(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6496043
(24)【登録日】2019年3月15日
(45)【発行日】2019年4月3日
(54)【発明の名称】効果顔料調製物
(51)【国際特許分類】
C09D 17/00 20060101AFI20190325BHJP
C09C 1/62 20060101ALI20190325BHJP
C09D 201/00 20060101ALI20190325BHJP
C09D 7/61 20180101ALI20190325BHJP
C09D 5/29 20060101ALI20190325BHJP
C09D 11/037 20140101ALI20190325BHJP
C09D 11/32 20140101ALI20190325BHJP
C09C 3/06 20060101ALI20190325BHJP
C09C 3/08 20060101ALI20190325BHJP
C09C 1/00 20060101ALI20190325BHJP
【FI】
C09D17/00
C09C1/62
C09D201/00
C09D7/61
C09D5/29
C09D11/037
C09D11/32
C09C3/06
C09C3/08
C09C1/00
【請求項の数】18
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-553924(P2017-553924)
(86)(22)【出願日】2016年4月14日
(65)【公表番号】特表2018-514612(P2018-514612A)
(43)【公表日】2018年6月7日
(86)【国際出願番号】US2016027522
(87)【国際公開番号】WO2016168455
(87)【国際公開日】20161020
【審査請求日】2018年1月31日
(31)【優先権主張番号】62/147,855
(32)【優先日】2015年4月15日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/245,352
(32)【優先日】2015年10月23日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507385165
【氏名又は名称】サン ケミカル コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【弁理士】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【弁理士】
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100146466
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 正俊
(72)【発明者】
【氏名】ディーター グロスシャルトナー
(72)【発明者】
【氏名】インゴ ギージンガー
(72)【発明者】
【氏名】ジョナサン ドール
(72)【発明者】
【氏名】リサ クラップ
【審査官】
菅野 芳男
(56)【参考文献】
【文献】
特開2002−363440(JP,A)
【文献】
特開2004−124069(JP,A)
【文献】
国際公開第2015/040537(WO,A1)
【文献】
特開2014−159583(JP,A)
【文献】
特表2010−513619(JP,A)
【文献】
特表2011−521090(JP,A)
【文献】
特開2003−268260(JP,A)
【文献】
特表2003−527461(JP,A)
【文献】
特開2002−003745(JP,A)
【文献】
特表2010−538096(JP,A)
【文献】
特表2010−511757(JP,A)
【文献】
特開平10−088026(JP,A)
【文献】
特表2016−534215(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09D 17/00
C09C 1/00
C09C 1/62
C09C 3/06
C09C 3/08
C09D 5/29
C09D 7/61
C09D 11/037
C09D 11/32
C09D 201/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
効果顔料調製物であって、
効果顔料、
分散性添加剤、および
不動態化剤、
を含み、当該調製物は乾燥しており、前記顔料は当該調製物の質量の84%以上を構成し、前記分散性添加剤は当該調製物の質量の最高15%までを構成し、前記不動態化剤の理論層の数は2〜12であり、前記顔料がアルミニウムを含む、効果顔料調製物。
【請求項2】
前記調製物は、5%未満の溶剤を含む、請求項1に記載の効果顔料調製物。
【請求項3】
前記調製物は、2%未満の溶剤を含む、請求項1に記載の効果顔料調製物。
【請求項4】
前記調製物は、溶剤を含まない、請求項1に記載の効果顔料調製物。
【請求項5】
前記調製物は、タブレット状、ペレット状、顆粒状、ヌードル状、ブリケット状又は球状である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の効果顔料調製物。
【請求項6】
前記顔料が真珠光沢顔料である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の効果顔料調製物。
【請求項7】
前記顔料は、二酸化ケイ素、二酸化チタン、酸化亜鉛、二酸化ジルコニウム、酸化錫、二酸化セリウム、酸化バナジウム、酸化マンガン、酸化鉛、酸化クロム、酸化鉄、酸化アルミニウム、酸化タングステン、並びにこれらの水酸化物及び混合物から選ばれた金属酸化物により被覆されている、請求項1〜6のいずれか一項に記載の効果顔料調製物。
【請求項8】
前記分散性添加剤が界面活性剤及びポリマー分散剤から選ばれる、請求項1〜7のいずれか一項に記載の効果顔料調製物。
