特許第6496082号(P6496082)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6496082
(24)【登録日】2019年3月15日
(45)【発行日】2019年4月3日
(54)【発明の名称】ピッキング支援装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/137 20060101AFI20190325BHJP
【FI】
   B65G1/137 E
【請求項の数】9
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2018-508263(P2018-508263)
(86)(22)【出願日】2016年9月12日
(86)【国際出願番号】JP2016076868
(87)【国際公開番号】WO2018047355
(87)【国際公開日】20180315
【審査請求日】2018年2月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】594057842
【氏名又は名称】株式会社アイオイ・システム
(74)【代理人】
【識別番号】100205350
【弁理士】
【氏名又は名称】狩野 芳正
(72)【発明者】
【氏名】多田 潔
(72)【発明者】
【氏名】吉川 孝道
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 豪
(72)【発明者】
【氏名】飯田 哲也
【審査官】 井上 信
(56)【参考文献】
【文献】 特許第5844011(JP,B1)
【文献】 実開昭63−153843(JP,U)
【文献】 特開2014−28697(JP,A)
【文献】 特開2008−222386(JP,A)
【文献】 国際公開第2016/002622(WO,A1)
【文献】 特開2014−70796(JP,A)
【文献】 特開2011−154073(JP,A)
【文献】 国際公開第2015/146805(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/137
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品が蓄積される物品棚と、
作業者への指示を前記物品棚に定められた表示領域に表示するプロジェクタと、
演算装置
とを具備し、
前記物品棚は、間口に吊り下げられた可とう性を有するスクリーンを備え、
前記スクリーンに前記表示領域が規定され、
前記演算装置は、前記スクリーンの動きを検出し、検出した前記スクリーンの動きに基づいて前記作業者の作業ミスを検出する
ピッキング支援装置。
【請求項2】
請求項に記載のピッキング支援装置であって、
更に、
前記スクリーンが写されている撮像画像を取得する撮像装置
を備えており、
前記演算装置は、前記撮像画像に基づいて前記スクリーンの動きを検出する
ピッキング支援装置。
【請求項3】
請求項に記載のピッキング支援装置であって、
前記スクリーンには第1マーカーが付されており、
前記演算装置は、前記撮像画像における前記第1マーカーの動きを検出し、前記第1マーカーの動きに基づいて前記作業者の作業ミスを検出する
ピッキング支援装置。
【請求項4】
請求項乃至のいずれかに記載のピッキング支援装置であって、
前記演算装置は、前記作業者が取り出すべき物品とその数量を示すピッキング指示データを生成し、検出した前記スクリーンの動きが前記ピッキング指示データと整合しない場合、作業ミスが発生したと判断する
ピッキング支援装置。
【請求項5】
請求項に記載のピッキング支援装置であって、
更に、
前記物品棚に取り付けられて、前記プロジェクタを吊り下げて支持する支持機構
を具備し、
前記支持機構は、前記プロジェクタと前記物品棚との間の振動絶縁を行う振動絶縁装置を備えている
ピッキング支援装置。
【請求項6】
請求項又はに記載のピッキング支援装置であって、
前記物品棚は、前記物品を収容する物品箱を備えており、
前記演算装置は、前記撮像画像における、前記物品箱の動きを検出し、検出した前記スクリーンの動きに加え、前記物品箱の動きに基づいて前記作業者の作業ミスを検出する
ピッキング支援装置。
【請求項7】
請求項に記載のピッキング支援装置であって、
前記物品棚は、前記物品を収容する物品箱を備えており、
前記物品箱には第2マーカーが付されており、
前記演算装置は、前記撮像画像における前記第1マーカー及び前記第2マーカーの動きを検出し、前記第1マーカー及び前記第2マーカーの動きに基づいて前記作業者の作業ミスを検出する
ピッキング支援装置。
【請求項8】
請求項1乃至のいずれかに記載のピッキング支援装置であって、
前記プロジェクタは、
画像を投影する光学系を収容し、前記プロジェクタの筐体に対して移動可能に支持されている光学ユニットと、
アクチュエータと、
振動センサ
とを備えており、
前記アクチュエータは、振動センサによって検出された振動をキャンセルするように前記光学ユニットを変位させる
ピッキング支援装置。
【請求項9】
請求項に記載のピッキング支援装置であって、
前記撮像装置は、複数のカメラを備えている
