【課題を解決するための手段】
【0013】
好ましくは、本発明に係るグアニジン基含有ポリマーは、櫛位置に少なくとも1つの構成要素:
【0014】
【化1】
【0015】
(式中、R
1、R
2、R
3及びR
4は、それぞれ独立して、1〜30個の炭素原子を有する、直鎖状、環状或いは分岐鎖状の脂肪族の飽和或いは不飽和炭化水素ラジカル、又は6〜30個の炭素原子を有する芳香族炭化水素ラジカルであり、ヘテロ原子を有し得る。)
を有する。
【0016】
“櫛位置”という用語は、式(Ia)において、波線で表される結合がポリエーテルの一部であり、いずれの場合も、任意に置換され得る少なくとも1のオキシアルキレン基が隣接していることを意味する。好ましくは、本発明に係るグアニジン基含有ポリマーは、末端位置において、式(Ia)の構成要素を持たない。
【0017】
好ましくは、R
1、R
2、R
3及びR
4ラジカルは、それぞれ独立して、1〜30個、より好ましくは2〜8個の炭素原子を有する脂肪族の飽和又は不飽和炭化水素ラジカル、特に好ましくは、R
1、R
2、R
3及びR
4ラジカルは、それぞれ独立して、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、ペンチル、又はヘキシルである。
【0018】
更に好ましくは、R
1、R
2、R
3及びR
4ラジカルは全て同一であり、かつ上記の好適な脂肪族の飽和又は不飽和炭化水素ラジカルから選択され得る。
【0019】
更にいっそう好ましくは、R
1、R
2、R
3及びR
4ラジカルは全てメチルである。
【0020】
より好適な本発明に係るグアニジン含有ポリマーは、式(I):
Z(−X−M1
m1−M2
m2−M3
m3−M4
m4−M5
m5−M6
m6−J)
i (I)
(式中、
M1:
【0021】
【化2】
【0022】
M2:
【0023】
【化3】
【0024】
M3:
【0025】
【化4】
【0026】
(式中、T
1、T
2、T
3及びT
4はそれぞれ独立して、水素、又は1〜12個の炭素原子、好ましくは2〜8個の炭素原子を有する直鎖状、環状或いは分岐鎖状の脂肪族或いは芳香族の飽和或いは不飽和炭化水素ラジカルであり、任意にハロゲン分子を有していてよく、但し、T
1、T
2、T
3及びT
4は、M3がM1或いはM2と同一となるように選択されることはなく、任意にいずれの場合でもT
1、T
2、T
3及びT
4の内の2つのラジカルは3〜8員環を形成する。)
、
M4:
【0027】
【化5】
【0028】
(式中、Yは他とは独立して、1〜30個の炭素原子、好ましくは2〜15個の炭素原子を有する直鎖状、環状或いは分岐鎖状の脂肪族或いは芳香族の飽和或いは不飽和炭化水素ラジカルであり、ヘテロ原子を有し得る。)
、
M5:
【0029】
【化6】
【0030】
M6:
【0031】
【化7】
【0032】
(式中、Gは式:
【0033】
【化8】
【0034】
(式中、R
1、R
2、R
3及びR
4はそれぞれ独立して、1〜30個の炭素原子を有する直鎖状、環状或いは分岐鎖状の脂肪族の飽和或いは不飽和炭化水素ラジカル、又は6〜30個の炭素原子を有する脂肪族炭化水素ラジカルであり、ヘテロ原子を有し得る。)
で表されるグアニジンラジカルである。)
、
i=1〜10、好ましくは1〜4、特に好ましくは1〜3であり、
m1、m2、m3、m4及びm5=いずれの場合でもそれぞれ独立して、0〜500であり、
m6=1〜100、好ましくは1.5〜50、より好ましくは2〜40、特に好ましくは2より大きく30以下であり、この際、m1とm2の和は少なくとも3、好ましくは少なくとも5でなければならず、
X=他とは独立して、O、NH、N−アルキル、N−アリール、或いはS、好ましくは酸素であり、
Z=他とは独立して、1〜30個の炭素原子、好ましくは2〜30個の炭素原子、更に好ましくは3〜25個の炭素原子、更にいっそう好ましくは3個より多く20個以下の炭素原子、特に好ましくは4〜15個の炭素原子を有するi−官能性の直鎖状、環状或いは分岐鎖状の脂肪族の飽和或いは不飽和炭化水素ラジカル、又は6〜30個の炭素原子、好ましくは6個より多く20個以下の炭素原子、特に好ましくは8〜12個の炭素原子を有する芳香族の炭化水素ラジカルであり、