【請求項9】
前記分散性添加剤が酸性基を有するポリマーである、請求項1〜7のいずれか一項に記載の効果顔料調製物。
【請求項10】
前記分散性添加剤が、ホスホネート、リン酸塩、ホスファイト、ホスフィン及びリン酸エステルから選ばれた基を含む、請求項1〜9のいずれか一項に記載の効果顔料調製物。
【請求項11】
前記分散性添加剤がコポリマーを含む、請求項1〜10のいずれか一項に記載の効果顔料調製物。
【請求項12】
前記不動態化剤が、リン酸塩、亜リン酸塩、ホスフィン、リン酸エステル、亜リン酸エステル、バナデート、クロメート、クロマイト、シラン及びモリブデートから選ばれる、請求項1〜11のいずれか一項に記載の効果顔料調製物。
【請求項13】
前記不動態化剤が塩である、請求項1〜12のいずれか一項に記載の効果顔料調製物。
【請求項14】
前記不動態化剤が、炭素原子数1〜30の線状又は分岐状炭素鎖を含む、請求項1〜13のいずれか一項に記載の効果顔料調製物。
【請求項15】
前記不動態化剤の理論層の数が3〜11である、請求項1〜14のいずれか一項に記載の効果顔料調製物。
【請求項16】
請求項1〜15のいずれか一項に記載の効果顔料調製物を含むコーティング組成物。
【請求項17】
請求項1〜15のいずれか一項に記載の効果顔料調製物を含む溶剤系インキ組成物。
【請求項18】
請求項1〜15のいずれか一項に記載の効果顔料調製物を含む水系インキ組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本願は、2015年4月15日に出願された同じタイトルの米国仮特許出願第62/147,855号及び2015年10月23日に出願された同じタイトルの米国仮特許出願第62/245,352号の利益を主張するものであり、これらの開示の全体を参照により本明細書に援用する。
【背景技術】
【0002】
効果顔料(effect pigment)には、潜在的な安全上及び取扱い上の問題がある。効果顔料が水と組み合わされた場合、それらは、時間の経過とともに水素ガスを発生するおそれがあり、これは水素ガスの圧力の上昇及び可燃性のために問題である。さらに、乾燥した効果顔料は、潜在的に爆発性であり、吸入や取り扱い上の問題を引き起こす可能性のある粉塵を形成するおそれがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
効果顔料の粉塵の発生を軽減するために、多くの効果顔料は、ペレット及び/又は顆粒を製造するために樹脂又は他の添加剤で処理される。残念ながら、ペレット化及び/又は顆粒化された効果顔料製品は、84%未満の顔料と、顔料をコーティングに組み込むのに先立って溶解されなければならないかなりの割合の添加剤を含有する。標準的なペレット製品を製造するために使用される添加剤及び樹脂がコーティングに組み込まれる場合、それらは、どれくらい多くの量の顔料を添加することができるかに影響を及ぼすことがあり、あるいは、それらは、所望のコーティングシステムと非混和性であることがある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
効果顔料調製物は、効果顔料、分散性添加剤(dispersive additive)、及び不動態化剤を含む。当該調製物は乾燥しており、顔料は当該調製物の質量の約84%以上を構成し、分散性添加剤は当該調製物の質量の最高15%までを構成し、不動態化剤の理論層の数は約2〜約12である。効果顔料調製物は無粉塵性(non-dusting)であり、水性、溶剤型又はUV硬化型の液体コーティング配合物中に容易に混ぜ入れることができる。
【0005】
これら及び他の目的及び利点は、添付の図面及びその説明から明らかになるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0006】
効果顔料調製物は、顔料、分散性添加剤及び不動態化剤を含む。当該調製物は乾燥しており、ここで、乾燥とは、5重量%未満の溶媒を含有することを意味する。いくつかの実施形態において、重量%未満の溶媒、例えば1重量%未満の溶剤又はごく少量の溶剤が存在する。いくつかの実施形態において、効果顔料調製物中に溶剤は存在しない。顔料は、調製物の重量の約84%以上を構成する。分散性添加剤は、当該調製物の重量の最高15%までを構成する。不動態化剤は、約2〜約12層の理論層を得るのに十分な量である。
【0007】
いくつかの実施形態において、固体の効果顔料調製物は、顔料が約84%以上であり、顔料浸漬工程なしで溶剤系及び水系のコーティング及びインキ配合物の両方に混ぜ入れることができる。コーティング及びインキとしては、あらゆる溶剤系及び水系の、インキ、ペーストインキ、UVインキ、内装及び外装用の建築用コーティング、自動車用コーティング及び工業用コーティングが挙げられるが、これらに限定されない。当該効果顔料調製物のさらなる利点は、大量の粉塵を発生しないか又は適用配合物に有害であろう溶剤を含有しない乾燥形態で提供されることである。当該効果顔料調製物のさらなる利点は、金属顔料の場合、水性塗料中でのガス発生及び腐食安定性を示し、溶剤系及び水系配合物の両方において改善された接着性を示すことである。
【0008】
当該効果顔料調製物は無粉塵性(又は粉塵の発生が最小限)であり、約84%以上の顔料を含み、水、UV硬化性及び溶剤型のコーティング及びインキシステムに混ぜ入れることができる。当該効果顔料調製物は、1種又は2種以上の効果顔料、1種又は2種以上の分散性添加剤、及び1種又は2種以上の不動態化剤を含み、材料中に残された残留溶媒はない(又は最小限である)。当該効果顔料調製物は、内装及び外装用の建築用コーティング、自動車用コーティング並びにインキを包含する水性及び溶剤系(solvent borne)のコーティングシステムの両方に迅速に混ぜ入れることができる。当該効果顔料調製物は乾燥しており、無粉塵性であるので、より大きな配合融通性が得られ、顔料の安全特性が改善される。
