特許第6496119号(P6496119)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6496119
(24)【登録日】2019年3月15日
(45)【発行日】2019年4月3日
(54)【発明の名称】着色硬化性樹脂組成物
(51)【国際特許分類】
   C08F 2/44 20060101AFI20190325BHJP
   G02B 5/20 20060101ALI20190325BHJP
   G03F 7/004 20060101ALI20190325BHJP
   G02F 1/1335 20060101ALI20190325BHJP
【FI】
   C08F2/44 Z
   G02B5/20 101
   G03F7/004 501
   G03F7/004 505
   G02F1/1335 505
【請求項の数】9
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2014-212366(P2014-212366)
(22)【出願日】2014年10月17日
(65)【公開番号】特開2015-98589(P2015-98589A)
(43)【公開日】2015年5月28日
【審査請求日】2017年9月25日
(31)【優先権主張番号】特願2013-216077(P2013-216077)
(32)【優先日】2013年10月17日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】503454506
【氏名又は名称】東友ファインケム株式会社
【氏名又は名称原語表記】DONGWOO FINE−CHEM CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110002837
【氏名又は名称】特許業務法人アスフィ国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100075409
【弁理士】
【氏名又は名称】植木 久一
(74)【代理人】
【識別番号】100129757
【弁理士】
【氏名又は名称】植木 久彦
(74)【代理人】
【識別番号】100115082
【弁理士】
【氏名又は名称】菅河 忠志
(74)【代理人】
【識別番号】100125243
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 浩彰
(72)【発明者】
【氏名】芦田 徹
【審査官】 藤本 保
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−168258(JP,A)
【文献】 特開2004−295116(JP,A)
【文献】 特開2011−141356(JP,A)
【文献】 特開2015−038201(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F2/44−2/50
G02B5/20
G02F1/1335
G03F7/004
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
緑色染料を含む着色剤(A)と、樹脂(B)と、重合性化合物(C)と、重合開始剤(D)と、溶剤(E)と、無色の金属錯体(G)とを含み、該無色の金属錯体(G)が式(10)で表される亜鉛錯体である着色硬化性樹脂組成物。
【化1】

[式(10)中、R81〜R84は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基又はヒドロキシ基を表す。]
【請求項2】
緑色染料が、スクアリリウム染料、アントラキノン染料及びトリアリールメタン染料からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載の着色硬化性樹脂組成物。
【請求項3】
スクアリリウム染料、アントラキノン染料及びトリアリールメタン染料からなる群から選ばれる少なくとも1種が、スクアリリウム染料である請求項2に記載の着色硬化性樹脂組成物。
【請求項4】
着色剤(A)が、緑色顔料、黄色顔料及び黄色染料からなる群から選ばれる少なくとも1種をさらに含む請求項1〜請求項3のいずれかに記載の着色硬化性樹脂組成物。
【請求項5】
緑色顔料、黄色顔料及び黄色染料からなる群から選ばれる少なくとも1種が、黄色顔料である請求項4に記載の着色硬化性樹脂組成物。
【請求項6】
黄色顔料が、C.I.ピグメントイエロー138である請求項5に記載の着色硬化性樹脂組成物。
【請求項7】
請求項1〜請求項6のいずれかに記載の着色硬化性樹脂組成物から形成される塗膜。
【請求項8】
請求項1〜請求項6のいずれかに記載の着色硬化性樹脂組成物から形成されるカラーフィルタ。
【請求項9】
請求項8に記載のカラーフィルタを含む表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、着色硬化性樹脂組成物等に関する。
【0002】
液晶表示装置等や固体撮像素子等に含まれているカラーフィルタを形成する着色硬化性樹脂組成物として、特許文献1に、式(h−6)で表される化合物、バインダー樹脂、溶剤、重合開始剤、及び硬化剤を含む着色硬化性樹脂組成物が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−168258号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の着色硬化性樹脂組成物から作成されたカラーフィルタは、耐熱性の点で液晶表示装置等の表示装置のカラーフィルタとして十分に満足できるものではなかった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、以下の[1]〜[9]を提供するものである。
[1]緑色染料を含む着色剤(A)と、樹脂(B)と、重合性化合物(C)と、重合開始剤(D)と、溶剤(E)と、無色の金属錯体(G)とを含む着色硬化性樹脂組成物。
[2]緑色染料が、スクアリリウム染料、アントラキノン染料及びトリアリールメタン染料からなる群から選ばれる少なくとも1種である[1]に記載の着色硬化性樹脂組成物。
[3]スクアリリウム染料、アントラキノン染料及びトリアリールメタン染料からなる群から選ばれる少なくとも1種が、スクアリリウム染料である[2]に記載の着色硬化性樹脂組成物。
[4]着色剤(A)が、緑色顔料、黄色顔料及び黄色染料からなる群から選ばれる少なくとも1種をさらに含む[1]〜[3]のいずれかに記載の着色硬化性樹脂組成物。
[5]緑色顔料、黄色顔料及び黄色染料からなる群から選ばれる少なくとも1種が、黄色顔料である[4]に記載の着色硬化性樹脂組成物。
[6]黄色顔料が、C.I.ピグメントイエロー138である[5]に記載の着色硬化性樹脂組成物。
[7][1]〜[6]のいずれかに記載の着色硬化性樹脂組成物から形成される塗膜。 [8][1]〜[6]のいずれかに記載の着色硬化性樹脂組成物から形成されるカラーフィルタ。
[9][8]に記載のカラーフィルタを含む表示装置。
【発明の効果】
【0006】
本発明の着色硬化性樹脂組成物より作成したカラーフィルタは、耐熱性に優れるため、液晶表示装置等の表示装置のカラーフィルタに適している。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明の着色硬化性樹脂組成物は、着色剤(A)と、樹脂(B)と、重合性化合物(C)と、重合開始剤(D)と、溶剤(E)と無色の金属錯体(G)とを含む。
<着色剤(A)>
着色剤(A)は、緑色染料を含む。緑色染料としては、特に限定されず油溶性染料、酸性染料、塩基性染料、直接染料、媒染染料、酸性染料のアミン塩や酸性染料のスルホンアミド誘導体などの緑色染料が挙げられ、例えば、カラーインデックス(The Society of Dyens and Colourists出版)で緑色染料、すなわちC.I.ピグメント以外で色相を有するものに分類されている化合物や、染色ノート(色染社)に記載されている公知の緑色染料が挙げられる。また、化学構造によれば、トリアリールメタン染料、アントラキノン染料、シアニン染料、フタロシアニン染料、ナフトキノン染料、キノンイミン染料、メチン染料、アゾメチン染料、スクアリリウム染料及びアクリジン染料等が挙げられる。