J=他とは独立して、水素、1〜30個の炭素原子を有する直鎖状、環状或いは分岐鎖状の脂肪族或いは芳香族の飽和或いは不飽和炭化水素ラジカル、1〜30個の炭素原子を有するカルボン酸ラジカル、又はヘテロ原子置換官能性有機飽和或いは不飽和ラジカルである。)
を満たす。
【0035】
ここで繰り返される指数と、表示される指数値の範囲は、実際に存在する化学構造及び/又はそれらの混合物の可能な統計分布の平均値であるとして理解されてよい。これは、そういうものとしてそれ自体繰り返される化学構造式、例えば式(I)に当てはまる。
【0036】
式(Ia)で表される構成要素と、好ましくは式(I)で表される化合物を含む本発明に係るグアニジン基含有ポリマーは、好ましくは塩化水素の脱離によって得られる二重結合を持たず、より好ましくは置換基Zにおける二重結合の他に二重結合を持たず、特に好ましくは二重結合を持たない。
【0037】
好ましくは、m1は0〜200、より好ましくは1〜50、特に好ましくは2〜30の値であるとする。
【0038】
更に好ましくは、m2は1〜400、より好ましくは2〜300、よりいっそう好ましくは3〜200、更に好ましくは4〜150、特に好ましくは5〜100の値であるとする。
【0039】
更に好ましくは、m3は0〜50、より好ましくは0より大きく30以下、特に好ましくは1〜15の値であるとする。
【0040】
更に好ましくは、m4は0〜50、より好ましくは0より大きく30以下、特に好ましくは1〜15の値であるとする。
【0041】
更に好ましくは、m5は0〜25、より好ましくは0〜15、特に好ましくは0〜6の値であるとする。
【0042】
R
1、R
2、R
3及びR
4ラジカルは好ましくは、それぞれ独立して、1〜8個の炭素原子を有する直鎖状又は分岐鎖状の炭化水素であり、より好ましくは全て同一であり、特に好ましくは全てメチル基である。
【0043】
好ましくは、T
1、T
2、T
3及びT
4ラジカルは、それぞれ独立して水素、又は2〜8個の炭素原子を有する直鎖状或いは分岐鎖状の炭化水素であり、但し、T
1、T
2、T
3及びT
4は、M3がM1或いはM2と同一となるように選択されることはない。
【0044】
式(Ia)で表される構成要素と、好ましくは式(I)で表される化合物を含む本発明に係るグアニジン含有ポリマーは、200〜50000g/mol、好ましくは400〜35000g/mol、特に好ましくは700〜25000g/molの重量平均分子量を有する。
【0045】
式(Ia)で表される構成要素と、好ましくは式(I)で表される化合物を含む本発明に係るグアニジン含有ポリマーは、程度の差はあれ、クロロメチル基官能化及びグアニジン基官能化され得る。指数m5とm6をもつユニットのモル分率は、合計が100%となる指数m1、m2、m3、m4、m5、及びm6をもつユニットに対し、好ましくは1〜30%、より好ましくは2〜25%、特に好ましくは3〜20%である。
【0046】
好適に存在する有機ラジカルZは、好ましくはOH基を除く、式(II):
Z−(OH)
i (II)
で表される化合物のラジカルである。
【0047】
式(II)で表される好適な化合物は、アルコール、ポリエテロール、フェノール、好ましくはアリルアルコール、ブタノール、オクタノール、ドデカノール、ステアリルアルコール、2−エチルヘキサノール、シクロヘキサノール、ベンジル、アルコール、エチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリトリトール、ソルビトール、キシリトール、又はマンニトールから成る群の化合物である。
【0048】
Zラジカルは、好ましくはモル質量が15〜4983g/mol、特に41〜3000g/molである。
【0049】
好ましくは、指数iは1である。好適なモノアルコールは、n−アルカノール、好ましくはアリルアルコール、ブタノール、オクタノール、ドデカノール、ステアリルアルコール、又は分岐鎖状のモノアルカノール、好ましくは2−エチルヘキサノールである。
