(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
マルチセクタ線源格子、ビームスプリッタ格子及びアナライザ格子を含み、前記ビームスプリッタ格子及び前記アナライザ格子の間に物体が配置される干渉計を用いて、前記物体を位相コントラストイメージングするための方法であって、
前記マルチセクタ線源格子にX線ビームを方向付けることであって、前記マルチセクタ線源格子の各セクタは、所定の量によってオフセットされていることと、
一回の露光の間に、前記物体又は前記干渉計を平行移動させることによって複数のイメージを取得することであって、前記複数のイメージは、異なる干渉計フェージングを有することと、
取得された前記複数のイメージを結合して、前記物体の位相コントラストイメージを生成することと、
を含む方法。
前記複数のイメージは、前記アナライザ格子の背後に配置され、約1cm離された複数のラインスキャン又はスロットスキャン検出器を用いて取得される請求項1に記載の方法。
前記検出器は、ラインスキャン又はスロットスキャン検出器であり、前記複数のイメージは、前記アナライザ格子の背後に配置され、約1cm離された複数の前記ラインスキャン又はスロットスキャン検出器を用いて取得される請求項10に記載のデバイス。
【背景技術】
【0002】
X線微分位相差(differential phase-contrast:DPC)イメージングは、物体を通過するX線の屈折を利用している。硬X線では、屈折角度は、マイクロラジアンの範囲内であるため、DPCイメージングのために使用される基礎技術では、送信X線ビームをマイクロラジアン分解能で角度フィルタリングし、屈折によるビームの角度的偏向を従来の検出器において強度の変化に変換する。角度フィルタリングは、X線光学素子、例えば、結晶又は格子を用いて行われる。
【0003】
DPCイメージングは、測定される物体におけるバルクX線吸収より、測定される物体における密度勾配に敏感であるという基本的な利点がある。例えば、医療用イメージングにおいて、屈折は、組織境界におけるコントラスト強調効果を有しており、これによって、従来のX線イメージングでは不可視であった軟組織の検出が可能になる。例えば、軟骨、腱、靭帯又は筋肉等のマイクロ構造の軟組織で生じる超小角度散乱(ultra-small angle scattering)もボリュームコントラスト強調効果(volume contrast enhancing effect)を有している。医療用イメージングのためのDPCの他の長所は、従来のX線イメージングと同程度又はより低い線量で、コントラスト及び分解能を向上させることができる点である。これは、DPCが人体に吸収されないX線を使用するため、及び軟組織屈折係数が、X線エネルギと共に、吸収係数より非常に緩やかに減少するために可能である。詳しくは、DPCにおいて平均エネルギが略50〜80keVの範囲にあるスペクトルを使用することによって、屈折を吸収に対して大幅に優位にしながら、軟組織線量が最小化される。
【0004】
X線位相コントラストは、特に低Z材料に関する材料科学におけるイメージング及び非破壊特性評価(non-destructive characterization)の分野でも関心を集めている。X線位相コントラストを使用することにより、ポリマから複合繊維、木材及び工学バイオ材料(engineered bio-materials)に至る広範囲に亘る材料の構造及び欠陥をマイクロメートルスケールで検査できる。X線位相コントラストのために使用される技術の幾つかは、中性子にも適用できる。近年、X線位相コントラストは、核融合エネルギ研究において注目されており、ここでは、慣性核融合(inertial confinement fusion:ICF)及び他の高エネルギ密度物理学(high energy density physics:HEDP)実験において、物体の密度勾配を測定可能な屈折に基づくイメージングの能力は、高密度プラズマの診断に使用できる。
【0005】
最近まで、X線DPCイメージングの研究は、結晶光学素子を使用して、主にシンクロトロンにおいて行われており、この場合、シンクロトロンの高い強度が結晶光学素子の低効率(100分の1%未満)を補償する。卓上用のシンクロトロンを開発するため又は従来のチューブからの幅狭なKα線を使用するための研究が行われているが、結晶法は、未だ実用段階に入っていない。したがって、従来の医療用又は産業用のX線管と共に動作できる、より効率的なDPC法及び光学素子の開発が望まれている。
【0006】
従来のX線源と共に動作できるDPC法は、タルボ−ロー(Talbot-Lau)剪断干渉法(shearing interferometry)であり、ここでは、格子等のマイクロ周期光学素子を使用して、屈折したX線を、マイクロラジアン分解能で角度フィルタリングする。タルボ干渉計は、まず、「ビームスプリッタ」(通常、π−シフト位相格子)を含み、これは、タルボ効果(Talbot effect)によって、入射ビームを数マイクロラジアン幅ビームレットに分割(又は「剪断(shears)」)する。タルボ効果は、d
T=k/η
2・g
2/(2λ)で表されるタルボ距離と呼ばれるビームに沿った周期的距離における波の強度による格子パターンの「複製」からなり、ここで、λは、X線波長であり、gは、格子周期であり、k=1,2…は、パターンの次数であり、π/2位相シフト格子又は吸収格子についてη=1でありπ位相格子についてη=2である。ビームスプリッタは、「タルボ距離」において、マイクロ周期的縞状パターン(micro-periodic fringe pattern)を生成し、この縞状パターンは、屈折物がビーム内に導入されると、本来のパターン(unperturbed pattern)に対して形状が変化(シフト)する。このように、微分位相差イメージングは、物体なしのパターンから、物体によって誘導される縞状パターンの変化を測定することを含む。硬X線波長におけるマイクロラジアン角感度を達成するために、周期gは、μmの範囲である必要があり、これにより、タルボ距離は、数十cmになる。
【0007】
