特許第6496466号(P6496466)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6496466
(24)【登録日】2019年3月15日
(45)【発行日】2019年4月3日
(54)【発明の名称】サンプリング器及びサンプリング方法
(51)【国際特許分類】
   E02D 1/04 20060101AFI20190325BHJP
   E02D 3/12 20060101ALI20190325BHJP
   G01N 1/08 20060101ALI20190325BHJP
【FI】
   E02D1/04
   E02D3/12 102
   G01N1/08 E
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2018-162189(P2018-162189)
(22)【出願日】2018年8月30日
【審査請求日】2018年8月30日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】597006997
【氏名又は名称】アキュテック株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】318010410
【氏名又は名称】株式会社サンワールドIPS
(74)【代理人】
【識別番号】100160990
【弁理士】
【氏名又は名称】亀崎 伸宏
(72)【発明者】
【氏名】加藤 政明
【審査官】 石川 信也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−226956(JP,A)
【文献】 特許第2866315(JP,B2)
【文献】 登録実用新案第3210122(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 1/04
E02D 3/12
G01N 1/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
地盤に柱状の改良体を施工する地盤改良機における掘削撹拌軸に設けられた撹拌翼に取り付けられ、前記地盤内の土砂又は硬化する前の前記改良体の中で前記掘削撹拌軸の回転に連動して前記掘削撹拌軸の周りを旋回することで、前記土砂又は前記改良体から試料を採取するサンプリング器であって、
右回り又は左回りの一方向の旋回時に進行方向の側となる第1の端部に位置する第1の開口と、右回り又は左回りの他方向の旋回時に進行方向の側となる第2の端部に位置する第2の開口と、を有する容器本体と、
前記容器本体における前記第1の開口の縁に揺動可能に取り付けられ、前記第1の開口を閉じる第1の閉位置と、前記第1の閉位置から前記容器本体の内側に揺動して前記第1の開口を開く第1の開位置と、の間で揺動することで前記第1の開口を開閉する第1の蓋体と、
前記容器本体における前記第2の開口の縁に揺動可能に取り付けられ、前記第2の開口を閉じる第2の閉位置と、前記第2の閉位置から前記容器本体の外側に揺動して前記第2の開口を開く第2の開位置と、の間で揺動することで前記第2の開口を開閉する第2の蓋体と、
前記第1の蓋体及び前記第2の蓋体を連動させ、前記第1の開口及び前記第2の開口を同時に開閉させる連動機構と、を備え、
前記一方向の旋回時に、前記第1の蓋体が前記第1の開位置に位置すると共に、前記第2の蓋体が前記第2の開位置に位置することで、前記第1の開口及び前記第2の開口を開き、
前記他方向の旋回時に、前記第1の蓋体が前記第1の閉位置に位置すると共に、前記第2の蓋体が前記第2の閉位置に位置することで、前記第1の開口及び前記第2の開口を閉じることを特徴とする
サンプリング器。
【請求項2】
前記第2の蓋体は、前記第2の開口と比較してサイズが大きく、且つ、前記容器本体における前記第1の開口の側から前記第2の開口の側に視て前記容器本体からはみ出していることを特徴とす
請求項1に記載のサンプリング器。
【請求項3】
前記第2の蓋体は、前記容器本体における前記第1の開口の側から前記第2の開口の側に視て前記容器本体からはみ出している部分が、前記容器本体の側に屈曲していることを特徴とする