【0050】
式(Ia)の構成要素を含む本発明に係るグアニジン基含有ポリマー又は本発明により作製されるグアニジン基含有ポリマー、及び好ましくは式(I)の化合物は、好ましくは透明又は不透明になり得る無色から黄褐色の製品である。
【0051】
式(I)で表される本発明に係る好適なグアニジン基含有化合物は、その指数及びラジカルが、
i=1〜2、
m1=0〜30、
m2=3〜500、
m3=0〜20、
m4=0〜20、
m5=0〜10、
m6=1〜30、かつ
J=水素、
X=酸素、
Y=アリルラジカル、
R
1、R
2、R
3、及びR
4は、それぞれ独立して、1〜8個の炭素原子を有する直鎖状又は分岐鎖状の炭化水素であり、
T
1、T
2、T
3、及びT
4は、それぞれ独立して、水素、又は2〜8個の炭素原子を有する直鎖状或いは分岐鎖状の炭化水素であり、但しT
1、T
2、T
3、及びT
4は、M3がM1或いはM2と同一となるように選択されることはなく、かつ
Z=それぞれ独立して、2〜18個の炭素原子を有する一価或いは二価の直鎖状或いは分岐鎖状の飽和或いは不飽和炭化水素ラジカル
であるグアニジン基含有化合物である。
【0052】
式(I)で表される本発明に係る特に好適なグアニジン基含有化合物は、その指数及びラジカルが、
i=1〜2、
m1=0〜20、
m2=5〜200、
m3=0〜10、
m4=0〜10、
m5=0〜3、
m6=1〜20、かつ
J=水素、
X=酸素、
R
1、R
2、R
3、及びR
4は、メチル基であり、かつ
Z=他とは独立して、アリル基又はブチル基
であるグアニジン基含有化合物である。
【0053】
式(I)で表されるオキシアルキレンラジカルの様々なフラグメントは、統計分布に入り得る。所望のブロック数と所望の連鎖を有する構造では、統計分布はブロック状、又はランダムである。また、それらは代替的構造を有し得る。或いは、それらは鎖によって勾配を形成し得る。具体的には、様々な分布から成る群が任意に互いに続いている混合形の全てを形成し得る。統計分布は、特定の実施形態に起因する限定の対象となり得る。該限定が適用されない場合、統計分布に変化は生じない。
【0054】
本明細書中で表わされる指数と、表わされる指数の値域は、実際に存在する構造及び/又はその混合体の考えられる統計分布の平均値として理解されてよい。これも、式(I)、式(II)及び式(III)のように、それ自体正確に表されている構造式に適用される。
【0055】
分子又は分子フラグメントが1以上の立体中心を持つ場合、或いは対称性につきアイソマーに分化する場合、或いは制限された回転等の他の影響につきアイソマーに分化する場合は常に、考えられる全てのアイソマーは本発明に含まれる。アイソマーは当業者に周知である。具体的には、http://www.uni−saarland.de/fak8/kazmaier/PDF_files/vorlesungen/Stereochemie%20Strassb%20Vorlage.pdf.等の、ザールラント大学のKazmaier教授による定義を参照する。式(Ia)で表わされる構成要素を含む本発明に係るグアニジン基含有ポリマーと、好ましくは式(I)で表わされる化合物は、以下に記載される本発明に係る方法によって作製される。
【0056】
構成要素:
【0057】
【化9】
【0058】
を含むグアニジン基含有ポリマーを調製するための本発明に係る好適な方法では、第1工程(a)において、二重金属シアン触媒、好ましくはヘキサシアノコバルト酸亜鉛を用いて、式(II):
Z−(OH)
i (II)
(式中、Z=それぞれ独立して、1〜30個の炭素原子、好ましくは2個より多く30個以下の炭素原子、更に好ましくは3〜25個の炭素原子、更にいっそう好ましくは3個より多く20個以下の炭素原子、特に好ましくは4〜15個の炭素原子を有するi−官能性の直鎖状、環状或いは分岐鎖状の脂肪族の飽和或いは不飽和炭化水素ラジカル、又は6〜30個の炭素原子、好ましくは6個より多く20個以下の炭素原子、特に好ましくは8〜12個の炭素原子を有する芳香族の炭化水素ラジカルであり、