縞状パターンは、原理的には、微細ピクセル検出器(microscopic pixel detector)を使用して、直接的に測定できる。しかしながら、この手法は極めて非効率的である。大部分の実際の用途では、ビームスプリッタの背後に配置され、タルボパターンの周期を有する「アナライザ」吸収格子を導入することによって、縞状パターンの変化は、巨視的ピクセル検出器(macroscopic pixel detector)において強度変化に変換される。最後に、このような干渉計を拡張スポットX線管(extended spot X-ray tube)と共に動作させるために、線源の前方に「線源」吸収格子が配置され、線源が準コヒーレント線状線源(quasi-coherent line source)のアレイに分割される。
【0008】
格子は、薄いSiウエハ又はフォトレジストのマイクロリソグラフィによって形成される。吸収格子は、形成が困難であり、一般的には、通常の透過格子内の隙間に金を充填することによって形成される。上述した「格子剪断法(grating shearing method)」は、数十keV以下のエネルギにおいては、結晶法と同様の性能を示す。
【0009】
しかしながら、この方法は、数十keVを上回るエネルギにおいては、有用性が低くなる。この理由は、エネルギがより高いX線を遮断するために必要な厚みを有するマイクロ周期の吸収格子を形成することが困難であるためである。この点について、光子エネルギの関数として、95%の吸収のために必要とされるAuの厚さのプロットとともに、
図1Aを用いて説明する。ここに示すように、臨床用DPCイメージングのための関心範囲では、数百μmの深さの格子が必要である。しかしながら、現在の技術的限界は、格子周期に応じて、約50〜100μmである。このため、100μm厚、4μm周期のAuアナライザ格子の干渉計について算出された縞コントラストによって
図1Bに示すように、高エネルギX線については、格子剪断法のコントラストが制限される(本明細書では、X線位相コントラスト及び光学演算のために、XWFP波動伝搬コード及びXOP光学パッケージを使用する)。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示は、マルチセクタ線源格子、ビームスプリッタ格子及びアナライザ格子を含み、ビームスプリッタ格子及びアナライザ格子の間に物体が配置される干渉計を用いる、物体の位相コントラストイメージングのための方法を提供する。方法は、マルチセクタ線源格子にX線ビームを方向付けることであって、マルチセクタ線源格子の各セクタは、所定の量によってオフセットされていることと、一回の露光の間に、物体又は干渉計を平行移動させることによって複数のイメージを取得することであって、複数のイメージは、異なる干渉計フェージング(interferometer phasing)を有することと、取得された複数のイメージを結合して、物体の位相コントラストイメージを生成することとを含む。
【0011】
本開示は、物体の位相コントラストイメージングのためのデバイスを提供する。デバイスは、マルチセクタ線源格子、ビームスプリッタ格子及びアナライザ格子を含み、物体がビームスプリッタ格子及びアナライザ格子の間に配置される干渉計と、マルチセクタ線源格子にX線ビーン(bean)を方向付けるよう動作可能なX線源であって、マルチセクタ線源格子の各セクタは、所定の量によってオフセットされているX線源と、物体又は干渉計を平行移動させるように動作可能な平行移動メカニズムと、一回の露光の間に物体の複数のイメージを取得するように動作可能な検出器と、取得された複数のイメージを結合して、物体の位相コントラストイメージを生成するように動作可能なプロセッサとを備える。
【0012】
幾つかの側面では、マルチセクタ線源格子は、3個より多い異なるセクタを有する。
【0013】
幾つかの側面では、複数のイメージは、物体を介して、異なる角度で取得される。
【0014】
幾つかの側面では、干渉計の長さは、約1.8mである。
【0015】
幾つかの側面では、アナライザ格子の厚さは、約数十cmである。
【0016】
幾つかの側面では、複数のイメージは、アナライザ格子の背後に配置され、約1cm分離されたラインスキャン又はスロットスキャン検出器を用いて取得される。
【0017】
幾つかの側面では、複数のイメージの間の角度は、約0.3°である。
【0018】
幾つかの側面では、複数のイメージの間の角度範囲は、約0.9°である。
【0019】
幾つかの側面では、アナライザ格子は、検出器の長さをカバーするように積層された複数の視射角格子を含む。
【0020】
引用による援用
以下の引用文献は、引用によって全体が本願に援用される。
【0021】
[1] Alberto Bravin, Paola Coan and Pekka Suortti
[2] "X-ray phase-contrast imaging: from pre-clinical applications towards clinics" Phys. Med. Biol. 58 (2013) R1-R35
[3] Stutman D., Finkenthal M., "Glancing angle Talbot-Lau grating interferometers for phase contrast imaging at high x-ray energy", Appl. Phys. Lett. 101, 091108 (2012)
[4] D. Stutman ; J. W. Stayman ; M. Finkenthal ; J. H. Siewerdsen "High energy x-ray phase-contrast imaging using glancing angle grating interferometers" Proc. SPIE 8668, Medical Imaging 2013: Physics of Medical Imaging, 866814 (March 19, 2013)
[5] A. Sarapata, J. W. Stayman, M. Finkenthal, J. H. Siewerdsen, F. Pfeiffer and D. Stutman "High energy x-ray phase contrast CT using glancing-angle grating interferometers"
