(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ソースガラスシートから複数のガラスシートを分離する工程と、前記複数のガラスシートの少なくとも1つを化学強化して、前記工程(II)の化学強化ガラスシートを得る工程をさらに含む、請求項1記載の方法。
前記工程(III)は、前記化学強化ガラスシートと前記金属シートの前記第1の面との間に前記中間層を有するスタックを形成する工程と、該スタックを真空室中に配置する工程と、該真空室を少なくとも部分的に排気する工程と、前記スタックを積層温度まで加熱する工程とを含む、請求項1記載の方法。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
第1の態様によると、積層構造は、金属シートであって、第1の面および第2の面を含み、第1の面と第2の面との間に延在する約0.5mm〜約2mmの厚さを有する金属シートを含む。この積層構造は、約1.1mm以下の厚さを有する第1の化学強化ガラスシートと、第1の化学強化ガラスシートを金属シートの第1の面に取り付ける第1の中間層とをさらに含む。
【0005】
第1の態様の一例によると、第1の中間層はポリビニルブチラールの層を含む。
【0006】
第1の態様の別の一例によると、ポリビニルブチラールの層は約0.1mm〜約0.8mmの厚さを有する。
【0007】
第1の態様のさらなる別の一例によると、第1の中間層はアイオノマーを含む。
【0008】
第1の態様のさらに別の一例によると、第1の中間層の厚さは約0.1mm〜約2mmである。
【0009】
第1の態様のさらなる一例によると、第1の中間層のヤング率は15MPa以上である。
【0010】
第1の態様の別の一例によると、第1の中間層のヤング率は275MPa以上である。
【0011】
第1の態様のさらなる別の一例によると、第1の化学強化ガラスシートは酸エッチングされたガラスシートを含む。
【0012】
第1の態様のさらに別の一例によると、第1の化学強化ガラスシートは約0.5mm〜約1.1mmの厚さを有する。
【0013】
第1の態様の別の一例によると、第1の化学強化ガラスシートは、アルミノケイ酸ガラスおよびアルカリアルミノホウケイ酸ガラスからなる群から選択されるガラスを含む。
【0014】
第1の態様のさらなる別の一例によると、約1.1mm以下の厚さを有する第2の化学強化ガラスシートと、第2の化学強化ガラスシートを金属シートの第2の面に取り付ける第2の中間層とをさらに含む。
【0015】
第2の態様によると、積層構造の製造方法は、第1の面および第2の面を含み、第1の面と第2の面との間に延在する約0.5mm〜約2mmの厚さを有する金属シートを提供するステップ(I)を含む。この方法は、約1.1mm以下の厚さを有する化学強化ガラスシートを提供するステップ(II)をさらに含む。この方法はそのうえ、第1の中間層を用いて化学強化ガラスシートを金属シートの第1の面に取り付けるステップ(III)をさらに含む。
【0016】
第2の態様の一例において、ステップ(II)によって、約0.5mm〜約1.1mmの範囲内の化学強化ガラスシートの厚さが得られる。
【0017】
第2の態様の別の一例において、ステップ(II)は、アルミノケイ酸ガラスおよびアルカリアルミノホウケイ酸ガラスからなる群から選択されるガラスを用いてガラスシートを提供するステップを含む。
【0018】
第2の態様のさらに別の一例において、この方法は、ソースガラスシートから複数のガラスシートを分離するステップと、複数のガラスシートの少なくとも1つを化学強化して、ステップ(II)の化学強化ガラスシートを得るステップとをさらに含む。
【0019】
第2の態様のさらに別の一例において、ガラスシートを化学強化するステップの前に、ガラスシートの少なくとも1つのエッジの仕上げを行うステップをさらに含む。
【0020】
第2の態様のさらに別の一例において、ステップ(III)の前に、含水率を制御するために第1の中間層のコンディショニングを行うステップをさらに含む。
【0021】
第2の態様のさらに別の一例において、コンディショニングのステップによって、第1の中間層の含水率が1%未満に調節される。
【0022】
第2の態様の別の一例において、ステップ(III)は、化学強化ガラスシートと金属シートの第1の面との間に中間層を有するスタックを形成するステップと、スタックを真空室中に配置するステップと、真空室を少なくとも部分的に排気するステップと、スタックを積層温度まで加熱するステップとを含む。
【0023】
第2の態様のさらなる一例において、ステップ(III)の前に、強化ガラスシートの酸エッチングを行うステップをさらに含む。
【0024】
本発明のこれらおよびその他の特徴、態様、および利点は、添付の図面を参照しながら以下の本発明の詳細な説明を読めば、より良く理解される。
【発明を実施するための形態】
【0026】
これより、本発明の例示的実施形態が示される添付の図面を参照しながら、以下に本発明をより詳細に説明する。可能であれば常に、同一または同様の部分を示すために、図面全体にわたって同じ参照番号が使用される。しかし、本発明は多くの異なる形態で具体化することができ、本発明が本明細書に記載の実施形態に限定されるものと解釈すべきではない。これらの例示的実施形態は、本開示が徹底的かつ完全なものとなり、本発明の範囲が当業者に十分に伝わるように提供される。
【0027】
積層構造は、本開示の態様により広範囲の用途で使用することができる。たとえば、積層構造は、種々の建築用途、たとえば羽目板、装飾パネル、キャビネット設備、壁装材、またはその他の建築用途に使用することができる。さらなる例において、積層構造は、家具類および/または家庭用電気器具に使用することができる。たとえば、積層構造は、キャビネットまたは他の家具および/もしくは家庭用電気器具の外側パネルとして組み込むことができる。たとえば、
図1は、本開示の態様による積層構造103が組み込まれたキャビネット101の概略図を示している。一例において、キャビネット101は、保管用の壁ユニット中に組み込むことができる。別の一例において、キャビネットは冷却することができる。たとえば、キャビネット101が冷蔵庫および/または冷凍庫を含むことができるが、種々の別の冷却されない例を別に提供することもできる。
