(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
銀ベースの機能性金属層(又は銀層)は、電導性と赤外線(IR)反射の有利な特性を有し、従って入射する太陽エネルギーの量を減少させることを目的とする「太陽光制御」グレージングにおいて使用され、及び/又は建物又は輸送手段の外に向けて消散されるエネルギーの量を減少させることを目的とする“Low−E”グレージングにおいて使用される。
【0003】
これらの銀層は、積重体の光学的特性を調整することを可能にするいくつかの誘電体層を一般的に含む反射防止コーティングの間に被着される。さらにこれらの誘電体層は、化学的又は機械的攻撃から銀層を保護することを可能にする。
【0004】
グレージングの光学的及び電気的特性は、銀層の品質、例えばその結晶状態、その均一性、及びその周囲の状況、例えば銀層の上方及び下方の界面の性質と表面粗さなど、に直接依存する。
【0005】
銀ベースの機能性金属層の品質を改良するために、この層を反射防止コーティングの被着に関連して又は熱処理に関連して起こりうる損傷から保護することを役割とするブロッキング層を使用することが知られている。具体的には、前記ブロッキング層の性質、数、及び位置の点で様々な、多くの可能性が提案されている。
【0006】
例えば、1つのブロッキング層を使用すること、又は複数のブロッキング層からなるブロッキングコーティングを使用することが可能である。これらのブロッキング層又はブロッキングコーティングは、機能性層の上方のみ、下方のみ、又は上方と下方の両方に位置することができる。
【0007】
ブロッキング層の性質及び厚さの選択は、機能性層を構成する材料と、機能性層と接触して位置する反射防止コーティングを構成する材料と、可能性のある熱処理と、所望の特性とに依存する。
【0008】
積重体の複雑さ及び所望の処理と性質の多様性は、ブロッキング層の特性を各構成に適合させることを必要にする。
【0009】
通常使用されるブロッキング層の中でも、ニオブNb、タンタルTa、チタンTi、クロムCr若しくはニッケルNiから選択される金属をベースとするか、又はこれらの金属のうちの少なくとも2つから得られる合金、特にニッケルとクロムの合金(Ni/Cr)をベースとする、ブロッキング層を挙げることができる。
【0010】
ニッケルとクロムの合金をベースとするブロッキング層は、焼戻しタイプの熱処理後の曇りを減少させ機械的特性を改善することを可能にする。しかしこれらの層の存在は、放射率、積重体の吸着率を損ない、そして特に電子の分散を促進することにより導電性を損なう。これらの層はまた、これらの層が安定化層と銀層との間に挿入された場合には、銀の結晶化を促進することを目的とした安定化層、例えば酸化亜鉛の層など、の存在に関連した有益な効果を弱める。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、具体的に言えば、焼なまし、曲げ加工及び/又は焼戻しなどの高温熱処理を受けなければならないガラスに関する。実際のところ、高温熱処理は銀層の変化を引き起こすことがあり、特に欠陥を生じさせることがある。これらの欠陥の一部は、孔又はドームの形で存在する。
【0012】
「孔」タイプの欠陥は、銀が欠如した領域の円形又は樹木状の形状を示す外観、すなわち銀層の部分的ディウェッティングに対応する。熱処理後の銀層は、銀を含まない領域に対応する円形又は樹木状の孔を含む銀層である。顕微鏡で観察した銀層は平らに見える。銀を有する領域で撮影したこの層の厚さは、あまり変動しない。
【0013】
「ドーム」タイプの欠陥は、「大きな」銀粒子の存在に対応し、これは銀層内の厚さの変動を引き起こし、すなわち厚くなった領域と薄くなった領域とを生じさせる。厚さの変動は点状に発生し、すなわち「大きな」粒子のところでのみ観察される。この場合、銀層は、「大きな」粒子の場所以外では均一な厚さを有することができる。この「大きな」粒子のまわりの銀層の再配置の結果として、厚さの変動はより広範になり得る。これらの「ドーム」タイプの欠陥は、「孔」タイプの欠陥の中間状態には相当しない。
【0014】
図1.aは、透過型顕微鏡で撮影した孔タイプの欠陥の断面画像である。
図1.bは、
図1.aの断面の位置を白線で示す、走査型電子顕微鏡で撮影した画像である。
図2は、透過型顕微鏡で撮影したドームタイプの欠陥の断面画像である。
【0015】
これらの画像には、ガラス基材1、銀層の下方に位置するいくつかの誘電体層を含む反射防止コーティング2、銀層3、銀層の上方に位置する反射防止コーティング4、及び保護層5が示されている。
【0016】
これらの画像は、孔タイプの欠陥とドームタイプの欠陥との違いを明確に示している。
【0017】
欠陥の存在は光の分散現象を引き起こし、これは、一般に強い光の下で目に見える「曇り」として知られている明るい光輪の出現により視覚的に反映される。曇り度は、2.5°超の角度で分散される透過光の量に対応する。