【0009】
いくつかの実施形態において、当該効果顔料調製物は、あらゆるタイプの液体コーティング及びインキシステムに容易に組み込むことができる。さらに、当該効果顔料調製物は、水、UV硬化性及び溶剤系の組成物中に優れた普遍的な撹拌性を有する。当該効果顔料調製物は、例えばタブレット状、ペレット状、顆粒状、ヌードル状、ブリケット(briquette)状又は球状などの乾燥物の形態にあり、粉塵がなく、また、大気やほかのコーティング成分、例えば水などによる顔料の酸化または分解がない。
【0010】
効果顔料は、吸収に起因しない光学的効果を示す顔料である。効果顔料の例としては、金属顔料及び真珠光沢顔料が挙げられるが、これらに限定されない。当該効果顔料調製物中の効果顔料は、1種又は2種以上の効果顔料であってもよい。当該効果顔料調製物は、1種又は2種以上の非効果顔料(non-effect pigments)を含んでもよい。
【0011】
当該効果顔料調製物中の全効果顔料配合量は、当該効果顔料調製物の総質量に対して約84重量%〜約99重量%の範囲内であり、例えば、約84重量%〜約98重量%、約84重量%〜約97重量%、約84重量%〜約95重量%、約85重量%〜約99重量%、約85重量%〜約98重量%、約85重量%〜約97重量%、約85重量%〜約95重量%の範囲内である。いくつかの実施形態において、当該効果顔料調製物に2種以上の効果顔料が使用される。2種以上の効果顔料が効果顔料調製物に使用される場合、効果顔料調製物中の全顔料配合量は、効果顔料調製物の総重量に対して約85重量%〜99.9重量%の範囲内であり、例えば約84重量%〜約98重量%、約84重量%〜約97重量%、約84重量%〜約95重量%、約85重量%〜約99重量%、約85重量%〜約98重量%、約85重量%〜約97重量%、約85重量%〜約95重量%の範囲内である。いくつかの実施形態において、単一の効果顔料が効果顔料調製物に使用される。いくつかの実施形態において、効果顔料調製物は、さらに、1種又は2種以上の非効果顔料を含む。
【0012】
効果顔料は、材料1グラム当たりの利用可能な表面の量(m
2)で定義される比表面積を有する。いくつかの実施形態において、効果顔料は、約3m
2/g〜約55m
2/gの範囲内、例えば約5m
2/g〜約55m
2/g、10m
2/g〜約55m
2/g、20m
2/g〜約55m
2/g、5m
2/g〜約50m
2/g、5m
2/g〜約45m
2/g、又は5m
2/g〜約45m
2/gの範囲内である。比表面積は、窒素ガス吸着を用いてBET(Brunauer-Emmett-Teller)法により測定される。
【0013】
いくつかの実施形態において、効果顔料は、小板状及び/又はフレーク形状の金属顔料である。いくつかの実施形態において、金属顔料は、約1μm〜約500μmの範囲内、例えば、約5μm〜約500μm、約1μm〜約400μm、約1μm〜約300μm、約1μm〜約250μm、約1μm〜約100μm、又は約5μm〜約100μmの範囲内のd50(メジアン粒径)を有する。d50は、光散乱により測定される。いくつかの実施形態において、金属顔料の平均厚さ(h50)は、約1nm〜約5μmの範囲内、例えば約10nm〜約5μm、約50nm〜約5μm、約1nm〜約2μm、約1nm〜約1μm、約1nm〜約500nm、又は約10nm〜約500nmの範囲内である。h50は、走査型電子顕微鏡法により測定される。金属顔料は、いかなるタイプの部類の金属顔料であってもよい。いくつかの実施形態において、金属顔料の形状は、例えば、コーンフレーク、1ドル銀貨、又は真空蒸着フレーク(VMP)として記載される。いくつかの実施形態において、顔料は薄片状(leafing)又は非薄片状(non-leafing)として記載される。
【0014】
金属顔料は、当業者に知られているいかなる種類の金属又は合金で製造されたものであることができる。使用される適切な金属又は合金としては、アルミニウム、銅、銅−亜鉛合金、銅−錫合金、ステンレス鋼、炭素鋼、鉄、銀、亜鉛、ニッケル、チタン、クロム、マンガン、バナジウム、マグネシウム、亜鉛−マグネシウム合金、及びそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、金属顔料は、その製造に由来する残留潤滑剤を含む。好適な潤滑剤としては、特に、あらゆるタイプの飽和及び不飽和脂肪酸が挙げられるが、これらに限定されない。
【0015】
いくつかの実施形態において、金属顔料は、1種又は2種以上の金属酸化物で被覆される。金属顔料を被覆するために使用される金属酸化物としては、二酸化ケイ素、二酸化チタン、酸化亜鉛、二酸化ジルコニウム、酸化錫、二酸化セリウム、酸化バナジウム、酸化マンガン、酸化鉛、酸化クロム、酸化鉄、酸化アルミニウム、酸化タングステン、並びにこれらの水酸化物及び混合物が挙げられるが
、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、被覆は、上記の酸化物のいずれか1種の水和酸化物を含む。いくつかの実施形態において、さらに、上記の金属のいずれか1種の酸化物を被覆にドープする。金属酸化物層の厚さは可変であり、いくつかの実施形態において、金属酸化物層は部分的に透明である。いくつかの実施形態において、金属酸化物層の厚さは、約20nm〜約400nmの範囲内にある。
【0016】
いくつかの実施形態において、効果顔料は真珠光沢顔料である。真珠光沢顔料は、種々の屈折率を有する複数の金属酸化物を含む1つ又は2つ以上の層で被覆された透明な非金属の小板状の基材からなる。いくつかの実施形態において、金属酸化物の多数の層が使用され、連続する層の屈折率には少なくとも0.1の差がある。いくつかの実施形態において、真珠光沢顔料は黒色背景上で見たときに干渉色を有する。真珠光沢顔料の干渉色は、銀色、黄色、金色、シアン、マゼンタ、赤色、青色、緑色、紫色、及びこれらの濃淡色であってもよい。
【0017】
