(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6496443
(24)【登録日】2019年3月15日
(45)【発行日】2019年4月3日
(54)【発明の名称】二酸化炭素塗装用水性塗料、コーティング組成物、及び塗装方法
(51)【国際特許分類】
C09D 201/00 20060101AFI20190325BHJP
C09D 5/02 20060101ALI20190325BHJP
B05D 3/12 20060101ALI20190325BHJP
B05D 1/02 20060101ALI20190325BHJP
B05D 7/24 20060101ALI20190325BHJP
【FI】
C09D201/00
C09D5/02
B05D3/12 Z
B05D1/02 Z
B05D7/24 301F
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2018-106153(P2018-106153)
(22)【出願日】2018年6月1日
【審査請求日】2018年6月14日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000214272
【氏名又は名称】長瀬産業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】592115836
【氏名又は名称】加美電子工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 敬史
(72)【発明者】
【氏名】光本 政敬
(72)【発明者】
【氏名】早坂 宜晃
【審査官】
仁科 努
(56)【参考文献】
【文献】
特開平08−252449(JP,A)
【文献】
特開2018−039000(JP,A)
【文献】
特開平09−288970(JP,A)
【文献】
特表平09−502923(JP,A)
【文献】
特開2000−044839(JP,A)
【文献】
特表2005−532426(JP,A)
【文献】
特開2010−285473(JP,A)
【文献】
米国特許第05419487(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09D 201/00
C09D 5/02
B05D 1/02
B05D 3/12
B05D 7/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂及び水性媒体を含む、二酸化炭素塗装用の水性塗料であって、
前記水性塗料は、二酸化炭素と混合する前に7.0以下のpHを有するエマルジョンである、水性塗料。
【請求項2】
二酸化炭素と混合する前に6.0以下のpHを有するエマルジョンである、請求項1に記載の水性塗料。
【請求項3】
水性塗料及び二酸化炭素を混合してコーティング組成物を得る工程と、
前記コーティング組成物を対象物に噴霧する工程と、を備え、
前記水性塗料は、樹脂及び水性媒体を含み、7.0以下のpHを有するエマルジョンである、塗装方法。
【請求項4】
前記コーティング組成物が、7.0未満のpHを有するエマルジョンである、請求項3に記載の塗装方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二酸化炭素塗装用水性塗料等に関する。
【背景技術】
【0002】
塗装方法の一種として、塗料に二酸化炭素を混合してコーティング組成物を調製し、得られたコーティング組成物を対象物に噴霧する方法(二酸化炭素塗装法)が知られている。塗料の中でも水性塗料は、含まれる溶剤の多くが水であり、環境に好ましくない影響を及ぼす可能性のある揮発性有機化合物(VOC)の含有量が少ないため、有望視されている。水性塗料に二酸化炭素塗装法を適用した例として、特許文献1に記載される方法がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表平09−502923号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載される二酸化炭素塗装においては、水性塗料に含まれる樹脂がゲル化し、塗装装置が閉塞する場合があった。
【0005】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、塗装装置の閉塞を低減することのできる、二酸化炭素塗装用の水性塗料等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者等は、鋭意検討したところ、7.0以下のpHにおいて安定的にエマルジョンを形成する水性塗料であれば、二酸化炭素塗装法により塗装した場合であっても、樹脂の析出及びゲル化が低減できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0007】
本発明の一形態に係る二酸化炭素塗装用の水性塗料は、樹脂及び水性媒体を含み、7.0以下のpHを有するエマルジョンである。
【0008】