なかでも、スクアリリウム染料、アントラキノン染料及びトリアリールメタン染料が好ましく、スクアリリウム染料がより好ましい。
【0008】
スクアリリウム染料としては、特に限定されず四角酸構造を有する緑色の染料を使用することができ、例えば、特開2013−76926号公報に記載の化合物などが挙げられる。
【0009】
具体的には、下記式で表される化合物が挙げられる。
[式(AII−a)中、R、R、R及びR4は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、置換基を有していてもよいフェニル基又は炭素数1〜20の1価の飽和炭化水素基を表す。
、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、ヒドロキシ基、メルカプト基、炭素数1〜4のアルコキシ基またはトリフルオロメチ基を表す。
及びXは、それぞれ独立に、水酸基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数1〜20のアルコキシ基で置換されたアミノ基を表し、該炭素数1〜20のアルキル基に含まれる−CH−は、酸素原子に置き換わっていてもよい。]
【0010】
、R、R及びR4で表される炭素数1〜20の1価の飽和炭化水素基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基等の直鎖状アルキル基;イソプロピル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソペンチル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、1−エチルブチル基、2−エチルブチル基、1−メチルヘキシル基、2−メチルヘキシル基、3−メチルヘキシル基、4−メチルヘキシル基、1−エチルペンチル基、2−エチルペンチル基、3−エチルペンチル基、1−プロピルブチル基、1−(1−メチルエチル)ブチル基等の分枝鎖状のアルキル基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基等の環状アルキル基が挙げられる。
【0011】
、R、R及びR4で表されるフェニル基が有していてもよい置換基としては、フッ素原子、塩素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子;クロロメチル基、トリフルオロメチル基等の炭素数1〜6のハロアルキル基;メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1〜6のアルコキシ基;メチル基、エチル基等の炭素数1〜6のアルキル基;ヒドロキシ基;等が挙げられる。
【0012】
、R、R及びRで表される炭素数1〜4のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、sec−ブトキシ基及びtert−ブトキシ基が挙げられる。
【0013】
及びXにおける炭素数1〜20のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基等の直鎖状アルキル基;イソプロピル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソペンチル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、1−エチルブチル基、2−エチルブチル基、1−メチルヘキシル基、2−メチルヘキシル基、3−メチルヘキシル基、4−メチルヘキシル基、1−エチルペンチル基、2−エチルペンチル基、3−エチルペンチル基、1−プロピルブチル基、1−(1−メチルエチル)ブチル基等の分枝鎖状のアルキル基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基等の環状アルキル基が挙げられる。
及びXにおける炭素数1〜20のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基等が挙げられる。
【0014】
式(AII−a)中、XおよびXで表される基としては、例えば、式(A2−1)〜(A2−8)で表される基が挙げられる。*は、炭素原子との結合の手を表す。
【0015】
さらに、式(A3−1)〜(A3−6)で表される基が挙げられる。*は、炭素原子との結合の手を表す。
【0016】
〜R4としては、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜20のアルキル基であることが好ましく、水素原子、メチル基またはエチル基であることがより好ましく、水素原子であることが更に好ましい。
、R、R及びRとしては、水素原子又はヒドロキシ基であることが好ましい。
【0017】
式(AII−a)で表される化合物として、たとえば、下記表1に示す化合物(AII−1)〜化合物(AII−14)が挙げられる。
【0018】
【表1】
【0019】
原料入手性の観点から、化合物(AII−1)〜化合物(AII−7)が好ましく、中でも化合(AII−2)がより好ましい。
【0020】
さらに、式(AII−a)で表される化合物として、下記表2および表3に示す化合物(AII−15)〜化合物(AII−68)が挙げられる。
【0021】
【表2】
【0022】
【表3】
【0023】
原料入手性の観点から、化合物(AII−16)、化合物(AII−23)、化合物(AII−29)、および化合物(AII−62)が好ましく、中でも化合物(AII−23)および化合物(AII−29)がより好ましい。
【0024】
アントラキノン染料としては、アントラキノン構造を有する緑色の染料を使用することができ、例えば、次の化合物が挙げられる。
【0025】
トリアリールメタン染料としては、トリアリールメタン構造を有する緑色の染料を使用することができ、例えば、次の化合物が挙げられる。
【0026】
着色剤(A)は、さらに緑色顔料、黄色顔料及び黄色染料からなる群から選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましく、黄色顔料であることがより好ましい。
【0027】
緑色顔料としては、カラーインデックス(The Society of Dyers and Colourists出版)でピグメントに分類されているC.I.ピグメントグリーン1(以下、C.I.ピグメントグリーンの記載を省略し、番号のみの記載とする。)、2、4、7、8、10、13、14、15、17、18、19、26、36、45、48、50、51、54、55、58等の顔料が挙げられる。なかでも、C.I.ピグメントグリーン58が好ましい。
【0028】
黄色顔料としては、C.I.ピグメントイエロー1、3、12、13、14、15、16、17、20、24、31、53、83、86、93、94、109、110、117、125、128、137、138、139、147、148、150、153、154、166、173、194、214等の顔料が挙げられる。なかでも、C.I.ピグメントイエロー138が好ましい。
【0029】
黄色染料としては、カラーインデックス(The Society of Dyers and Colourists出版)でC.I.ソルベントイエロー、C.I.アシッドイエロー、C.I.ダイレクトイエロー、C.I.モーダントイエローに分類される化合物や、クマリン染料、含金アゾ染料、ピリドンアゾ染料、バルビツールアゾ染料、キノフタロン染料、メチン染料、シアニン染料が挙げられる。
【0030】
具体的には、C.I.ソルベントイエロー4、14、15、23、24、38、62、63、68、82、94、98、99、162;
C.I.アシッドイエロー1、3、7、9、11、17、23、25、29、34、36、38、40、42、54、65、72、73、76、79、98、99、111、112、113、114、116、119、123、128、134、135、138、139、140、144、150、155、157、160、161、163、168、169、172、177、178、179、184、190、193、196、197、199、202、203、204、205、207、212、214、220、221、228、230、232、235、238、240、242、243、251;
【0031】