【0018】
これらの欠陥の存在はまた、導電性と機械的強度の低下を生じさせ、腐食点を出現させるように思われる。これらの腐食点はしばしば、通常の光でも目に見える。
【0019】
これらの欠陥が生じる理由とメカニズムは、まだよく理解されていない。孔又はドームタイプの欠陥の出現は、銀層の上方及び下方に位置する反射防止コーティングを構成する誘電体層の性質に強く依存するように思われる。積重体中の特定の誘電体材料、特に特定の酸化物の存在は、特定の欠陥(孔又はドーム)の形成を増加させる。
【0020】
本出願人は、反射防止コーティングにおける酸化チタン(TiO
2)、酸化ニオブ(Nb
2O
5)、又は酸化スズ(SnO
2)をベースとする誘電体層の存在が、高温熱処理中に孔タイプの欠陥の形成を促進することを発見した。実際のところ、これらの材料は光学的に有利な材料であり、特に二酸化チタンはその高い屈折率のために有利である。例えば、欧州特許出願公開第678484号明細書及び同第2406197号明細書から、基材と機能性金属層との間に位置する高い屈折率を有する1つ以上の誘電体層が、機能性金属層を反射防止性にするのを可能にすることができることが知られている。反射防止コーティングにおいてこの種の高屈折率材料を使用しないことを目標とする解決策は、満足できるものではない。
【0021】
本出願人は、反射防止コーティング中の酸化亜鉛スズ(SnZnO)をベースとする誘電体層の存在が、ドームタイプの欠陥の生成を促進することを発見した。
【0022】
最後に本出願人は、アルミニウムを任意選択的にドープされた窒化ケイ素をベースとする誘電体層の存在が、孔タイプ又はドームタイプの欠陥の発生をはるかに少なくすることを発見した。
【0023】
国際公開第2007/054656号は、銀ベースの機能性金属層と酸化チタンをベースとするブロッキング層とを含んだ薄層の積重体で被覆された透明基材を含むグレージングを開示している。このブロッキング層は、好ましくは0.5nmと2nmの間の厚さを示す。この反射防止コーティングは、窒化ケイ素及び酸化亜鉛をベースとする誘電体層から構成される。これらの誘電体層には、熱処理後に銀ベースの機能性層において孔タイプ又はドームタイプの欠陥を生じさせる性向がない。
【0024】
本発明の目的は、少なくとも1つの銀ベースの機能性層と、該銀ベースの機能性層中に孔タイプの欠陥を生成し得る誘電体層を含む少なくとも1つの反射防止コーティングとを含む積重体で被覆された基材を含むグレージングを開発することである。このグレージングは、孔を生成し得る層の存在にもかかわらず、その光学的性質、その機械的強度、及びその耐腐食性を維持しながら、曲げ加工、焼戻し又は焼なましタイプの高温熱処理に供することができなければならない。これらの有利な特性はまた、銀層を含む積重体について期待される他の特性を変更することなく、例えば吸収率、放射率及び耐性を大きく変更することなく、得られなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0025】
本発明の主題は、少なくとも1つの銀ベースの機能性金属層と少なくとも2つの反射防止コーティングとを、各機能性金属層が2つの反射防止コーティングの間に配置されるように含んでいる薄層の積重体で被覆された透明基材を含むグレージングであり、ここでの各反射防止コーティングは少なくとも1つの誘電体層を含んでいるグレージングであって、前記積重体が、孔タイプの欠陥を生成し得る誘電体層を含む少なくとも1つの反射防止コーティングと、1nm超、好ましくは2nm超の厚さを示す酸化チタンをベースとする少なくとも1つのブロッキング層とを含んでおり、前記ブロッキング層が、孔タイプの欠陥を生成し得る誘電体層を含む反射防止コーティングと銀ベースの機能性金属層との間に、銀ベースの機能性金属層と直接接触して位置していることを特徴とする上記のグレージングである。
【0026】
銀ベースの機能性金属層と接触している酸化チタンをベースとするブロッキング層、好ましくは厚いブロッキング層を使用することが、積重体で被覆された基材に焼戻しタイプの熱処理に供した時に、ディウェッティングと銀層中の樹状孔タイプの欠陥の出現とを有意に防止することを可能にする。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明の解決策は、孔タイプの欠陥を生成し得る誘電体層を含む反射防止コーティングが銀ベースの機能性金属層の下方に位置するグレージングの場合に特に適している。
【0029】
本発明はまた、優れた性能、具体的には曇り度、可視領域の吸収率、及び放射率の低下、そしてまた熱処理後の引っかき傷の出現の減少、を可能にする。これらの有利な結果は、特に、例えばNiCr合金をベースとする、異なる性質のブロッキング層を含む積重体、又はブロッキング層を含まない積重体を用いて得られたものとの比較によって観測される。
【0030】
特に別の指定がなければ、本明細書で言及する厚さは物理的厚さである。「薄層」という用語は、0.1nmと100μmの間の厚さを示す層を意味すると理解される。
