特許第6496089号(P6496089)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6496089
(24)【登録日】2019年3月15日
(45)【発行日】2019年4月3日
(54)【発明の名称】弁装置
(51)【国際特許分類】
   F16K 31/06 20060101AFI20190325BHJP
   F16K 1/00 20060101ALI20190325BHJP
   F16K 31/44 20060101ALI20190325BHJP
【FI】
   F16K31/06 305J
   F16K1/00 E
   F16K31/44 H
【請求項の数】4
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2018-537556(P2018-537556)
(86)(22)【出願日】2018年7月17日
(86)【国際出願番号】JP2018026680
【審査請求日】2018年7月17日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000146010
【氏名又は名称】株式会社ショーワ
(74)【代理人】
【識別番号】100067356
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 容一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100160004
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 憲雅
(74)【代理人】
【識別番号】100120558
【弁理士】
【氏名又は名称】住吉 勝彦
(74)【代理人】
【識別番号】100148909
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧澤 匡則
(74)【代理人】
【識別番号】100192533
【弁理士】
【氏名又は名称】奈良 如紘
(72)【発明者】
【氏名】村上 陽亮
【審査官】 松浦 久夫
(56)【参考文献】
【文献】 特開平03−117785(JP,A)
【文献】 米国特許第6547214(US,B2)
【文献】 国際公開第2014/010412(WO,A1)
【文献】 特開平03−107602(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 31/06 − 31/11
F16K 31/122
F16K 31/44 − 31/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
進退動作が可能な作動ロッドを備えたアクチュエータと、
進出する前記作動ロッドによって押されることにより前記作動ロッドと同方向に進出可能な第1押し部材と、
前記第1押し部材の軸方向と交差する方向に延び、前記第1押し部材の軸中心側の一端部に前記第1押し部材によって押される力点を有し、前記軸中心とは異なる側の他端部に支点を有し、前記力点と前記支点との間に作用点を有する、少なくとも1つのモーメントアームを具備する板状部材と、
前記モーメントアームの前記作用点から力を受けることにより、前記第1押し部材と同方向に進出可能な第2押し部材と、
前記第2押し部材の進退動作に従って開閉動作が可能な弁と、
を備え
前記板状部材は、周方向に間隔をあけて配置された複数の前記モーメントアームを有し、
前記複数のモーメントアームの各々の前記力点は、前記第1押し部材の先端部によって押され、
前記第2押し部材は、前記複数のモーメントアームの各々の前記作用点から力を受ける被作用面を有し、
前記支点が配置される、前記板状部材の環状の枠部によって、前記複数のモーメントアームは、一体に連結されている、弁装置。
【請求項2】
前記板状部材は、前記枠部と前記複数のモーメントアームとが連結されている部位の幅が、前記作用点が配置される部位の幅よりも狭い、請求項1に記載の弁装置。
【請求項3】
前記板状部材は弾性体である、請求項1又は請求項2に記載の弁装置。
【請求項4】
前記アクチュエータは電磁ソレノイドである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の弁装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、進退動作が可能な作動ロッドを備えたアクチュエータによって開閉可能な、弁装置に関する。
【背景技術】
【0002】
アクチュエータによって弁を開閉する弁装置には、弁を直接に開閉する直動式弁装置と、流体の圧力差を用いて弁体を駆動させることにより主回路を開閉するパイロット式弁装置とがある。直動式弁装置は、例えば特許文献1によって知られている。
【0003】