非金属小板状基材は、天然雲母、合成雲母、オキシ塩化ビスマス、黒鉛、酸化アルミニウム、雲母状酸化鉄、パーライト、二酸化ケイ素、ホウケイ酸ガラス、ガラス、二酸化チタン被覆雲母、及び酸化鉄被覆雲母(これらに限定されない)を包含する真珠光沢顔料を製造するのに使用できる任意の材料で製造されたものであることができる。いくつかの実施形態において、小板状基材は、約1μm〜約500μmの範囲内、例えば、約5μm〜約500μm、約1μm〜約400μm、約1μm〜約300μm、約1μm〜約250μm、約1μm〜約100μm、もしくは約5μm〜約400μm、又は約5μm〜約100μmの範囲内のd50を有する。いくつかの実施形態において、小板状基材の平均厚さは、約5nm〜約1μmの範囲内、例えば、約10nm〜約1μm、約50nm〜約1μm、約100nm〜約1μm、約500nm〜約1μm、約5nm〜約0.5μm、約5nm〜約0.1μm、又は約5nm〜約0.05μmの範囲内にある。
【0018】
いくつかの実施形態において、真珠光沢顔料の非金属小板状基材は、様々な金属酸化物の1又は2つ以上の層で被覆される。非金属小板状基材を被覆するために使用される金属酸化物としては、二酸化ケイ素、二酸化チタン、酸化亜鉛、二酸化ジルコニウム、酸化錫、二酸化セリウム、酸化バナジウム、酸化マンガン、酸化鉛、酸化クロム、酸化鉄、酸化アルミニウム、酸化タングステン、並びにこれらの水酸化物及び混合物及び合金が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、コーティングは、上記の酸化物のうちのいずれか1種の水和酸化物を含む。いくつかの実施形態において、さらに、上記の金属のいずれか1種の酸化物を被覆にドープする。金属酸化物層の厚さは可変である。いくつかの実施形態において、金属酸化物層は部分的に透明である。いくつかの実施形態において、金属酸化物層の厚さは、約20nm〜約350nmの範囲内にある。
【0019】
当該効果顔料調製物は、効果顔料調製物の全重量に対して最高約15重量%までの分散性添加剤を含む。分散性添加剤の量の例は、約0.01%〜約15%、約0.01%〜約12%、約0.01%〜約10%、約0.01%〜約5%、約0.01%〜約3%、約0.1%〜約15%、約0.1%〜約12%、約0.1%〜約10%、約0.1%〜約5%、約0.1%〜約3%、約0.5%〜約15%、約0.5%〜約12%、約0.5%〜約10%、約0.5%〜約5%、約0.5%〜約3%、約1%〜約15%、約1%〜約12%、約1%〜約10%、約1%〜約5%、及び約1%〜約3%の範囲内である。いくつかの実施形態において、2種以上の分散性添加剤を効果顔料調製に使用することができる。
【0020】
分散性添加剤は、効果顔料に、溶剤系、UV系及び水系配合物への混ぜ入れ性を付与する。分散性添加剤は、当業者に知られている任意のタイプの分散剤であってもよい。いくつかの実施形態において、分散性添加剤は、汎用の分散剤、水システム用の分散剤、溶剤系システム用の分散剤、超分散剤(hyperdispersant)、又はUV硬化システム用の分散剤として記載される任意の分散性添加剤であってもよい。分散剤は、あらゆるタイプの液体インキ及びコーティングに適するものであることができる。
【0021】
分散性添加剤のタイプ及び部類は重要ではなく、適用のためのシステムに適合し、当業者に知られている任意の分散性添加剤を使用することができる。いくつかの実施形態において、分散性添加剤は、界面活性剤又はポリマー分散剤である。分散性添加剤の例としては、DisperByk(BYK)、Solsperse(Lubrizol)、Solplus(Lubrizol)、Tego Dispers(Evonik)、Tego Wet(Evonik)及びEFKA(BASF)の製品群からの分散剤が挙げられるが、これらに限定されない。分散性添加剤の例としては、Disperbyk 102、Disperbyk 103、Disperbyk 106、Disperbyk 107、Disperbyk 108、Disperbyk 109、Disperbyk 110、Disperbyk 111、Disperbyk 115、Disperbyk 118、Disperbyk 140、Disperbyk 142、Disperbyk 145、Disperbyk 161、Disperbyk 162、Disperbyk 163、Disperbyk 164、Disperbyk 167、Disperbyk 168、Disperbyk 170、Disperbyk 171、Disperbyk 174、Disperbyk 180、Disperbyk 181、Disperbyk 182、Disperbyk 184、Disperbyk 185、Disperbyk 187、Disperbyk 190、Disperbyk 191、Disperbyk 192、Disperbyk 193、Disperbyk 194N、Disperbyk 199、Disperbyk 2000、Disperbyk 2001、Disperbyk 2008、Disperbyk 2009、Disperbyk 2010、Disperbyk 2012、Disperbyk 2013、Disperbyk 2015、Disperbyk 2022、Disperbyk 2025、Disperbyk 2050、Disperbyk 2055、Disperbyk 2060、Disperbyk 2061、Disperbyk 2096、Disperbyk 2117、Disperbyk 2118、Disperbyk 2150、Disperbyk 2151、Disperbyk 2152、Disperbyk 2155、Disperbyk 2163、Disperbyk 2164、Disperbyk 2200、Tego Dispers 630、Tego Dispers 650、Tego Dispers 652、Tego Dispers 653、Tego Dispers 656、Tego Dispers 