【0031】
本発明によれば、薄層の積重体で被覆された透明基材は、積重体が陰極スパッタリングにより基材上に被着されていることを意味する。
【0032】
本発明によれば、銀ベースの機能性金属層はブロッキング層と直接接触している。ブロッキング下層は、機能性層の下に配置されたブロッキング層に対応し、この位置は基材に関して規定される。基材とは反対側の機能性層上に配置されたブロッキング層は、ブロッキング上層として知られている。
【0033】
孔タイプの欠陥を生成し得る誘電体層は、光学顕微鏡分析又は走査型電子顕微鏡分析により確認することができる。このために、誘電体層は、銀層と接触して又はそれに近接して基材上に被着される。この集成体は熱処理に供される。画像の観察で、欠陥が生成されているかどうかを確認することが可能になる。該当する場合、これらの欠陥は孔タイプ又はドームタイプのものである。
【0034】
酸化チタン(TiO
2)、酸化ニオブ(Nb
2O
5)及び酸化スズ(SnO
2)をベースとする層から選択される誘電体層は、孔タイプの欠陥を生成する可能性がある。
【0035】
酸化チタン(TiO
2)をベースとする層は、少なくとも95.0重量%、好ましくは少なくとも96.5重量%、及びより好ましくは少なくとも98.0重量%の酸化チタンを含む。
【0036】
酸化ニオブ(Nb
2O
5)をベースとする層は、少なくとも95.0重量%、好ましくは少なくとも96.5重量%、及びより好ましくは少なくとも98.0重量%の酸化ニオブを含む。
【0037】
酸化スズ(SnO
2)をベースとする層は、少なくとも95.0重量%、好ましくは少なくとも96.5重量%、及びより好ましくは少なくとも98.0重量%の酸化スズ(SnO
2)を含む。
【0038】
孔タイプの欠陥を生成し得る誘電体層はブロッキング層と融合されず、すなわち、孔タイプの欠陥を生成し得る誘電体層とブロッキング層は2つの別個の層である。孔タイプの欠陥を生成し得る層がTiO
2層であ場合、この層は性質の異なる少なくとも1つの層によりブロッキング層から分離される。
【0039】
孔タイプの欠陥を生成し得る誘電体層は、5nm超の厚さ、好ましくは8nmと20nmの間の厚さを示す。
【0040】
本発明に従って提供される解決策は、孔を生成し得る誘電体層が銀ベースの機能性層に充分に近接していて前記欠陥を誘起する場合に適している。これは、特定数の誘電体層を有する反射防止コーティングを含む複合積重体の場合において、孔タイプの欠陥を生成し得る層がドームタイプの欠陥を生成し得ないか又は生成し得る1つ以上の層の大きな厚さにより銀ベースの機能性層から分離される場合に、孔タイプの欠陥を生成する能力が低下し、さらには無効化されるためである。
【0041】
反射防止コーティングの孔タイプの欠陥を生成し得る誘電体層は、1つ以上の層により機能性層から分離され、ここで、孔タイプの欠陥を生成し得る層と機能性層との間に挿入されるすべての層の厚さは、最大20nm、好ましくは最大15nmである。
【0042】
有利な実施形態によれば、銀ベースの機能性金属層の下方に位置する反射防止コーティングは、ブロッキング層に直接接触している安定化機能を有する少なくとも1つの誘電体層を含む。安定化機能を有するこの誘電体層は、結晶性酸化物、特に、少なくとも1種の他の元素、例えばアルミニウムを使用して任意選択的にドープされた、酸化亜鉛をベースとすることができる。特に銀層の下方に位置する、この安定化層の存在は、導電性と機械的強度の点で良好な性能に大きく寄与する。
【0043】
すべての予測に反し、安定化層とブロッキング層のこの順序での共存に関連して、熱処理後に得られる曇り度の値の低下への相乗効果が観察される。銀層の下方に位置する安定化層の存在は、曇り度を低下させるのに必須の因子である。従って、安定化層と機能性層との間に被着された厚いブロッキング層が曇り度の低下という結果を招くことは、全く予測できない。反対に、このような層の存在は安定化層の作用を弱めること、実際には無効化さえすることが、予測されていた。
【0044】
従って、反射防止コーティングの孔タイプの欠陥を生成し得る誘電体層は一般に、少なくともブロッキング層と反射防止コーティングの安定化層とにより機能性層から分離される。
【0045】
反射防止コーティングの孔タイプの欠陥を生成し得る誘電体層は、1つ以上の層により機能性層から分離され、孔タイプの欠陥を生成し得る層と機能性層との間に挿入されたすべての層の厚さは少なくとも6nm、好ましくは少なくとも7.5nmである。
【0046】
本発明によるグレージングは、焼戻しタイプの熱処理の前後に、NiCrタイプのブロッキング下層を有する積重体で被覆された基材を含んだグレージングよりも、低い吸収率を示す。
【0047】
熱処理後、本発明によるグレージングは放射率の有意の低下を示す。この放射率値は、NiCrをベースとするブロッキング下層を有する積重体で被覆された基材を含むグレージングのものより低い。さらに驚くべきことに、この放射率値はまた、ブロッキング下層のない積重体で被覆された基材を含むグレージングのものより低い。
