を添加し、場合により乳化剤及び/又は分散剤を使用して、調製されるが、一方、水が希釈剤として使用される場合、例えば、有機溶媒が、場合により溶媒和剤(solvating agents)又は溶解助剤として使用されてもよく、そして注射用バイアルもしくはアンプル又は点滴ボトルに移されてもよい。
【0104】
1種以上の活性物質又は活性物質の組合せを含有するカプセル剤は、例えば、活性物質を乳糖又はソルビトールなどの不活性担体と混合して、そしてこれをゼラチンカプセルに詰めることによって調製されてもよい。
【0105】
適切な坐剤は、例えば、中性脂肪又はポリエチレングリコール又はその誘導体などの、この目的のために提供される担体と混合することによって、製造されてもよい。
【0106】
使用されてもよい賦形剤は、例えば、水、パラフィン類(例えば、石油画分)、植物油(例えば、ラッカセイ油又はゴマ油)、単官能又は多官能アルコール類(例えば、エタノール又はグリセロール)などの薬学的に許容し得る有機溶媒、例えば、天然鉱物粉末(例えば、カオリン、粘土、タルク、チョーク)、合成鉱物粉末(例えば、高分散性ケイ酸及びケイ酸塩)、糖類(例えば、甘蔗糖、乳糖及びグルコース)などの担体、乳化剤(例えば、リグニン、亜硫酸パルプ廃液、メチルセルロース、デンプン及びポリビニルピロリドン)及び滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ステアリン酸及びラウリル硫酸ナトリウム)を含む。
【0107】
製剤は、通常方法によって、好ましくは経口又は経皮経路によって、最も好ましくは経口経路によって、投与される。経口投与のために、錠剤は、もちろん、先に述べた担体とは別に、クエン酸ナトリウム、炭酸カルシウム及びリン酸二カルシウムなどの添加物を、デンプン、好ましくはジャガイモデンプン、ゼラチン等などの種々の添加物と共に、含有してもよい。さらに、ステアリン酸マグネシウム、ラウリル硫酸ナトリウム及びタルクなどの滑沢剤が、錠剤化プロセスに同時に使用されてもよい。水性懸濁液の場合、活性物質は、先に述べた賦形剤に加えて、種々の香味増強剤又は着色料と合わせてもよい。
【0108】
非経口使用のために、適切な液体担体を含む活性物質の液剤が、使用されてもよい。
【0109】
静脈内使用のための投薬量は、1時間当たり1〜1000mg、好ましくは1時間当たり5〜500mgである。
【0110】
しかしながら、体重、投与の経路、薬物に対する個々の反応、その製剤の性質、及び薬物が投与される時間又は間隔に依存して、特定された量から外れることも時には必要であろう。したがって、場合によっては、先に示された最少用量よりも少ない使用が十分であろうが、別の場合には、上限を超える必要があろう。大量を投与するとき、それらを1日にわたって分散された幾つかのより少量の用量に分けることが賢明である場合もある。
【0111】
本出願に引用される全ての特許及び非特許文献又は文書は、それら全体が参照により本明細書に組み込まれる。