660 C、Tego Dispers 670、Tego Dispers 671、Tego Dispers 672、Tego Dispers 685、Tego Dispers 688、Tego Dispers 700、Tego Dispers 710、Tego Dispers735 W、Tego Dispers 740 W、Tego Dispers 745 W、Tego Dispers 750 W、Tego Dispers 752 W、Tego Dispers 755 W、Tego Dispers 757 W、Tego Dispers 760 W、Tego Dispers 761 W、Tego Wet 240、Tego Wet 250、Tego Wet 251、Tego Wet 260、Tego Wet 265、Tego Wet 270、Tego Wet 280、Tego Wet 500、Tego Wet 505、Tego Wet 510、Tego Wet KL245、EFKA 6220、EFKA 6225、及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0022】
いくつかの実施形態において、分散性添加剤は酸性基を有するポリマーである。いくつかの実施形態において、ポリマーは約100g/mol〜約5,000,000g/molの分子量、例えば約1,000g/mol〜約1,000,000g/molの分子量を有する。ポリマーの例としては、ポリ(エチレン)、ポリ(プロピレン)、ポリ(ブチレン)、ポリ(イソブチレン)、ポリ(イソプレン)、ポリ(アセタール)、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(ブチレングリコール)、ポリ(メタクリル酸メチル)、ポリ(ジメチルシロキサン)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(スチレン)、ポリ(無水マレイン酸)、ポリ(メタクリル酸エチル)、ポリ(メタクリル酸イソブチル)、ポリ(メタクリレート)、ポリ(メタクリル酸ブチル)、ポリ(メタクリル酸n−ブチル)、ポリ(酪酸ビニル)、ポリ(塩化ビニル)、ポリシロキサン、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。ポリマーは、ランダム、ブロック、又は交互コポリマーであることができる。いくつかの実施形態において、ポリマーは、2種又は3種以上の異なるモノマー、例えば上記のポリマーを作製するモノマーから作製されるコポリマーである。コポリマーの例としては、ポリエーテル、ポリエステル、ポリアミド、アクリル、及びポリスチレンが挙げられるが、これらに限定されない。コポリマーは、単量体が交互するものであっても、ランダム又はブロックであってもよい。例としては、交互又はブロックのPEO、PPO基のポリエーテルが含まれる。酸性基の例としては、カルボン酸、スルフィン酸、スルホン酸、ホスホン酸、リン酸エステル、無水マレイン酸及び無水コハク酸が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、分散性添加剤は、ホスホネート、リン酸塩、ホスファイト、ホスフィン、及びリン酸エステル、例えばリン酸塩、ホスファイト及びホスホン酸から選ばれた基を含む。いくつかの実施形態において、酸性基は塩に変換されたものである。
【0023】
当該効果顔料調製物は、当該効果顔料調製物の総重量に対して0.01重量%〜14.99重量%の範囲内の不動態化剤を含む。いくつかの実施形態において、2種以上の不動態化剤が、効果顔料の製造に使用される。不動態化剤は、当該調製物中の効果顔料の表面積に基づいて、効果顔料調製物に添加される。不動態化剤は、約2〜約12層、例えば、約2.5〜約12層、約3〜約11層、約5〜約11層、約6〜約11層、約8〜約11層、又は約8〜約12層などの理論層の量で添加される。不動態化剤の理論層の数は、式1によって計算される:
【0025】
ここで、Nは効果顔料上の不動態化剤の理論層の数であり、xは不動態化剤のグラム単位での質量であり、N
Aは約6.022×10
23mol
−1に相当するアボガドロ数であり、A
xは高密度充填構造を仮定した不動態化剤のcm
2単位での1分子の面積であり、yは効果顔料のグラム単位での質量であり、MW
xは不動態化剤の分子量であり、SSA
yは効果顔料の比表面積(cm
2/g)である。
【0026】
不動態化剤の例としては、リン酸塩、亜リン酸塩、ホスフィン、リン酸エステル、亜リン酸エステル、モリブデート、バナデート、クロメート、クロマイト、シラン及びモリブデートが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、不動態化剤は、塩を含み、及び/又は、有機部分、例えば炭素原子数が1〜30、例えば1〜25、1〜18、1〜12、2〜30、2〜25及び2〜12である線状又は分岐状の炭素鎖、ポリエーテル、又はポリエステルを含む。不動態化剤の例としては、トリフェニルホスフェート、トリオクチルホスフェート、ブチル酸ホスフェート、オクチルホスホン酸、ラウレルホスホン酸、オクチルホスフィン、オクタデシルホスフィン、オクタデシルホスホン酸、Phoschem 10、Phoschem 20、Phoschem 66LF、Phoschem EH、Phoschem PD、Phoschem R−6、Rhodafac ASI 75、Rhodafac ASI 80、Rhodafac ASI 100、Rhodafac LO/529−E、Rhodafac ASI HW、Rhodafac PA 35、Rhodafac RS 610−E、Lubrizol 2062、Lubrizol 2063、Lubrizol 2064、Skydrol 5、Skydrol LD4、Skydrol PE−5、MCS 352B、Skydrol 500B−4、Solplus D540、Solplus D541、Servoxyl VMUZ 100、Servoxyl VMUZ 6/100、Servoxyl VMUZ 9/100、Servoxyl VPUZ 100、Servoxyl VPGZ 6/100、Servoxyl VPT 3/85、Servoxyl VQHZ 100、Servoxyl VPXZ 100、Servoxyl VPBZ 5/100、Servoxyl VPDZ 100、Servoxyl VPDZ 20/100、Servoxyl VPDP 20/35、Servoxyl VPNZ 9/100、Servoxyl VPFZ 7/100、Servoxyl VPQZ 14/100、Servoxyl VDYZ 100、及び他の類似の化合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0027】
