(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記判定工程にて、前記荷重を加える前に前記圧電素子から出力される初期電圧に対する、前記出力電圧の上昇分が所定の閾値未満であるノッキングセンサを不良品と判定する請求項1ないし3のいずれか1項に記載のノッキングセンサの製造方法。
【背景技術】
【0002】
自動車等の内燃機関のノッキング現象を検出するノッキングセンサが知られており、ノッキングセンサの検出に応じて点火プラグの点火時期の遅角制御が行われている。
上記したノッキングセンサとして、内燃機関のシリンダブロック等へ取付けるための取付孔を中心部に有する、いわゆるセンターホール式非共振型のノッキングセンサが知られている(特許文献1)。
このノッキングセンサは、筒状部と筒状部の一端に位置する鍔部とを有する主体金具を備え、筒状部の外周に鍔部側から順に、それぞれ環状の絶縁部材、圧電素子、ウェイト、及びナットを嵌め込んで構成されている。そして、筒状部の外周面の雄ネジ部にナットを螺合することによりウェイトを係止し、鍔部とウェイトとの間に圧電素子を挟んで固定している。さらに、主体金具に絶縁部材、圧電素子、ウェイト等を組み付けた内部部品全体が樹脂によって被覆されることで、ノッキングセンサは構成されている。なお、筒状部の内面が上記した取付孔となっている。
【0003】
又、筒状部の周方向に溝を設け、ウェイト上の皿バネをこの溝よりも鍔部側まで押し込んだ状態で、溝にストッパリングを嵌めて固定するノッキングセンサも知られている(特許文献2)。
又、プレス加工により、筒状部の内面を拡径させて突出部を形成させ、ウェイト上の皿バネをこの突出部で加締め固定するノッキングセンサも知られている(特許文献3)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、従来のノッキングセンサは、上述のようにナットを用いてウェイトを主体金具に係止して製造しており、ナットによる締め付けの良否を、トルクレンチの締付けトルクや締付け角度で管理している。しかしながら、この方法はナットによる固定状態を直接モニタする方法ではないため、固定状態の良否を確実に判定することが困難である。
【0006】
一方、特許文献2には、荷重を加えて皿バネを溝よりも鍔部側まで押し込む際、圧電素子から出力される出力電圧を測定し、出力電圧が所定電圧になったら荷重を除荷することで、押し込み量をモニタすることが記載されている。
しかしながら、この方法は、ウェイトをストッパリングで固定する前の溝の押し込み位置を管理するに過ぎず、ストッパリングで固定後の固定状態の良否を判定するものではない。これは、特許文献2記載のノッキングセンサの製造では、筒状部の溝にストッパリングを嵌めればノッキングセンサが完成し、その嵌合(固定)状態も個々のノッキングセンサで同一であるから、ノッキングセンサ毎に逐一その固定状態を確認する必要が無いためと考えられる。
【0007】
これに対し、特許文献3記載のノッキングセンサの製造では、プレス加工により、筒状部の内面は時間と共に拡径し、突出部が時間と共に膨出して加締め部となる。この場合、突出部の膨出の程度(加締めの程度)が個々のノッキングセンサによって異なるので、ノッキングセンサ毎に逐一その加締め状態を確認する必要が生じる。
そこで、本発明は、ウェイトを固定するための加締め不良を、個々のノッキングセンサ毎に確実に判定することができるノッキングセンサの製造方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明のノッキングセンサの製造方法は、筒状部と該筒状部の一端側に位置し、筒状部の周方向外側に向かって突出する鍔部とを有する主体金具を用い、前記筒状部の外周に、絶縁体と、環状の圧電素子と、前記鍔部に面する側と反対側に天面を有する環状のウェイトと、を嵌め込む嵌込工程と、前記ウェイトの天面に直接又は他部材を介し、前記鍔部側に向かう荷重を加えた状態で、前記ウェイトを前記主体金具に直接または前記他部材を介し固定する固定工程と、を有するノッキングセンサの製造方法であって、前記固定工程は、前記ウェイトと前記主体金具との固定後に前記荷重を除荷したときに前記圧電素子から出力される出力電圧を測定し、該出力電圧に応じて前記固定の良否を判定する判定工程を有する。
【0009】