前記水性塗料は、6.0以下のpHを有するエマルジョンであることができる。
【0009】
本発明の一形態に係るコーティング組成物は、水性塗料と、二酸化炭素と、を含む。前記水性塗料は、樹脂及び水性媒体を含み、前記コーティング組成物は、7.0未満のpHを有するエマルジョンである。
【0010】
本発明の一形態に係る塗装方法は、水性塗料及び二酸化炭素を混合してコーティング組成物を得る工程と、前記コーティング組成物を対象物に噴霧する工程と、を備える。前記水性塗料は、樹脂及び水性媒体を含み、7.0以下のpHを有するエマルジョンである。
【0011】
前記コーティング組成物は、7.0未満のpHを有するエマルジョンであることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、塗装装置の閉塞を低減することのできる、二酸化炭素塗装用の水性塗料等が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】塗装装置の一実施形態を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<水性塗料>
本発明の一形態に係る二酸化炭素塗装用の水性塗料は、樹脂及び水性媒体を含み、7.0以下のpHを有するエマルジョンである。本明細書において、エマルジョン(ディスパージョンともいう)とは、水を主成分とする水性媒体に、粒子状の樹脂が分散している形態を意味する。樹脂の粒子の径は、例えば、0.01μm以上、0.05μm以上、0.05〜5μm、0.05〜0.5μm、又は0.05〜0.1μmであることができる。エマルジョンは、例えば、乳化重合により形成されてよい。あるいは、乳化剤を使用すること(強制乳化)又は親水基を導入した樹脂を使用すること(自己乳化)により、エマルジョンを形成することもできる。
【0015】
樹脂とは、水性塗料の乾燥後に形成する塗膜において、バインダー又はマトリクスとして機能する高分子を形成する成分である。高分子の例は、例えば、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ポリオール樹脂、酢酸ビニル樹脂、フッ素樹脂、シリコン樹脂、及び、複数の樹脂(プレポリマーを含む)を架橋又は重合した複合樹脂を含む。複合樹脂としては、例えば、アクリル−ウレタン樹脂、アクリル−スチレン樹脂、酢酸ビニル−アクリル樹脂、及びアクリル−シリコン樹脂が挙げられる。樹脂は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0016】
樹脂は、塗装前の水性塗料の状態で既に高分子である化合物であってもよいし、塗装前の水性塗料の状態では高分子でないが、塗装後に乾燥すると重合、架橋等して高分子を形成する、主剤(モノマー又はプレポリマー)と硬化剤との混合物であってもよい。後者の場合、樹脂は1液型であってもよく、2液型であってもよい。この場合、主剤の粒子と硬化剤の粒子は、別々に水性媒体に分散していることができる。主剤と硬化剤との組み合わせとしては、アクリルポリオールとポリイソシアネートの組み合わせが例示できる。この場合、水性塗料から水性媒体が蒸発すると、アクリルウレタン樹脂が形成する。
【0017】
水性媒体は、水を主成分とする1相の液体媒体である。水性媒体は、水であってもよいし、水以外の水溶性の溶剤を含む混合溶剤であってもよい。
【0018】
水性塗料中の樹脂の量は、樹脂と水性媒体の合計量を基準として、例えば、25〜80質量%、30〜75質量%、35〜70質量%、又は40〜65質量%であってよい。
【0019】
水性塗料は水以外の溶剤を含んでもよいが、水性塗料に含まれる溶剤のほとんどは水である。水の含有量は、水性塗料中の溶剤の全量を基準として、例えば、50質量%以上、60質量%以上、70質量%以上、75質量%以上、80質量%以上、85質量%以上、90質量%以上、95質量%以上、98質量%以上、又は99質量%以上であることができる。水性塗料は、水以外の溶剤を含まなくてもよい。
【0020】
水以外の溶剤としては、例えば、メチルエチルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル(ブチルセロソルブ)、プロピレングリコール、エタノール、メタノール、イソプロピルアルコール、ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセロール、1−メトキシ−2−プロパノール、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルカルビトール)、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(ブチルカルビトールアセテート)、プロピレングリコールモノメチルエーテル、2,2,4−トリメチル1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール等、多数の有機溶剤が例示される。水以外の溶剤のうち、水溶性の溶剤は、水に溶解して上述の水性媒体を構成することができる。
【0021】