いくつかの実施形態において、効果顔料調製物は、さらに、中和剤を含む。中和剤は、当業者に知られている任意のpH調整剤であることができ、中和剤としては、多くの種類の脂肪族アミン又はアミノアルコールが挙げられる。中和剤の例としては、アンモニア、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、エタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、エチレンジアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、3−アミノ−1−プロパノール、イソプロパノールアミン、2−アミノ−1−プロパノール、3−アミノ−2−プロパノール、及び当業者に知られている他の種類のアミンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0028】
いくつかの実施形態において、効果顔料調製物は、さらに、増粘剤を含む。いくつかの実施形態において、効果顔料調製物は、さらに、レベリング剤を含む。いくつかの実施形態において、効果顔料調製物は、さらに、可塑剤を含む。いくつかの実施形態において、効果顔料調製物は、さらに、接着促進剤を含む。いくつかの実施形態において、効果顔料調製物は、さらに、消泡剤を含む。いくつかの実施形態において、効果顔料調製物は、さらに、湿潤剤を含む。いくつかの実施形態において、効果顔料調製物は、さらに、沈降防止剤を含む。
【0029】
効果顔料調製物は、効果顔料を分散性添加剤及び不動態化剤と混合して分散体を形成することにより調製される。次いで、当業者に知られている方法に従って、分散体を押出すか又は圧縮してタブレット、ペレット、顆粒、ヌードル状体、ブリケット(briquette)状体又は球状体を作製し、20℃〜150℃の温度で乾燥させる。このようにして製造されたタブレット、ペレット、顆粒、ヌードル状体、ブリケット状体又は球状体は、無粉塵性であり、典型的なペレットよりも高い顔料配合量を有し、水、溶剤又はUV硬化型コーティング組成物に容易に混ぜ入れることができる。
【0030】
効果顔料調製物は汎用の顔料のようにふるまい、自動車用コーティング、内装用の建築用コーティング、外装用の建築用コーティング、グラビアインキ、フレキソインキ、ペーストインキ、エネルギー硬化性(紫外線(UV)又は電子線(EB))インキなどを包含するあらゆるタイプの液体コーティング用途物に容易に混ぜ入れることができる。さらに、効果顔料調製物は、あらゆる比率で他の効果顔料又は有機顔料と組み合わせて使用することができる。
【0031】
いくつかの実施形態において、効果顔料組成物をコーティング樹脂とブレンドすることによりコーティング又はインキ組成物が得られる。コーティング樹脂としては、ポリエステル、ポリウレタン、ポリビニル、セルロース、ポリアミド、ニトロセルロース、アクリル系樹脂、アルキド樹脂、フッ素樹脂等を使用できる。いくつかの実施形態において、コーティング又はインキ組成物中の効果顔料の含有量は、コーティングシステムの他の成分に対して0.1重量%〜50重量%、例えば約1重量%〜約40重量%の範囲内である。
【0032】
いくつかの実施形態において、コーティング組成物は、別の着色顔料、効果顔料、増量剤、又は染料を含む。着色顔料の具体例としては、フタロシアニン、酸化鉄、キナクリドン、ペリレン、イソインドリン、アゾレーキ、クロムイエロー、カーボンブラック、及び二酸化チタンが挙げられるが、これらに限定されない。効果顔料の具体例としては、真珠光沢雲母、アルミニウム、黄銅、銅、シリカ、亜鉛、酸化アルミニウムなどのフレーク状顔料が挙げられるが、これらに限定されない。
【0033】
いくつかの実施形態において、コーティング組成物は、架橋剤、水、有機溶剤、界面活性剤、硬化剤、紫外線吸収剤、増粘剤、又は腐食防止剤、及び当該技術分野で知られている他の添加剤を含んでもよい。
【0034】
いくつかの実施形態において、コーティングはインキである。効果顔料調製物は、溶剤系、水系、及びエネルギー硬化性の包装用インキを包含する任意のインキに使用することができる。いくつかの実施形態において、効果顔料調製物は、包装用インキに使用される。包装用インキは、包装又は他の容器の内部、外部、又はそれらの両方を着色するために使用することができる。効果顔料調製物を含有するインキは、フレキソ印刷、スクリーン印刷、ペースト、シートフィード、エネルギー硬化型、グラビア又はインキジェット型のものであることができる。
【0035】
いくつかの実施形態において、効果顔料調製物は塗料に使用される。塗料は、補修塗料及びOEM自動車用塗料、内装及び外装用の建築用塗料、保護塗料及び工業用塗料を包含する、いかなるタイプのコーティングに使用してもよい。
【0036】
いくつかの実施形態において、効果顔料調製物はフィルムに使用される。当該フィルムをベースコート層などに付着させることができる上、コーティング組成物として作製されたフィルム上にさらにトップコート層を形成することができる。
【0037】
