特許第6496384号(P6496384)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6496384
(24)【登録日】2019年3月15日
(45)【発行日】2019年4月3日
(54)【発明の名称】容器減容装置
(51)【国際特許分類】
   B29B 17/00 20060101AFI20190325BHJP
   B30B 9/32 20060101ALI20190325BHJP
【FI】
   B29B17/00ZAB
   B30B9/32 101G
【請求項の数】7
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-212162(P2017-212162)
(22)【出願日】2017年11月1日
【審査請求日】2018年2月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】390013457
【氏名又は名称】株式会社辰巳エヤーエンジニアリング
(74)【代理人】
【識別番号】100120341
【弁理士】
【氏名又は名称】安田 幹雄
(72)【発明者】
【氏名】野田 泰廣
【審査官】 小久保 敦規
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−249530(JP,A)
【文献】 特開平07−284684(JP,A)
【文献】 特開2001−269799(JP,A)
【文献】 特開2002−210594(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/113968(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29B 17/00− 17/04
C08J 11/00− 11/28
B29B 7/00− 11/14
B29B 13/00− 15/06
B29C 31/00− 31/10
B29C 37/00− 37/04
B29C 71/00− 71/04
B30B 9/00− 9/32
B09B 1/00− 5/00
B09C 1/00− 1/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下向き開口した吸引口(4a)を有していて容器(3)の上向き開口した注出口(3a)を嵌合するノズル(4)と、
このノズル(4)の吸引口(4a)に連通する吸引路(5)を介して容器(3)内の空気を吸引する吸引手段(A)とを備えており、
前記ノズル(4)は、下方から上向きに近づけて嵌合した容器(3)の注出口(3a)の先端部に膜体下面が空気吸引により吸着される密着膜体(7)を備えており、
前記密着膜体(7)は、厚さが0.01〜1mm、外径が容器3の注出口3aの径より大径であり、かつ柔軟性及び弾性力のある薄い円形薄膜であることを特徴とする容器減容装置。
【請求項2】
下向き開口した吸引口(4a)を有していて容器(3)の上向き開口した注出口(3a)を嵌合するノズル(4)と、
このノズル(4)の吸引口(4a)に連通する吸引路(5)を介して容器(3)内の空気を吸引する吸引手段(A)と、
前記吸引路(5)における吸引圧力を検出する圧検出器(6)と、
この圧検出器(6)が吸引減容完了圧を検出したときに、前記吸引手段(A)の作動を停止するとともにノズル(4)の吸引口(4a)に空気を供給する空気供給手段(B)とを備えており、
前記ノズル(4)は、下方から上向きに近づけて嵌合した容器(3)の注出口(3a)の先端部に膜体下面が空気吸引により吸着される密着膜体(7)を備えており、
前記密着膜体(7)は、厚さは0.03〜0.1mm、外径は容器3の注出口3aの径の2〜4倍であり、かつ柔軟性及び弾性力のある薄い円形薄膜であることを特徴とする容器減容装置。
【請求項3】