ピッキング支援装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ピッキング支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ピッキング支援装置は、棚に並べられている様々な物品(例えば、部品や商品)のいずれを取るべきかを作業者に指示する装置であり、生産ラインや物流拠点において広く使用される。一例としては、ピッキング支援装置は、生産ラインにおいて、部品庫(典型的には、部品棚)に蓄積されている様々な部品のうち、対象の製品に組み付けるべき部品及びその個数を作業者に指示するために用いられる。他の例としては、ピッキング支援装置は、物流拠点において、商品庫(典型的には、商品棚)にストックされている様々な商品のうち、対象のシッパー(コンテナ)に収納すべき商品及びその個数を作業者に指示するために用いられる。
【0003】
ピッキング支援装置は、作業者に指示を与えるための表示デバイスを備えている。ピッキング支援装置の表示デバイスとしては、最も伝統的には、ランプやセグメント表示器が用いられてきたが、近年では、プロジェクタを用いることが提案されている。例えば、橋本 明解 他、「商品物流における仕分け作業支援への複合現実感技術の応用(2)」、第19回日本バーチャルリアリティ学会大会論文集、2014年9月、pp.553−556(非特許文献1)は、仕分け作業の支援におけるウェアラブル型のプロジェクタと据置型のプロジェクタのメリットとデメリットについて議論している。
【0004】
ピッキング支援装置に求められる要求の一つは、作業ミスの防止である。作業ミスの防止のために、様々な機構が提案されている。例えば、特開2005−1781号公報(特許文献1)は、各シッパーに収容された商品の重量を計測し、計測された重量に基づいてシッパーに収納された物品が正しいかを判断するピッキング支援装置を開示している。また、特開2006−321590号公報(特許文献2)は、商品棚の間口において作業者の手が通過する位置を赤外線を用いて検出し、検出した位置が、不適正である場合に警告を発生する構成のピッキング支援装置を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−1781号公報
【特許文献2】特開2006−321590号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】橋本 明解 他、「商品物流における仕分け作業支援への複合現実感技術の応用(2)」、第19回日本バーチャルリアリティ学会大会論文集、2014年9月、pp.553−556
【発明の概要】
【0007】
発明者は、様々に検討した結果、プロジェクタを表示デバイスとして用いるピッキング支援装置について、作業ミスの防止のために好適な機構を見出した。従って、本発明の目的の一つは、プロジェクタを表示デバイスとして用いるピッキング支援装置について、作業ミスを抑制する技術を提供することにある。本発明の他の目的は、以下の開示から当業者には理解されるであろう。
【0008】
本発明の一の観点では、ピッキング支援装置が、物品が蓄積される物品棚と、作業者への指示を物品棚に定められた表示領域に表示するプロジェクタと、演算装置とを具備する。演算装置は、物品棚を構成し、且つ、物品が物品棚から取り出される際に動く動き部材(movable member)の動きを検出し、検出した動き部材の動きに基づいて作業者の作業ミスを検出する。
【0009】
一実施形態では、ピッキング支援装置が、物品が蓄積される物品棚と、物品棚の間口に吊り下げられた可とう性を有するスクリーンと、作業者への指示をスクリーンに表示するプロジェクタと、演算装置とを具備する。演算装置は、スクリーンの動きを検出し、検出したスクリーンの動きに基づいて作業者の作業ミスを検出する。
【0010】
他の実施形態では、ピッキング支援装置が、物品を収容する物品箱(例えば、引き出し)を備える物品棚と、作業者への指示を前記物品箱に規定された表示領域に表示するプロジェクタと、演算装置とを具備する。演算装置は、物品箱の動きを検出し、検出した物品箱の動きに基づいて作業者の作業ミスを検出する。
【0011】
本発明によれば、プロジェクタを表示デバイスとして用いるピッキング支援装置について、作業ミスを抑制する技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】第1の実施形態のピッキング支援装置の構成を示す正面図である。
図2】ピッキング支援装置の構成を示す側面図である
図3図1のIII−III断面におけるピッキング支援装置の構成を示す側面図である。
図4】第1の実施形態におけるスクリーンの構造を示す拡大正面図である。
図5】第1の実施形態におけるピッキング支援装置のシステム構成を示すブロック図である。
図6】第1の実施形態における支持機構の構成を示す正面図である。
図7】プロジェクタの好適な構成を示す正面図である。
図8】第1の実施形態における物品箱の外観を示す上面図である。
図9】第1の実施形態における物品箱の動きを示す側面図である。
図10】第2の実施形態のピッキング支援装置の構成を示す正面図である。
図11】第2の実施形態におけるピッキング支援装置のシステム構成を示すブロック図である。
図12】第2の実施形態において用いられる物品棚の引き出しの構造を示す斜視図である。