【0028】
図2は、冷却されるキャビネット(たとえば、冷蔵庫および/または冷凍庫)の外部スキン層として積層構造が組み込まれた単なる一例の
図1の線2−2に沿った例示的な部分断面図を示している。積層構造103は、使用中の構造全体を構成することができるが、積層構造103は、個別の用途に依存して絶縁層および/または内部スキンなどのパネルの他の要素と組み合わせることができる。
【0029】
図2に示されるように、積層構造は、広範囲の種類の金属ならびに/または広範囲の厚さおよび構成を含むことができる金属シート201を含むことができる。たとえば、金属シート201は、鋼、冷延鋼、アルミニウム、またはその他の種類の金属を含むことができる。特定の一例において、金属シートはステンレス鋼を含むことができる。ステンレス鋼は、所望の保護を提供し、経時による腐蝕に対して抵抗し、および艶消しステンレス鋼の外観などの所望の外観を提供する外部パネル構造に好適な用途を有することができる。
【0030】
金属シート201は、第1の面203および第2の面205を含むことができ、第1の面203と第2の面205との間に延在する厚さT1を有することができる。金属シート201の厚さT1は、個別の用途に依存して広範囲の厚さを有することができる。比較的薄い金属シートは、積層構造の材料費および/または重量を減少させながら、変形に対して十分な抵抗性が依然として得られる用途に使用することができる。さらなる例において、比較的厚い金属シートは、積層構造の機械的完全性を維持するためにさらなる支持が必要となる用途に使用することができる。一部の例において、厚さは、25ゲージの金属シート(たとえば、約0.5mm)〜最大12ゲージの金属シート(たとえば、約2mm)の範囲であってよい。さらなる例において、厚さは、24ゲージの金属シート(たとえば、厚さ約0.64mmのステンレス鋼)〜最大16ゲージの金属シート(たとえば、厚さ約1.59mmのステンレス鋼)の範囲であってよい。したがって、
図2を参照すると、金属シート201の厚さT1は、約0.5mm〜約2mm、たとえば約0.64mm〜約1.59mmであってよいが、個別の用途に依存して別の厚さを使用することもできる。
【0031】
図2にさらに示されるように、積層構造103は、第1の面209と第2の面211との間に延在する厚さT2が約1.5mm以下、たとえば1.1mm以下、たとえば約0.5mm〜約1.1mm、たとえば約0.55mm〜約1.1mmである化学強化ガラスシート207をさらに含むことができる。特定の一例において、化学強化ガラスシート207は約0.7mmの厚さT2を有する。別の一例において、化学強化ガラスシート207は約1mmの厚さT2を有する。化学強化ガラスシート207は、アルミノケイ酸ガラス、およびアルカリアルミノホウケイ酸ガラスなどのガラス、またはその他のガラス材料を含むことができる。
【0032】
種々のガラス形成技術を使用して、積層構造103中に組み込み可能なガラスシート207を製造することができる。たとえば、フュージョンダウンドロー技術、フュージョンアップドロー(fusion updraw)技術、スロットドロー技術、またはその他の方法を使用して、所望の寸法構成を有するガラスシートに加工可能なガラスリボンを得ることができる。たとえば、フュージョンドロープロセスは、無垢の表面を得るために提供することができる。一部の例において、ディスプレイ品質のガラスシート207を使用して、金属シート201の第1の面203の上に透明カバーを提供することができる。ディスプレイ品質のガラスを提供することによって、金属シート201の第1の面203の美的外観の維持を可能にすることができる。同時に、ガラスシート207は、金属シート201の第1の面203の無垢の表面品質の維持に役立つことができる。実際、引掻傷、汚れ、またはその他の欠陥が、金属シート201と積層した保護ガラスシート207によって回避できる。
【0033】
一例において、ガラスシートは、Corning IncorporatedのCorning(登録商標)Gorilla(登録商標)ガラスなどの化学強化ガラスを含むことができる。このような化学強化ガラスは、たとえば米国特許第7,666,511号明細書、米国特許第4,483,700号明細書、および米国特許第5,674,790号明細書により実施することができる。化学強化は、イオン交換プロセスによって行うことができる。たとえば、ガラスシート(たとえば、アルミノケイ酸ガラス、アルカリアルミノホウケイ酸ガラス)は、フュージョンドローを行い、次にガラスシートを溶融塩浴中に所定の時間浸漬して化学強化することによって作製することができる。ガラスシートの表面またはその付近のガラスシート中のイオンが、たとえば塩浴からのより大きな金属イオンと交換される。一実施形態において、溶融塩浴の温度は約430℃であり、所定の時間は約8時間である。別の一実施形態においては、溶融塩浴の温度は約450℃であり、所定の時間は約4.5時間である。
【0034】
より大きなイオンがガラス中に混入されることで、表面付近の領域で圧縮応力が生じてシートが強化される。この圧縮応力とバランスを取るために、ガラスシートの中央領域に対応する引張応力が誘発される。Corning(登録商標)Gorilla(登録商標)ガラスの化学強化方法によって、比較的高い圧縮応力(たとえば、約700MPa〜約730MPa、さらには800MPaを超えることが可能である)を表面から比較的深い深さ(たとえば、約40マイクロメートル、さらには100マイクロメートルを超えることができる)で有することができる。このようなガラスは、高い残留強度、およびスクラッチ損傷に対する高い抵抗性、高い耐衝撃性、高い曲げ強度、ならびに無垢の表面を有することができる。一例のガラス組成物は、SiO
2、B
2O
3、およびNa
2Oを含むことができ、ここで(SiO
2+B
2O
3)≧66mol.%、およびNa
2O≧9mol.%である。
【0035】
