特許第6495968号(P6495968)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アンリツ株式会社の特許一覧

特許6495968移動端末試験装置とそのアップリンク信号測定方法
<>
  • 特許6495968-移動端末試験装置とそのアップリンク信号測定方法 図000002
  • 特許6495968-移動端末試験装置とそのアップリンク信号測定方法 図000003
  • 特許6495968-移動端末試験装置とそのアップリンク信号測定方法 図000004
  • 特許6495968-移動端末試験装置とそのアップリンク信号測定方法 図000005
  • 特許6495968-移動端末試験装置とそのアップリンク信号測定方法 図000006
  • 特許6495968-移動端末試験装置とそのアップリンク信号測定方法 図000007
  • 特許6495968-移動端末試験装置とそのアップリンク信号測定方法 図000008
  • 特許6495968-移動端末試験装置とそのアップリンク信号測定方法 図000009
  • 特許6495968-移動端末試験装置とそのアップリンク信号測定方法 図000010
  • 特許6495968-移動端末試験装置とそのアップリンク信号測定方法 図000011
  • 特許6495968-移動端末試験装置とそのアップリンク信号測定方法 図000012
  • 特許6495968-移動端末試験装置とそのアップリンク信号測定方法 図000013
  • 特許6495968-移動端末試験装置とそのアップリンク信号測定方法 図000014
  • 特許6495968-移動端末試験装置とそのアップリンク信号測定方法 図000015
  • 特許6495968-移動端末試験装置とそのアップリンク信号測定方法 図000016
  • 特許6495968-移動端末試験装置とそのアップリンク信号測定方法 図000017
  • 特許6495968-移動端末試験装置とそのアップリンク信号測定方法 図000018
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6495968
(24)【登録日】2019年3月15日
(45)【発行日】2019年4月3日
(54)【発明の名称】移動端末試験装置とそのアップリンク信号測定方法
(51)【国際特許分類】
   H04B 17/29 20150101AFI20190325BHJP
   H04W 24/06 20090101ALI20190325BHJP
   H04W 72/04 20090101ALI20190325BHJP
   H04B 17/15 20150101ALI20190325BHJP
   H04L 27/26 20060101ALI20190325BHJP
   H04J 1/00 20060101ALI20190325BHJP
【FI】
   H04B17/29
   H04W24/06
   H04W72/04 111
   H04B17/15
   H04L27/26 100
   H04J1/00
【請求項の数】4
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2017-103663(P2017-103663)
(22)【出願日】2017年5月25日
(65)【公開番号】特開2018-201068(P2018-201068A)
(43)【公開日】2018年12月20日
【審査請求日】2017年12月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000572
【氏名又は名称】アンリツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001520
【氏名又は名称】特許業務法人日誠国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 秀之
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 直博
【審査官】 鴨川 学
(56)【参考文献】
【文献】 特開2017−069905(JP,A)
【文献】 特開2017−055236(JP,A)
【文献】 特開2015−142256(JP,A)
【文献】 特開2010−147657(JP,A)
【文献】 特開2013−098854(JP,A)
【文献】 特開2006−287857(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 17/29
H04B 17/15
H04J 1/00