i=1〜10,好ましくは1〜4、特に好ましくは1〜3である。)
で表わされる化合物を、エピクロロヒドリンと更なるアルキレンオキシドと反応させ、次いで第2工程(b)において、該生成物を式(III):
【0059】
【化10】
【0060】
(式中、R
1、R
2、R
3及びR
4は、それぞれ独立して、1〜30個の炭素原子を有する、直鎖状、環状或いは分岐鎖状の脂肪族の飽和或いは不飽和炭化水素ラジカル、又は6〜30個の炭素原子を有する芳香族炭化水素ラジカルであり、ヘテロ原子を有し得る。)
で表わされるグアニジン化合物と反応させる。
【0061】
好ましくは、第2工程(b)は不飽和化合物を除去せずに行う。
【0062】
アルコキシ化反応は一般的に、アルコキシ化反応において、好適な触媒の存在下で、ヒドロキシ官能化開始物質をアルキレンオキシドと反応させることによって得られる。
【0063】
そういったアルコキシ化製品を製造する方法では、例えばアルカリ金属水酸化物又はアルカリ金属メチレート等の塩基触媒を使用する。例えば、開始物質中の、塩基に不安定な(ベースレイベル)官能基の存在下では、アルカリ性触媒はいつも使用できるとは限らない。従って、例えばアルカリ金属水酸化物又はアルカリ金属メチレートを用いるエピハロヒドリンのアルコキシ化は、この場合ハロゲン原子が制御不可能な第2反応の影響を受けるため、実用的ではない。
【0064】
アルコキシ化における、HBF
4及び/又はBF
3、AlCl
3及びSnCl
4等のルイス酸との酸性触媒反が開発されてきた(DE 10 2004 007561)。酸性触媒のポリエーテル合成による不利益は、エピクロロヒドリン等の非対称オキシランの開環時における不完全な位置選択性である。これは、制御不能な方法で、部分的に第二級OH末端及び部分的に第一級OH末端を有するポリオキシアルキレン鎖の原因となる。更に、得られうるポリエーテルのモル質量は、鎖切断及び第2反応の結果として、他の触媒と比べ相対的に小さい。更に、これらの製品は高い多分散性を有する。
【0065】
二重金属シアン(DMC)触媒は、ポリエーテルを製造するための触媒として知られている。該DMC触媒のアルコキシ化は、極めて選択的かつ急速に進行し、比較的低い多分散性にしては高いモル質量を有するポリエーテルの調製を可能にする。アルコキシ化触媒としての二重金属シアン錯体の調製及び使用は公知であり、US3,427,256、US3,427,334、US3,427,335、US3,278,457、US3,278,458、及びUS3,278,459等に開示されている。亜鉛コバルトヘキサシアノ錯体等の特定のDMC触媒は、US5,470,813及びUS5,482,908に記載されている。これらの触媒の利点の1つは、その使用量の少なさである。
【0066】
本発明に係る方法の第1工程(a)では、エピクロロヒドリンに加え、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、及びアルキレンオキシドを用いることが好ましい。
【0067】
A3=
【0068】
【化11】
【0069】
A4=
【0070】
【化12】
【0071】
(式中、T
1、T
2、T
3、及びT
4は、それぞれ独立して、水素、又は1〜12個の炭素原子、好ましくは2〜8個の炭素原子を有する直鎖状或いは環状或いは分岐鎖状の脂肪族或いは芳香族の飽和或いは不飽和の炭化水素ラジカルであり、任意にハロゲン分子を有していてよく、但し、T
1、T
2、T
3及びT
4は、A3がエチレンオキシド又はプロピレンオキシドとなるように選択されることはなく、任意にいずれの場合でもT
1、T
2、T
3及びT
4の内の2つのラジカルが共に3〜8員環を形成し、
Yはそれぞれ独立して、1〜30個の炭素原子、好ましくは2〜15個の炭素原子を有する直鎖状或いは環状或いは分岐鎖状の脂肪族或いは芳香族の飽和或いは不飽和の炭化水素ラジカルであり、ヘテロ原子を含み得る。)。
【0072】
アルキレンオキシドは、独立して及び/又は代替的に、所望の混合物として使用され得る。
【0073】