C.I.ダイレクトイエロー2、33、34、35、38、39、43、47、50、54、58、68、69、70、71、86、93、94、95、98、102、108、109、129、136、138、141;
C.I.モーダントイエロー5、8、10、16、20、26、30、31、33、42、43、45、56、61、62、65;等の染料が挙げられる。
【0032】
クマリン染料としては、例えば、次のものが挙げられる。
【0033】
含金アゾ染料としては、例えば、次のものが挙げられる。
【0034】
ピリドンアゾ染料としては、例えば、次のものが挙げられる。
【0035】
バルビツールアゾ染料としては、例えば、次のものが挙げられる。
【0036】
キノフタロン染料としては、例えば、次のものが挙げられる。
【0037】
メチン染料としては、例えば、次のものが挙げられる。
【0038】
シアニン染料としては、例えば、次のものが挙げられる。
【0039】
黄色染料としては、クマリン染料、含金アゾ染料、ピリドンアゾ染料、バルビツールアゾ染料、キノフタロン染料、メチン染料、シアニン染料が好ましい。
【0040】
着色剤(A)における緑色染料の含有量は、通常10〜100質量%である。
着色剤(A)において、スクアリリウム染料、アントラキノン染料及びトリアリールメタン染料からなる群から選ばれる少なくとも1種の染料の含有量は、染料の総量に対して、20〜100質量%であることが好ましく、40〜100質量%であることがより好ましく、50〜100質量%であることがさらに好ましい。
【0041】
着色剤(A)において、緑色顔料、黄色顔料及び黄色染料からなる群から選ばれる少なくとも一種と、スクアリリウム染料、アントラキノン染料及びトリアリールメタン染料からなる群から選ばれる少なくとも1種の染料との含有量の比は、質量基準で60:40〜99.9:0.1であることが好ましく、70:30〜99:1であることがより好ましい。この比率であると、着色剤(A)を含む着色硬化性樹脂組成物から形成されるカラーフィルタは、高明度でコントラストが良好となる。
【0042】
着色剤(A)の含有量は、固形分の総量に対して、好ましくは5〜60質量%であり、より好ましくは8〜55質量%であり、さらに好ましくは10〜50質量%である。着色剤(A)の含有量が前記の範囲内にあると、カラーフィルタとしたときの色濃度が十分であり、かつ組成物中に樹脂(B)や重合性化合物(C)を必要量含有させることができるので、機械的強度が十分なパターンを形成することができる。ここで、本明細書における「固形分の総量」とは、着色硬化性樹脂組成物の総量から溶剤の含有量を除いた量のことをいう。固形分の総量及びこれに対する各成分の含有量は、例えば、液体クロマトグラフィー又はガスクロマトグラフィーなどの公知の分析手段で測定することができる。
【0043】
<樹脂(B)>
樹脂(B)は、特に限定されないが、アルカリ可溶性樹脂であることが好ましい。樹脂(B)としては、以下の樹脂[K1]〜[K6]等が挙げられる。
樹脂[K1];不飽和カルボン酸及び不飽和カルボン酸無水物からなる群から選ばれる少なくとも1種(Ba)(以下「(Ba)」という場合がある)と、炭素数2〜4の環状エーテル構造とエチレン性不飽和結合とを有する単量体(Bb)(以下「(Bb)」という場合がある)との共重合体;
樹脂[K2];(Ba)と(Bb)と、(Ba)と共重合可能な単量体(Bc)(ただし、(Ba)及び(Bb)とは異なる。)(以下「(Bc)」という場合がある)との共重合体;
樹脂[K3];(Ba)と(Bc)との共重合体;
樹脂[K4];(Ba)と(Bc)との共重合体に(Bb)を反応させた樹脂;
樹脂[K5];(Bb)と(Bc)との共重合体に(Ba)を反応させた樹脂;
樹脂[K6];(Bb)と(Bc)との共重合体に(Ba)を反応させ、さらにカルボン酸無水物を反応させた樹脂。
【0044】
(Ba)としては、具体的には、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、o−、m−、p−ビニル安息香酸等の不飽和モノカルボン酸類;
マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸、イタコン酸、3−ビニルフタル酸、4−ビニルフタル酸、3,4,5,6−テトラヒドロフタル酸、1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸、ジメチルテトラヒドロフタル酸、1、4−シクロヘキセンジカルボン酸等の不飽和ジカルボン酸類;
メチル−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸、5−カルボキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジカルボキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−カルボキシ−5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−カルボキシ−5−エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−カルボキシ−6−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−カルボキシ−6−エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン等のカルボキシ基を含有するビシクロ不飽和化合物類;
無水マレイン酸、シトラコン酸無水物、イタコン酸無水物、3−ビニルフタル酸無水物、4−ビニルフタル酸無水物、3,4,5,6−テトラヒドロフタル酸無水物、1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸無水物、ジメチルテトラヒドロフタル酸無水物、5,6−ジカルボキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン無水物等の不飽和ジカルボン酸類無水物;
こはく酸モノ〔2−(メタ)アクリロイルオキシエチル〕、フタル酸モノ〔2−(メタ)アクリロイルオキシエチル〕等の2価以上の多価カルボン酸の不飽和モノ〔(メタ)アクリロイルオキシアルキル〕エステル類;
α−(ヒドロキシメチル)アクリル酸のような、同一分子中にヒドロキシ基及びカルボキシ基を含有する不飽和アクリレート類等が挙げられる。
これらのうち、共重合反応性の点や得られる樹脂のアルカリ水溶液への溶解性の点から、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸等が好ましい。
【0045】
(Bb)は、例えば、炭素数2〜4の環状エーテル構造(例えば、オキシラン環、オキセタン環及びテトラヒドロフラン環からなる群から選ばれる少なくとも1種)とエチレン性不飽和結合とを有する重合性化合物をいう。(Bb)は、炭素数2〜4の環状エーテルと(メタ)アクリロイルオキシ基とを有する単量体が好ましい。
尚、本明細書において、「(メタ)アクリル酸」とは、アクリル酸及びメタクリル酸よりなる群から選ばれる少なくとも1種を表す。「(メタ)アクリロイル」及び「(メタ)アクリレート」等の表記も、同様の意味を有する。
【0046】
(Bb)としては、例えば、オキシラニル基とエチレン性不飽和結合とを有する単量体、オキセタニル基とエチレン性不飽和結合とを有する単量体、テトラヒドロフリル基とエチレン性不飽和結合とを有する単量体等が挙げられる。
【0047】
(Bb)としては、得られるカラーフィルタの耐熱性、耐薬品性等の信頼性をより高くすることができる点で、オキシラニル基とエチレン性不飽和結合とを有する単量体であることが好ましい。
【0048】
(Bc)としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イル(メタ)アクリレート(当該技術分野では、慣用名として「ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート」といわれている。また、「トリシクロデシル(メタ)アクリレート」という場合がある。)、トリシクロ[5.2.1.02,6]デセン−8−イル(メタ)アクリレート(当該技術分野では、慣用名として「ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート」といわれている。)、ジシクロペンタニルオキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、プロパルギル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ナフチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類;