H04L 27/26
H04W 24/06
H04W 72/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体通信端末(2)との間で無線信号を送受信する無線ポートを有し、キャリアアグリゲーションにおける複数のコンポーネントキャリアそれぞれに設定されたパラメータに基づいて、前記複数のコンポーネントキャリアの1つをプライマリコンポーネントキャリアとし、他の前記コンポーネントキャリアをセカンダリコンポーネントキャリアとして前記移動体通信端末と呼接続を行なってキャリアアグリゲーションの試験を行なう移動端末試験装置(1)であって、
前記無線ポートを介して前記移動体通信端末にダウンリンク信号を送信するとともに、前記無線ポートを通る信号から局部発振周波数と中間周波数とによりアップリンク信号を抽出する無線信号処理部(10)と、
前記無線信号処理部が抽出した受信信号を測定する無線信号測定部(13)と、
測定対象のアップリンク信号以外のアップリンク信号及びダウンリンク信号の周波数及び周波数帯域幅に基づいて前記測定対象のアップリンク信号の測定に必要な測定帯域に対する干渉が発生するか否かを判定し、前記測定帯域に対する干渉が発生した場合、前記局部発振周波数を変更させて信号の干渉状態を変化させて測定を行なわせる制御部(15)と、
を備える移動端末試験装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記測定帯域が前記測定対象のアップリンク信号の周波数帯域幅より広い場合、干渉の状態に応じて前記測定帯域を分割し、前記局部発振周波数を変更させて信号の干渉状態を変化させて分割した帯域毎に測定を行なわせる請求項1に記載の移動端末試験装置。
【請求項3】
前記制御部は、干渉信号の周波数帯域幅と、前記測定対象のアップリンク信号の周波数帯域幅と、前記測定帯域の周波数帯域幅に基づいて、前記局部発振周波数の変更量を算出する請求項1または請求項2に記載の移動端末試験装置。
【請求項4】
移動体通信端末(2)との間で無線信号を送受信する無線ポートを有し、キャリアアグリゲーションにおける複数のコンポーネントキャリアそれぞれに設定されたパラメータに基づいて、前記複数のコンポーネントキャリアの1つをプライマリコンポーネントキャリアとし、他の前記コンポーネントキャリアをセカンダリコンポーネントキャリアとして前記移動体通信端末と呼接続を行なってキャリアアグリゲーションの試験を行なう移動端末試験装置(1)が実行するアップリンク信号測定方法であって、
測定対象のアップリンク信号以外のアップリンク信号及びダウンリンク信号の周波数及び周波数帯域幅に基づいて前記測定対象のアップリンク信号の測定に必要な測定帯域に対する干渉が発生するか否かを判定するステップと、
前記測定帯域に対する干渉が発生した場合、前記測定対象のアップリンク信号を抽出するための局部発振周波数を変更して信号の干渉状態を変化させて測定を行なうステップと、を備える移動端末試験装置のアップリンク信号測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体通信端末の試験を行なう移動端末試験装置に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話やデータ通信端末等の移動体通信端末を開発した場合、この開発した移動体通信端末が正常に通信を行なえるか否かを試験する必要がある。このため、実際の基地局の機能を擬似する擬似基地局として動作する試験装置に試験対象の移動体通信端末を接続し、試験装置と移動体通信端末との間で通信を行ない、この通信の内容を確認する試験を行なっている。
【0003】
また、無線通信の規格を作成している3GPP(3rd Generation Partnership Project)では、LTE−A(Long Term Evolution-Advanced)の規格のなかで、キャリアアグリゲーション(Carrier Aggregation)技術が導入されている。このキャリアアグリゲーションは、複数のLTEキャリアを同時に用いて通信を行なうことで、伝送速度の向上を図るものである。
【0004】
キャリアアグリゲーションにおいては、コンポーネントキャリア(以下、CCともいう)と呼ばれるLTEキャリアを複数用いて通信を行なう。キャリアアグリゲーションでは、移動体通信端末が基地局との接続を維持するために必要なCCである1つのプライマリコンポーネントキャリア(以下、PCCともいう)と、移動体通信端末と基地局との伝送速度を向上させるために使用されるCCである1つ以上のセカンダリコンポーネントキャリア(以下、SCCともいう)とにより通信が行なわれる。