このノッキングセンサの製造方法によれば、前記ウェイトと前記主体金具との固定後に荷重を除荷したときに、固定による圧電素子への押圧力を圧電素子の出力電圧として直接測定することができるので、ウェイトと主体金具との固定不良を、個々のノッキングセンサ毎に確実に判定することができる。
固定による圧電素子への押圧力は個々のノッキングセンサによって異なるが、上述のように固定工程の前後での圧電素子の荷重をノッキングセンサ毎に測定することで、ノッキングセンサ毎に逐一その固定状態を確認することができる。
また、前記固定工程は、前記主体金具を変形させることにより、前記ウェイトを前記主体金具に固定してもよい。
主体金具を変形させる場合、変形の程度(固定の程度)が個々のノッキングセンサによって異なりやすいが、上述のように固定工程の前後での圧電素子の荷重をノッキングセンサ毎に測定することで、ノッキングセンサ毎に逐一その固定状態を確認することができる。
また、前記固定工程は、前記筒状部のうち前記ウェイトの天面よりも前記筒状部の他端側、又は前記他部材よりも前記筒状部の他端側の外径を拡径させ、前記ウェイトの天面に直接又は他部材を介して接する突出部を形成した後、前記荷重を除荷し、該突出部にて前記ウェイトを前記主体金具に固定してもよい。
特に、筒状部の他端側を内面から時間と共に拡径して突出部を形成する場合、突出部の膨出の程度(固定の程度)が個々のノッキングセンサによって異なりやすいが、上述のように固定工程の前後での圧電素子の荷重をノッキングセンサ毎に測定することで、ノッキングセンサ毎に逐一その固定状態を確認することができる。
【0010】
前記判定工程にて、前記荷重を加える前に前記圧電素子から出力される初期電圧に対する、前記出力電圧の上昇分が所定の閾値未満であるノッキングセンサを不良品と判定するとよい。
圧電素子は、自身の上下方向(軸方向))に加えられた力を電圧に変換するが、圧電素子の出力電圧の値そのものから荷重の絶対値を直接読み取ることはできない。そこで、荷重を加える前の圧電素子の出力電圧(初期電圧)を基準とし、初期電圧からの出力電圧の上昇分を荷重の値とみなすことで、加締め固定の良否を精度よく判定することができる。
【発明の効果】
【0011】
この発明によれば、ウェイトを固定するための加締め不良を、個々のノッキングセンサ毎に確実に判定することができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、
図1〜
図3を参照し、本発明の実施形態に係るノッキングセンサの製造方法によって製造されたノッキングセンサについて説明する。
図1はノッキングセンサの外観を示し、
図2はノッキングセンサを軸方向に破断した断面図を示し、
図3はノッキングセンサの内部構造の分解図を示している。
【0014】
図1において、ノッキングセンサ1は、内燃機関のシリンダブロック等へ取付けるための取付孔11(
図2参照)を中心部に有する、いわゆるセンターホール式非共振型のノッキングセンサである。ノッキングセンサ1は、樹脂モールド材料である合成樹脂(例えばナイロン66)製のケース3により覆われている。このケース3は、上部がテーパ状に成形された円柱形状の素子収納部5と、図示しない点火時期制御装置からのコネクタを接続するコネクタ部7とから構成されている。
【0015】
図2及び
図3に示すように、ノッキングセンサ1は、金属材料(例えばSPHD、SWCH25K)からなる主体金具9を備えており、主体金具9は、ボルト100を挿通するための取付孔11を有する円筒形状の筒状部13と、筒状部13の一端13f側(
図1の下側)にて外周面から周方向外側に張り出す鍔部15とを有している。なお、主体金具9(筒状部13の外周面を含む)の外面に、防錆のため亜鉛メッキ等からなるメッキ層を設けてもよく、メッキ層の表面には、メッキ層の腐食の防止を図る目的からクロメート層を設けてもよい。
この主体金具9の鍔部15の厚み方向の一面(
図1の上面)側には、筒状部13の外周に嵌められる環状(円筒形状)で、圧電セラミックス(例えばPZT)からなる圧電素子17が載置されている。
また、圧電素子17の上面側には、筒状部13の外周に嵌められる環状(円筒形状)で、錘としての効果を発揮する比重を有する金属材料(例えばSMF4050)からなるウェイト19が載置されている。
【0016】
鍔部15と圧電素子17との間、及びウェイト19と圧電素子17との間、即ち圧電素子17の厚み方向の両側には、導電材料(例えば黄銅)からなる出力端子21、23が、それぞれ圧電素子17と接するように配置されている。なお、出力端子21、23のうち圧電素子17と接する部分は環状である。