図13図12に図示されている引き出しの構造を示す上面図である。
図14】第12に図示されている引き出しの構造を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態を説明する。一実施形態では、ピッキング支援装置が、物品が蓄積される物品棚と、作業者への指示を物品棚に定められた表示領域に表示するプロジェクタと、演算装置とを具備する。物品棚には、物品の物品棚からの取り出しに伴って動く動き部材が設けられている。演算装置は、該動き部材の動きを検出し、動き部材の動きに基づいて作業者の作業ミスを検出する。例えば、ある動き部材が動いた位置が、取り出すべき物品の位置から離れている場合、演算装置は、作業ミスが発生したと判断することができる。このような構成によれば、作業ミスを抑制することができる。以下では、本発明の様々な実施形態について説明する。
【0014】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態のピッキング支援装置10の構成を示す正面図であり、図2は、ピッキング支援装置10の構成を示す側面図であり、図3は、図1のIII−III断面におけるピッキング支援装置10の構造を示す断面図である。なお、以下においては、方向を示すためにXYZ直交座標系を用いて説明を行う。
【0015】
図1に図示されているように、本実施形態のピッキング支援装置10は、物品棚1と、プロジェクタ2と、カメラ3、4と、確認スイッチ6とを備えている。
【0016】
物品棚1は、床Fの上に設置されており、ピッキングすべき物品P(例えば、部品や商品)を収容する物品箱7を所望の位置に保持する。本実施形態では、物品棚1は、ラグ12で連結されたパイプ11を用いて構成されている。なお、以下において、物品棚1の前側に位置し、且つ、水平方向(X軸方向)に延伸するパイプ11を、前側横パイプ11aと記載し、物品棚1の後側に位置し、且つ、水平方向(X軸方向)に延伸するパイプ11を、後側横パイプ11bと記載することがある。
【0017】
本実施形態では、図3に図示されているように、下から3本の前側横パイプ11aと下から3本の後側横パイプ11bとの間に棚板11cが渡されており、物品箱7は、棚板11cの上に置かれる。隣接する前側横パイプ11aの間には、物品箱7に収容された物品Pを取り出す間口1aが形成されている。
【0018】
物品棚1の各間口1aに、スクリーン5が吊り下げられている。スクリーン5は、プロジェクタ2によって投影される画像の表示領域として用いられる。本実施形態では、Z軸方向に長い多数のスクリーン5が各間口1aに吊り下げられている。スクリーン5は、不透明又は半透明であり、且つ、可とう性(flexibility)を有している。適宜の織物(fabric)やシート(sheet)がスクリーン5として使用され得る。
【0019】
プロジェクタ2は、スクリーン5に作業者Wへの指示を表示する。本実施形態では、プロジェクタ2は、スクリーン5に、ピッキングすべき物品及びその数量を指定するピッキング指示標示(picking instruction sign)を表示する。プロジェクタ2は、物品棚1の上部に設けられた支持機構8によって吊り下げられて保持されており、プロジェクタ2は、上方から斜め下方向に向けて投影してスクリーン5にピッキング指示標示を表示する。これは、作業者Wの動線を妨げないためである。プロジェクタ2としては、短焦点プロジェクタが好適に使用される。
【0020】
カメラ3、4は、物品棚1を撮影して撮像画像を取得する撮像装置として用いられる。物品棚1の間口1aには、スクリーン5が設けられているので、取得された撮像画像にはスクリーン5が写されている。後述のように、物品棚1を撮影して得られた撮像画像は、スクリーン5の動き(motion)の検出に用いられる。後述のように、本実施形態のピッキング支援装置10では、撮像画像から検出されたスクリーン5の動きに基づいて作業ミスの検知が行われる。複数のカメラ、本実施形態では2つのカメラ3、4が、物品棚1の撮影に用いられる。これは、スクリーン5を撮影できない死角を減少するためである。図2に示されているように、作業者Wが物品棚1の前に立って作業するので、単一のカメラしか設けられていない場合、スクリーン5を撮影できない死角が生じ得る。このような問題に対応するために、複数のカメラ、本実施形態では2つのカメラ3、4が設けられる。カメラ3は、アーム17によってプロジェクタ2の筐体に接合されており、カメラ4は、アーム18によってプロジェクタ2の筐体に接合されている。
【0021】
図4は、スクリーン5の構造を示す拡大正面図である。スクリーン5は、その上端が前側横パイプ11aに接合されており、これにより、スクリーン5は、前側横パイプ11aから下方に吊り下げられている。スクリーン5にはピッキング指示標示30が表示される。本実施形態では、ピッキング指示標示30は、数字が埋め込まれた光スポットとしてスクリーン5に表示される。作業者Wは、ピッキング指示標示30から物品を取るべき物品箱7を認識し、更に、ピッキング指示標示30に含まれている数字から、取るべき物品の数を認識することができる。なお、スクリーン5に表示されるピッキング指示標示30は、数字以外の様々な情報を含んでいてもよい。例えば、表示されるピッキング指示標示30は、商品又は部品の画像や、作業における注意事項を含んでいてもよい。
