(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記襠折り目線を水平線として、前記サイドラインに向かって、前記正規縁部は登り勾配であり、前記調整縁部は下り勾配であることを特徴とする請求項1又は2に記載の底面付き袋体。
前記サイドシールは、前記底面シートよりも上方では前記正面側シートと前記背面側シートとを直接シールしていることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の底面付き袋体。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、底面シートを備えた袋体にあって、底面シートとサイドシールと接合部分からの破袋を抑制した袋体の提供を課題とする。
また、本発明は、袋体の耐破袋性能のばらつきを抑制した袋体の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、袋の胴部シートとして正面側シートと背面側シートとを備えると共に、前記正面側シートと前記背面側シートとの間に配置された底面シートを有しており、前記底面シートは、襠折り目線にて二つ折りにされることにより、前底部と後底部とに区分され、サイドシールによって、前記正面側シートと前記前底部とがシールされると共に前記背面側シートと前記後底部とがシールされ、前記サイドシールに向けて全体として略斜め上方に伸びるボトムシールによって、前記正面側シートと前記前底部とがシールされると共に前記背面側シートと前記後底部とがシールされた袋体の改良に関する。
【0008】
本発明の袋体にあっては、前記ボトムシールの内側を規定するボトムラインは、横方向にて、前記サイドシールから遠い領域にある正規縁部と、前記サイドシールに近い領域にある調整縁部とを備える。前記正規縁部と前記調整縁部とは、前記サイドシールの内側を規定するサイドラインよりも袋体の内側に位置するものである。前記調整縁部は、前記正規縁部よりも勾配の角度が小さく、且つ、前記襠折り目線よりも下方に間隔を隔てた下方接続点にて、前記サイドシールと接続される。これにより、前記襠折り目線を挟んで、前後にポケット部が形成される。前記前後のポケット部は、前記正面側シートと前記前底部との間に前記サイドシールに沿って形成された隙間、及び、前記背面側シートと前記後底部との間に前記サイドシールに沿って形成された隙間であることを特徴とする。
【0009】
本発明にあっては、前記ポケット部が、前記襠折り目線の下方であって前記サイドシールの内側の領域に形成される。このポケット部は、収納物が袋体内に入れられて前記底面シートが開かれた状態(即ち、前記底面シートが前記襠折り目線から開かれて展開されると共に前記底面シートが前記ボトムラインから折り曲がった状態)となっても、その開きは前記正規折り目線による折り癖がつくため、前記調整縁部から折り曲がらずに、それより上方の前記正規縁部の延長線に沿って又はこの延長線の少し下方で折り曲がることにより、形成される。その結果、このポケット部では、前記底面シートが開かれ状態となっても、前記前記正面側シートと前記前底部とが接触した状態もしくは接触状態に近い状態に維持される。同様に、前記背面側シートと前記後底部との間においても、接触した状態もしくは接触状態に近い状態に維持される。
【0010】
この状態で、前記袋体が落下するなどして、底面シートに対してより急激な力が瞬間的に加わると、このポケット部も少し開かれるが、その際の瞬間的な力は、ポケット部が開かれることによって緩和される。さらに、この緩和された力はポケット部全体(特に、前記サイドシールや前記調整縁部などのポケット部の周囲のシール部分)に分散する。その結果、従来の一般的なスタンディングパウチなどの襠交点からの破袋(詳しくは、落下による瞬間的な大きな力が、前記襠折り目線とサイドラインとの交点である襠交点に集中して加わることによって、この襠交点付近からの裂け目や破れが生じることによる破袋)の発生が抑制される。
【0011】
上記の本発明では、前記前後のポケット部の底辺と側辺とが、前記調整縁部及び前記サイドシールにより規定されることになるが、ポケット部の底辺である前記調整縁部は前記正規縁部よりも緩やかな勾配を有するため、前記底面シートに対して大きな力が加わった場合でも、力の集中を効果的に緩和し、破袋を抑制することができる。
【0012】
しかも、前記正面側シート及び前記背面側シートに対する前底面シートの上下位置がずれた場合にあっても、前記正規縁部は勿論のこと、前記調整縁部も前記サイドシールの内側を規定するサイドラインよりも袋体の内側に位置しているため、上記の破袋の抑制効果を維持することができる。
前記正規縁部は、その延長線と前記サイドラインとの交点である上方仮想点が、前記襠折り目線と前記サイドシールとの交点である襠交点上もしくは前記襠交点よりも上方に位置するように、規定されていることが望ましい。
【0013】
また、本発明にあっては、上記の調整縁部を設けずとも、或いは、調整縁部が前記正規縁部又はサイドシールに直接繋がっておらず途中で途切れているものや破線状になったとしても、先に説明した場合と同様に破袋の発生抑制作用を果たし得る。但し、この袋体にあっては、前記ボトムシールの内側を規定するボトムラインの正規縁部が、前記サイドシールの内側を規定するサイドラインの手前で終わる必要がある。この場合、前記正規縁部の最上端は、横方向にて前記サイドラインよりも袋体の内側に位置し、縦方向にて前記襠折り目線よりも下方に位置するものとする。そして、前記正規縁部は、その延長線と前記サイドラインとの交点である上方仮想点が、前記襠折り目線と前記サイドシールとの交点である襠交点上もしくは前記襠交点よりも上方に位置するように、規定される。これにより、前記襠折り目線を挟んで、前後にポケット部が形成される。前記前後のポケット部は、前記正面側シートと前記前底部との間に前記サイドシールに沿って形成された隙間、及び、前記背面側シートと前記後底部との間に前記サイドシールに沿って形成された隙間である。そしてこのポケット部は瞬間的な力が瞬時に特定のシール部分に集中的に加わることを抑制し、破袋防止の作用を発揮することができる。
【0014】
この前後のポケット部の左右何れか一方の側辺は、前記サイドラインによって規定され、他方の側辺は、前記底面シートが開く際にできる前記正規縁部の延長線に沿って出来るか、或いは、延長線の少し下方に出来る折り目により規定されることになる。勿論、この袋体にあっても、前記ボトムラインは、前記正規縁部の最上端と前記サイドシールとの間に形成され調整縁部を備えたものとして実施することができる。この場合も、先の場合と同様、調整縁部は、前記正規縁部よりも勾配の角度が小さいものであることが望ましい。
【0015】
本発明において、前記の調整縁部の形態は種々変更して実施することができるが、前記襠折り目線を水平線として、前記サイドラインに向かって、前記正規縁部は登り勾配であり、前記調整縁部は下り勾配とすることによって、底面シートの前後位置のずれに対応できる幅が大きくすることができるため、有利である。
【0016】
また、前記襠折り目線を水平線として、前記調整縁部の、前記水平線に対する勾配の角度は、前記正規縁部の関係などを考慮して種々変更して実施することができるが、±24度の範囲内に設定することが急峻なサイドシールとの接続を避ける点から好ましい。
また、前記底面シートに位置する前記サイドシールは、前記正面側シートと前記背面側シートとの少なくとも2枚のシートをシールした前後接合部を備え、前記前後接合部の少なくとも一部が前記ポケット部と同じ高さに位置することも、破袋を防止する観点から望ましい。
【0017】