また、鍔部15と出力端子21との間、及び出力端子23とウェイト19との間には、絶縁性を有するフィルム状の合成樹脂(例えばPET)からなる環状の絶縁体25、27がそれぞれ配置され、出力端子21、23が主体金具9の鍔部15やウェイト19と短絡しないようにされている。
【0017】
なお、圧電素子17とウェイト19と出力端子21、23(環状部分)と絶縁体25、27との内周面と、筒状部13の外周面13bとの間には、環状の空間20が形成されており、この環状の空間20にも上記合成樹脂が充填されている。更に、主体金具9には、金属材料(例えばSK−5M)からなり、ウェイト19を鍔部15方向(同図下方)へ押圧する環状の板バネ29が取り付けられている。
なお、ウェイト19の上面(
図1の上面)19aに板バネ29の下面の少なくとも一部が接しており、ウェイト19の上面19aが特許請求の範囲の「天面」に相当する。又、板バネ29が特許請求の範囲の「他部材」に相当する。又、鍔部15と出力端子21との間の絶縁体25が特許請求の範囲の「絶縁体」に相当する。
【0018】
さらに、板バネ29の上側の位置において、筒状部13の外周面13bには、周方向外側に向かって突出する突出部13pが筒状部13と一体に設けられている。この突出部13pは、板バネ29との接点Pから上方(筒状部の他端13e)に向かってテーパ状に拡径している。後述するように、突出部13pは、例えば筒状部13を塑性変形して形成することができる。
そして、突出部13pの外周面13bが板バネ29の上面に接点Pで接することによって、板バネ29が下方に押圧され、さらに板バネ29の弾性力によりウェイト19が係止され、ウェイト19と鍔部15との間の積層構造体(圧電素子17、出力端子21、23、絶縁体25、27)が主体金具9に固定される。
つまり、本実施形態においては、突出部13pが板バネ29を介してウェイト19の天面19aに接し、主体金具9の鍔部15に向けてウェイト19を押圧するようにして、ウェイト19を間接的に主体金具9に係止している。
【0019】
以上のように、ナットを用いず、筒状部13に設けた突出部13pによってウェイト19を主体金具9に係止することで、ナットを螺合する際の金属粉の発生を防止して圧電素子17と主体金具9との間の絶縁性を良好に確保することができる。又、ナットの部品コストを削減し、ノッキングセンサ1のコストを低下することができる。
なお、ナットを用いずに筒状部13の外周面13bに直接プレス加工等を行って突起部を形成することで、ウェイト19を主体金具9に係止することも可能である。しかしながら、この場合には、筒状部13の外周面13bに加工を施す際、やはり金属粉が発生して圧電素子17の周囲に金属粉が付着し、圧電素子17と主体金具9との間の絶縁性を低下させることがある。
そこで、詳しくは後述するが、例えば筒状部13の他端13e側の取付孔11にカシメ刃を挿入し、筒状部13を内面13a側から塑性変形させて拡径することで、仮に金属粉が発生しても取付孔11から外部へ脱落するので、金属粉が圧電素子に付着する不具合を防止することができる。
【0020】
次に、
図4を参照し、本実施形態のノッキングセンサの製造方法の一例を説明する。
まず、主体金具粗形材9xを用意する。この主体金具粗形材9xは、外周面13bに突出部13pが形成されていない筒状部13xと、筒状部13xの一端13f側(下側)に上述の鍔部15とを有している(
図3参照)。そして、筒状部13xの外周側に嵌めるようにして、鍔部15上に、絶縁部材25、出力端子21、圧電素子17、出力端子23、絶縁部材27、ウェイト19、板バネ29を順次載置する(嵌め込む)。この工程が特許請求の範囲の「嵌込工程」に相当する。
次に、円筒ピン120を上方から下ろし、円筒ピン120の下面にて板バネ29を押圧して軸方向に荷重を加え、板バネ29の上面が水平になるように弾性変形させる(
図4(a))。
【0021】
次に、円筒ピン120を下ろした(荷重を加えた)状態で、筒状部13xの取付孔に、上方からピストン130を挿入する(
図4(b))。ピストン130は先端に向かって狭まるテーパ状のカシメ刃130sを有し、筒状部13xの取付孔にピストン130を挿入すると、カシメ刃130sが筒状部13xの取付孔に挿入されて筒状部13xの上端側(他端13e側)が時間と共に押し広げられ、塑性変形して拡径し、突出部13pを形成する。この際、筒状部13xは、押圧された状態の板バネ29よりも上面側で広げられるので、板バネ29の上面側に突出部13pが形成される。