好ましくは、第1工程(a)において、エピクロロヒドリンは、混合物中で、2〜18個の炭素原子を有する、好ましくはエチレンオキシド、プロピレンオキシド、1,2−ブチレンオキシド、及び/又はスチレンオキシドから成る群から選択される1以上の更なるアルキレンオキシドとともに使用され、特に好ましくは混合物中でプロピレンオキシドとともに使用される。更に好ましくは、工程(a)は、60〜250℃、好ましくは90〜160℃、特に好ましくは約100〜130℃の温度で実施される。
【0074】
更に好ましくは、工程(a)は、0.02バール〜100バール、特に0.05〜20バールの圧力で実施される。
【0075】
特に好ましくは、工程(a)は、温度90〜130℃、かつ圧力0.01〜5バールで実施される。
【0076】
第1工程(a)終了後の本発明に係る方法による反応生成物は、化学的に結合された1以上の塩素原子、好ましくは2〜50個、特に好ましくは2〜40個、極めて特に好ましくは3〜25個の塩素原子を有する。
【0077】
更に該反応生成物は、重量平均モル質量が200〜50000g/mol、好ましくは400〜35000g/mol、特に好ましくは700〜25000g/molである。
【0078】
更に該反応生成物は、多分散性Mw/Mnが好ましくは1.0〜2、より好ましくは1.08〜1.8、特に好ましくは1.1〜1.6である。
【0079】
特に好適な反応生成物は、1〜20個の塩素原子を有し、重量平均モル質量が800〜7000g/molである。
【0080】
更に特に好適な反応生成物は、1〜20個の塩素原子を有し、重量平均モル質量が800〜7000g/mol、かつ多分散性が1.05〜1.6である。
【0081】
好ましくは、本発明に係る方法の第2工程(b)において、第1工程(a)の生成物をグアニジンと反応させ、R
1、R
2、R
3、及びR
4ラジカルがそれぞれ独立して、1〜30個の炭素原子、より好ましくは2〜8個の炭素原子を有する脂肪族の飽和又は不飽和の炭化水素ラジカルであり、特に好ましくはR
1、R
2、R
3、及びR
4ラジカルがそれぞれ独立して、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、ペンチル、又はヘキシルである。更に好ましくは、R
1、R
2、R
3、及びR
4ラジカルは全て同一であり、上記の好適な脂肪族の飽和又は不飽和の炭化水素ラジカルから選択され得る。
【0082】
更に好ましくは、R
1、R
2、R
3、及びR
4ラジカルは全てメチルである。
【0083】
置換は部分的に又は完全に行われ得る。完全転化の検知は、好ましくは
13C−NMR法によって行われる。
【0084】
本発明に係る方法の利点の1つは、第2工程(b)での置換が、不飽和化合物を除去することなく行われる点である。EP2676986(US2013/0345318)から公知となっているように、強塩基性につき、塩化水素が脱離すれば不飽和化合物が形成されることが予期される。
【0085】
更に好ましくは、工程(b)は40〜200℃、特に好ましくは70〜160℃の温度で実施される。
【0086】
更に好ましくは、工程(b)は1〜50時間、特に好ましくは2〜30時間に渡って実施される。
【0087】
更に好ましくは、工程(b)において、コポリマー中の塩素含有量に対する反応混合物中のグアニジン基の量は、0.5〜5当量、より好ましくは1.0〜4当量、特に好ましくは1.5〜3当量である。
【0088】
更に好ましくは、工程(b)において、濾過又は抽出によって、反応過程で形成される塩を生成物から除去する。好適な抽出剤は、水、又は酸或いは塩基の水溶液である。
【0089】
更に好ましくは、工程(b)の最後に、任意に大気中の値より低い圧力を適用することによって、過剰なグアニジン化合物を留去する。更に特に好ましくは、1〜3当量のテトラメチルグアニジンを、90〜160℃の温度で、8〜30時間に渡って用いることによって、本発明に係る方法の工程(b)を実施する。塩化グアニジンを濾過し、過剰なテトラメチルグアニジンを温度100℃、圧力1.5ミリバールで留去する。
【0090】
