特許第6496317号(P6496317)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6496317圧縮器と組み合わせて大型且つ高エネルギーのレーザービームをサンプリングする装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6496317
(24)【登録日】2019年3月15日
(45)【発行日】2019年4月3日
(54)【発明の名称】圧縮器と組み合わせて大型且つ高エネルギーのレーザービームをサンプリングする装置
(51)【国際特許分類】
   G01J 11/00 20060101AFI20190325BHJP
   H01S 3/00 20060101ALI20190325BHJP
   G01J 1/02 20060101ALI20190325BHJP
   G01J 1/42 20060101ALI20190325BHJP
【FI】
   G01J11/00
   H01S3/00 G
   G01J1/02 K
   G01J1/42 E
【請求項の数】6
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-536663(P2016-536663)
(86)(22)【出願日】2014年12月2日
(65)【公表番号】特表2017-504788(P2017-504788A)
(43)【公表日】2017年2月9日
(86)【国際出願番号】EP2014076175
(87)【国際公開番号】WO2015082435
(87)【国際公開日】20150611
【審査請求日】2017年10月30日
(31)【優先権主張番号】1302820
(32)【優先日】2013年12月4日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】511148123
【氏名又は名称】タレス
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ロー,セバスチャン
(72)【発明者】
【氏名】ジュグラ,ポール
(72)【発明者】
【氏名】リューロー,フランソワ
【審査官】 小澤 瞬
(56)【参考文献】
【文献】 特表2009−509351(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0034114(US,A1)
【文献】 特開2011−222582(JP,A)
【文献】 特表2007−535141(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0268389(US,A1)
【文献】 米国特許第05648976(US,A)
【文献】 欧州特許出願公開第02654142(EP,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0019267(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0003763(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0226287(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 11/00−11/30
G01J 1/00−1/60
11/00
H01S 3/00−3/02
3/04−3/0959
3/098−3/102
3/105−3/131
3/136−3/213
3/23−4/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
高エネルギー且つ大直径のパルスレーザービームをサンプリングすべく、圧縮器(3)と組み合わせることを意図されたサンプリング装置において、前記圧縮器(3)の上流に、
− 前記パルスレーザービームのT%(Tは90よりも大きい)を透過可能、且つ前記パルスレーザービームの(1−T)%を反射可能(反射されたビームをサンプルビームと呼ぶ)なサンプリングジオプタ(44)を備えたサンプル取得装置と、
− 前記サンプルビームのサイズを縮小可能な無限焦点(42)とを含み、
− 前記圧縮器が、決定された有効開口、および前記縮小されたサンプルビームをこの有効開口に再注入する再注入装置(45)を有していることを特徴とするサンプリング装置。
【請求項2】
前記サンプルビームの経路上に、このサンプルビームの光路を拡張可能な光路補償器(47)を含むことを特徴とする、請求項1に記載のサンプリング装置。
【請求項3】
前記補償器が前記圧縮器の下流に位置していることを特徴とする、請求項2に記載のサンプリング装置。
【請求項4】
前記パルスレーザービームのエネルギーが1Jよりも大きく、直径が1cmよりも大きいことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載のサンプリング装置。
【請求項5】
圧縮器(3)からの高エネルギー且つ大直径のパルスレーザービームを分析する分析装置であって、請求項1〜4のいずれか1項に記載され且つ前記圧縮器(3)と組み合わせることを意図されたサンプリング装置と、サンプリングおよび圧縮されたビームを測定する測定装置(43)とを含む分析装置。