この前後接続部は、前記正面側シートと前記背面側シートと前記底面シートの前記前底部及び前記後底部との4枚のシートをシールするものであってもよいが、前記正面側シートと前記背面側シートとの2枚のシートのみをシールするものであってもよい。この場合、前記底面シートに位置する前記サイドシールは、前記前底部と前記後底部とを切除することで、前記正面側シートと前記背面側シートとの2枚のシートをシールすることができる。
【0018】
なお、前記サイドシールは、前記底面シートよりも上方では前記正面側シートと前記背面側シートとを直接シールしているものとして実施することができる。
さらに、本発明は、前記正面側シートと前記背面側シートなどの胴部シートの構成については種々変更し得るものである。例えば、開口部の形状については特に限定はなく、前記正面側シートと前記背面側シートと双方に開閉用のファスナを備えものに適用することができる他、一方にのみ開閉用のファスナを備えものにも適用できるし、ファスナを設けない袋体にも適用することができる。
【0019】
一方にのみ開閉用のファスナを備えた袋体の例としては、次のものを挙げることができる。即ち、胴部シートと、前記シートに設けられた開閉用のファスナとを備えた袋体であって、前記ファスナは、開閉可能な一方と他方のファスナ半部を備え、前記両ファスナ半部は、互いに着脱可能に嵌合する雌雄嵌合部と、前記シートに対する固定部とを備え、前記雌雄嵌合部と前記固定部とは、共に前記ファスナの長手方向に沿って形成されたものであり、前記両ファスナ半部のそれぞれは、前記袋体の分離されていない同一面シートに対して、前記固定部によって固定されたものであり、前記同一面シートにおける前記両ファスナ半部の間に開封部が設けられ、前記開封部が切り開かれることで、前記袋体の開封がなされるようにしたファスナ付き袋体にも適用することができる。
【0020】
このファスナ付き袋体にあっては、前記一方のファスナ半部は、正面に前記下方側の固定部を有する基部と、前記基部の背面に設けられた前記雌雄嵌合部とを備える。また、前記他方のファスナ半部は、正面に前記上方側の固定部を有する基部と、前記基部の正面に設けられた前記雌雄嵌合部とを備える。この他方のファスナ半部の前記基部は、中間部を備えるものであり、この中間部は、前記他方のファスナ半部の前記雌雄嵌合部と前記上方側の固定部とが上下方向に距離を隔てて配置されることにより、前記雌雄嵌合部と前記固定部との間に設けられた部分である。
【0021】
前記両ファスナ半部は、前記一方のファスナ半部の前記背面と前記他方のファスナ半部の前記正面とが向き合うように、それぞれの前記固定部によって前記同一面シートに対して固定されている。そして、上下方向において、前記中間部と同じ位置を含む部分に、前記開封部が配置され、前記開封部を開くと共に前記両ファスナ半部の前記雌雄嵌合部同士の嵌合を開いて、前記袋体の開封がなされるものである。
【0022】
前記開封部は、前記同一面シートの一部を予め切断することによって、少なくとも指先が挿入できる範囲が開封されている開封済み部を備えたものとすることができる。
【0023】
この開封済み部は、前記ファスナの長手方向に0.7〜4cmの長さの切り目部分と、前記ファスナの長手方向に4cmを超える長さのカットラインと、前記ファスナの長手方向と幅方向とに開口した面積を備えた開口部分との少なくとも1種であるものとして実施することができる。
【0024】
前記開封済み部の少なくとも一部は、前記一方のファスナ半部の前記下方側の固定部の間近の位置に配置されることが、前記開封済み部から使用者の指先を挿入し易くして、初期の開封動作を迅速に行うようする点から望ましい。
【0025】
具体的には、前記他方のファスナ半部の前記上方側の固定部を、前記袋体の正面側から背面側へ押さえた状態で、前記袋体の背面側から、前記雌雄嵌合部付近の位置を前記袋体の正面側に押し出すことで、前記一方のファスナ半部の前記下方側の基部を正面の方に開いて、前記開封済み部の開きを大きくすることで、使用者の指先を挿入し易くすることができる。
【0026】
前記間近の位置は、特には限定されないが、前記切り目部分の少なくとも一部と前記下方側の固定部との上下方向の距離が0〜5mm、より好ましくは0〜2mmの位置とすることが適当である。また、前記切り目部分の少なくとも一部と前記上方側の固定部との上下方向の距離も小さい方が好ましいが、前記切り目部分は、前記上方側の固定部よりも、前記下方側の固定部に近い位置に、設けることが望ましい。なお、上方側の固定部と下方側の固定部との間隔は、6mm以下とすることが望ましい。
【0027】
また、前記開封部は、前記同一面シートの一部を開封時に切断することによって、少なくとも指先が挿入できる範囲が開封状態となる未開封部を備えたものとしても実施することができる。この未開封部は、前記同一面シートに形成されたミシン目又はハーフカットラインとすることができる。また、前記同一面シートを、方向性を有する延伸フィルムを備えたものとして、前記同一面シートのストレートカット性を示す易カット方向が前記ファスナの長手方向に沿った方向となるように、前記同一面シートが配置されることによって、前記未開封部を形成することもできる。
【0028】
また、前記開封部は、前記同一面シートの一部を予め切断することによって、少なくとも指先が挿入できる範囲が開封されている開封済み部と、前記同一面シートの一部を開封時に切断することによって、少なくとも指先が挿入できる範囲が開封状態となる未開封部との両者を備えたものとして実施することもできる。そして、両者を連続して形成することによって、まず、開封済み部に指先を挿入し、開封済み部を大きく開くことで、これに連続する未開封部を容易に開くことができる。
【0029】
また、前記同一面シートの表面側に、前記開封部の少なくとも一部を閉じる開封シールを設けることもできる。この開封シールによって、開封部、特に開封済み部を塞ぐことにより、袋体の密閉性を向上させたり、いたずら防止の機能を発揮させたりすることができる。
【0030】
袋の密閉性を高めて、不用意にファスナ半部同士の嵌合が解除されないようにするには、前記他方のファスナ半部が仮接着部を備えたものとする。この仮接着部は、前記固定部と前記同一面シートとの接着よりも弱い接着部とすることで、密閉性と開封とを両立させることができる。
【0031】
また、前記開封部が、未開封部又は開封済み部を備えたものとし、前記同一面シートを押し込むことで開くようにすることもできる。その場合、指を前記未開封部又は前記開封済み部から前記同一面シート内に差し込み、引き裂くことで、前記開封がなされるようにしてもよい。このように、指を同一面シートへ押し込んで開く動作に対応して、前記他方のファスナ半部の前記基部は、前記中間部よりも正面側に突出する凸部を備え、前記凸部の正面が前記上方側の固定部とすることも適切である。これによって、前記中間部が前記雌雄嵌合部と前記固定部との双方よりも背面側に凹んだ凹部となる。押し込みによる初期開封動作を行う場合には、この凹部が押し込み空間として、機能する。即ち、本発明は、前記両ファスナ半部のそれぞれは、前記袋体の分離されていない同一面シートに対して、前記固定部によって固定されることにより、前記同一面シートと前記中間部との間に押し込み空間が形成される。そして、前記中間部の正面側における前記同一面シートに、前記ファスナの長手方向に沿って伸びる開封部が形成され、前記同一面シートを、前記開封部の少なくとも一部から前記押し込み空間内に押し込んで前記開封部の開封がなされるものをも提供するものである。
【0032】
従って、本発明での初期の開封動作は、前記同一面シートに予め形成された切り目部分などの開封済み部で行うものとして実施することもでき、前記同一面シートを押し込むことで開かれる前記未開封部で行うものとして実施することもできる。