なお、カシメ刃130sを筒状部13xの取付孔に挿入すると、筒状部13xに外周側へ向かう押圧力が働き、板バネ29との接点P近傍を支点として外側へ曲がるように塑性変形する。
【0022】
そして、円筒ピン120を離すと(荷重を除荷すると)、板バネ29が弾性的に戻り、突出部13pに接点Pで接しながら板バネ29の弾性力によりウェイト19の天面19aを鍔部15側へ押圧し、上述の積層構造体が主体金具9に加締め固定される。この工程が特許請求の範囲の「固定工程」に相当する。
このようにしてノッキングセンサ1を組み立てた後、主体金具9を含む上述の積層構造体を覆うように樹脂モールド材料(合成樹脂)を射出し固化させることにより、ケース3を形成し、ノッキングセンサ1が完成する。
【0023】
ここで、突出部13pを形成後、円筒ピン120を離して荷重を除荷したとき(上述の積層構造体が主体金具9に加締め固定されたとき)に圧電素子17から出力される出力電圧を測定し、出力電圧に応じて加締め固定の良否を判定する(特許請求の範囲の「判定工程」に相当)。
この判定工程は次のように行うことができる。まず、圧電素子17の上下に接する出力端子21、23を、例えばチャージアンプやチャージアッテネータにそれぞれ接続し、出力端子21、23の間の電圧を測定する。
圧電素子17は、自身の上下方向(軸方向))に加えられた力を電圧に変換するピエゾ素子であり、円筒ピン120及び突出部13pによって軸方向に加えられる荷重を、圧電素子17を介して測定可能である。但し、圧電素子17の出力電圧の値そのものから荷重の絶対値を直接読み取ることはできない。そこで、荷重を加える前の圧電素子17の出力電圧(特許請求の範囲の「初期電圧」に相当)を基準とし、初期電圧からの出力電圧の上昇分を荷重の値とみなすとよい。
【0024】
図5は、加締め工程の前後において圧電素子17から出力される出力電圧の時間変化を示す模式図である。荷重を加える前の圧電素子17の初期電圧V0に対し、円筒ピン120により板バネ29に荷重を加えると、出力電圧が上昇する。そして、加締め工程を開始して筒状部13xを内面13aから時間と共に拡径すると、突出部13pが徐々に膨出して板バネ29を押圧し、これにより板バネ29にさらに荷重が加わって出力電圧がV2まで上昇する。
なお、
図5では、V2から加締め終了まで少しずつ電圧が下がるが、これは圧電素子17のドリフト現象(荷重を加えた際に荷重のピークから徐々に電荷が放出されることで電圧が下がる)を示す。
【0025】
次に、突出部13pを形成後、円筒ピン120を離して荷重を除荷すると、圧電素子17へ加わる荷重は突出部13pによる押圧力(加締め力)、すなわち固定による押圧力だけとなるので、出力電圧V2からV1へ低下する。このとき(上述の積層構造体が主体金具9に加締め固定されたとき)の出力電圧V1を測定し、初期電圧V0からの出力電圧の上昇分ΔV=V1−V0を算出する。
ΔVは、突出部13pにより板バネ29、ひいてはウェイト19を押圧する圧力を直接示しており、ΔVが所定の閾値より小さいと、この圧力が小さくて固定(加締め)が十分でないことを示す。つまり、ΔVが所定の閾値未満であるノッキングセンサは明らかに固定不良(加締め不良)であるから、ΔVに基づいて固定不良(加締め不良)を確実に判定することができる。
【0026】
なお、本発明のノッキングセンサの製造方法は、筒状部13xの他端13e側を内面13aから時間と共に拡径して突出部13pを形成するものであり、突出部13pが時間と共に膨出して加締め部を形成する。この場合、突出部の膨出の程度(加締めの程度)が個々のノッキングセンサによって異なるが、上述のように加締め工程の前後での圧電素子17の荷重をノッキングセンサ毎に測定することで、ノッキングセンサ毎に逐一その加締め状態(固定状態)を確認することができる。
【0027】
次に、
図6を参照し、第2実施形態のノッキングセンサの製造方法の一例を説明する。なお、
図4の実施形態と共通する構成に関しては、同じ符号を用いて説明する。
まず、主体金具粗形材9yを用意する。この主体金具粗形材9yは、内周面13ayの一部に肉厚の薄い薄肉部を備える筒状部13xyと、筒状部13xyの一端13f側(下側)に上述の鍔部15とを有している。そして、筒状部13xyの外周側に嵌めるようにして、鍔部15上に、絶縁部材25、出力端子21、圧電素子17、出力端子23、絶縁部材27、ウェイト19、板バネ29を順次載置する(嵌め込む)。この工程が特許請求の範囲の「嵌込工程」に相当する。