【0048】
ブロッキング層の使用が寄与する曇り度の点から見た改善がブロッキング層の厚さとともに増大することが、試験から示された。これらの試験は、焼戻しの条件をシミュレートする条件下で熱処理後の曇り度を酸化チタン層の厚さの関数として評価するものであった。ブロッキング層の厚さが増加すると、曇り度の値は低下する。しかし、酸化チタンは好ましくはわずかに亜酸化され、従って吸収性である。そのため、例えば適切な厚さを選択することにより、曇り度の低下と吸収率及び抵抗率の上昇との間で妥協点を見出す必要がある。酸化チタンをベースとするブロッキング層は、2.5nm超、好ましくは2.5nmと4.5nmの間の厚さを示す。
【0049】
ブロッキング層は、TiO
2の形で完全に酸化することができ、又は部分的に亜酸化されていてもよい。部分的に亜酸化される場合、これは化学量論比形態ではなくTiO
xタイプの準化学量論比形態で被着され、ここでのxは酸化チタンTiO
2の化学量論比と異なる数であり、すなわち2ではなく、好ましくは2未満であり、特にこの酸化物の通常の化学量論比の0.75倍と0.99倍の間の数である。TiO
xは具体的には、1.5<x<1.98又は1.5<x<1.7、さらには1.7<x<1.95であるものでよい。
【0050】
ブロッキング層は、セラミックのTiO
xターゲット(xは1.5と2の間である)から、好ましくは希ガス(He、Ne、Xe、Ar、Kr)から構成されるのが好ましい非酸化性雰囲気(すなわち酸素の意図的な導入なし)で、被着される。これは、銀層の腐食と汚染の問題を避けることを可能にする。
【0051】
本書全体を通して、本発明による基材は水平に配置されると見なされる。薄層の積重体は、基材の上方に被着される。「(の)上方」及び「(の)下方」、また「下方(の)」及び「上方(の)」という表現は、この方向性に関して考察される。具体的に明示されていない場合、「(の)上方」及び「(の)下方」という表現は、2つの層及び/又はコーティングが互いに接して配置されていることを必ずしも意味しない。層が別の層と又はコーティングと「接触して」被着されると規定される場合には、これはこれらの2つの層(又は層とコーティング)の間に1つ(又はそれ以上)の層を挿入することができないことを意味する。
【0052】
有利な実施形態によれば、積重体は以下のもの、すなわち、
・酸化チタンをベースとする誘電体層と、この酸化チタンをベースとする誘電体層を銀ベースの機能性金属層から分離する酸化チタンをベースとする層以外の誘電体層とを含めた、少なくとも2つの誘電体層を含む反射防止コーティング、
・少なくとも2nmの厚さ、好ましくは少なくとも2.5nmの厚さを示す酸化チタンをベースとするブロッキング層、
・酸化チタンをベースとするブロッキング層と直接接触して位置しいる銀ベースの機能性金属層、
を含むことができる。
【0053】
この実施形態によれば、積重体は以下のもの、すなわち、
・銀ベースの機能性金属層の下方に位置する反射防止コーティングであって、酸化チタンをベースとする少なくとも1つの誘電体層と、この酸化チタンをベースとする誘電体層を前記銀ベースの機能性金属層から分離する、酸化亜鉛をベースとし安定化機能を有する誘電体層とを含む反射防止コーティング、
・酸化亜鉛をベースとし安定化機能を有する前記誘電体層に直接接して位置しており、少なくとも2nmの厚さを示す、酸化チタンをベースとするブロッキング層、
・酸化チタンをベースとする前記ブロッキング層と直接接して位置している銀ベースの機能性金属層、
・任意選択的にブロッキング上層、
・前記銀ベースの機能性金属層の上方に位置する反射防止コーティング、
・任意選択的に上部保護層、
を含むことができる。
【0054】
銀ベースの機能性層の厚さは、好ましさの増す順に、5〜20nm、又は8〜15nmである。
【0055】
銀ベースの機能性金属層は、機能性層の重量に対して、少なくとも95.0重量%、好ましくは少なくとも96.5重量%、より好ましくは少なくとも98.0重量%の銀を含む。好ましくは、銀ベースの機能性金属層が含む銀以外の金属は、該銀ベースの機能性金属層の重量に対して1.0重量%未満である。
【0056】
反射防止コーティングの誘電体層は、チタン、ケイ素、アルミニウム、スズ及び亜鉛から選択される1種以上の元素の酸化物又は窒化物から選択することができる。
【0057】
反射防止コーティングは、バリア機能を有する誘電体層及び/又は安定化機能を有する誘電体層を含むことができる。
【0058】
「バリア機能を有する誘電体層」という用語は、周囲雰囲気又は透明基材に由来し機能性層に向かう酸素と水の高温での拡散に対するバリアを形成することができる材料で作製された層を意味すると理解される。バリア機能を有する誘電体層は、酸化物、例えばSiO
2など、ケイ素窒化物Si
3N
4及びケイ素酸窒化物SiO
xN