【0033】
なお、前記同一面シートは、袋体の一つの面をなすものとして実施すればよく、前記同一面シート自体か複数のシートを接合して構成されたものであってもよいが、接合されていない単一のシートとして実施することもできる。
【発明の効果】
【0034】
本発明にあっては、底面シートを備えた袋体において、底面シートとサイドシールと接合部分からの破袋を抑制することができる。
また、本発明は、袋体の耐破袋性能のばらつきを抑制した袋体を提供することができたものである。
【発明を実施するための形態】
【0036】
(概要)
図1は、本発明の実施の形態に係る袋体31を示すものであり、この袋体31は、2枚の胴部シート(正面側シート32と背面側シート33)の周囲を熱溶着などで接着した袋体である。
【0037】
正面側シート32と背面側シート33とは、一層又は複数層のフィルムを備えた合成樹脂製を主体とするシートを好適に用いることができ、必要に応じて金属層や紙層を含む複合素材製のシートであってもよい。
正面側シート32と背面側シート33とは、サイドシール61を左右両辺に備え、これによって両辺が接合されているが、袋体31の形状は種々変更して実施することができる。例えば、左右に襠部を有するものであってもよく、さらに、一部が剛性の高い成形品で構成されたものであってもよい。正面側シート32は背面側シート33とは、別体のシート体から構成してもよく、或いは、1枚のシートを左右2辺で折り曲げて中央でシールする背貼り型のものであってもよい。
【0038】
胴部シート(正面側シート32と背面側シート33)の底部には、底面シート51が配置されている。この底面シート51は、上側に配置された襠折り目線52によって二つ折りにされたシートであって、全体が直線状又は弧状に傾斜するボトムシール71が施されている。本発明の最も重要なポイントは、底面シート51と胴部シート(正面側シート32と背面側シート33)との接合構造にあるが、まずは、底面シート51を除く袋体の具体的な構造の例について
図1〜
図12を参照して説明し、その次に
図13以降を参照して底面シート51に関する説明を行う。
【0039】
(ファスナ10について)
この実施の形態に係る袋体31にあっては、その一つの面を構成する同一面シートのうち、正面側シート32と背面側シート33との少なくとも何れか一方(この例では正面側シート32)には、開封部34が形成されている。この開封部34を挟んで、上下両側に、第1ファスナ半部11の固定部14と、第2ファスナ半部21の固定部24とが、それぞれ熱溶着などで正面側シート32に接着されている。この第1ファスナ半部11と第2ファスナ半部21とは、雌雄嵌合部13と雌雄嵌合部23とが着脱可能に嵌合して、開閉可能なファスナ10を構成する。
【0040】
以下、ファスナ10を構成する第1ファスナ半部11、第2ファスナ半部21の長手方向を横方向(又は横方向)といい、第1ファスナ半部11、第2ファスナ半部21の幅方向を上下方向(又は縦方向)というが、これらは相対的な位置関係を示すに止まり、絶対的な位置を特定するものではない。
【0041】
(第2ファスナ半部21について)
まず、第2ファスナ半部21から説明する。第2ファスナ半部21は、通常の合成樹脂製のファスナに用いられるものと同様のもので、基部22と、基部22の背面側に設けられた雌雄嵌合部23とを備える。雌雄嵌合部23の正面側の全面あるいは幅方向の一部が固定部24を構成し、固定部24と正面側シート32の背面側とが熱溶着などの接着によって固定されている。
この例では、第2ファスナ半部21は開封部34の下方に配置されているが、上方に配置することもできる。
【0042】
(第1ファスナ半部11について)
次に、第1ファスナ半部11は、第2ファスナ半部21と嵌合する合成樹脂製のファスナ半部であり、基部12と、基部12の正面側に設けられた雌雄嵌合部13とを備える。この雌雄嵌合部13は、第2ファスナ半部21の雌雄嵌合部23と着脱可能に嵌合するものであり、第2ファスナ半部21の雌雄嵌合部23と上下方向において略同一位置に設けられたものであり、開封部34の下方に配置されている。なお、第2ファスナ半部21が開封部34の上方に配置された場合には、第1ファスナ半部11の雌雄嵌合部13も上方に配置される。
図1の例では、第2ファスナ半部21の雌雄嵌合部23が突条の雄嵌合部、第1ファスナ半部11の雌雄嵌合部13が雌嵌合部として実施されているが、
図2(A)に示すように、雌雄は逆にして実施することもでき、複数条の突条と凹溝とが互い嵌合する形状など、ファスナの雌雄嵌合部は種々変更して実施することができる。またいわゆるダブルチャックと呼ばれるように、複数の雌雄嵌合部同士を嵌合させるようにしてもよい。
【0043】
第1ファスナ半部11の基部12は、上下方向において、開封部34の上下に渡って形成されており、開封部34の上方に固定部24が形成されている。第1ファスナ半部11の固定部14は、正面側に突出した凸部15の正面側の先端面に形成されており、正面側シート32の背面側に熱溶着などの接着によって固定されている。この例では、第1ファスナ半部11の雌雄嵌合部13と第2ファスナ半部21の雌雄嵌合部23とが嵌合した状態で、第1ファスナ半部11の固定部14と第2ファスナ半部21の固定部24とが略同一高さとなるように、凸部15が正面側に突出している。これによって、後述するように、開封動作を極めて円滑に行うことができると共に、正面側シート32に対する熱溶着も確実に行うことができるものである。
【0044】
第1ファスナ半部11の基部12は、雌雄嵌合部13と固定部14との間に中間部16を備える。この中間部16は、雌雄嵌合部13及び固定部14(凸部15)に比して、背面側に凹んだ凹部となっている。これにより、中間部16と正面側シート32との間には、雌雄嵌合部13と固定部14(凸部15)との間に、押し込み空間39が形成されることになる。この中間部16並びに押し込み空間39に対応する位置であって、それらの正面側に位置する正面側シート32に、開封部34が形成されている。
【0045】
(開封部34について)
開封部34は、正面側シート32に形成されたもので、上下方向において、第1ファスナ半部11の固定部14と、第2ファスナ半部21の固定部24との間に挟まれた位置に形成されている。開封部34は、横方向に伸びる未開封部35と、その適宜位置(この例では中央)に形成された開封済み部36とを備える。この例では、未開封部35は正面側シート32に形成されたミシン目であり、開封済み部36は正面側シート32に形成された切り目部分である。この切り目部分は、指先が入る程度の大きさで、7mm以上、好ましくは10〜40mm程度の左右長さを有するものとして実施することが適当である。切り目部分は、線状にカットされていればよく、その上下方向の幅は0mmで足りるが、数mm〜10mm程度の上下幅として実施することもできる。
【0046】
(開封動作について)
開封に際しては、まず、開封済み部36から指fを押し込み空間39内に差し込む。この例では、開封済み部36は、予めカットされた切り目部分であり、また中間部16が前述のように凹部となっているため、無理なく指fを背面側に押し込むことができる。そして、差し込んだ指fを左右に動かすことで、ミシン目の未開封部35を容易に破っていくことができる。勿論、開封済み部36に差し込んだ指で正面側シート32を摘むなどして、上下方向に引っ張る要領で未開封部35を破るようにしてもよい。いずれにしても、開封済み部36を押し込み空間39に押し込むことで、開封済み部36からの開封を極めて容易に行うことができる。
【0047】
(製造方法について)