前記ノズル(4)は、前記吸引口(4a)と容器(3)の注出口(3a)が嵌合される嵌合部(4b)とを形成したノズル本体(4A)と、このノズル本体(4A)の嵌合部(4b)の基部側に嵌合した密着膜体(7)と、ノズル本体(4A)の嵌合部(4b)の基部側に嵌合されていて密着膜体(7)の逃げを規制するバックアップ体(10)と、膜体上面の上側に空間を形成するべく密着膜体(7)の内周部とバックアップ体(10)の内周部との間に設けた空間形成部とを有することを特徴とする請求項1又は2に記載の容器減容装置。
【請求項4】
前記空間形成部は、密着膜体(7)の内周部とバックアップ体(10)の内周部との間でノズル本体(4A)に嵌合したカラー(41)である、または、バックアップ体(10)の弾性体(10a)の下面から密着膜体(7)側へ突出した円形突起部(ab)であることを特徴とする請求項に記載の容器減容装置。
【請求項5】
前記吸引手段(A)は圧縮空気が流通される圧縮空気流通路(8)にエジェクタ(9)を介して吸引路(5)を接続しており、
前記空気供給手段(B)は圧縮空気流通路(8)から分岐して吸引路(5)に接続された分岐路(15)を有することを特徴とする請求項2に記載の容器減容装置。
【請求項6】
前記吸引手段(A)は真空ポンブ(16)に負圧路(17)を介して吸引路(5)を接続しており、
前記空気供給手段(B)は吸引路(5)を負圧路(17)と接続する態様と吸引路(5)を大気に開放する態様とを切り換える切換弁(18)を有することを特徴とする請求項2に記載の容器減容装置。
【請求項7】
前記ノズル(4)及び吸引路(5)をノズルヘッド(11)に設け、このノズルヘッド(11)を装置フレーム(12)に対して支持軸(13)を介してノズル(4)に容器(3)の注出口(3a)を嵌合する上向き方向に揺動可能に支持し、ノズルヘッド(11)の近傍にノズルヘッド(11)の上向き揺動を検出して前記吸引手段(A)を作動させる始動センサ(14)を設けていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の容器減容装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空ペットボトル等の容器を収縮させて減容する容器減容装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の従来技術に特許文献1の容器減容機がある。この容器減容機は、容器口部を案内するガイド部材と、先端に真空吸引口を有し、容器口部内に挿入可能な本体ロッドと、真空吸引口に接続された真空吸引手段と、本体ロッドの先端部外周に装着された弾性体から成るシール部材と、シール部材内に流体を給排する流体給排手段と、ガイド部材に案内された容器内に本体ロッドのシール部材が挿入されたことを検知する検知手段と、真空吸引手段および流体給排手段の作動タイミングを制御するタイマーとを備え、前記検知手段からの信号により、シール部材内に流体を供給してシール部材を膨張させ、所定時間経過後、真空吸引手段を作動させて容器内を吸気して収縮させ、かつ、この真空吸引手段が作動している間は流体の供給を継続して容器口部を保持させるように構成されている(請求項2)。
【0003】
前記容器減容機は、取り付けプレートにエアシリンダが固定され、そのピストンロッドの先端がガイド部材のフランジに当接しており、エアシリンダは圧力エア供給源からの圧力エアによってピストンロッドを前進させてガイド部材を押出し、クラッシュされた容器を本体ロッドの先端から解放するように構成されている。
また、特許文献2の減容機は、弾性材により形成され、樹脂容器の口が水平方向または水平方向に対して傾斜させた傾斜方向から嵌合される吸引ノズルと、前記樹脂容器の口に前記吸引ノズルが押圧されることを検出する検出手段と、前記検出手段から出力された電気信号により起動され、前記吸引ノズルの空気を吸引する前記真空ポンプとを有する(請求項3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−6336号公報
【特許文献2】実用新案登録第3130700号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記前者従来技術は、容器内を真空吸引するために、真空吸引口を有する本体ロッドに容器口部との間を膨張してシールするシール部材及び流体給排手段を必要とし、減容した容器を本体ロッドから離脱させるために、真空吸引手段とは別個の圧力エア供給源とエアシリンダとを必要とし、構造及び減容工程が複雑になっている。