2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のヒドロキシ基含有(メタ)アクリル酸エステル類;
マレイン酸ジエチル、フマル酸ジエチル、イタコン酸ジエチル等のジカルボン酸ジエステル;
ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ヒドロキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ヒドロキシメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−(2’−ヒドロキシエチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メトキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−エトキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジヒドロキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジ(ヒドロキシメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジ(2’−ヒドロキシエチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジメトキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジエトキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ヒドロキシ−5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ヒドロキシ−5−エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ヒドロキシメチル−5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−tert−ブトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−シクロヘキシルオキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−フェノキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ビス(tert−ブトキシカルボニル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ビス(シクロヘキシルオキシカルボニル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン等のビシクロ不飽和化合物類;
N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−ベンジルマレイミド、N−スクシンイミジル−3−マレイミドベンゾエート、N−スクシンイミジル−4−マレイミドブチレート、N−スクシンイミジル−6−マレイミドカプロエート、N−スクシンイミジル−3−マレイミドプロピオネート、N−(9−アクリジニル)マレイミド等のジカルボニルイミド誘導体類;
スチレン、α−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−メトキシスチレン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アクリルアミド、メタクリルアミド、酢酸ビニル、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン等が挙げられる。
これらのうち、共重合反応性及び耐熱性の点から、スチレン、ビニルトルエン、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−ベンジルマレイミド、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン等が好ましい。
【0049】
樹脂(B)としては、具体的に、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体、3,4−エポキシトリシクロ[5.2.1.02.6]デシルアクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体等の樹脂[K1];グリシジル(メタ)アクリレート/ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体、グリシジル(メタ)アクリレート/スチレン/(メタ)アクリル酸共重合体、3,4−エポキシトリシクロ[5.2.1.02.6]デシルアクリレート/(メタ)アクリル酸/N−シクロヘキシルマレイミド共重合体、3−メチル−3−(メタ)アクリルロイルオキシメチルオキセタン/(メタ)アクリル酸/スチレン共重合体等の樹脂[K2];ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン/(メタ)アクリル酸共重合体等の樹脂[K3];ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体にグリシジル(メタ)アクリレートを付加させた樹脂、トリシクロデシル(メタ)アクリレート/スチレン/(メタ)アクリル酸共重合体にグリシジル(メタ)アクリレートを付加させた樹脂、トリシクロデシル(メタ)アクリレート/ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体にグリシジル(メタ)アクリレートを付加させた樹脂等の樹脂[K4];トリシクロデシル(メタ)アクリレート/グリシジル(メタ)アクリレートの共重合体に(メタ)アクリル酸を反応させた樹脂、トリシクロデシル(メタ)アクリレート/スチレン/グリシジル(メタ)アクリレートの共重合体に(メタ)アクリル酸を反応させた樹脂等の樹脂[K5];トリシクロデシル(メタ)アクリレート/グリシジル(メタ)アクリレートの共重合体に(メタ)アクリル酸を反応させた樹脂にさらにテトラヒドロフタル酸無水物を反応させた樹脂等の樹脂[K6]等が挙げられる。
中でも、樹脂(B)としては、樹脂[K1]及び樹脂[K2]が好ましい。
【0050】
例えば、樹脂[K1]は、文献「高分子合成の実験法」(大津隆行著 発行所(株)化学同人 第1版第1刷 1972年3月1日発行)に記載された方法及び当該文献に記載された引用文献を参考にして製造することができる。
きる。
【0051】
なお、得られた共重合体は、反応後の溶液をそのまま使用してもよいし、濃縮あるいは希釈した溶液を使用してもよいし、再沈殿等の方法で固体(粉体)として取り出したものを使用してもよい。特に、この重合の際に溶剤として、本発明の着色硬化性樹脂組成物に含まれる溶剤を使用することにより、反応後の溶液をそのまま本発明の着色硬化性樹脂組成物の調製に使用することができるため、本発明の着色硬化性樹脂組成物の製造工程を簡略化することができる。
【0052】
樹脂(B)のポリスチレン換算の重量平均分子量は、好ましくは3,000〜100,000であり、より好ましくは5,000〜50,000であり、さらに好ましくは5,000〜30,000である。分子量が前記の範囲内にあると、カラーフィルタの硬度が向上し、残膜率が高く、未露光部の現像液に対する溶解性が良好で、着色パターンの解像度が向上する傾向がある。
樹脂(B)の分子量分布[重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)]は、好ましくは1.1〜6であり、より好ましくは1.2〜4である。
【0053】