この袋体31の製造は、極めて容易になすことができる。従来、この種のファスナ10は、ウエブ状に連続して送られる正面側シート32に対して、第1ファスナ半部11と第2ファスナ半部21とを嵌合させた状態で、第1ファスナ半部11の固定部14及び第2ファスナ半部21の固定部24が、熱溶着などで接着固定される。本発明の実施の形態では、この接着固定に先立って、正面側シート32に開封部34(未開封部35及び開封済み部36)を押し切り装置などで形成するだけで足りる。このように、予め形成された開封部34の上下両側に第1ファスナ半部11の固定部14と第2ファスナ半部21の固定部24とが位置するように、位置合わせして接着を行うだけで足りるため、製造工程の数を多大にすることもなく、低コストで、製造することができる。
【0048】
(他の実施の形態)
図3(A)に、他の実施の形態を示す。先の実施の形態にあっては、開封部34の未開封部35をミシン目としたものであったが、この例では、未開封部35をシートの性質を利用したストレートカット性のあるものとしている点が相違するものであり、他の点については、先の実施の形態に関する説明を適用できる。
【0049】
この実施の形態では、袋体31を構成するシートのうち、少なくとも正面側シート32が方向性を有する延伸フィルムを備えるものである。この種のシートにあっては、延伸の縦方向である1方向にストレートカット性を示すものであり、このストレートカット性を示す易カット方向40が前記ファスナの長手方向に沿った方向(袋体の横方向)となるように、正面側シート32が配置されることによって、未開封部35が形成されたものである。従って、先の例と異なり、この実施の形態では、未開封部35は正面側シート32の他の部分とは区別できない構成となっているが、切り目部分などによって開封済み部36を形成し、前述の要領で開封済み部36から指fを押し込み空間39に差し込み、差し込んだ指fを左右に動かすことで、ストレートカット性を示す易カット方向40に未開封部35を容易に破っていくことができる。
【0050】
図示は省略するが、この未開封部35は、正面側シート32の表面から厚み方向の途中までに形成された凹溝であるハーフカットであってもよい。また、正面側シート32が複数枚のフィルムを積層したシートである場合には、その表面又は内部のフィルムを予め切断したり、同フィルムにミシン目を形成したりした弱め線を備えたシートとして実施し、その弱め線によって未開封部35を形成するようにすることもできる。
このように、未開封部35は、ファスナ10の長手方向に沿う方向に、容易に切り裂くことができる種々の手段に変更して実施することができる。
【0051】
(開封部34の変更例)
図3(B)に、開封部34の変更例を示す。先の2つの実施の形態にあっては、切り目部分による開封済み部36を設けたが、この例では、開封済み部36を設けないようにしたものであり、他の点については、先の何れの実施の形態に関する説明を適用できる。この
図3(B)の例では、未開封部35についてミシン目としているが、このミシン目よりも小さな力で開封できる最弱開封部分37を開封済み部36の代わりに設けたものである。
【0052】
最弱開封部37は、未開封部35のミシン目よりも小さな力で開封できるように、ミシン目の数を密にしたり、幅を大きくしたりしするなどして実施する。
このように、未開封部35と、開封済み部36又は最弱開封部37とを、ファスナ10の長手方向に連続して設けることで、開封の容易性と正面側シート32の無用な開封を防止する点で好ましい。但し、指fで破ることができることを条件に、開封済み部36や最弱開封部37を設けずに、未開封部35のみで構成する(例えば、全体を均一なミシン目で構成する)ことも可能である(
図3(C)参照)。その場合には、開封部34の何れの箇所からも開封することができるが、使用者が迷わないように、矢印などで開封位置を示しておくこともできる。このような開封位置の表示は、他の例にあっても設けておくことが望ましい。
【0053】
図3(D)は、最弱開封部37についてミシン目を採用し、未開封部35についてストレートカット性を示す易カット方向40をファスナ10の長手方向とした第2の実施の形態の例を採用したものである。
図3(E)は、開封済み部36(又は最弱開封部37)について、袋体31の中央ではなく、正面側シート32の左右の一端に配置した例であり、
図3(F)は、開封済み部36を複数箇所(左右両端)に配置した例である。
このように、開封部34の構成については、その構造や数や大きさなど種々変更して実施することができ、種々の組み合わせで実施することができる。
【0054】
(第1ファスナ半部11の変更例)
第1ファスナ半部11の凸部15については、前述したように、嵌合状態の雌雄嵌合部13と雌雄嵌合部23との厚みに略等しい高さに、突出させて、その先端の固定部14と、第2ファスナ半部21の固定部24とが略同じ高さとなるようにすることが最も望ましいが、
図2(B)に示すように、両者の高さに若干の相違を設けて実施することもできる。
図2(B)の例では、凸部15の高さを、嵌合状態の雌雄嵌合部13と雌雄嵌合部23との厚みの約2分の1としているが、3分の1以上程度でもよい。また、凸部15を全く設けずに固定部14と中間部16とを同じ高さとして実施することも不可能ではないが、開封部34の押し込みを良好になす観点や、正面側シート32に対する熱溶着などの接着を良好になす観点からは、凸部15を設けて実施することが望ましい。
【0055】
(
図2(C)について)
また、前述までの実施の形態では、両ファスナ半部11、21の基部12、22の図示下端の下方への長さを略同じ長さとしていたが、両者の長さを異なるようにしてもよい。特に、
図2(C)に示すように、第1ファスナ半部11の基部12を、第2ファスナ半部21の基部22よりも下方に長く伸ばすことも好ましい。このように、ファスナ10の幅方向(
図2の上下方向)において、第1ファスナ半部11の基部12の端部に延長部17を設けて、この延長部17を、第2ファスナ半部21の基部22よりも幅方向に突出するようにしておく。これによって、両ファスナ半部11、21の基部12、22を、固定部14、12において正面側シート32に熱溶着する際に、延長部17も正面側シート32に対して、軽く熱溶着され、仮接合部18が形成される。なお、図では、仮接合部18の厚みが大きく描かれているが、実際は正面側シート32や延長部17等が厚み方向に自然と曲がるため、仮接合部18が厚み自体は、他の固定部14、24と同じでよい。但し、延長部17の厚みを他の固定部14、24と異なるように(例えば厚みを厚くして仮接合が確実に行なわれるように、もしくは、厚みを薄くして仮接合の強度を調整するように)してもよい。
【0056】
このように、延長部17による仮接合部18を設けることで、被収納物を収納した袋体31が保管中や移送中に、雌雄嵌合部13、23が外れることがあっても、仮接合部18によって袋体31の内外の連通が阻止され得る可能性が高くなる。
【0057】
他方、開封に際しては、開封部34から開封され、雌雄嵌合部13、23が外される際に、第1ファスナ半部11の基部12及びその延長部17と、正面側シート32とが、離反するように図示左右に強く引っ張られるため、この延長部17の仮接合部18が外れて、袋体31の内外を連通させることができる。
【0058】
従って、この延長部17の仮接合部18は、不用意には外れないが、意図的な開封時には外れるように、適当な面積とすることが望ましい。具体的には、延長部17は3〜10mm程度の幅方向(図の上下方向)の長さがあれよいが、この数値に本発明を限定して理解されるべきではない。
【0059】