In print in Medical Physics 2014
[6] Zanette, M. Bech, F. Pfeiffer, and T. Weitkamp, "Interlaced phase stepping in phase-contrast x-ray tomography" Appl. Phys. Lett. 98, 094101 (2011)
[6] www.teledynedalsa.com/imaging/products/x-ray/scanning/argus/
[7] www.dectris.com/
[8] D. Stutman and M. Finkenthal "K-edge and mirror filtered X-ray grating interferometers" INTERNATIONAL WORKSHOP ON X-RAY AND NEUTRON PHASE IMAGING WITH GRATINGS, Tokyo, Japan, 2012 AIP Conf. Proc. 1466, pp. 229-236
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下では、本開示の例示的な実施形態を詳細に説明し、これらの具体例は、添付の図面に示されている。便宜上、複数の図面に亘って、同じ又は同様の部分には同じ符合を使用する。
【0024】
本開示の広範な範囲を記述する数値の範囲及びパラメータは、概算的であるが、特定の具体例では、可能な限り正確な数値を報告する。但し、如何なる数値も、これらの個々の検査測定において見出される標準偏差から必然的に生じる何らかの誤差を生来的に含む。更に、ここに開示する全ての範囲は、これに包摂される何れかの及び全ての下位範囲を含むものと解釈される。例えば、「10以下」の範囲は、最小値ゼロと最大値10の間のあらゆる全ての下位範囲を含むことができ、すなわち、0以上の最小値と、10以下の最大値とを有するあらゆる全ての下位範囲、例えば、1〜5等の範囲を含む。ある場合、パラメータについて述べる数値は、負の値を取ることができる。この場合、「10以下」の範囲の値は、例えば、−1、−2、−3、−10、−20、−30等の負の値も想定できる。
【0025】
本開示の実施形態は、物体を通して、それぞれが別々のスライスを測定する複数の格子干渉計(grating interferometer:GAI)を使用して、20keVから100keVまでの幅広いエネルギ範囲に亘るX線位相コントラスト走査ラジオグラフィ(phase contrast scanning radiography:PC−SR)システムを構築することに関する。
【0026】
本開示の実施形態は、本願発明者らによる以前の開示である視射角格子干渉計(Glancing Angle grating interferometer:GAI、国際特許出願PCT/US12/41908)の更なる改良であり、人間の胴部等の大きな物体のX線位相コントラストラジオグラフィのための単純で経済的な方法を明らかにする。
【0027】
本開示の実施形態について想定される用途は、例えば、軟骨、腱、血管、動脈プラーク、脳組織、微小石灰化及び腫瘍等の軟組織の可視性をPCによってつよく強調できる医療用X線イメージングである。本開示の実施形態に基づいて記述されるシステムは、高エネルギX線、並びに高パワー及び拡張スポット医療用X線管と共に使用でき、これにより、人体の深部の組織のX線位相コントラストラジオグラフィを可能にする。
【0028】
更に、本開示の実施形態は、産業用の非破壊試験(industrial non-destructive testing:NDT)及び手荷物検査の分野でも使用でき、この場合、ここに開示するシステムは、干渉計の代わりに物体をスキャニングすることによって実現することができる。
【0029】
軟組織のための画像診断法では、MRI、超音波及びX線が使用される。但し、MRI及び超音波は、高い軟組織コントラストを提供するが、空間分解能が限定的である。一方、従来の(減衰ベースの)X線イメージングは、高い空間分解能を有しているが、軟組織コントラストが劣っている。
【0030】
X線微分位相コントラスト(phase-contrast:PC)又は格子干渉計による屈折ベースのイメージングは、従来の減衰ベースのイメージングで得られるものより高い軟組織コントラスト及び空間分解能を提供する新しい医療用イメージング診断法となる可能性を有する。例えば、最近の研究では、PC−CTによれば、他の画像診断法では不可能である軟組織内の小さな腫瘍及び疾患の発見が可能であることが示唆されている。動脈プラーク又は軟骨の損傷のX線位相コントラスト診断も可能であると考えられる。したがって、X線PCによって可能な医療用途の範囲が急速に拡大している[1]。更に、X線位相コントラストは、非破壊試験及び材料科学の分野にも多くの強力な用途がある。
【0031】
図1A及び
図1Bは、従来の格子ベースの位相コントラストラジオグラフィのレイアウトを示している。挿入図は、格子の1つをその周期に沿ってスキャンすることによって得られるN=4ステップの位相ステップ曲線を示している。小さな物体しかイメージングできず、位相ステッピング曲線を取得するために複数の連続した露光が必要である。
【0032】
視射角干渉計(Glancing Angle Interferometer:GAI)は、等しい周期を有し、等しい距離によって分離され、通常、10〜30°の範囲の角度で傾斜された「線源」、「ビームスプリッタ」及び「アナライザ」の3つのマイクロ周期格子を含む。格子を傾斜させることによって、これらの有効厚を垂直入射値tからt/sin(α)に増加させることができ、これによって、100keVを超える幅広いエネルギ範囲に亘って高い干渉計縞コントラスト又は可視性を達成することができる[2]。複数のGAIを積層し、タイル化することによって、大視野(field of view:FOV)画像処理システムを構築することができる[3]。
