(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記イオン伝導性セラミック電解質粒子の前記過半数が、前記方向Hにおける前記イオン伝導性セラミック電解質粒子のサイズ寸法が前記方向Lにおける前記イオン伝導性セラミック電解質粒子のサイズ寸法より小さくなるようにサイズ調整され;ならびに
前記イオン伝導性セラミック電解質粒子のそれぞれの前記サイズ寸法における違いが、前記固体高分子マトリックス中での前記イオン伝導性セラミック電解質粒子の自己整列を促進し、前記方向Hが、前記方向Lよりも、前記マトリックス体の厚さにわたる最短経路長xの示す方向により近く揃えられる、
請求項1に記載のイオン伝導性複合電解質。
【発明を実施するための形態】
【0010】
最初に
図1Aを参照すると、イオン伝導性複合電解質10の一部が図式的に示されており、経路設計されたイオン伝導性セラミック電解質粒子20、固体高分子マトリックス30、および任意選択により高分子マトリックス30全体に分散された繊維補強剤成分40を含む。経路設計された粒子20のそれぞれの形状は、粒子によって著しく変わり得るが、
図1Aには特に正確には描かれていない。むしろ、
図1Aにおける経路設計された粒子20は、単に、それらが高分子マトリックス30中に存在することを示すために、ならびにそれらのサイズおよび形状が典型的には複合電解質30によって変わるであろうことを示すために提示されているだけである。同様に、以下においてより詳細に説明される、
図1Bおよび1Cに示されている経路設計された粒子のサイズおよび形状も、例示目的のために意図的に簡素化されている。
【0011】
図1Aに示されているように、高分子マトリックスは、その間にマトリックス体を形成する対向する主要な面32、34の対を形成する。経路設計された粒子20は、当該経路設計された粒子20の過半数が、マトリックス体の対向する主要な面32、34の両方から突き出るように、すなわち、当該面の両方に達するかもしくはそれを超えて延びるように、サイズ調整され、および高分子マトリックス30中に位置決めされる。当該経路設計された粒子は、有利には、異方性結晶構造によって特徴付けられ得ることが想到されるが、等方性結晶構造も想到される。
【0012】
例えば、
図1Bおよび1Cに示された六方晶系結晶構造を参照すると、経路設計された粒子20は、それらが異方性結晶構造によって特徴付けられるように選択することができることが想到される。そのような場合、当該粒子は、経路設計された粒子20における結晶面の1つに関連する好ましい伝導度方向Hにおける結晶構造のイオン伝導度が、経路設計された粒子20における異なる結晶面に関連する低い伝導度方向Lにおける結晶構造のイオン伝導度より大きくなるように選択することができる。このように、実質的にすべての、または少なくとも過半数の経路設計された粒子20は、好ましい伝導度方向Hが、マトリックス体の厚さにわたる最短の経路長xにより近く揃えられるように、すなわち、低い伝導度方向Lよりもより近く揃えられるように、高分子マトリックス30中において配向させることができる。この配置は、
図1Bおよび1Cにおいて図式的に示されており、これにより、典型的にはおよそ10
−4S/cm以上程度の、高められたイオン伝導度を有する複合電解質を得ることができる。限定ではなく例として、リチウム−アルミニウム−チタン−ホスフェート(LATP)の経路設計粒子20との関連において、好ましい伝導度方向Hにおける結晶構造のイオン伝導度は、低い伝導度方向Lにおける結晶構造のイオン伝導度よりもおよそ1桁高い。
【0013】
前述の配向を促すために、経路設計された粒子20は、好ましい伝導度方向Hにおける経路設計された粒子20のサイズ寸法が低い伝導度方向Lにおける経路設計された粒子20のサイズ寸法より小さくなるように、サイズ調整され得ることが想到される。経路設計された粒子20のそれぞれのサイズ寸法における違いは、前述の配向における経路設計された粒子の自己整列を促進するために使用することができ、なぜなら、本明細書で説明される、想到される製作プロセスの多くにおいて、粒子は、異なる方向における粒子の相対的なサイズ寸法によって強く影響される配向に自然と落ち着く傾向にあるためである。
【0014】
等方性結晶構造によって特徴付けられる経路設計された粒子の場合、前述の選択的配向は、典型的には必要ないであろう。好適な等方性結晶構造の例としては、これらに限定されるわけではないが、立方体ガーネット構造を有するリチウムイオン伝導体、例えば、アルミニウム−安定化Li
7La
3Zr
2O
12など、または、ペロブスカイト構造を有するリチウムイオン伝導体、例えば、Li
3xLa
0.67−xTiO