該方法により生成されるグアニジン官能性ポリエーテルは、少なくとも1のグアニジン基を含む。それらは、重量平均分子量が少なくとも200g/mol〜50000g/mol、好ましくは400〜35000g/mol、特に好ましくは700〜25000g/molの範囲である。
【0091】
本発明に係る方法は、少なくとも1のグアニジン基を形成することにより、第2工程(b)の生成物を更に反応させ、該反応が第四級化合物の形成を誘導する第3工程(c)を任意に有する。
【0092】
本発明において、四級化は、式(I)で表わされるグアニジン基含有ポリエーテルとアルキル化剤との反応だけでなく、酸との反応も意味するとして理解されている。
【0093】
式(I)で表わされるようなグアニジン化合物のプロトン化は、pKa値と存在する全ての溶液次第であり、原理上はブレンステッド酸が該プロトン化に好適である。
【0094】
好適な酸は、例えばフッ化水素酸、塩酸、臭化水素酸、硝酸、硫酸、リン酸又はアミド硫酸等の鉱酸、並びに例えばトリフルオロ酢酸、乳酸、酢酸、及びp−トルエンスルホン酸等の有機酸であり、より好ましくは有機酸、具体的には酢酸である。特に好適な酸はハロゲンフリーである。
【0095】
使用され得るアルキル化剤は、例えば塩化メチル、臭化メチル、ヨウ化メチル、臭化エチル又はヨウ化エチル、及び塩化ベンジル又は臭化ベンジル等のハロゲン化ベンジルといったハロゲン化アルキル、アリール、又はアラルキルである。すなわち、例えばジメチル硫酸塩又はジエチル硫酸塩等のジ−アルキル、アリール、或いはアラルキル硫酸塩、又は例えば塩化トリメチルオキソニウム、臭化トリメチルオキソニウム、トリメチルオキソニウムテトラフルオロホウ酸塩、塩化トリエチルオキソニウム、臭化トリエチルオキソニウム、及びトリエチルオキソニウムテトラフルオロホウ酸塩等のオキソニウム塩であり、好ましくはジアルキル硫酸塩、特に好ましくはジメチル硫酸塩である。特に好適なアルキル化剤は、ハロゲンフリーである。化学量論比の四級化ポリエーテルが、使用されるアルキル化剤又は酸に対応するアニオンを含むことは当業者に周知である。
【0096】
イオン交換体を活用して該アニオンが少なくとも部分的に置換されれば利点となり得る。当業者に周知の方法で、事前にイオン交換体に通されることによりアニオンが置換される。ハロゲン含有アニオン、又はハロゲン原子を含まないアニオン用ハロゲンが特に有利である。
【0097】
四級化に関連して、ポリマーは、非変性のグアニジン基含有化合物と比較して繊維又は繊維基材への直接性が増し、また静電帯電に対する性質への影響力が増す。
【0098】
本発明の更なる主題事項は、グアニジン基を含有するアルコキシ化生成物、好ましくは本発明に係る方法により作製される式(I)の化合物である。
【0099】
本発明の更なる主題事項は、式(Ia)の構成要素を含む、本発明に係るグアニジン基含有ポリマーを含む組成物であり、好ましくは式(I)の化合物又は本発明に係る方法による生成物である。
【0100】
好ましくは、本発明に係る組成物は、乾燥剤、フロー剤、顔料及び/又は着色顔料、湿潤剤、バインダー、反応性シンナー、界面活性剤、熱活性開始剤、光開始剤、触媒、軟化剤、乳化剤、酸化防止剤、ヒドロトロープ(又はポリオール)、固形物又はフィラー、光沢剤、防虫剤、付着防止剤、核化剤、防腐剤、蛍光塗料、防火剤、帯電防止剤、膨張剤、可塑剤、香料、有効成分、保護剤、過脂肪剤、溶媒及び/又は粘土モジュレータから成るリストから選択され得る添加剤と補助剤を更に含む。好適な添加剤は顔料及び/又は着色顔料である。
【0101】
本発明に係る更なる主題事項は、式(Ia)の構成要素、好ましくは式(I)の化合物、またそれらの組成物から成る本発明に係るグアニジン基含有ポリマーの、ポリウレタンの製造における触媒としての使用、エポキシ樹脂用硬化剤としての使用、アルコキシシリル基運搬システムとしての使用、及び塩基的に触媒により可能となる生成としての使用である。
【0102】
本発明に係る更なる主題事項は、式(Ia)の構成要素、好ましくは式(I)の化合物、またそれらの組成物から成る本発明に係るグアニジン基含有ポリマーの、被覆物中、顔料中、被覆組成物中、及び顔料ペースト中の分散添加剤としての使用である。