特許文献1で知られている直動式弁装置は、アクチュエータの一種であるソレノイドを用いて弁を開閉する。ソレノイドの励磁用コイルが非励磁の状態では、弁体が弁座を閉じている。励磁用コイルに電流が供給されることによって、ソレノイドのプランジャは軸方向の推力を発生する。プランジャと一体の作動ロッドは、プランジャの推力によって軸方向へ移動し、プッシュロッドを押す。押されたプッシュロッドは、弁体を弁座から離す。この結果、弁が開く。
【0004】
特許文献2で知られているパイロット式弁装置は、メインバルブに対して閉弁方向に内圧を作用させるパイロット室と、このパイロット室の内圧を調整するパイロット弁とを備えている。つまり、弁動作が2段階になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2016−175555号公報
【特許文献2】特開2017−008970号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1で知られている直動式弁装置では、ソレノイドを用いて、弁を直接、開閉するので、比較的大型のソレノイドを用いる必要があるとともに、消費電力も多くなりがちである。特に、弁の口径が大きいほど、その傾向が高い。
【0007】
一方、特許文献2で知られているパイロット式弁装置は、小さい操作力によって大きい弁を開閉することができる。しかし、弁装置の構造が複雑である。しかも、弁動作が2段階になるので、弁の開閉動作の応答性の遅れに対する配慮も必要である。
【0008】
本発明は、簡単な構成により、小さい操作力によって大きい弁を開閉することができる弁装置を、提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、
進退動作が可能な作動ロッドを備えたアクチュエータと、
進出する前記作動ロッドによって押されることにより前記作動ロッドと同方向に進出可能な第1押し部材と、
前記第1押し部材の軸方向と交差する方向に延び、前記第1押し部材の軸中心側の一端部に前記第1押し部材によって押される力点を有し、前記軸中心とは異なる側の他端部に支点を有し、前記力点と前記支点との間に作用点を有する、少なくとも1つのモーメントアームを具備する板状部材と、
前記モーメントアームの前記作用点から力を受けることにより、前記第1押し部材と同方向に進出可能な第2押し部材と、
前記第2押し部材の進退動作に従って開閉動作が可能な弁と、
を備え
前記板状部材は、周方向に間隔をあけて配置された複数の前記モーメントアームを有し、
前記複数のモーメントアームの各々の前記力点は、前記第1押し部材の先端部によって押され、
前記第2押し部材は、前記複数のモーメントアームの各々の前記作用点から力を受ける被作用面を有し、
前記支点が配置される、前記板状部材の環状の枠部によって、前記複数のモーメントアームは、一体に連結されている、弁装置が提供される。
【発明の効果】
【0010】
支点と力点と作用点とを有したモーメントアームを、用いることによって、「てこ」の原理を採用することができる。「てこ」の原理を利用した、機械的な倍力機構を採用して、パイロット弁を用いることのない簡単な構成により、小さい操作力によって大きい弁を開閉することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明による弁装置の断面図である。
図2図1に示される弁装置のガイド盤と第1押し部材と板状部材と第2押し部材と弁周りの拡大図である。
図3図2に示されるガイド盤と第1押し部材と板状部材と第2押し部材の分解図である。
図4図2に示されるガイド盤と第1押し部材と板状部材との組み合わせ構成の斜視図である。
図5図2に示されるガイド盤と第1押し部材と板状部材と第2押し部材との関係を示す説明図である。
図6図2に示される板状部材と第2押し部材との組み合わせ構成の斜視図である。
図7図1に示される弁装置の作用図である。
図8図3に示される板状部材の変形例1を軸方向から見た図である。
図9図3に示される板状部材の変形例2を軸方向から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明を実施するための形態を添付図に基づいて以下に説明する。
【0013】
図1に示されるように、弁装置10は、アクチュエータ20と第1押し部材30と板状部材50と第2押し部材60と弁70とを主要な構成要素とした、同軸直動式バルブである。
【0014】
アクチュエータ20は、進退動作(つまりスライド)が可能な作動ロッド24を備えており、電磁ソレノイドによって構成されることが好ましい。この電磁ソレノイド20(アクチュエータ20)は、励磁用コイル21の励磁によってプランジャ23を前進させるプッシュ型ソレノイドによって構成されている。さらに、この電磁ソレノイド20は、励磁用コイル21に供給される電流に従ってプランジャ23の進出距離が比例する、いわゆる比例ソレノイドであることが、より好ましい。比例ソレノイドの構成であれば、プランジャ23の進出距離に従って、弁70の開度を調整することができる。