【請求項6】
伸長器(1)、増幅器(2)、圧縮器(3)を含み、前記圧縮器の出力端において高エネルギー且つ大直径のパルスレーザービームを生成することが可能であって、請求項5に記載の分析装置を含むことを特徴とする、パルス圧縮によるレーザー増幅用の設備品目。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の技術分野は、典型的には1Jよりも大きい高エネルギー且つ大型すなわち典型的には直径が1cmよりも大きいパルスレーザービームのサンプリングの分野である。関心対象のレーザーパルスの持続期間は典型的には1psよりも短く、更にはfsのオーダーである。
【背景技術】
【0002】
レーザービームを特徴付ける分析を実行するために、このビームのサンプルを取得する(=ビームがサンプリングされる)。
【0003】
高エネルギー且つ大型のパルスレーザービームがCPA装置により得られ、CPAは図1に示す「Chirped Pulse Amplifier(チャープパルス増幅器)」の略語であり、入力端において、低エネルギーレーザーパルスを波長の関数として伸長可能な伸長器1を含み、当該伸長器1は、伸長されたパルスを高エネルギーの伸長されたパルスに増幅可能な増幅器2に接続され、且つ伸長および増幅されたパルスを圧縮可能な真空圧縮器3に接続されていることが想起されよう。当該圧縮器の出力端において、高エネルギー且つ大型のレーザーパルスが得られ、エネルギーが4TWよりも大きいものは真空中を伝送される。TW、更にはマルチPWクラスのレーザーにおいて、圧縮器出力端におけるレーザーパルスの直径は、センチメートル、更にはメートルクラスである。
【0004】
このような高エネルギーシステムの時空間的特徴付けを実行するには、分析装置を損傷させないようにビームの極めて小さい部分だけをサンプリングし、ビームの特性を保持しながら、ビームのサイズを当該分析装置のサイズに合わせて小さくする必要がある。
【0005】
このようなビームをサンプリングするために
− 圧縮器の真空筐体31内に、但し圧縮要素の出力端および出力ウインドウ33の上流に配置され、圧縮された主ビームの小さいサンプルだけを取るために透過率が2%未満である図2に示すいわゆる「リーキー」ミラー32、
− 圧縮器の出力ウインドウの下流に位置する、収差が修正された縮小無限焦点42、および
− 縮小されたサンプルビームを測定する装置43
を用いることが知られている。
【0006】
上流/下流方向とはレーザービームの伝搬方向であることを想起されたい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、このようなサンプリング装置には多くの短所がある。
− サンプルビームは、測定される前にリーキーミラー32を通過している。持続期間が極端に短いパルスを測定する場合、パルスを構成する各波長が進む光路(すなわちスペクトル位相)が主ビームおよびサンプルビームとで同一であることを保証しなければならない。また、エネルギーのスペクトル分布(すなわちスペクトル強度)を忠実に維持することも必須である。従って、自身が反射されているためミラー32の素材を通過していない圧縮された主ビームの光路上の進行を補償することが必須である。しかし、そのような補償器は、圧縮器出力端における主ビームのエネルギーの観点から製造が困難である。実際、そのようなビームは、通過するあらゆる素材に損傷を与える。
− また、サンプルビームはリーキーミラーによる歪まされ、これは主ビームに対する補償も困難である。
− 更に、透過率が極めて小さい(すなわち<2%)場合、サンプル取得の均一性がミラーの瞳孔全体およびミラーのスペクトル帯域全体にわたり極めて良好であることが必要である。リーキーミラーのメーカーにとって0.2%未満の変動率で2%未満の透過率を得ることは実現が極めて困難である。
【0008】
従って、今日に至るまで、上述の高エネルギー且つ大型のビームの時空間的特性を変えることなくサンプリングを実行可能にするシステムに対するニーズが存在する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
より具体的には、本発明の主題は、高エネルギー且つ大直径のパルスレーザービームをサンプリングすべく、圧縮器と組み合わせることを意図された装置である。当該装置は、圧縮器の上流に、
− パルスレーザービームのT%(Tは90よりも大きい)を透過可能、且つパルスレーザービームの(1−T)%を反射可能(反射されたビームをサンプルビームと呼ぶ)なサンプリングジオプタを備えたサンプル取得装置と、
− サンプルビームのサイズを縮小可能な無限焦点とを含み、
− 圧縮器が、決定された有効開口、および縮小されたサンプルビームを当該圧縮器の有効開口に再注入する装置を有していることを主な特徴とする。
【0010】