請求項2に記載のサンプリング器。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載のサンプリング器を用いて前記試料を採取するサンプリング方法であって、
前記サンプリング器を降下させて、地上から、前記土砂又は硬化する前の前記改良体の中に入れる第1工程と、
前記土砂又は硬化する前の前記改良体の中で前記サンプリング器を前記一方向に旋回させることで、前記容器本体の中に前記試料を収容する第2工程と、
前記サンプリング器を前記他方向に旋回させながら上昇させて、前記土砂又は硬化する前の前記改良体の中から地上に引き上げる第4工程と、を備えることを特徴とする
サンプリング方法。
【請求項5】
前記第1工程では、前記サンプリング器を前記他方向に旋回させながら降下させることを特徴とする
請求項4に記載のサンプリング方法。
【請求項6】
前記第2工程の後で、且つ、前記第4工程の前に、前記サンプリング器を前記他方向に旋回させることで、前記第1の開口及び前記第2の開口を閉じる第3工程を備えることを特徴とする
請求項4又は5に記載のサンプリング方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サンプリング器及びサンプリング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
軟弱な地盤に建築物を設置する際に、地盤に柱状の改良体を施工する場合がある。柱状の改良体は、掘削した柱状の穴にセメントミルクを注入しながら、掘削した土砂と注入したセメントミルクを撹拌することで施工される。この場合、施工の状態を確認するために、掘削した地盤内の土砂又は硬化する前の改良体から試料を採取する必要がある。
【0003】
特許文献1には、硬化する前の改良体から試料を採取するサンプリング器が開示されている。このサンプリング器は、掘削撹拌軸の先端付近に設けられた撹拌翼に取り付けられる蓋付きの容器であり、ワイヤーの動作によって蓋が開閉する構造を採用している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第2866315号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のサンプリング器では、ワイヤーが掘削撹拌軸に絡まってしまったり、ワイヤーに付着した改良体を拭き取る必要があったりと、取扱いが煩雑であり作業の軽減が望まれる。
【0006】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、作業の軽減を実現するサンプリング器及びサンプリング方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明は、地盤に柱状の改良体を施工する地盤改良機における掘削撹拌軸に設けられた撹拌翼に取り付けられ、前記地盤内の土砂又は硬化する前の前記改良体の中で前記掘削撹拌軸の回転に連動して前記掘削撹拌軸の周りを旋回することで、前記土砂又は前記改良体から試料を採取するサンプリング器であって、右回り又は左回りの一方向の旋回時に進行方向の側となる第1の端部に位置する第1の開口と、右回り又は左回りの他方向の旋回時に進行方向の側となる第2の端部に位置する第2の開口と、を有する容器本体と、前記容器本体における前記第1の開口の縁に揺動可能に取り付けられ、前記第1の開口を閉じる第1の閉位置と、前記第1の閉位置から前記容器本体の内側に揺動して前記第1の開口を開く第1の開位置と、の間で揺動することで前記第1の開口を開閉する第1の蓋体と、前記容器本体における前記第2の開口の縁に揺動可能に取り付けられ、前記第2の開口を閉じる第2の閉位置と、前記第2の閉位置から前記容器本体の外側に揺動して前記第2の開口を開く第2の開位置と、の間で揺動することで前記第2の開口を開閉する第2の蓋体と、前記第1の蓋体及び前記第2の蓋体を連動させ、前記第1の開口及び前記第2の開口を同時に開閉させる連動機構と、を備え、前記一方向の旋回時に、前記第1の蓋体が前記第1の開位置に位置すると共に、前記第2の蓋体が前記第2の開位置に位置することで、前記第1の開口及び前記第2の開口を開き、前記他方向の旋回時に、前記第1の蓋体が前記第1の閉位置に位置すると共に、前記第2の蓋体が前記第2の閉位置に位置することで、前記第1の開口及び前記第2の開口を閉じることを特徴とするサンプリング器である。