【0033】
本願発明者らによる以前の開示では、X線位相コントラストコンピュータトモグラフィ(phase contrast Computed Tomography:PC−CT)に焦点をあてた。CTは、3Dイメージングの強力な技術であるが、大部分の医療用、並びに産業用及びセキュリティ用途のイメージングは、未だラジオグラフィモード、すなわち、平面2D投影を用いて行われている。ラジオグラフィの長所は、単純さ、速度、低コスト及び臨床的に適合性を有するX線線量における高い空間分解能である。例えば、胸部ラジオグラフィ又はマンモグラフィは、乳癌スクリーニングのための「至適基準(gold standard)」方式とされている。
【0034】
したがって、CTに加えて位相コントラストラジオグラフィを開発することは有益である。しかしながら、これには、以下のような解決すべき幾つかの課題がある。
【0035】
i)ラジオグラフィでカバーする必要がある面積(例えば、マンモグラフィにおける25×25cm及び胸部又は腹部ラジオグラフィにおける40cm×60cm)は、現在の技術によって可能な格子(100cm
2未満)より大きい。このような格子を数十個組み合わせて、数千cm
2の面積をカバーすることは、実際には困難であり、コストも高くなる。
【0036】
ii)位相コントラストイメージングでは、減衰、屈折及び拡散X線写真を生成するために、物体の複数(少なくとも3個)のイメージを取得する必要がある。通常行われているような時間的に連続した(すなわち、複数の露光による)これらのイメージの取得は、医療用又は産業用のラジオグラフィでは、患者/物体が動く可能性があるため、非実用的である。更に、連続的にイメージを取得することは、干渉計視野内に物体の全体があること、すなわち、格子によって広い領域をカバーする必要があることを意味し、これは、上述のように、困難で高コストである。
【0037】
iii)従来の格子干渉計は、例えば、胴部、頭部又は脚部等の厚い部位をイメージングするために必要である高いX線エネルギ(70〜80kVp)において縞コントラストが低い。
【0038】
iv)狭くて深い格子開口のコリメート(口径食)効果のために、格子バーに対して垂直な方向のFOVの範囲は、GAIを含む全ての格子干渉計について僅か数cmである[3]。円筒状に曲がった格子を形成し、口径食効果を軽減することもできるが、これは、高コストであり、更に、高いX線エネルギにおけるイメージングの課題を解決するものではない。
【0039】
v)従来の垂直入射干渉計が動作できる低いX線エネルギ(マンモグラフィ範囲)においては、格子の均一性を向上させ、製造コストを低減するために、GAI設計を使用することが有益である。例えば、約35kVpまでの動作に適する、約2.5μmの周期及び約50μmの厚さを有する研究グレードの格子を形成することができる。しかしながら、このような高アスペクト比の格子は製造が困難であり、品質が悪くなる。約25μmの格子を形成し、これらを30°の角度のGAIセットアップにおいて使用することによって、これらの有効厚を2倍にすれば、製造がより容易になり、品質も高められる。
【0040】
幾つかの具体例では、現実的に有効と考えられる全てのエネルギについて、連続した露光を必要とせず、高解像度で、並びに臨床的適合性を有する線量及びスキャン速度で大きな物体をイメージングすることができるスキャン位相コントラストラジオグラフィ(scanning phase contrast radiography:PC−SR)システムの製造コストを低減するための3つ以上のGAI干渉計の組合せを開示する。
【0041】
したがって、本開示に基づく実施形態は、以下の特徴を有する。物体を介して、それぞれ異なる干渉計フェージングを有する複数(3個以上)の近接して間隔をあけられた空間的ビュー又はコードを使用することにより、複数の時間的に離間したイメージ(すなわち、逐次的な露光)に代えて、位相コントラストX線写真が取得される。ライン又はスロットスキャン設計を使用することにより、位相コントラストイメージングのために必要な複数のイメージを取得でき、したがって、患者/物体の動きの問題が軽減される。ライン又はスロットスキャン設計と共に複数の空間的ビューを使用することにより、大きな(数mの長さで数十cm幅までの)物体の位相コントラストX線写真を取得することができる。セクタからセクタまでの格子周期の数分の1だけシフトされたラインを有する、複数のセクタ又はアクティブ領域を有する「マルチ位相」格子を使用することにより、格子の1つをスキャンし又は継続的な露光を行う必要なく、位相コントラストラジオグラフィに必要な複数のイメージが取得される。マルチビュースキャンGAI干渉計(multi-view scanning GAI interferometer)を使用することにより、高いX線エネルギ(150kVp)における大きな物体の位相コントラストラジオグラフィが実現する。マルチビュースキャンGAI干渉計を時間遅延積分(Time Delay Integration:TDI)検出器又は光子計数検出器と共に使用することにより、低線量及び高速の位相コントラストマンモグラフィ及びラジオグラフィが実現する。ミラー又は反射器によりフィルタリングされるマルチビュースキャンGAI干渉計を使用することにより、非常に高い感度及び低線量による準単色位相コントラストラジオグラフィ(quasi-monochromatic phase contrast radiography)が実現する。
【0042】
図1Aは、従来の格子ベースの位相コントラストラジオグラフィのレイアウトを表している。
図1Bは、
図1Aの格子の1つ(線源格子G0又はビームスプリッタ格子G1)をその周期に沿ってスキャンすることによって取得されるN=4の位相ステッピング曲線を表している。
図1Aの構成では、小さな物体しかイメージングできず、
図1Bの位相ステッピング曲線を取得するためには、複数の連続した露光が必要である。従来の格子位相コントラストイメージングは、タルボ−ロー垂直入射干渉計内に物体の全体を配置し、サイズx=G/NのN回のステップで、格子の1つをその周期に亘って横方向にスキャンすることによって動作し、ここで、Gは、格子周期である。格子位置毎に連続したイメージが取得される。