yから選択され、少なくとも1種の他の元素、例えばアルミニウムなどを使用して任意選択的にドープされているケイ素化合物をベースとするか、アルミニウム窒化物AINをベースとするか、又は酸化亜鉛スズをベースとすることができる。
【0059】
「安定化機能を有する誘電体層」という用語は、機能性層とこの層との界面を安定化することができる材料でできた層を意味すると理解される。安定化機能を有するこの誘電体層は、好ましくは結晶性酸化物をベースとし、具体的には、アルミニウムなどの少なくとも1種の他の元素を使用して任意選択的にドープされている、酸化亜鉛をベースとする。安定化機能を有する誘電体層は、好ましくは酸化亜鉛層である。
【0060】
機能性層の下方に位置する各反射防止コーティングの最終層は、安定化機能を有する誘電体層である。これは、安定化機能を有する層、例えば酸化亜鉛をベースとする層を、機能性層の下方に有することが、銀ベースの機能性層の密着と結晶化とを促進し、高温でのその品質及び安定性を高めることから、有利であるためである。機能性層の上方に安定化機能を有する層、例えば酸化亜鉛をベースとする層を有することも有利である。
【0061】
このように、安定化機能を有する誘電体層を、少なくとも1つの機能性層又は各機能性層の上方及び/又は下方に、それと直接接触して又はブロッキング層により分離されて、見いだすことができる。好ましくは、各機能性金属層は、その上層が、好ましくは酸化亜鉛をベースとする、安定化機能を有する誘電体層である、反射防止コーティングの上方にあり、及び/又は、その下層が、好ましくは酸化亜鉛をベースとする、安定化機能を有する誘電体層である、反射防止コーティングの下方にある。
【0062】
安定化機能を有する誘電体層は、少なくとも5nmの厚さ、特に5nmと25nmの間、さらに好ましくは8〜15nmの厚さを有することができる。
【0063】
特に有利な実施形態は、透明基材から出発して以下のもの、すなわち、
・バリア機能を有する少なくとも1つの誘電体層と安定化機能を有する少なくとも1つの誘電体層とを含む反射防止コーティング、
・ブロッキング層、
・機能性層、
・安定化機能を有する少なくとも1つの誘電体層とバリア機能を有する誘電体層とを含む反射防止コーティング。
を含む積重体で被覆された基材を含むグレージングに関する。
【0064】
積重体は、特に引っかき傷に対する耐性を付与するために、積重体の最終層として被着される上部保護層を含むことができる。この上部保護層は、反射防止コーティングに含まれるとは見なされない。この上部保護層は、少なくとも反射防止コーティングにより、機能性層から分離され、その反射防止コーティングの厚さは一般に20nm超である。これらの層は一般に極薄であり、特に2nmと5nmの間の厚さを有する。
【0065】
基材は、熱処理の高温に耐えることができる任意の材料で作製することができる。本発明による透明基材は好ましくは、例えばガラス製、特にソーダ石灰シリカガラス製などの、剛性の無機材料で作製される。基材の厚さは一般に、0.5mmと19mmの間で様々である。基材の厚さは、好ましくは6mm以下、さらには4mm以下である。
【0066】
積重体で被覆された基材を含むグレージングは、高温の熱処理に供されていてもよい。熱処理は、焼なまし、例えばフラッシュアニーリング、例としてレーザー若しくはフレームアニーリングなど、焼戻し、及び/又は曲げ加工から選択される。熱処理温度は300℃超であり、好ましくは400℃超、より好ましくは500℃超である。
【0067】
積重体で被覆された基材は、湾曲及び/又は強化ガラスであることができる。グレージングは、モノリシックグレージング、積層グレージング、非対称グレージング、又は複層グレージング、特に二層グレージング若しくは三層グレージングの形態であることができる。
【0068】
本発明によるグレージングは、積層グレージングでよい。この場合、基材は、ガラス/薄層の積重体/シート/ガラスタイプの構造を示すように、少なくとも1つの熱可塑性ポリマーシートにより集成されたガラスタイプの少なくとも2つの剛性の基材を含む。ポリマーは、具体的に言えば、ポリビニルブチラールPVB、エチレン−酢酸ビニルEVA、ポリエチレンテレフタレートPET、又はポリ塩化ビニルPVCをベースとすることができる。積層構造体においては、積重体で被覆された基材はポリマーシートに接触していてもよい。
【0069】
本発明はまた、上記した基材の製造方法に関する。この方法によれば、薄層の積重体を、所望により磁場に支援される、陰極スパッタリングタイプの真空技術により基材上に被着させ、そしてブロッキング層を、セラミックのターゲットから非酸化性雰囲気で被着させる。
【実施例】
【0070】
以下に明示する薄層の積重体を、透明なソーダ石灰ガラス製の厚さ2又は4mmの基材上に被着させる。
【0071】
これらの例について、スパッタリング(「マグネトロン陰極」スパッタリング)により被着される層の被着条件を下記の表1に要約して示す。
【0072】