3など、が挙げられ、ならびに、そのような例により、典型的には、およそ1×10
−4S/cm以上程度の高められたイオン伝導度を有する複合電解質が得られる。
【0015】
本開示の特定の実施形態は、六方晶系結晶構造によって特徴付けられる経路設計された粒子20の、有利な使用に関する。より詳細には、
図1Bを参照すると、六方晶系結晶構造体を含む経路設計された粒子20との関連において、本発明者らは、複合電解質10のイオン伝導度は、マトリックス体の厚さにわたる最短経路長xが、比較的低い伝導度の結晶学的方向Lよりも比較的高い伝導度の結晶学的方向Hに対してより近く揃えられるように、経路設計された粒子20の過半数または実質的に全てが、高分子マトリックス30中において確実に配向するようにすることによって、高めることができるということを認識している。
【0016】
本開示による経路設計された粒子20の想到される組成に関して、特定の実施形態において、当該経路設計された粒子20は、イオン伝導性セラミック、例えば、LATPのようなリチウムイオン伝導性セラミックまたはそれらの誘導体など、を含むであろう。そのような材料は、内部封入体を有し得、当該封入体は、典型的には、リン酸アルミニウム塩、二酸化チタン、酸化アルミニウム、またはそれらの組み合わせを含む。想到される追加の実施形態は、リチウム金属ホスフェート、ナトリウムジルコニアホスフェート、βアルミン酸ナトリウム、フルオライト、およびガーネットタイプの結晶構造を有するセラミック酸化物から選択されるイオン伝導性セラミックを含む経路設計された粒子を含むであろう。組成または材料の選択は、部分的には、Czochralski法のような従来技術による結晶を成長させる能力に基づいて選択される。そのような材料の例は、LiNbO
3、YVO
4、Al
2O
3、およびCe
2O
3−ドープされたY
3Al
5O
12(YAG:Ce)である。想到される複合電解質の組成上のプロファイルは、所望の特性を達成するためにドープすることによって制御することができることに留意されたい。
【0017】
図2に示されているように、面から突き出る経路設計された粒子20の過半数は、一次封入体22および二次相封入体24の形態の内部封入体、粒界26、孔28、またはそれらの組み合わせを含み得ることが想到される。この関連において、経路設計された粒子20は、突出断面を含むように高分子マトリックス30中において配向され得、その例が、
図1および2に図式的に示されている。突出断面は、粒子20における内部封入体22、24、粒界26、孔28によって遮られていない、本体を横断する直線状のイオン導電性経路(+)を形成する。明瞭化のために、対照的に、
図3に示される粒子20’の直線状イオン伝導性経路(+)は、内部封入体22’および24’、粒界26’、ならびに孔28’によって遮られており、そのため、これは本体を横断する直線状イオン伝導性経路ではない。本開示による複合電解質は、前述の本体を横断する直線状のイオン伝導性経路を組み入れることにより、イオン輸送に対する粒界の影響を、排除するかまたは実質的に減少させる。
【0018】
図2の実施例に示されているように、本開示による、面から突き出る経路設計された粒子20は、体積ベースにおいて半分より多くを占める粒界不含の単結晶を含み得るが、粒子自体の残りの体積は、少量の粒界26、内部封入体22および24、ならびに孔28を含むことが想到される。典型的には、当該残りの体積は、異なる結晶配向の一次相封入体、二次相封入体、孔、またはそれらの組み合わせを含んでおり、ならびに、当該面から突き出る経路設計された粒子20のおよそ0.1体積%〜およそ20体積%を占める。
【0019】
前述の遮られていない直線状のイオン伝導経路(+)は、経路設計された粒子20の粒界26の及ぶ範囲が、マトリックス体の主要面に対して実質的に平行な方向において、面から突き出る経路設計された粒子の突出断面の半分または半分より確実に小さくなるようにすることによって、より容易に達成することができるということも想到される。この条件を満たす粒界の例が
図2に示されているが、
図3に示されている右側の粒子20’は、この条件を満たしていない粒界26’を含んでいる。
【0020】
図2にさらに示されているように、好ましくは、経路設計された粒子20の少なくとも過半数は、粒子20のそれぞれの突出断面が、面から突き出る経路設計された粒子20の二次相封入体24、粒界26、および閉じた孔28によって遮られていない、本体を横断する直線状のイオン伝導性経路を形成するように、高分子マトリックス30中において配向される。
【0021】