本構成において、リーキーミラーの使用をジオプタ上での反射で代替している。従って本解決策により、広い瞳孔上でサンプリングされ、且つ分析対象のビームを表す均一なサンプルビームを得ることが可能になる。実際、サンプルビームは、サンプル取得におけるあらゆる不均一に至る一切の歪みも被ることがなく、サンプルビームは、分析対象のビームの瞳孔の位置に依らず同一であるサンプル取得の光学指数nだけの関数である。従って、当該サンプルビームを用いて広開口の圧縮器を探査し、サンプル信号に応じて容易に特徴付けることが可能な小開口の補償器を用いることが可能である。
【0011】
本構成によれば、サンプルビームは、プリアンブルに示したリーキーミラーを用いるケースとは逆に、元のビームよりも少ない素材を通過する。従って、特徴付けが容易な補償器を介して光路上にある素材を通るサンプル信号の通過を補償することが可能である。
【0012】
本発明の特徴によれば、サンプリング装置は、サンプルビームの経路上に、当該サンプルビームの光路を拡張可能な光路補償器を含んでいる。
【0013】
本発明の別の主題は、圧縮器からの高エネルギー且つ大直径のパルスレーザービームを分析する装置であって、前記圧縮器と組み合わせることを意図された上述のサンプリング装置、およびサンプリングされて圧縮されたビームを測定する装置を含んでいる。
【0014】
本発明はまた、伸長器、増幅器、圧縮器を含み、当該圧縮器の出力端において高エネルギー且つ大直径のパルスレーザービームを生成することが可能であって、上述の分析装置を含むことを特徴とする、パルス圧縮によるレーザー増幅用の設備品目に関する。
【0015】
本発明の他の特徴および利点は、添付の図面を参照しながら、非限定的な例に基づく以下の詳細説明を精査することにより明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】上述のように従来技術による増幅チェインを模式的に示す。
図2】上述のように従来技術によるサンプリング装置と組み合わされた圧縮器を模式的に示す。
図3】本発明によるサンプリング装置と組み合わされた圧縮器の例を模式的に示す。
図4】本発明によるサンプリング装置と組み合わされた圧縮器の有効開口におけるサンプルビームおよび主ビームの刻印の例を模式的に示す。
図5】リーキーミラーの透過係数と、石英ガラスジオプタ上での反射係数の比較(図5a)、およびこれら二つのケースで得られたガウス型スペクトルのスペクトル強度(図5b)を示す。
図6】パルスの中心が同一波長に存在しない場合に、リーキーミラーを通過した後、およびジオプタ上で反射された後のガウス型スペクトルのスペクトル強度の差異を示す。
図7】45°の角度で厚さがe(40mm)の素材を通過する前後での時間的ガウス型パルスの時間的強度の差異を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
各図面を通じて同一要素は同一参照番号により識別される。
【0018】
圧縮器の出力端で得られる高エネルギー且つ大型レーザーパルスの特徴分析を実行するには、主ビームおよびサンプルビームが各々の経路に沿って同一の時空間的修正を受けることを当該分析が保証する必要がある。
【0019】
最初に、リーキーミラーを備えたサンプリング装置に伴う問題を以下に詳述する。
− リーキーミラーの透過率または厚さは、ミラー内におけるレーザーの透過中にSPM(自己位相変調)型の非線形効果を回避すべく小さくなければならない。非線形効果が特にパルスのピーク入力および通過する素材の厚さに依存することを想起されたい。非線形効果を合理的な境界内、例えば透過パルスの1未満の積分Bに留めるべく、リーキーミラーの透過率は従って0.1%のオーダーでなければならないが、これは以下の問題をもたらす。
− 例証として、反射率が波長λ1で99.9%および波長λ2で99.8%である高反射率またはHRのミラーを取り上げる。
2波長間の歪みである反射パルスの歪みは、((99.9−99.8)/(99.9))=0.001である。反射パルスの歪みは従って極めて小さい。
透過パルスの場合、波長λ1は0.2%で透過され、波長λ2は0.1%で透過される。
透過パルスに対して、2波長間の歪みは((0.2−0.1)/(0.2))=50%である。この場合の歪みは従って極めて高い。透過ビーム(=サンプルビーム)のスペクトル形状は従って、反射された有効ビームに全く似ていない。すなわち幅がより広く、他の波長に中心を有していてよい。これらの歪みにより時間的測定値が真正でない恐れがある。
− 圧縮器内のレーザーパルスの直径がセンチメートル、更にはメートルクラスであるTW、更にはマルチPWクラスのレーザーにおいて、良好な品質(波面収差が無い)の反射波面を保証するためにリーキーミラーの厚さは数cmのオーダーでなければならない一方、厚さは、上述のように非線形効果を抑制するために薄くなければならない。
− また、元のビームはHRミラーにより反射され、素材を一切通過しない。この点、サンプルビームはミラーの基板を通過する。2本のビームが進む光路は従って異なっており、2本のビームは従って同一の時空間的歪みを受けない。
【0020】
本発明による解決策は、サンプルの取得を圧縮器の上流で実行するものである。次いで、測定装置のサイズに合わせるべくサンプルビームのサイズを縮小した後で、主ビームと並列配置されて圧縮器により主ビームと同一の時空間的条件で圧縮される。
【実施例】
【0021】
より具体的には、図3に関して記述するサンプリング装置は圧縮器3の上流に以下の要素を含んでいる。