【0005】
3GPP Release10以降の規格では、アップリンク(移動体通信端末から基地局に向かうリンク)についてもキャリアアグリゲーション技術を適用するようになっている。
【0006】
特許文献1には、アップリンクのキャリアアグリゲーションの試験を行なうことができるようにした試験装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2017−69905号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このようなアップリンクのキャリアアグリゲーションの試験を行なう移動端末試験装置において、アップリンクとダウンリンクの両方の信号が送受信されている状態での試験では、アップリンクの信号の測定に使用する周波数帯域に、測定対象のアップリンク信号以外のアップリンクやダウンリンクの信号による干渉が発生する問題がある。
【0009】
さらに、LTEにおいては、キャリアアグリゲーションを可能とする周波数バンドの組み合わせが増加し続けており、測定対象のアップリンク信号以外のアップリンクやダウンリンクの信号による干渉が頻発するようになっている。
【0010】
そこで、本発明は、測定対象のアップリンク信号以外のアップリンクやダウンリンクの信号による干渉があっても測定対象のアップリンク信号を測定することができる移動端末試験装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の移動端末試験装置は、移動体通信端末との間で無線信号を送受信する無線ポートを有し、キャリアアグリゲーションにおける複数のコンポーネントキャリアそれぞれに設定されたパラメータに基づいて、前記複数のコンポーネントキャリアの1つをプライマリコンポーネントキャリアとし、他の前記コンポーネントキャリアをセカンダリコンポーネントキャリアとして前記移動体通信端末と呼接続を行なってキャリアアグリゲーションの試験を行なう移動端末試験装置であって、前記無線ポートを介して前記移動体通信端末にダウンリンク信号を送信するとともに、前記無線ポートを通る信号から局部発振周波数と中間周波数とによりアップリンク信号を抽出する無線信号処理部と、前記無線信号処理部が抽出した受信信号を測定する無線信号測定部と、測定対象のアップリンク信号以外のアップリンク信号及びダウンリンク信号の周波数及び周波数帯域幅に基づいて前記測定対象のアップリンク信号の測定に必要な測定帯域に対する干渉が発生するか否かを判定し、前記測定帯域に対する干渉が発生した場合、前記局部発振周波数を変更させて信号の干渉状態を変化させて測定を行なわせる制御部と、を備えるものである。
【0012】
この構成により、測定帯域に対する干渉が発生した場合、局部発振周波数が変更されて信号の干渉状態が変えられて測定が行なわれる。このため、測定対象のアップリンク信号以外のアップリンクやダウンリンクの信号による干渉があっても測定対象のアップリンク信号を測定することができる。
【0013】
また、本発明の移動端末試験装置において、前記制御部は、前記測定帯域が前記測定対象のアップリンク信号の周波数帯域幅より広い場合、干渉の状態に応じて前記測定帯域を分割し、前記局部発振周波数を変更させて信号の干渉状態を変化させて分割した帯域毎に測定を行なわせるものである。
【0014】
この構成により、測定帯域が測定対象のアップリンク信号の周波数帯域幅より広い場合、干渉の状態に応じて測定帯域が分割され、分割された帯域毎に測定が行なわれる。このため、測定対象のアップリンク信号以外のアップリンクやダウンリンクの信号による干渉があっても測定対象のアップリンク信号を測定することができる。
【0015】
また、本発明の移動端末試験装置において、前記制御部は、干渉信号の周波数帯域幅と、前記測定対象のアップリンク信号の周波数帯域幅と、前記測定帯域の周波数帯域幅に基づいて、前記局部発振周波数の変更量を算出するものである。
【0016】
この構成により、干渉信号の周波数帯域幅と、測定対象のアップリンク信号の周波数帯域幅と、測定帯域の周波数帯域幅に基づいて、局部発振周波数の変更量が算出される。このため、干渉信号を除去しつつ測定帯域を測定可能な局部発振周波数の変更量が算出され、干渉信号を除去しつつ測定対象のアップリンク信号を測定することができる。
【0017】