さらなる例において、化学強化ガラスシート207は、ガラスシートをさらに強化するために酸エッチングされたガラスシートを含むことができる。酸エッチングを導入することによって、衝撃性能を低下させることなく本開示の積層構造中にさらに薄い鋼を使用可能となりうる。一部の例において、酸エッチングステップは、化学強化ガラスシート207の表面から約1.5〜約1.7マイクロメートルを除去することができる。酸エッチングによって、ガラスの強度が表面傷の大きさおよび先端形状に非常に影響されやすいという事実に対処する。上述の表面層を除去することによって、酸エッチングは1マイクロメートルより小さい表面傷の大部分をなくすことができる。酸エッチングはより大きな傷を除去することはできないが、酸エッチング手順によって傷の先端が丸められる傾向にあり、これにより、通常は、応力集中係数が大幅に減少するであろう。ガラス表面の改善(たとえば、小さい表面傷の除去およびより大きな傷の先端の丸み付け)によって、ガラスの強度、たとえば耐衝撃性を大幅に増加させることができる。さらに、ガラスの比較的小さい深さのみが除去されるため、ガラスシート中のはるかにより深い深さ、たとえば表面から40マイクロメートル、さらには一部の例において100マイクロメートルを超える深さにおいて比較的高い圧縮応力を有する化学強化ガラスシートにおいて圧縮応力の顕著な低下は生じない。
【0036】
一例において、酸エッチングステップは、1.5MのHF/0.9MのH
2SO
4の化学溶液を使用する水平スプレーエッチング装置上で行うことができる。他のプロセスパラメータとしては、90°F(32.2℃)の処理温度、40秒の処理時間、20psi(0.14MPa)の噴霧圧力、15サイクル/分の噴霧振動、および0.48ガロン/分(0.0018m
3/分)の円錐噴霧ノズルの使用を挙げることができる。酸エッチング後、処理されたガラスシートは、20psi(0.14MPa)の噴霧圧力で0.3ガロン/分(0.0011m
3/分)のファンジェットパターンノズルからの水を使用する水洗ステップで洗浄することができる。次に、酸エッチングされた化学強化ガラスシートは、空気流乾燥装置を用いて5hp(3.7kW)空気タービン供給空気下で乾燥させることができる。
【0037】
さらに
図2に示されるように、積層構造103は、第1の化学強化ガラスシート207を金属シート201の第1の面203に取り付ける中間層213をさらに含むことができる。中間層213は、ガラスシートおよび金属シートの用途および特性に依存して広範囲の材料から形成することができる。実質的に透明である光学的に透明な中間層を設けることができるが、さらなる例においては不透明および場合により着色された中間層を設けることもできる。さらなる例においては、スクリーン印刷またはデジタル走査印刷のいずれかを用いて、美的目的でガラス面上に、または中間層上に、所望の画像を印刷することができる。これらの印刷画像は界面上(たとえば中間層上)に配置できるため、製品寿命全体の間にそれらをスクラッチ損傷から十分に保護することができる。さらにまたはこれとは別に、金属シートの外面が明瞭に見えるようにするために、中間層が透明層を含むことができる。実際、中間層213は、ガラスシート207と金属シート201との間に優れた光学的界面を提供する透明中間層213を含むことができる。ある例においては、透明中間層213によってディスプレイ品質のガラスシート207を金属シート201に積層することができ、それによって、金属シート201の第1の面203の外観を容易に見ることができ、長期間保護することができる。
【0038】
さらに、中間層213は、積層構造103の強化を促進するために選択することができ、ガラスシート207が粉砕された場合にガラスシート207から生じたガラス片を捕らえるのにさらに役立つことができる。中間層は、エチレン酢酸ビニル(EVA)、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、ポリエステル(PET)、アクリル(たとえば、アクリル感圧接着テープ)、ポリビニルブチラール(PVB)、SentryGlas(登録商標)アイオノマー、またはその他の中間層材料などの種々の材料を含むことができる。一例において、PETが使用される場合、PET材料はアクリル接着材料の2つの層の間にはさむことができる。一例において、中間層213は、ポリビニルブチラール(PVB)の層など15MPa以上のヤング率が得られるように選択することができる。一例において、ポリビニルブチラールの中間層213は、約0.1mm〜約0.8mm、たとえば約0.3mm〜約0.76mm、たとえば約0.38mmの厚さを有することができる。
【0039】
さらなる一例において、中間層213は、275MPa以上の第1の中間層のヤング率を含むことができる。たとえば第1の中間層は、275MPa以上、たとえば約300MPaのヤング率を有するアイオノマーを含むことができる。一例において、アイオノマーは、DuPontより入手可能なSentryGlas(登録商標)アイオノマーを含むことができる。このような例において、中間層213の厚さは約0.1mm〜約2mm、たとえば約0.5mm〜約1.5mm、たとえば約0.89mmであってよい。
【0040】
図3は、本開示の第1の態様による別の一例の積層構造301を示している。積層構造301は、ガラスシート207を金属シート201の第1の面203に取り付ける中間層213を含むこともできる。図示されるように、積層構造301は、第2の化学強化ガラスシート305を金属シート201の第2の面205に取り付ける第2の中間層303を含むこともできる。第2の中間層303は、第1の中間層213と同じ材料を含むことができ同じ厚さT3を有することができる。同様に、ある例においては、第2の化学強化ガラスシート305は、同じ厚さT2およびその他の特徴を有することを含めて第1の化学強化ガラスシート207と同一であってよい。第1の化学強化ガラスシート207が金属シート201の第1の面203を保護するのと同様に、積層構造301の提供によって、金属シート201の第2の面を保護するために第2の化学強化ガラスシート305を同様に提供することができる。
【0041】