【0008】
本発明によれば、連動機構によって第1の蓋体及び第2の蓋体を同時に揺動させることで、容器本体が有する第1の開口及び第2の開口を同時に開閉させることができる。容器本体の両端に位置する第1の開口及び第2の開口が同時に開くことで、容器本体の中に試料を確実に収容することができる。第1の開口及び第2の開口が同時に閉じることで、容器本体が密閉されるので、容器本体の中に収容した試料を確実に地上に引き上げることができる。このように、地盤改良機における掘削撹拌軸に設けられた撹拌翼にサンプリング器を取り付けた上で、地盤改良機を操作するだけで、試料を採取することができる。すなわち、作業の軽減を実現することができる。
【0009】
(2)本発明はまた、前記第2の蓋体は、前記第2の開口と比較してサイズが大きく、且つ、前記容器本体における前記第1の開口の側から前記第2の開口の側に視て前記容器本体からはみ出していることを特徴とする上記(1)に記載のサンプリング器である。
【0010】
上記発明によれば、容器本体の外側に存在する土砂又は改良体から第2の蓋体が受ける抵抗力を大きくすることができる。ひいては、第2の蓋体の開閉、及び第2の蓋体に連動する第1の蓋体の開閉を確実に行わせることができる。
【0011】
(3)本発明はまた、前記第2の蓋体は、前記容器本体における前記第1の開口の側から前記第2の開口の側に視て前記容器本体からはみ出している部分が、前記容器本体の側に屈曲していることを特徴とする上記(2)に記載のサンプリング器である。
【0012】
上記発明によれば、地盤内の土砂又は硬化する前の改良体の中に入れる際に、土砂又は改良体から受ける抵抗力を小さくすることができる。また、容器本体の中に試料を収容した後に第1の蓋体及び第2の蓋体を閉じる際の抵抗力を小さくすることができる。
【0013】
仮に、容器本体における第1の開口の側から第2の開口の側に視て容器本体からはみ出している部分が、容器本体の側に屈曲しておらず、第2の蓋体が平らな板状であるとした場合、容器本体の中に試料を収容した後に第1の蓋体及び第2の蓋体を閉じる際の抵抗力によって、第1の蓋体及び第2の蓋体を閉じきることができない可能性がある。
【0014】
(4)本発明はまた、上記(1)〜(3)のいずれかに記載のサンプリング器を用いて前記試料を採取するサンプリング方法であって、前記サンプリング器を降下させて、地上から、前記土砂又は硬化する前の前記改良体の中に入れる第1工程と、前記土砂又は硬化する前の前記改良体の中で前記サンプリング器を前記一方向に旋回させることで、前記容器本体の中に前記試料を収容する第2工程と、前記サンプリング器を前記他方向に旋回させながら上昇させて、前記土砂又は硬化する前の前記改良体の中から地上に引き上げる第4工程と、を備えることを特徴とするサンプリング方法である。
【0015】
(5)本発明はまた、前記第1工程では、前記サンプリング器を前記他方向に旋回させながら降下させることを特徴とする上記(4)に記載のサンプリング方法である。
【0016】
(6)本発明はまた、前記第2工程の後で、且つ、前記第4工程の前に、前記サンプリング器を前記他方向に旋回させることで、前記第1の開口及び前記第2の開口を閉じる第3工程を備えることを特徴とする上記(4)又は(5)に記載のサンプリング方法である。
【発明の効果】
【0017】
本発明の上記(1)〜(3)に記載のサンプリング器、並びに上記(4)〜(6)に記載のサンプリング方法によれば、作業の軽減を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施形態に係るサンプリング器の側面図である。
図2】サンプリング器の動作を説明する側面図であり、(A)は第1の蓋体及び第2の蓋体が閉位置に位置する場合を示し、(B)は第1の蓋体及び第2の蓋体が開位置に位置する場合を示す。
図3】掘削した地盤内の土砂又は硬化する前の改良体の中で掘削撹拌軸を逆回転させた場合を説明する図であり、(A)は上面図であり、(B)は側面図である。
