(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明を実施するための形態を添付図に基づいて以下に説明する。
【0013】
図1に示されるように、弁装置10は、アクチュエータ20と第1押し部材30と板状部材50と第2押し部材60と弁70とを主要な構成要素とした、同軸直動式バルブである。
【0014】
アクチュエータ20は、進退動作(つまりスライド)が可能な作動ロッド24を備えており、電磁ソレノイドによって構成されることが好ましい。この電磁ソレノイド20(アクチュエータ20)は、励磁用コイル21の励磁によってプランジャ23を前進させるプッシュ型ソレノイドによって構成されている。さらに、この電磁ソレノイド20は、励磁用コイル21に供給される電流に従ってプランジャ23の進出距離が比例する、いわゆる比例ソレノイドであることが、より好ましい。比例ソレノイドの構成であれば、プランジャ23の進出距離に従って、弁70の開度を調整することができる。
【0015】
詳しく述べると、電磁ソレノイド20は、励磁用コイル21と、この励磁用コイル21の内側に設けられたコア22と、このコア22の内部に進退動作が可能に案内されたプランジャ23と、このプランジャ23に連結された棒状(管状を含む)の作動ロッド24とを備えている。
【0016】
これらの励磁用コイル21とコア22とプランジャ23と作動ロッド24とは、ソレノイドハウジング25に収納されている。このソレノイドハウジング25の中の、開放された一端は、リッド26によって塞がれている。作動ロッド24は、ブッシュ27,28(軸受27,28)によってコア22とリッド26とに支持されている。この作動ロッド24の進出方向(矢印Ag方向)の先端部24aは、リッド26を貫通している。
【0017】
第1押し部材30と板状部材50と第2押し部材60と弁70とは、作動ロッド24の中心線CL上に位置している。これらの部材は、アクチュエータ20から弁70へと向かう方向に、第1押し部材30、板状部材50、第2押し部材60、及び、弁70の順に配置されている。第2押し部材60は、後述する軸61が、板状部材50よりもアクチュエータ20側に配置され、被作用部62及びプッシュロッド63が、板状部材50よりも弁70側に配置されている。
【0018】
図1乃至
図3に示されるように、第1押し部材30は、進出する作動ロッド24によって押されることにより、作動ロッド24と同方向に進出可能な筒状の部材であり、軸中心CL(作動ロッド24の中心線CL)を貫通した貫通孔31を有する。詳しく述べると、第1押し部材30は、筒状の本体32と、この本体32の先端に一体に構成された円形フランジ状の押し部33とを備えている。
【0019】
図1、
図2、及び、
図7に示す形態において、本体32の後端面32aは、作動ロッド24の先端面24aによって押されることが可能に、この先端面24aに接している。この本体32は、第1押し部材30の軸方向へ進退可能に、ガイド盤40によって支持されている。
【0020】
押し部33(先端部33)の先端面33aは、先細り状の雄テーパ面である。なお、押し部33の先端面33aは、雄テーパ面に限定されるものではなく、例えば凸状または凹状の曲面であってもよい。このように、押し部33の先端面33aは、雄テーパ面や曲面であることが好ましい。その理由については後述する。
【0021】
図1及び
図2に示されるように、ガイド盤40は、リッド26の端面(電磁ソレノイド20とは反対側の面)に重なっており、ソレノイドハウジング25に取り付けられている。このガイド盤40の端面40a(電磁ソレノイド20とは反対側の面40a)には、この端面40aから窪んだ凹部41と、端面40aから膨出した支持部42とが、設けられている。凹部41は、作動ロッド24の中心線CLを基準とした円形状の窪みである。凹部41の径と深さは、押し部33の進退運動に干渉しない大きさに設定されている。支持部42は、凹部41の縁を囲んだ円還状の部分であり、電磁ソレノイド20とは反対側へ延びている。支持部42の端面42a(先端面42a)は、作動ロッド24の中心線CLに対して直交した平坦面である。
【0022】
図3及び
図4に示されるように、板状部材50は、板状の弾性体(例えば、ばね鋼の鋼板)によって、平板状に構成されている。この板状部材50の板面は、押し部33の先端面33aと支持部42の端面42aとに向いている。より詳しく述べると、板状部材50は、少なくとも1つ(より好ましくは複数)のモーメントアーム51と、環状の枠部52とを備える。
図1乃至
図9では、複数のモーメントアーム51を備える板状部材50を示している。
【0023】
図2も参照すると、複数のモーメントアーム51は、第1押し部材30の軸方向と交差する方向、つまり、作動ロッド24の中心線CLに対して直交する方向に細長く延びている。これら複数のモーメントアーム51は、周方向に間隔をあけて等ピッチに配置され、枠部52によって一体に連結されている。