図4を参照すると、積層構造301の製造に類似または同一の手順を使用できるという認識のもとで、積層構造103の例示的製造方法をこれより説明する。この方法は、化学強化ガラスシート207(列A参照)、中間層213(列B)、および金属シート201(列C)の提供および/または作製を含む提供および/または作製ブロック401から始まる。後述するように、この方法は、中間層213によって化学強化ガラスシート207が金属シート201の第1の面203に取り付けられる積層ブロック403で終了する。
【0042】
図4に示されるように、列Aは、化学強化ガラスシート207を提供するステップの間に行うことができる任意選択のステップを示している。化学強化ガラスシート207を提供および/または作製する方法は、所望の厚さ(たとえば、
図2のT2参照)を有するガラスシートを提供するステップ405を含むことができる。前述したように、ガラスシート207の厚さT2は、約1.5mm以下、たとえば1.1mm以下、たとえば約0.5mm〜約1.1mm、たとえば約0.55mm〜約1.1mmであってよい。特定の一例において、ガラスシート207の厚さT2は約0.7mmである。別の一例において、ガラスシート207の厚さT2は約1mmである。ガラスシート207は、アルミノケイ酸ガラス、およびアルカリアルミノホウケイ酸ガラスなどのガラス、またはその他のガラス材料を含むことができる。ガラスシート207は、フュージョンダウンドロー、フュージョンアップドロー、スロットドロー、またはその他の方法などの種々の方法によって得ることができる。
【0043】
この方法は、次に、ステップ405から、ソースガラスシートから複数のガラスシートを分離するステップ407まで任意選択で進行させることができる。たとえば、所望の厚さを有するアルミノケイ酸ガラスまたはアルカリアルミノホウケイ酸ガラスのガラスリボンを、フュージョンダウンドロープロセスから形成することができる。次に、複数のガラスシートをガラスリボンから切断することができ、任意選択でさらに、個々の用途に望ましい所望の全体寸法を有するガラスシートのサブセットに分離することができる。複数のガラスシートの分離は、広範囲の技術を用いて行うことができる。たとえば、特に薄いガラスの場合に余分な傷が発生する危険性があるため、ガラスの強度に対する悪影響が最小限となるように処理を選択することができる。一例において、たとえばダイヤモンドを含むチップ角度が110°で直径3mmのスコアリングホイールをスコアリング作業に使用することができる。その間、スコアリング力の場合に約0.8kgfの力を加えることができる。
【0044】
次に、ステップ407で得られた所望のサイズを有するガラスシートは、ガラスシート207を化学強化するステップの前に、さらに任意選択で、ステップ409の間に、ガラスシート207の少なくとも1つのエッジの機械加工またはその他の仕上げを行うように処理することができる。たとえば、ステップ409は、鋭いエッジを減少させるために必要な断面となるまでエッジに丸みを付けるまたはエッジの面取りをして、美しさおよびエッジ強度を改善するためのエッジ研削および仕上げのステップを含むことができる。一例において、400#(ダイヤモンド研磨剤のメッシュサイズ)のプロファイルダイヤモンドホイールを多種多様の用途に使用することができる。他の加工パラメータとしては、約10m/秒〜約30m/秒の研削速度、約0.5m/分の供給速度、および約0.1mm〜約0.2mmの研削深さを挙げることができる。より高いエッジ強度が必要な場合、800#ダイヤモンドホイールを用いて後の研削ステップを行うことができる。このような後の任意選択の研削ステップは、たとえば約10m/秒〜約30m/秒の研削速度、約0.5m/分の供給速度、および約0.05mm〜約0.1mmの研削深さの処理パラメータを含むことができる。
【0045】
所望のサイズが得られ(たとえば、ステップ407中)、任意のエッジの機械加工またはその他の仕上げ(たとえば、ステップ409中)が行われた後、ステップ411中にガラスシートの化学強化を行うことができる。たとえば、前述したように、化学強化ステップは、Corning(登録商標)Gorilla(登録商標)ガラスの作製に使用されるイオン交換化学強化技術を含むことができる。さらに、ステップ411中の化学強化の後、任意選択で、化学強化ガラスシート207はステップ413中に酸エッチングを行うことができる。酸エッチングは、個別の用途の要求通りにガラスシートをさらに強化するために、前述の代表的な手順で行うことができる。
【0046】
任意選択で、製造方法の積層ブロック403に入る前に、ステップ415中にガラスシートを洗浄することができる。洗浄は、表面のほこり、汚れ、およびその他の残留物を除去するために計画することができる。ガラス洗浄ステップは、工業用超音波洗浄機、水平スプレー装置、またはその他の洗浄技術を用いて行うことができる。
【0047】
列Aのステップの多くは任意選択のものであり、全体的に排除することさえ可能である。たとえば、積層プロセスのための化学強化ガラスシートを単に提供することができる。さらに、種々のステップは任意選択のものであり、全体的に排除することができる。たとえば、ステップ405の後、ガラスシートは所望の厚さおよび所望の寸法を既に有することができる。そのような例において、本発明の方法は、ステップ405からステップ409に直接進めることができるし、直接ステップ411に進めることさえできる。さらに、ガラスシートがステップ407中に所定のサイズにされる場合、エッジ特性が個別の用途には十分であることがあり、ステップ409中にエッジの機械加工を行わずに、本発明の方法を直接ステップ411に進めることができる。列Aにさらに示されるように、個別の用途に依存して酸エッチンステップ413および/または洗浄ステップ415を省略することができる。
【0048】