樹脂(B)の酸価は、好ましくは50〜170mg−KOH/gであり、より好ましくは60〜150mg−KOH/g、さらに好ましくは70〜135mg−KOH/gである。ここで酸価は樹脂(B)1gを中和するに必要な水酸化カリウムの量(mg)として測定される値であり、例えば水酸化カリウム水溶液を用いて滴定することにより求めることができる。
【0054】
樹脂(B)の含有量は、固形分の総量に対して、好ましくは7〜65質量%であり、より好ましくは13〜60質量%であり、さらに好ましくは17〜55質量%である。樹脂(B)の含有量が、前記の範囲内にあると、着色パターンが形成でき、また着色パターンの解像度及び残膜率が向上する傾向がある。
【0055】
<重合性化合物(C)>
重合性化合物(C)は、重合開始剤(D)から発生した活性ラジカル及び/又は酸によって重合しうる化合物であり、例えば、重合性のエチレン性不飽和結合を有する化合物等が挙げられ、好ましくは(メタ)アクリル酸エステル化合物である。
【0056】
中でも、重合性化合物(C)は、エチレン性不飽和結合を3つ以上有する重合性化合物であることが好ましい。このような重合性化合物としては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールオクタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘプタ(メタ)アクリレート、テトラペンタエリスリトールデカ(メタ)アクリレート、テトラペンタエリスリトールノナ(メタ)アクリレート、トリス(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、エチレングリコール変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エチレングリコール変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、プロピレングリコール変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、プロピレングリコール変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
中でも、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート及びジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートが好ましい。
【0057】
重合性化合物(C)の重量平均分子量は、好ましくは150以上2,900以下、より好ましくは250〜1,500以下である。
【0058】
重合性化合物(C)の含有量は、固形分の総量に対して、7〜65質量%であることが好ましく、より好ましくは13〜60質量%であり、さらに好ましくは17〜55質量%である。重合性化合物(C)の含有量が、前記の範囲内にあると、着色パターン形成時の残膜率及びカラーフィルタの耐薬品性が向上する傾向がある。
【0059】
<重合開始剤(D)>
重合開始剤(D)は、光や熱の作用により活性ラジカル、酸等を発生し、重合を開始しうる化合物であれば特に限定されることなく、公知の重合開始剤を用いることができる。
活性ラジカルを発生する重合開始剤としては、例えば、O−アシルオキシム化合物、アルキルフェノン化合物、トリアジン化合物、アシルホスフィンオキサイド化合物及びビイミダゾール化合物が挙げられる。
【0060】
前記O−アシルオキシム化合物としては、例えば、N−ベンゾイルオキシ−1−(4−フェニルスルファニルフェニル)ブタン−1−オン−2−イミン、N−ベンゾイルオキシ−1−(4−フェニルスルファニルフェニル)オクタン−1−オン−2−イミン、N−ベンゾイルオキシ−1−(4−フェニルスルファニルフェニル)−3−シクロペンチルプロパン−1−オン−2−イミン、N−アセトキシ−1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]エタン−1−イミン、N−アセトキシ−1−[9−エチル−6−{2−メチル−4−(3,3−ジメチル−2,4−ジオキサシクロペンタニルメチルオキシ)ベンゾイル}−9H−カルバゾール−3−イル]エタン−1−イミン、N−アセトキシ−1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−3−シクロペンチルプロパン−1−イミン、N−ベンゾイルオキシ−1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−3−シクロペンチルプロパン−1−オン−2−イミン等が挙げられる。イルガキュア(登録商標)OXE01、OXE02(以上、BASF社製)、N−1919(ADEKA社製)等の市販品を用いてもよい。中でも、O−アシルオキシム化合物は、N−ベンゾイルオキシ−1−(4−フェニルスルファニルフェニル)ブタン−1−オン−2−イミン、N−ベンゾイルオキシ−1−(4−フェニルスルファニルフェニル)オクタン−1−オン−2−イミン及びN−ベンゾイルオキシ−1−(4−フェニルスルファニルフェニル)−3−シクロペンチルプロパン−1−オン−2−イミンからなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましく、N−ベンゾイルオキシ−1−(4−フェニルスルファニルフェニル)オクタン−1−オン−2−イミンがより好ましい。これらのO−アシルオキシム化合物であると、高明度なカラーフィルタが得られる傾向にある。
【0061】
前記アルキルフェノン化合物としては、例えば、2−メチル−2−モルホリノ−1−(4−メチルスルファニルフェニル)プロパン−1−オン、2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−2−ベンジルブタン−1−オン、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]ブタン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−〔4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル〕プロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−(4−イソプロペニルフェニル)プロパン−1−オンのオリゴマー、α,α−ジエトキシアセトフェノン、ベンジルジメチルケタール等が挙げられる。イルガキュア(登録商標)369、907、379(以上、BASF社製)等の市販品を用いてもよい。
【0062】
前記トリアジン化合物としては、例えば、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(4−メトキシナフチル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−ピペロニル−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(4−メトキシスチリル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−〔2−(5−メチルフラン−2−イル)エテニル〕−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−〔2−(フラン−2−イル)エテニル〕−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−〔2−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)エテニル〕−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−〔2−(3,4−ジメトキシフェニル)エテニル〕−1,3,5−トリアジン等が挙げられる。
【0063】
前記アシルホスフィンオキサイド化合物としては、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド等が挙げられる。イルガキュア(登録商標)819(BASF社製)等の市販品を用いてもよい。
【0064】