【0022】
スクリーン5は、Z軸方向において、作業者Wが物品箱7から物品を取り出すときにスクリーン5に必ず触れる程度の長さを有している。これは、作業者Wが物品を取り出したときに少なくとも一のスクリーン5が動くようにするためである。
【0023】
加えて、各スクリーン5には、上下方向に並んだ2つのマーカー31、32が設けられている。マーカー31、32は、カメラ3、4の撮像画像から各スクリーン5の動きを検出することを容易にするために設けられる。マーカー31、32は、画像処理において検出が容易であるような外観を有するように形成される。撮像画像から各スクリーン5の動きを検出する場合、撮像画像においてマーカー31、32が探索され、更に、マーカー31、32の動きが検出される。撮像画像におけるマーカー31、32の動きが、スクリーン5の動きとして検出される。なお、各スクリーン5に付されるマーカーの数及び形状は、様々に変更され得ることに留意されたい。
【0024】
確認スイッチ6は、ピッキング支援装置10に物品箱7に収容されている物品がピッキングされたことを教示するために用いられる。ピッキング支援装置10が使用される場合、各物品箱7は確認スイッチ6に対応づけられ、対応する確認スイッチ6の近傍に置かれる。作業者Wは、ある物品箱7から物品を取り出した後、対応する確認スイッチ6を押下する。これにより、ピッキング支援装置10は、該物品箱7から物品が取り出されたことを把握することができる。
【0025】
図5は、本実施形態におけるピッキング支援装置10のシステム構成を示すブロック図である。本実施形態のピッキング支援装置10は、スイッチコントローラ21と、管理端末22とを備えている。
【0026】
スイッチコントローラ21は、バス23を介して各確認スイッチ6に接続されている。スイッチコントローラ21は、各確認スイッチ6の押下を検出する。ある確認スイッチ6の押下を検出すると、スイッチコントローラ21は、該確認スイッチ6が押下されたことを示すスイッチ押下データを、管理端末22に送信する。
【0027】
管理端末22は、ピッキング支援装置10全体の動作を制御する。管理端末22は、インターフェース24と、演算装置25と、表示装置26と、入力装置27とを備えている。
【0028】
インターフェース24は、プロジェクタ2、カメラ3、4及びスイッチコントローラ21とのデータ通信に用いられる。
【0029】
演算装置25は、ピッキング支援装置10全体の動作を制御するための様々なデータ処理を行う。例えば、演算装置25は、作業者Wがピッキングすべき物品及びその数量を指定するピッキング指示データを生成すると共に、生成したピッキング指示データに基づいて、ピッキング指示標示を所望の位置に表示するようにプロジェクタ2に指示する表示制御データを生成する。例えば、ピッキング支援装置10が生産ラインにおいて用いられる場合、演算装置25は、スイッチコントローラ21から送られてくるスイッチ押下データを参照しながら、ピッキング支援装置10の前に搬送されてきた半製品に対応するピッキング指示データを生成し、更に、該ピッキング指示データに対応する表示制御データを生成する。生成された表示制御データは、プロジェクタ2に送信され、プロジェクタ2は、表示制御データに応じてピッキング指示標示を所望の位置に表示する。
【0030】
また、演算装置25は、カメラ3、4によってスクリーン5を撮影して得られた撮像画像から各スクリーン5の動き(motion)を検出し、検出したスクリーン5の動きに基づいて作業ミスを検知する。例えば、動いたスクリーン5の位置が、ピッキング指示データに整合しない場合、演算装置25は、作業ミスが発生したと判断する。作業ミスを検知すると、演算装置25は、アラームを発生する。アラームとしては、適宜の視覚的、音響的な出力(例えば、表示装置26へのアラーム表示やアラーム音)が用いられ得る。
【0031】
表示装置26と入力装置27とは、ピッキング支援装置10のマン−マシンインターフェースとして用いられる。表示装置26は、ピッキング支援装置10の管理者に様々な情報を表示するために用いられる。入力装置27は、管理端末22に、データや指示を入力するために用いられる。管理端末22としては汎用のパーソナルコンピュータやラップトップコンピュータが使用され得る。
【0032】
なお、図5の構成では、確認スイッチ6とスイッチコントローラ21とが、バス23を介して接続されて互いに通信を行っているが、確認スイッチ6とスイッチコントローラ21とは、無線通信(例えば、無線LAN(local area network))によって通信を行ってもよい。
【0033】
また、確認スイッチ6を用いず、各物品箱7から物品が取り出されたことを、カメラ3、4によって得られた撮像画像に基づいて検出してもよい。上記のように、カメラ3、4によって得られた撮像画像から、各スクリーン5の動き(又はマーカー31、32の動き)が検出され、この撮像画像におけるスクリーン5の動き(又はマーカー31、32の動き)から、どの物品箱7から物品が取り出されたかを検出してもよい。
【0034】