【0024】
本発明の重要なポイントは、各モーメントアーム51が「てこ」の原理を利用したことにある。つまり、
図5に示されるように、各モーメントアーム51は、第1押し部材30の軸中心CL側(中心線CL側)の一端部51aに力点P1を有し、軸中心CLとは異なる側の他端部51bに支点P2を有し、力点P1と支点P2との間(力点P1と支点P2との間であって、且つ、力点P1及び支点P2の裏面側)に作用点P3を有する。このように、各モーメントアーム51は、「てこ」の原理を利用した、機械的な倍力機構を構成する。
【0025】
モーメントアーム51の一端部51aは、押し部33の、雄テーパ状の先端面33aによって押されることが可能に、この先端面33aに向かい合っている。モーメントアーム51の一端部51aにおける、第1押し部材30の押し部33の先端面33aによって押される点が、力点P1である。1つのモーメントアーム51当たり、1つの力点P1を有している。
【0026】
モーメントアーム51の他端部51bは、支持部42の端面42aによって、直接にまたは平ワッシャ53を介して支持されている。モーメントアーム51の他端部51bにおける、支持部42の端面42aによって支持されている点が、支点P2である。枠部52は、複数のモーメントアーム51それぞれに備えられる、支点P2が配置される部分同士を連結している。
【0027】
作用点P3は、力点P1に受けた力を増大して第2押し部材60に付与する(第2押し部材60を押す)点である。
【0028】
支点P2から力点P1までの距離(第1距離)はL1である。支点P2から作用点P3までの距離(第2距離)はL2であり、第1距離L1よりも短い(L2<L1)。ここで、力点P1に働く力(入力)をW1し、作用点P3に働く力(作用力)をW2とする。「てこ」の原理により、式「L1×W1=L2×W2」が成立する。W2=W1×(L1/L2)であり、L1/L2>1であるため、入力W1に対して作用力W2を大きくすることができる。すなわち、小さい操作力W1によって大きい作用力W2を得ることができる。
【0029】
板状部材50は、枠部52と複数のモーメントアーム51とが連結されている部位54の幅Wd1が、前記作用点P3が配置される部位55の幅Wd2よりも狭い。
【0030】
第2押し部材60は、板状部材50に対し第1押し部材30とは反対側に位置しており、各モーメントアーム51の作用点P3から力を受けることにより、第1押し部材30と同方向に進出可能である。
【0031】
詳しく述べると、
図2、
図5及び
図6に示されるように、第2押し部材60は、第1押し部材30の貫通孔31に進退可能に支持された軸61と、この軸61の先端に一体に設けられた円盤状の被作用部62と、この被作用部62から第1押し部材30とは反対側へ延びたプッシュロッド63とを備える。軸61と被作用部62とプッシュロッド63とは、作動ロッド24の中心線CL上に位置しており、一体に形成または個々の部材同士の結合によって、一体的に構成される。
【0032】
被作用部62の、複数のモーメントアーム51に向かい合う対向面62aには、被作用面64と干渉防止用凹部65とが設けられている。
【0033】
被作用面64は、複数のモーメントアーム51の各々の作用点P3から力を受ける面であって、作動ロッド24の中心線CLを基準とした円形の環状面である。この環状の被作用面64は、各々の作用点P3に対して均一に当たるために、第1押し部材30の軸方向と交差する面(作動ロッド24の中心線CLに対して直交する面)、つまり、複数のモーメントアーム51に対して平行な面であることが好ましい。さらに、環状の被作用面64は、各々の作用点P3との接触位置を正確にするために、その断面が、作用点P3に近付くにつれて先細りとなるテーパ状であることが好ましい。
【0034】
干渉防止用凹部65は、対向面62aから窪んでいる。力点P1に力を受けた各モーメントアーム51は、第2押し部材60の対向面62aへ向かって弾性変形をする。対向面62aに干渉防止用凹部65を設けたので、弾性変形した各モーメントアーム51に対向面62aが干渉することはない。干渉防止用凹部65を有することにより、各モーメントアーム51と対向面62aとが近接しているにもかかわらず、各モーメントアーム51は容易に弾性変形をすることができる。
【0035】
ここで、
図5に示される、第1押し部材30の押し部33の先端面33aを、雄テーパ面や曲面にすることが好ましい理由を、説明する。
【0036】
先ず、先端面33aが、モーメントアーム51の面に沿った平面である場合を、想定する。この場合には、作動ロッド24の進出方向(矢印Ag方向)へ進出した先端面33aは、モーメントアーム51の面に面接触することになる。これでは、先端面33aに押されたモーメントアーム51が曲がるにつれて、力点P1の位置が、先端面33aの径方向外側(中心線CLから離れる方向)へ、変化してしまう。その分、作用点P3に作用させる力は、小さくなりがちである。すなわち、このような形態では、倍力機構の効果を、十分に発揮し難い。