前記ビイミダゾール化合物としては、例えば、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(2,3−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール(例えば、特開平6−75372号公報、特開平6−75373号公報等参照。)、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(アルコキシフェニル)ビイミダゾール、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(ジアルコキシフェニル)ビイミダゾール、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(トリアルコキシフェニル)ビイミダゾール(例えば、特公昭48−38403号公報、特開昭62−174204号公報等参照。)、4,4’,5,5’−位のフェニル基がカルボアルコキシ基により置換されているイミダゾール化合物(例えば、特開平7−10913号公報等参照)等が挙げられる。
【0065】
酸を発生する重合開始剤としては、例えば、4−ヒドロキシフェニルジメチルスルホニウムp−トルエンスルホナート、4−ヒドロキシフェニルジメチルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−アセトキシフェニルジメチルスルホニウムp−トルエンスルホナート、4−アセトキシフェニル・メチル・ベンジルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリフェニルスルホニウムp−トルエンスルホナート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジフェニルヨードニウムp−トルエンスルホナート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート等のオニウム塩類や、ニトロベンジルトシレート類、ベンゾイントシレート類等が挙げられる。
【0066】
さらに重合開始剤(D)としては、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾイン化合物;ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド、3,3’,4,4’−テトラ(tert−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン等のベンゾフェノン化合物;9,10−フェナンスレンキノン、2−エチルアントラキノン、カンファーキノン等のキノン化合物;10−ブチル−2−クロロアクリドン、ベンジル、フェニルグリオキシル酸メチル、チタノセン化合物等が挙げられる。
【0067】
重合開始剤(D)としては、O−アシルオキシム化合物、アルキルフェノン化合物、トリアジン化合物、アシルホスフィンオキサイド化合物及びビイミダゾール化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種を含む重合開始剤が好ましく、O−アシルオキシム化合物を含む重合開始剤がより好ましい。
【0068】
重合開始剤(D)の含有量は、樹脂(B)及び重合性化合物(C)の合計量100質量部に対して、好ましくは0.1〜30質量部であり、より好ましくは1〜20質量部である。重合開始剤(D)の含有量が、前記の範囲内にあると、高感度化して露光時間が短縮される傾向があるためカラーフィルタの生産性が向上する。
<溶剤(E)>
溶剤(E)は、特に限定されず、当該分野で通常使用される溶剤を用いることができる。例えば、エステル溶剤(分子内に−COO−を含み、−O−を含まない溶剤)、エーテル溶剤(分子内に−O−を含み、−COO−を含まない溶剤)、エーテルエステル溶剤(分子内に−COO−と−O−とを含む溶剤)、ケトン溶剤(分子内に−CO−を含み、−COO−を含まない溶剤)、アルコール溶剤(分子内にOHを含み、−O−、−CO−及び−COO−を含まない溶剤)、芳香族炭化水素溶剤、アミド溶剤、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。
【0069】
エステル溶剤としては、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、2−ヒドロキシイソブタン酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、ギ酸ペンチル、酢酸イソペンチル、プロピオン酸ブチル、酪酸イソプロピル、酪酸エチル、酪酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、シクロヘキサノールアセテート及びγ−ブチロラクトンなどが挙げられる。
【0070】
エーテル溶剤としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、3−メトキシ−1−ブタノール、3−メトキシ−3−メチルブタノール、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,4−ジオキサン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、アニソール、フェネトール及びメチルアニソールなどが挙げられる。
【0071】
エーテルエステル溶剤としては、メトキシ酢酸メチル、メトキシ酢酸エチル、メトキシ酢酸ブチル、エトキシ酢酸メチル、エトキシ酢酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシプロピオン酸メチル、2−メトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシプロピオン酸プロピル、2−エトキシプロピオン酸メチル、2−エトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−エトキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート及びジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートなどが挙げられる。
【0072】
ケトン溶剤としては、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、アセトン、2−ブタノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン、4−メチル−2−ペンタノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン及びイソホロンなどが挙げられる。
【0073】
アルコール溶剤としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、プロピレングリコール及びグリセリンなどが挙げられる。
【0074】
芳香族炭化水素溶剤としては、ベンゼン、トルエン、キシレン及びメシチレンなどが挙げられる。
【0075】
アミド溶剤としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド及びN−メチルピロリドンなどが挙げられる。
【0076】
上記の溶剤のうち、塗布性、乾燥性の点から、1atmにおける沸点が120℃以上210℃以下である有機溶剤が好ましい。溶剤としては、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、3−エトキシプロピオン酸エチル、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン及びN,N−ジメチルホルムアミドが好ましく、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、及び3−エトキシプロピオン酸エチルがより好ましい。
【0077】
溶剤(E)の含有量は、本発明の着色硬化性樹脂組成物の総量に対して、好ましくは70〜95質量%であり、より好ましくは75〜92質量%である。言い換えると、着色硬化性樹脂組成物の固形分の総量は、好ましくは5〜30質量%、より好ましくは8〜25質量%である。溶剤(E)の含有量が前記の範囲内にあると、塗布時の平坦性が良好になり、またカラーフィルタを形成した際に色濃度が不足しないために表示特性が良好となる傾向がある。
【0078】
<無色の金属錯体(G)>
無色の金属錯体(G)としては、たとえば式(10)で表される亜鉛錯体が挙げられる。