図1図3に図示されているように、本実施形態のピッキング支援装置10では、プロジェクタ2が、支持機構8によって物品棚1の上部から吊り下げられている。このような構成の一つの問題は、プロジェクタ2に振動が作用しやすいことである。プロジェクタ2に振動が作用すると、スクリーン5に表示されるピッキング指示標示も揺れ、作業者Wにとってピッキング指示標示が見難くなることがある。特に、本実施形態のように、物品棚1が、ラグ12で連結されたパイプ11を用いて構成されている場合には、振動が大きくなる傾向があり、プロジェクタ2に印加される振動の問題は重要な問題になり得る。
【0035】
プロジェクタ2に印加される振動を軽減するために、本実施形態では、図6に図示されているように、支持機構8が振動絶縁(vibration isolation)を行うように構成されている。詳細には、本実施形態では、支持機構8が、1対のアーム13と、梁部材14と、吊り下げ部材15とを備えている。
【0036】
図2に図示されているように、アーム13は、物品棚1の上部に取り付けられている。図6に図示されているように、各アーム13は、梁部材14の両端部を支持しており、梁部材14に吊り下げ部材15が設けられるプロジェクタ2は、吊り下げ部材15によって梁部材14に結合されて吊り下げられている。
【0037】
プロジェクタ2と物品棚1との間の振動絶縁のために、各アーム13と梁部材14の間に振動絶縁装置16が設けられている。振動絶縁装置16は、アーム13と梁部材14とが相対的に移動可能であるように梁部材14を支持し、これにより、振動絶縁を実現する。本実施形態では、各振動絶縁装置16は、対応するアーム13に接合されるボトムプレート16aと、梁部材14の端部に接合されるトッププレート16bと、ボトムプレート16aとトッププレート16bの間に挟まれている弾性部材16cとを備えている。弾性部材16cは、例えば、弾性ゴムなどで形成された防振パッドで形成され得る。
【0038】
プロジェクタ2への振動の印加の問題への更なる対応手法としては、プロジェクタ2それ自体が、プロジェクタ2に印加された振動をキャンセルするように構成されてもよい。例えば、図7に示されているように、プロジェクタ2が、画像をスクリーン5に投影する光学系(例えば、光源とライトバルブ(例えば、液晶パネル)と、レンズ系)を収容する光学ユニット2aと、アクチュエータ2bと、振動センサ2cとを備えていてもよい。
光学ユニット2aは、プロジェクタ2の筐体に対して移動可能に支持されている。アクチュエータ2bは、振動センサ2cによって検出された振動をキャンセルするように光学ユニット2aを変位させる。このような構成のプロジェクタ2を使用することにより、プロジェクタ2への振動の印加の問題を軽減させることができる。
【0039】
続いて、本実施形態におけるピッキング作業の手順、及び、該ピッキング作業が行われるときのピッキング支援装置10の動作について説明する。
【0040】
ピッキング作業の準備が完了した後、次に作業者Wがピッキングすべき物品及びその数量を指定するピッキング指示データが、演算装置25によって生成される。例えば、ピッキング支援装置10が生産ラインにおいて用いられる場合、ピッキング支援装置10の前に半製品が搬送され、搬送されてきた半製品に組み付けるべき部品及びその数量を指定するピッキング指示データが生成される。他の例では、ピッキング支援装置10が物流拠点で用いられる場合、ピッキング支援装置10の前にシッパーが搬送され、搬送されてきたシッパーに収容すべき商品及びその数量を指定するピッキング指示データが生成される。
【0041】
更に、ピッキング指示データに基づいて、ピッキング指示標示を所望の位置に表示するようにプロジェクタ2に指示する表示制御データが演算装置25によって生成され、生成された表示制御データがプロジェクタ2に送信される。プロジェクタ2は、受け取った表示制御データに応答して、スクリーン5にピッキング指示標示を表示する。ピッキング指示標示は、次に作業者Wがピッキングすべき物品が収容されている物品箱7の前の位置に表示され、これにより、作業者Wは、次にピッキングすべき物品を認識することができる。また、ピッキング指示標示は、ピッキングすべき物品の数量を含んでいるので、作業者は、次にピッキングすべき物品の数量も認識することができる。
【0042】
作業者Wは、スクリーン5に表示されたピッキング指示標示を参照しながら、ピッキング作業を行う。作業者Wは、ピッキング指示標示が表示されている位置の近傍の物品箱7からピッキング指示標示に指定されている数の物品を取り出し、必要な作業(例えば、部品の半製品への組み付けや商品のシッパーへの収納)を行う。
【0043】
作業者Wは、物品箱7から物品を取り出した後、該物品箱7に対応する確認スイッチ6を押す。スイッチコントローラ21は、確認スイッチ6の押下を検出し、該確認スイッチ6が押下されたことを示すスイッチ押下データを、管理端末22に送信する。
【0044】
管理端末22の演算装置25は、スイッチ押下データから確認スイッチ6の押下を認識すると、次に作業者Wがピッキングすべき物品及びその数量を指定するピッキング指示データを生成する。以下、同様の手順によってピッキング作業が行われる。
【0045】
なお、確認スイッチ6を用いない構成が採用される場合には、物品箱7からの物品の取り出しは、カメラ3、4によって取得された撮像画像に基づいて検出してもよい。この場合、演算装置25は、カメラ3、4によって取得された撮像画像に対して画像処理を行い、撮像画像から適切な物品箱7から物品が取り出されたことを検出すると、次に作業者Wがピッキングすべき物品及びその数量を指定するピッキング指示データを生成する。