【0015】
詳しく述べると、電磁ソレノイド20は、励磁用コイル21と、この励磁用コイル21の内側に設けられたコア22と、このコア22の内部に進退動作が可能に案内されたプランジャ23と、このプランジャ23に連結された棒状(管状を含む)の作動ロッド24とを備えている。
【0016】
これらの励磁用コイル21とコア22とプランジャ23と作動ロッド24とは、ソレノイドハウジング25に収納されている。このソレノイドハウジング25の中の、開放された一端は、リッド26によって塞がれている。作動ロッド24は、ブッシュ27,28(軸受27,28)によってコア22とリッド26とに支持されている。この作動ロッド24の進出方向(矢印Ag方向)の先端部24aは、リッド26を貫通している。
【0017】
第1押し部材30と板状部材50と第2押し部材60と弁70とは、作動ロッド24の中心線CL上に位置している。これらの部材は、アクチュエータ20から弁70へと向かう方向に、第1押し部材30、板状部材50、第2押し部材60、及び、弁70の順に配置されている。第2押し部材60は、後述する軸61が、板状部材50よりもアクチュエータ20側に配置され、被作用部62及びプッシュロッド63が、板状部材50よりも弁70側に配置されている。
【0018】
図1乃至図3に示されるように、第1押し部材30は、進出する作動ロッド24によって押されることにより、作動ロッド24と同方向に進出可能な筒状の部材であり、軸中心CL(作動ロッド24の中心線CL)を貫通した貫通孔31を有する。詳しく述べると、第1押し部材30は、筒状の本体32と、この本体32の先端に一体に構成された円形フランジ状の押し部33とを備えている。
【0019】
図1図2、及び、図7に示す形態において、本体32の後端面32aは、作動ロッド24の先端面24aによって押されることが可能に、この先端面24aに接している。この本体32は、第1押し部材30の軸方向へ進退可能に、ガイド盤40によって支持されている。
【0020】
押し部33(先端部33)の先端面33aは、先細り状の雄テーパ面である。なお、押し部33の先端面33aは、雄テーパ面に限定されるものではなく、例えば凸状または凹状の曲面であってもよい。このように、押し部33の先端面33aは、雄テーパ面や曲面であることが好ましい。その理由については後述する。
【0021】
図1及び図2に示されるように、ガイド盤40は、リッド26の端面(電磁ソレノイド20とは反対側の面)に重なっており、ソレノイドハウジング25に取り付けられている。このガイド盤40の端面40a(電磁ソレノイド20とは反対側の面40a)には、この端面40aから窪んだ凹部41と、端面40aから膨出した支持部42とが、設けられている。凹部41は、作動ロッド24の中心線CLを基準とした円形状の窪みである。凹部41の径と深さは、押し部33の進退運動に干渉しない大きさに設定されている。支持部42は、凹部41の縁を囲んだ円還状の部分であり、電磁ソレノイド20とは反対側へ延びている。支持部42の端面42a(先端面42a)は、作動ロッド24の中心線CLに対して直交した平坦面である。
【0022】
図3及び図4に示されるように、板状部材50は、板状の弾性体(例えば、ばね鋼の鋼板)によって、平板状に構成されている。この板状部材50の板面は、押し部33の先端面33aと支持部42の端面42aとに向いている。より詳しく述べると、板状部材50は、少なくとも1つ(より好ましくは複数)のモーメントアーム51と、環状の枠部52とを備える。図1乃至図9では、複数のモーメントアーム51を備える板状部材50を示している。
【0023】
図2も参照すると、複数のモーメントアーム51は、第1押し部材30の軸方向と交差する方向、つまり、作動ロッド24の中心線CLに対して直交する方向に細長く延びている。これら複数のモーメントアーム51は、周方向に間隔をあけて等ピッチに配置され、枠部52によって一体に連結されている。
【0024】
本発明の重要なポイントは、各モーメントアーム51が「てこ」の原理を利用したことにある。つまり、図5に示されるように、各モーメントアーム51は、第1押し部材30の軸中心CL側(中心線CL側)の一端部51aに力点P1を有し、軸中心CLとは異なる側の他端部51bに支点P2を有し、力点P1と支点P2との間(力点P1と支点P2との間であって、且つ、力点P1及び支点P2の裏面側)に作用点P3を有する。このように、各モーメントアーム51は、「てこ」の原理を利用した、機械的な倍力機構を構成する。
【0025】
モーメントアーム51の一端部51aは、押し部33の、雄テーパ状の先端面33aによって押されることが可能に、この先端面33aに向かい合っている。モーメントアーム51の一端部51aにおける、第1押し部材30の押し部33の先端面33aによって押される点が、力点P1である。1つのモーメントアーム51当たり、1つの力点P1を有している。