[式(10)中、R81〜R84は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基およびヒドロキシ基を表す]
【0079】
式(10)のR81〜R84における、炭素数1〜4のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基が挙げられる。式(10)で表される亜鉛錯体の具体例としては、表3で示したものが挙げられる。中でも耐熱性が向上する点で(10)−18が好ましい。
【0080】
【表4】
【0081】
無色の金属錯体の含有量は、着色剤(A)に対して、0.1質量%以上30質量%以下が好ましく、0.5質量%以上15質量%以下がさらに好ましい。
【0082】
<その他の成分>
本発明の着色硬化性樹脂組成物は、着色剤(A)にその他の染料及び顔料を含んでいてもよい。
【0083】
他の染料としては、油溶性染料、酸性染料、酸性染料のアミン塩や酸性染料のスルホンアミド誘導体などの染料が挙げられ、例えば、カラーインデックス(The Society of Dyers and Colourists出版)で染料に分類されている化合物や、染色ノート(色染社)に記載されている公知の染料が挙げられる。これらの染料は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
具体的には、C.I.ソルベントオレンジ2、7、11、15、26、56;
C.I.アシッドオレンジ6、7、8、10、12、26、50、51、52、56、62、63、64、74、75、94、95、107、108、169、173;
C.I.ダイレクトオレンジ34、39、41、46、50、52、56、57、61、64、65、68、70、96、97、106、107;
C.I.モーダントオレンジ3、4、5、8、12、13、14、20、21、23、24、28、29、32、34、35、36、37、42、43、47、48等のオレンジ色の染料が挙げられる。
【0084】
顔料としては、特に限定されず公知の顔料を使用することができ、例えば、カラーインデックス(The Society of Dyers and Colourists出版)でピグメントに分類されている顔料が挙げられる。
具体的には、C.I.ピグメントオレンジ13、31、36、38、40、42、43、51、55、59、61、64、65、71、73などのオレンジ色の顔料が挙げられる。
【0085】
本発明の着色硬化性樹脂組成物は、必要に応じて、重合開始助剤、レベリング剤、充填剤、他の高分子化合物、密着促進剤、酸化防止剤、光安定剤、連鎖移動剤等、当該技術分野で公知の添加剤を含んでもよい。
【0086】
<着色硬化性樹脂組成物の製造方法>
本発明の着色硬化性樹脂組成物は、例えば、着色剤(A)、樹脂(B)、重合性化合物(C)、重合開始剤(D)、溶剤(E)、無色の金属錯体(G)並びに必要に応じてレベリング剤(F)及び重合開始助剤等のその他の成分を混合することにより調製できる。
染料は、予め溶剤(E)の一部又は全部にそれぞれ溶解させて溶液を調製してもよい。
該溶液を、孔径0.01〜1μm程度のフィルタでろ過することが好ましい。
顔料は、予め溶剤(E)の一部又は全部と混合し、顔料の平均粒子径が0.2μm以下程度となるまで、ビーズミルなどを用いて分散させることが好ましい。この際、必要に応じて顔料分散剤、樹脂(B)の一部又は全部を配合してもよい。このようにして得られた顔料分散液に、残りの成分を、所定の濃度となるように混合することにより、目的の着色硬化性樹脂組成物を調製できる。
混合後の着色硬化性樹脂組成物を、孔径0.1〜10μm程度のフィルタでろ過することが好ましい。
【0087】
<カラーフィルタの製造方法>
本発明の着色硬化性樹脂組成物から着色パターンを製造する方法としては、フォトリソグラフ法、インクジェット法、印刷法等が挙げられる。中でも、フォトリソグラフ法が好ましい。フォトリソグラフ法は、前記着色硬化性樹脂組成物を基板に塗布し、乾燥させて着色組成物層を形成し、フォトマスクを介して該着色組成物層を露光して、現像する方法である。フォトリソグラフ法において、露光の際にフォトマスクを用いないこと、及び/又は現像しないことにより、上記着色組成物層の硬化物である着色塗膜を形成することができる。このように形成した着色パターンや着色塗膜が本発明のカラーフィルタである。
作製するカラーフィルタの膜厚は、特に限定されず、目的や用途等に応じて適宜調整することができ、例えば、0.1〜30μm、好ましくは0.1〜20μm、さらに好ましくは0.5〜6μmである。
【0088】
基板としては、石英ガラス、ホウケイ酸ガラス、アルミナケイ酸塩ガラス、表面をシリカコートしたソーダライムガラスなどのガラス板や、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、ポリエチレンテレフタレートなどの樹脂板、シリコン、前記基板上にアルミニウム、銀、銀/銅/パラジウム合金薄膜などを形成したものが用いられる。これらの基板上には、別のカラーフィルタ層、樹脂層、トランジスタ、回路等が形成されていてもよい。
【0089】
フォトリソグラフ法による各色画素の形成は、公知又は慣用の装置や条件で行うことができる。例えば、下記のようにして作製することができる。
まず、着色硬化性樹脂組成物を基板上に塗布し、加熱乾燥(プリベーク)及び/又は減圧乾燥することにより溶剤等の揮発成分を除去して乾燥させ、平滑な着色組成物層を得る。
塗布方法としては、スピンコート法、スリットコート法、スリット アンド スピンコート法等が挙げられる。
加熱乾燥を行う場合の温度は、30〜120℃が好ましく、50〜110℃がより好ましい。また加熱時間としては、10秒間〜60分間であることが好ましく、30秒間〜30分間であることがより好ましい。
減圧乾燥を行う場合は、50〜150Paの圧力下、20〜25℃の温度範囲で行うことが好ましい。
着色組成物層の膜厚は、特に限定されず、目的とするカラーフィルタの膜厚に応じて適宜選択すればよい。
【0090】
次に、着色組成物層は、目的の着色パターンを形成するためのフォトマスクを介して露光される。該フォトマスク上のパターンは特に限定されず、目的とする用途に応じたパターンが用いられる。
露光に用いられる光源としては、250〜450nmの波長の光を発生する光源が好ましい。例えば、350nm未満の光を、この波長域をカットするフィルタを用いてカットしたり、436nm付近、408nm付近、365nm付近の光を、これらの波長域を取り出すバンドパスフィルタを用いて選択的に取り出したりしてもよい。具体的には、水銀灯、発光ダイオード、メタルハライドランプ、ハロゲンランプ等が挙げられる。
露光面全体に均一に平行光線を照射したり、フォトマスクと着色組成物層が形成された基板との正確な位置合わせを行うことができるため、マスクアライナ及びステッパ等の露光装置を使用することが好ましい。
【0091】
露光後の着色組成物層を現像液に接触させて現像することにより、基板上に着色パターンが形成される。現像により、着色組成物層の未露光部が現像液に溶解して除去される。
現像液としては、例えば、水酸化カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化テトラメチルアンモニウム等のアルカリ性化合物の水溶液が好ましい。これらのアルカリ性化合物の水溶液中の濃度は、好ましくは0.01〜10質量%であり、より好ましくは0.03〜5質量%である。さらに、現像液は、界面活性剤を含んでいてもよい。
現像方法は、パドル法、ディッピング法及びスプレー法等のいずれでもよい。さらに現像時に基板を任意の角度に傾けてもよい。
現像後は、水洗することが好ましい。
【0092】
さらに、得られた着色パターンに、ポストベークを行うことが好ましい。ポストベーク温度は、150〜250℃が好ましく、160〜235℃がより好ましい。ポストベーク時間は、1〜120分間が好ましく、10〜60分間がより好ましい。
【0093】
本発明の着色硬化性樹脂組成物によれば、特に明度に優れたカラーフィルタを作製することができる。該カラーフィルタは、表示装置(例えば、液晶表示装置、有機EL装置、電子ペーパー等)及び固体撮像素子に用いられるカラーフィルタとして有用である。
【実施例】
【0094】