提供および/または作製ブロック401は、中間層213の提供および/または作製(列B)をさらに含むことができる。たとえば、この方法は、中間層を提供するステップ417を含むことができる。中間層は、ポリビニルブチラール(PVB)またはSentryGlas(登録商標)アイオノマーの中間層として提供することができるが、前述のようなさらなる例において他の種類の中間層を提供することもできる。一例において、中間層213は、約0.1mm〜約0.8mm、たとえば約0.3mm〜約0.76mm、たとえば約0.38mmの厚さを有するPVBを含むことができる。別の一例において、中間層213は、約0.1mm〜約2mm、たとえば約0.5mm〜約1.5mm、たとえば約0.89mmの厚さを有するSentryGlas(登録商標)アイオノマーを含むことができる。
【0049】
一例において、この方法は、積層構造に適したサイズに中間層を切断するステップ419に続けることができる。さらに、中間層は、たとえば中間層の含水率を制御するためにコンディショニングを行うことができる。一例において、コンディショニングステップ421によって、中間層の含水率が1%未満、たとえば約0.65%以下、たとえば約0.2%以下に調節される。中間層の含水率の制御は、積層手順中に中間層の優れた接合品質の実現を促進するために有益となりうる。中間層がPVBを含む場合、含水率を約0.65%以下に制御することができる。SentryGlas(登録商標)アイオノマーが使用される場合、含水率を約0.2%以下に制御することができる。含水率の制御は、種々の方法で行うことができる。たとえば、中間層の所望の含水率を実現するために温度および/または湿度が調節される制御環境中に中間層を配置することができる。
【0050】
列Bに示されるように、中間層213の提供および/または作製のステップは、異なる順序で行うことができ、および/または特定のステップを全体的に省略することができる。たとえば、適切なサイズを有する中間層を提供することができる。このような例においては、切断ステップ419を省略することができる。さらに、
図4に示されるように、さらなる例においては、コンディショニングステップは、省略することができるし、あるいは切断ステップを行わずに、または切断ステップの前に行うこともできる。
【0051】
提供および/または作製ブロック401は、金属シート201の提供および/または作製(列C)をさらに含むことができる。この方法は、第1の面203および第2の面205を含み第1の面203と第2の面205との間に延在する所望の厚さを有する金属シート201を提供するステップ423から始めることができる。一例において、金属シート201はステンレス鋼金属シート201として提供することができるが、さらなる例においては別の材料を使用することができる。一例において、ステンレス鋼金属シート201は、25ゲージの金属シート(たとえば、約0.5mm)から最大12ゲージの金属シート(たとえば、約2mm)の範囲であってよい。さらなる例において、厚さは、24ゲージの金属シート(たとえば、厚さ約0.64mmのステンレス鋼)から最大16ゲージの金属シート(たとえば、厚さ約1.59mmのステンレス鋼)の範囲であってよい。したがって、金属シート201の厚さT1は約0.5mm〜約2mm、たとえば約0.64mm〜約1.59mmであってよいが、個別の用途に依存して別の厚さで設けることもできる。
【0052】
この方法は、金属シート201を提供するステップ423から、適切な寸法を含む金属シート201に切断または他の方法で成形するステップ425にさらに進めることができる。一例において、金属シート201のエッジにおける中間層およびガラスシートの接合品質に通常影響を及ぼすであろうエッジの変形を最小限にするために、レーザー切断を使用することができる。
【0053】
ステップ425の後、この方法は、任意選択で、エッジのトリミングおよび洗浄のステップ427に進めることができる。たとえば、切断後、ステンレス鋼シートのエッジは、機械的切削またはブローチ削り方法によってトリミングすることができ、クリーンワイパーまたはイソプロパノールを用いて洗浄することができる。鋼表面は、Teknek(または同等の)粘着ローラーを用いて清浄にして、表面のほこりおよび粒子状物質を除去することができる。次にこの方法は、鋼シートから保護フィルムを除去するステップ429に進めることができる。たとえば、積層前に前面および裏面の保護フィルム除去することができる。図示されるように、ステップ425、427、および429は任意選択であり、いずれか1つのステップを省略することができ、および/または図示される種々の順序でこれらのステップを実施することができる。
【0054】
作製ブロック401において化学強化ガラスシート207、中間層213、および金属シート201を提供および/または作製した後、この方法は次に、第1の中間層213を用いて化学強化ガラスシート207を金属シート201の第1の面203に取り付けて、
図2に示される積層構造103を得るステップを含む積層ブロック403に進めることができる。同様に、積層ブロック403は、第2の中間層303を用いて第2の化学強化ガラスシート305を金属シート201の第2の面205に取り付けて、
図3に示される積層構造301を得るステップをも含むことができる。
【0055】
積層ブロック403において、この方法は、化学強化ガラスシート207と金属シート201の第1の面203との間に中間層213を配置してスタックを作製して、3層スタック(たとえば、
図2参照)を得るステップ431から始めることができる。さらに、必要に応じて、この方法は、続いて、第2の化学強化ガラスシート305と金属シート201の第2の面205との間に第2の中間層303を配置してスタックを作製して5層スタック(たとえば、
図3参照)を得ることができる。次にスタック501は、少なくとも2つの端部を高温ポリエステルテープ片で固定して移動を防止することができる。
【0056】
図5に示されるように、スタック501は、次に真空室中、たとえば真空バッグ503中に入れることができる。真空バッグに入れるステップにおいて、これらの組み立てられた部品は、同じテープで固定される薄いブリーザークロスで包み、次に目のより粗いブリーザー材料で包み、プラスチックフィルム積層バッグ中に入れることができる。バッグ中で部品は1つの層で配置される。複数のスタックの作製は通常は行われないが、より多い処理量のために行うことは可能でありうる。真空口を取り付けてバッグをヒートシールすることができる。両方の種類の中間層の場合で、真空バッグの口をオートクレーブ室505中の真空ホースに取り付けることができ、漏れをチェックするために室をあけたまま真空を引く。オートクレーブ505の部品の最大収容量まで、袋に入れた別の部品が同様に配置される。