【0037】
これに対して本発明では、押し部33の先端面33aが雄テーパ面または曲面である。このため、先端面33aに押されたモーメントアーム51が曲がっても、力点P1の位置の変化を防ぐことができる。その結果、作用点P3に作用させる力を大きいままに維持することができる。つまり、先端面33aを雄テーパ面または曲面にすることにより、倍力機構の効果を、より一層十分に発揮することができる。これが、先端面33aを、雄テーパ面や曲面にした理由である。
【0038】
なお、本発明では、第1押し部材30の設計のし易さ等の観点から、押し部33の先端面33aを雄テーパ面や曲面にしているが、第2押し部材60の側を雄テーパ面や曲面にしてもよい。
【0039】
図2に示されるように、第1押し部材30と第2押し部材60とは、互いに軸方向へ離反する方向に、圧縮コイルばねからなる付勢部材67によって付勢されてもよい。
【0040】
図1及び
図2に示されるように、第2押し部材60のプッシュロッド63は、弁70を開閉する。このため、弁70は、第2押し部材60の進退動作に従って開閉動作が可能である。この弁70は、弁ハウジング71と弁座72と弁体73と押し付け部材74と付勢部材75とを備える。
【0041】
弁ハウジング71は、ソレノイドハウジング25に対して直接にまたはガイド盤40を介して取り付けられており、板状部材50と第2押し部材60とを収納している。さらに弁ハウジング71は、弁座72と弁体73と押し付け部材74と付勢部材75とを収納するとともに、流体が通過可能な第1ポート71aと第2ポート71bとを有している。例えば、第1ポート71aは流体の入口であり、第2ポート71bは流体の出口である。この第2ポート71bは、第1ポート71aよりも第2押し部材60側に位置している。
【0042】
弁座72と弁体73と押し付け部材74と付勢部材75とは、それぞれの軸中心が、第1押し部材30の軸中心CL(中心線CL上)に位置するとともに、第2押し部材60の進出方向にこの順に配列されている。
【0043】
弁座72は、弁ハウジング71にねじ込み可能な中空部材であって、軸方向に貫通した流路72aと、座面72bとを有する。座面72bは、第2押し部材60とは反対側の端面に形成された雌テーパ面である。流路72aは、弁座72の軸方向に貫通するとともに、第2ポート71bへ向かって弁座72を径方向にも貫通しており、座面72bを貫通している。プッシュロッド63は、流路72aに配置されており、弁座72を貫通して進退可能である。
【0044】
弁体73は、弁座72を開閉する部材であって、球状であることが好ましい。プッシュロッド63の先端は、弁座72に対して弁体73を押し出し可能である。押し付け部材74は、圧縮コイルばね等の付勢部材75の付勢力によって弁体73を弁座72に押し付けている。
【0045】
次に、弁装置10の動作を説明する。
図1に示されるように、電磁ソレノイド20の励磁用コイル21に通電されていない状態では、プランジャ23と作動ロッド24は後退位置にある。このため、プッシュロッド63は弁体73を押していない。弁体73は、押し付け部材74と付勢部材75とによって弁座72に押し付けられている。従って、弁70は閉じている。
【0046】
その後、励磁用コイル21に通電をすると、励磁用コイル21が発生した磁力によってプランジャ23と作動ロッド24は進出する(矢印Ag方向へ進む)。進出した作動ロッド24は、第1押し部材30を押し、板状部材50に向けて第1押し部材30を進出させる。
図5に示されるように、第1押し部材30の押し部33の先端面33aは、各モーメントアーム51の力点P1を押し出す。力点P1を押された各モーメントアーム51は弾性変形をし、作用点P3によって第2押し部材60の被作用面64を押し出す。このようにして第2押し部材60が押されると、
図7に示されるように、第2押し部材60のプッシュロッド63の先端は、付勢部材75の付勢力に抗して弁体73を押し出す。この結果、弁70が開くので、第1ポート71aと第2ポート71bとの間は、流路72aを介して連通する。そのため、第1ポート71aに供給された流体は、流路72aを通って第2ポート71bから排出される。
【0047】
その後、
図1に示されるように、励磁用コイル21への通電を停止すると、第2押し部材60を押す力がなくなるので、付勢部材75の付勢力によってプッシュロッド63は後退する。この結果、弁70が閉じるとともに、第2押し部材60、各モーメントアーム51(
図2参照)、作動ロッド24及びプランジャ23は元の後退位置に戻る。
【0048】
実施例1の弁装置10の説明をまとめると、次の通りである。