また、材質を工夫して、正面側シート32に対する接着強さを、固定部14、24を強く、延長部17を弱く接着されるようにしてもよい。例えば、延長部17を含む両ファスナ半部11、12全体をポリプロピレンなどの溶着温度の高い素材で形成し、両固定部14、24の正面側の面に、ポリエチレン等の溶着温度の低い素材のフィルムを積層するなどして配置する。そして、正面側シート32の少なくとも背面側を熱溶着温度の低い素材で構成し、ポリエチレンの溶着温度であってポリプロピレンの溶着温度未満の温度で加熱圧着することで、弱く接着した状態としてもよい。
【0060】
(
図4について)
本発明に係る袋体31を工業的に量産する場合、袋の連続製造の常法に従い、
図4に示す連続シート51の形態を採るものを製造して、この連続シート51に対して収納物を収納しながら又は収納せずに各袋体31を製造することができる。この連続シート51は、袋体31を構成できる正面側シート32(又は必要に応じて正面側シート32の背面に背面側シートを配置して左右のサイドシールを施し筒状となった2枚のシート体でもよい)を、複数枚分長手方向(
図4の上下方向)に連続して配置したものである。この例では、
図1の袋体31を連続生産できるものを示すが、他の実施の形態に係る袋体31であってもよい。この連続シート51には、各袋体31毎に、等間隔で前述の開閉用のファスナが配置され、固定部14、24で固定されている。そして、固定部14、24の間に、開封部34(未開封部35及び開封済み部36や、図示はしないが最弱開封部37)が正面側シート32に等間隔で形成されている。この連続シート51は、通常ロール状に巻回されて保管移送され、袋体31の完成工程にて、袋体31と袋体31との間の境界部分91に、袋の天部のシールと底部のシールとが施されると共に切断され、一つずつの袋体31が完成させられる。なお、連続した状態の連続シート51の境界部分91には、袋の天部のシールと底部のシールとを予め施しておかないことが一般的であるが、底部シールのみを施したり、両シールを施しておくようにしたり、種々変更して実施し得るものである。
【0061】
(
図5について)
図5は開封動作の一例を示すものである。この
図5にあっては、凸部15を設けていない場合であっても、容易に開封部34からの開封が可能な例を示したものである。
【0062】
図5(A)は、
図2に示したものと同様の状態を示すものである。この例では、開封部34(特に開封済み部36)の全部又は一部が、第2ファスナ半部21の固定部24の間近の位置(具体的には0〜4mm程度の位置)に配置されている。より望ましくは、第1ファスナ半部11の固定部14よりも、第2ファスナ半部21の固定部24に近い位置に、開封済み部36を設けるようにする(
図5(D)参照)。開封済み部36が直線状の切り目部分で、固定部24と平行に設けられている場合には、開封部34(特に開封済み部36)の全部が上記の間近の位置に設けられることになる。開封済み部36が波打ったように形成されている場合(
図5(E)参照)や、図示は省略するが傾斜して設けられている場合などには、その一部が上記の間近の位置に配置されればよい。また、
図5(F)に示すように、開封済み部36が後に詳述する開口部41である場合には、開封済み部36(開口部41)の一部が、固定部24の上端よりも下方の位置に配置される場合もあり得るが、この場合に関しても、上記0mmの位置に含まれるものとする。開封済み部36(開口部41)の一部が、固定部24の上端よりも下方の位置にしても、この固定部24には第2ファスナ半部21の基部22が存在するため、実質的な開口の大きさは、開封済み部36の上辺からファスナの基部22の上端辺によって規定されることになるため、上記0mmの位置に含まれるとするのが合理的である。同様に、
図5(G)に示されるように、第1ファスナ半部11の固定部14よりも上方に開封済み部36(開口部41)の一部が存在する場合には、実質的な開口の上辺は、ファスナ半部11の基部12の下端辺によって規定されることになり、
図5(G)の例では、上下両辺が、両ファスナ半部11、21の基部12、22によって規定されることになる。
また、両ファスナ半部11、21の固定部14、24同士の位置を近づけておくことも望ましく、具体的には6mm以下程度が望ましい。
【0063】
この状態で、開封するには、まず、一方の手(例えば右手)の親指f1と人指し指f2とで袋体を前後からつまむ。より詳しくは、親指f1で固定部14を袋体の正面側から背面側へ押さえると共に、人指し指f2を横にして袋体の背面側から、雌雄嵌合部13、雌雄嵌合部23の付近を袋体の正面側に押すようにしてつまむ。この状態で、人指し指f2を押し出すようにして、親指f1を背面側に回して、こじ開けるようにして開封部34を開く。その際、開封部34(特に開封済み部36)が、基部22の間近の位置に配置されているため、正面側シート32が基部22によって裏打ちされた状態で腰が強くなっているため、基部22と正面側シート32とが正面の方に開く。これにより開封部34(特に開封済み部36)の開きが大きくなり、他方の手(例えば左手)の親指f3を容易に挿入することができる。従って、開封部34の開封動作、特に、初期の開封動作を今までのファスナ付き袋体とは比較にならないほど、簡単に素早く行うことができる。
【0064】
(
図6〜
図11について)
図6〜
図11は、上述の種々の構成を整理したものであり、以下、その種類毎に順次説明する。
【0065】
(
図6について)
図6(A)〜(E)は、それぞれ開封部34を図示したものである。
【0066】
図6(A)は、開封部34を開封済み部36のみで構成したものである。この開封済み部36は、全体が長い切り目によって構成されているものである。なお、便宜上、4cm以下の短い切り目を切り目部分と呼び、4cmを超える長い切り目をカットラインと呼ぶ。このカットラインは、開封部34の全長を構成してもよく、
図6(B)に示すように、一部が切断されずに繋がっている部分38となっている複数のカットラインで構成してもよい。開封済み部36のカットラインが長くなり過ぎると、移送時などに開封済み部36が大きく開いてしまって雌雄嵌合部が開いてしまうおそれがあるため、繋がっている部分38を適宜間隔で設けることも好ましい。また、開封部34は、袋体31の左右両側に達するようにすることが好ましいが、袋体31の中央にのみ設けるなど、その形成位置は適宜変更して実施することができる。
【0067】
図6(C)は、前述の
図3(C)と同様、開封部34をミシン目などの未開封部35のみで構成した例である。このミシン目は、
図6(D)に示すように、平行に複数本(この例では2本)設けてもよい。また、
図6(E)に示すように、平行に複数本(この例では2本)設ける際に、ミシン目を千鳥状に配置することも望ましい。
このように、開封部34は、未開封部35と開封済み部36のうち、同一種類のみで全体を構成することもできるし、前述のように、未開封部35と開封済み部36とを組み合わせて連続して開封されるように構成することもできる。
【0068】
(
図7、
図8について)
図7及び
図8は、開封部34を未開封部35や開封済み部36などを混在させと構成する場合のパターンを示したものである。
【0069】
図7(A)は、直線状のミシン目などの未開封部35(又は、カットラインなどの開封済み部36)に対して、開口部41を連続させて設けた例を示す。これまでの説明では、開封済み部36を切り目(切り目部分又はカットライン)のように線状の開口で構成する例を示したが、この例では、開封済み部36として横方向(ファスナ10の長手方向)のみならず、縦方向(ファスナ10の幅方向)にも面状に開口している開口部41として実施しているものである。この開口部41は、正面側シート32(同一面シート)を金型などで打ち抜くなどして形成されており、直線状の未開封部35(又は開封済み部36)に対して、上下両側に開口部41を設けたものである。