本開示は、幾つかの実施形態を説明することにより例示し、例示的な実施形態をかなり詳細に記載したが、添付の特許請求の範囲をそのような詳細に限定することを意図していない。さらなる利点及び変更は当業者であれば容易に判るであろう。
【実施例】
【0038】
実施例1:
4.0gのRhodafac ASI 80(Solvay Group、ベルギー国ブリュッセル)及び0.7gのDisperbyk 192(BYK、ドイツ国ウェッセル(Wessel))を2.0gの脱イオン水中で1.6gのAMP 95(Dow Chemical Corporation、米国ミッドランド)と組み合わせた。この溶液を、偏心ディスク撹拌機を備えたアトライターミル中で、ミネラルスピリッツ中のアルミニウム顔料ペースト(Benda Lutz(登録商標)METALLIC 6851、米国カールシュタット、固形分66%)147.1gに加え、117RPMで撹拌した。これはASI 80のN=3.2の理論層に相当する。混合物を15分間撹拌し、ダイプレートを通してプレスしてペレットを作製した。ペレットを80℃で12時間真空乾燥した。ペレットの最終的な顔料含量は約95%であった。
【0039】
実施例2:
12.5gのRhodafac ASI 80(Solvay Group、ベルギー国ブリュッセル)及び1.5gのDisperbyk 192(BYK、ドイツ国ウェッセル)を10.0gの脱イオン水中で5.07gのAMP 95(Dow Chemical Corporation、米国ミッドランド)と組み合わせた。この溶液を、偏心ディスク撹拌機を備えたアトライターミル中で、ミネラルスピリッツ中のアルミニウム顔料ペースト(Benda Lutz(登録商標)LEAFING 1051、Sun Chemical、米国カールシュタット、固形分66%)151.5gに加え、117RPMで撹拌した。これはASI 80のN=9.8の理論層に対応する。混合物を20分間撹拌し、ダイプレートを通してプレスしてペレットを作製した。ペレットを80℃で12時間真空乾燥した。ペレットの最終的な顔料含量は約89.0%であった。
【0040】
比較例3:
ミネラルスピリット中の未処理アルミニウム顔料ペースト:Benda Lutz(登録商標)METALLIC 6851(Sun Chemical、米国カールシュタット、固形分66%)。
【0041】
比較例4:
1.49gのDisperbyk 192(BYK、ドイツ国ウェッセル)を、9.9gの脱イオン水中で0.15gのAMP 95(Dow Chemical Corporation、米国ミッドランド)と組み合わせた。この溶液を、偏心ディスク撹拌機を備えたアトライターミル中で、ミネラルスピリット中のアルミニウム顔料ペースト(Benda Lutz(登録商標)LEAFING 1081、Sun Chemical、米国カールシュタット、固形分66%)150.0gに加え、117RPMで撹拌した。これはASI 80のN=0.0の理論層に対応する。混合物を15分間撹拌し、ダイプレートを通してプレスしてペレットを作製した。ペレットを80℃で12時間真空乾燥した。ペレットの最終的な顔料含量は約98.5%であった。
【0042】
比較例5:
12.38gのRhodafac ASI 80(Solvay Group、ベルギー国ブリュッセル)を脱イオン水9.9g中で5.09gのAMP 95(Dow Chemical Corporation、米国ミッドランド)と組み合わせた。この溶液を、偏心ディスク撹拌機を備えたアトライターミル中で、ミネラルスピリット中のアルミニウム顔料ペースト(Benda Lutz(登録商標)LEAFING 1081、Sun Chemical、米国カールシュタット、固形分66%)150.0gに加え、117RPMで撹拌した。これはASI 80のN=11.1の理論層に対応する。混合物を15分間撹拌し、ダイプレートを通してプレスしてペレットを作製した。ペレットを80℃で12時間真空乾燥した。ペレットの最終的な顔料含量は約90%であった。
【0043】
比較例6:
2.49gのRhodafac ASI 80(Solvay Group、ベルギー国ブリュッセル)及び1.49gのDisperbyk 192(BYK、ドイツ国ウェッセル)を9.9gの脱イオン水で1.02gのAMP 95(Dow Chemical Corporation、米国ミッドランド)と組み合わせた。この溶液を、偏心ディスク撹拌機を備えたアトライターミル中で、ミネラルスピリット中のアルミニウム顔料ペースト(Benda Lutz(登録商標)LEAFING 1081、Sun Chemical、米国カールシュタット、固形分66%)150.0gに加え、117RPMで撹拌した。これはASI 80のN=2.2の理論層に相当する。混合物を15分間撹拌し、ダイプレートを通してプレスしてペレットを作製した。ペレットを80℃で12時間真空乾燥した。ペレットの最終的な顔料含量は約95%であった。
【0044】
実施例7:水系インキ中の顔料の評価
水系のポリスチレンに基づくインキシステム(waterborne polystylene-based ink system)を使用して実施例1及び比較例3を評価した。簡単に説明すると、6.0gのZinpol 146(Worlee、ドイツ国ラウエンブルク(Lauenberg))、0.5gのブチルグリコール、1.5gの脱イオン水を混合し、実施例1の効果顔料調製物0.9gと混合し、別の実験では、インキを比較例3の顔料ペースト1.3gと組み合わせて同等の顔料配合量とした。実施例1の顔料調製物を、比較例3の未処理のアルミニウム顔料ペーストと比較して、観察可能なアグリゲーション(aggregation)又はアグロメレーション(agglomeration)なしにインキシステムに組み込んだ。インキの外観は同じであった。
【0045】
実施例8:水系インキ中での評価