図4】掘削した地盤内の土砂又は硬化する前の改良体の中で掘削撹拌軸を正回転させた場合を説明する図であり、(A)は上面図であり、(B)は側面図である。
図5】本発明の実施形態に係るサンプリング方法の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係るサンプリング器1及びサンプリング方法について詳細に説明する。
【0020】
まず、図1及び図2を用いて、サンプリング器1の構成について説明する。図1は、サンプリング器1の側面図である。図2は、サンプリング器1の動作を説明する側面図である。図2(A)は、第1の蓋体3及び第2の蓋体4が閉位置に位置する場合を示す。図2(B)は、第1の蓋体3及び第2の蓋体4が開位置に位置する場合を示す。
【0021】
図1及び図2に示すサンプリング器1は、地盤に柱状の改良体を施工する地盤改良機における掘削撹拌軸DSS(図3及び図4参照)に設けられた撹拌翼SBに取り付けられ、掘削した地盤内の土砂又は硬化する前の改良体の中で掘削撹拌軸DSS(図3及び図4参照)の回転に連動して掘削撹拌軸DSS(図3及び図4参照)の周りを旋回することで、土砂又は硬化する前の改良体から試料を採取する。
【0022】
具体的に、サンプリング器1は、容器本体2と、第1の蓋体3と、第2の蓋体4と、連動機構5と、固定部6と、第3の蓋体7と、錠前8と、等を備えている。
【0023】
容器本体2は、直方体形状の外形を有している。具体的に、容器本体2は、第1の開口21と、第2の開口22と、第3の開口23と、を有している。
【0024】
第1の開口21は、右回り又は左回りの一方向である右回りの旋回時に進行方向の側となる第1の端部に位置する矩形の開口である。この第1の開口21は、その上縁に揺動可能に取り付けられた第1の蓋体3によって開閉される。
【0025】
第2の開口22は、右回り又は左回りの他方向である左回りの旋回時に進行方向の側となる第2の端部に位置する矩形の開口である。この第2の開口22は、その上縁に揺動可能に取り付けられた第2の蓋体4によって開閉される。
【0026】
第3の開口23は、旋回時に側方となる側に位置する矩形の開口である。この第3の開口23は、着脱可能な第3の蓋体7によって開閉される。
【0027】
第1の蓋体3は、容器本体2における第1の開口21の上縁に揺動可能に取り付けられた矩形の板である。この第1の蓋体3は、第1の開口21を閉じる第1の閉位置(図2(A)参照)と、第1の閉位置(図2(A)参照)から容器本体2の内側に揺動して第1の開口21を開く第1の開位置(図2(B)参照)と、の間で揺動することで第1の開口21を開閉する。第1の蓋体3が揺動する角度は、第1の閉位置(図2(A)参照)を基準として、小さくとも試料が収容可能である角度で、且つ、大きくとも第1の蓋体3が第1の閉位置(図2(A)参照)に復帰可能である角度である。具体的に、第1の蓋体3が揺動する角度は、第1の閉位置(図2(A)参照)を基準として、30度以上60度以下であることが好ましく、40度以上50度以下であることがより好ましく、45度であることが最も好ましい。
【0028】
第2の蓋体4は、容器本体2における第2の開口22の上縁に揺動可能に取り付けられた矩形の板である。この第2の蓋体4は、第2の開口22を閉じる第2の閉位置(図2(A)参照)と、第2の閉位置(図2(A)参照)から容器本体2の外側に揺動して第2の開口22を開く第2の開位置(図2(B)参照)と、の間で揺動することで第2の開口22を開閉する。第2の蓋体4が揺動する角度は、第2の閉位置(図2(A)参照)を基準として、小さくとも試料が収容可能である角度で、且つ、大きくとも第2の蓋体4が第2の閉位置(図2(A)参照)に復帰可能である角度である。具体的に、第2の蓋体3が揺動する角度は、第2の閉位置(図2(A)参照)を基準として、30度以上60度以下であることが好ましく、40度以上50度以下であることがより好ましく、45度であることが最も好ましい。
【0029】
また、第2の蓋体4は、第2の開口22と比較してサイズが大きく、且つ、容器本体2における第1の開口21の側から第2の開口22の側に視て容器本体2からはみ出している。この第2の蓋体4は、容器本体2における第1の開口21の側から第2の開口22の側に視て容器本体2からはみ出している部分である側端縁及び下端縁が、容器本体2の側に屈曲している。