前記後者従来技術は、樹脂容器の口を吸引ノズルに押圧して空気を容易に吸引できるが、吸引ノズルは円錐形であって、吸引減容された容器はその復元力により密着して、吸引ノズルから離脱し難く、また離脱を積極的に行えないという問題を有する。
【0006】
本発明は、このような従来技術の問題点を解決できるようにした容器減容装置を提供することを目的とする。
本発明は、容器の注出口をノズルに嵌合したときに注出口先端を密閉する密着膜体を設けることにより、容器内の空気を確実に吸引できかつ減縮容器の解放も容易にできる容器減容装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明における課題解決のための具体的手段は、次の通りである。
本発明は第1に、下向き開口した吸引口4aを有していて容器3の上向き開口した注出口3aを嵌合するノズル4と、
このノズル4の吸引口4aに連通する吸引路5を介して容器3内の空気を吸引する吸引手段Aとを備えており、
前記ノズル4は、下方から上向きに近づけて嵌合した容器3の注出口3aの先端部に膜体下面が空気吸引により吸着される密着膜体7を備えており、
前記密着膜体7は、厚さが0.01〜1mm、外径が容器3の注出口3aの径より大径であり、かつ柔軟性及び弾性力のある薄い円形薄膜であることを特徴とする。
【0008】
本発明は第2に、下向き開口した吸引口4aを有していて容器3の上向き開口した注出口3aを嵌合するノズル4と、
このノズル4の吸引口4aに連通する吸引路5を介して容器3内の空気を吸引する吸引手段Aと、
前記吸引路5における吸引圧力を検出する圧検出器6と、
この圧検出器6が吸引減容完了圧を検出したときに、前記吸引手段Aの作動を停止するとともにノズル4の吸引口4aに空気を供給する空気供給手段Bとを備えており、
前記ノズル4は、下方から上向きに近づけて嵌合した容器3の注出口3aの先端部に膜体下面が空気吸引により吸着される密着膜体7を備えており、
前記密着膜体7は、厚さは0.03〜0.1mm、外径は容器3の注出口3aの径の2〜4倍であり、かつ柔軟性及び弾性力のある薄い円形薄膜であることを特徴とする。
【0009】
本発明は第3に、ノズル4は、前記吸引口4aと容器3の注出口3aが嵌合される嵌合部4bとを形成したノズル本体4Aと、このノズル本体4Aの嵌合部4bの基部側に嵌合した密着膜体7と、ノズル本体4Aの嵌合部4bの基部側に嵌合されていて密着膜体7の逃げを規制するバックアップ体10と、膜体上面の上側に空間を形成するべく密着膜体7の内周部とバックアップ体10の内周部との間に設けた空間形成部とを有することを特徴とする。
【0010】
本発明は第4に、空間形成部は、密着膜体7の内周部とバックアップ体10の内周部との間でノズル本体4Aに嵌合したカラー41である、または、バックアップ体10の弾性体10aの下面から密着膜体7側へ突出した円形突起部abであることを特徴とする。
本発明は第5に、吸引手段Aは圧縮空気が流通される圧縮空気流通路8にエジェクタ9を介して吸引路5を接続しており、
前記空気供給手段Bは圧縮空気流通路8から分岐して吸引路5に接続された分岐路15を有することを特徴とする。
【0011】
本発明は第6に、吸引手段Aは真空ポンブ16に負圧路17を介して吸引路5を接続しており、
前記空気供給手段Bは吸引路5を負圧路17と接続する態様と吸引路5を大気に開放する態様とを切り換える切換弁18を有することを特徴とする。
本発明は第7に、ノズル4及び吸引路5をノズルヘッド11に設け、このノズルヘッド11を装置フレーム12に対して支持軸13を介してノズル4に容器3の注出口3aを嵌合する上向き方向に揺動可能に支持し、ノズルヘッド11の近傍にノズルヘッド11の上向き揺動を検出して前記吸引手段Aを作動させる始動センサ14を設けていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、容器の注出口をノズルに嵌合したときに弾性を有する密着膜体が注出口先端を密閉することにより、容器内の空気を確実に吸引でき、空気吸引を停止すると密着膜体による密閉が解消できる。