以下、実施例によって本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。例中、含有量ないし使用量を表す%および部は、特に断らないかぎり質量基準である。
以下の合成例において、化合物は、NMR(JNM−EX−270;(日本電子(株)製))で同定した。
【0095】
合成例1:前記式(AII−23)で表される化合物の合成
【0096】
N,N−ジブチル−3−アミノフェノール(東京化成工業(株)製)5.4部、3,4−ジヒドロキシ−3−シクロブテン−1,2−ジオン(東京化成工業(株)製)1.7部、1−ブタノール200.7部およびトルエン134.1部を混合した。得られた混合物を、Dean−Stark管を用いて生成した水を除きながら125℃で5時間攪拌した。
反応終了後、溶媒を溜去し、少量のトルエンを加えた後、水100部を加えて水層を廃棄した。水で洗う操作を2回繰り返した後、ヘキサンを50部加え、析出した固体を濾取した。濾取した固体を5部のテトラヒドロフランに分散させ、濾過した後、固体を、10部のテトラヒドロフラン、次いで25部のヘキサンで洗浄した。得られた固体を60℃で24時間減圧乾燥し、式(AII−23)で示される化合物3.23部を得た。
【0097】
式(AII−23)で示される化合物のH−NMR(270MHz、δ値(ppm、TMS基準)、CDCl
δ 0.96(t,12H)、1.35(m,8H)、1.61(m,8H)、3.37(t,8H)、6.10(d,2H)、6.30(dd,2H)、7.86(d,2H)、12.07(s,2H)
【0098】
合成例2
撹拌機、温度計、還流冷却管、滴下ロート及びガス導入管を備えたフラスコ内に窒素を0.02L/分で流して窒素雰囲気とし、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート305部を入れ、撹拌しながら70℃まで加熱した。次いでアクリル酸36部;並びに4,5−エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イルアクリレート{即ち単量体(BI−1)}及び3,4−エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イルアクリレート{即ち単量体(BII−1)}の混合物{混合物中の単量体(BI−1):単量体(BII−1)のモル比=50:50}264部;を、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート140部に溶解させて単量体溶液を調製した。単量体溶解液を、滴下ロートを用いて4時間かけて、70℃に保温したフラスコ内に滴下した。一方、重合開始剤2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)30部をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート225部に溶解させた重合開始剤溶液を、別の滴下ロートを用いて、4時間かけてフラスコ内に滴下した。重合開始剤溶液の滴下が終了した後、70℃で4時間保持し、その後室温まで冷却して、重量平均分子量Mw:9000、分子量分布:2.0、固形分33%、固形分酸価90mg−KOH/gの樹脂B1溶液を得た。
【0099】
樹脂の重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)の測定は、GPC法を用いて、以下の条件で行った。
装置;K2479((株)島津製作所製)
カラム;SHIMADZU Shim−pack GPC−80M
カラム温度;40℃
溶媒;THF(テトラヒドロフラン)
流速;1.0mL/min
検出器;RI
校正用標準物質 ;TSK STANDARD POLYSTYRENE F−40、F−4、F−288、A−2500、A−500(東ソー(株)製)
上記で得られたポリスチレン換算の重量平均分子量及び数平均分子量の比(Mw/Mn)を分子量分布とした。
【0100】
実施例1および2、比較例1
<着色感光性樹脂組成物の調製>
実施例1
着色剤(A):式(AII−23)で表される染料 7.0部 顔料:C.I.ピグメントイエロー138 46.0部 樹脂(B):樹脂B1 50部 重合性化合物(C):ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(KAYARAD(登録商標) DPHA;日本化薬(株)製) 50部 重合開始剤(D):N−1919(ADEKA社製;O−アシルオキシム化合物) 10部 溶剤(E):E−1:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 770部 溶剤(E):E−2:N−メチルピロリドン 200部 レベリング剤(F):ポリエーテル変性シリコーンオイル(トーレシリコーンSH8400;東レ・ダウコーニング(株)製) 0.1部 無色の金属錯体(G):亜鉛錯体(G):10-(18) 1.6部を混合して着色硬化性樹脂組成物を得た。
【0101】
実施例2
着色剤(A):式(h−6)で表される染料 3.0部 顔料:C.I.ピグメントイエロー138 46.0部 樹脂(B):樹脂B1 50部 重合性化合物(C):ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(KAYARAD(登録商標) DPHA;日本化薬(株)製) 50部 重合開始剤(D):N−1919(ADEKA社製;O−アシルオキシム化合物) 10部 溶剤(E):E−1:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 870部 溶剤(E):E−2:N−メチルピロリドン 290部
レベリング剤(F):ポリエーテル変性シリコーンオイル(トーレシリコーンSH8400;東レ・ダウコーニング(株)製) 0.1部 無色の金属錯体(G):亜鉛錯体(G):10-(18) 1.6部を混合して着色硬化性樹脂組成物を得た。
【0102】
比較例1
着色剤(A):式(h−6)で表される染料 3.0部 顔料:C.I.ピグメントイエロー138 46.0部 樹脂(B):樹脂B1 50部 重合性化合物(C):ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(KAYARAD(登録商標) DPHA;日本化薬(株)製) 50部 重合開始剤(D):N−1919(ADEKA社製;O−アシルオキシム化合物) 10部 溶剤(E):E−1:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 870部 溶剤(E):E−2:N−メチルピロリドン 290部
レベリング剤(F):ポリエーテル変性シリコーンオイル(トーレシリコーンSH8400;東レ・ダウコーニング(株)製) 0.1部を混合して着色硬化性樹脂組成物を得た。
【0103】
〔カラーフィルタの作製〕
2インチ角のガラス基板(#1737;コーニング社製)上に、該着色硬化性樹脂組成物をスピンコート法で塗布した後、100℃で3分間プリベークして着色組成物層を形成した。冷却後、露光機(TME−150RSK;トプコン(株)製)を用いて、大気雰囲気下、150mJ/cmの露光量(365nm基準)で露光した。尚、フォトマスクは使用しなかった。露光後の着色組成物層をオーブン中、180℃で20分間ポストベークを行うことにより、カラーフィルタ(膜厚2.8μm)を作製した。
【0104】
〔耐熱性評価〕
着色感光性樹脂組成物の塗布膜を230℃で20分加熱し、塗布膜の加熱前後の色差(ΔEab*)を測色機(OSP−SP−200;OLYMPUS社製)を用いて測定した。
色差(ΔEab*)は、その値が小さいほど、耐熱性に優れていることを示す。
実施例1および2で得られた塗布膜について以上の耐熱性評価を実施した結果、それぞれ色差(ΔEab*)は8.1および10.2であった。また、比較例1についても同様に耐熱性評価を実施した結果、色差(ΔEab*)は25.1であり、本発明の着色硬化性樹脂組成物を含むカラーフィルタが耐熱性に優れていることが分かった。
【産業上の利用可能性】
【0105】
本発明の着色硬化性樹脂組成物を用いると、耐熱性に優れたカラーフィルタを提供することができる。該カラーフィルタは、表示装置(例えば、液晶表示装置、有機EL装置、電子ペーパー等)及び固体撮像素子に用いられるカラーフィルタとして有用である。