また、本発明の移動端末試験装置のアップリンク信号測定方法は、移動体通信端末との間で無線信号を送受信する無線ポートを有し、キャリアアグリゲーションにおける複数のコンポーネントキャリアそれぞれに設定されたパラメータに基づいて、前記複数のコンポーネントキャリアの1つをプライマリコンポーネントキャリアとし、他の前記コンポーネントキャリアをセカンダリコンポーネントキャリアとして前記移動体通信端末と呼接続を行なってキャリアアグリゲーションの試験を行なう移動端末試験装置のアップリンク信号測定方法であって、測定対象のアップリンク信号以外のアップリンク信号及びダウンリンク信号の周波数及び周波数帯域幅に基づいて前記測定対象のアップリンク信号の測定に必要な測定帯域に対する干渉が発生するか否かを判定するステップと、前記測定帯域に対する干渉が発生した場合、前記測定対象のアップリンク信号を抽出するための局部発振周波数を変更して信号の干渉状態を変化させて測定を行なうステップと、を備えるものである。
【0018】
この構成により、測定帯域に対する干渉が発生した場合、局部発振周波数が変更されて信号の干渉状態を変化させて測定が行なわれる。このため、測定対象のアップリンク信号以外のアップリンクやダウンリンクの信号による干渉があっても測定対象のアップリンク信号を測定することができる。

【発明の効果】
【0019】
本発明は、測定対象のアップリンク信号以外のアップリンクやダウンリンクの信号による干渉があっても測定対象のアップリンク信号を測定することができる移動端末試験装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る移動端末試験装置のブロック図である。
図2図2は、本発明の一実施形態に係る移動端末試験装置の干渉信号の探索範囲を示す図である。
図3図3は、本発明の一実施形態に係る移動端末試験装置のスペクトラム測定時の周波数帯域幅ごとの干渉信号の探索範囲を示す図である。
図4図4は、本発明の一実施形態に係る移動端末試験装置のインバンド測定時の周波数帯域幅ごとの干渉信号の探索範囲を示す図である。
図5図5は、本発明の一実施形態に係る移動端末試験装置のスペクトラム測定の場合の干渉信号が被測定信号の周波数帯域に存在しない状態を示す図である。
図6図6は、本発明の一実施形態に係る移動端末試験装置の図5の状態からLO周波数を変更した状態を示す図である。
図7図7は、本発明の一実施形態に係る移動端末試験装置のスペクトラム測定の場合の干渉信号の帯域幅が被測定信号の帯域幅より大きく、干渉信号が被測定信号の周波数帯域に存在しない状態を示す図である。
図8図8は、本発明の一実施形態に係る移動端末試験装置の図7の状態よりLO周波数の変更量を多くした場合を示す図である。
図9図9は、本発明の一実施形態に係る移動端末試験装置のスペクトラム測定の場合の干渉信号が被測定信号の周波数帯域に存在する状態を示す図である。
図10図10は、本発明の一実施形態に係る移動端末試験装置の図9の状態から1回目のLO周波数を変更した状態を示す図である。
図11図11は、本発明の一実施形態に係る移動端末試験装置の図9の状態から2回目のLO周波数を変更した状態を示す図である。
図12図12は、本発明の一実施形態に係る移動端末試験装置のスペクトラム測定の場合の干渉信号の帯域幅が被測定信号の帯域幅より大きく、干渉信号が被測定信号の周波数帯域に存在する状態を示す図である。
図13図13は、本発明の一実施形態に係る移動端末試験装置の図12の状態から1回目のLO周波数を変更した状態を示す図である。
図14図14は、本発明の一実施形態に係る移動端末試験装置の図12の状態から2回目のLO周波数を変更した状態を示す図である。
図15図15は、本発明の一実施形態に係る移動端末試験装置の図12の状態から3回目のLO周波数を変更した状態を示す図である。
図16図16は、本発明の一実施形態に係る移動端末試験装置のインバンド測定の場合の干渉信号が被測定信号の周波数帯域に存在する状態を示す図である。
図17図17は、本発明の一実施形態に係る移動端末試験装置の図16の状態からLO周波数を変更した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係る移動端末試験装置について詳細に説明する。
【0022】
図1において、本発明の一実施形態に係る移動端末試験装置1は、擬似基地局として同軸ケーブル等を介して有線で移動体通信端末2と無線信号を送受信するようになっている。移動端末試験装置1は、LTE−Aの規格に対応しており、アップリンクにおいてもキャリアアグリゲーション技術により移動体通信端末2との間で通信できるようになっている。
【0023】
移動端末試験装置1は、無線信号処理部10と、無線ハードウェア制御部11と、コールプロセッシング部12と、無線信号測定部13と、ユーザインターフェース部14と、制御部15とを含んで構成されている。
【0024】