即ち、請求項1に係る発明は、ノズル4は嵌合した容器3の注出口3aの先端部に膜体下面が空気吸引により吸着される柔軟性及び弾性力のある薄い密着膜体7を備えるので、ノズル4を注出口3aに挿入して空気を吸引すると、注出口3aの先端部に密着膜体7の膜体下面が吸着されて外部からの空気の吸引は阻止され、容器3内の空気を確実に吸引することができ、また、空気吸引を停止すると密着膜体7の弾性復元力によって、注出口3aの密閉が解消できる。
【0013】
請求項2に係る発明は、ノズル4は嵌合した容器3の注出口3aの先端部に膜体下面が空気吸引により吸着される柔軟性及び弾性力のある薄い密着膜体7を備えるので、ノズル4を注出口3aに挿入して空気を吸引すると、注出口3aの先端部に密着膜体7の膜体下面が吸着されて外部からの空気の吸引は阻止され、容器3内の空気を確実に吸引することができ、吸引完了時に密着膜体7が注出口3aに密着していても、空気供給手段Bによってノズル4の吸引口4aに空気を供給して、注出口3aへの密着膜体7の密着を解消し、また密着膜体7の弾性復元力によっても注出口3aの密閉を解消し、減容容器をノズル4から容易に離脱させることができる。
【0014】
請求項3に係る発明は、バックアップ体10によって密着膜体7の逃げが規制されるので、注出口3aをノズル4に嵌合していくときに注出口3aの先端部を密着膜体7に確実に当接させることができ、かつ密着膜体7の内周部とバックアップ体10の内周部との間に設けた空間形成部を有しているので、膜体上面の上側に空間を形成でき、空気吸引による密着膜体7の吸着を確実にでき、容器3内の空気を確実に吸引することができる。
【0015】
請求項4に係る発明は、空間形成部は、密着膜体7の内周部とバックアップ体10の内周部との間でノズル本体4Aに嵌合したカラー41で簡単に形成でき、または、バックアップ体10の弾性体10aの下面から密着膜体7側へ突出した円形突起部abで簡単に形成できる。
請求項5に係る発明は、吸引手段Aの圧縮空気を利用して、ノズル4の吸引口4aからの空気吸引と、ノズル4への圧縮空気吐出とができる。
【0016】
請求項6に係る発明は、真空ポンブ16の負圧でノズル4の吸引口4aから空気を吸引し、切換弁18の切り換えで吸引口4aを大気に開放して空気を減容容器側に供給することができ、密着膜体7の密着を確実に解消することができる。
請求項7に係る発明は、ノズル4に容器3の注出口3aを嵌合する方向のノズルヘッド11の上向き揺動を検出して吸引手段Aを作動させることができ、容器3の吸引始動及びその確認が容易にできる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の第1実施形態を示す容器減容装置の空気回路図である。
図2】同容器減容装置のノズルヘッドの側面図である。
図3】同ノズルヘッドの平面図である。
図4】ノズルの拡大断面図である。
図5】容器減容装置の全体側面図である。
図6】容器減容装置の背面図である。
図7】本発明の第2実施形態を示す容器減容装置の空気回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図5、6において、容器減容装置1の全体を示しており、容器減容装置1は大別して、可搬台21にボックス状の装置フレーム12を搭載し、装置フレーム12内に圧縮空気を作るコンプレッサ22(又は空気を吸引する真空ポンプ)及びエアータンク22aを収納し、装置フレーム12の上部に容器3を吸引減容するノズルヘッド11を支持し、このノズルヘッド11をカバー23で覆っている。
【0019】
図2〜6において、前記装置フレーム12は上部に横梁状部材12aを有し、この横梁状部材12aの前面側に蝶番24を介してノズルヘッド11を前部が上下移動するように揺動自在に枢支しており、前記蝶番24のピンがノズルヘッド11を装置フレーム12に対して揺動自在に支持する支持軸13となっている。