【0043】
図1Aに示すように、物体120をイメージングするよう動作可能な従来の格子ベースの位相コントラストラジオグラフィシステム100は、X線源105、すなわち、X線管、線源格子G0 110、ビームスプリッタ格子G1 115、アナライザ格子G2 125及び領域検出器130を備える。線源格子G0 110は、X線源105及びビームスプリッタ格子G1 115の間に位置する。物体120は、ビームスプリッタ格子G1 115及びアナライザ格子G2 125の間に位置する。領域検出器130は、通常、一辺が10cm未満である。この構成によるプロセスは、
図1Bに示すように、イメージの各ピクセルに「位相ステッピング」曲線と呼ばれる、擬似正弦波強度振動(quasi-sinusoidal intensity oscillation)を生成する。
I(n)=A+B・sin(n・x/G・2π+φ)n=1,2,..N
【0044】
位相ステッピング曲線のdc又は平均値Aにより減衰イメージが生成され、変調の振幅Bにより散乱イメージが生成され、物体によって屈折イメージに位相シフトφが導入される[1]。
【0045】
位相ステッピング曲線は、3つのパラメータによって決定されるので、物体の減衰、屈折及び散乱イメージを取得するために3つの対応する干渉計イメージによる少なくとも3つの位相ステッピングが必要である。
【0046】
この方法は、物体の全体を干渉計視野内に収める必要がある。典型的な格子サイズは、数cm×数cm以下であるため、例えば、人間の胴部のような大きな物体の場合、これは困難である。更に、狭くて深い格子開口のコリメート効果のために、格子バーに対して垂直な方向(
図1Aの水平方向である)の格子視野は、数cmに限定される。また、この方法では、複数の連続したイメージを取得する必要があり、これは、長い測定時間(医療用チューブを用いて、通常、数十秒)を必要とし、更に、この間に物体が動かないことが要求される。これらの制約によって、特に医学ラジオグラフィについて、従来の位相コントラストイメージング法の実用性が制限されている。更に、従来の垂直入射干渉計は、低いX線エネルギ(通常、40kVp未満)でしか動作できない。
【0047】
図2Aは、実施形態に基づく格子ベースの位相コントラストラジオグラフィシステムを示している。積層されたGAI格子は、物体又は干渉計がスキャンされている間に、長くて狭い視野をイメージングするために使用される。異なる位相干渉計を介する複数(3個以上)の近接して間隔をあけられたビューを使用することにより、複数回の露光の必要なしで位相ステッピング曲線と等価な曲線を取得できる。異なる干渉計フェージングは、
図2Aでは、線源格子G0であるマルチセクタ又は「マルチ位相」格子を用いて達成される。マルチセクタ線源格子G0は、少なくとも2つの異なるセクタを有することができる。
【0048】
図2Aに示すように、物体220をイメージングするように動作可能な実施形態に基づく例示的な格子ベースの位相コントラストラジオグラフィシステム200は、X線源205、すなわち、X線管、線源格子G0 210、ビームスプリッタ格子G1 215、アナライザ格子G2 225及び検出器230を備える。線源格子G0 210は、X線源205及びビームスプリッタ格子G1 215の間に位置する。物体220は、ビームスプリッタ格子G1 215及びアナライザ格子G2 225の間に位置する。幾つかの側面では、アナライザ格子G2 225は、約数十cmの厚さを有することができる。アナライザ格子は、検出器230の長さをカバーするように積層された複数の視射角格子を備えることができる。検出器230は、複数の時間遅延積分(TDI)CCD検出器又はライン検出器を備えることができる。
【0049】
図2A及び
図2Bに示す構成によって、高い費用効果で上述した問題の全てを解決することができる。例示的な構成においては、物体を介する複数の近接して離間されたファンビュー(fan view)又は「スライス」を使用して、位相コントラストイメージングのために必要な複数のイメージが取得される。各ビューは、
図2Bに示すように、それぞれ異なる相対的なライン位置を有する複数の領域又はセクタ240、245、250、255を有する格子を用いて取得された干渉計の異なるフェージングを有する。例えば、4つのビューが使用される場合、セクタ間の格子ラインの相対的なフェージングは、Gを格子周期として、0、G/4、G/2及び3G/4である。3つの格子のどれをセクタに分割してもよいが、このようにして製造することが最も容易なのは、サイズが小さい線源格子G0である。
【0050】
(物体又は干渉計を平行移動することによって)物体に亘ってファンビュー又はスライスをスキャンすることによって、それぞれ異なる干渉計フェージングを有する複数のイメージが略同時に取得される(唯一のタイムラグは、隣接するビュー間の距離をスキャン速度で除算することによって得られる時間であり、典型的なラジオグラフィセットアップでは、これは、数分の1秒である)。複数のイメージは、物体を介して異なる角度で取得され、これらのイメージを用いて、
図2Bに示すような位相ステッピング曲線が構築される。
【0051】
この例示的な手法では、物体を介して僅かに異なる角度で取得される位相コントラストラジオグラフィイメージが使用される。例えば、約1.8mの典型的な干渉計長及び1cm間隔で離間されたライン又はスロットスキャン検出器では、ビュー間の角度は、0.3°である。4つビューがあると仮定すると、一回の位相コントラスト投影により、0.9°の角度範囲に亘る位相情報が平均化される。
【0052】
なお、
図2に類似する位相検索[5,6]のために僅かに異なるCT角度で取得されるイメージを使用する「インタレース」位相コントラスト回転トモグラフィに関する本願発明者ら及び他の研究[4]によれば、このような小さい角度平均は、屈折画像の正確度又は品質に大きな影響を及ぼさないことがわかっている。この小さな角度平均よる減衰及び散乱イメージへの影響は、更に小さい。
【0053】