【0026】
モーメントアーム51の他端部51bは、支持部42の端面42aによって、直接にまたは平ワッシャ53を介して支持されている。モーメントアーム51の他端部51bにおける、支持部42の端面42aによって支持されている点が、支点P2である。枠部52は、複数のモーメントアーム51それぞれに備えられる、支点P2が配置される部分同士を連結している。
【0027】
作用点P3は、力点P1に受けた力を増大して第2押し部材60に付与する(第2押し部材60を押す)点である。
【0028】
支点P2から力点P1までの距離(第1距離)はL1である。支点P2から作用点P3までの距離(第2距離)はL2であり、第1距離L1よりも短い(L2<L1)。ここで、力点P1に働く力(入力)をW1し、作用点P3に働く力(作用力)をW2とする。「てこ」の原理により、式「L1×W1=L2×W2」が成立する。W2=W1×(L1/L2)であり、L1/L2>1であるため、入力W1に対して作用力W2を大きくすることができる。すなわち、小さい操作力W1によって大きい作用力W2を得ることができる。
【0029】
板状部材50は、枠部52と複数のモーメントアーム51とが連結されている部位54の幅Wd1が、前記作用点P3が配置される部位55の幅Wd2よりも狭い。
【0030】
第2押し部材60は、板状部材50に対し第1押し部材30とは反対側に位置しており、各モーメントアーム51の作用点P3から力を受けることにより、第1押し部材30と同方向に進出可能である。
【0031】
詳しく述べると、図2図5及び図6に示されるように、第2押し部材60は、第1押し部材30の貫通孔31に進退可能に支持された軸61と、この軸61の先端に一体に設けられた円盤状の被作用部62と、この被作用部62から第1押し部材30とは反対側へ延びたプッシュロッド63とを備える。軸61と被作用部62とプッシュロッド63とは、作動ロッド24の中心線CL上に位置しており、一体に形成または個々の部材同士の結合によって、一体的に構成される。
【0032】
被作用部62の、複数のモーメントアーム51に向かい合う対向面62aには、被作用面64と干渉防止用凹部65とが設けられている。
【0033】
被作用面64は、複数のモーメントアーム51の各々の作用点P3から力を受ける面であって、作動ロッド24の中心線CLを基準とした円形の環状面である。この環状の被作用面64は、各々の作用点P3に対して均一に当たるために、第1押し部材30の軸方向と交差する面(作動ロッド24の中心線CLに対して直交する面)、つまり、複数のモーメントアーム51に対して平行な面であることが好ましい。さらに、環状の被作用面64は、各々の作用点P3との接触位置を正確にするために、その断面が、作用点P3に近付くにつれて先細りとなるテーパ状であることが好ましい。
【0034】
干渉防止用凹部65は、対向面62aから窪んでいる。力点P1に力を受けた各モーメントアーム51は、第2押し部材60の対向面62aへ向かって弾性変形をする。対向面62aに干渉防止用凹部65を設けたので、弾性変形した各モーメントアーム51に対向面62aが干渉することはない。干渉防止用凹部65を有することにより、各モーメントアーム51と対向面62aとが近接しているにもかかわらず、各モーメントアーム51は容易に弾性変形をすることができる。
【0035】
ここで、図5に示される、第1押し部材30の押し部33の先端面33aを、雄テーパ面や曲面にすることが好ましい理由を、説明する。
【0036】
先ず、先端面33aが、モーメントアーム51の面に沿った平面である場合を、想定する。この場合には、作動ロッド24の進出方向(矢印Ag方向)へ進出した先端面33aは、モーメントアーム51の面に面接触することになる。これでは、先端面33aに押されたモーメントアーム51が曲がるにつれて、力点P1の位置が、先端面33aの径方向外側(中心線CLから離れる方向)へ、変化してしまう。その分、作用点P3に作用させる力は、小さくなりがちである。すなわち、このような形態では、倍力機構の効果を、十分に発揮し難い。
【0037】
これに対して本発明では、押し部33の先端面33aが雄テーパ面または曲面である。このため、先端面33aに押されたモーメントアーム51が曲がっても、力点P1の位置の変化を防ぐことができる。その結果、作用点P3に作用させる力を大きいままに維持することができる。つまり、先端面33aを雄テーパ面または曲面にすることにより、倍力機構の効果を、より一層十分に発揮することができる。これが、先端面33aを、雄テーパ面や曲面にした理由である。
【0038】
なお、本発明では、第1押し部材30の設計のし易さ等の観点から、押し部33の先端面33aを雄テーパ面や曲面にしているが、第2押し部材60の側を雄テーパ面や曲面にしてもよい。