水性塗料は、必要に応じて添加剤をさらに含んでいてもよい。例えば、水性媒体は、乳化剤、分散剤、pH調整剤、凍結防止剤(例えば、プロピレングリコール)、造膜助剤、消泡剤、顔料、顔料分散剤、防腐剤、紫外線吸収剤、光安定剤、レベリング剤、密着性付与剤、レオロジーコントロール剤等、塗料に通常添加される添加剤を含んでいてもよい。
【0022】
水性塗料のpHは、7.0以下であり、7.0未満、6.5以下、6.0以下、5.5以下、5.0以下、4.7以下、4.6以下、4.5以下、4.4以下、又は4.0以下であることができる。水性塗料は、このようなpHにおいてエマルジョンとして存在している。すなわち、水性塗料において、樹脂は水性媒体に分散した状態で存在する。添加剤は、水性媒体に溶解していてもよく、水性媒体に分散されていてもよい。本発明では、このようなpHの範囲でエマルジョンが安定に形成されている水性塗料を選択することが肝要である。
【0023】
<塗装方法>
本発明の一形態に係る塗装方法は、上述の水性塗料及び二酸化炭素を混合してコーティング組成物を得る工程(混合工程)と、コーティング組成物を対象物に噴霧する工程(噴霧工程)と、を備える。
【0024】
(1.混合工程)
本工程では、水性塗料と二酸化炭素とを混合してコーティング組成物を得る。
【0025】
二酸化炭素の量は、特に制限されず、例えば、水性塗料100質量部に対して、0.5質量部以上、1.0質量部以上、1.5質量部以上、2質量部以上、5質量部以上、6質量部以上、又は10質量部以上であることができる。二酸化炭素の量が水性塗料100質量部に対して0.5質量部以上であると、細かいミストを形成することができる。二酸化炭素の量は、水性塗料100質量部に対して、例えば、60質量部以下、50質量部以下、40質量部以下、30質量部以下、20質量部以下、又は10質量部以下であることができる。
【0026】
混合温度は、特に制限されず、例えば、0℃〜60℃又は10℃〜30℃であることができる。水性塗料が2液型の場合は、混合温度が60℃以下であると、コーティング組成物の使用可能時間(ポットライフ)が良好となる傾向がある。
【0027】
混合圧力は、特に制限されず、例えば、2MPa以上、5MPa以上、又は2MPa〜25MPaであることができる。
【0028】
混合の仕方は特に限定されず、混合は、例えば、インラインミキサーを使用したラインブレンド法による混合であることができる。
【0029】
水性塗料と二酸化炭素を混合することにより得られたコーティング組成物は、水性塗料及び二酸化炭素を含有する。上記に述べたとおり、水性塗料は樹脂及び水性媒体を含み、7.0以下のpHを有するエマルジョンである。コーティング組成物全体としては、7.0未満のpHを有するエマルジョンであることができる。この場合、二酸化炭素は水性媒体に溶解されていてもよい。コーティング組成物のpHは、例えば、7.0未満、6.5以下、6.0以下、5.5以下、5.0以下、4.7以下、4.6以下、4.5以下、4.4以下、又は4.0以下であることができる。
【0030】
本実施形態において、水性塗料は7.0以下のpHにおいて安定的にエマルジョンを形成しているため、二酸化炭素を混合してpHがさらに酸性側に傾いても、エマルジョンの形態が維持されて樹脂の析出を低減することができるためか、塗装装置の閉塞が低減できる。
【0031】
(2.噴霧工程)
本工程では、上記コーティング組成物を噴霧する。コーティング組成物を、例えばノズル又はオリフィスから噴霧すると、加圧状態から解放されたコーティング組成物中の二酸化炭素は瞬時に気化して、その体積が大幅に膨張する。膨張により生じるエネルギーにより、コーティング組成物は細かい霧状の塗料(ミスト)になる。
【0032】
噴霧時の温度は、特に制限されないが、例えば、0〜60℃、又は10℃〜30℃であることができる。噴霧時の温度及び圧力は、積極的に制御しなくてもよく、混合時の温度及び圧力と同じであってもよいし、適宜調節されてもよい。噴霧を可能にする観点から、噴霧圧力は2MPa以上又は5MPa以上であることが好ましい。
【0033】
噴霧工程において形成されたミストは対象物に付着し、対象物の表面に液膜(水性塗料の膜)を形成する。その後、液膜を乾燥させて水性媒体を除去することにより、水性媒体中に分散されていた樹脂の粒子同士が接近し、場合によっては架橋反応が生じ、対象物の表面に塗膜を形成することができる。
【0034】
<塗装装置>
上記の方法による塗装は、例えば、
図1に示す塗装装置を用いて行うことができる。塗装装置は、塗料タンク1、高圧ポンプ2、加熱器3、二酸化炭素ボンベ4、冷却器5、高圧ポンプ6、加熱器7、混合器8、及び、ノズル9を有する。塗料タンク1に貯蔵された水性塗料は、高圧ポンプ2によって所定の圧力まで加圧され、加熱器3によって所定の温度まで加温されてから、混合器8へと供給される。一方、二酸化炭素ボンベ4に貯蔵された二酸化炭素は、冷却器5によって冷却されて液化し、高圧ポンプ6(例えば、プランジャーポンプなどの定容ポンプ)によって所定の圧力まで加圧される。加圧された二酸化炭素は、加熱器7によって所定の温度まで加温されてから、混合器8へと供給される。混合器8内で水性塗料及び二酸化炭素が混合され、コーティング組成物となる。混合器8としては、例えば、インラインミキサーを使用できる。このように調製されたコーティング組成物は、ノズル9を通して対象物に向けて噴霧される。