更に、本開示の実施形態は、検出器の長さをカバーするように複数のGAI格子が積層された長くて狭いスロット又はラインスキャン検出器を使用することができる。これにより、広いファンビームによる線形スキャンによる大きな物体のラジオグラフィが可能になる。例えば、テレダインダルサ社(Teledyne Dalsa)は、幅7mm×長さ最大440mmのパノラマX線イメージングのためのTDI CCDを製造している[6]。(TDI、すなわち時間遅延積分(Time Delay Integration)は、非常に高い信号対雑音比で、ラインスキャンイメージを取得するための技術であり、オブジェクトスキャンに同期させてCCDに蓄積された電荷をシフトさせることを含む。TDI CCDは、本質的に連続的フィルムカセットとして動作する。)このような検出器を用いることにより、人間の脚部又は胴部のサイズの物体を容易にスキャンすることができる。これに代えて、例えば、光子計数Si又はCdTe画素化アレイ(pixilated array)等、線形検出器の近接して離間された横列を使用することもできる[7]。これによっても、システムにエネルギ分解能が加えられ、その感度及び性能を更に高めることができる。
【0054】
図3Aは、実施形態に基づくスキャン位相コントラストマンモグラフィシステムの例示的な側面図であり、
図3Bは、その平面図である。減衰、屈折及び散乱イメージは、線形スキャンテーブルの単一のパスにおいて同時に取得される。マンモグラフィにおいて必要とされる頭尾(cranio-caudal:CC)、内外斜位方向(medio-lateral oblique:MLO)及び内外方向の投影を実現するために、干渉計ガントリは、支持シャフトを中心に回転することができる。
【0055】
この実施形態では、低X線エネルギで動作する低エネルギPC−SRマンモグラフィシステム300を開示する。
図3A及び
図3Bに示す例示的なレイアウトでは、低エネルギPC−SRマンモグラフィシステム300は、第1のベース部材310及び第2のベース部材315によって支持されている患者支持部材305を備える。スキャンテーブル320は、患者支持部材305の下であって第2のベース部材315の上に配置されている。スキャンテーブル320は、第2のベース部材315に接続された回転シャフト325を用いて回転可能であり、回転シャフト325に接続された回転ロック330を用いて、所望の位置にロック可能である。スキャンテーブル320は、患者支持部材305の下方に配置され、ガントリ330を備える。ガントリ330は、X線源335、すなわち、X線管及び
図2A及び
図2Bに関して説明したものと同様の、干渉計ベース340によって支持されたGAIとを備える。
図2A及び
図2Bに関連して説明したように、干渉計ベース340は、線源格子(G0)345、ビームスプリッタ格子(G1)350、アナライザ(G2)格子355、及び検出器360、すなわちTDI CCD検出器を支持する。この構成において、スキャンされる物体である胸部組織は、一対のパドル365によって、何れの側で支持してもよい。ガントリ330の上部は、カバー370で覆うことができる。
【0056】
胸部のための開口375を有する患者支持部材305上に腹臥位で横たわっている患者のこの姿勢は、定位生検画像処理システムで使用される姿勢と同様である。また、腹臥位により、胸部を屈折率整合流体(index of refraction matching fluid)(例えば食塩水又は水)に含浸させることができ、これによって、胸部/空気界面における低x線エネルギによって生じる強い位相変化を取り除くことができる。コリメートされた幾何学的配置のために、このようなシステムによる推定線量は、1mGyの桁に低く抑えることができ、スキャン時間は、数秒のみである。以前の開示[8]に記載されているように、X線ミラー又は他の帯域通過スペクトルフィルタをシステムに追加し、準単色スペクトルを生成することができ、これによって、干渉計の性能を更に向上させ、線量を低減することができる。
【0057】
図4A及び
図4Bは、それぞれ、実施形態に基づく全身のためのスキャン位相コントラストラジオグラフィシステム400の例示的な正面図及び側面図である。システム400は、
図2A及び
図2Bに関して記述したGAI及び
図3A及び
図3Bに関して記述したGAIと同様のGAIを備えるが、但し、
図3A及び
図3BのGAIは、水平構成であり、
図4A及び
図4BのGAIは、垂直構成である点が異なっている。GAIは、X線源405、線源格子(G0)410、ビームスプリッタ格子(G1)415、アナライザ格子(G2)420、及び検出器425、すなわち、TDI CCD検出器を備える。スキャンされる患者は、テーブル435上に載置され、スキャンされる体の部分430は、ビームスプリッタ格子(G1)415及びアナライザ格子(G2)420の間に配置される。追加的トモシンセシス能力(tomosynthesis capability)のために、スキャンテーブルは、患者の周囲を回転することができる。この例は、全身(胸部、腹部、四肢又は頭部)ラジオグラフィのための高エネルギPC−SRシステムを開示している。この実施形態は、PC−SRマンモグラフィに類似したレイアウトを使用しているが、より厚く、より傾斜した格子を使用しており、最高140kVpのエネルギで、より長い(数十cmまでの)スキャン検出器と共に動作できる。このようなPC−SRシステムは、マンモグラフィが低エネルギで胸部の軟組織異常の検出を可能にするように、高エネルギで全身に亘る軟組織X線診断を可能にする。影響が大きい用途の例としては、例えば、不安定な動脈プラークのX線位相コントラスト診断がある。最近の研究では、X線位相コントラストにより、動脈壁、低密度脂質沈着及び繊維状又は石灰化プラークカプセル(plaque capsule)を非常に良好に区別できることが判明している。
【0058】
本開示の実施形態は、例えば、荷物又はヘリコプタのブレード等の広く長い物体を干渉計の視野内でスキャンできる産業用又はセキュリティ用の位相コントラストイメージングにも使用可能である。
【0059】
実際の動作では、
図2A、
図2Bに示すシステムを使用する
図3A、
図3B並びに
図4A、