次に、円筒ピン120を上方から下ろし、円筒ピン120の下面にて板バネ29を押圧して軸方向に荷重を加え、板バネ29の上面が水平になるように弾性変形させる(
図6(a))。
【0028】
次に、円筒ピン120を下ろした(荷重を加えた)状態で、筒状部13xyの取付孔に、上方からピストン130yを押し下げる(
図6(b))。筒状部13xyの上端側にピストン130yを当て押し下げると、筒状部13xyの薄肉部が局部的に変形し、座屈部13pyを形成する。この際、筒状部13xyは、押圧された状態の板バネ29よりも上面側が変形するので、板バネ29の上面側に座屈部13pyが形成される。
【0029】
そして、円筒ピン120を離すと(荷重を除荷すると)、板バネ29が弾性的に戻り、座屈部13pyに接点Pで接しながら板バネ29の弾性力によりウェイト19の天面19aを鍔部15側へ押圧し、上述の積層構造体が主体金具9に加締め固定される。この工程が特許請求の範囲の「固定工程」に相当する。
このようにしてノッキングセンサ1を組み立てた後、主体金具9を含む上述の積層構造体を覆うように樹脂モールド材料(合成樹脂)を射出し固化させることにより、ケース3を形成し、ノッキングセンサ1が完成する。
【0030】
ここで、座屈部13pyを形成後、円筒ピン120を離して荷重を除荷したとき(上述の積層構造体が主体金具9に加締め固定されたとき)に圧電素子17から出力される出力電圧を測定し、出力電圧に応じて加締め固定の良否を判定する(特許請求の範囲の「判定工程」に相当)。
【0031】
次に、
図7を参照し、第3実施形態のノッキングセンサの製造方法の一例を説明する。
まず、主体金具粗形材9zを用意する。この主体金具粗形材9zは、外周面に雄ネジ部300が形成された筒状部13xzと、筒状部13xzの一端13f側(下側)に上述の鍔部15とを有している。そして、筒状部13xzの外周側に嵌めるようにして、鍔部15上に、絶縁部材25、出力端子21、圧電素子17、出力端子23、絶縁部材27、ウェイト19、板バネ29を順次載置する(嵌め込む)。この工程が特許請求の範囲の「嵌込工程」に相当する。
次に、円筒ピン120を上方から下ろし、円筒ピン120の下面にて板バネ29を押圧して軸方向に荷重を加え、板バネ29の上面が水平になるように弾性変形させる(
図7(a))。
【0032】
次に、円筒ピン120を下ろした(荷重を加えた)状態で、筒状部13xzの上方からナット700を挿入する(
図7(b))。ナット700は、自身の内周面に筒状部13xzの雄ネジ部300に螺合する雌ネジ部710を有する。そして、雄ネジ部300と雌ネジ部710を螺合させ締付けることで、ナット700により、上述の積層構造体が主体金具9に固定される。この工程が特許請求の範囲の「固定工程」に相当する。
【0033】
このようにしてノッキングセンサ1を組み立てた後、主体金具9を含む上述の積層構造体を覆うように樹脂モールド材料(合成樹脂)を射出し固化させることにより、ケース3を形成し、ノッキングセンサ1が完成する。
【0034】
ここで、ナット700により、上述の積層構造体を主体金具9に固定後、円筒ピン120を離して荷重を除荷したとき(上述の積層構造体が主体金具9に固定されたとき)に圧電素子17から出力される出力電圧を測定し、出力電圧に応じて加締め固定の良否を判定する(特許請求の範囲の「判定工程」に相当)。
【0035】
本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の思想と範囲に含まれる様々な変形及び均等物に及ぶことはいうまでもない。
絶縁体の種類としては、上述のフィルム状の合成樹脂の他、セラミック材でもよく、絶縁性接着剤を塗布してもよい。又、上記実施形態では、突出部13pが板バネ29を介してウェイト19の天面19aに接し、ウェイト19を係止したが、これは合成樹脂製の絶縁体25、27が熱クリープにより薄くなって軸方向に隙間が生じることから、この隙間を板バネ29の弾性変形で埋めるためである。一方、熱クリープが生じないセラミック等の絶縁体を用いる場合には、板バネ29を用いず、突出部13pをウェイト19の天面19aに直接接しさせてウェイト19を係止してもよい。
【0036】
又、上記実施形態では、突出部13pが筒状部13の他端13eに向かって拡径している場合について説明したが、突出部13pの形状はこれに限らず、
図8のように、突出部13pが筒状部13の軸方向の中間部に形成され、他端13eで突出部13pよりも縮径する形状であってもよい。