【0035】
混合器8における圧力は、高圧ポンプ2及び高圧ポンプ6の吐出圧力により調節することができる。また、混合器8における温度は、加熱器3により加熱される水性塗料の温度、及び、加熱器7により加熱される二酸化炭素の温度により調節することができる。水性塗料及び二酸化炭素の量比も、各ポンプの吐出量及び図示しない流量調節弁により調節できる。
【0036】
塗装装置は、
図1に示す装置に限定されない。例えば、
図1に示す装置では、混合時の温度は加熱器3及び7並びに冷却器5により調節されるが、これらの構成は必須ではない。例えば、加熱器3及び7並びに冷却器5に代えて、熱交換器などの温度調節部を混合器8の内部に設けることにより、混合時の温度を調節してもよい。また、
図1に示す装置では、混合時の圧力は高圧ポンプ2及び6により調節されるが、これらの構成は必須ではない。例えば、高圧ポンプ2及び6にかえて、ポンプ、減圧バルブ等の圧力調節部を混合器8の内部に設けることにより、混合時の圧力を調節してもよい。さらに、混合器8とノズル9とを結ぶライン上に温度調節部及び/又は圧力調節部を設けて、噴霧時の温度及び/又は圧力を制御してもよい。
【0037】
以上説明したように、本実施形態に係る塗装方法において、水性塗料は7.0以下のpHを有するエマルジョンである。水性塗料が7.0以下のpHを有するエマルジョンであると、二酸化炭素塗装装置中のラインの閉塞を低減することができる。本発明者等は、この理由を以下のように推察している。
【0038】
二酸化炭素が水に溶けると、溶けた二酸化炭素の一部が炭酸となり、さらに、炭酸の一部が解離して水素イオンを放出する。したがって、二酸化炭素と水性塗料とを混合してコーティング組成物を形成した際に、コーティング組成物中の水性媒体のpHは、混合前の水性塗料のpHよりも少し酸性側に傾く。
エマルジョンにおいて、水性媒体が酸性であるかアルカリ性であるかは、エマルジョンの分散安定性に大きな影響を及ぼすと考えられる。アルカリ性条件下で安定的にエマルジョンを形成する水性塗料を二酸化炭素と混合する場合、二酸化炭素との混合に伴うコーティング組成物中の水性媒体のpHの低下により、水性媒体のpHがアルカリ性から酸性に変わり、エマルジョンが安定に形成できなくなると考えられる。この場合、水性媒体中に分散されている樹脂同士が接近して析出し、析出した樹脂は塗装装置のラインを閉塞させる原因になると考えられる。これに対し、本発明の一形態によれば、pH7.0以下で安定的にエマルジョンを形成している水性塗料を使用するため、二酸化炭素を混合することによりpHがさらに酸性になった場合でも、水性媒体のpHがアルカリ性から酸性に変わるような、水性媒体の性質の大きな変動が起こらないため、エマルジョンが安定的に維持され、樹脂の析出を低減することができると考えられる。このように、本発明によれば樹脂の析出が低減されるため、塗装装置の閉塞が低減できると考えられる。
【実施例】
【0039】
以下、実施例に基づき発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されない。
【0040】
図1に示すような二酸化炭素塗装装置において、塗料タンク1に表1に示す塗料成分(樹脂、溶剤、及び顔料)を仕込み、混合器8内での水性塗料と二酸化炭素との混合比が表1に示す混合比(組成)となるように、高圧ポンプ2及び6の流量を設定した。混合器8内の温度及び圧力は、表1に示す温度及び圧力に調節した。表1において、各成分の量の単位は質量部である。
【0041】
使用した塗料成分の詳細を表2に示す。表2において、NVは、塗料成分中の非揮発成分(樹脂など)の質量割合を意味し、NVが100%でない場合には、塗料成分中に揮発性の溶剤が含まれる。溶剤の大部分は水である。
【0042】
【表1】
【0043】
【表2】
【0044】
塗装試験を行い、対象物をコーティング組成物で5分間塗装した。結果を表1に示す。「塗装試験」の評価について、表1における○及び×は、それぞれ次を意味する。
○:塗装装置中のラインが閉塞することなく、対象物を塗装できた。
×:塗装装置中のラインが閉塞した。
【0045】
二酸化炭素と混合する前の水性塗料のpHが7.0以下であった実施例1〜6では、塗装装置中のラインが閉塞することなく、対象物を塗装できた。二酸化炭素と混合する前の塗料のpHが7.0より大きかった比較例1及び2では、塗装装置中のラインが閉塞した。
【符号の説明】
【0046】
1…塗料タンク、2,6…高圧ポンプ、3,7…加熱器、4…二酸化炭素ボンベ、5…冷却器、8…混合器、9…ノズル。
【要約】
【課題】二酸化炭素塗装法における塗装装置の閉塞を低減することのできる水性塗料等を提供することを目的とする。
【解決手段】樹脂及び水性媒体を含む、二酸化炭素塗装用の水性塗料であって、前記水性塗料は、7.0以下のpHを有するエマルジョンである。
【選択図】
図1