【0030】
連動機構5は、第1の蓋体3及び第2の蓋体4を連動させ、第1の開口21及び第2の開口22を同時に開閉させると共に、第1の蓋体3及び第2の蓋体4の位置を一致させるリンク機構である。具体的に、連動機構5は、一端が第1の蓋体3の上端に回転可能に取り付けられ、他端が第2の蓋体4の上端に回転可能に取り付けられたアームである。この連動機構5は、第1の蓋体3が容器本体2の内側に揺動する回転力を、第2の蓋体4が容器本体2の外側に揺動する回転力として第2の蓋体4に伝達すると共に、第1の蓋体3が第1の閉位置(図2(A)参照)に復帰する方向に揺動する回転力を、第2の蓋体4が第2の閉位置(図2(A)参照)に復帰する方向に揺動する回転力として第2の蓋体4に伝達する。また、連動機構5は、第2の蓋体4が容器本体2の外側に揺動する回転力を、第1の蓋体3が容器本体2の内側に揺動する回転力として第1の蓋体3に伝達すると共に、第2の蓋体4が第2の閉位置(図2(A)参照)に復帰する方向に揺動する回転力を、第1の蓋体3が第1の閉位置(図2(A)参照)に復帰する方向に揺動する回転力として第1の蓋体3に伝達する。
【0031】
固定部6は、容器本体2における下方に、当該容器本体2と一体に設けられている。この固定部6は、掘削撹拌軸DSS(図3及び図4参照)に設けられた撹拌翼SBを保持する構造であり、ボルト(図示省略)等によって撹拌翼SBに着脱可能に固定される。
【0032】
第3の蓋体7は、その外面に取っ手71を有しており、容器本体2における第3の開口23に着脱可能に取り付けられる。この第3の蓋体7は、容器本体2における第3の開口23に手動で着脱されることで、第3の開口23を開閉する。
【0033】
錠前8は、容器本体2における第3の開口23に取り付けられた第3の蓋体7の外側に、着脱可能に取り付けられることで、第3の蓋体7を締める。この錠前8が第3の蓋体7の外側から取り外されることで、第3の蓋体7の取外しが可能になる。
【0034】
次に、図3を用いて、撹拌翼SBにサンプリング器1が取り付けられた掘削撹拌軸DSSを、掘削した地盤内の土砂又は硬化する前の改良体の中で逆回転させた場合について説明する。図3は、掘削した地盤内の土砂又は硬化する前の改良体の中で掘削撹拌軸DSSを逆回転させた場合を説明する図である。図3(A)は、その上面図である。図3(B)は、その側面図である。
【0035】
図3(A)に示すように、掘削した地盤内の土砂又は硬化する前の改良体の中で掘削撹拌軸DSSを逆回転させた場合、掘削撹拌軸DSSの撹拌翼SBに取り付けられたサンプリング器1は、右回り又は左回りの他方向である左回り(逆方向)に旋回する。すなわち、図3(B)に示すように、上縁に第2の蓋体4が取り付けられた第2の開口22の側が進行方向になる。この場合、第2の蓋体4は、容器本体2の外側に存在する土砂又は改良体から抵抗力を受け、第2の閉位置に維持される。第1の蓋体3は、連動機構5によって第2の蓋体4と連動するので、第1の閉位置に維持される。第1の蓋体3が第1の閉位置に維持されて第1の開口21を閉じていると共に、第2の蓋体4が第2の閉位置に維持されて第2の開口22を閉じているので、容器本体2の中と外で土砂又は改良体が移動することはない。
【0036】
次に、図4を用いて、撹拌翼SBにサンプリング器1が取り付けられた掘削撹拌軸DSSを、掘削した地盤内の土砂又は硬化する前の改良体の中で正回転させた場合について説明する。図4は、掘削した地盤内の土砂又は硬化する前の改良体の中で掘削撹拌軸DSSを正回転させた場合を説明する図である。図4(A)は、その上面図である。図4(B)は、その側面図である。
【0037】
図4(A)に示すように、掘削した地盤内の土砂又は硬化する前の改良体の中で掘削撹拌軸DSSを正回転させた場合、掘削撹拌軸DSSの撹拌翼SBに取り付けられたサンプリング器1は、右回り又は左回りの一方向である右回り(正方向)に旋回する。すなわち、図4(B)に示すように、上縁に第1の蓋体3が取り付けられた第1の開口21の側が進行方向になる。この場合、第1の蓋体3は、容器本体2の外側に存在する土砂又は改良体から抵抗力を受けると共に、連動機構5によって第2の蓋体4と連動するので、第1の開位置に維持される。第2の蓋体4は、容器本体2の外側に存在する土砂又は改良体からの抵抗力を受けると共に、連動機構5によって第1の蓋体3と連動するので、第2の開位置に維持される。第1の蓋体3が第1の開位置に維持されて第1の開口21を開いていると共に、第2の蓋体4が第2の開位置に維持されて第2の開口22を開いているので、容器本体2の中と外で土砂又は改良体が移動し、容器本体2の中に試料が収容される。