複合電解質10の体積組成に関して、特定の実施形態は、(i)およそ10体積%〜およそ95体積%の面から突き出る経路設計された粒子20と、(ii)およそ5体積%〜およそ90体積%の高分子マトリックス30と、(iii)およそ0.1体積%〜およそ20体積%の経路の遮られたイオン伝導性セラミック電解質粒子20’とを含むであろうことが想到される。本開示の態様を定義および説明する目的において、経路の遮られたイオン伝導性粒子20’は、それらが封入体24’、粒界26’、および/または孔28’によって支配されているためか、主に多結晶であるためか、あるいはマトリックス体の対向する両方の主要面において突き出ていないために、上記において説明した、遮られていない、本体を横断する直線状のイオン伝導性経路を含まない粒子であるということに留意されたい。より好ましくは、いくつかの実施形態において、複合電解質10は、少なくともおよそ20体積%の面から突き出る経路設計された粒子20を含むことが想到される。
【0022】
複合電解質10の寸法特徴に関して、特定の実施形態において、当該経路設計された粒子は、およそ1.0未満の粒度分布((d
90−d
10)/d
50)を有するおよそ10μm〜およそ1mmの平均粒径(d
50)を形成するであろうことが想到される。さらに、複合電解質10は、多くの場合、有利には、およそ10μm〜およそ50μmの厚さを形成するであろうことも想到される。任意の所定の用途のための、本開示による複合電解質の厚さは、その伝導度、機械的強度、および調製方法の関数であることが想到される。それは、数ミクロンから約1mmまでの範囲であり得る。所定の複合電解質膜内では、経路設計された粒子20の粒径における分散が狭いことが好ましい。大きすぎる粒は、ポリマーの表面上に大きく突き出るであろうし、潜在的に、シート形成プロセスや組立などを妨げることもあるかもしれない。高分子の厚さより小さい粒子は、膜の厚さにわたることができず、伝導経路を提供することもできない。本開示の複合電解質のために使用される結晶構造体は、形状において規則的である必要はなく、組成的に均一または封入体不含である必要もない。当該複合電解質とって必要な結晶のタイプは、粒の成長を可能にする長時間の焼結などの技術によって、または溶融状態からゆっくりと冷却することによって、効率的に調製することができる。いずれかのプロセスによる生成物は、次いで、粉砕され、篩い分けや空気分級などによって選択的にサイズ調整され得る。
【0023】
本開示によるイオン伝導性複合電解質10を調製する方法は、セラミック前駆体結晶に熱誘導微小亀裂生成を施すことによって、高分子マトリックス30中への封入のための経路設計された粒子20を調製する工程を伴う。続いて、当該微小亀裂生成された前駆体結晶は、個々の経路設計されたイオン伝導性セラミック電解質粒子20へと分離され得る。経路設計された粒子20と高分子マトリックス30とを含む複合電解質10は、これらに限定されるわけではないが、射出成形、圧縮成形、ロール成形、フィルムキャスト、スピンコーティングなどの様々な好適な技術によりそれら技術単独において、または粒子に対してプラズマエッチング、機械的摩耗、レーザーアブレーションなどを施す成形後技術と併用することによって構成することができ、ならびにイオン伝導を可能にすることができる。いくつかの実施形態において、想到される複合電解質膜は、焼結を行わない高分子加工技術によっても形成することができる。
【0024】
限定ではなく例として、リチウムイオン伝導性LATP(Li
1.3Al
0.3Ti
1.7(PO
4)
3)の比較的大きな結晶は、長時間の焼結によって調製した。以下の表に一覧される2つのバッチの反応剤を、それぞれ約2kgの総量において乾式混合し、白金るつぼに移して、190℃で12時間反応させ、800℃で12時間反応させることにより、部分的に、LATP結晶構造を形成させて、次いで振動ミル粉砕した。
【0026】
ミル粉砕した粉末を、単軸圧縮によって直径約25mmの錠剤へと成形した。当該錠剤を、粒成長を促すために、表2に一覧される温度および時間において焼結した。
【0028】
結果として得られる粒は、およそ等軸状であり、300〜1000μm以上の、目視で特定した粒径を有する。
【0029】
錠剤中の粒を、それ自身主に単結晶である粒子で作成された粉末へとさらに加工した。粒子を分離してそのサイズを減じるために、粉砕、ジェットミル粉砕、または他の高エネルギー技術を想像することは可能であるが、これらは、LATPには必要ではなかった。LATPの結晶構造は立方体ではなく、ならびにその大きな熱膨張異方性の結果として微小亀裂生成を受けている。微小亀裂生成のための当該臨界粒子サイズは、約0.5μmであると見積もられる。この臨界粒子サイズは、長時間の焼結によって得られるものよりおよそ2桁小さい。当該錠剤は十分に微小亀裂生成されており、最も穏和な力のみで個々の結晶へと崩壊した。