また、横梁状部材12aの後面側には近接センサで形成された始動センサ14が設けられており、この始動センサ14はノズルヘッド11の後部の近傍に位置し、ノズルヘッド11の後部の上下移動を検出可能になっている。
【0020】
前記ノズルヘッド11は、ヘッドボディ26から第1アーム27を前方突出し、この第1アーム27に第2アーム28を前後位置調整可能に装着し、第2アーム28の前端下部に連結体29を装着し、この連結体29にノズル4を装着するとともにエアーニップル30が接続されている。
図1、2、4、5において、前記ノズル4は、容器3の注出口3aが嵌合される嵌合部4bと前記吸引口4aとを形成したノズル本体4Aと、このノズル本体4Aの嵌合部4bの基部側に嵌合した弾性を有する密着膜体7と、ノズル本体4Aの嵌合部4bの基部側に嵌合されていて密着膜体7の逃げを規制するバックアップ体10とを有する。
【0021】
前記ノズル4のノズル本体4Aは、六角頭付きボルトを穴加工して吸引口4aを形成し、ボルトの六角頭を下にして先端側にスパナ等の回動工具を係合する工具係合部4dとし、ボルトの軸部にリング40を嵌合して筒形状の嵌合部4bを形成し、ボルトのネジを上にしてネジ部4cを形成し、このネジ部4cを吸引路5を形成する連結体29に螺合している。
【0022】
前記密着膜体7は、柔軟性及び弾力性のある合成樹脂フィルム、ラテックス(天然ゴム、合成ゴム)で形成された円形膜であり、厚さは0.01〜1mm、好ましくは0.03〜0.1mm、外径は容器3の注出口3aの径より大径、好ましくは2〜4倍径であり、バックアップ体10の下面側にカラー41を介在して張られている。
バックアップ体10は、天然ゴム、合成ゴム等の弾性体10aの上面側をキャップ形状の金属碗10bで保護したものであり、密着膜体7に注出口3aが密接するのを助け、密着膜体7が大きく変形するとき、弾性体10aで弾力的に受けて、大きく逃げるのを規制する。
【0023】
これら密着膜体7及びバックアップ体10は、ボルトの軸部に嵌合装着され、ネジ部4cを連結体29に螺合することにより、嵌合部4bと連結体29とに挟持される。
前記ノズル4は、各種の容器3における注出口3aの内径が異なっているので、最小の径の注出口3aが嵌合できるように嵌合部4bの外径が設定されており、最大径の注出口3aに吸着するように密着膜体7の外径が設定されている。
【0024】
容器3の注出口3aは、ノズル本体4Aの嵌合部4bに嵌合していくと、注出口3aの先端が密着膜体7に接触し、かつ密着膜体7が弾性体10aにバックアップされると、密着膜体7とさらに密着する。その状態でノズル4の吸引口4aから空気を吸引して容器3内を負圧にすると、外部空気が注出口3aから容器3内に入ろうとするが、密着膜体7が注出口3aに吸着され、外部空気の侵入を阻止し、容器3は内部の負圧力によって減縮される。ノズル4の吸引口4aの空気吸引が停止されると、密着膜体7はそれ自身の弾性復元力によって元の形状に戻る。
【0025】
前記ノズル4は、吸引口4aが下向きであることにより容器3の注出口3aはノズル本体4Aに下側から上向きに嵌合され、その押圧する力はバックアップ体10で受けることによりノズル4を下から上へ(前から後へ)、支持軸13を中心に揺動させる力となり、容器3の注出口3aのノズル4への嵌合がノズルヘッド11を揺動して始動センサ14を作動させることになる。
【0026】
前記連結体29には、ノズル4の吸引口4aとエアーニップル30とを連通する吸引路5が形成されており、吸引路5はエアーニップル30に接続されたエアー管31等を介して空気を吸引する機構に連通されている。
図1は容器減容装置1の第1実施形態の空気回路を示しており、ノズル4の吸引口4aに連通する吸引路5を介して容器3内の空気を吸引する吸引手段Aと、吸引路5における吸引圧力を検出する圧検出器6と、ノズル4の吸引口4aに圧縮した空気を供給する空気供給手段Bとを備えている。
【0027】
前記吸引手段Aは、コンプレッサ22が生成する圧縮空気を圧縮空気流通路8に供給し、この圧縮空気流通路8の中途に設けたエジェクタ9及び逆止弁34で吸引路5を負圧にするように構成されている。