図4Bに示すシステムは、マルチセクタ線源格子、ビームスプリッタ格子及びアナライザ格子を備え、物体がビームスプリッタ格子及びアナライザ格子の間に配置される干渉計を用いて物体の位相コントラストイメージングを行うための方法を実行するように動作可能である。この方法は、マルチセクタ線源格子にX線ビームを方向付けることであって、マルチセクタ線源格子の各セクタは、所定の量によってオフセットされていることと、一回の露光の間に、物体又は干渉計を平行移動させることによって複数のイメージを取得することであって、複数のイメージは、異なる干渉計フェージングを有することと、取得された複数のイメージを結合して、物体の位相コントラストイメージを生成することとを含む。複数のイメージは、アナライザ格子の背後に配置され、約1cm分離されたラインスキャン又はスロットスキャン検出器を用いて取得できる。複数のイメージの間の角度は、約0.1°、約0.3°又は約0.5°であってもよい。4つのイメージの間の角度範囲は、約0.5、約0.7°、約0.9°又は約0.11°であってもよい。使用される画像処理システムの特定の構成に応じて、複数のイメージの間の他の角度及びイメージの間の他の角度範囲を使用してもよい。
【0060】
以上の説明は、例示的なものであり、当業者は、構成及び具体例を変更することができる。例えば、ここに開示した実施形態に関連して記述される様々な例示的なロジック、論理ブロック、モジュール及び回路は、汎用プロセッサ、デジタル信号プロセッサ(digital signal processor:DSP)、特定用途向け集積回路(application specific integrated circuit:ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(field programmable gate array:FPGA)又は他のプログラム可能な論理デバイス、個別のゲート又はトランジスタロジック、個別のハードウェアコンポーネント又はここに記述する機能を実行するように設計されたこれらの如何なる組合によって実現又は実行してもよい。汎用プロセッサは、マイクロプロセッサであってもよいが、これに代えて、プロセッサは、従来の如何なるプロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ又は状態マシンであってもよい。プロセッサは、演算デバイスの組み合わせとして実現してもよく、例えば、DSP及びマイクロプロセッサの組合せ、複数のマイクロプロセッサ、DSPコアと連携する1つ以上のマイクロプロセッサ又はこのような他の如何なる構成で実現してもよい。
【0061】
1つ以上の例示的な実施形態においては、ここに説明した機能は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア又はこれらの如何なる組合せによって実現してもよい。ソフトウェアによる実現では、ここに記述した技術は、ここに記述した機能を実行するモジュール(例えば、手順、関数、サブプログラム、プログラム、ルーチン、サブルーチン、モジュール、ソフトウェアパッケージ、クラス等)によって実現してもよい。モジュールは、情報、データ、引数、パラメータ又はメモリコンテンツを送受することによって、他のモジュール又はハードウェア回路に接続することができる。情報、引数、パラメータ、データ等は、メモリ共有、メッセージ送り出し、トークン送り出し、ネットワーク送信等を含む如何なる適切な手段を用いて引き渡し、送り出し又は送信してもよい。ソフトウェアコードは、メモリユニットに保存し、プロセッサによって実行することができる。メモリユニットは、プロセッサ内で実現してもよく、プロセッサの外部で実現してもよく、後者の場合、メモリユニットは、当分野で知られている様々な手段によって、プロセッサに通信可能に接続することができる。
【0062】
例えば、
図5は、上述の特徴のプロセスの1つ以上を実行するために使用できるコンピュータデバイス500のハードウェアの構成例を示している。
図5は、コンピュータデバイス500に含まれる様々な構成要素を例示しているが、
図5は、コンピュータデバイスの1つの例を示しているに過ぎず、更なる構成要素を追加してもよく、既存の構成要素を省略してもよい。
【0063】
コンピュータデバイス500は、如何なる種類のコンピュータデバイス、例えば、デスクトップ、ラップトップ、サーバ等であってもよく、モバイル機器、例えば、スマートフォン、タブレット型コンピュータ、携帯電話器、個人用携帯情報端末等であってもよい。
図5に示すように、コンピュータデバイス500は、様々なコア構成及びクロック周波数の1つ以上のプロセッサ502を含むことができる。コンピュータデバイス500は、コンピュータデバイス500の動作の間にメインメモリとして機能する1つ以上のメモリデバイス504を含んでいてもよい。例えば、動作の間、特徴をサポートするソフトウェアのコピーを1つ以上のメモリデバイス504に保存してもよい。コンピュータデバイス500は、コンピュータデバイス500と人間の間のインタラクション及びコンピュータデバイス500の操作のために、1つ以上の周辺インターフェース506、例えば、キーボード、マウス、タッチパッド、コンピュータスクリーン、タッチスクリーン等を含んでいてもよい。
【0064】
コンピュータデバイス500は、1つ以上のネットワークインターフェース508、例えば、1つ以上のネットワークを介して通信を行うためのイーサネット(登録商標)アダプタ、ワイヤレストランシーバ、又はプロトコルを使用して有線又は無線媒体を介して通信を行うためのシリアルネットワークコンポーネントを含んでいてもよい。コンピュータデバイス500は、データ、例えば、イメージ、ファイル及び1つ以上のプロセッサ502によって実行されるプログラム命令を格納するための、例えば、フラッシュドライブ、ハードディスクドライブ、ランダムアクセスメモリ等の様々な物理的寸法及びストレージ容量を有する1つ以上のストレージデバイス510を含むことができる。
【0065】