無線信号処理部10は、移動体通信端末2との間で無線信号を送受信するものである。無線信号処理部10は、移動体通信端末2との間で無線信号を送受信する無線ポートを1つ有している。無線信号処理部10は、1つの無線ポートに送信信号を送信し、1つの無線ポートの信号から受信信号を抽出する。
【0025】
無線信号処理部10は、コールプロセッシング部12の送信データを、符号化や、変調、周波数変換などして無線信号を生成して送信する。また、無線信号処理部10は、移動体通信端末2から受信した無線信号を、周波数変換や、復調、復号などしてコールプロセッシング部12及び無線信号測定部13に出力する。
【0026】
無線ハードウェア制御部11は、無線信号処理部10を制御して、無線信号の送受信レベルや周波数などを制御するものである。
【0027】
コールプロセッシング部12は、無線信号処理部10及び無線ハードウェア制御部11と接続され、試験条件に応じて設定された周波数や多重化方式などのコンポーネントキャリアのパラメータに従って無線ハードウェア制御部11に設定信号を送信して、無線信号処理部10に試験条件に適合した無線信号を送信させる。また、コールプロセッシング部12は、無線信号処理部10を介して、移動体通信端末2との間で無線信号を送受信して、コンポーネントキャリアとしての試験条件に適合した呼接続を移動体通信端末2との間で行なったり、試験条件に対応したコンポーネントキャリアとしての呼制御を行なったりするものである。また、コールプロセッシング部12は、設定された多重化方式などのパラメータに従って無線信号処理部10に設定信号を送信して、無線信号処理部10に試験条件に適合した無線信号を送信させる。
【0028】
無線信号測定部13は、無線信号処理部10と接続され、無線信号処理部10の送受信する無線信号の送受信レベルやスループットなどを測定し、測定結果を制御部15に出力するようになっている。制御部15は、無線信号測定部13からの測定結果を時刻情報などと関連付けてハードディスク等に記憶しておき、ユーザの要求によりユーザインターフェース部14に表示出力させたり、ログとしてファイルに出力したりするようになっている。
【0029】
ユーザインターフェース部14は、ユーザからの操作入力を受け付ける入力部141と、CCのパラメータの設定画面や無線信号測定部13の測定結果などを表示する表示部142とを備えている。入力部141は、タッチパッドやキーボードやプッシュボタンなどによって構成される。表示部142は、液晶表示装置などによって構成される。
【0030】
制御部15は、図示しないCPU(Central Processing Unit)と、RAM(Random Access Memory)と、ROM(Read Only Memory)と、ハードディスク装置と、入出力ポートとを備えたコンピュータユニットによって構成されている。
【0031】
このコンピュータユニットのROM及びハードディスク装置には、各種制御定数や各種マップ等とともに、当該コンピュータユニットを制御部15として機能させるためのプログラムが記憶されている。すなわち、CPUがROM及びハードディスク装置に記憶されたプログラムを実行することにより、当該コンピュータユニットは、制御部15として機能する。
【0032】
制御部15の入出力ポートには、無線ハードウェア制御部11、コールプロセッシング部12、無線信号測定部13、ユーザインターフェース部14が接続されている。
【0033】
なお、本実施形態において、無線ハードウェア制御部11、コールプロセッシング部12、無線信号測定部13は、各処理を実行するようにプログラミングされたDSP(Digital Signal Processor)等のプロセッサによってそれぞれ構成されている。また、無線信号処理部10は、通信モジュールによって構成されている。
【0034】
制御部15は、表示部142に表示させたパラメータ設定画面に従って入力部141による入力操作により設定されたパラメータに基づいて、無線ハードウェア制御部11に設定信号を送信して無線信号処理部10が送受信する無線信号の周波数や多重化方式を制御して、無線信号測定部13に測定を行なわせる。また、制御部15は、設定されたパラメータをコールプロセッシング部12に通知して、設定されたパラメータに適合したコンポーネントキャリアの通信を確立させる。
【0035】
また、制御部15は、入力部141に入力された指示に従って、無線ハードウェア制御部11及びコールプロセッシング部12に信号を送信して、試験用の呼制御などを行なわせるようになっている。
【0036】
このような移動端末試験装置1において、アップリンク信号の試験を行なう場合、測定対象となる周波数に局部発振器(Local Oscillator)の周波数(局部発振周波数、以下、「LO周波数」という)を合わせ、中間周波数(Intermediate Frequency:以下、「IF周波数」という)に周波数変換して測定を行なう。