圧縮空気流通路8には圧縮空気を流通させる開閉弁35とこれを切り換える切換電磁弁36とが設けられており、切換電磁弁36は始動センサ14からの信号によって閉から開に切り換えられ、圧縮空気で開閉弁35を閉から開に切り換える。始動センサ14の作動によって吸引路5を負圧にする。
【0028】
前記空気供給手段Bは圧縮空気流通路8から分岐して吸引路5に接続された分岐路15と、この分岐路15を開閉する分岐開閉弁38と、この分岐開閉弁38を切り換える分岐切換電磁弁39とが設けられている。
前記分岐切換電磁弁39は、圧検出器6からの信号によって閉から開に切り換えられ、分岐路15の圧縮空気を分岐開閉弁38に送って、分岐開閉弁38を閉から開に切り換え、コンプレッサ22からの圧縮した空気を分岐路15から吸引路5に供給するとともに逆止弁34を開から閉に切り換えることができる。
【0029】
吸引手段Aによって容器3内の空気を吸引していくと、容器3が吸引収縮されて吸引路5内の負圧が80キロパスカル(kPa)前後になると、容器3は吸引減容完了となり、その負圧を圧検出器6が検出し、分岐切換電磁弁39を作動して分岐開閉弁38を開にし、分岐路15の圧縮空気で逆止弁34を閉にして吸引路5の空気吸引を停止し、同時に圧縮空気を吸引路5に供給して、ノズル4の吸引口4aから噴出させる。
【0030】
容器3はノズル4に嵌合して内部空気が吸引されると減縮し、減容状態にされると吸引路5の負圧を解除しても、容器3は復元力により吸引口4aがノズル4の密着膜体7に吸い付いたままになるが、ノズル4の吸引口4aから圧縮空気を噴出すると、真空破壊現象を起こして容器3をノズル4の密着膜体7から強制離脱させることができる。
前記容器減容装置1における容器減容方法を説明する。
【0031】
空のペットボトル等の容器3をノズルヘッド11まで持ち運び、キャップを外した状態の注出口3aをノズル4の嵌合部4bに下方から嵌合する。注出口3aの先端を密着膜体7に当接しながらその嵌合方向に容器3を移動(持ち上げる)と、バックアップ体10を介してノズルヘッド11は支持軸13を中心に後上方へ揺動し、これで始動センサ14が作動する(容器嵌合工程)。
【0032】
始動センサ14の作動によって切換電磁弁36が閉から開に切り換えられると、コンプレッサ22から圧縮空気流通路8内に供給されていた圧縮空気が、開閉弁35を閉から開に切り換え、これによって同時に圧縮空気流通路8の先方側に流通され、圧縮空気がエジェクタ9内を通ることになり、このエジェクタ9の作用により吸引路5が負圧になって吸引手段Aが作動し、吸引口4aを介して容器3内の空気が吸引され、外部から入ろうとする空気を、注出口3aの先端に密着膜体7が吸着されることにより阻止する(吸引工程)。
【0033】
容器3は内部空気が吸引されると収縮して減容状態になり、吸引減容が完了してくると吸引路5内の負圧が急激に上昇し、負圧が80キロパスカル前後になると、それを圧検出器6が検出して分岐切換電磁弁39を作動し、圧縮空気流通路8から分岐路15内に入ってくる圧縮空気で分岐開閉弁38を開にする。
分岐開閉弁38が開くと、分岐路15の圧縮空気が逆止弁34を開から閉に切り換えて吸引路5を負圧にする吸引工程を停止し、これと同時に吸引路5に圧縮空気を送り、ノズル4の吸引口4aに圧縮空気を供給し、吸引口4aで真空破壊を起こして、密着膜体7の吸着を解消し、容器3をノズル4から離脱させる(空気供給工程)。
【0034】
図7は容器減容装置1の第2実施形態の空気回路を示しており、ノズル4の吸引口4aに連通する吸引路5を介して容器3内の空気を吸引する吸引手段Aと、吸引路5における吸引圧力を検出する圧検出器6と、ノズル4の吸引口4aに空気を供給する空気供給手段Bとを備えている。
前記ノズル4のノズル本体4Aは、円形頭付きボルトを穴加工して吸引口4aを形成し、吸引口4aの先端側に同心に六角レンチ等の回動工具を係合する六角穴を形成して工具係合部4dとし、ボルトの軸部にリング40を嵌合して筒形状の嵌合部4bを形成し、ボルトのネジを上にしてネジ部4cを形成しており、ボルトの円形頭及び嵌合部4bは下向き先細りのテーパになっていて、容器3の注出口3aを嵌合し易くしている。