【0057】
ステップ433に示されるように、次に真空室503は少なくとも部分的に真空にすることができ、スタックはあらかじめ決定された温度および圧力プロファイルで加熱することができる。たとえば、熱処理ステップはオートクレーブを用いて行うことができ、積層構造の好ましい接着(接合)品質を実現するために特定の温度および圧力プロファイルが使用される。
【0058】
PVB中間層を有し、部品が封止されたバッグ中の真空下にある積層構造の場合、温度は3°F/分(1.7℃/分)で130℃(266°F)のソーク温度まで上昇させることができる。温度設定値に到達した後、5psi/分(0.034MPa/分)の圧力上昇を開始し、80psi(0.55MPa)の圧力設定値に到達するまで続ける。30分のソーク時間の後、温度を3°F/分(1.7℃/分)で低下させる。PVB中の気泡形成を回避するために、温度が50℃(122°F)に到達するまで圧力を80psi(0.55MPa)で維持し、次に圧力も5psi/分(0.034MPa/分)で低下させる。室を冷却して、圧力平衡が達成された後、部品をオートクレーブ、バッグ、ブリーザークロスから取りだし、テープを外し、部品の積層残留物を除去する。
【0059】
SentryGlas(登録商標)アイオノマー中間層を有するガラス/鋼積層体の場合、昇温速度が4°F/分(2.2℃/分)であり、ソーク温度が133℃(272°F)であり、ソーク時間が60分であることを除けば、サイクルはほぼ同じである。フィルム中のヘイズ形成を防止するため、温度低下速度は、温度が210°F(98.9℃)に到達するまで4°F/分(2.2℃/分)の速度で維持することができる。次に、
図4の435で計画されるプロセスの終了時に、積層構造103、301が得られる。
【0060】
図6〜11は、性能特性を示すために種々の積層構造に対して行った試験結果を示している。各試験において、4平方インチ(10平方cm)の積層構造を、ガラスシートが上向きになるように厚さ1インチ(2.5cm)の可撓性フォーム支持体の上に配置した。次に、ガラスシートからの種々の高さで535グラムのボールを落下させた。破壊が確認されれば、ボールの高さに対応する対応エネルギーを記録した。
図6〜11に示されるワイブルプロットは、パーセント破壊対破壊時のエネルギーをプロットすることで作製した。したがって、各プロットにおいて、Y軸(すなわち縦軸)はパーセント(%)の単位を有し、一方、X軸(すなわち横軸)はジュール(すなわち、破壊時のエネルギー)を有する。
【0061】
図6は、1mmのCorning(登録商標)Gorilla(登録商標)ガラス、16ゲージ(1.59mm)のステンレス鋼、およびさまざまな種類の中間層を含む本開示の態様による積層構造の6つの群の破壊時の衝撃エネルギーを示すワイブルプロットである。データセット601は、厚さ0.89mmのSentryGlas(登録商標)アイオノマーを含む中間層を含む積層構造を示している。データセット603は、厚さ0.38mmのポリビニルブチラール(PVB)を含む中間層を有する積層構造を示している。データセット605は、厚さ1.5mmのSentryGlas(登録商標)アイオノマーを含む中間層を有する積層構造を示している。データセット607は、厚さ0.34mmの熱可塑性ポリウレタン(TPU)を含む中間層を有する積層構造を示している。データセット609は、厚さ0.05mmのアクリル感圧接着テープ(以降「APSAT」)を含む中間層を有する積層構造を示している。データセット611は、厚さ0.17mmのAPSAT+PET+APSATを含む中間層を有する積層構造を示している。APSAT+PET+APSAT中間層は、APSATの2つの層の間にはさまれて積層体の中央にPETフィルムを含む。データセット613は、本開示の態様による積層構造の6つの別の群601,603、605、607、609、611と比較するための比較サンプルである。データセット613は、厚さ4mmの十分に強化されたソーダ石灰ガラスシートを含む。
図6に示されるデータセットで表されるデータを以下の表1で再現しており、各セットのサンプルは、衝撃エネルギーが増加する順序で並べ替えている。
【0063】
図6のワイブルプロットのデータセット605、607、609、および611は、APSAT、TPU、および1.5mmのSentryGlas(登録商標)アイオノマーを有する積層構造は、データセット613で示される十分に強化されたソーダ石灰ガラスの4mmシートと同等の耐衝撃性を有さないことを示している。他方、データセット603で表される0.38mmのPVBを有する積層構造は同等の耐衝撃性を示し、データセット601で表される0.89のSentryGlas(登録商標)アイオノマーの群は優れた耐衝撃性を示し、これは他のすべてのデータセット603、605、607、609、611、およびソーダ石灰613よりもはるかに高い。データセット601および605を比較すると、SentryGlas Plus(登録商標)アイオノマー中間層の厚さが減少すると耐衝撃性が増加することが認められる。
【0064】
図7は、1mmのCorning(登録商標)Gorilla(登録商標)ガラス、0.38mmのポリビニルブチラール(PVB)層、および種々の厚さのステンレス鋼シートを含む本開示の態様による積層構造の5つの群の破壊時の衝撃エネルギーを示すワイブルプロットである。データセット701は、16ゲージのステンレス鋼シート(すなわち厚さ1.59mm)を含む積層構造を示している。データセット703は、18ゲージのステンレス鋼シート(すなわち厚さ1.27mm)を含む積層構造を示している。データセット705は、20ゲージのステンレス鋼シート(すなわち厚さ0.95mm)を含む積層構造を示している。データセット707は、22ゲージのステンレス鋼シート(すなわち厚さ0.79mm)を含む積層構造を示している。データセット709は、24ゲージのステンレス鋼(すなわち厚さ0.64mm)を含む積層構造を示している。