【0039】
図2に示されるように、第1押し部材30と第2押し部材60とは、互いに軸方向へ離反する方向に、圧縮コイルばねからなる付勢部材67によって付勢されてもよい。
【0040】
図1及び図2に示されるように、第2押し部材60のプッシュロッド63は、弁70を開閉する。このため、弁70は、第2押し部材60の進退動作に従って開閉動作が可能である。この弁70は、弁ハウジング71と弁座72と弁体73と押し付け部材74と付勢部材75とを備える。
【0041】
弁ハウジング71は、ソレノイドハウジング25に対して直接にまたはガイド盤40を介して取り付けられており、板状部材50と第2押し部材60とを収納している。さらに弁ハウジング71は、弁座72と弁体73と押し付け部材74と付勢部材75とを収納するとともに、流体が通過可能な第1ポート71aと第2ポート71bとを有している。例えば、第1ポート71aは流体の入口であり、第2ポート71bは流体の出口である。この第2ポート71bは、第1ポート71aよりも第2押し部材60側に位置している。
【0042】
弁座72と弁体73と押し付け部材74と付勢部材75とは、それぞれの軸中心が、第1押し部材30の軸中心CL(中心線CL上)に位置するとともに、第2押し部材60の進出方向にこの順に配列されている。
【0043】
弁座72は、弁ハウジング71にねじ込み可能な中空部材であって、軸方向に貫通した流路72aと、座面72bとを有する。座面72bは、第2押し部材60とは反対側の端面に形成された雌テーパ面である。流路72aは、弁座72の軸方向に貫通するとともに、第2ポート71bへ向かって弁座72を径方向にも貫通しており、座面72bを貫通している。プッシュロッド63は、流路72aに配置されており、弁座72を貫通して進退可能である。
【0044】
弁体73は、弁座72を開閉する部材であって、球状であることが好ましい。プッシュロッド63の先端は、弁座72に対して弁体73を押し出し可能である。押し付け部材74は、圧縮コイルばね等の付勢部材75の付勢力によって弁体73を弁座72に押し付けている。
【0045】
次に、弁装置10の動作を説明する。図1に示されるように、電磁ソレノイド20の励磁用コイル21に通電されていない状態では、プランジャ23と作動ロッド24は後退位置にある。このため、プッシュロッド63は弁体73を押していない。弁体73は、押し付け部材74と付勢部材75とによって弁座72に押し付けられている。従って、弁70は閉じている。
【0046】
その後、励磁用コイル21に通電をすると、励磁用コイル21が発生した磁力によってプランジャ23と作動ロッド24は進出する(矢印Ag方向へ進む)。進出した作動ロッド24は、第1押し部材30を押し、板状部材50に向けて第1押し部材30を進出させる。図5に示されるように、第1押し部材30の押し部33の先端面33aは、各モーメントアーム51の力点P1を押し出す。力点P1を押された各モーメントアーム51は弾性変形をし、作用点P3によって第2押し部材60の被作用面64を押し出す。このようにして第2押し部材60が押されると、図7に示されるように、第2押し部材60のプッシュロッド63の先端は、付勢部材75の付勢力に抗して弁体73を押し出す。この結果、弁70が開くので、第1ポート71aと第2ポート71bとの間は、流路72aを介して連通する。そのため、第1ポート71aに供給された流体は、流路72aを通って第2ポート71bから排出される。
【0047】
その後、図1に示されるように、励磁用コイル21への通電を停止すると、第2押し部材60を押す力がなくなるので、付勢部材75の付勢力によってプッシュロッド63は後退する。この結果、弁70が閉じるとともに、第2押し部材60、各モーメントアーム51(図2参照)、作動ロッド24及びプランジャ23は元の後退位置に戻る。
【0048】
実施例1の弁装置10の説明をまとめると、次の通りである。
【0049】
図1乃至図7に示されるように、弁装置10は、
進退動作が可能な作動ロッド24を備えたアクチュエータ20と、
進出する前記作動ロッド24によって押されることにより前記作動ロッド24と同方向に進出可能な第1押し部材30と、
前記第1押し部材30の軸方向と交差する方向に延び、前記第1押し部材30の軸中心CL側の一端部51aに前記第1押し部材30によって押される力点P1を有し、前記軸中心CLとは異なる側の他端部51bに支点P2を有し、前記力点P1と前記支点P2との間に作用点P3を有する、少なくとも1つのモーメントアーム51を具備する板状部材50と、
前記モーメントアーム51の前記作用点P3から力を受けることにより、前記第1押し部材30と同方向に進出可能な第2押し部材60と、
前記第2押し部材60の進退動作に従って開閉動作が可能な弁70と、
を備える。
【0050】