− 例えば二酸化ケイ素またはBK7のサンプリングジオプタ44により設けられた、圧縮されるパルスレーザービームのT%(T>90、更には99超)を透過可能(透過ビームを当該ジオプタの下流の経路全体にわたり主または基準ビームと呼ぶ)であり、且つその(1−T)%を反射可能(反射ビームをサンプルビームと呼ぶ)なサンプル取得装置。透過ビームは、圧縮器の出力端で達するピーク出力を未だ発しない伸長されたビームであるため、ジオプタ44を通過する際に非線形効果が生じない。
− サンプルビームの経路上において、
・好適にはサンプルビームの特性を保持すべく反射屈折光学部品を含んでいるサンプルビームのサイズを縮小可能な無限焦点42と、
・縮小されたサンプルビームを圧縮器3の有効開口に再注入する装置。当該再注入装置は、例えば縮小されたサンプルビームを主ビームと並列配置させることにより圧縮器3の有効開口へ向けて反射することを目的とするミラー45である。圧縮器は従来、ジオプタまたは反射分散格子34、35、36、37、あるいは透過分散格子等、1個以上の分散要素を含み、これら各々の要素が図4に示すように有効開口を有している。同図は、一方では未だにスペクトル分散がなされていない主ビームおよび縮小されたサンプルビームが到着する格子34の有効開口を、他方では共に格子34により第1の分散がなされた主ビームおよび縮小されたサンプルビームが到着する格子35の有効開口を示す(同図では3波長を示している)。各々のケースでサンプルビームと主ビームが並列配置される点に注意されたい。圧縮器の有効開口が、これら全ての分散要素の有効開口に共通な部分により画定されることを想起されたい。
− 任意選択により、サンプリングジオプタ44に対称形をなすジオプタ46は、圧縮器の上流で主ビームの経路に配置されている。当該ジオプタは再注入ミラー45の機能を保証する部分を含んでいてよく、他の部分は主ビームを透過させることを目的とし、当該ジオプタは2本のビームを並列配置させることから再結合ジオプタ46と呼ばれる。
【0022】
主ビームおよびサンプルビームは異なる基板を通過した。圧縮された主ビームは、サンプリングジオプタ44、および場合によっては再結合ジオプタ46を通過した。圧縮されたサンプルビームはこの点で、出力ウインドウ33を通過して測定装置43に到達した。従ってサンプリング装置はまた、これら2本のビームの各々の光路を同一にすべく光路補償器47を含んでいる。これは、2本のビームに対して同様の分散を得るべく、図に示すように圧縮器3の下流(または場合によっては上流)でサンプルビームの経路に配置された分散補償器である。特徴付けが容易であり得る当該小開口補償器47は例えば、調整可能な厚さのジオプタであって、図に示すように2個のプリズムからなり得、且つ圧縮されたサンプルビームの各波長(すなわちスペクトル位相)が進む光路を拡張可能にする。これが可能な理由は、サンプルビームがミラーの基板を通過するプリアンブルに記述したリーキーミラーを備えたサンプリング装置とは逆に、圧縮された主ビームが、圧縮されたサンプルビームより厚い素材を通過するためである。
【0023】
本発明によれば、サンプリングはリアルタイムに実行される。
【0024】
出願人は、リーキーミラーを備えたサンプリング装置と、本発明によるサンプリング装置とで得られた結果を比較した。
【0025】
図5aに、リーキーミラーの透過係数と、石英ガラスジオプタの反射係数との比較を示す。ジオプタの応答は、中間高における幅が40nmで中心が820nmにある持続期間が25fsの時間的ガウス型パルスのスペクトル強度を示す図5bで確認できるように、820nmに中心を有する100nmのオーダーの帯域にわたりリーキーミラーの応答と比較して比較的線形である。実際、基準パルスおよびジオプタ上で反射されたパルスは同一であるのに対し、リーキーミラーを介して透過されたパルスは信号を強く歪ませることが分かる。透過パルスは従って、反射パルスを表していない。
【0026】
ジオプタ上でサンプルを取得する別の利点は、信号の中心波長に対する感度である。図6に、パルスの中心が820nmではなく800nmにある場合(実際にあり得る)におけるリーキーミラーとジオプタの挙動の差異を示す。ジオプタを介したサンプル取得の強度が、リーキーミラーによるサンプル取得の強度とは逆に、中心波長に応答しないことが分かる。
【0027】
光路(すなわちスペクトル位相)の差異に関して、図7に、45°の角度で厚さがe(40mm)の素材を通過することが、中間高における幅が40nmで中心が820nmにある持続期間が25fsの時間的ガウス型パルスに及ぼす影響を示す。リーキーミラーを介したサンプル取得の強度が信号を強く歪ませることが分かる。従って透過パルスは反射パルスを表していない。この歪みがサンプリングジオプタ44を通る主ビームの通過にも適用されたならば、相応に設定された圧縮器により補償されることにも注意されたい。縮小されたサンプルパルスもまた、適切に設定された圧縮器内で逆向きの歪みを受ける。しかし、サンプルビームの光路に配置された補償器47により当該偏差を補償することが可能になる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7