【0030】
比較的大きな結晶は、核形成および溶融状態からの成長によって達成することができると想到される。一実施例において、LATP結晶は、以下の表に一覧された反応剤で開始して成長させた。
【0032】
結果として得られる原料を、乾式混合し、白金るつぼに移して、約100℃/時において1600℃まで加熱し、次いで、10℃/時の速度で100℃まで冷却した。るつぼにおける生成物の形態は、1mmを十分に超えるサイズの結晶がこの技術で得られることを示した。非化学量論的組成が結晶化してほぼ単相生成物が得られるとは、必ずしも予測されないであろう。この理由により、複合電解質での使用のために配置されるLATPまたは他のイオン伝導性材料に対し、当該方法論を適用することができることが想到される。
【0033】
一実施形態において、複合電解質膜を作製するために、4gの5:1PDMS溶液、1gの625EQU(250〜355μmの範囲のサイズの粒子を得るために粉砕し篩い分けを行ったもの)で開始し、500rpmで10秒間スピンコーティングして、最後にNMB/TBAF浴において15分間両面をエッチングして、残留シリコーンを除去することで、スピンコーティングおよび化学エッチングを適用した。完成したままの膜におけるシリコーンの厚さ、すなわち、LATP粒子の間の厚さは約140μmであり、これは、リチウムイオン伝導性結晶粒子よりもかなり薄い。72.4mm
2の活性エリアを有する試験体の場合、当該膜のDC抵抗は、およそ175Ωと見なされた。電解質膜の幾何学的因子を考慮すると、これは、2.7×10
−4S/cmのリチウムイオン伝導度に相当し、同じ組成の多結晶試料で報告された最も高い値の4倍以上高い。
【0034】
多くの成形技術において、伝導性粒子の表面上にポリマーのオーバーコートが残留するは、プロセスに特有の結果であろう。この残留物は、おそらく、電解質が輸送する移動イオンの動きを妨げ、伝導度を低下させると思われる。当該残留物は、これらに限定されるわけではないが、化学エッチング、研磨、機械的に摩耗、屈折イオンエッチング、オゾンプラズマ処理、およびレーザーアブレーションなどの、様々な技術によって除去することができる。
【0035】
図4を参照すると、本開示による複合電解質10は、電解質10を組み入れた電気化学装置50の性能を向上させるために調節および適合させることができるいくつかのパラメータを備えていることに留意されたい。想到されるパラメータとしては、これらに限定されるわけではないが、平均粒子サイズ、それらのサイズ分布、粒子の単結晶成分の伝導度、それらの配向、高分子膜の厚さ、および粒子がそれらの位置決めされている高分子マトリックスの主要面から突き出て露出する度合い、が挙げられる。これらおよび他のパラメータは、電気化学的性能属性(例えば、出力密度または応答速度)ならびに/あるいは、取り扱い、稼働時耐久性、または装置の寿命を向上させる機械的性能属性を高めるように選択することができる。
【0036】
電気化学的見地から、複合電解質によってもたらされる主な利点は、同じイオン種を伝導する多結晶膜の最適化おいて達成することができるものより高いイオン伝導度および同等もしくはより低い面積比抵抗(ASR)である。例えば、ドープされた多結晶リチウムチタンホスフェートおよびリチウムゲルマニウムホスフェートセラミックの結晶内のイオン伝導度は、総じて、多結晶状態において実現されるものの50〜100倍である。平均して、これらのドープされたチタンホスフェートおよびゲルマニウムホスフェートの単結晶の伝導度は、10
−3S/cmに達するかまたはこれを超える。
【0037】
図5を参照すると、ASRは、電気化学装置またはその構成要素、すなわち、その電解質膜、の出力発生能力を判断するために使用されるメリットの重要な数値であることに留意されたい。伝導度が低くかつ膜厚が大きい場合、電解質のASRは、装置の総ASRに対する主要な要因である。
図5において、組成Li
1.3Al
0.3Ti
1.7(PO
3)
3の単結晶をベースとする複合電解質CのASRが、膜厚xの関数として、同じ組成の焼結された多結晶電解質Pと比較されている。当該図には、複合電解質中の単結晶の2つの固体配合量(25%および50%)が示されている。これは、単結晶が高分子の表面に一致すること、すなわち、それらが、電解質の表面から突き出ないことも前提としている。これは、単結晶の表面が完全に露出していること、すなわち、高分子のオーバーコートがないこと、ならびに当該結晶が均一な断面を有し、かつ膜の平面に対して垂直に配向されることも前提とする。これらの条件の下、膜中に25体積%配合量のみを有する複合電解質でさえ、同じ厚さの多結晶電解質より4倍低いASRを提供する。複合電解質に対して、当該利点は、単結晶の体積配合量が50%まで増加するに従ってより大きくなる。