【0037】
測定対象となる周波数は、LO周波数の高い側と低い側のどちらかが選択できる。本実施形態では、IF周波数が100[MHz]の場合を示す。IF周波数が他の周波数でも良いし、複数のIF周波数で測定できるようにしてもよい。
【0038】
制御部15は、入力部141による入力操作により設定されたアップリンク信号のパラメータに基づいて、測定に使用する周波数帯域(以下、「測定帯域」ともいう)を決定する。測定に使用する周波数帯域は、周波数帯域幅(Channel Band Width)や測定項目等によって決定される。
【0039】
本実施形態の移動端末試験装置1においては、1つの無線ポートにアップリンク信号とダウンリンク信号が送受信されるため、アップリンク信号の測定帯域に測定対象のアップリンク信号以外のアップリンクやダウンリンクの信号による干渉が発生する場合がある。このため、制御部15は、アップリンク信号の試験を行なう場合、測定帯域に測定対象のアップリンク信号以外のアップリンクやダウンリンクの信号による干渉が発生しないかを判定する。
【0040】
制御部15は、図2に示すような「Search Area」の列で示されている周波数の範囲に測定対象のアップリンク信号以外のアップリンクやダウンリンクの信号があるか否かにより、干渉が発生するか否かを判定する。測定対象のアップリンク信号以外のアップリンクやダウンリンクの信号の有無は、各コンポーネントキャリアのパラメータとして設定された周波数や周波数帯域幅によって判定される。
【0041】
図2は、測定対象周波数fULとIF周波数の関係と、測定範囲を示す図である。図2において、fLOはLO周波数であり、「Search Area」の列で示されている探索帯域Δfは、測定対象の信号以外の信号があるか否かを判定する範囲である。
【0042】
なお、「Interference Flag」の列の「IF100 Lower LO Flag」は、LO周波数が測定対象周波数fULよりも低い設定であり、「IF100 Upper LO Flag」は、LO周波数が測定対象周波数fULよりも高い設定である。
【0043】
探索帯域Δfは、測定対象である被測定信号の周波数帯域幅や測定項目によって変更する。図3は、測定項目が、スペクトルエミッションマスク(Spectrum Emission Mask:SEM)、隣接チャンネル漏れ電力比(Adjacent Channel Leakage Power Ratio:ACLR)、占有帯域幅(Occupied Bandwidth:OBW)などのスペクトラム測定の場合の、被測定信号の周波数帯域幅ごとのスペクトラム探索帯域ΔfSを示している。
【0044】
図4は、測定項目が、パワー、変調性能(Modulation)などのインバンド測定の場合の、被測定信号の周波数帯域幅ごとのインバンド探索帯域ΔfIを示している。
【0045】
制御部15は、図2で示した、「IF100 Lower LO Flag」の場合と、「IF100 Upper LO Flag」の場合とで被測定信号以外の信号で干渉が発生するか否かを判定する。制御部15は、「IF100 Lower LO Flag」か「IF100 Upper LO Flag」で干渉が発生しない設定があれば、その設定で測定を行なわせる。
【0046】
制御部15は、「IF100 Lower LO Flag」か「IF100 Upper LO Flag」で干渉が発生しない設定が無い場合は、干渉が発生している状態により被測定信号の周波数帯域幅を分割して測定を行なう。制御部15は、LO周波数(測定対象周波数fUL)を変更して信号の干渉状態を変化させて干渉の発生していない部分のみの測定を行なわせる。
【0047】
図5は、スペクトラム測定の場合の周波数分割の例を示す図である。図5では、被測定信号Aより高い周波数側に干渉信号Bが存在する。図5に示すように、干渉信号Bが被測定信号Aの周波数帯域に存在せず、スペクトラム探索帯域ΔfS内に存在する場合、制御部15は、LO周波数を1回変更させ測定を行なわせる。
【0048】
まず、図5に示した状態で、制御部15は、「測定に使用する範囲」で示された周波数帯域の測定を行なわせる。すなわち、干渉信号Bが存在する側の被測定信号Aの端から、干渉信号Bが存在しない側のスペクトラム測定に必要な帯域の端までを測定範囲とする。
【0049】