このように、力点P1と支点P2と作用点P3とを有したモーメントアーム51を、用いることによって、「てこ」の原理を採用することができる。「てこ」の原理を利用した、機械的な倍力機構を採用して、パイロット弁を用いることのない簡単な構成により、小さい操作力によって大きい弁70を開閉することができる。
【0051】
さらに、図3乃至図6に示されるように、
前記板状部材50は、周方向に間隔をあけて配置された複数の前記モーメントアーム51を有し、
前記複数のモーメントアーム51の各々の前記力点P1は、前記第1押し部材30の先端部33(押し部33)によって押され、
前記第2押し部材60は、前記複数のモーメントアーム51の各々の前記作用点P3から力を受ける被作用面64を有する。
このため、力点P1や作用点P3が周方向に偏らない、安定した弁動作をさせることができる。
【0052】
さらに、図3及び図5に示されるように、前記支点P2が配置される、前記板状部材50の環状の枠部52によって、前記複数のモーメントアーム51は、一体に連結されている。このため、複数のモーメントアーム51を一体化することによって、各モーメントアーム51の位置を正確に設定することができる。
【0053】
さらに、図3及び図5に示されるように、前記板状部材50は、前記枠部52と前記複数のモーメントアーム51とが連結されている部位54の幅Wd1が、前記作用点P3が配置される部位55の幅Wd2よりも狭い。
【0054】
従って、モーメントアーム51は、ばね性(ばね成分)を有する。図1に示されるように、アクチュエータ20の推力は、モーメントアーム51のばね性を介して弁70に伝達される。このため、比較的大きい「ばね定数」を任意に設定することができる。しかも、弁70の開閉運動特性を、アクチュエータ20側の質量とは分離することができる。従って、弁70の出入り口71a,71b(第1ポート71a及び第2ポート71b)の微妙な圧力変動や、アクチュエータ20の推力の変動に対して、応答性の高い開弁特性を得ることができる。
【0055】
さらに、図1及び図7に示されるように、前記板状部材50は弾性体である。このため、モーメントアーム51が、作動ロッド24の中心線CLの方向に弾性変形し易いので、弁70をスムースに開閉動作させることができる。
【0056】
さらに、図1に示されるように、前記アクチュエータ20は電磁ソレノイドである。このため、作動ロッド24が進退運動をするアクチュエータ20を、比較的簡単な構成とすることができる。
【0057】
なお、本発明による弁装置10は、本発明の作用及び効果を奏する限りにおいて、実施例に限定されるものではない。
【0058】
例えば、本発明では、上記枠部52は、複数のモーメントアーム51同士を連結する構成であればよい。例えば、図8に示される変形例1のように、枠部52は、複数のモーメントアーム51の一端部51a同士を連結する構成でもよい。また、図9に示される変形例2のように、枠部52は、複数のモーメントアーム51のなかの、それぞれ長手途中の部分同士を連結する構成でもよい。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明の弁装置10は、鞍乗り型車両の車高調整装置に採用するのに好適である。
【符号の説明】
【0060】
10 弁装置
20 アクチュエータ(電磁ソレノイド)
24 作動ロッド
30 第1押し部材
33 先端部
50 板状部材
51 モーメントアーム
51a 第1押し部材の軸中心側の一端部
51b 軸中心とは異なる側の他端部
52 枠部
54 枠部と複数のモーメントアームとが連結されている部位
55 作用点が配置される部位
60 第2押し部材
64 被作用面
70 弁
CL 作動ロッドの中心線(軸中心)
P1 軸中心側の一端部に有した力点
P2 他端部に有した支点
P3 力点と支点との間に有した作用点
Wd1 枠部と複数のモーメントアームが連結されている部位の幅
Wd2 作用点が配置される部位の幅
【要約】
弁装置(10)は、進退動作が可能な作動ロッド(24)を備えたアクチュエータ(20)と、前記作動ロッド(24)に押されて前記作動ロッド(24)と同方向に進出する第1押し部材(30)と、前記第1押し部材(30)の軸方向と交差する方向に延びたモーメントアーム(51)を具備する板状部材(50)と、前記モーメントアーム(51)の作用点(P3)からの力を受けて前記第1押し部材(30)と同方向に進出する第2押し部材(60)と、前記第2押し部材(60)の進退動作によって開閉する弁(70)とを備える。前記モーメントアーム(51)は、前記第1押し部材(30)の軸中心(CL)側の一端部(51a)に前記第1押し部材(30)によって押される力点(P1)を有し、前記軸中心(CL)とは異なる側の他端部(51b)に支点(P2)を有し、前記力点(P1)と前記支点(P2)との間に前記作用点(P3)を有する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9