図7に示されるデータセットで表されるデータを以下の表2で再現しており、各セットのサンプルは、衝撃エネルギーが増加する順序で並べ替えている。
【0066】
上記のように、より薄いステンレス鋼シート厚さ(すなわち、ゲージ20、ゲージ22、およびゲージ24の厚さ)を有する積層体の3つの群は、より厚いステンレス鋼シート厚さ(すなわち、ゲージ16およびゲージ18の厚さ)を有する2つの群ほど高い耐衝撃性を達成できない。
【0067】
図8は、1mmのCorning(登録商標)Gorilla(登録商標)ガラス、0.89mmのSentryGlas(登録商標)アイオノマー層、および種々の厚さのステンレス鋼シートを含む本開示の態様による積層構造の3つの群の破壊時の衝撃エネルギーを示すワイブルプロットである。データセット801は、16ゲージのステンレス鋼シート(すなわち厚さ1.59mm)を含む積層構造を示している。データセット803は、22ゲージのステンレス鋼シート(すなわち厚さ0.79mm)を含む積層構造を示している。データセット805は、24ゲージのステンレス鋼(すなわち厚さ0.64mm)を含む積層構造を示している。
図8に示されるデータセットで表されるデータを以下の表3で再現しており、各セットのサンプルは、衝撃エネルギーが増加する順序で並べ替えている。
【0069】
これらのデータが示すように、0.89mmのSentryGlas(登録商標)アイオノマーが存在することで、優れた耐衝撃性が得られる。実際、データセット803で示されるように、より薄い鋼層(0.79mmの薄さ)を有する積層構造でさえも、十分に強化された4mmのソーダ石灰(
図6のデータセット613参照)または1mmのGorillaガラス+0.38のPVB+1.59mmの鋼を有する積層構造(
図6のデータセット603参照)と同等の耐衝撃性が達成される。データセット801によって示されるように、1.59mmのステンレス鋼および0.89mmのSentryGlas(登録商標)アイオノマーを有する積層構造が最も高い耐衝撃性を有する。
【0070】
図9は、十分に強化された4mmのソーダ石灰ガラスの2つの群と比較される、1mmのCorning(登録商標)Gorilla(登録商標)ガラスを含む本開示の態様による積層構造の3つの群の破壊時の衝撃エネルギーを示すワイブルプロットである。データセット901は、16ゲージのステンレス鋼シート(すなわち厚さ1.59mm)を含み厚さ0.38mmのPVB中間層を有する積層構造を示している。データセット903は、16ゲージのステンレス鋼シート(すなわち厚さ1.59mm)を含み0.89mmのSentryGlas(登録商標)アイオノマーを中間層として有する積層構造を示している。データセット905は、22ゲージのステンレス鋼シート(すなわち厚さ0.79mm)を含み0.89mmのSentryGlas(登録商標)アイオノマーを中間層として有する積層構造を示している。比較の目的で、ソーダ石灰ガラスの2つの群を加えた。データセット907は、厚さ4mmの十分に強化されたソーダ石灰ガラスを示している。データセット909は、黒色フリットコーティングが加えられた厚さ4mmの十分に強化されたソーダ石灰ガラスを示している。
図9に示されるデータセットで表されるデータを以下の表4で再現しており、各セットのサンプルは、衝撃エネルギーが増加する順序で並べ替えている。
【0072】
図10は、1mmのCorning(登録商標)Gorilla(登録商標)ガラス、0.38mmのポリビニルブチラール(PVB)とともに2つの別のステンレス鋼シートを含む本開示の態様による積層構造の2つの群の破壊時の衝撃エネルギーを示すワイブルプロットである。データセット1005は16ゲージ(1.59mm)のステンレス鋼シートを示しており、データセット1007は24ゲージ(0.64mm)のステンレス鋼シートを示している。
図10はさらに、酸エッチングした1mmのCorning(登録商標)Gorilla(登録商標)ガラス、0.38mmのポリビニルブチラール(PVB)とともに2つの別のステンレス鋼シートを含む本開示の態様による積層構造の2つの群の破壊時の衝撃エネルギーを示している。データセット1003は16ゲージ(1.59mm)のステンレス鋼シートを示しており、データセット1001は24ゲージ(0.64mm)のステンレス鋼シートを示している。比較の目的で、データセット1009は、厚さ4mmの十分に強化されたソーダ石灰ガラスシートを示している。
図10に示されるデータセットで表されるデータを以下の表5aおよび5bで再現しており、各セットのサンプルは、衝撃エネルギーが増加する順序で並べ替えている。
【0075】
データセット1001および1003で示されるように、両方の酸エッチングしたCorning(登録商標)Gorilla(登録商標)ガラス積層構造は、酸処理していない化学強化ガラス積層構造および4mmのソーダ石灰ガラスと比較した場合に、優れた衝撃性能を示す。
【0076】
図11は、酸エッチングした0.7mmのCorning(登録商標)Gorilla(登録商標)ガラス、0.89mmのSentryGlas(登録商標)アイオノマー層とともに2つの別のステンレス鋼シートを含む本開示の態様による積層構造の2つの群の破壊時の衝撃エネルギーを示すワイブルプロットである。データセット1103は16ゲージ(1.59mm)のステンレス鋼シートを示している。データセット1101は24ゲージ(0.64mm)のステンレス鋼シートを示している。比較の目的で、データセット1105は、厚さ4mmの十分に強化されたソーダ石灰ガラスシートを示している。
図11に示されるデータセットで表されるデータを以下の表6で再現しており、各セットのサンプルは、衝撃エネルギーが増加する順序で並べ替えている。
【0078】