【0070】
図7(B)は、1本の直線状のカットラインなどの開封済み部36に対して、上下の何れか一方に突出するように開口部41を設けたものである。なお、直線状の開封済み部36を2本平行して設ける場合には、上の直線状の開封済み部36に対して上方に突出するように開口部41を設け、下の直線状の開封済み部36に対しては下方に突出するように開口部41を設けることが自然であるが、いずれの方向に開口部41を突出させてもよい。
【0071】
図7(C)は、1本の直線状のカットラインなどの開封済み部36に対して、上下の何れか一方に突出するように開封済み部36(切り目部分)を湾曲させて設けた例である。この場合も、上記
図7(B)と同様、上下の何れか一方に開封済み部36(切り目部分)を設けることもできる他、直線状の開封済み部36を2本平行して設ける場合にも適用することができる。
【0072】
図7(D)は、1本の直線状の開封済み部36(カットライン)に対して、上下の何れか一方に突出するように未開封部35(ミシン目)を湾曲させて設けた例である。この場合も、上記
図7(B)と同様、1本の直線状の開封済み部36(カットライン)に対して、未開封部35(ミシン目)を上下何れか一方に設けることもできる他、直線状の開封済み部36(カットライン)を2本平行して設ける場合にも適用することができる。
【0073】
次に、
図8(A)〜(C)も、
図7(B)〜
図7(D)と同様であり、1本ずつを採用することもでき、上下2本を一組にして実施することもできる。
図8(A)は、半円形に打ち抜くなどした開口部41を、未開封部35(ミシン目)に対して連続して設けたものである。
図8(B)は、半円形に湾曲した開封済み部36(切り目)を、未開封部35(ミシン目)に対して連続して設けたものである。
図8(C)は、半円形に湾曲した未開封部35(ミシン目)を、直線状の未開封部35(ミシン目)に対して連続して設けたものである。この場合、湾曲した未開封部35(ミシン目)を前述の最弱開封部37として実施することもできる。
【0074】
(
図9〜
図11について)
直線上の未開封部35(又は開封済み部36)に対して、開口部41、未開封部35、開封済み部36を設ける際、これらは種々の形状のものとして実施することができるものであり、その例を
図9〜
図11に。
図9(A)は円形、
図9(B)(C)は半円形、
図9(D)はバツ印、
図9(E)は長方形、
図9(F)(G)は台形の例である。
図10(A)は6角形などの多角形、
図10(B)は鼓形状、
図10(C)(D)は平行四辺形の例である。
図11(A)(B)(C)はそれぞれ3角形の例であり、
図11(D)は矢印形の例である。
【0075】
これらの種々の形状は、変形した部分が開封開始時に指先を挿入するなどの最初の開封動作を容易になすための例であり、種々変更することができる。また、開封後のつまみとなるタブとして機能させることもできる。但し、当該部分を開封済み部36の開封済み部36や開口部41として実施した場合、移送時などに不用意に大きく開封してしまうおそれがあるため、
図11(E)に示すように、当該部分を隠すシール42を同一面シート(正面側シート32)の外側から剥離可能に貼り付けることもできる。これにより、密閉性を高めることができると共にいたずら防止の効果をも発揮することができる。このシール42は、開封開始の位置に設ける他、開封部34の全長に渡って設けるようにしてもよい。
【0076】
(
図12について)
図12は仮接合部18を設ける位置を示すものである。
図12(A)は、
図2(C)と同様、基部12の下端に仮接合部18が設けたものであり、開封部34と、雌雄嵌合部13、23と、仮接合部18との順で、袋体の収納部奥の方に近づくように並べられている。この例では、開封部34を開封した後、雌雄嵌合部13、雌雄嵌合部23の嵌合を外すことで、仮接合部18を袋の前後に大きく開いて引っ張ることができるため、仮接合部18の仮接着が強い場合でも、開封が容易になるという利点がある。
【0077】
図12(B)は、仮接合部18が、開封部34と、雌雄嵌合部13、23との間に設けられたものである。この例では、仮接合部18が開封部34に近い位置に設けられているため、外部からの力が直接雌雄嵌合部13、23に作用しないという利点がある。
【0078】
図12(C)は、仮接合部18が、雌雄嵌合部13、雌雄嵌合部23の上下に設けられているものである。この例では、より強固に雌雄嵌合部13、23を保護することができる。以上、本発明は、上記の具体例を種々組み合わせて実施することができることはもちろん、上記の具体例以外の構造(例えば、正面側シート32と背面側シート33とのそれぞれに嵌合するファスナを設けたものや、ファスナを設けずに袋の全周をヒートシールで閉じたものや、シート間の接合部やシート面上に吐出口を設けたものなど、種々変更して実施することができるものである。
【0079】
(底面シート51について)
次に本発明の最も重要なポイントである底面シート51の接合構造について説明する。
【0080】
底面シート51は、上部の襠折り目線52にて二つ折りにされることにより、前底分53と後底分54とに区分されている。底面シート51は、
図13(B)に示すように、正面側シート32及び背面側シート33と別体のシートであっであってもよく、
図13(C)に示すように、正面側シート32及び背面側シート33と一体のシートを折り目線で折り曲げて形成されたものであってもよい。
【0081】
(サイドシール61について)
この底面シート51は、サイドシール61によって正面側シート32及び背面側シート33に接合されている。サイドシール61は、底面シート51の存在しない袋体の上部では正面側シート32と背面側シート33との2枚を接合する胴部サイドシール62とされ、袋体の下部では、底面シート51を他のシートと接合する底部サイドシール63とされている。より詳しくは、底部サイドシール63は、正面側シート32と前底分53とを接合し、これとは別に背面側シート33と後底分54とを接合する。
【0082】
一般に、正面側シート32、背面側シート33及び底面シート51は、袋体31の表面側にPETやポリアミドなどの熱溶融温度の高いフィルムを配置し、袋体31の内面側にPEやPPなどの熱溶融温度の低いフィルムを配置した積層体にて構成される。そして、熱溶融温度の低いフィルムを接合し、熱溶融温度の高いフィルムを接合しない温度に金型を加熱したり、或いは超音波ホーンの条件を設定したりして、サイドシール61を形成する。これにより、胴部サイドシール62では、正面側シート32と背面側シート33との内面側の2枚の熱溶融温度の低いフィルム同士が接合される。他方、底部サイドシール63では、正面側シート32と前底分53との内面側の2枚の熱溶融温度の低いフィルム同士が接合され、これとは別に背面側シート33と後底分54との内面側の2枚の熱溶融温度の低いフィルム同士が接合されるが、前底分53と後底分54同士は、熱溶融温度の高いフィルムが対面するため、接合されない状態となる。なお、このような積層シートを採用しない場合では、前底分53と後底分54の間に耐熱板等を挟んでヒートシールすることによって、同様な接合構造を得ることもできる。
【0083】
このように、前底分53と後底分54とが接合されない状態で完成品とすることもできるが、前底分53と後底分54との一部を接合した状態で完成品とすることも、スタンディングパウチなどの袋では広く行われている。具体的には、底面シート51に、底部サイドシール63の位置の少なくとも一部に、切除部を設けて底面シート51が存在しないようにする。この切除部の位置では、底面シート51(前底分53及び後底分54)が存在しないため、正面側シート32と背面側シート33との内面側のフィルム同士が直接対面してヒートシールによって接合された前後接合部65が形成される。これによって、収納物を入れた状態で、袋体31の形態が安定して底部を接地した状態で立てることが容易になる。