その後、制御部15は、干渉信号Bに向かう側(この場合、高周波側)に図3で示したスペクトラム探索帯域ΔfSだけLO周波数を変更させて周波数変換させる。すると、図6に示すように、干渉信号Bは、LO周波数の変更量の2倍以上ずれる。制御部15は、干渉信号Bが存在していた側の被試験信号Aの端から、干渉信号Bが存在していた側のスペクトラム測定に必要な帯域の端までに干渉信号が存在していないか判定する。この場合、制御部15は、測定対象周波数fUL+被測定信号Aの周波数帯域幅/2から測定対象周波数fUL+スペクトラム探索帯域ΔfSの範囲に干渉信号が存在していないか判定する。干渉信号が存在していない場合、制御部15は、「測定に使用する範囲」で示された、干渉信号Bが存在していた側の被測定信号Aの端から、干渉信号Bが存在していた側のスペクトラム測定に必要な帯域の端までの測定を行なわせる。
【0050】
図7は、スペクトラム測定の場合の干渉信号Bの周波数帯域幅が被測定信号Aの周波数帯域幅より大きい場合を示している。このような場合も、制御部15は、上述の図5の場合と同様に、干渉信号Bのある側とない側に分けて測定を行なわせる。しかしながら、干渉信号Bの帯域幅が大きいため、LO周波数をスペクトラム探索帯域ΔfSだけ変更して周波数変換しても、図7に示すように、干渉信号B'が被測定信号A'よりはみ出てしまい、測定に使用する範囲に干渉信号B'が残ってしまう。
【0051】
このため、制御部15は、被測定信号Aの周波数帯域幅と、干渉信号Bの周波数帯域幅との差の半分だけ多くLO周波数を変更させる。すなわち、制御部15は、干渉信号Bに向かう側(この場合、高周波側)に図3で示したスペクトラム探索帯域ΔfS+((干渉信号Bの周波数帯域幅−被測定信号Aの周波数帯域幅)/2)だけLO周波数を変更させて周波数変換させる。すると、図8に示すように、干渉信号B'は、LO周波数の変更量の2倍以上ずれる。制御部15は、干渉信号Bが存在していた側の被試験信号Aの端から、干渉信号Bが存在していた側のスペクトラム測定に必要な帯域の端までに干渉信号が存在していないか判定する。この場合、制御部15は、測定対象周波数fUL+被測定信号の周波数帯域幅/2から元の測定対象周波数fUL+スペクトラム探索帯域ΔfSの範囲に干渉信号が存在していないか判定する。干渉信号が存在していない場合、制御部15は、干渉信号Bが存在していた側の被測定信号A'の端から、干渉信号Bが存在していた側のスペクトラム測定に必要な帯域の端までの測定を行なわせる。
【0052】
図9に示すように、スペクトラム測定の場合の干渉信号Bが被測定信号Aの周波数帯域に存在する場合、制御部15は、干渉を受けていない側、被測定信号A、干渉を受けている側の3回に分けて測定を行なわせる。
【0053】
まず、制御部15は、図9の「1回目」で示している、干渉を受けていない側の被測定信号Aの端から、干渉信号Bがない側のスペクトラム測定に必要な帯域の端までの測定を行なわせる。
【0054】
次に、制御部15は、干渉信号Bがある側とは反対側に図4で示したインバンド探索帯域ΔfIだけLO周波数を変更させて周波数変換させる。すると、図10に示すように、干渉信号BはLO周波数の変更量の2倍以上ずれる。制御部15は、被試験信号Aの周波数帯域に干渉信号が存在していないか判定し、存在していない場合、「2回目」で示している被試験信号Aの周波数帯域幅の測定を行なわせる。
【0055】
次に、制御部15は、干渉信号Bに向かう側に図3で示したスペクトラム探索帯域ΔfSだけLO周波数を変更させて周波数変換させる。すると、図11に示すように、干渉信号BはLO周波数の変更量の2倍以上ずれる。制御部15は、干渉信号Bが存在していた側の被試験信号Aの端から、干渉信号Bが存在していた側のスペクトラム測定に必要な帯域の端までに干渉信号が存在していないか判定する。この場合、制御部15は、測定対象周波数fUL+被測定信号Aの周波数帯域幅/2から測定対象周波数fUL+スペクトラム探索帯域ΔfSの範囲に干渉信号が存在していないか判定する。干渉信号が存在していない場合、制御部15は、「3回目」で示している干渉信号Bが存在していた側の被試験信号Aの端から、干渉信号Bが存在していた側のスペクトラム測定に必要な帯域の端までの測定を行なわせる。
【0056】
図12に示すように、スペクトラム測定の場合の干渉信号Bが被測定信号Aの周波数帯域を横断して存在してしまい、干渉を受けていない側が存在しない場合、制御部15は、3回に分けて測定を行なう。
【0057】
まず、制御部15は、測定対象周波数fULを境界として周波数の高い側と低い側で干渉信号Bが干渉している部分が多い側(図では、周波数の高い側)とは反対側に図4で示したインバンド探索帯域ΔfIだけLO周波数を変更させて周波数変換させる。すると、図13に示すように、干渉信号BはLO周波数の変更量の2倍以上ずれる。制御部15は、被試験信号Aの周波数帯域に干渉信号が存在していないか判定し、存在していない場合、「1回目」で示している被試験信号Aの周波数帯域幅の測定を行なわせる。