図11は、積層構造中に使用される酸エッチングした0.7mmのCorning(登録商標)Gorilla(登録商標)ガラスを含むより薄いガラスシートを、薄い鋼シート(たとえば、24ゲージ、すなわち0.64mmの厚さのステンレス鋼)および0.89mmのSentryGlas(登録商標)アイオノマー層とともに使用することができ、4mmのソーダ石灰ガラスと比較した場合に優れた衝撃性能が依然として実現されることを示している。したがって、実験結果は、酸エッチングしたCorning(登録商標)Gorilla(登録商標)ガラスは、実際に、0.7mmのGorilla(登録商標)ガラスの場合でさえも、高い耐衝撃性のガラス/鋼積層体を形成するために、より薄い鋼(24ゲージなど)の使用を可能にする性能を有することを示している。
【0079】
前述したように、積層構造は、第1の面および第2の面を含む金属シートであって、第1の面と第2の面との間で延在する約0.5mm〜約2mmの厚さを有する金属シートを含むことができる。積層構造は、約1.1mm以下の厚さを有する第1の化学強化ガラスシートをさらに含むことができる。積層構造は、第1の化学強化ガラスシートを金属シートの第1の面に取り付ける第1の中間層をさらに含むことができる。説明的な例において、積層構造は、1)最外面として少なくとも1つの層の薄いCorning(登録商標)Gorilla(登録商標)ガラス(たとえば、0.7mmまたは1.0mmの厚さを有する)と、2)少なくとも1つの層のポリマー中間層(0.38mmのポリビニルブチラール(PVB)または0.89mmのSentryGlas(登録商標)アイオノマー)と、3)ステンレス鋼の層(たとえば、24ゲージ〜16ゲージ、約0.635mm〜1.59mmの範囲)とを含むことができる。
【0080】
本開示の積層構造は、十分に強化されたソーダ石灰およびステンレス鋼に対して多数の利点を有する。たとえば、本開示の積層構造は、十分に強化されたソーダ石灰単層(4mmの厚さ)と耐衝撃性が同等またははるかに優れた性能を実現することができる。さらに、本開示の積層構造は、破壊されたときにガラスの破片をその場に維持することができる一方、十分に強化された厚いソーダ石灰が破壊されると、ガラス片が周囲環境に放出される。ステンレス鋼モノリス構造と比較すると、本開示の積層構造中にガラスが存在することで、より高い硬度、したがってより高い耐引掻性を得ることができ、その結果として、鋼表面の新しい美的外観をより長時間維持するのに役立ちうる。
【0081】
本開示のさらに別の態様は、さらなる好都合な特徴を積層構造に付与することが可能な、積層構造の製造方法中に使用するための任意選択の処理技術を含むことができる。たとえば、処理技術としては、任意選択で、スコアリングおよび割断ステップを含むガラスシートの製造ステップ、エッジ仕上げ、圧縮表面層を得るためのイオン交換、およびガラス表面傷をさらに減少させるための酸エッチングを挙げることができる。さらなる例においては、さらなる任意選択の処理技術として、装飾された外観をガラスに付与するためのガラスまたは他の構成要素の装飾を挙げることができる。中間層の場合、処理技術としては、任意選択で、接合強度を改善するための中間層(たとえば、PVBまたはSentryGlas(登録商標)アイオノマー)の適切なコンディショニングを挙げることができる。鋼層の場合、処理技術としては、任意選択で、機械的方法によって生じるエッジの変形を回避するためのレーザー切断を挙げることができる。積層ステップ中、本開示は、接合強度の改善および気泡の減少を目的として、種々の中間層(たとえば、PVBおよびSentryGlas(登録商標)アイオノマー中間層)に合わせて設定可能な特定の熱サイクルプロファイルを有する真空を使用した熱処理ステップをさらに含むことができる。
【0082】
本開示の一部の例示的実施形態の利点によって、比較的薄いガラス(たとえば、1.1mm以下)の1つまたは2つの層を有する高品質の積層構造を製造できる。さらに、ステンレス鋼積層用途のための種々の処理技術を使用することによって、積層構造は、より長い使用時間の間に艶消しステンレス鋼の美的外観を維持することができる。さらに、本開示の積層構造では、比較的薄いガラス層を有する他の積層構造を使用する他の場合に生じうる「局所的変形」によって生じる低い耐衝撃性の典型的な問題が回避される。さらに、本開示の積層構造は、4mmの十分に強化されたソーダ石灰ガラスと同等、またはさらにはより良好な耐衝撃性を特徴とすることができる。さらに、ガラスの破壊が起こる場合、積層構造の中間層は、破壊されたガラス断片の周囲環境への放出の阻止に役立つことができる。さらに、例示的積層構造は、酸エッチングを使用することによって、耐衝撃性を低下させることなく、24ゲージ(0.635mm)などのより薄い鋼をガラス/鋼積層体に使用可能となりうる。
【0083】
したがって、本開示は、金属シートの引掻傷、およびガラスシート表面の汚れを防止するためにガラスシートで金属シートを保護する積層構造をさらに提供する。実際、保護されていない金属表面からの除去がより困難でありうる、あらゆる汚れまたはほこりを、好都合な方法で、ガラスシートの表面から容易に除去することができる。一部の例において、向上した耐引掻性と、たとえば指紋、油汚れ、汚染微生物などに関する比較的容易な洗浄可能性とを有する魅力的な外観を得るために、ガラスシートをステンレス鋼金属シートに積層することができる。それによって、ガラスシートは、ステンレス鋼の美的外観の維持に役立つことができ、積層構造表面の洗浄および維持を容易にするのに役立つことができる。
【0084】
さらに、積層構造のガラスシートは、鋭い衝撃による塑性変形に対する高い抵抗性をステンレス鋼金属シートに付与することができる。したがって、積層構造を提供することによって、他の場合には金属シートにくぼみまたは損傷を発生させうる衝撃から、ガラスシートが金属シートを保護するのに役立つことができる。ガラスシートは、ステンレス鋼金属シートと比較した場合に化学的/電気化学的安定性を増加させることもでき、それによってステンレス鋼の表面特性を維持することができる。
【0085】
本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく本発明に対する種々の修正形態および変形形態が可能であることは当業者には明らかであろう。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲およびそれらの均等物の範囲内となる本発明の修正形態および変形形態を含むことを意図している。