【0038】
次に、図5を用いて、サンプリング器1を用いて試料を採取するサンプリング方法について説明する。図5は、サンプリング方法の流れを示すフローチャートである。
【0039】
図5に示すように、サンプリング方法は、第1工程S1と、第2工程S2と、第3工程S3と、第4工程S4と、を備えている。
【0040】
第1工程S1は、サンプリング器1を逆方向に旋回させながら降下させて、地上から、掘削した地盤内の土砂又は硬化する前の改良体の中に入れる工程(貫入時の工程)である。この第1工程S1では、第1の蓋体3が第1の閉位置に維持されて第1の開口21を閉じていると共に、第2の蓋体4が第2の閉位置に維持されて第2の開口22を閉じているので、容器本体2の外から中へ土砂又は改良体が移動することはない(図3(A)及び図3(B)参照)。
【0041】
第2工程S2は、掘削した地盤内の土砂又は硬化する前の改良体の中でサンプリング器1を正方向に旋回させることで、容器本体2の中に試料を収容する工程(採取時の工程)である。この第2工程S2では、容器本体2の外側に存在する土砂又は改良体から抵抗力を受けると共に、連動機構5によって第1の蓋体3及び第2の蓋体4が連動するので、第1の蓋体3が第1の閉位置から第1の開位置に揺動して第1の開口21を開くと共に、第2の蓋体4が第2の閉位置から第2の開位置に揺動して第2の開口22を開く(図4(A)及び図4(B)参照)。これにより、第1の開口21を介して容器本体2の外から中へ土砂又は改良体が移動し、容器本体2の中に試料が収容される。
【0042】
第3工程S3は、サンプリング器1を逆方向に旋回させることで、第1の開口21及び第2の開口22を閉じる工程である。この第3工程S3では、容器本体2の外側に存在する土砂又は改良体から抵抗力を受けると共に、連動機構5によって第1の蓋体3及び第2の蓋体4が連動するので、第1の蓋体3が第1の開位置から第1の閉位置に揺動して第1の開口21を閉じると共に、第2の蓋体4が第2の開位置から第2の閉位置に揺動して第2の開口22を閉じる(図3(A)及び図3(B)参照)。
【0043】
第4工程S4は、サンプリング器1を逆方向に旋回させながら上昇させて、掘削した地盤内の土砂又は硬化する前の改良体の中から地上に引き上げる工程(引上げ時の工程)である。この第4工程S4では、第1の蓋体3が第1の閉位置に維持されて第1の開口21を閉じていると共に、第2の蓋体4が第2の閉位置に維持されて第2の開口22を閉じているので、容器本体2の中と外で土砂又は改良体が移動することはなく、第2工程S2で容器本体2の中に収容した試料を確実に地上に引き上げる。
【0044】
このように、サンプリング器1、及びサンプリング器1を用いて試料を採取するサンプリング方法によれば、連動機構5によって第1の蓋体3及び第2の蓋体4を同時に揺動させることで、容器本体2が有する第1の開口21及び第2の開口22を同時に開閉させることができる。容器本体2の両端に位置する第1の開口21及び第2の開口22が同時に開くことで、容器本体2の中に試料を確実に収容することができる。第1の開口21及び第2の開口22が同時に閉じることで、容器本体が密閉されるので、容器本体2の中に収容した試料を確実に地上に引き上げることができる。このように、地盤改良機における掘削撹拌軸DSSに設けられた撹拌翼SBにサンプリング器1を取り付けた上で、地盤改良機を操作するだけで、試料を採取することができる。すなわち、作業の軽減を実現することができる。
【0045】
また、第2の蓋体4が第2の開口22と比較してサイズが大きく、且つ、容器本体2における第1の開口21の側から第2の開口22の側に視て容器本体2からはみ出しているので、容器本体2の外側に存在する土砂又は改良体から第2の蓋体4が受ける抵抗力を大きくすることができる。ひいては、第2の蓋体4の開閉、及び第2の蓋体4に連動する第1の蓋体3の開閉を確実に行わせることができる。