本発明は、前後接合部65の有無に関わらず実施することができるものであり、以下の説明では、特記しないかぎり、いずれの形態の場合も含むものとする。
【0084】
(ボトムシール71について)
ボトムシール71は、底面シート51を所定の形態に規定するために設けられたもので、底部サイドシール63と同様、正面側シート32と前底分53とを接合し、これとは別に背面側シート33と後底分54とを接合する。一般的には、左右方向においてサイドシール61に近づくに従って、全体として略斜め上方に傾斜して伸びる。左右の傾斜した部分は、袋体31の略中央で互いに直接接続されるものでもよく、略中央に設けられる水平部分を介して接続されるものであってもよい。
ボトムシール71は、直線状に傾斜するものであってもよく、弧状に傾斜するものであってもよい。
【0085】
(サイドライン64とボトムライン72について:
図14参照)
本発明においては、底面シート51とサイドシール61とボトムシール71との関係が重要である。以下、サイドシール61の内側の縁を規定する線をサイドライン64とし、ボトムシール71の内側の縁を規定する線をボトムライン72として説明する。サイドライン64は、通常は直線であるが、直線の一部に小さな凹部が設けられている場合、サイドシール61の大部分を占める直線の延長線をサイドライン64とする。
【0086】
(正規縁部74と調整縁部75について)
本発明に係るボトムライン72は、
図14(A)に最も良く示されているように、直線の正規縁部74と、正規縁部74の前記直線に対して曲がっている調整縁部75とを備える。正規縁部74はサイドシール61の主たる形状を特定するもので、横方向にて、サイドシール61から遠い領域に正規縁部74が形成され、サイドシール61に近い領域に調整縁部75が形成される。言い換えると、調整縁部75は、正規縁部74がサイドシール61に接続される角度を整えるものであり、正規縁部74は調整縁部75を介してサイドライン64に接続される。正規縁部74は、袋底部の形状を整える点を主眼に設定されるため、30度〜60度程度の比較的急峻な勾配を持つ場合が多い。この急峻な正規縁部74が直接サイドライン64と交わると、その交差点に応力が集中し易い。そのため、調整縁部75を正規縁部74よりも勾配の角度が小さなものとして、応力の集中を緩和するものである。この勾配の角度は種々変更して実施することができるが、襠折り目線52を水平線として、この水平線に対する調整縁部75の勾配の角度が±24度の範囲内とすることが好ましい。
【0087】
(
図14の例)
図14に示すように、調整縁部75の勾配の角度が負の値(具体的には10度で図示している)を示す。言い換えれば、ボトムライン72は正規縁部74と調整縁部75との間に頂部分73を備え、この頂部分73はボトムライン72のうちで最も上方に位置する。よって、襠折り目線52を水平線として、サイドライン64に向かって、正規縁部74は登り勾配となり、調整縁部75は下り勾配となっている。
【0088】
この例では、調整縁部75が襠折り目線52よりも下方の位置にあるため、襠折り目線52を挟んで、前後にポケット部81が形成される。より詳しくは、ポケット部81は、正面側シート32と底面シート51の前底分53との間に形成された隙間、及び、背面側シート33と底面シート51の後底分54との間に形成された隙間である。そして、この前後のポケット部81の底辺82は調整縁部75によって閉ざされて規定され、ポケット部81の側辺83はサイドライン64により閉ざされて規定される。
【0089】
この状態で、袋体31内に収納物が収納された場合、
図14(B)に示すように、底面シート51の襠折り目線52が伸びた状態に開かれるが、その際、ボトムシール71の大部分を占める正規縁部74の影響を受けて、折り癖78が付く。この折り癖78は、正規縁部74の延長線に沿うか、あるいは延長線と襠折り目線52との間に付くが、折り癖78よりも下方の部分であるポケット部81では、底面シート51が大きく開かれず、正面側シート32と底面シート51の前底分53とが接触した状態もしくは接触に近い状態となり、同様に、背面側シート33と底面シート51の後底分54とが接触した状態もしくは接触に近い状態を維持する。
【0090】
さらに袋体31が落下したり、袋体31の内部の内圧が上昇したりして、底面シート51に対して静止状態より大きな力が急激に加わると、この力はポケット部81が少し開かれることで吸収されて緩和される。さらに、この緩和された力は、ポケット部81内のサイドライン64や調整縁部75などに分散し、1点に集中することが緩和される。従って、襠折り目線52付近の底面シート51とサイドシール61との接合部分からの裂け目や破れなどによる破袋の発生が抑制される。
【0091】
(3つの点の関係)
ここで、襠折り目線52の襠折り目線52と、サイドシール61と、ボトムシール71との関係を示すために、3つの点を規定する。
【0092】
第1に、サイドシール61のサイドライン64に対して、襠折り目線52が交わる点を襠交点55とする。
第2に、サイドシール61のサイドライン64に対して、正規縁部74の延長線が交わる点を上方仮想点76とする。
第3に、サイドシール61のサイドライン64に対して、調整縁部75が交わる点を下方接続点77とする。
【0093】
上述のとおり、調整縁部75が正規縁部74よりも勾配の角度が小さなものとされる結果、上方仮想点76は下方接続点77よりも常に上方に位置する。
この条件下で、襠交点55の位置を検討すると、
図15の(A)〜(E)に示す5つの態様に大別し得る。
【0094】
(A)は、襠交点55が、上方仮想点76及び下方接続点77よりも下方に位置する態様である。
(B)は、襠交点55が、下方接続点77と同じ位置にある態様である。
(C)は、襠交点55が、上方仮想点76と下方接続点77との間に位置する態様である。
(E)は、襠交点55が、上方仮想点76と同じ位置にある態様である。
(F)は、襠交点55が、上方仮想点76及び下方接続点77よりも上方に位置する態様である。
【0095】
なお、前述のように、襠折り目線52に対する調整縁部75の勾配の角度は例えば±24度の範囲内とすることが好ましいため、
図14の例では、勾配が0度(襠交点55と調整縁部75とが平行)の場合を示したが、正負何れかの勾配となった場合でも同様に考えることができる。
【0096】
本発明者は、多くの試行錯誤と推論の結果、次の結論に到達した。
(A)では、ポケット部81が形成されず、底面シート51の襠折り目線52とボトムライン72との交点に力が集中するため、破袋が生じやすい。
(B)では、ポケット部81が形成されず、底面シート51の襠折り目線52と下方接続点77とが一致しており、この点に力が集中するため、破袋が生じやすい。
(C)では、ポケット部81が形成されるため、破袋を抑制することができる。
(E)では、ポケット部81が形成されるため、破袋を抑制することができる。
(F)では、ポケット部81が形成されるが、ポケット部81よりも、襠交点55が上方に位置するため、この襠交点55に力が集中する結果、破袋が生じやすい。
【0097】
また、ポケット部81の底辺は、その全体が、必ずしも調整縁部75のシールによって閉じられている必要はなく、調整縁部75の一部又は前部が存在しなかったりしても、破袋を抑制する効果を得ることが確認された。これは、ポケット部81(正面側シート32と底面シート51の前底分53との間に形成された隙間、及び、背面側シート33と底面シート51の後底分54との間に形成された隙間)が、前述のように、開きにくく、大きな力が加わっても、ポケット部81が開くことでその力が緩和され、さらに緩和された力が襠折り目線52とサイドライン64との交点と、下方接続点77との交点との間の領域におけるサイドシール61に力が分散することによると発明者は考えている。従って、