【0046】
上記のピッキング作業において生じ得る一つの問題は、作業ミス、即ち、作業者Wによって誤った物品が取り出されるミスが発生し得ることである。作業ミスは、可能な限り抑制されることが望ましい。
【0047】
作業ミスを抑制するために、本実施形態では、スクリーン5の動きが検出され、検出したスクリーンの動きに基づいて作業者Wの作業ミスが検出される。物品を物品箱7から取り出す際、作業者Wは、不可避的にスクリーン5に接触するので、スクリーン5が動くよって、スクリーン5の動きを検出することで、作業ミスを検出することができる。
【0048】
本実施形態では、カメラ3、4によって撮影されたスクリーン5の撮像画像に対して演算装置25によって画像処理が行われ、これにより、スクリーン5の動きが検出される。上述のように、本実施形態では、各スクリーン5に2つのマーカー31、32が設けられており、撮像画像から各スクリーン5の動きを検出する画像処理においては、撮像画像においてマーカー31、32が探索される。マーカー31、32の動きが、スクリーン5の動きとして検出される。
【0049】
検出したスクリーン5の動きが、ピッキング指示データの内容と整合しない場合、演算装置25は、作業ミスが発生したと判断してアラームを発生する。例えば、ピッキング指示データにおいてピッキングされるべき物品を収容する物品箱7と離れた位置においてスクリーン5の動きを検出した場合、演算装置25は、作業ミスが発生したと判断してアラームを発生する。アラームは、警告灯の点灯又は警告音の発生といった形態で発生され得る。
【0050】
なお、スクリーン5の動きは、適宜の手法で検出可能である。例えば、スクリーン5の動きを機械的に検出するセンサによってスクリーン5の動きを検出してもよい。但し、本実施形態のように、撮像画像からスクリーン5の動きを検出する手法は、簡便な構成で多数のスクリーン5の検出を行える点で好適である。
【0051】
本実施形態において、空になった物品箱7を交換する作業については、スクリーン5の動きがピッキング指示データに整合していなくても、作業ミスとしては検出しないことが望ましい。空になった物品箱7を交換する作業は、通常作業として行われるものであるから、このような作業に対してアラームを発生することは望ましくない。
【0052】
不必要なアラームの発生を抑止するためには、ピッキング支援装置10が、物品箱7の動きを検出するように構成されることが好ましい。この場合、作業ミスは、スクリーン5の動きに加え、物品箱7の動きに基づいて検出される。例えば、スクリーン5の動きが、ピッキング指示データに整合していなくても、動きがあったスクリーン5の近傍で物品箱7の動きが検出された場合には、作業ミスとしては検出されず、アラームは発生されない。本実施形態では、物品箱7の動きは、カメラ3、4によって取得された撮像画像に対して画像処理を行うことによって検出される。
【0053】
物品箱7の動きを確実に検出するためには、図8に図示されているように、各物品箱7にマーカーが付されていることが望ましい。例えば、図8の例では、各物品箱7に3つのマーカー33〜35が付されている。マーカー33〜35は、カメラ3、4による撮影が容易であるような物品箱7の位置に付される。図9に図示されているように、カメラ3、4は、上方から物品箱7を撮影するから、マーカー33〜35は、物品箱7の側壁の上面に付されることが好ましい。また、マーカー33〜35は、画像処理において検出が容易であるような外観を有するように形成されることが好ましい。演算装置25は、撮像画像の画像処理において、撮像画像においてマーカー33〜35の像を探索し、更に、マーカー33〜35のいずれかの像を発見した場合には、発見したマーカーの動きを検出する。撮像画像におけるマーカーの動きが、物品箱7の動きとして検出される。
【0054】
以上に述べられているように、第1の実施形態のピッキング支援装置10は、スクリーン5の動きに基づいて作業ミスを検出するので、作業ミスを抑制することができる。スクリーン5の動きを検出して作業ミスを検出する本実施形態の手法は、プロジェクタを表示デバイスとして用いる構成に好適である。
【0055】
(第2の実施形態)
図10は、第2の実施形態のピッキング支援装置10Aの構成を示す正面図であり、図11は、ピッキング支援装置10Aの構成を示すブロック図である。第2の実施形態のピッキング支援装置10Aの構成は、第1の実施形態のピッキング支援装置10と類似している。ただし、物品棚41の構成が相違しており、更に、物品棚41の構成に合わせて、作業ミスの検出方法が変更されている。加えて、第2の実施形態のピッキング支援装置10Aでは、確認スイッチ6及びスイッチコントローラ21は設けられない。以下、第2の実施形態のピッキング支援装置10Aについて詳細に説明する。
【0056】
第2の実施形態のピッキング支援装置10Aは、物品棚41と、支持フレーム42と、プロジェクタ2と、カメラ3、4とを備えている。物品棚41と支持フレーム42とは、床Fの上に設置されている。支持フレーム42は、プロジェクタ2及びカメラ3、4を支持している。
【0057】