【0046】
また、第2の蓋体4は、容器本体2における第1の開口21の側から第2の開口22の側に視て容器本体2からはみ出している部分が、容器本体2の側に屈曲しているので、掘削した地盤内の土砂又は硬化する前の改良体の中に入れる際に、土砂又は改良体から受ける抵抗力を小さくすることができる。また、容器本体2の中に試料を収容した後に第1の蓋体3及び第2の蓋体4を閉じる際の抵抗力を小さくすることができる。
【0047】
仮に、容器本体2における第1の開口21の側から第2の開口22の側に視て容器本体2からはみ出している部分が、容器本体2の側に屈曲しておらず、第2の蓋体4が平らな板状であるとした場合、容器本体2の中に試料を収容した後に第1の蓋体3及び第2の蓋体4を閉じる際の抵抗力によって、第1の蓋体3及び第2の蓋体4を閉じきることができない可能性がある。
【0048】
本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、その趣旨及び技術思想を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。すなわち、各構成の位置、大きさ、長さ、数量、形状、材質、時間、タイミングなどは適宜変更できる。
【0049】
例えば、上記実施形態では、第1の蓋体3が第1の開口21の上縁に取り付けられている場合を例に説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。第1の蓋体3は、第1の開口21の縁に取り付けられていればよく、連動機構5によって第2の蓋体4と連動できる態様であれば、第1の開口21の下縁又は側縁に取り付けられていてもよい。
【0050】
同様に、上記実施形態では、第2の蓋体4が第2の開口22の上縁に取り付けられている場合を例に説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。第2の蓋体4は、第2の開口22の縁に取り付けられていればよく、連動機構5によって第1の蓋体3と連動できる態様であれば、第2の開口22の下縁又は側縁に取り付けられていてもよい。
【0051】
あるいは、上記実施形態では、第1工程S1においてサンプリング器1を逆方向に旋回させながら降下させる場合を例に説明したが、本発明はこれに限定されるものでは無い。第1工程S1では、サンプリング器1を降下させて、地上から、掘削した地盤内の土砂又は硬化する前の改良体の中に入れることができればよい。仮に、容器本体2の外から中に土砂又は改良体が無用に入り込んでしまった場合であっても、第2工程S2において容器本体2の中に試料を収容する際に、容器本体2の両端に位置する第1の開口21及び第2の開口22が開くので、無用に入り込んでしまった試料を容器本体2の外に排出することができ、問題はない。
【符号の説明】
【0052】
1 サンプリング器
2 容器本体
21 第1の開口
22 第2の開口
23 第3の開口
3 第1の蓋体
4 第2の蓋体
5 連動機構
6 固定部
7 第3の蓋体
71 取っ手
8 錠前
DSS 掘削撹拌軸
SB 撹拌翼
S1 第1工程
S2 第2工程
S3 第3工程
S4 第4工程

【要約】      (修正有)
【課題】作業の軽減を実現するサンプリング器及びサンプリング方法を提供する。
【解決手段】サンプリング器1は、第1の開口21及び第2の開口22を有する容器本体2と、容器本体2に揺動可能に取り付けられ、第1の開口21を閉じる第1の閉位置と、容器本体2の内側に揺動して第1の開口21を開く第1の開位置と、の間で揺動することで第1の開口21を開閉する第1の蓋体3と、容器本体2に揺動可能に取り付けられ、第2の開口22を閉じる第2の閉位置と、容器本体2の外側に揺動して第2の開口を開く第2の開位置と、の間で揺動することで第2の開口22を開閉する第2の蓋体4と、第1の蓋体3及び第2の蓋体4を連動させ、第1の開口21及び第2の開口22を同時に開閉させる連動機構5と、を備える。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5