反射防止コーティングの誘電体層として、又はブロッキング層として被着させる酸化チタン層は、完全に又は部分的に酸化することができる。このために、準化学量論量のTiO
xのセラミックターゲットを使用して、完全に酸化されたTiO
2層を得るためには酸化雰囲気中で、あるいは準化学量論層を得るためには不活性雰囲気中で、被着を行う。
【0073】
特定の例について、成膜パワーを変えることにより層の厚さを変化させる。
【0074】
【表1】
【0075】
下記の表は、比較例及び本発明による実施例の積重体を構成する各層又はコーティングの材料とナノメートル単位(別段の指示がない場合)での物理的厚さを、積重体を支持する基材に対するそれらの位置の関数として列記している。
【0076】
【表2】
【0077】
【表3】
【0078】
【表4】
【0079】
グレージングA、B及びCに、焼戻しをシミュレートするNaber炉でもって620℃で10分間のアニールによる熱処理を施した。
【0080】
積重体で被覆した他の基材には、焼戻し炉での熱処理を施した。
【0081】
I.顕微鏡観察
層の形態を、光学顕微鏡と走査型電子顕微鏡により分析する。これらの試験から、銀層下の反射防止コーティング中の誘電体層の性質に応じて種々の欠陥が発生することが実証される。
【0082】
熱処理後の欠陥の存在は、熱処理したグレージングについて欠陥を含む表面積の比率を測定することにより定量することができる。測定は、孔により占められた表面積の割合を測定するものである。
【0083】
図3は、熱処理を施さなかった銀層を含む積重体で被覆された基材の光学顕微鏡により撮影した画像である。欠陥は観察できない。他のすべての画像は、すべて熱処理後に撮影した。光学顕微鏡で撮影した種々のグレージングの画像、及び欠陥により占められた面積を、以下の表に要約して示す。
【0084】
【表5】
【0085】
図4と5は、NiCrアンダーブロッカーのない(
図4)及びNiCrアンダーブロッカーのある(
図5)、本発明によるドームタイプ又は孔タイプの欠陥を生成し得る層を含まない2つのグレージングを例示する。これらの画像では、熱処理後に孔タイプ又はドームタイプの欠陥がほとんどないことが観察される。
【0086】
図6は、ドームタイプの欠陥を生成し得る層を含む積重体を含んだグレージングの画像である。
図6のグレージングは、銀ベースの機能性層の下方に位置する反射防止コーティング中に窒化ケイ素層の代わりに酸化亜鉛スズ層が存在することだけが、
図4のグレージングと異なる。
図6の画像は、孔タイプの欠陥の樹状型の特徴の染みを含まない。
【0087】
図7と8は、アンダーブロッカーのない(
図7)及びNiCrアンダーブロッカーのある(
図8)、孔タイプの欠陥を生成し得る層を含む積重体を含んだグレージングの画像である。樹状の黒い染みは、銀を含まない領域に対応しており、すなわち焼戻し後に得られた孔タイプの欠陥に対応している。
【0088】
図7と8に例示した比較例3と比較例3’のグレージングは、銀ベースの機能性層の下方に位置する反射防止コーティング中の酸化亜鉛の安定化機能を有する層と窒化ケイ素のバリア層との間に10nmの酸化チタン層の存在することが、比較例1及び比較例1’のグレージングと異なる。この比較例3のグレージングはブロッキング下層を含まず、比較例3’のグレージングはNiCrをベースとするブロッキング下層を含む。これらの比較例は、反射防止コーティングの誘電体層の性質が銀層中で生成される欠陥の有無とタイプに影響を与えることを明確に示している。
【0089】
図9は、TiO
xアンダーブロッカーを有する、孔タイプの欠陥を生成し得る層を含む積重体を含んだ本発明によるグレージングの画像である。本発明の解決策は、積重体が孔タイプの欠陥を生成し得る層を含む場合には、熱処理後に生成される孔タイプの欠陥の完全な消失をもたらさない。しかし、特に欠陥を含む表面の比率が2%未満であるなら、それらの減少は意味がある。
【0090】
II.拡散反射、及び欠陥数の減少の評価
Perkin−Elmer L900分光計を用いて平均可視拡散反射率を測定することにより、曇り度を評価した。測定は、測定値から正反射率を除いて、可視領域にわたる反射率のうちの拡散部分の平均を取り、曇りのない基準試料について得られたベースライン値を差し引くものである。これは、基準ミラーに関して測定した全反射率に対する百分率として表される。得られた結果を下記の表に示す。
【0091】
孔により占められる表面積の割合と曇りのレベルとの間に、相関関係が存在する。
【0092】
欠陥の数の減少を評価できるようにするために、基準として採用したブロッキング下層のない積重体を含んだ比較グレージング(比較例3)に対して、欠陥の数の変動に対応するΔ欠陥/基準(比較例3)を算出した。NiCrブロッキング下層を有する積重体を含んだ比較グレージング(比較例3’)に対しても、欠陥の数の変動に対応するΔ欠陥/比較例3’を算出した。
【0093】
これらの値と拡散反射率の値、及び欠陥の百分率としての面積を、下記の表に要約して示す。