第2の実施形態では、物品棚41は、比較的小さな物品を蓄積するために好適な構成を有している。より具体的には、物品棚41は、キャビネット43と、物品を収容する物品箱として使用される引き出し44とを備えている。図10の構成では、物品棚41の左半分に3列14行の引き出し44が設けられ、右半分に3列14行の引き出し44が設けられている。キャビネット43は、引き出し44が出し入れ可能であるように(即ち、引き出し44が、+Y方向及び−Y方向に移動可能であるように)引き出し44を保持する。なお、引き出し44の数や配置は、様々に変更可能である。
【0058】
図12図13図14は、それぞれ、引き出し44の構造を示す斜視図、上面図、側面図である。図12に図示されているように、引き出し44は、上面が開いている箱部材51を備えており、図13に図示されているように、箱部材51の内部は仕切り52によって複数の区画(本実施形態では6つの区画)に仕切られている。図12図14に図示されているように、箱部材51の前面51aには、把持部53が取り付けられている。作業者は、把持部53を持つことで引き出し44を引き出すことができる。把持部53は、斜め面53aを有しており、この斜め面53aには、無地のラベル54が貼り付けられる。各引き出し44のラベル54は、プロジェクタ2によって投影される画像の表示領域として用いられる。
【0059】
箱部材51の両側面51b(即ち、+X方向に面する面及び−X方向に面する面)には、マーカー55が設けられている。マーカー55は、カメラ3、4によって取得された撮像画像から各引き出し44の動きを検出することを容易にするために設けられる。マーカー55は、画像処理において検出が容易であるような外観を有するように形成される。撮像画像から各引き出し44の動きを検出する場合、撮像画像においてマーカー55が探索され、更に、マーカー55の動きが検出される。撮像画像におけるマーカー55の動きが、対応する引き出し44の動きとして検出される。なお、各引き出し44に付されるマーカー55の数及び形状は、様々に変更され得る。
【0060】
図10に戻り、プロジェクタ2は、各引き出し44に設けられたラベル54に作業者Wへの指示を表示する。本実施形態では、プロジェクタ2は、ピッキングすべき物品が収納された引き出し44のラベル54に、ピッキングすべき物品及びその数量を指定するピッキング指示標示を表示する。プロジェクタ2は、各引き出し44に設けられたラベル54以外にも、物品棚41の所望の位置に所望の標示を表示してもよい。例えば、プロジェクタ2は、物品棚41の中央部41aに、作業者への指示や作業における注意事項を示す標示を表示してもよい。
【0061】
本実施形態では、プロジェクタ2は、支持フレーム42の上部に設けられた支持機構45によって吊り下げられて保持されており、プロジェクタ2は、上方から斜め下方向に向けて画像を投影して各引き出し44のラベル54にピッキング指示標示を表示する。支持機構45は、第1の実施形態の支持機構8と同様に、振動絶縁を行うように構成されてもよい。また、プロジェクタ2それ自体が、図7に図示されているように、プロジェクタ2に印加された振動をキャンセルするように構成されてもよい。このような構成のプロジェクタ2を使用することにより、プロジェクタ2への振動の印加の問題を軽減させることができる。
【0062】
カメラ3、4は、物品棚41を撮影して撮像画像を取得する撮像装置として用いられる。後述のように、本実施形態では、物品棚41を撮影して得られた撮像画像が、引き出し44の動きの検出に用いられる。カメラ3、4は、支持フレーム42の縦ポール46に取り付けられている。本実施形態では、カメラ3、4は、横方向から物品棚41を撮影するように配置されている。詳細には、カメラ3は、物品棚41の左側に(即ち、物品棚41に対して+X方向に)位置しており、カメラ4は、物品棚41の右側に(即ち、物品棚41に対して−X方向に)位置している。これは、引き出し44の箱部材51の両側面51bに設けられたマーカー55を撮影するためである。後述のように、各引き出し44の両側面51bに設けられたマーカー55が、各引き出し44の動きの検出のために用いられる。
【0063】
図11を参照して、本実施形態のピッキング支援装置10Aは、ピッキング支援装置10A全体の動作を制御する管理端末22を備えている。管理端末22は、管理端末22は、インターフェース24と、演算装置25と、表示装置26と、入力装置27とを備えている。
【0064】
演算装置25は、ピッキング支援装置10A全体の動作を制御するための様々なデータ処理を行う。例えば、演算装置25は、作業者がピッキングすべき物品及びその数量を指定するピッキング指示データを生成すると共に、生成したピッキング指示データに基づいて、ピッキング指示標示を所望の引き出し44のラベル54に表示するようにプロジェクタ2に指示する表示制御データを生成する。生成された表示制御データは、プロジェクタ2に送信され、プロジェクタ2は、表示制御データに応じてピッキング指示標示を所望の引き出し44のラベル54に表示する。また、演算装置25は、引き出し44のラベル54以外にも、物品棚41の所望の位置に所望の標示を表示するようにプロジェクタ2を制御してもよい。
【0065】