水系システム(waterborne system)を使用して実施例2を評価した。簡単に説明すると、21gの実施例2の効果顔料調製物を、28gの脱イオン水及び51gの水性の被膜形成性エマルジョン(Paracryl 8996、Para−Chem、米国インディアナ州サウスベンド(South Bend))と混合した。上記成分を標準的なパドル型ミキサーを使用して2100RPMで20分間混合した。混合物を#4 Kバーを使用してレネータ(Leneta)紙の白黒シート上にドローダウンした。ドローダウンされた材料は、観察可能な凝集体(aggregates)がなく、優れたメタリック仕上げを有していた。
【0046】
実施例9:安定性試験
約20gの実施例1及び2の効果顔料調製物を、300mL三角フラスコ中で50mLのブチルグリコール及び50mLの脱イオン水と組み合わせ、5分間混合した。この器具を40℃の水浴に漬け、密閉し、脱イオン水で満たされた密閉ガスビュレットに接続した。30分間のインキュベーションの後、ビュレットのバルブを開き、サンプルから放出される水素ガスをビュレットに入れ、水と置換させた。ガスビュレットを開放した際、この試験では、初期圧力平衡は約40mLのガスを生じるものであった。試験を30日間続け、この期間に生成したガスの量を記録した。比較例3の未処理顔料ペーストを使用して同一の実験を行った。表1は、0日間、10日間、20日間及び30日間での実施例1、2及び比較例3からのガス発生を示す。このデータにより示されるように、比較例3の未処理顔料及び比較例4〜6の不完全に処理された顔料は、ガス発生に関して実施例1及び2の効果顔料調製物よりはるかに不安定であった。
【0047】
【表1】
【0048】
実施例10:溶剤系コーティングにおける顔料の評価
6.7gの実施例1の効果顔料調製物を、43.3gの酢酸ブチルとともに100gの溶剤系酢酪酸セルロース/アクリレート樹脂と混合して、完成塗料150gを製造した。同様に、9.4gの比較例3の顔料ペーストを、9.4gの酢酸ブチル中に30分間浸漬した。浸漬した混合物を100gの溶剤系酢酪酸セルロース/アクリレート樹脂及びさらなる31.0gの酢酸ブチルと合わせて150gの完成塗料を製造した。実施例1の効果顔料調製物は、比較例3の顔料ペーストよりもずっと容易に塗料系に組み込まれた。さらに、実施例1のコーティングへの組み込みは、比較例3で必要とされたような、コーティング中でそれを使用する前に、いかなる予備分散ステップも必要としなかった。
【0049】
上述した本発明の教示の恩恵を受けた当業者は多くの変更を行うことができる。これらの変更は、添付の特許請求の範囲に記載された本発明の範囲内に包含されると解釈されるべきである。
本発明に関連する発明の実施態様の一部を以下に示す。
[態様1]
効果顔料調製物であって、
効果顔料、
分散性添加剤、および
不動態化剤、
を含み、当該調製物は乾燥しており、前記顔料は当該調製物の質量の約84%以上を構成し、前記分散性添加剤は当該調製物の質量の最高約15%までを構成し、前記不動態化剤の理論層の数は約2〜約12である、効果顔料調製物。
[態様2]
前記調製物は、約5%未満の溶剤を含み、好ましくは約2%未満の溶剤を含み、より好ましくは溶剤を含まない、上記態様1に記載の効果顔料調製物。
[態様3]
前記調製物は、タブレット状、ペレット状、顆粒状、ヌードル状、ブリケット状又は球状である、上記態様1又は2に記載の効果顔料調製物。
[態様4]
前記顔料が、アルミニウム、銅、銅−亜鉛合金、銅−錫合金、ステンレス鋼、炭素鋼、鉄、銀、亜鉛、ニッケル、チタン、クロム、マンガン、バナジウム、マグネシウム、亜鉛−マグネシウム合金、及びそれらの混合物から選ばれた金属を含む金属顔料である、上記態様1〜3のいずれか一項に記載の効果顔料調製物。
[態様5]
前記顔料が真珠光沢顔料である、上記態様1〜3のいずれか一項に記載の効果顔料調製物。
[態様6]
前記真珠光沢顔料が、天然雲母、合成雲母、オキシ塩化ビスマス、黒鉛、酸化アルミニウム、雲母状酸化鉄、パーライト、二酸化ケイ素、ホウケイ酸ガラス、ガラス、二酸化チタン被覆雲母、及び酸化鉄被覆雲母から選ばれた基材を含む、上記態様5に記載の効果顔料調製物。
[態様7]
前記顔料は、二酸化ケイ素、二酸化チタン、酸化亜鉛、二酸化ジルコニウム、酸化錫、二酸化セリウム、酸化バナジウム、酸化マンガン、酸化鉛、酸化クロム、酸化鉄、酸化アルミニウム、酸化タングステン、並びにこれらの水酸化物及び混合物から選ばれた金属酸化物により被覆されている、上記態様1〜6のいずれか一項に記載の効果顔料調製物。
[態様8]
前記分散性添加剤が界面活性剤及びポリマー分散剤から選ばれる、上記態様1〜7のいずれか一項に記載の効果顔料調製物。
[態様9]
前記分散性添加剤が酸性基を有するポリマーである、上記態様1〜8のいずれか一項に記載の効果顔料調製物。
[態様10]
前記分散性添加剤が、ホスホネート、リン酸塩、ホスファイト、ホスフィン及びリン酸エステルから選ばれた基を含む、上記態様1〜9のいずれか一項に記載の効果顔料調製物。
[態様11]
前記分散性添加剤がコポリマーを含む、上記態様1〜10のいずれか一項に記載の効果顔料調製物。
[態様12]
前記不動態化剤が、リン酸塩、亜リン酸塩、ホスフィン、リン酸エステル、亜リン酸エステル、バナデート、クロメート、クロマイト、シラン及びモリブデートから選ばれる、上記態様1〜11のいずれか一項に記載の効果顔料調製物。
[態様13]
前記不動態化剤が塩である、上記態様1〜12のいずれか一項に記載の効果顔料調製物。
[態様14]
前記不動態化剤が、炭素原子数1〜30の線状又は分岐状炭素鎖を含む、上記態様1〜13のいずれか一項に記載の効果顔料調製物。
[態様15]
前記不動態化剤の理論層の数が約3〜約11である、上記態様1〜14のいずれか一項に記載の効果顔料調製物。
[態様16]
上記態様1〜15のいずれか一項に記載の効果顔料調製物を含むコーティング組成物。
[態様17]
上記態様1〜15のいずれか一項に記載の効果顔料調製物を含む溶剤系インキ組成物。
[態様18]
上記態様1〜15のいずれか一項に記載の効果顔料調製物を含む水系インキ組成物。