更に、コンピュータデバイス500は、上述の特徴の機能を可能にする1つ以上のソフトウェアプログラム512を含むことができる。1つ以上のソフトウェアプログラム512は、1つ以上のプロセッサ502に上述したプロセスを実行させるための命令を含むことができる。1つ以上のソフトウェアプログラム512のコピーを、1つ以上のメモリデバイス504及び/又は1つ以上のストレージデバイス510に保存してもよい。同様に、1つ以上のソフトウェアプログラム512によって利用されるデータを、1つ以上のメモリデバイス504及び/又は1つ以上のストレージデバイス510に保存してもよい。
【0066】
幾つかの具体例では、コンピュータデバイス500は、ネットワーク516を介して、1つ以上の他のデバイス514と通信することができる。1つ以上の他のデバイス514は、上述したように、如何なる種類のデバイスであってもよい。ネットワーク516は、如何なる種類のネットワークであってもよく、例えば、ローカルエリアネットワーク、ワイドエリアネットワーク、仮想プライベートネットワーク、インターネット、イントラネット、エクストラネット、公衆交換電話網、赤外線ネットワーク、無線ネットワーク及びこれらの如何なる組合せであってもよい。ネットワーク516は、例えば、TCP/IP、UDP、OSI、FTP、UPnP、NFS、CIFS、AppleTalk等、商業的に利用可能な様々なプロトコルの何れを使用して通信をサポートしてもよい。ネットワーク516は、例えば、ローカルエリアネットワーク、ワイドエリアネットワーク、仮想プライベートネットワーク、インターネット、イントラネット、エクストラネット、公衆交換電話網、赤外線ネットワーク、無線ネットワーク及びこれらの如何なる組合せであってもよい。
【0067】
コンピュータデバイス500は、上述したように、様々なデータストア並びに他のメモリ及びストレージ媒体を含むことができる。これらは、例えば、1つ以上のコンピュータにローカルな(コンピュータ内に存在する)ストレージ媒体上にある又はネットワークに亘るコンピュータの一部又は全部から遠隔にある様々な場所に設けることができる。幾つかの具体例では、当業者にとって周知のように、情報は、ストレージエリアネットワーク(storage-area network:SAN)内にあってもよい。同様に、コンピュータ、サーバ又は他のネットワークデバイスに関連する機能を実行するために必要な如何なるファイルもローカル及び/又はリモートに適宜保存することができる。
【0068】
幾つかの具体例においては、上述したコンピュータデバイス500の構成要素は、単一の筐体内に収納する必要はなく、互いに近接して配設する必要もない。上述した構成要素は、例示的なものに過ぎず、コンピュータデバイス500は、ここに開示する具体例を実行するために必要なあらゆる付随的なファームウェア又はソフトウェアを含む、如何なる種類のハードウェア構成要素を含んでいてもよいことは、当業者にとって明らかである。コンピュータデバイス500は、部分的に又は全体的に、例えば、特定用途向け集積回路(application-specific integrated circuit:ASIC)又はフィールドプログラマブルゲートアレイ(field-programmable gate array:FPGA)等の電子回路構成要素又はプロセッサによって実現してもよい。
【0069】
ソフトウェアでインプリメントする場合、機能は、1つ以上の命令又はコードとしてコンピュータ可読媒体に保存してもよく、コンピュータ可読媒体を介して送信してもよい。コンピュータ可読媒体は、タンジブルな非一時的コンピュータストレージ媒体と、コンピュータプログラムをある場所から別の場所に転送することを可能にするあらゆる媒体を含む通信媒体との両方を含む。ストレージ媒体は、コンピュータがアクセスできる如何なるタンジブルな非一時的媒体であってもよい。例えば、このようなタンジブルな非一時的コンピュータ可読媒体は、以下に限定されるわけではないが、RAM、ROM、フラッシュメモリ、EEPROM、CD−ROM又は他の光ディスクストレージ、磁気ディスクストレージ若しくは他の磁気ストレージデバイス、又は所望のプログラムコードを、コンピュータがアクセスできる命令又はデータ構造の形式で搬送又は保存するために使用できる他のあらゆる媒体を含むことができる。ここで使用するディスク(disk/disc)は、CD、レーザーディスク(登録商標)、光ディスク、DVD、フロッピーディスク及びブルーレイディスクを含み、ディスク(disk)は、通常、磁気によってデータが再生される媒体であり、ディスク(disc)は、通常、レーザによってデータが再生される媒体である。また、如何なる接続も、コンピュータ可読媒体と適切に呼ぶことができる。例えば、同軸ケーブル、光ファイバーケーブル、ツイストペア、デジタル加入者回線(digital subscriber line:DSL)又は無線技術、例えば、赤外線、ラジオ及び電磁波を用いて、ソフトウェアがウェブサイト、サーバ又は他のリモート線源から送信される場合、同軸ケーブル、光ファイバーケーブル、ツイストペア、DSL又は無線技術、例えば、赤外線、ラジオ及び電磁波は、媒体の定義に含まれる。上記の組合せもコンピュータ可読媒体の範囲に含まれるものとする。
【0070】
例示的な実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明の真の思想及び範囲から逸脱することなく、ここに説明した実施形態を様々に変更できることは、当業者にとって明らかである。ここで使用した用語及び記述は、例示的なものであり、本発明を制限することを意図するものではない。例えば、例示によって処理について説明したが、この処理の段階は、例示したものとは異なる順序で実行してもよく、同時に実行してもよい。更に、詳細な説明及び特許請求の範囲で使用される「備える」、「有する」等の用語及びその活用形は、「含む」と同様に、包含的な意味で用いられる。また、項目の列挙、例えば、A及びBに関して用いられる「1つ以上」及び「少なくとも1つ」という表現は、Aのみ、Bのみ、又はA及びBの全てを意味する。更に、特に明記しない限り、「組」という語は、「1つ以上」と解釈される。また、「接続」という語は、間接的な接続及び直接的な接続の両方を意味する。したがって、第1のデバイスが第2のデバイスに接続されている場合、この接続は、直結的な接続であってもよく、他のデバイス、構成要素及び接続を介する間接的な接続であってもよい。