【0058】
次に、制御部15は、干渉信号Bが干渉している部分が多い側に図3で示したスペクトラム探索帯域ΔfSだけLO周波数を変更させて周波数変換させる。すると、図14に示すように、干渉信号BはLO周波数の変更量の2倍以上ずれる。制御部15は、干渉信号Bが干渉している部分が多い側の被試験信号Aの端から、干渉信号Bが干渉している部分が多い側のスペクトラム測定に必要な帯域の端までに干渉信号が存在していないか判定する。この場合、制御部15は、測定対象周波数fUL+被測定信号Aの周波数帯域幅/2から測定対象周波数fUL+スペクトラム探索帯域ΔfSの範囲に干渉信号が存在していないか判定する。干渉信号が存在していない場合、制御部15は、「2回目」で示している干渉信号Bが干渉している部分が多い側の被試験信号Aの端から、干渉信号Bが干渉している部分が多い側のスペクトラム測定に必要な帯域の端までの測定を行なわせる。
【0059】
次に、制御部15は、干渉信号Bが干渉している部分が多い側とは反対側に図3で示したスペクトラム探索帯域ΔfSだけLO周波数を変更させて周波数変換させる。すると、図15に示すように、干渉信号BはLO周波数の変更量の2倍以上ずれる。制御部15は、干渉信号Bが干渉している部分が多い側とは反対側の被試験信号Aの端から、干渉信号Bが干渉している部分が多い側とは反対側のスペクトラム測定に必要な帯域の端までに干渉信号が存在していないか判定する。この場合、制御部15は、測定対象周波数fUL−スペクトラム探索帯域ΔfSから測定対象周波数fUL−被測定信号Aの周波数帯域幅/2の範囲に干渉信号が存在していないか判定する。干渉信号が存在していない場合、制御部15は、「3回目」で示している干渉信号Bが干渉している部分が多い側とは反対側の被試験信号Aの端から、干渉信号Bが干渉している部分が多い側とは反対側のスペクトラム測定に必要な帯域の端までの測定を行なわせる。
【0060】
図16は、インバンド測定の場合の周波数分割の例を示す図である。図16に示すように、測定対象周波数fULを境界として周波数の高い側と低い側で周波数の高い側に干渉信号Bが干渉している。
【0061】
制御部15は、測定対象周波数fULを境界として周波数の高い側と低い側で干渉信号Bが干渉している部分が多い側(図では、周波数の高い側)とは反対側に図4で示したインバンド探索帯域ΔfIだけLO周波数を変更させて周波数変換させる。すると、図17に示すように、干渉信号BはLO周波数の変更量の2倍以上ずれる。制御部15は、被試験信号Aの周波数帯域に干渉信号が存在していないか判定し、存在していない場合、被試験信号Aの周波数帯域幅の測定を行なわせる。
【0062】
このように、上述の実施形態では、測定対象のアップリンク信号以外のアップリンク信号やダウンリンク信号の周波数や周波数帯域に基づいて測定対象のアップリンク信号の測定に必要な測定帯域に対する干渉が発生するか否かを判定し、LO周波数や中間周波数を変えても測定帯域に対して干渉が避けられない場合、LO周波数を変更して信号の干渉状態を変化させて測定を行なう。
【0063】
これにより、測定対象のアップリンク信号以外のアップリンクやダウンリンクの信号による干渉があっても測定対象のアプリンク信号を測定することができる。
【0064】
また、測定に必要な周波数帯域幅が測定対象のアップリンク信号の周波数帯域幅より広いスペクトラム測定の場合、干渉信号が測定対象のアップリンク信号の周波数帯域幅に存在しない場合は、測定帯域を2分割して測定を行ない、干渉信号が前記測定対象のアップリンク信号の周波数帯域幅に存在する場合は、前記測定帯域を3分割して測定を行なう。
【0065】
これにより、測定帯域の分割数を少なく抑えることができ、測定処理の負荷を抑えることができる。
【0066】
また、干渉信号の周波数帯域幅と、測定対象のアップリンク信号の周波数帯域幅と、測定に必要な周波数帯域幅に基づいて、LO周波数の変更量を算出している。
【0067】
これにより、干渉信号を除去しつつ測定に必要な周波数帯域幅を測定可能なLO周波数の変更量が算出され、干渉信号を除去しつつ測定に必要な周波数帯域幅を測定することができる。
【0068】
本発明の実施形態を開示したが、当業者によっては本発明の範囲を逸脱することなく変更が加えられうることは明白である。すべてのこのような修正及び等価物が次の請求項に含まれることが意図されている。
【符号の説明】
【0069】
1 移動端末試験装置
2 移動体通信端末
10 無線信号処理部
11 無線ハードウェア制御部
13 無線信号測定部
15 制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17