【0038】
電気化学的性能を向上させるために、膜の低いASRを利用することは必ずしも必要ではない。それは、他の属性と交換され得る。例えば、薄い多結晶電解質のASRは、装置への適用のために、電気化学的見地から許容可能であり得る。しかしながら、その薄さは、製造を困難にする場合があり、または装置の耐久性を犠牲にする場合がある。複合電解質は、その本質的に高い伝導度ゆえに、そのような問題を克服するはるかに厚い厚さにおいて同等のASRを有するように作製することができる。別の可能性は、最大レベルの柔軟性を膜に付与することである。これは、複合体内の単結晶イオン伝導体の量を最小化することによって達成することができる。
図5に示されるASRの計算値は、これらの可能性の両方に対する根拠を提供するものである。
【0039】
本明細書において説明される複合電解質は、当技術の始まりに対して、多くの利点の源であり得ることが想到される。例えば、想到される複合電解質は、おそらく、同等の多結晶セラミック電解質から得られるであろうイオン伝導度より高いイオン伝導度を示すと思われる。さらに、想到される複合電解質構造体は、おそらく、加工および装置組立工程の際に取り扱いがより容易であると思われ、ならびに突発的なもしくは予期できない機械的故障を被る可能性が低い。想到される複合電解質構造体のイオン伝導度は、十分に高い電気化学的性能を依然として維持しつつ、電解質を厚くすることによって、機械的健全性と交換することができる。
【0040】
本開示の概念は、複合電解質構造について主に参照しながら本明細書において説明されるが、当該概念は、電解質構造を採用する任意の装置への適用性を享受するであろうことが想到される。限定ではなく例として、本開示の概念は、これらに限定されるわけではないが、リチウムイオンバッテリー、ナトリウム硫黄バッテリー、固体酸化物燃料電池、酸素分離器、電気分解装置、センサー、化学反応器など、様々な電気化学装置への適用性を享受するであろうことが想到される。限定ではなく一例として、
図4は、複合電解質10によって分離される陰極60および陽極70を含む電気化学装置50を示している。
【0041】
「好ましくは」、「一般的に」、および「典型的に」などの用語は、本明細書において用いられる場合、権利主張される発明の範囲を限定するために、または、ある特定の特徴が、権利主張させる本発明の構造もしくは機能に対して、決定的であること、本質的であること、または重要であることさえ意味するために用いられるのではないことに留意されたい。むしろ、これらの用語は、単に、本開示の実施形態の特定の態様を識別することを意図するものであるか、または、本開示の特定の実施形態において利用され得るかもしくは利用され得ない、代替のもしくは追加的な特徴を強調することを意図するものである。
【0042】
本発明を説明および定義する目的において、「実質的に」および「およそ」なる用語は、任意の定量的比較、値、測定値、または他の表現に起因し得る本質的な不確実性の度合いを表すために、本明細書において用いられることに留意されたい。「実質的に」および「およそ」なる用語は、定量的表現が、検討中の主題の基本機能における変化を結果として生じることなく述べられた参考値から変わり得る程度を表すためにも、本明細書において用いられる。
【0043】
本開示の主題についてそれらの特定の実施形態を参照することにより説明したが、本明細書において開示される様々な詳細は、本説明に付随する図面のそれぞれにおいて特定の要素が示されている場合でさえ、これらの詳細が、本明細書において説明される様々な実施形態の必須の構成要素である要素に関連することを意味すると見なされるべきではないということに留意されたい。むしろ、本明細書に添付される特許請求の範囲が、本開示の幅および本明細書において説明される様々な発明の対応する範囲の唯一の表現として見なされるべきである。さらに、添付の特許請求の範囲において定義される本発明の範囲から逸脱することなく改変および変更を為すことが可能であることは明かであろう。より詳細には、本開示のいくつかの態様は、好ましいとして、もしくは特に有利であるとして、本明細書において認識されるが、本開示が必ずしもそれらの態様に限定されるわけではないということも想到される。
【0044】
1つ以上の請求項が移行記号として「;」なる符号を用いることに留意されたい。本発明を定義する目的において、この用語は、構造の一連の特徴の列挙を導入するために使用されるオープンエンド形式の移行句として請求項に導入され、より一般的に使用されるオープンエンド形式の前提部分の用語「含む」と同様に解釈されるべきであることに留意されたい。