【0094】
【表6】
【0095】
これらの例から、孔を生成し得る層を含む反射防止コーティングのない積重体を含んだグレージングは、熱処理後にほとんど欠陥を含まないこと、及び曇り度が小さいことが確認される(比較例及び比較例1’)。
【0096】
酸化チタンをベースとするブロッキング下層を含む本発明によるグレージングは、熱処理後に含む欠陥がより少なく、曇り度がより小さい。ブロッキング下層の厚さが厚いほど、これらの特性の改善、すなわち欠陥の欠如と曇り度の低下、が良好である。これらの結果は、本発明の解決策が寄与する曇り度の低下の点から見て、大きな改善を示している。
【0097】
これらの比較からは、積重体が孔を生成し得る層を含む反射防止コーティングを含む場合に、酸化チタンの厚いブロッキング下層が、熱処理後に孔タイプの欠陥の数を、NiCr合金をベースとする下層より効果的に減少させることを可能にすることも実証される。
【0098】
比較例4、5及び6のグレージングは、特に孔タイプの欠陥を生成し得る層の反射防止コーティング内の位置の点で異なる、反射防止コーティングを含む複合積重体を含んでいる。孔を生成し得る層が、欠陥をあまり生成する可能性のない1つ以上の層、例えばSi
3N
4層のかなりの厚さにより、銀層から充分に離されている場合に、孔タイプの欠陥を生成する能力が低下し、全くなくなりさえすることがわかる(比較例5及び比較例6)。
【0099】
本発明が提供する解決策は、孔を生成し得る誘電体層が欠陥を誘起するのに充分に銀ベースの機能性層に近接している場合に、特により好適である。
【0100】
III.光学的特性
6mmのガラス/アルゴンを90%充填した16mmの挿入空間/4mmのガラスという構造を有する2層グレージングであって、面2(通常のように、グレージングの面1がグレージングの最も外側の面である)に積重体が配置されている二層グレージングについて、光学的特性を測定した。
【0101】
焼戻しの前後に、標準規格EN 12898に従って算出した百分率としての放射率の値(ε)、そしてまた標準規格EN 410に従って測定した吸収率の値(Abs)と日射係数の値(g)を、下記の表に一緒に示す。
【0102】
【表7】
【0103】
ブロッキング下層の追加は、その種類がどんなであれ、この層が銀のエピタキシャル成長を妨げるため、焼戻し前の放射率の上昇をもたらす。
【0104】
本発明による厚いブロッキング下層の存在は、ブロッキング下層を含まない積重体と比較して、焼戻し前の放射率の上昇をもたらすが、この上昇は他のブロッキング下層で得られるものより少ない。
【0105】
熱処理後に、本発明によるグレージングは、ブロッキング下層のないグレージングより、及びNiCrをベースとするブロッキング下層を含んだグレージングより、有意に低い放射率を示す。低放射率が得られることは、放射によるエネルギー損失の低減の原因となり、従って二層グレージングの熱的性能の向上を招く。
【0106】
これは、孔タイプの欠陥を生成し得る層とNiCrアンダーブロッカーとを含む比較例3’のグレージングは適切な曇り度の値を示すが、放射率、吸収率及び日射係数の点では本発明の有利な特性を示さないためである。
【0107】
従って本発明の解決策は、放射率を低下させながら、且つ日射係数を上昇させながら、曇り度を有意に低下させることを可能にする。
【0108】
IV.安定化層とブロッキング層との相乗効果の評価
Perkin−Elmer L900分光計を用いて平均可視拡散反射率を測定することにより、曇り度を評価した。
【0109】
【表8】
【0110】
Δ曇り度/基準は、ブロッキング下層を含まない比較グレージングAに対しての曇り度の変動に相当している。
【0111】
これらの試験から、安定化層の存在が低い曇り度の値を得るために必須であることが実証される。しかし、すべての予測に反して、安定化層とブロッキング下層がこの順序に従って同時に存在することに関連して、曇り度の値の低下に対する相乗効果が観察される。これは、安定化層と機能性層との間に被着した厚いブロッキング下層が、曇り度の低下を引き起こすことを予測することが絶対に不可能なためであり、さらに有力な理由として、ブロッキング層を含まないグレージングに対して90%の低下を引き起こすことを予測することが絶対に不可能なためである。むしろ、このような層の存在は安定化層の作用を阻止すると予測されたであろう。
【0112】
これらの結果から、安定化層の上方に厚いブロッキング下層の存在することが、焼戻しタイプの熱処理後の曇り度の有意の低下を可能にすることが実証される。
本発明の態様としては、以下を挙げることができる:
《態様1》
少なくとも1つの銀ベースの機能性金属層と少なくとも2つの反射防止コーティングとを、各機能性金属層が2つの反射防止コーティングの間に配置されるように含んでいる薄層の積重体で被覆された透明基材を含むグレージングであり、ここでの各反射防止コーティングは少なくとも1つの誘電体層を含んでいるグレージングであって、前記積重体が、