また、演算装置25は、カメラ3、4によって物品棚41を撮影して得られた撮像画像から各引き出し44の動きを検出し、検出した引き出し44の動きに基づいて作業ミスを検知する。例えば、動いた引き出し44の位置が、ピッキング指示データに整合しない場合、演算装置25は、作業ミスが発生したと判断する。作業ミスを検知すると、演算装置25は、アラームを発生する。アラームとしては、適宜の視覚的、音響的な出力(例えば、表示装置26へのアラーム表示やアラーム音)が用いられ得る。
【0066】
続いて、本実施形態におけるピッキング作業の手順、及び、該ピッキング作業が行われるときのピッキング支援装置10の動作について説明する。
【0067】
ピッキング作業の準備が完了した後、次に作業者がピッキングすべき物品及びその数量を指定するピッキング指示データが、演算装置25によって生成される。
【0068】
更に、ピッキング指示データに基づいて、ピッキング指示標示を、次にピッキングすべき物品を収納している引き出し44のラベル54に表示するようにプロジェクタ2に指示する表示制御データが演算装置25によって生成され、生成された表示制御データがプロジェクタ2に送信される。プロジェクタ2は、受け取った表示制御データに応答して、当該引き出し44のラベル54にピッキング指示標示を表示する。ピッキング指示標示は、次に作業者Wがピッキングすべき物品が収容されている引き出し44のラベル54に表示されるので、作業者は、次にピッキングすべき物品を容易に認識することができる。また、ピッキング指示標示は、ピッキングすべき物品の数量を含んでいるので、作業者は、次にピッキングすべき物品の数量も認識することができる。
【0069】
作業者は、引き出し44のラベル54に表示されたピッキング指示標示を参照しながら、ピッキング作業を行う。作業者Wは、ピッキング指示標示が表示されている引き出し44からピッキング指示標示に指定されている数の物品を取り出し、必要な作業(例えば、部品の半製品への組み付けや商品のシッパーへの収納)を行う。
【0070】
作業者が引き出し44から物品を取り出したことは、カメラ3、4によって取得される撮像画像から検出することができる。ある引き出し44から物品を取り出す際には、当該引き出し44が不可避的に動く。演算装置25は、撮像画像から、引き出し44の動きを検出し、検出した引き出し44の動きから適正な引き出し44から物品を取り出したことを検出することができる。上述のように、本実施形態では、各引き出し44にマーカー55が設けられており、撮像画像から各引き出し44の動きを検出する画像処理においては、撮像画像においてマーカー55が探索される。マーカー55の動きが、引き出し44の動きとして検出される。演算装置25は、撮像画像から、適切な引き出し44から物品が取り出されたことを検出すると、次に作業者Wがピッキングすべき物品及びその数量を指定するピッキング指示データを生成する。
【0071】
また、不適正な引き出し44の動きが検出された場合には、演算装置25は、作業ミスが発生したと判断する。検出した引き出し44の動きが、ピッキング指示データの内容と整合しない場合、演算装置25は、作業ミスが発生したと判断してアラームを発生する。例えば、ピッキング指示データにおいてピッキングされるべき物品を収容する引き出し44と離れた位置において引き出し44の動きを検出した場合、演算装置25は、作業ミスが発生したと判断してアラームを発生する。アラームは、警告灯の点灯又は警告音の発生といった形態で発生され得る。
【0072】
以上に述べられているように、第2の実施形態のピッキング支援装置10Aは、引き出し44の動きに基づいて作業ミスを検出するので、作業ミスを抑制することができる。引き出し44の動きを検出して作業ミスを検出する本実施形態の手法は、プロジェクタを表示デバイスとして用いる構成に好適である。
【0073】
以上には、本発明の実施形態が具体的に記述されているが、本発明は、上記の実施形態に限定されると解釈してはならない。本発明が様々な変更と共に実施され得ることは、当業者には自明的であろう。
【符号の説明】
【0074】
1 :物品棚
1a :間口
2 :プロジェクタ
2a :光学ユニット
2b :アクチュエータ
2c :振動センサ
3 :カメラ
4 :カメラ
5 :スクリーン
6 :確認スイッチ
7 :物品箱
8 :支持機構
10 :ピッキング支援装置
11 :パイプ
11a :前側横パイプ
11b :後側横パイプ
11c :棚板
12 :ラグ
13 :アーム
14 :梁部材
15 :吊り下げ部材
16 :振動絶縁装置
16a :ボトムプレート
16b :トッププレート
16c :弾性部材
17 :アーム
18 :アーム
21 :スイッチコントローラ
22 :管理端末
23 :バス
24 :インターフェース
25 :演算装置
26 :表示装置
27 :入力装置
30 :ピッキング指示標示
31 :マーカー
32 :マーカー
33 :マーカー
34 :マーカー
35 :マーカー
41 :物品棚
42 :支持フレーム
43 :キャビネット
44 :引き出し
45 :支持機構
46 :縦ポール
51 :箱部材
51a :前面
51b :側面
52 :仕切り
53 :把持部
53a :斜め面
54 :ラベル
55 :マーカー
F :床
P :物品
W :作業者
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14