【0035】
前記弾性を有する密着膜体7はラテックスの円形膜であり、バックアップ体10の弾性体10aは下面側にリング40と略同径の円形突起部abを有し、リング40と円形突起部abとで密着膜体7の内周部を挟持している。
前記吸引手段Aは、コンプレッサ及びエジエクタの代わりに真空ポンブ16及び負圧路17を有しており、負圧路17が吸引路5に接続されていて、真空ポンブ16の吸引によって、負圧路17及び吸引路5を介してノズル4の吸引口4aを負圧にするように構成されている。
【0036】
前記空気供給手段Bは、吸引路5と負圧路17との接続位置に、吸引路5を負圧路17と接続する態様の位置C1と吸引路5を大気に開放する態様の位置C2とを切り換える切換弁18を有している。
この切換弁18は電磁弁であって、始動センサ14からの信号によって位置C1から位置C2に切り換えられ、吸引路5及びノズル4の吸引口4aの負圧を解除するとともにそれらを大気に開放する。
【0037】
容器3はノズル4に嵌合して空気を吸引して減容状態にされると、吸引路5の負圧を解除しても、容器3は復元力により吸引口4aが密着膜体7に吸着したままになるが、吸引路5が大気に開放されノズル4の吸引口4aに空気が供給できるようになると、密着膜体7の吸い付きが解消され、密着膜体7の弾性復元力により注出口3aから離れ、容器3はノズル4から容易に離脱されることになる。
【0038】
前記第2実施形態の空気回路における容器減容方法は、容器嵌合工程で容器3の注出口3aをノズル4の嵌合部4bに下方から嵌合して、密着膜体7をバックアップ体10に押圧し、バックアップ体10介してノズル4を揺動させて始動センサ14を作動し、吸引工程で真空ポンブ16の吸引によって吸引路5及び吸引口4aを負圧にして、容器3を収縮減容しかつ圧検出器6を作動し、空気供給工程で切換弁18の切り換えにより吸引路5を大気に開放してノズル4及び減容容器3への空気の供給をする。吸引口4aが大気に開放されると、注出口3aと密着膜体7の吸着が解消され、密着膜体7を損傷することなく減容容器3をノズル4から容易に離脱される。
【0039】
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、部材の形状、構成及び組み合わせ等を変更したりすることもできる。
例えば、密着膜体7は、弾性材料で形成されるので、変形容易であり、変形してもその弾性復元力で元の形状に復元できるが、その弾性復元力を大きくするために、外周縁を内周部より厚肉にしたり、外周部を内周部より硬度の高い材料で形成したりしてもよい。
【0040】
また、始動センサ14はノズルヘッド11の揺動を検出して作動するが、容器3の注出口3aがバックアップ体10に押圧されたことを検出するセンサであってもよく、また、人手操作されるスイッチであってもよい。
【符号の説明】
【0041】
1 容器減容装置
3 容器
3a 注出口
4 ノズル
4A ノズル本体
4a 吸引口
4b 嵌合部
4c ネジ部
4d 工具係合部
5 吸引路
6 圧検出器
7 密閉膜体
8 圧縮空気流通路
9 エジェクタ
10a 弾性体
10b 金属碗
10 バックアップ体
11 ノズルヘッド
14 始動センサ
15 分岐路
17 負圧路
18 切換弁
34 逆止弁
35 開閉弁
36 切換電磁弁
38 分岐開閉弁
39 分岐切換電磁弁
A 吸引手段
B 空気供給手段
【要約】
【課題】 容器内の空気を確実に吸引できかつ減縮容器の解放も容易にできるようにする。
【解決手段】 吸引口4aを有していて容器3の注出口3aを嵌合するノズル4と、このノズル4の吸引口4aに連通する吸引路5を介して容器3内の空気を吸引する吸引手段Aと、前記吸引路5における吸引圧力を検出する圧検出器6と、この圧検出器6が吸引減容完了圧を検出したときに、前記吸引手段Aの作動を停止するとともにノズル4の吸引口4aに空気を供給する空気供給手段Bとを備えており、前記ノズル4は嵌合した容器3の注出口3aの先端部に吸着される弾性を有する密着膜体7を備える。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7