・酸化チタンをベースとする、酸化ニオブをベースとする、及び酸化スズをベースとする層から選択される、孔タイプの欠陥を生成し得る誘電体層を含んでいて、銀ベースの機能性金属層の下方に位置している、少なくとも1つの反射防止コーティング、及び、
・1nm超の厚さを示す酸化チタンをベースとする少なくとも1つのブロッキング層であって、孔タイプの欠陥を生成し得る誘電体層を含む反射防止コーティングと銀ベースの機能性金属層との間に、該銀ベースの機能性金属層と直接接触して位置している、少なくとも1つのブロッキング層、
を含むことを特徴とする、薄層の積重体で被覆された透明基材を含むグレージング。
《態様2》
孔タイプの欠陥を生成し得る前記誘電体層が5nm超、好ましくは8nmと20nmの間の厚さを示すことを特徴とする、態様1に記載のグレージング。
《態様3》
前記反射防止コーティングの孔タイプの欠陥を生成し得る前記誘電体層が1つ以上の層により前記機能性層から分離されており、孔タイプの欠陥を生成し得る該層と該機能性層との間に挿入されたすべての層の厚さが最大20nm、好ましくは最大15nmであることを特徴とする、態様1又は2に記載のグレージング。
《態様4》
前記反射防止コーティングの孔タイプの欠陥を生成し得る前記誘電体層が1つ以上の層により前記機能性層から分離されており、孔タイプの欠陥を生成し得る該層と該機能性層との間に挿入されたすべての層の厚さが少なくとも6nm、好ましくは少なくとも7.5nmであることを特徴とする、態様1〜3のいずれか1つに記載のグレージング。
《態様5》
酸化チタンをベースとする前記ブロッキング層が2.5nmと4.5nmの間の厚さを示すことを特徴とする、態様1〜4のいずれか1つに記載のグレージング。
《態様6》
酸化チタンをベースとする前記ブロッキング層がセラミックのTiOxターゲット(この式中のxは1.5と2の間である)から非酸化性雰囲気で被着されていることを特徴とする、態様1〜5のいずれか1つに記載のグレージング。
《態様7》
前記銀ベースの機能性金属層の下方に位置する前記反射防止コーティングが、例えばアルミニウムなどの少なくとも1種の他の元素を使用して任意選択的にドープされた、特に酸化亜鉛をベースとする、前記ブロッキング層と直接接触した安定化機能を有する少なくとも1つの誘電体層を含むことを特徴とする、態様1〜6のいずれか1つに記載のグレージング。
《態様8》
前記積重体が、
・酸化チタンをベースとする誘電体層と、酸化チタンをベースとする該誘電体層を銀ベースの機能性金属層から分離する、酸化チタンをベースとする層以外の誘電体層とを含めて、少なくとも2つの誘電体層を含む反射防止コーティング、
・少なくとも2nmの厚さ、好ましくは少なくとも2.5nmの厚さを示す酸化チタンをベースとするブロッキング層、
・酸化チタンをベースとする該ブロッキング層と直接接触して位置している銀ベースの機能性金属層、
を含むことを特徴とする、態様1〜7のいずれか1つに記載のグレージング。
《態様9》
前記積重体が、
・酸化チタンをベースとする少なくとも1つの誘電体層と、酸化チタンをベースとする該誘電体層を銀ベースの機能性金属層から分離する、酸化亜鉛をベースとし安定化機能を有する誘電体層とを含む、銀ベースの該機能性金属層の下方に位置する反射防止コーティング、
・酸化亜鉛をベースとし安定化機能を有する該誘電体層と直接接触して位置している、少なくとも2nmの厚さを示す酸化チタンをベースとするブロッキング層、
・酸化チタンをベースとする該ブロッキング層と直接接触して位置している銀ベースの機能性金属層、
・任意選択的にブロッキング上層、
・銀ベースの該機能性金属層の上方に位置する反射防止コーティング、
・任意選択的に上部保護層、
を含むことを特徴とする、態様1〜8のいずれか1つに記載のグレージング。
《態様10》
機能性金属層の厚さが5nmと20nmの間であることを特徴とする、態様1〜9のいずれか1つに記載のグレージング。
《態様11》
前記反射防止コーティングが、酸化物、例えばSiO2など、ケイ素窒化物Si3N4、及びケイ素酸窒化物SiOxNyから選択され、少なくとも1種の他の元素、例えばアルミニウムなどを使用して任意選択的にドープされた、ケイ素化合物をベースとする、バリア機能を有する少なくとも1つの誘電体層を含むことを特徴とする、態様1〜10のいずれか1つに記載のグレージング。
《態様12》
前記積重体で被覆された前記基材が、300℃超、好ましくは500℃超の温度で熱処理に供されていることを特徴とする、態様1〜11のいずれか1つに記載のグレージング。
《態様13》
前記積重体で被覆された前記基材が少なくとも、湾曲及び/又は強化ガラス製であることを特徴とする、態様1〜12のいずれか1つに記載のグレージング。
《態様14》
薄層の前記積重体が、任意選択的に磁場により支援された、陰極スパッタリングタイプの真空技術により前記基材上に被着されていることを特徴とする、態様1〜13のいずれか1つに記載のグレージング。