【0049】
図1乃至
図7に示されるように、弁装置10は、
進退動作が可能な作動ロッド24を備えたアクチュエータ20と、
進出する前記作動ロッド24によって押されることにより前記作動ロッド24と同方向に進出可能な第1押し部材30と、
前記第1押し部材30の軸方向と交差する方向に延び、前記第1押し部材30の軸中心CL側の一端部51aに前記第1押し部材30によって押される力点P1を有し、前記軸中心CLとは異なる側の他端部51bに支点P2を有し、前記力点P1と前記支点P2との間に作用点P3を有する、少なくとも1つのモーメントアーム51を具備する板状部材50と、
前記モーメントアーム51の前記作用点P3から力を受けることにより、前記第1押し部材30と同方向に進出可能な第2押し部材60と、
前記第2押し部材60の進退動作に従って開閉動作が可能な弁70と、
を備える。
【0050】
このように、力点P1と支点P2と作用点P3とを有したモーメントアーム51を、用いることによって、「てこ」の原理を採用することができる。「てこ」の原理を利用した、機械的な倍力機構を採用して、パイロット弁を用いることのない簡単な構成により、小さい操作力によって大きい弁70を開閉することができる。
【0051】
さらに、
図3乃至
図6に示されるように、
前記板状部材50は、周方向に間隔をあけて配置された複数の前記モーメントアーム51を有し、
前記複数のモーメントアーム51の各々の前記力点P1は、前記第1押し部材30の先端部33(押し部33)によって押され、
前記第2押し部材60は、前記複数のモーメントアーム51の各々の前記作用点P3から力を受ける被作用面64を有する。
このため、力点P1や作用点P3が周方向に偏らない、安定した弁動作をさせることができる。
【0052】
さらに、
図3及び
図5に示されるように、前記支点P2が配置される、前記板状部材50の環状の枠部52によって、前記複数のモーメントアーム51は、一体に連結されている。このため、複数のモーメントアーム51を一体化することによって、各モーメントアーム51の位置を正確に設定することができる。
【0053】
さらに、
図3及び
図5に示されるように、前記板状部材50は、前記枠部52と前記複数のモーメントアーム51とが連結されている部位54の幅Wd1が、前記作用点P3が配置される部位55の幅Wd2よりも狭い。
【0054】
従って、モーメントアーム51は、ばね性(ばね成分)を有する。
図1に示されるように、アクチュエータ20の推力は、モーメントアーム51のばね性を介して弁70に伝達される。このため、比較的大きい「ばね定数」を任意に設定することができる。しかも、弁70の開閉運動特性を、アクチュエータ20側の質量とは分離することができる。従って、弁70の出入り口71a,71b(第1ポート71a及び第2ポート71b)の微妙な圧力変動や、アクチュエータ20の推力の変動に対して、応答性の高い開弁特性を得ることができる。
【0055】
さらに、
図1及び
図7に示されるように、前記板状部材50は弾性体である。このため、モーメントアーム51が、作動ロッド24の中心線CLの方向に弾性変形し易いので、弁70をスムースに開閉動作させることができる。
【0056】
さらに、
図1に示されるように、前記アクチュエータ20は電磁ソレノイドである。このため、作動ロッド24が進退運動をするアクチュエータ20を、比較的簡単な構成とすることができる。
【0057】
なお、本発明による弁装置10は、本発明の作用及び効果を奏する限りにおいて、実施例に限定されるものではない。
【0058】
例えば、本発明では、上記枠部52は、複数のモーメントアーム51同士を連結する構成であればよい。例えば、
図8に示される変形例1のように、枠部52は、複数のモーメントアーム51の一端部51a同士を連結する構成でもよい。また、
図9に示される変形例2のように、枠部52は、複数のモーメントアーム51のなかの、それぞれ長手途中の部分同士を連結する構成でもよい。
弁装置(10)は、進退動作が可能な作動ロッド(24)を備えたアクチュエータ(20)と、前記作動ロッド(24)に押されて前記作動ロッド(24)と同方向に進出する第1押し部材(30)と、前記第1押し部材(30)の軸方向と交差する方向に延びたモーメントアーム(51)を具備する板状部材(50)と、前記モーメントアーム(51)の作用点(P3)からの力を受けて前記第1押し部材(30)と同方向に進出する第2押し部材(60)と、前記第2押し部材(60)の進退動作によって開閉する弁(70)とを備える。前記モーメントアーム(51)は、前記第1押し部材(30)の軸中心(CL)側の一端部(51a)に前記第1押し部材(30)によって押される力点(P1)を有し、前記軸中心(CL)とは異なる側の他端部(51b)に支点(P2)を有し、前記力点(P1)と前記支点(P2)との間に前記作用点(P3)を有する。