図16や
図17に示す形態にあっても、破袋を抑制する効果を得ることができる。但し、
図17(A)のように、鋭角のシール部分を形成することは好ましくなく、17(B)のように、アールにするなどの処理を施しておくことが好ましい。また、シールを底端に至るまで施していない
図16(B)
図17(A)(B)の場合には、袋に穴が開いた状態となるが、この穴よりも大きな粒体を収納する用途などには、空気抜き孔として利用することも可能であり、
図16(A)のように穴を適宜位置で塞ぐようにシールしてもよい。
【0098】
(調整縁部75の勾配について)
調整縁部75の勾配は、襠折り目線52を水平線として、サイドライン64に近づくに従って登り勾配(勾配の角度が正)となる場合と、水平(勾配の角度0度)となる場合と、下り勾配(勾配の角度が負)となる場合とを想定し得る。この何れの態様にあっても、上述の3点の関係に従って力が分散し得るものではある。ところが、底面シート51の正面側シート32及び背面側シート33に対する上下の位置関係は、その製法の如何に関わらず、安定しない場合が多い。他方、各シールを行うための融着用の金型は一定の形状に作成されていたり、微調整が可能であってもこれを変更するには一々製造ラインを止める必要がある。
【0099】
そのため、設計値と実際の製品との間には若干のズレが生じたり、製品間においてもシートの蛇行などによってズレが発生したりする。
この点を考慮すると、上方仮想点76と下方接続点77との間の間隔は大きい方が好ましいが、この間隔を大きくするために、極端に正規縁部74の角度を急峻にしたり、調整縁部75の長さを長くすることは、底面シート51の開き具合に悪影響を及ぼすなどの弊害が生じる。
【0100】
そこで、上方仮想点76と下方接続点77との間の間隔を大きくするには、調整縁部75の勾配をサイドライン64に近づくに従って下り勾配(負の勾配角度)とすることが最も望ましく、次いで水平(勾配の角度0度)とすることが望ましい。但し、正規縁部74と調整縁部75とをスムーズに連続させておくことも力の分散の観点からは好ましく、正規縁部74と調整縁部75との接続部分にアールを設けることも望ましく、また登り勾配(正の勾配角度)として実施することも可能である。
【0101】
(前後接合部65について)
先に述べたとおり、一般のスタンディングパウチなどの立ちやすさを実現するために、前後接合部65を形成して実施される場合が多い。この目的による前後接合部65は、袋の底端付近に設けられるのが一般的であるが、本発明者は、この前後接合部65を開き止めのために用いるのではなく、前後接合部65の形成位置によって、破袋防止効果を向上させ得ることも知見した。具体的には、底部サイドシール63に設けられる前後接合部65の少なくとも一部を、ポケット部81と同じ高さにする。この前後接合部65は、底面シート51の上部付近に設けられることになり、袋の底端から比較的遠い位置にあるため、スタンディングパウチなどの立ちやすさを実現するためには大きな役割を果たすものではないが、ポケット部81の形態を安定させるのに効果があり、その結果、破袋防止効果が向上すると考えられる。
【実施例】
【0102】
以下、本発明の理解を高めるために、2種の実施例を3種の比較例と共に示すが、本発明はこれらの実施例に限定して理解されるべきではない。
【0103】
(袋体の基本形態)
袋体の基本形態は、全体が正面視で縦×横=29cm×22cmの長方形状をなし、底部に底面シート(縦×横=10cm×22cm)を二つ折りにして配置し、天部から4cmの位置に開閉用のファスナを設けた袋体である。
【0104】
正面側シート、背面側シート及び底面シートには、PETフィルム(12μm厚)とLLDPEフィルム(70μm厚)とのラミネートシートに採用し、PETフィルムを袋体の表面側に配置して袋体を形成した。サイドシール61は、左右の幅を7mmとした。
【0105】
(実施例1:
図18(A)参照)
実施例1は、ボトムシール71を先に説明した
図15(C)と同じ形態としたものであり、襠折り目線52を水平線としてこれに対する正規縁部74の傾斜角度を45度、調整縁部75の傾斜角度を0度(水平)とし、正規縁部74と調整縁部75との交点にはわずかなアールを付けたものである。サイドライン64における襠折り目線52の位置よりも4mm下方の位置に、調整縁部75の下方接続点77が位置するようにした。前後接合部65は、常法に従い袋体の底部付近に4mm幅で設けると共に、その上方に、ポケット部81と同じ上下位置にも同幅で設けた。
【0106】
(実施例2:
図18(B)参照)
実施例1と同じ形態であるが、前後接合部65は常法に従い袋体の底部付近に設けるに止まり、その上方のポケット部81と同じ上下位置には設けなかった。
【0107】
(比較例1:
図18(C)参照)
比較例1は、最も一般的なスタンディングパウチに採用されるボトムシール71と略同じもので、襠折り目線52を水平線としてこれに対する傾斜角度を45度とした正規縁部74のみを設けた。正規縁部74は襠折り目線52とサイドライン64との交点に交わるものとした。前後接合部65は常法に従い袋体の底部付近にのみ設けた。
【0108】
(比較例2:
図18(D)参照)
比較例2は、先に提示した特許文献1と同じもので、サイドライン64よりも外側に凹んだ半径3mmの略半円形をなす凹部101を形成したものである。襠折り目線52を水平線としてこれに対する傾斜角度を45度とした正規縁部74を形成し、その先端が凹部101内に到達してサイドシール61に接続されたものとした。前後接合部65は常法に従い袋体の底部付近にのみ設けた。
【0109】
(比較例3:
図18(E)参照)
比較例3は、ボトムシール71を先に説明した
図15(B)と同じ形態としたものであり、襠折り目線52を水平線としてこれに対する正規縁部74の傾斜角度を45度、調整縁部75の傾斜角度を0度(水平)とし、正規縁部74と調整縁部75との交点にはわずかなアールを付けたものである。サイドライン64における襠折り目線52の位置と同じ位置に、調整縁部75の下方接続点77が位置するようにした。前後接合部65は常法に従い袋体の底部付近にのみ設けた。
【0110】
(落袋テスト)
各実施例及び比較例の袋をそれぞれ4袋用意し、それぞれの内部に米粒2.0Kgを収納してファスナを閉じた状態で、底面を下側にして、1.7mの高さからコンクリート床に自然落下させた。
【0111】
各袋について、落下テストを繰り返し行い、破袋が目視により確認されるまで落下テストを続けた。表1にその結果を示す。
【0112】
【表1】
【0113】
表1では、各実施例及び比較例について、破袋が目視により確認されなかった落下回数の平均値、破袋が目視により確認されなかった落下回数の最大値、破袋が目視により確認されなかった落下回数の最小値を示した。但し、落下回数は12回を最大とし、それ以上の落下テストを行わなかった。そのため、12回落下させても破袋が目視により確認されなかったものを含む実施例1及び2にあっては、平均値及び最大値を「以上」として表示した。
実施例1及び2は、比較例1〜3に比して優秀な耐破袋性能が確認され、実施例1と2との比較では、実施例1と2とでは、前後接合部65をポケット部81と同じ上下位置にも設ける方が、より有利な結果を得ることが確認された。比較例2では、ボトムシール71からの破袋ではなく、凹部101の上角102からの破袋が生じていることが確認された。